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('A`)は川 ゚ -゚)と暮らすようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ

※この作品は直接的な性的描写があります
  苦手な方はご遠慮ください




 話があるんだけど良いかな、と
昼休みになったところでメールが届いた。
送り主はショボンだった。

('A`)「同じ講義室で授業を受けているのだから、
   直接話しかけてくれば良いのにな」

 メールに目を通した僕は、単純にそう思った。

 ショボンの方に目をやると、
彼は僕に向かってなかなか良い笑顔をみせている。
ま、どうでも良いか、と僕は思い直した。

('A`)「先に飯食っといて良いよ」

 隣に座るジョルジュにそう言い残し、僕は席を立った。
ショボンも同時に席を立ち、出口に向かって歩いていく。
僕は彼についていくことにした。
  _
( ゚∀゚)「どこ行くんだよ」

 背後からジョルジュにそう訊かれたが、
行き先は僕にもわからない。

('A`)「さあ? どこだろう」

 一度振り返って肩をすくめてみせると、僕は教室を後にした。


1_20100102101244.jpg



 僕はショボンに話しかけることなくその後に付いて歩いた。
何か話すべきことがあるのなら、彼の方から話しかけてくるだろうと
思ったのだ。

 ショボンが僕に話しかけてくることもなく、
僕たちは黙々と廊下を進んだ。
階段を上がり、さらに奥へと進んでいく。

 1304教室の前でショボンはその足を止めた。
そして僕の方に顔を向けた。
先ほど見せた笑顔はどこへやら、緊張しているのか
その表情は強張っている。
ドアノブを握ったまま、しかしドアを開けようとはしなかった。

('A`)「ここに何かあるのかな」

 いつまでもそのままでいるショボンに僕はそう訊いた。
まあね、とショボンは頷いた。

 神経が繋がっていないかのように動くことのなかった手首を
ようやく回し、ショボンはゆっくりとドアを開ける。
教室内は薄暗かった。

 午前中の授業で使われることがなかったのだろう。
1304教室はひどく冷えていた。

('A`)「寒いな」

 僕は自分の体を抱き、ぶるると震えてみせた。
まだ表情の固いままのショボンが
苦笑いのようなものを口の端に浮かべる。

(´・ω・`)「ごめんよ。2人になりたかったんだ」

 別に良いけど、と僕は笑ってみせた。

('A`)「どこに行くか知らせてくれれば、
   ちゃんとコートも持ってきたのに」

(´・ω・`)「僕の着るかい?」

 ショボンは本気で言ったようで、
実際に着ているコートを脱ぎかけた。
僕はあわててそれを制す。

('A`)「いや、いいって。
   僕はこのくらいじゃ死なないよ」

 それは良かった、とショボンはぎこちなく笑った。

 晴れているとはいえ、太陽の見えない教室の窓から
射し込む光は十分なものとは言いがたい。

('A`)「電気つけようか?」

 スイッチに近い位置に立っている僕はそう訊いた。
ショボンは首を横に振る。
そう、と僕は手ごろな椅子を引き、腰掛けながら呟いた。

('A`)「で、何?」

 うん、とショボンは口篭もる。
とりあえず座ったら、と僕が勧めると、彼は素直に従った。

 僕は頬杖ついてショボンの様子を見守った。
こういう場合、彼が話しやすいように会話をしながら
空気を読んでやるべきなのかもしれないが、
僕にはそうした人間性というものが欠落している。

('A`)「ま、話したければ話すだろう」

 考え得る最悪の事態となっても、僕の昼飯が抜かれるだけだ。
僕はことの成り行きを傍観することにした。

 どれほどそうしていただろう。
僕の頭部を支える右手がしびれかけてきたころになってようやく、
実は、とショボンが口を開いた。

(´・ω・`)「実は、君のことが好きなんだ」

 僕はしばらくそのままショボンの顔を眺めていた。
僕への告白を済ませた彼は、
やっとのことで任務を遂行したスパイのように満足そうに大きくひとつ息を吐き、
この寒さにも関わらず額ににじんだ汗をハンカチで丁寧に拭き取った。

 僕は何の反応も示さない。
やがて、彼は不信と心配の入り混じった表情で首を傾げた。

(´・ω・`)「聞こえなかった?」

('A`)「いや、聞こえた」

 僕はショボンにそう言った。
そして、その他には何も言わなかった。

(´・ω・`)「……で?」

 しばらく経った後、ショボンは僕にそう訊いた。
僕はそれをそのまま彼に返す。

('A`)「で?」

 ショボンは僕にどうして欲しいわけ、と僕は訊いた。

 そんなこと訊くんだ、とショボンは言った。

(´・ω・`)「もちろん僕は、僕と付き合って欲しい」

('A`)「今でも付き合いはある方だと思うけど」

(´・ω・`)「そうじゃなくてさ」

 恋人同士になりたいんだ、とショボンは言った。
恋人同士って、と僕は訊く。

('A`)「僕とセックスしたいってことかな」

(´・ω・`)「うん、まあ、それはそうだね。
     でも、もちろんそれだけじゃあないよ。
     僕は君と、もっと深く関わり合いたいんだ」

 ショボンは僕の目を見てそう言った。
情熱の炎が燃えている。
位置によっては、僕は手を握られていたかもしれない。
頬杖ついてて正解だった。


 悪いけど、と僕は言った。

('A`)「そういうのは無理だな」

 ショボンの情熱の炎がしおしおと消えていくのが見て取れた。
ショボンはがっくりと肩を落とし、力なく僕から目を逸らす。

(´・ω・`)「そっか。残念だよ」

('A`)「うん。僕も残念だ。少し申し訳ないな」

 ショボンが嫌いなわけじゃないからね、と僕は言った。
実際僕はショボンが嫌いなわけではない。
ただ、彼に恋人と呼ばれたり、
彼とセックスするというのが受け入れられないだけである。

