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('A`)は企業戦士のようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




企業間戦争の激化に伴い、新たな協定が結ばれた
クローバー・クラブ協定の締結

――『我々は軍人ではない。我々は労働者である』――

――『故に、今後如何なる闘争に於いて、兵器の使用を永遠に禁ずる』――

――『労働者よ。その手に持つのは兵器であってはならない。繰り返す。兵器であってはならない』――

――『労働者よ。棒を持て。労働の証たるクラブを持て』――

――『労働者よ。その手に掲げろ。商品を』――


クローバー・クラブ協定締結以降、
企業間戦争は、次第に同業他社の殲滅から、
全業全社間の広告戦争へと、そのフィールドを広げ、

……戦争は激化の一途を辿った




20080123062307.jpg




足の裏で、ガラスが砕ける感触を感じながら、ドクオはここが戦場である事を再確認。
今いる旧オフィス街に、無事な窓ガラスなど一枚も存在しない。
広告戦争に敗北した企業のビルは、再利用など誰もせず、そのまま戦場とするのが、慣例だった。

('A`) 「……まったく、無駄の多い戦争だこって」

灰色の作業着から、タバコを取り出す。
どこに敵が潜んでいるのか、まるでわからないというのに、
その行動は、大胆不敵という他ない。
火をつけ、大きく息を吸い込めば、自然、煙は立ち上り、狼煙の役割を果たす。
しかしドクオはそんなことを気にも留めず、廃墟となったビルを眺めていた。

('A`) 「ったく……こーゆー瓦礫をほっとくから、仕事が減るんだろうによ」

広告戦争の企業戦士である以前、自分は労働者である。
ドクオはそう思っていた。兵隊である前に、企業人であると。
しかし、ならば逆に、企業からの命令は絶対である、ということでもあった。

('A`) 「ま、これも仕事の内……って、なぁ!」

視線はビルに。右手は路地に。
袖口から現れた引き金は、刹那の内に引かれた。
袖を突き破り、飛び出した何かはまっすぐに、放置されていたポリバケツに突き刺さった。
しかし、それだけだ。
大きくポリバケツを揺らしはしたものの、砕くにはいたらない。

('A`) 「こそこそと、様子見決め込むってのは……趣味が悪いぜ?」

視線も向けずに放たれた声に反応したわけでは、なかった。
衝撃でポリバケツが倒れたせいで、姿を表したのは、和服の男だった。

( ^ω^) 「お見事、だお」

剣道着のような衣に、何やら長い棒を布で巻き、それを脇に手挟んだ男は、一礼。

( ^ω^) 「……名と、使用商品を言うお」

クローバー・クラブ協定一項目。
広告戦争に於いて、企業戦士は所属企業と宣伝商品を告げなければならない。
言われるまでも無い、大前提だ。だが、これで、男の正体も企業戦士だと、知れた。
ひとまずはそれで、十分。広告戦争の条件は、整った。

広告戦争の、始まりだ。

広告戦争の大原則として、ここで行われる一切の戦闘の映像は、消費者へと届けられるということがある。
広告戦争とはよく言ったもの。血なまぐさいつぶし合いは、協定によりコマーシャルとしての地位を確立していた。

獲物を前に、舌なめずり。などと言うことはしない。
しないが、さりとて、意識を和服の男一人に集中はさせない。
視界の端だけで男を捕らえ、腕の動きだけで獲物を抜き出した。

('A`) 「ブレイク技術所属、ドクオ。今日ご紹介するのは、釘打ち機のショットマンだ」

完全に引き出されたのは、言葉どおりの釘打ち機。
ペンを思わせるシルエットは、なるほど、袖に収納することも可能だろう。
驚くに十分な性能ではあるが、それだけで、この商品の紹介が終わるとも思えない。

( ^ω^) 「ずいぶん……物騒な釘打ち機だお?」
('A`) 「今回は特別に、安全装置を外しておりますが、この最大貫通力。……そして、」

お決まりのツッコミに、定型の返しを終え、商品の紹介は、実演へと繋がる。
引き金を握り、離さないまま、ドクオは大きく腕を振るった。
上下の運動にあわせ、釘打ち機から射出されるのは、高速で疾走する、釘。

('A`) 「オートの連射機能は! 鉄板と言えども軽々と打ち付けることが可能ッ!」

ダダッダ! と三本の釘は、和服の男へと襲い掛かった。
それぞれ、眉間、喉、鳩尾を狙い、吸い込まれるように空を走っていく。
銃弾のそれよりは遥かに劣る速度の釘。
だからと言って、下手な弓矢を超える速度であるはずのそれに、
和服の男は、表情ひとつ変えず、ゆったりと足を一歩、引いた。

( ^ω^) 「ふん……」

たったそれだけの動きで、釘を避けきり、呼吸の間も取らず。

( ^ω^) 「それだけ、かお?」

引いた足を発射台として、自らを弾丸として、射出。
彼我の距離は目測で十メートル足らず。
布巻きの棒の長さを考えれば、三歩と行かずに射程距離となるだろう。

('A`) 「いえいえ……もちろん、これだけではございません、よッ!」

距離を詰められれば、必然、周りに注意を向けているわけにはいかない。
釘打ち機での追撃はせず、回転の動きで今度は左腕を向ける。と、そこにはいつのまにか、

('A`) 「小型掘削機サイクロンッ!」
( ^ω^) 「!?」

ドリル状の凶器が、迎え撃つように、構えられていた。
布の中身がわからない今、不用意に近づく愚を冒すつもりは毛頭ない。
それは向こうも同じ事だった。

('A`) 「小型でありながら、破壊力に関しては超一級! コンクリートから人体まで、粉々にしてみせましょう!」

商品紹介は、同時に威嚇にもなる。
クローバー・クラブ協定により、誇大広告を禁じられた企業戦士の言葉は、
事実しか語られることはない。はったりの全く無い世界は、それはそれで言葉が有効となるのだ。

