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誰かの為のハロウィンパーティ


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ






20071027172726.jpg



从゚∀从「……よしっ」


今日は大学の一大イベント、年に一度のハロウィンパーティ。

自分の衣装の最終チェックを終え、ようやく会場に足を踏み入れた俺を迎え入れたのは、
にやけた面をしたカボチャのランタンの幻想的な淡い灯りにぼんやり照らされた
闇に身を落とした悪魔たちの群れだった。

暗黒の中に白い牙を覗かせる頼りないドラキュラや、
凶悪な表情を浮かべた小さなフランケンシュタイン、
全身を包帯に包んだミイラ男ならぬミイラ女なんてのもいる。


从゚∀从「うぉ、あれ包帯以外身につけてないのか…乳首見えねぇかな」


ちなみに俺は漆黒のマントを纏う魔性の女、魔女。
…うるせぇよ、どうせ乳ねぇよ。背も小さいよ。小さいづくしだよコンチクショウ:从´゚ω从:

少しいじけていると、先ほどのミイラ女、ツンが俺に気づき、
桃色の露で染められたグラス片手にこちらへ駆けてきた。
少し頬が朱いのは酒のせいなのか、はたまた魅惑的で淫猥な衣装のためか。
知り合いだと思われたくない ゲフゲフン 俺も忙しいので無視してどこかのテーブルに混ざろうかと思ったが、
全身で抱きつかれてしまってはもう逃げ場がない。俺は仕方なくツンの頭を撫でてやった。
気持ちよさそうに喉を鳴らすツン。



ξ ゚⊿゚)ξ「ハイン、遅かったじゃない。どう、楽しんでる?」

从゚∀从「中々イメージ通りにならなくてな。さっき来たばかりだから飴玉一つ口にしてないぜ」

ξ ゚⊿゚)ξ「もう、ハインは食べることばっかり・・・そうじゃなくて、さ」

ツンは少しもじもじしながらやたら騒がしい一団に目を向けた。
チラリ、と視線を泳がせる程度だったが、ツンが誰を見ていたのかは一目で分かる。
ピッツァの格好をした狼…じゃなくて狼の格好をしたピッツァ・・・あれ?

まぁいい。緩んだ表情のままだらしなく舌垂らした狼ならびにピザ、
ブーンは大きく切り取られたパンプキンパイを一口で飲み込んでいた。
あれで狼男のつもりなんだろうか。
口の周りをパイ生地汚した姿は本家狼男に申し訳ない気持ちが沸いて来る。


从;゚∀从「あいつのどこがいいんだかなぁ・・・」

ξ////)ξ「・・・・・・・・・」


端から見れば一目瞭然なのに、鈍感なブーンと素直になれないツンは周りをヤキモキさせるだけで、
未だに手を繋いですらないという。それ以前に彼氏彼女の関係でもない。
それ故ツンに手を出そうとする輩を俺が何度も牽制するハメになっているのだが。


从゚∀从「まぁオマエがいいって言うならそれでいいんだけどさ・・・」

ξ*゚⊿゚)ξ「べっ、別にそんなんじゃ…」


しかし、俺もあぁは言ったものの、ブーンの人の良さは分かっている。と、思う。
最初は何でツンがこんなピザを、と言う気持ちが強かったものの、
ツンを通しての交流が増えた結果、こいつの優しさに何度も触れることが出来た。

だからこそ祝福したいのだが、何せずぼらなやつだ。
頑張れ、よりも先にこのピザ野郎!が口に出てしまう。


ξ*゚⊿゚)ξ「わ、私のことより、ハインのほうはどうなのよ?ショボン君とは…」

从゚∀从「それにしてもその衣装やばいな、いや、ホントに乳首見えそうだな…思い切ってずらして…ん?」

ξ ゚⊿゚)ξ「いや、ちょ、話聞けよ ってえぇい 包帯に手をかけるな」


ツンが何を言おうとしているのかはわかった。
人には素直じゃないと言いつつ、自分も人の事は言えないなぁ、なんて心の中で苦笑いしている。
ツンとじゃれないながら、視界の隅に移るその姿に関心を奪われていた。

ブーンの一団、その中で、一際目を引いた衣装があった。
いや、それを衣装と呼んでもいいものか少し躊躇させられる。
張りぼてのカボチャと写真部においてありそうな黒いマントを身につけただけの、
それほど珍しくもない簡素な仮装だ。
俺も小さい頃はあれくらいで悪戯悪魔になったつもりで飴玉を親にせびっていたもんだ。


从゚∀从「でっけぇー・・・」


問題は衣装ではなく、その大きさだ。
でっかいカボチャはそれほど高くない天井スレスレで、
たまに引っかかって倒れそうになっている。
マントは余裕で俺の身長を越えているだろう。
テーブルクロスの代わりになりそうなそれを引きずることなく纏っている。

