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無題

※性的な意味で閲覧注意
250 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/14(木) 17:51:37.56 ID:Bz7Qbchz0

こつ、こつ、こつ、こつ、

暗い路地裏に、足音だけが響いている。

こつ、こつ、こつ、こつ、

銜えていた煙草をそこいらに放り捨てた。火事の心配はいらない。
先だってまで降り続いていた雨のせいで、火などとうに消えている。

こつ、こつ、こつ、かつ。

狭い路地裏に響く足音に、違和感。
硬いコンクリートの壁に跳ね返っていたそれまでの音とは違う、
少し、ほんの少しくぐもった反響音。

かつん。

足を止めた。



252 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/14(木) 17:52:55.63 ID:Bz7Qbchz0

从 ゚∀从「よお」

訝しみ上げた目線の先の薄暗がりで、人が壁に凭れかかって立っていた。
長い、ほとんどざんばらに近い髪で、女性だとわかる。

しかし栄養状態は世辞にも良いとは言えない。肌は青白く頬はこけ、
必要な分の筋肉さえ、生きるため使った痩せた足。

こんなにも薄っぺらな身体にも足音は潜り込み留まるのか。
微かな感嘆を覚えた。

从 ゚∀从「なあ、あんたどこへいく」

裸足に黒い薄手のキャミソール一枚。問いかける女の声は震えている。
ゆきずりの夜鷹に教える義理などない、そう呟いた。

从 ゚∀从「そりゃそーだわなぁ、義理ァ無ぇ」

なら、その足を退かしてくれ。

从 ゚∀从「嫌だねェ」



254 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/14(木) 17:53:48.80 ID:Bz7Qbchz0

冷たい壁に背を預け、片足で向かいの壁をつっかって、女は即座に返事を返した。
俺は顎に手をやり、すこしばかり考えをめぐらした。
女の頼りない足は無理に退けると折れそうで、道の狭さも邪魔をする。
さて、どうしたものか。

考え込む俺に、女はまた声をかけてきた。
今度の女のかすれた声には、ひどく真剣な響きがあった。
まるで、自分自身のことを慮ってでもいるかのように、真摯に女は言葉を紡いだ。

从 ゚∀从「そこにゃ絶対に行かなきゃならねェのかい」

ああ。

从 ゚∀从「代わりはきかねぇのかい、どうしてもいくのかい」

ああ。

女は複雑な表情で俯く。
そう言うと思っていた、という確信と、それだけは言って欲しくなかった、という怯え。
相反する二つの感情が、女のひそめた眉にあらわれていた。

从 ゚∀从「なあ」

从 ゚∀从「せっかくこんな辺鄙なところで会ったんだ、人助けだと思ってさ」

从 ゚∀从「あたしと寝ちゃあくれねぇかィ」



255 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/14(木) 17:54:24.22 ID:Bz7Qbchz0

女は痛んだ赤毛をばりばりと掻き毟り、何かを振り切ろうとするかのようにそう告げた。
みすぼらしい身なりの女、誰もとおらぬ路地裏で、一人で客を待つ女。
嗚呼。

俺は急いでいるんだが?

从 ゚∀从「あたしはあんたのいきたいところがどこか知ってる、それじゃだめかい?」

俺が自分と寝ることをまるで疑わない女の姿は、どこか哀れで滑稽で、
そしてなぜだか既視感を覚えた。

言われるがままに女の後をついて行った俺は
黄ばんだ壁紙の剥がれかかった、粗末な部屋に招き入れられた。

部屋の真ん中にたった一つ置かれたベッド、その不似合いなほど白いシーツの上に女を押し倒す。
女は喉の奥でわらい、慣れた仕草で両腕をこちらの首に回した。

骨の目立つ頬に手を添え、唇を貪る。
わずかな胸の膨らみを愛撫し、存在を主張する熟れた突起を手のひらでかるく押し潰す。
女は歓びにちいさく声を上げ、くすぐったそうに頬をすりよせた。