 ショボンは涙目になりながらも少し笑った。

(´・ω・`)「フラれたところで訊くけどさ、
     ジョルジュと付き合ってるってのは本当なの?」

 ひょっとしたらそのせいもあるのかな、とショボンは訊いた。
それを聞いた瞬間、僕は吹き出してしまった。

('A`)「ごめん、ツバかからなかった?」

 なんでそうなるんだよ、と僕は笑った。

('A`)「ジョルジュとはただの友達だよ。
   仲は良いかもしれないけれど、彼とセックスしたいとは思わない」

 僕が1201教室に戻ると、
教室内の生徒たちはあらかた移動を済ませた後だった。

 ぽつぽつとその場で昼食を取っている生徒たちに紛れて、
ひとりだけ何も食べずに腕を組んでいる男がいる。
ジョルジュだった。

 ジョルジュは僕が帰ってきたのに気づくと、
おせーよ、と舌打ちした。
  _
( ゚∀゚)「お腹と背中がくっついちまうじゃねーか」

('A`)「ごめんごめん。先に食べてても良かったのに」
  _
( ゚∀゚)「そういうわけにはいかねーだろーが」

 ショボンの告白を受けた直後だからか、
僕はその先何を言われるだろうかと少し身構えた。
  _
( ゚∀゚)「この寒い日に冷たいパンを一人で食っちまったら、
    俺は凍え死んじまうよ」

 ああ寒い、と腕まくりをしているジョルジュは
わざとらしく身震いしてみせた。

 僕は笑ってジョルジュの隣に腰掛ける。
じゃ、食うか、と僕は言った。
おう、食うさ、とジョルジュは答えた。

 この教室からは太陽が見えるんだな、と窓を眺めて僕は思った。

 3コマの講義を受けた僕がアパートに帰ると、
そこにはやはりクーがいた。

2_20100102101244.jpg



 クーは僕が帰っても挨拶ひとつよこさずに本を読んでいる。
彼女が何も反応を示さないのに僕から話しかけるのはしゃくなので、
僕はしばらく関心のないふりをした。

 僕は洗面所に向かってハンドソープで手を洗い、
口をゆすいだ後うがいを2度3度と行った。

 鏡を見てみると、細い首の上にいつもの僕の顔が乗っている。
ショボンはこんな顔のどこが気に入ったんだろう、と
僕は少し考えた。

('A`)「あるいは外見に惚れたのではないのかもしれない。
   外見よりも内面というやつだ」

 だとすると、ショボンの趣味はいっそう悪い。
そんなことを考えると、僕の口元が緩んでいく。

 部屋に戻ると、クーが僕を見ているのに気がついた。

川 ゚ -゚)「何がおかしいんだ?」

 もしくは、何か良いことでもあったのか?
クーは僕にそう訊いた。


('A`)「ショボンに告られた」

 僕はクーにそう言った。
そうか、とクーは無表情に頷いた。

 クーはほとんどその感情を顔に出さないが、
僕は彼女との長年にわたる共同生活の賜物として
そのかすかな感情を読み取れるようになっている。

 クーがこの話に興味をもっていることが僕にはわかる。
だから、僕は話を続けることにした。

('A`)「おまけに、僕はどうやらジョルジュと噂になっているらしい」

 ほう、とクーは小さく笑った。

川 ゚ -゚)「ジョルジュとか。君たちは仲が良いからな」

('A`)「嬉しいか?」

川 ゚ -゚)「別に」

 ただ、興味深くはあるな、とクーは言った。

('A`)「ジョルジュはお前のことが好きなんだぜ」

 僕はクーにそう言ってみた。
僕が常々感じてきたことである。

 知っている、とクーは無表情で頷いた。
これは本当に興味のない顔だな、と僕は思った。

('A`)「クーはジョルジュのことが好きじゃあないんだ?」

川 ゚ -゚)「別に。仲は良いかもしれないが、
     彼とセックスしたいとは思わない」

 僕がショボンに言った文面が再現されたので、
僕は少し面白くなった。

('A`)「僕は、ジョルジュは良い男だと思うけどな」

 だから、冷やかすようにそう言った。

川 ゚ -゚)「それならドクオが付き合ってやれば良い。
     恋愛もセックスも思いのままだ」

 クーは吐き捨てるようにそう言うと、再び視線を本に落とした。


 翌朝、僕はいつもより早起きすると、
いつもより念入りに支度をして大学へと向かった。
1限目が実験だからだ。

 その授業が特別面白いというわけでもなく、
また特別大変なものというわけでもない。
クラスは5人ほどの班に分けられ、その班ごとに実験を行うので、
特別僕が気張らずともそつなく進められるのだ。

 僕の班にはツンがいた。
それが僕の早起きの理由であり、
また僕が気張らずとも実験が進められる原因である。

 残り3人の男たちは、我先にツンに良いところを見せようと
がんばるのである。
ツンはとてもかわいらしい。
彼らと同じく、僕もツンのことが好きだった。

 ただ、僕は彼らと少し違っている。
実験に精を出してアピールしようとするのではなく、
彼らがそうしたアピールをしている間にツンと話す時間を手に入れ、
その時間の中で仲良くなっていこうと僕はしていた。