多分、カボチャも合わせたら私の二倍くらいはあるんじゃないだろうか。
いや、さすがにないか。
しかしそれほどに大きかった。

ジャックオーランタンの口元から覗かせた表情は、しょぼくれた顔。

こっそり窺い見るようにショボンの様子を観察した。
いつの間にか抱きしめるような形で俺の肩にツンがアゴを乗せている。
嬉しそうにニヤニヤしているがこの場はとりあえず無視だ。
後で徹底的にからかってやる。財布の中に内緒でブーンの写真入れてることだって知ってるんだからな。


女A「ショボンー、次はカルーアミルクお願いね」

女B「あたしにはこれおかわりー」

(´・ω・`)「ちょっと待っててねー」


ショボンは先ほどから忙しない様子でバーのカウンターとテーブルを行ったり来たりを繰り返している。
どうやらショボンはあの二人のパシリにされているらしい。
俺は思わずため息を零した。


ブーンの人の良さと違って、ショボンの人の良さは優しさというより甘やかしに近いものだった。
多分、典型的な「いい人」なのだろう。いや、それはいい人に失礼かもしれない。
頼まれたら嫌とは言えない。ここまではまぁいい。
世界平和のための募金とあらば財布ごとぶち込む、
捨て猫がいれば雨が止むまで抱きかかえている、
血が怖いくせに献血をして、後で俺に抱きついてわんわん泣き出す。

・・・要するに馬鹿なのだ。

しかも、それを自覚してないから余計に始末に困る。


女A「この間さ、婆ちゃんが倒れてさ。それで色々あってレポートが手付かずのままなんだよね。
   近々葬式もあるし・・・期限今週末なんだけど、ショボン、代わりにやっておいてくれないかな?」

女B「あ、私も爺ちゃんが倒れてさ。私の分もやっといてくれないかなー?」

(´・ω・`)「ん、分かった。任せておいてよ。祖父祖母さんのことは、お気の毒だったね…」


分かりきった嘘にも笑顔を絶やさず頷くショボン。
・・・オマエ先週もお婆ちゃん倒れてたじゃねぇか。何人いるんだよお婆ちゃん。
ショボンの馬鹿さ加減にも呆れるが、周りのショボンを利用しようとする馬鹿にもため息が漏れる。
…ホントにため息が漏れた。


从゚∀从「ホント、馬鹿ばっかりだよなぁ・・・」


自分もショボンを利用しようとして近づいておいて、
今ではそんな連中に嫌悪感すら感じるようになってきている。
ショボンに毒気に当てられたか、全く人間ってのは都合のいいもんだ。


ξ ゚⊿゚)ξ「ショボン君のところにいかなくていいの?」

从゚∀从「あ? 何で俺があんなしょぼくれ顔のこと気にしなきゃならんのさ」

ξ ゚⊿゚)ξ「でもさ…」

从゚∀从「そんなことより重いから降りろよ。オマエの乳首が背中にあたって仕様がないんだ」

ξ////)ξ「ちょwwwwwwwなにいってんすかwwwwwwwwwww」

从#゚∀从「うぉぉおおおお!?首っ首がおれっ折れる!」


何とか首から引き剥がしたものの、ツンは複雑そうな表情を浮かべていた。
俺は気づかない振りをして食事に戻った。まだまだパーティは続く。食べなきゃ勿体無い。
ツンはまだ何か言いたげだったが、結局口をもごもごさせて黙り込んでしまった。
いつもショボンに寄って来るあぁ言った手合いの露払いをしていたのは俺だ。
最近俺がショボンに近づかないから、友人として気にかけているのかもしれない。

最初は物好きなやつがいるもんだ、なんて馬鹿にしていた。
しかし、便利なやつがいる、と話の中にショボンの名前が出てくるたびに好奇心がくすぐられた。

少し、興味が、沸いた。

友人を通して俺のレポートをショボンに頼んでみた。
見ず知らずの俺の課題なんぞやってくれるわけがあるまいと鷹をくくっており、
実際に友人からショボン手製のレポートを手渡されるまで四苦八苦しながらレポート書いていたし。
もちろん俺なんかが書くものよりもっとずっと洗練された、密度のあるものに仕上がっていた。

会ってみたい、と思うようになった。


友人に紹介してもらい、実際に会ってみてその想いはより強くなった。
何かと口実をつけてショボンを引っ張りまわす毎日。
ショボンはそれに文句一つ言わず、笑顔を絶やすことなく付き合ってくれた。