( ^ω^) 「くッ……!」

もくろみ通り、足を止めた。ドクオは心の中でのみ、うっすらと笑みを浮かべる。
相手を近づけたくなければ、ドクオはそれこそ、釘打ち機を連射していればよかった。
しかしながら、それが出来ない今、こうするしかなかった。

なぜ、連射できなかったか。

簡単だ。ショットマンには、釘を十本までしか入れておくことが出来ないからだ。
小型化に成功したが、弾層部位までは確保できなかった、というのがジェットマンの欠陥。
無論、連射機能のついた代物だ、あまり多く入れられすぎても釘の無駄打ちにしかならない。
しかしながら、広告戦争で、そのことが露見するのは少々、困る。

だからこそ、サイクロンの出番、というわけだ。
なに、釘の補充など、片手でやってもすぐだ、それまでの時間さえ稼げればいい。
だが、もくろみは、半分しか成功しなかった。
成功した半分は、単純な足止め。
失敗した半分は……釘の補充。

( ^ω^) 「そういえば……名乗っていなかったお」

しゅるり、と、男は布を取り払い始めた。
いや、取り払うというよりも、むしろ落としていき。
瞬きをするほどの間には、布の中身は、すっかりとその姿を表し、そしてそこには既に、

矢が番えられていた。

('A`) 「ナッ!? ンだよ、それは……!?」
( ^ω^) 「内藤弓具店よりブーン。紹介するのは、竹弓の剛」

布の下から現れたのは、冗談のような長さの弓。
身長ほどもあろうかという長さでありながら、重量はよほど軽いのだろう、
左手一本で支え、右手には皮製のグローブと、黒い矢が嫌な光を放っていた。

('A`) 「と、飛び道具……だったのか!?」

意表を突かれた、というよりも、これは反則だ。
なぜ、得物が弓矢なのに、こいつは距離を詰めたのか、理解できない。
いや、それ自体がハッタリだったのだろう。
言葉による嘘は、企業イメージを失墜させかねない。
だが、行動によるブラフならば……もちろん、対象外だ。

動揺が、精密であったはずのドクオの指から、自由を奪う。
自由度の落ちた指からは、釘の補充など出来るはずも無く。
指の隙間から、空しく零れ落ちる釘は、アスファルトの地面を無駄に叩いた。

('A`) 「くっそぉ!」

こうなれば、釘打ち機は捨てる。
もとより、射撃武器として作られたわけではない、商品だ。
弓矢相手に勝ち目があるとは思えない。

ならば、左のドリルに希望を託すしかない。
なに、接近してしまえば、所詮弓矢に出来ることなど……

( ^ω^) 「商品の紹介は……百聞は、一見に如かず、だお」
('A`) 「!?」

距離を詰めようと、ドリルの射程に入り込もうと、ドクオは飛んだ。
しかし、なぜか、ブーンも同じ事を、した。

('A`) 「バカか!? この距離なら、弓なんぞ撃てるはずが……」
( ^ω^) 「きみは、バカかお?」
('A`) 「っんだと!?」

強がりとしては、面白くも無い。
いっそ、その自慢の弓矢ごと、砕いてやろうかと、
ドリルを打ち出……せなかった。


('A`) 「………え?」


ドクオの腹に、深々と、黒い矢は、そびえ、その存在を主張していた。


何をしたか、と問われれば、弦を離した、としか言いようがない。
そう、ドクオは勘違いをしていた。弓は、近距離では使えない、と。
しかし、そんなわけがない。ゲームでもない現実で、そんなわけがない。

( ^ω^) 「……宣伝、終了だお」
('A`) 「……あ、あ……?」

一瞬前、何が起きたのか、今でもドクオは理解できていなかった。
自分は、確かにドリルを、胸めがけて、押し出した、はずだった。

だが、それが届くよりも先に。
直接、押し付けられた矢は、指を離すと言う一動作の後、すばやく、体にめり込んできた。
事実。それはただの事実。だが、理解できない。理解、したくない現実だった。

('A`) 「な、んで……だよ?」
( ^ω^) 「キミは、僕の弓を払うべきだったんだお」
('A`) 「! ……てめぇ、それじゃあ?」
( ^ω^) 「飛び込んだのは……罠、だお?」

弓を払ったところで、勝つことは出来ない。
しかし、有利に事を進めることができる。
それは解っていても、仮に、もう殺せる範囲に相手が居たならば。
……殺しに、行きたくなる。相手が、弓ならばなおさら。

('A`) 「マジで……ありえねぇ……」
( ^ω^) 「弓が、接近戦で役に立たないわけが無いお。これをもって、宣伝を終えますお」


崩れ落ちるドクオに、一瞥もせず、ブーンは静かに廃墟から、その姿を消した。



完?





この小説は2008年1月15日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:qH9y30GK0 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです
タイトルがなかったので、それっぽいタイトルを付けました


お題
・厨ニ設定
・ドリル


ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2010/01/02 11:42 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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