 なにも僕たちが実験に非協力的というわけではない。
実験内容が教授から告げられ方法を提示されると、
僕たちも一応は道具集めに出かけようとする。

「あ、そのままで良いよ」

 しかし僕たちはそう言われ、動く理由を奪われるのである。

「そんな面倒なことなんて俺たちがやってやるからさ、
 ちょっとは俺たちのことも好きになってよね」

 その言葉はツンに対してはそう届くのだろう。
そして僕にはこう届くのだ。

「お前はどうでも良いんだからさ、大人しくそこに座ってろよ」

 彼らの制止を振り切ってまで
ノギスや曲線定規を探しに行くほどの勤勉さは僕にはなく、
その甲斐あってか、僕は少しずつツンとの親密さを増していた。


 この日、僕は彼氏の存在をツンからはじめて知らされた。

('A`)「あ、彼氏いたんだ?」

 僕は間抜けな声でそう訊いた。
ツンは恥ずかしそうに頷いた。

 途端に態度を変えたと思われてはならない。
僕は平静を装った。

('A`)「この学校の人?」

ξ ゚⊿゚)ξ「うん。学部は違うけどね」

('A`)「じゃあ、名前を聞いても知らないだろうね」

ξ ゚⊿゚)ξ「そうね。内藤っていうんだけど、
      もちろんあんたは知らないわよね」

('A`)「流石に知らないな。長いの?」

ξ ゚⊿゚)ξ「高校からだから、もう2年くらいかな」

 ふーん、と僕は曖昧に頷いた。
じゃあ処女じゃないだろうな、と下品な想像をする。

ξ ゚⊿゚)ξ「あんたはいないの?」

 そんな想像をしていたときだったので、
僕は突然の質問にうろたえた。

('A`)「恋人?」

 やっと出てきた僕の言葉は、答えの決まりきっている質問だった。
そうよ、とツンは頷いた。

('A`)「いないよ」

ξ ゚⊿゚)ξ「へー。そうなんだ」

 ちょっと意外ね、とツンは言った。

ξ ゚⊿゚)ξ「あんた、モテそうなのに」

 そんなことはないよ、と僕は否定した。
女の子の言う『モテそうなのに』が
どれほど当てにできないかくらいはわかっているつもりだ。

('A`)「ああでも、昨日告られたな」

 男に、と自虐的に言うと、
ほらやっぱりモテてるじゃない、と僕はツンに笑われた。


 その翌日、学食でカレーを食べようと昼休みに食堂に行くと、
ジョルジュが僕を待っていた。
  _
( ゚∀゚)「うーす。一緒に食おうぜ」

 僕は頷き、ジョルジュと一緒に
カレーコーナーに作られている長蛇の列の最後尾についた。

 カツカレーにするかコロッケカレーにするかと悩んでいると、
聞いたぜ、とジョルジュが話しかけてくる。
  _
( ゚∀゚)「男に告られたんだって?」

 僕は小さく息を吐き、ジョルジュに目を向けた。
ジョルジュはとても耳が早い。

('A`)「そんなこと、誰から聞いたんだ」
  _
( ゚∀゚)「ツンからだ」

 あ、でも俺は特別あいつと仲良いわけじゃないぜ、と
ジョルジュは弁明するように付け足した。
誰にも言っていないつもりではあるけれど、
あるいは僕のツンへの恋心に気づいているのかもしれない。


 下世話な話だな、と僕は小さく呟いた。
  _
( ゚∀゚)「で、その告白はどうなったんだ?」

 ジョルジュが畳み掛けるように訊いてくる。
そんなのどうでも良いじゃないか、と僕は答えた。
  _
( ゚∀゚)「どうでも良かねーよ」

 俺たちの接し方が変わるかもしれないだろ、と
ジョルジュは強引な理論を展開した。
こうなったジョルジュには誰も敵わない。

('A`)「もちろん断ったよ。
   そんなこと、わかりきってるだろ」

 僕はカツカレーを注文しながらそう言った。
  _
( ゚∀゚)「ま、そらそーだけどさ。
    一応念のため、ってやつだよ。
    確認は怠るべきじゃないだろ?」

 はいはい、と僕はジョルジュへの対応を
適当なものに切り替えた。
彼の注文したハンバーグカレーがとても旨そうで、
それどころではなくなったのだ。


 図書館に残って実験のレポートをまとめていたため、
僕の帰りは遅くなった。

 遅くなった僕の帰りを、クーはやはり待っていた。

 いつものように本を読んでいるのかと思ったら、
クーはソファベッドに横たわり、僕の方に向いていた。
おかえり、と彼女は僕に挨拶をする。

('A`)「めずらしいな」

 僕がコートをハンガーにかけながらそう言うと、
空腹なんだ、とクーは言った。

川 ゚ -゚)「早く何か食べさせてくれ」

 僕はわかりやすいため息をついてみせた。
クーはそんなことでは動じない。
結局、僕は苦笑いを浮かべ、晩御飯の支度にとりかかることにした。

('A`)「何が作れるんだ?」

川 ゚ -゚)「ベーコンと卵をそろそろ使い切らなければならない。
     人参と玉ねぎも残ってるし、
     チャーハンで良いんじゃないかな」

 僕はそうすることにした。

 冷凍庫に凍っている米を1合分電子レンジに放り、
僕はまな板と包丁を取り出した。
玉ねぎと人参を半個ずつみじん切りにする。
ベーコンも手ごろな大きさに切り分け、
2つのお椀にそれぞれ卵を割って落とした。

 菜ばしを使ってその片方を混ぜ合わせ、
解凍の済んだ米をよそってきた。
炒め物用の中華鍋風フライパンをコンロに乗せ、
瓶詰めの輪切りニンニクを油と一緒に加熱する。

 フライパンが十分温まっていることを確認すると、
僕は具を炒めはじめた。

 木べらを使い、みじん切られた玉ねぎ人参と
ぶつ切りにされたベーコンをフライパンの底一面に這わせる。
ニンニクの香りとともに、それらはドジュウと熱を通されていく。

 僕は手首を使って軽く2・3回フライパンの中身を
宙に舞わせると、一旦皿にそれらをあけた。

 僕の家のコンロは3箇所口が開いている。
僕は残りのうちの1つに小さなフライパンを乗せた。

 続いて僕はご飯を炒めはじめる。
素人がチャーハンを作るには、
卵を先に炒めるよりこちらの方がうまく作れるのである。

 ほどよく米が炒められてくると、僕はその上に溶き卵を流し込んだ。

 切るようにして木べらで米と卵を混ぜ合わせる。
ある程度混ざったところで僕は、フライパンを振りだした。

 中華鍋風のフライパンの側面と慣性を利用して、
押し引きの動きで中身を宙に舞わせる。
気分は鉄鍋のジャンである。
料理は勝負に他ならない。

 頃合を見て先ほど皿に移しておいた具を卵ご飯に混ぜると、
僕は再び鍋を振りはじまた。
クーは人参に少し歯ごたえが残っているくらいが好きなので、
あまり炒めすぎないようにフライパンを落ち着かせる。

 先ほどコンロに置いておいた小さなフライパンに
十分な熱が加わっていることを確認すると、
僕はお椀に割っておいた溶いていない卵を流し込み、
弱火にして蓋をした。

 チャーハンに塩コショウをかけて味を調える。
木べらに少し取り味見をしてみると、
我ながら頷ける味である。

 僕は皿にチャーハンを盛ると、
その上に半熟に焼けた目玉焼きを乗せた。

 晩御飯の完成である。

 食卓代わりのコタツに、皿に盛られたチャーハンが乗っている。
僕たちは一人分の食器で食事を済ませるのが常だった。

 洗う食器が増えると面倒くさいからというのがその理由である。
家事のすべては僕によって行われている上、
クーから文句がでてくることがないので、
僕にそれを改める気はあまりなかった。

 半熟の膜をスプーンで破ると、
中からトロリと黄身が溢れてきた。
僕はそれをチャーハンとからめながらスプーンですくい取り、
背筋を伸ばして待つクーの口に運んでやる。