興味が好意に変わる瞬間。

多分それは、瞬きよりも早い時間で、いつの間にか俺はショボンに強く惹かれていた。
ショボンの中を俺でいっぱいにしたいと思った。
俺は支配的な人間なんだ。
その他大勢の1人じゃなく、個人としての私を見てほしかった。
だから、いつもいつだって俺のことをショボンが考えていてほしいと思うようになった。

でも、ショボンは「人の為」を第一に考えているんだ。

騙されたって嘯かれたって、それでも「人」って意味を割り切ったりしない。
支えあっているって言葉を純粋に信じてる。

たくさんの誰かをいつも見つめていて、多分俺もその中に入っていて。
その誰かを自分が支えることで、人って言葉になることを願っている。
だから、ショボンの前では、誰だって特別なんだ。
俺が、ショボンだけの特別にはなれないんだ。

なんだか泣きたくなってきた。
背中にのしかかるツンに気づかれないようぐしぐしと乱暴に目元をこすり、
近くにあった皿から適当に選んで小皿に積み上げた。
なんと言う量…間違いなくギャル曽根。


女ABのショボンに対する嘲笑ともとれる雑音が聞こえてきても、俺は無視した。
ショボンと関わりたくなかった。辛いから。
俺はワガママなんだ。ショボンを独り占めにしたい。けど、そうしたらショボンが困る。
なら、俺が困ったほうが何倍もいい。

だけど、たまに抑制が効かなくなる。独り占めしたくなる。
だから、避けるんだ。関わらないようにするんだ。
・・・なんだか乙女乙女してるなぁ、俺。


ξ ゚⊿゚)ξ「・・・・・・ねぇ」


抱きついていたツンが前にぐいっと押し出すように俺から離れた。
突き放すようなその仕草に、俺は焦りを感じた。嫌な予感がする。


从゚∀从「……なんだよ」

ξ ゚⊿゚)ξ「ショボン君がさ、私に相談してきたんだよね」


・・・ほら、やっぱりな。
こいつは勘がいいから、俺がもやもやした想いを抱えていることなんてお見通しなんだ。
自分のことはほったらかしの癖に。


从゚∀从「…だから何なんだよ」

ξ ゚⊿゚)ξ「最近、ハインが冷たいんだってさ」

从゚∀从「…俺は多忙だからな。ショボンみたいなのには構ってられないのさ」

ξ ゚⊿゚)ξ「嘘つき。就活だってまともにやってないくせに」


何でそんなこと知ってるんだよ。
俺はじっとツンの瞳を見つめた。


ξ ゚⊿゚)ξ「ショボン君、すごく気にしてたよ?
     ハインを傷つけちゃったんじゃないかって、ずっと気にしてたんだよ?」

从゚∀从「…あいつは優しいかんな」

ξ ゚⊿゚)ξ「だよね。馬鹿なくらいにね。でもさ、ハインも馬鹿だよね」

从゚∀从「何でだよ」

ξ ゚⊿゚)ξ「ショボン君にさ、『何でそんなに気にかけてるの?』って聞いたんだよね」


ツンはそのとき、物凄く意地の悪そうな笑みを口元に浮かべた。


ξ ゚⊿゚)ξ「『ハインのことが好きだから』、だってさ。耳まで真っ赤にしちゃってさ。
      何だがこっちまで照れくさくなっちゃったよ」


顔から湯気が出るかと思った。
鏡を見たら私はつま先から頭の先まで真っ赤になっているだろうな。
止めにツンは俺の耳元で囁いた。


ξ ゚⊿゚)ξ「もうハインは、とっくの昔にショボン君の特別になってたんだよ?」



その後のことはよく覚えていない。
身近にあった強い酒をラッパ飲みした後、ショボンにキャメルクラッチを決めていたと思う。
次の日ツンに聞いたら酸欠になってひーひー言い出すまで大笑いしだした。
……あの様子だと、当分は酒のつまみにされるだろう。

ツンを締め落として何とか聞きだした話だと、俺は話を聞き終えた途端ショボンの下に駆け出したらしい。
周りの人だかりを蹴散らして、ショボンの襟を掴み寄せ、俺はこう言った。


从゚∀从「人の為と書いてなんて読むか知ってるか?」


ショボンは言葉の意味が理解出来ないのか、
睨み付けるような俺の視線をそのしょぼくれた顔で受け止め、
小首を傾げてコロコロした瞳で俺を見つめ返した。


(´・ω・`)「・・・偽?」


俺は思いっきりショボンの脛を蹴り上げた。


从゚∀从「違うね、俺の為って読むんだよ!」








この小説は2007年10月18日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:LdPvmFzc0 氏
タイトルがなかったので、それっぽいタイトルを付けました


お題
・勇気
・ハロウィン
・人の為と書いてなんて読むか知ってるか?


ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2009/12/31 23:26 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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