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从 ゚∀从達は夜に吠えるようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




それは閑静な住宅街から離れた場所に位置していた。
月の光に照らされ、不気味なその姿を露にしている。
壁は所々穴が開いており、植物の蔓に絡まれ覆われている。
台風でも来たら、吹き飛ばされてしまいそうな木造二階建ての建物。

『絶望荘』

近隣に住む住民からはそう呼ばれている。
そこには世間一般的に、負け組と呼称される者達が住んでいた。
ハインリッヒ高岡も絶望荘の住民の一人。



1_20091231221026.jpg



0時23分

从#゚∀从「眠れねぇ!もう一週間起きっぱだぜ!!イエイ!」

ハインは叫びつつ、上布団を豪快に蹴り飛ばし起き上がった。
パンツ一丁と、凡そ女らしからぬ格好をしている。
目のふちには大きな黒い隈が出来ていた。

从 ゚∀从「ハッハッハ!他の奴らも呼ぶか!!」

ハインは不眠症により眠れぬ日々を過ごしている。
それに起因してかハインの精神は相当、躁になっていた。

立て付けの悪い玄関の扉を蹴り飛ばし、ハインは外に出た。
ハインは深呼吸して、腹に力を込める。
そして夜の静寂を切り裂く様な大声を放った。

从#゚∀从「おるぁ!お前ら!!宴の時間だぜ!!」

その叫びに呼応するかの如く、両隣の扉が開いた。
両隣の部屋の住民がハインに声をかける。

(;'A`)「毎晩毎晩うっせーよ!」

(;^ω^)「ハイン、ぶち殺すお!」

彼等はハインに罵声を浴びせかける。
しかし、ハインは瓢瓢とした表情で口を開く。

从*゚∀从「ニートのブーンと売れない小説家のドクオじゃないか!!」

从 ゚∀从「さぁ、愚人共よ!俺の部屋で宴会しようぜ!」

(;'A`)「人の話を聞け!そして服を着ろ!」

( ^ω^)「是非、筆下ろしして貰いたいお」

(;^ω^)「じゃ、じゃなくて!僕はエロゲで忙しいんだお!」

そんな彼等の言葉を聞き、ハインは落胆の表情を浮かべた。
暗い顔をしながら、ぼそぼそと小さな声で呟く。

从 ∀从「良いさ良いさ……。どうせ俺は世間の除け者なんだ……」

(;^ω^)「……ずりぃお。分かったお」

(;'A`)「はぁ……執筆中なのに。酒用意するからちょっと待っとれ」

その言葉を聞くと、ハインの表情がパァッと明るくなった。

从 ゚∀从「よし!クーと、ツンかデレか分からねぇけど誘って来い!」

从*゚∀从「じゃあねんー。童貞共よ!」

そう言い残し、ハインは部屋の中へ颯爽と戻って行った。
残された童貞達は口々に愚痴を溢す。

( ^ω^)「あの性格、何とかならないのかお?」

('A`)「隔離病棟にでも強制収容させない限り無理だ」

( ^ω^)「ですよねー。じゃあ、クーと……」

('A`)「昼間会った時はツンだったかな」

(;^ω^)「まじかお……。苦手なんだお、あの人」

そんな話をしている二人の前に、パジャマ姿の少女が現れた。
腰まである長い黒髪に、整った顔の美少女。
しかし目は赤く腫れ、右腕には痛々しい刃物に因る傷がいくつも刻まれていた。
それらの要素が少女の魅力を台無しにしている。