 クーはそれを大口開けて頬張ると、
なかなか旨い、と僕に頷いた。

 僕は彼女ほど卵の黄身に魅入られてはいないので、
目玉焼きの白身部分とチャーハンを主に食べていった。
クーは黄身の固まっている部分、
やや固まっている部分、そしてどろりとした液状の部分を
それぞれ楽しんだようだった。

 僕たちは1皿のチャーハンを平らげると、
ウーロン茶を飲んで夕食を終えた。
流しに皿を運んだ帰りにみかんを2つ持ってくる。

 僕たちはコタツでみかんを食べながら、
それほど面白くもないテレビ番組に目をやった。

 告白され、それを断ったとはいえ、
僕のショボンに対する態度に変化は生じなかった。

 会えば挨拶を交わすし、機会があれば会話する。
用事があればメールもするし、
特に避けて通るようなこともしない。

 何日間かはショボンの僕に対する態度に
ぎこちなさのようなものが残っていたが、
やがてそれもどこかに消え去り、
僕の日常はそれまでと変わりないものになった。

 授業の多くを僕はジョルジュの隣で受け、
半分ほどの昼休みを彼と過ごす。
週に何本かのレポートをなんとかこしらえ、
日曜日の早朝は衛星放送でサッカー観戦する。

 着実に積み重ねられていくサッカーリーグの
戦績のほかに唯一変化があるとすれば、
僕とツンとの心的距離くらいのことである。

 僕はツンととても仲良くなっていた。

 ある日の昼休み、
僕はツンと学食で日替わり定食を食べていた。

ξ ゚⊿゚)ξ「この食堂はろくなもん食べさせないけど、
       カレーと白身魚のフライは
       まあまあ食べられるのよね」

 ツンは白身魚のフライをタルタルソースにからめて
口に運びながらそう言った。
冷凍食品だろうからね、と僕は頷く。

('A`)「旨いもんなんて期待してないんだから、
    無難にそこそこなものを作っとけば良いんだよ」

 僕たちの通う大学の食堂は
低予算でも良いものを、という名目のもと、
食べられたものではないメニューを次々と生み出すことで
生徒たちに不評をかっていた。

 入学して1ヶ月ほどは色々と試しもしたけれど、
近頃僕を含めた僕のまわりでカレー、あるいは
白身魚のフライがメニューとなった場合の日替わり定食以外のものを
学食で食べる人はほとんどいない。

 何がいけなかったのかな、と僕たちは、
ありもしない陰謀説からMMR的な超展開までを
まことしやかに語り合う。

 僕たちの話は弾み、ちゃんと自炊しているか、という話題になった。

 してるよ、と僕は言った。

('A`)「そりゃ毎日ってわけじゃあないけどさ。
    一週間のうち5日くらいは何か作ってる。
    それほど上手じゃないけどね」

ξ ゚⊿゚)ξ「すごーい。あたしなんて、
       一人暮らしすることだし料理の腕を磨こうと
       思ってはみたものの、
       ここ数ヶ月包丁を握ってないわ」

('A`)「彼氏いるんだろ」

 彼はそれで黙っているの、と僕は訊いた。
そうねぇ、とツンは考え込む。
恋人の話をする彼女の瞳は輝いていた。

ξ ゚⊿゚)ξ「怒りはしないわね。
      内藤は料理好きだから、むしろ喜んでるかも」

('A`)「作ってもらってるんだ?」

ξ ゚⊿゚)ξ「うん。結構美味しいわよ」

 どのくらい旨いの、と僕は訊いてみた。
そうねぇ、とツンは再び考え込む。
やがて白い歯を見せ、彼女は言った。

ξ ゚ー゚)ξ「少なくとも、この学食よりは、ね」


 金曜日の夕方、僕が図書館で課題のプログラムを組んでいると、
携帯電話にメールが届いた。ツンからだった。

ξ ゚⊿゚)ξ『今晩クーの家に行っても良い?』

 メールにはそう書いていた。
クーの家に行くということは、僕の家に来るということだ。

 もちろん良いよ、と僕は返した。

('A`)『でも、何しに?』

 ご飯を作りに、とツンは返事をしてきた。
それを見た瞬間、僕は少し吹き出した。
僕はメールの返信はせず、そのかわりに電話をかけた。

('A`)「わざわざ僕に夕飯を作ってくれるの?」

 そうよ、とツンは言った。

ξ ゚ー゚)ξ「オススメレシピを教えてもらうの」

 あんたにね、とツンは言う。
別に良いけど、と僕は笑った。

('A`)「何か希望の種類はあるのかな」

 彼氏受けが良い料理、とツンは答える。
どう答えれば良いのかわからず、僕は曖昧な返事をした。


 僕とツンはクーの部屋で、
ふたり食卓代わりのコタツを囲んでいる。
気をつかってくれたのか、クーは家にいなかった。

 コタツの上では電気鍋が、とめどなく湯気を出している。

ξ ゚⊿゚)ξ「鍋とはね」

 ツンは丁寧に灰汁を取り除きながらそう言った。
季節は冬だ、と僕は言う。

('A`)「鍋が一番なんだって。
    ドクオ流の鍋を教えてやるよ」

ξ ゚⊿゚)ξ「ドクオ流?」

 ツンは僕にそう訊き返す。
そこらへんの男なんかイチコロだ、と僕は頷いた。

('A`)「汁に味をつけるんだ。
    翌朝雑炊にしても絶品だし、この鍋には非のうちどころがない」

 僕は鍋の中に次々と具を入れながらそう言った。
何で味付けするの、とツンが訊く。

 僕は『おでんの素』と書かれたパックを、
買い物袋から取り出した。

ξ ゚⊿゚)ξ「それ、おでんの素でしょ」

('A`)「見ての通りだよ」

 僕はそう言い頷くと、封を切っておでんの素を
鍋にサラサラと振り入れた。
おたまを使ってかき混ぜる。

 怪訝そうな表情をしているツンに微笑むと、
僕はおたまで汁をすくってやった。

ξ ゚⊿゚)ξ「……美味しい!」

 なにこれ、ずるい、とツンは大きな目をいっそう見開いた。
だろ、と僕は得意になる。

('A`)「これ、旨いんだ」

 どうやら気に入ってくれたらしい。
ツンはしきりに頷きながら、
へー、とも、はー、とも聞こえる声をあげている。

 食べる直前に豚肉と餅を入れ、僕たちの夕食が完成した。

 ツンは思ったよりもよく食べた。

 僕たちは2人で白菜を1/4個、白ネギを3本、
厚揚げ豆腐を1丁とつくねを6個、
そして小ぶりのフグを4匹と豚肉を500グラム、
餅を4切れ食べた。
ビールを2人で約2リットル、
日本酒をそれぞれ2杯ずつほど飲んだ。

