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( ・∀・)モララーはバーに行くようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




僕はいつも仕事帰りにあるバーに行くのがお決まりになっている。
バーボンハウスというそのバーがもつシックで落ち着ける雰囲気が僕に安らぎを与えてくれる。
仕事で疲れた体と心を癒すには持ってこいの場所だ。

今日もまたいつものように仕事帰りにバーボンハウスに立ち寄る。
薄暗い照明。壁は海の底を思わせる深いブルー。店内は狭く、カウンター席が9つあるだけだ。



20080121182303.jpg




僕はいつも座っている最奥の席をちらと見る。
だがすでにそこには先客がいる。
美しい女性だ。髪は明るい金髪で、肩胛骨あたりまで。ゆるやかな波をうっている。
肌は透き通るほどに、また触ると溶けてしまいそうに感じる。
端正な顔付きであるのに、化粧をしている様子はない。

これはお近づきになりたいと、鼻の下をのばして彼女のそばに座ろうとするが、その手前には男もののバッグが見える。
心の中で舌打ちをしながら、渋々僕は2,3席離れた適当な席に座る。
僕には彼氏もちの女性を口説く度胸はないし、するきもない。

( ・∀・)「やあマスターいつもにを頼むよ」

(´・ω・`)「かしこまりました」

常連の僕は「いつもの」で僕がなにを求めているか伝わる。
ぼくのいつものとは、角砂糖を2つ入れたコーヒー。
僕はバーなんかに出入りするくせに酒が飲めない。
だがこのバーはそんな僕にも飲めるおいしいコーヒーを提供してくれる。
ここで静かにコーヒーを飲むのが僕の至福の時だ。

( ・∀・)「ときにマスター、あの最奥に座っている女性のことだけど」と僕は彼女に聞こえないように話す。

( ・∀・)「彼女はやはり男連れなのかい?」

(´・ω・`)「ええ。なんだか冴えない男性とご一緒でした」

内心わかってはいたがやはりそうか。と僕は軽く落ち込み、またコーヒーをすする。
店内のトイレからすっと男が出てくる。
僕は思う。あぁ、これが例の男だろう。

見ると、なるほど、冴えない顔をしている。細く垂れた目。髪は所々に寝癖が見え、まったく手入れをしていない。
肌は最奥に座っている女性ぐらいの白さ。とても健康的には見えない。
男はそのまま女性の横の席につく。飲みかけのバーボンに口をつける。

ξ ゚⊿゚)ξ「長かったわね、ドクオ」

('A`)「ごめん、ツン。なかなかアレが出てくれなくてさ」

二人はお互いをドクオ、ツンと呼ぶ。ツンが下品よとすげなく言う。ドクオはそれにまたごめんと謝る。
二人の会話は淡々としている。表情を変えずに、餌を求める金魚のように口だけをパクパク動かす。
僕はそれが不思議に思えて、自然と二人の会話を聞いている。

('A`)「ツン、最後に食べたのはいつだい?」

ξ ゚⊿゚)ξ「そうね、2日前だったかしら」

('A`)「おなかはすかないの?」

ξ ゚⊿゚)ξ「いえ、まだすかないわ」

('A`)「2日なんてとても僕には耐えられそうにない。すごいねツン」

ξ ゚⊿゚)ξ「別に普通よ。あなたがすぐすきすぎなの」


僕には二人の会話がなにを意味しているのかまったくわからない。
どこか違和感を感じる会話だとは思う。
僕が二人の会話を聞きながらコーヒーをすすると、二人とは別の声が耳にはいる。

( ^ω^)「もしかして、モララーじゃないかお?」

( ・∀・)「そういう君はブーンじゃないか」

( ^ω^)「おっおっ懐かしいお!高校卒業以来だお!」

僕がブーンと呼ぶこの男は、高校の同級生だった男だ。
ブーンと僕はそれなりに仲がよく、高校時代はよく遊んだものだが、卒業からは疎遠となっている。
高校時代から彼は肥満体型であったがら今はぽっちゃり系といったところか。
柔和な表情は相変わらず、親しみをもって僕に接してくる。

( ^ω^)「なんだか良さそうな雰囲気の店があると思って入ったんだお」

そう言いながらブーンは僕の横の席に着く。

( ^ω^)「マスター、ウォツカをくれお!」

(´・ω・`)「かしこまりました」

僕とブーンは昔話に花を咲かせる。話をしながらも、僕は二人の様子が気にかかる。二人は相変わらずだ。
ブーンはウォツカを、僕はコーヒーを飲む。ブーンは段々酔いが回る。
ブーンの言葉は段々壊れたラジオのようになる。二人は相変わらずだ。

( ^ω^)「本当にうちの部長は頭がいかれてるんだお!どう思うおモララー!」

( ・∀・)「あぁ、まったく君の言うとおりだ」

僕はブーンの話に適当にあわせる。ブーンはなおも部長の愚痴を語る。
と、どこかで携帯電話の鳴る音がする。
無機質な着信音1はブーンの携帯から発せられている。
ブーンはだるそうに携帯電話を手に取り、見る。ブーンの顔色が変わる。