女の冷えた太腿がそっと両足の間に差し入れられ、優しく押し上げてくる。
それらの仕草はあまりにも自然だった。まるで、こうして交わるために生まれてきたかのようだ。



258 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/14(木) 17:57:23.32 ID:Bz7Qbchz0

キャミソールを捲れば、外気に晒された女の秘所は既にしとどに濡れていた。
茂みの奥、青白い太腿を白い液体が滑り落ちてゆく様に目を見張る。
脱がす手間が省けたろう? 女は蟲惑的に笑う。

剥き出しの感覚器官、刺激に弱いそれを指でなぞれば、
女は堪えきれない、といった風情で喘ぎ身を震わせた。
ああ、彼女の胸の辺りにわだかまる布地と肌との濃淡差、コントラスト。その素晴らしさ!

待ちわびるように女の両足が持ち上がり、着衣全て脱ぎ去ったこちらの腰を挟む。
そしてそのまま、互いの理性の檻をそっと抜け出し、背徳と焦燥と悦楽と狂気に身をゆだねた。



260 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/14(木) 17:58:59.51 ID:Bz7Qbchz0

俺は事後の心地よい倦怠感に浸りながら、
しわくちゃになったシーツの上で、湿気た安物の紙巻を取り出した。

一本を女へと差し出し、そろそろ行かねばならない、と女の耳元へ囁く。
女は部屋の奥から真新しい濡れたタオルを持ってきて体を拭いてくれた。

こちらの体から情事の名残がすっかり拭い去られたと見ると、女はそのままベッドへ寝そべった。
見送りに出る体力はないのだろう。コートのポケットから探りあてた、
幾枚かの紙幣をそっとベッドの端に置いて、女に背を向ける。

从 ゚∀从「出会った路地をまっすぐ行って、三個目の曲がり角を右に。
      そして最初の曲がり角を曲がってすぐのゴミ箱の下、そこから隠し通路がのびてる」

背中に掛けられた言葉に右手をあげて応え、俺は部屋を後にした。
振り返ることはしなかった。



263 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/14(木) 18:00:21.69 ID:Bz7Qbchz0


こつ、こつ、こつ、こつ、

女の言ったとおりに進み、見つけたゴミ箱の下には梯子があった。
ためらわず体を穴に入れ、下へと降りてゆく。
そう降りないうちに通路に出たので、そのまま道なりに歩いていくことにした。

こつ、こつ、こつ、こつ、

いくつかの扉を通り過ぎた。おそらくもう随分使われていないのだろう、
扉の前には酷く埃が積もっている。

こつ、こつ、こつ、こつん。

どれほど歩いただろう。突然、通路のずっとずっと向こうに灯りが見えた。
足音を殺し、ベルトに吊り下げた得物に手をやりながら近づく。

どうやら灯りは開いた扉の内側から漏れてきているものらしい。
さらに距離を詰める。
開いた扉の真上には、看板がかかっていた。斜めに傾いだそれに彫られた文字は、



264 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/14(木) 18:02:06.73 ID:Bz7Qbchz0

(  )「ジャンク屋」

目と耳の両方から言葉が入ってきて、身構えた。辺りを見回すが人影はどこにも見当たらない。

(  )「入ってこいよ、何にもしねえから」

また声。しゃがれて聞き取りにくい、覇気のないそれは部屋の中から響いてくるようだ。
罠かもしれない、と油断無く周囲を睥睨する。

(  )「そんなきょろきょろするない、入って来いっつってんだろ」

ほいほい入って撃たれない保証があるとでも?