('A`)「よく食べるね」

 僕が日本酒の入ったコップを傾けながらそう言うと、
だって美味しいんだもん、とツンは笑った。
鍋の熱にアルコールが加わり、彼女の顔は赤らんでいる。

 暑い、と言ってコタツの外に投げ出されたツンの足は
太ももの中ほどまでが黒いタイツに包まれており、
ワンピースの裾が少しめくれて白い太ももがこぼれていた。

 ツンは変わり映えのしない内容のバラエティ番組を眺めている。
僕はその時々笑う横顔と、
むっちりと僕を魅了する太ももを見比べていた。

ξ*゚⊿゚)ξ「何見てんのよ?」

 やがて僕に見られているのに気づいたのか、
ツンは笑ってそう訊いた。

('A`)「ガーターベルトもつけてないのに、
    なんでそのタイツはずり落ちないんだ?」

 ものすごい締め付けをしてるのか、と僕は訊く。
ガーターベルトって、とツンは笑った。

ξ*゚⊿゚)ξ「そんなの実生活でつけてる人なんて、
       21世紀の世の中に存在するの?」

 いるんじゃないの、と僕は言う。

('A`)「ほら、貴族とかさ」

ξ*゚⊿゚)ξ「貴族! だから、その貴族はどこにいるのよ」

 ツンはすっかり酔っている。
貴族って、と連呼しながらくるくると笑った。

ξ*゚⊿゚)ξ「あーおかしい。
       これは、こういうタイツを穿く時用のクリームが売ってるのよ。
       簡単な糊みたいなもんね」

 あんたそんなことも知らないの、と僕はツンに笑われた。
僕はツンほどお酒がまわっておらず、
苦笑いを返すことくらいしかできなかった。

('A`)「僕は、ファッションにはうといんだ」

 もったいない、とツンは言った。

ξ*゚⊿゚)ξ「クーはタイツ穿いたりしないの?」

('A`)「しないな。
   知っての通り、あまりスカートを穿かないし」

 さすがにストッキングの1枚くらいは持っているだろうが、
僕はクーのスカート姿というのをほとんど見た記憶がない。

ξ*゚⊿゚)ξ「ま、いーんじゃないの?
       それでおモテになるんだし」

 空になったコップを僕に差し出しながら、
ツンは僕にそう言った。
僕がそこに日本酒を注ぎ足してやると、
これ美味しいわね、とツンは笑った。

('A`)「本当に味わかって言ってんのか?」

 この酔っ払いめ、と僕は自分のコップにも注ぎ足した。

ξ*゚⊿゚)ξ「はい、酔っ払いでーす」

 ツンはとても楽しそうだった。


 もはや鍋に手をつける者はいなくなっていたので、
僕はコタツの上から電気鍋を撤退させた。
2人分の食器を片付け、
濡らした布巾でコタツの上を丁寧に拭いた。

ξ*゚⊿゚)ξ「マメねー」

 あんた良い奥さんになるわ。
ツンは両足をだらしなく放ったまま壁にもたれてそう言った。

('A`)「パンツ見えてるよ」

 乾いた布巾でコタツの水気を拭き取ると、
流しに布巾を持っていきながら僕は言う。
見せてんのよ、とツンは欠伸交じりに返してきた。

('A`)「これは相当出来上がってるな」

 僕はそう判断し、ツンが2日酔いにならないように
ミネラルウォーターの入ったペットボトルを冷蔵庫から取り出した。

 僕がコタツに戻ると、ツンは半分寝かけていた。

('A`)「寝るなよ。風邪引くぞ」

 僕がツンの顔を覗き込んでそう言うと、
寝てないから大丈夫、とツンは目を開けずに返事した。

 僕はペットボトルを床に置くと、ツンを無理やり引き起こした。
自分の体を背もたれのように使い、なんとかその場に座らせる。
右肩でツンの体重を支えながらペットボトルを拾い、
そのまま寝ようとしているツンに手渡した。