(;^ω^)「まずいお……家内からだお。ブーンは帰るお!」

そう言うや否や、ブーンは光の速さでバーをあとにする。
あの状態で帰れるのかと思う。
ブーンも行ったし、そろそろ僕も帰ろうかと席を立つ。勘定をする。

(´・ω・`)「モララーさん……彼の分の代金もお願いできますか」

僕はブーンのウォツカ代も支払う破目になる。
帰り際、僕は最奥の二人を見る。が、そこに二人はもういない。
いつのまにか帰ってしまったようだ。最後まで、あの二人はよくわからなかった。
僕は帰路につく。今度ブーンに金を返してもらおうと思う。


翌日、僕は仕事帰りにバーボンハウスに立ち寄る。
最奥の席を見る。今日は空いているようだ。僕は最奥の席に着く。

( ・∀・)「マスター、いつものを頼むよ」

(´・ω・`)「かしこまりました」

いつものように「いつもの」を頼む。僕は店内を見渡す。
今日はあの二人は来ていないようだ。
僕はコーヒーをすする。いつもと変わらない一日。昨日が特殊だっただけだ。

しばらくして店のドアが開く。
ちらと見ると、それは昨日の女性、ツン。そしてなぜかブーンの姿。
ブーンは僕に気づく様子もなく、ツンとともに僕と少し離れた席に着く。
僕は昨日のことを思い出す。ブーンは僕に金を支払わせた。返してもらおうと思い近付く。

( ・∀・)「やあブーン。昨日ぶり」

( ^ω^)「あっ……モララーまた会ったお」

( ・∀・)「ブーン、昨日君は勘定をせずに帰ったね。君のウォツカ代は僕が支払ったんだ」

( ^ω^)「そうだったのか。……ごめんおモララー、かえすお」

ブーンは財布を取りだし、昨日の代金を僕に手渡す。
その間、ツンは無表情で、ただ正面を見据えている。

( ・∀・)「ときにブーン、この女性は?」

( ^ω^)「ツンさんだお。僕の会社の同僚だお」

ツンは僕に無表情のまま会釈する。僕もまた会釈する。
僕は奇妙なちぐはぐさを感じる。
昨日、ブーンはなぜツンに、またツンはなぜブーンに気付かなかったか。
この狭い店内で。

( ・∀・)「そうか。それじゃあ僕はこれで。また今度ゆっくり話そう」

釈然としないままだったが、僕は自席に戻る。
もう大分店にいる。コーヒーも飲みきった。僕は勘定をし、帰り支度をする。

ξ ゚⊿゚)ξ「ブーン、彼は?」

( ^ω^)「高校時代の同級生だよ……お」

ξ ゚⊿゚)ξ「ふーん……というかあなた早く慣れなさいよ」

( ^ω^)「おっ、すまんお」

二人の会話が耳に入る。僕は店をあとにする。


( ・∀・)「ブーン……浮気かな」

僕は落ち込んでいる。
ブーンが妻以外の女性と良い雰囲気のバーにいること。
そしてその女性があの美しい女性、ツンであるということに。
そして思う。昨日の男、ドクオはツンにとってなんだったのだろうと。
あの淡々とした様子はすでに単なる友人同士といった枠を超えているように思える。

( ・∀・)「まさか……そんなわけないよな」

僕は自分の考えを否定する。まさかW不倫なんてことはないだろう。
ブーンは昔からリスクは犯さないやつだ。

( ・∀・)「僕はなにをやっているんだろうなぁ」

ブーンは結婚して、その上あんな女性と飲んで。
僕には昔から女っ気がない。ブーンがうらやましいと思う。
ため息をつきながら、僕は家路につく。





私は知っている。彼らの正体を。
いや、「彼ら」と言うべきか、そこまではわからない。

彼らは姿形を変えて、夜ごと私の店に訪れる。
彼らは気付いているだろうか。私が気付いているということに。

店のドアが開く。二人組の男性が入ってくる。
一人は常連のモララー。いつもコーヒーを頼む人だ。
もう一人は、最近来てくれるようになった男性。ブーンと呼ばれていたのを覚えている。

二人は店の最奥に位置する席に並んで座る。

( ・∀・)「マスター、コーヒーを頼むよ。……いつものように角砂糖を2つ入れて」

( ^ω^)「僕はバーボンを頼むお」

(´・ω・`)「……かしこまりました」




私は知っている。


私だけが知っている。



( ^ω^)「昨日はあぁ言ったくせに……早く慣れろお」

( ・∀・)「あぁ悪い。でもそれは君にもまた言えることだろう」




 彼らの正体を知っている。



       完






この小説は2008年1月19日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:PTUkCs5uO 氏



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[ 2010/01/02 11:39 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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