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1レス短編集 僕らの可能性は様々なようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ





20080105210227.jpg







―春の息吹―

 4月になったというのに、夜の空気はまだ冬のように冷たい。
 吐く息もまだ白く、春にはまだ程遠いようだ。
 車のヘッドライドが、夜の都会を明るく染める。
 その光は、まだこの街が眠らない事を示唆しているようだ。

 そんな街から少し離れると、桜街道につく。
 人気は全くといっていいほどなく、故に、暗く、故に、美しい。
 八分咲きの桜の花は、今まさに、生命を輝かせんとしていた。

( ^ω^)「うぅ……さみぃお……」

 一人の青年が、街道の中を歩み行く。
 首からは、一眼レフと思しきカメラをかけ、時折、この光景にシャッターを切る。
 そして、満足げな笑みを浮かべると、その場から立ち去らんときびを返す。
 瞬間、突風のような強い風が、走る。

 桜が、舞った。
 空一面を覆いつくさんとばかりに、淡い桃色の花びらが夜空へと昇華していく。
 この夜空に舞い散る桜花は、季節外れの淡雪のようで。
 この光景に、青年はシャッターを切ることすら忘れ、ただ、見入るばかりだった。

 気づけば、桜の殆どが散り落ちて、あとには紅葉を過ぎたような木々ばかりが、そこに立っていた。
 役目を終えた花びらは、淡桃色のまだら模様を地面に残した。
 そこには、先ほどまでの美しさはなく、そして、青年の姿も、忽然と消えていた。

 その美しさを保とうと思うのなら、人に見せてはいけない。
 人は、それ以上の美しさを、見つける事ができるのだから。





―ヴェイパー・トレイル―

 空を見上げ、ふと思う。
 どうして僕らは、空に憧れるのか。
 純粋だったあの頃、僕らの眼に写った空は、どのような光景に見えたのだろうか。

 出撃するたびに、僕は思う。
 僕は、生き残れるのだろうか?と。

('A`)「なあ、ションボ1、見えるか、敵の戦闘機が」

 戦争は、一体何を生むのだろうか。
 幾多の命が消え、憎しみ、悲しみ、怒りが、際限なく湧き出る、戦争は。

(*;゚ー゚)「ダメ!振り切れない!」

 誰かが、終わらせないといけない。
 終止符は、僕が打つ。


(´・ω・`) 「ションボ1、これよりミッションを開始する」

 この戦争を、憎しみを、悲しみを、怒りを、終わらせるために、僕は飛ぶ。
 空のずっと高く。長い長いヴェイパー・トレイルを引いて。





―憧れの存在―

 彼は、速い。
 自他共に認める、陸上界きってのエースランナーである。
 僕は、彼とは違う高校の陸上部に所属しているが、
 彼の脚に憧れを持つ人は、僕の高校の陸上部にも少なからずいる。
 いや、僕を含めて、殆どの短距離選手が、彼の脚に憧れている。

 100mの直線をたった10秒未満で駆け抜ける脚を持ち、
 その姿は、まるで獲物を追う猛獣のようで、素晴らしく完成されたフォームは、選手である僕らすらも魅了する。
 その引き締まった筋肉を見るたびに、僕の喉は口内から湧き出たつばをごくりと嚥下するのだ。
 それほどに、彼の姿は、素晴らしいのだ。

 僕は、記録会に出場するたびに、彼の姿を記憶に焼き付ける。
 何時の日か、彼を越えるために。
 たとえ、無理だとわかっていても、その衝動を抑える事は出来なかった。

 しかし、僕が乗り越えるはずの壁は、あっけなく崩れ去ってしまった。

 それは、不幸だった。
 誰もが、それを止める事は出来なかった。
 誰も、癌という病魔から逃げ切る事など、出来ないんだ。

( -ω-)「…………」

 酸素呼吸器を口につけ、髪が抜け切った頭に付けられた数々のチューブは、
 一種のグロテスクささえ感じさせる。
 あの、獲物を追う猛獣のような姿をしていた彼の、なんとも痛々しい姿に、 僕は、同情よりも哀れみを感じた。
 もはや、彼は、走れない。

 でも、彼が消えたおかげで、僕はこうして表彰台の真ん中を独占する事が出来るのだ。
 しかし、彼がいてくれたからこそ、僕は表彰台の真ん中にいられるのではないだろうか?
 彼という目標が合ったからこそ、僕はこうしていられるのだろう。
 そして、次は僕が、誰かの壁となり、目標となろう。
 それが、生きている証となるのだと、心の中で、そっと思う。




―意義と意味―

 戦場、という響きに、かっこよさを感じる人間は、少なからずいるだろう。
 だが、戦場の跡地、に興味や関心をそそられる人間は、少ない。

/ ,' 3「……」

 この老人、荒巻も、1週間前の戦闘で住居を失った人間の一人である。
 老人が立っているこの場所も、建物の破片や薬莢が散乱しており、
 とてもじゃないが人がすめる場所ではない。
 老人は、考えていた。