ξ*-⊿-)ξ「冷たい。気持ち良い」

('A`)「飲めよ。じゃないと2日酔いになるぞ」

 僕の右肩にツンの体重と体温が感じられる。
ツンはほどよい重さとほどよい温度をもっていた。

 ツンがペットボトルを傾け水を飲むたびに
ウェーブがかった髪が僕の目の前でゆらゆらと揺れ、
ツンの匂いが僕の鼻先にわずかに漂う。

 ツンの髪は明るい金髪だ。
そして着ているワンピースは赤である。
それらに挟まれるツンのうなじは驚くほどに白く、
わずかに汗ばんでいた。

 もういらない、とツンがペットボトルを置いたので、
僕はそれを一口飲んで蓋をした。
ツンを床に横たえその場を離れる。
僕は押入れからタオルケットを取り出した。

 ツンは膝下あたりまでをコタツに入れて横たわっている。
僕はツンにタオルケットをかけ、その脇に腰を降ろした。

 僕のことを信頼しているのか、それともアルコールのせいなのか、
ツンはいかにも無防備な姿を見せている。
僕はしばらくそのままツンの寝顔を眺めていた。

 セックスするのか、と僕は声をかけられた。
顔を上げると、身をあずけるようにして
クーがソファベッドに座っていた。

川 ゚ -゚)「聞こえなかったのか?」

 僕が何も答えずにいると、クーは再度そう訊いた。
そんなわけないよな、とクーはひとり呟く。

('A`)「したいね」

 僕はツンの髪を指先でいじりながらそう言った。
実際、僕は勃起していた。

川 ゚ -゚)「しかし、残念ながら、君には無理だ」

 クーは僕にそう言った。
なぜだ、と僕がソファベッドを睨みつけると、
そこには誰もいなかった。

3_20100102101243.jpg



 僕はペットボトルの蓋を開け水を一口飲んだ。
そして、滑るようにツンの隣に横たわる。
ツンの寝顔が僕の目の前に現れた。

 好きな女の子が無防備な顔で目の前にいるというのに、
僕の心臓は思ったほど高鳴ってはいなかった。

 僕はツンの様子を観察する。

 火照った額にツンの細い金髪が貼りついていた。
僕は右手の人差し指を使って丁寧にそれを払ってやる。
ツンの額を僕の指がなぞると、ツンはくすぐったそうに少し笑った。

('A`)「起きてるのか?」

 僕はその少しの笑みを口元に残したまま
目を瞑っているツンにそう訊いた。
答えは返ってこなかった。

 僕の右手人差し指はツンのこめかみのあたりに触れている。
僕はそのまま髪の上を滑らせて右手を後頭部にもっていくと、
ツンの後頭部をやんわりと掴んだ。

 僕の右手にツンの頭蓋骨の形が感じられる。
同時に、ツンのやわらかい髪がわずかな反発力をもって
僕の右手を刺激した。

 そのまま何度か揉むようにしてツンの後頭部を楽しんだ後、
僕はその身をツンに寄せ、
ツンの寝息が頬に当たるほどに接近した。

 右手でツンの頭部を持ち上げ、できた隙間に左腕を差し入れる。
腕枕をするかたちで僕はツンを包み込み、
顔にかかった前髪を右手で払ってツンの顔を見えるようにした。

('A`)「まつ毛まで金髪なんだな」

 僕はツンの寝顔を見下ろし、そう呟いた。
ツンが僕の呟きに反応することはなかった。
空いた右手で頬を撫でてもツンはその目を開かない。

 僕は右手を首筋に這わせると、肩の入り口までの感触を味わった。
親指をツンの顎にあて、クイと押す。
ツンは反応を示さないが、その顔は僕の方に向けられた。

 顎を押す親指に皮膚がひっぱられたのか、
それに連動するかたちでツンの口が半開きになっている。
耳をすませば、定期的に吐かれるツンの寝息が聞き取れる。

('A`)「好きだ」

 僕は、僕の腕に眠る少女にそう言った。
このような状況下ではもっと心臓が
バクバクと脈打つものだと思っていたのだが、
僕の体はその限りではないらしい。

 さすがに緊張しているのか渇いている唇をひと舐めすると、
僕はツンにキスをした。

 僕が唇を解放した後も、ツンは目を開かなかった。
無意識になのか、ツンの左手が僕の右手に触れてくる。
その左腕を自分の体に巻きつけさせると、
僕は再びツンに近づいた。

 ツンの半開きになっている口に舌を差し込むと、
鍋と日本酒の匂いが入り混じりになって伝わってきた。
僕はタオルケットを掻い潜って右腕を背中にまわし、ツンを強く抱きしめた。

 苦しかったのか、ツンの口から
小さくうめき声のようなものが漏れ出した。

 僕はツンの唇をついばみ、口内に舌の絡まりを求めて這い回る。
ツンの舌はぐったりと横たわっていて、
なかなか僕の思い通りにはならなかった。

 ツンへのキスを繰り返しながらも、
僕の右手は絶えずツンの体をまさぐりつづけた。

 服の上から胸を触り、背中を撫でて尻まで達する。
ワンピースの裾に右手を差し入れ
むちむちとした太ももの感触を堪能していると、
ツンの目がゆっくりと開かれた。


('A`)「起きたね」

 僕は右手をワンピースから引き抜き、
ツンの頭を撫でながらそう言った。

 何してるの、とツンは寝ぼけまなこで僕に訊く。
まだ酔ってるのかな、と僕は思った。

('A`)「僕が誰だかわかる?」

 確認するため僕は訊く。
僕の発した言葉がツンに届くには時間がかかるようで、
彼女はしばらく何も返事をしなかった。

 そのまま返事を待ってると、ツンの瞼が再び閉じていく。
おい、と僕は苦笑を浮かべてツンに呼びかけた。

ξ*-⊿-)ξ「うーん。……クー?」

 ツンは目を開けることなくそう言った。
これはだめだな、と僕は思った。

 半分寝ているツンは僕の体にしがみつくと、
気持ち良い、と足を絡めて呟いた。

 僕は再びツンの体を抱きしめた。


 僕はツンの額にキスをした。
そのまま顔を下げ、ツンの口にキスをする。
僕の体に絡み付いているツンの腕を丁寧にほどくと、
僕は彼女が仰向けになるように横たえた。

 もちろん、そのまま寝かせるためではない。

 僕は仰向けになったツンの横顔に顔を寄せると、
好きだよ、と耳元で囁いた。
ツンはくすぐったそうに身をよじり、
しかし抵抗する様子は見せなかった。

 ツンの着ているワンピースは胸の前にボタンがあり、
開くようにできている。
ツンの枕となっている左手は使えないが、
僕は右手ひとつで器用にボタンを外していった。

 すべてのボタンを外し終えると、
ツンのワンピースはみぞおちのあたりまでが開かれた。
僕はそこから手を入れ、
キャミソールをくぐらせてツンの背中に達すると、
ブラジャーのホックを外した。