(  )「疑りぶけーなあ。どうせ先に進むんなら、扉の前通らねえと駄目だろが。
    ほれ、首傾げんな唾飲むな。お前の動きはこっちにゃ筒抜けなんだよ」

(  )「大体殺るつもりなら声なんざかけずにズドンとやらあな、いいから入って来い」



265 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/14(木) 18:03:53.53 ID:Bz7Qbchz0

どこかに隠しカメラでも仕掛けてあるのだろうか、こちらの動きは全て把握されているらしい。
一応の保険として銃を構え、入り口に立つ。
すると目の前に広がったのは、壁一面に掛けられた木製の人形の姿だった。
年恰好も種類も様々な人形たちの目は全て、入り口へと向けられている。
一瞬、声を出すことを忘れてしまった。

真紅のドレスを纏ったうつくしい緑の瞳の少女、スーツを着て懐中時計を持った兎。
大きいもの、小さいもの、美しいものから奇妙なものまで、一目見ただけでは数え切れない。

('A`)「圧巻だろ、うちのガキ共」

部屋の真ん中に置かれた大机、その向こうに小さな小さな男が座っていた。
男は手元の部品に目を落としたまま、誇らしげにそう呟いた。
低く重苦しい声から創造していた姿とのギャップに、眩暈を覚える。

('A`)「じろじろ見てんな、金取るぞ」

ぱりっとした白い、フリルをふんだんにあしらったシャツを着て、どす赤いリボンタイを結んだ男。
服装からは趣味の悪さが、話し方からは人を嫌う捻じ曲がったその性質が滲み出ている。



267 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/14(木) 18:05:41.11 ID:Bz7Qbchz0

男の背丈はおそらく、こちらの胸に届かぬぐらいだろう。
だらしなく開きっぱなしの口からはすきっ歯が覗き、
また指は体に似合わず酷く長く節くれだって蛙のよう。

こちらとて長居をするつもりはないさ。呼び止めた理由は何だ。

問いかけると、男は額に浮かんだ汗を拭い拭い、ようやく顔を上げた。

('A`)「別に深い意味なんざねーよ、見たことある顔だったんで声かけただけだ」

俺はお前を知らない。

('A`)「直接会ったのは初めてだぁな。そんなことより、この先に進むのは止めといた方がいいぜ」

むかむかする。知らないうちに観察されていたらしいことも、
俺以上に俺のことを知っていると言わんばかりの口振りも。

それに、ここはとても気味が悪い。
この空間に取り込まれてしまいそうだ。



269 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/14(木) 18:07:38.83 ID:Bz7Qbchz0

('A`)「あのハインにも止められたろ」

ハイン?

('A`)「路地で客とってたやつ」

ああ、あの。

('A`)「どうしてもってんなら行きゃいいが、俺は善意で忠告してんだぞ。
    俺はここで、お前みたいのをさんざ見てきてんだからな」

俺はきびすを返し、足早に部屋を出ると扉を閉めた。
男はもごもごとまだ何か言っていたようだが、扉に遮られて声も灯りも届かない。

急ぎ足で道を進む。男に会ってから、嫌な予感ばかりが浮かんでくる。
俺は頭を振り、不吉な想像を振り払おうとした。

この道の先に何があるのかを、俺は知らない。
ただずっと、ずっと何かに呼ばれていた。
そして俺を呼ぶ何かは、確かにこの先にいるのだ。それだけはしっているのだ。

特に変化のない灰色の一本道を、たった一人で進む。
切れかけた電球が明滅する。時間の感覚もいつしかなくなり、俺はただただ無心に足を運ぶ。



271 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/14(木) 18:09:16.46 ID:Bz7Qbchz0


こつ、こつ、こつ、こつ、

こつ、こつ、こつ、こつ、

どれほど歩いただろう。
いつの間にか俺は、大きな灰色の扉の前に立っていた。

今度の扉には、ノブも看板も何もない。
けれど俺は、慌てず騒がず扉の右端の、埃を被った出っ張りへと歩み寄った。
分厚い埃を払い落とし、現れた電子パネルの光に誘われるがまま、
そろそろとパネルへ手をのばす。

■ ■ ■ ■、

自分の指が、自分の知らない数字を選ぶ。
それはおかしなことのはずだ。

けれど、不思議と違和感はない。
この数字は正しい、という自信さえある。

■。

震える指で、最後の数字を入力する。

はたして、扉は開いた。



274 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/14(木) 18:10:17.27 ID:Bz7Qbchz0


( ^ω^)「おっ?」

中に居たのは、真っ白な白衣の研究員。
名前は確か、ブーン。金の巻き毛の恋人が居た。

あれ?