/ ,' 3「ワシの命も、ここまでかの……」

 ふと、遠くから子供の声が聞こえた。
 老人は、はて、と、不思議に思いつつも、声がする方向へと向かった。

/ ,' 3「ワシ以外には、もう誰もいないと思ったんじゃが……」

 そして、老人は息を飲んだ。

 老人が見たのは、壁に添えつけられた噴水からマグカップに水を汲む、まだ年端も行かぬ幼い少女であった。
 こんな、荒れ果て、希望も何もかもなくなってしまったこの地で、必死に生きようとする少女。
 老人はそれに、何を見たのか、ただ、涙を流し、少女の元へと歩み寄った。

从'ー'从「あ!荒巻村長だ!」

/ ,' 3「譲ちゃん……どうして此処に?」

从'ー'从「お母さんとお父さんを待ってるの!」

/ ,' 3「……じゃあ、お母さんとお父さんが帰ってくるまで、しばらくワシの家に来ないかい?」

从'ー'从「うん!行く!」

 老人は、あと10年は、生きなければならんかのう、と、そう思った。





―冷たいぬもり―

 世の中は、何て無常なのだろうか。
 こうして、今、一人の人間が死に絶えようとしているのに、人々は全くそれを気に止めようとしない。
 まるで、それに関わるとろくでもないことが起きる、自分には関係のない、といわんばかりに。

 雨が、ブーンの体から血と体温を奪い取っていく。
 どうしてこうなったかは、ブーン覚えてはいない。
 ただ、目の前に迫る死の恐怖に、怯えるだけだった。
 雨の中に響く、足音と嗚咽。
 気がつけば、ブーンの傍らには一人の少女がいた。
 その少女は、傘もささず、ただ、目を擦りながら、泣いていた。
 迷子なのだろうか、と、ブーンは思った。
 そして、ブーンはこの少女も自分と同じ境遇なのだと、感じた。
 助けて欲しい、なのに、誰も手を伸ばしてくれない。

 ブーンは、もう余力の残っていないその手を、少女に差し延ばした。

 人が、血だらけになって倒れている。
 でも、私には助ける事ができない。
 だから、私は泣いている。
 でも、他の人は助けようとしない。
 なんで、他の人は助けてくれないのだろうか。
 ふと、その血だらけの人が、私に手を差し伸べてきた。
 私は、その手を掴んだ。ぞっとするほど、その手は冷たかった。
 でも、この人は自分が死にそうになりながらも、私のことを心配してくれているのだ。
 この人の心は、この雨の中でもしっかりと感じれるほど、温かかった。


 遠くで、救急車のサイレンが鳴る。
 でも、それは、遅すぎる、サイレンだった。




―恋は突然―

 まあ、これは一目ぼれっつーのかね。
 俺はそいつを見たとき、背筋に電撃が走ったかと思ったよ。
 もうクールっつーか素直っつーか、クールビューティーっつーのはこんな感じなのかね?
 いや、俺が言いたいのはそれじゃあない。
 彼女にゃあ彼氏がいないんだと!もう狙うなら今しかないっしょ。っつー話で。

川 ゚ -゚) 「で、何であんなところで全裸になって倒れてたんだ?」

 で、コイツが俺が一目ぼれしたっつーやつだ。名前は素直クーって言うらしい。
 いやー、本当にいいねえ!俺が見た女の中で一番だぜこいつぁ!

(;'A`)「いや、酒によっててつい……」

 っつーわけで、俺は豚箱にいるわけだが。
 いや、でもやっぱりあの人はかわいかったなー。
 例えあの人に彼氏が出来たとしても、この想いは簡単に消えないだろう。うん。
 しかし、此処で問題が一つできちまった。
 相部屋の人間が、

(´・ω・`) 「やらないか?」

 俺に一目ぼれしちまったらしい。





この小説は2007年11月22日から2007年11月23日にかけてニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:No9GlcVc0 氏(ID:gqReiG/R0 氏)
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです
スレタイ、各話の冒頭に適当にタイトルをつけてみました
表紙の絵は、2話目をイメージしたものです


お題
・この夜空に舞い散る桜花は、季節外れの淡雪のようで
・空のずっと高く。長い長いヴェイパー・トレイルを引いて
・その引き締まった筋肉を見る度に、僕の喉は口内から湧き出た唾をごくりと嚥下するのだ
・老人が見たのは、壁に添えつけられた噴水からマグカップに水を汲む、まだ年端も行かぬ幼い少女であった
・雨の中に響く足音と嗚咽
・例えあの人に彼氏が出来たとしても、この想いは簡単に消えないだろう


ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2010/01/02 10:30 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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