('A`)「楽になった?」

 起きているか寝ているかはっきりしないツンにそう訊くと、
ツンは気持ちよさげに頷いた。

 僕はツンの頭の下から左腕を抜き取った。
しびれかけた左手を何回か開いたり閉じたりして調子を戻すと、
僕は大きくひとつ息を吐き、半身を起こした。

 またもや顔にかかっている前髪を払ってやり、
僕はツンにキスをした。
髪をかきあげるように頭部を掴み、
舌をツンの奥まで入れていく。

 ツンは言葉にならない声を漏らし、
消極的ながらも僕の舌に触れてきた。

 僕は舌を伝えて唾液をツンに流し込んだ。
ツンはそれを受け入れる。

('A`)「舌を出して」

 僕に従ってツンがそろそろと出した舌を吸うと、
ツンの唾液の味がした。
鍋と日本酒の味が大半を占めているにもかかわらず、
僕はそこに特別なものを感じ取っていた。

 ワンピースの胸部に開いたスペースに顔を埋め、
僕はツンの胸の中で大きく息を吸った。

 洗剤の匂いと鍋の匂いが入り混じった中に、
僕はツンの匂いを探し当てる。

 僕は両手をワンピースに差し込むと、
キャミソールをブラジャーと一緒に脇の下までたくし上げた。

 ツンの胸が、控えめな大きさをもって僕の目の前に現れた。
静脈の透き通る白さの肌が、桜色に火照っている。

('A`)「寒くない?」

 僕は両手にツンの弾力を楽しみながらそう訊いた。
ツンはかすかに頷いた。
勃起した乳首を口に含むと、ツンはわずかに声を上げる。

 時に舐め上げ時についばみ、
指の腹で擦ったり2本の指に挟んだり
舌のざらざらした部分で刺激したりしながら
僕はそれらに反応するツンの様子を楽しんだ。

 根元から吸い上げるときと
歯の側面で擦るようになぶられるときに
ツンは最も快感を得るようである。
僕は考えつくあらゆる方法でツンに声を上げさせた。

 やがて僕が顔を上げると、
ツンは潤んだ瞳で僕を見つめていた。

('A`)「気持ち良い?」

 僕がキスをしながらそう訊くと、
気持ち良い、とツンはその身を震わせた。

 僕は再びツンの頭の下に左手を敷いた。
そしてツンの頭を左腕に抱くと、ツンに舌を絡めさせながら
右手でツンの体をまさぐった。

 僕の右手はツンの頭を撫でる。
ツンの首を這い、胸を揉み、背中を伝って尻をさする。
僕はワンピースの中に右手を滑らせると、
下着の中に手を入れた。

 僕の指が下着にかかった瞬間、
ツンは抵抗の素振りをわずかに見せた。

 その弱々しい腕の力は、かえって僕を興奮させる。
瞳の潤みはとても抵抗しているようには映らない。
僕がそのままツンの目を見つめつづけると、
ツンはやがて小さくひとつ息を吐き、細い腕から力が抜けた。

 僕はツンにキスをした。

 ツンはひどく濡れていた。
僕がその事実を知り口元を歪めると、
それを見たツンは、顔をそむけて目を瞑る。

 僕はその横顔にキスをした。


('A`)「長時間足の付け根部分から指を入れていると、
    パンツがだめになってしまうかもしれないな」

 僕にはそんなことを考える余裕さえあった。
僕は腹の部分からツンの下着に侵入し、
陰毛を乗り越え辿りつく。

 指を十分に濡らし、僕はクリトリスを刺激することにした。

 被った皮の上から中指でゆっくり何度も押してやる。
ツンが上げる声で行動の的確さを確認すると、
僕は圧力を加えたままぐるりと一周まわしてやった。
ツンからひときわ大きな声が上げられた。

 ツンが指と擦れ過ぎることがないように、
僕はときに大きく手を動かし、指の先を濡らし直した。
どうやらツンは皮を剥いて直接触っても痛くないようで、
僕はより大きな快感を与えるため、そうすることにした。