(^ω^ )「センセイ、例の故障機が帰ってきたっぽいですおー」

おかしい、おかしい。何で俺はこいつを知っている?

(^ω^ )「センセー、ちょっとー?」

( ^ω^)「ったくもう、肝心なときに役にたたねえジジイだお」

だだっ広い研究室の奥へ向かい、何度も呼びかけていた男がこちらへと向き直る。
顔に贅肉がついて、まるで笑っているようだ。

男は俺のつま先から頭までを値踏みするように眺めやり、口を開いた。

( ^ω^)
「ふう。改めて」

( ^ω^)「お帰りだお、ハイン」



275 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/14(木) 18:10:59.16 ID:Bz7Qbchz0

ハイン?
俺が?

( ^ω^)「記憶端子までイカレてんのかお。ったく、一度しか言わないからしっかり聞いとけお」

( ^ω^)「お前は、世界に約二十万機存在するH.ri型セクシャルヒューマノイドのうちの一体」

( ^ω^)「一部の回路に致命的な欠陥が見つかったから、回収廃棄作業班が出動。
       しかし壊されるのを恐れ逃げ出したため、帰巣プログラムを発動した、と資料にあるお」

う、嘘だ。

( ^ω^)「嘘じゃねーお。じゃあお前、子供の頃の記憶があるかお?
       母親の腕に抱かれた記憶は? 父親に頭を撫でられた記憶は?
       所詮壊れかけの空気嫁の分際で、ナマ言ってんじゃねーお」

目の前の男が、何を言ったのかわからない。
開いた口が、塞がらない。

俺が、キカイ?

嘘だ、やっぱり嘘だ。
だって俺はこうして生きてる。ちゃんと生きてるし心だってあるんだ。

そうだ、俺じゃなくてあいつのことだろう。ここへ来る途中であったんだ、
俺とそっくり同じかおのみすぼらしい女、きっとあいつが、


そっくり、同じ?



276 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/14(木) 18:11:25.48 ID:Bz7Qbchz0

( ^ω^)「……」

磨きあげられたリノリウムの床に写った俺の顔。
痩せた足、白い肌、今しがたかきむしったせいでばさばさになった長いながい赤い髪。

从 ∀从「う、あ?」

ああああああああ嗚呼あああぁあああああ嗚呼あああああああ!!!!

違う違う違う違う違う!
俺はヒトだhito人ひとahldfkhvi ngyrがえおヴいlhzんjlz亜dfbえwa?!!!

( ^ω^)「往生際の悪いポンコツだお。そんなに言うなら証拠見せてやんよ」

男が指を鳴らした音が部屋に響き渡る。

一瞬の静寂。そして、部屋の奥から


こつん。足音。



278 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/14(木) 18:11:49.04 ID:Bz7Qbchz0

こつ、こつ、こつ、


足音はどんどん増えていく。


こつ、こつ、こつ、こつ、こつ、

こつ、こつ、こつ、こつ、こつ、こつ、こつこつ、

 こつ、こつ、こつ、こつこつ、こつ、こつ、こつこつこつ、

  こつこつこつこつこつこつこつこつこつこつこつこつこつこつこつこつこつこつ


从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从

从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从

从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从

从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从 从 ゚∀从




( ^ω^)「ぜんぶ、お前だお」




[ 2008/08/14 19:12 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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