 僕はツンに快感を与えるのが楽しくてしょうがなかった。
より大きな声を上げさせ、より強く僕の体にしがみつかせる。

 しばらく夢中になってツンを攻め立てていると、
だめ、とツンは絞り上げるように言葉を吐いた。

('A`)「何がだめなんだ?」

 彼女はそれに答えられない。
ツンは絶頂を迎えようとしていた。


 ツンは爪が食い込むほどに僕を抱きしめると、
息を止めて体を強張らせた。

 僕はツンの耳に舌を這わせながらそれを受け入れた。

 下着の中に入れた手は動かさずに、
僕は左手でツンを抱きしめた。
ツンは両手で僕にしがみついている。
やがて呼吸が可能になると、ツンは胸を激しく上下させた。

('A`)「気持ち良かった?」

 僕はツンにそう訊いた。
ツンは真っ赤になって頷いた。

 服を脱いでいないのが良かったのか、
僕の体はどこも傷ついていないようだった。
僕は放心しているツンの足から下着を抜き取ると、
自分のズボンとパンツを脱ぎ捨てた。

 僕はツンの体に覆い被さり、キスをする。
ツンの足を動かし、その間に体を割り込ませる。

 僕はいきり立ったものをツンにあてがった。


 僕はそこから先に進めなかった。

 ツンの彼氏を思い起こして倫理観にさいなまれはじめたわけではない。

('A`)「なんで、入らないんだ」

 僕の性器は、ツンに入ることを拒んでいるかのように
空振りしつづけた。

ξ*゚⊿゚)ξ「どうしたの……?」

 股間でもぞもぞと手を動かしている僕に疑問を感じたのか、
ツンは僕にそう訊いた。
なんでもないんだ、と僕は答え、体を起こすことにした。

('A`)「しっかり見て入れれば、間違いない筈なんだ」

 渇いた唇を舐め、僕は心の中で呟いた。
両手を使ってツンに大きく足を開かせた僕の視界には、
はっきりと僕とツン両方の性器が見えている。

('A`)「入れるよ」

 僕は貫く前にそう宣言した。


ξ*゚⊿゚)ξ「何を?」

 ツンは甘い声でそう訊いた。
それで言葉攻めをしているつもりなのか、と僕は口元を歪める。
僕は腰を突き出した。


 一気に根元まで押し進めた。
僕の腰がツンにぶつかり、僕の動きが止められる。
僕がぶつかった瞬間、ツンは小さく喘いだ。

 腰を振って抜き差ししようとすると、
僕はツンと結合していないことに気がついた。


('A`)「馬鹿な!」


 僕は声を上げた。

 いつの間にか、喉がカラカラに渇いていた。
渇いた唇を何度も舐め、僕は自分とツンの性器を見比べた。

ξ ゚⊿゚)ξ「ねえ、何してんの?」

 横たわったツンが、眉をひそめてそう訊いた。
僕の喉からは声が出てこない。



川 ゚ -゚)「だから無理だと言っただろう」

 声がした方に目を向けると、
クーがソファベッドに横たわっていた。

('A`)「なんなんだ、これは。一体どうなってるんだ」

 僕はクーにそう訊いた。クーは下半身が裸だった。


ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっと、あんた、何なのよ」

 ツンが大きな目をいっそう見開きながらそう言った。
肩がかすかに震えている。

('A`)「こっちが訊きたいくらいだ!」

 僕はツンを見下ろしそう言った。
そしてソファベッドのクーを睨みつけた。

 だから、何なのよ、とツンは声を震わせた。



ξ;゚⊿゚)ξ「あんた、何を見てるのよ」



 僕はカーペットに横たわるツンと、
ソファベッドに横たわるクーを何度も見比べた。

 落ち着け、とクーが言う。

川 ゚ -゚)「ツンが怯えているじゃあないか」

 クーはソファベッドからするりと降りると、
僕たちの方に近づいてきた。

川 ゚ -゚)「怖がらせてすまない」

 クーはツンの髪を撫で、そう言った。

 触らないで、とツンは僕の右手を振り払った。

ξ;゚⊿゚)ξ「あんた何なの? どうなってるの?
       頭でもおかしいの?」

('A`)「僕はどこもおかしくなんかない!」

 僕は叩きつけるようにそう言った。
クーが僕に頷いてみせる。

川 ゚ -゚)「そうとも。ドクオはどこもおかしくない」

 ツンはその小さな体を抱えるようにして震えている。

ξ;゚⊿゚)ξ「だから、ドクオって誰なのよ!」

 ツンは叫ぶようにそう言った。

 僕の頭は混乱している。
僕はすべてを同時に考えながら、何ひとつとして考えられていなかった。

 口から言葉がでてこない。
ツンは後ずさりして僕から離れると、
まばたきを繰り返しながらその身を起こした。

('A`)「ドクオは、僕だ。僕はドクオだ」

 僕は呟くようにそう言った。


ξ;゚⊿゚)ξ「あんたはクーよ。なんなのよ」

 ツンは怯えた目で僕を見つめながらそう言った。
違う、と僕は歯を食いしばる。

川 ゚ -゚)「すまない、ツン。
     今日はお酒を飲んで、ツンとちょっぴりエッチなこともして、
     なんだか頭が混乱しているようだ。
     申し訳ないが、帰ってくれないか?」

 クーはツンにそう言った。
ツンは過剰なほどに何度も頷いた。

 ツンは立ち上がり、キャミソールで胸を隠して
ワンピースのボタンをとめると、
バッグを持ってあわただしく玄関に駆けていった。

川 ゚ -゚)「じゃあまた、学校で」

 すまないね、とクーは言う。
ツンは何も言わずに僕の家から立ち去った。


 僕は膝立ちのまま、ツンが立ち去るのを眺めていた。

川 ゚ -゚)「やれやれ。パンツを忘れていってるな」

 大きくひとつ息を吐き、クーは呟くようにそう言った。


 とりあえず服でも着たらどうだ、とクーは言った。

川 ゚ -゚)「上半身も裸ならまだしも、
     下半身だけ丸出しというのはいかにもみっともない」

 僕は何も言わずに従った。

 僕はベッドに腰掛け、クーはソファベッドに腰掛ける。
いつの間にか、クーも服を着終わっていた。

 僕たちはしばらく口を開かなかった。
僕の部屋には鍋の匂いと日本酒の匂い、
そしてツンの匂いが入り混じっていた。


('A`)「何なんだ? わけがわからない」

 やがて、僕はそう呟いた。

('A`)「僕は頭がおかしいのか?」

 君はどこもおかしくないよ、とクーが言う。


川 ゚ -゚)「おかしいのはわたしの方だ」


('A`)「どういうことだ?」

 僕はクーにそう訊いた。
クーはしばらく遠くを見つめるようにして考えた後、
君に理解できるとは思わないが、と口を開いた。


川 ゚ -゚)「君はわたしだ」

('A`)「違う。お前はクーで、僕はドクオだ」

川 ゚ -゚)「違わない。君はわたしの一部なんだ。
     君はわたしの、歪んだ、みにくい、願望だ。
     わたしに君の姿形はわからないが、
     きっとみにくく歪んでいるのだろう」

('A`)「言ってる意味がわからない。僕は異常なのか?」

川 ゚ -゚)「さっきも言ったが、君は正常だよ。
     君はわたしの異常な部分だ」

 だから、わたしは異常なのだろう。
クーはゆっくりとそう言った

川 ゚ -゚)「インフルエンザウィルス自身が罹患してはいないように、、
     君にはどこにも異常はない。
     なぜなら、わたしにとって異常であるものが君の正常だからだ。
     君が異常になることがあるとしたら、
     それはわたしが正常になる瞬間のみだ」

 そしてそのとき君は消滅する、とクーは言った。


 携帯電話が鳴っていた。
床に転がっているディスプレイには『着信 ジョルジュ』と
表示されている。

 僕は携帯電話を拾おうとしなかった。

川 ゚ -゚)「出ないのか?」

('A`)「こんな状態で、まともに会話ができると思うか」

 できるさ、とクーは口元を歪めた。

川 ゚ -゚)「君はそんなことでは動揺しないよ」

('A`)「僕は、今、動揺している」

川 ゚ -゚)「それは、君の存在が危機に晒されているからだ」

 クーは身をかがめて携帯電話を拾った。
ベッドに座る僕を見下ろしている。

川 ゚ -゚)「わたしには無理だな。
     こんな状態で、まともな会話はできそうにない」

 音楽を奏でる携帯電話を持つクーの手は、
携帯電話のバイブレーション機能のせいか小刻みに震えていた。

 僕は携帯電話を受け取った。
ディスプレイには『着信 ジョルジュ』と表示されている。
僕の手は少しも震えていなかった。


川 ゚ -゚)「君は動揺しない」

 クーは再び僕にそう言った。
僕はそう言うクーの顔を見上げる。

 僕がそのままクーの顔を眺めていると、
やがて彼女は大きくひとつ息を吐いた。

川 ゚ -゚)「そんなものは、全部わたしに押し付けられるんだ。
     君はツンを前にした緊張や心臓の高鳴り、
     そして罪悪感などを感じることはなかっただろう?」

('A`)「押し付けてるのは、お前の方なんじゃあないのか?」

 よくわからないけど、と僕は言った。
クーはそれを聞いた瞬間、小さく吹き出した。


川 ゚ -゚)「それは、そうかもしれない」


 僕は携帯電話の通話ボタンを押した。
すぐにジョルジュの明るい声が聞こえはじめる。



('A`)「もしもし?」



 何か用、と僕はいつも通りの声を出した。

4_20100102101243.jpg




                                         おしまい




この小説は2007年11月18日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:wRlWKFgm0 氏



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2010/01/02 10:14 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(1)

はい最高~
[ 2015/05/14 23:21 ] [ 編集 ]

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更新は止まっていますがコメントはご自由にどうぞ
修正・削除依頼等、何かしらの連絡はコメントもしくはメルフォよりお願いします
拍手だと高確率で長期間気づきません

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