('A`)「……また、やったんか」

( ^ω^)「クー、ハインが呼んでるお」

川 ゚ -゚)「聞こえてた。何時もの馬鹿騒ぎには辟易とさせられる」

川 ゚ -゚)「毎晩毎晩……ゆっくりとさせて欲しいんだがな」

クーと呼ばれた少女は仏頂面で、冷めた口調で言葉を放った。
そしてハインの部屋の扉を開け、中に入って行く。
そんな様子を見ていたブーンとドクオは口を揃えて言った。

( ^ω^)('A`)「……素直じゃねええぇぇぇ!!」

(*^ω^)「『一人で寂しかったよぉ……ふえぇぇん』」

(*'A`)「『毎晩、この時間が楽しみなんだよぉ』」

(*^ω^)(*'A`)「分かりやっす!」


从 ゚∀从「よう!俺の記憶が正しければクー!クーじゃないか!!」

川 ゚ -゚)「ハイン、ちょっと煩いぞ。あと服を着ろ」

从*゚∀从「やーだねー。これが俺流のファッションだぜ!」

クーがハインの部屋に入るや否や、浴びせ掛けられる大声。
冷めた表情をしながらクーは受け答えをする。
そしてハインの隣で三角座りになった。
ハインはそんなクーをじっと見つめ、マシンガンの様に言葉を放つ。

从 ゚∀从「クーは勿体ねぇ!そんなに美人なのによ!!」

从 ゚∀从「あぁっ勿体ねぇ!俺がクーなら男をはべらせるね!!」

川 ゚ -゚)「…………」

心底興味無し、といった顔でクーは部屋の隅を見ている。
そんなクーの頭にそっと手が添えられた。
クーは驚き、目を大きく見開いた。
クーの頭を優しく撫でるハインの手。
先程のがなり声とは一変して、優しいハインの声。

从 ゚∀从「よしよーし。またいじめられたんかー」

从 ゚∀从「何かあったらハインお姉様に言えよー」

从 ゚∀从「気が向いたら駆け付けてやるからよ」

川  - )「ハイン」

クーの胸の奥底に熱い何かが駆け巡る。
耐えきれなくなり、クーはハインに抱きついた。
そんなクーの背中に手を回し、ぎゅっと抱きしめるハイン。

从 ゚∀从「お前何歳だっけ?」

川 ゚ -゚)「17だな」

从 ゚∀从「でっけぇ甘えん坊だな、おい」

煩い―――とクーの口癖が出る前に玄関の扉が開いた。
童貞二人と女性一人が姿を現した。


(*^ω^)「ちょ、きたこれ!百合現場発見だお!」

(*'A`)「これは執筆意欲が駆り立てられるな」

ξ ゚⊿゚)ξ「……あんた達の頭に百合の花が咲いてるんじゃないの」

三人の突然の登場により、クーはハインの体から離れた。
ハインは名残惜しそうにしていたが、再び大声を出した。

从 ゚∀从「よく来たな!社会の屑!鳴かず飛ばずの小説家!」

( ;ω;)(;A;)「ひでえ」

从 ゚∀从「そして結婚なにそれ?三十路の魔女!ツン!!」

ξ ゚⊿゚)ξ「死ぬ覚悟は出来てる?私は殺す覚悟は出来てる」

ツンの殺人予告を華麗にスルーし、ハインは深呼吸した。
そして再び、耳をつんざく様な大声を放つ。


从#゚∀从「宴会の始まりだぜえええぇぇぇ!!」

2_20091231221026.jpg



その言葉を皮切りに宴会が始まった。
自分勝手なハインにより、毎晩の様に繰り広げられる宴会。
それは夜もすがら、朝日が差すまで終わらない。

('A`)「三十越えてゴスロリは無いわ」

ξ ゚⊿゚)ξ「もう不惑なのに、売れっ子目指してる馬鹿に言われたくないわね」

(#'A`)「言ったな!?今、書いてるのは自信作なんだぜ!!」

川 ゚ -゚)「煩いぞ」

(;^ω^)「まぁまぁクー……。自信作って、この前見せて貰ったアレかお」

从 ゚∀从「どんな小説なんだよ?」

('A`)「こんな事もあろうかと持って来ている」

ドクオは茶封筒から原稿用紙を取り出した。
そして、床に原稿用紙を広げる。
ハイン達は一枚一枚手に取った。

从 ゚∀从「どりゃどりゃ?」

(*'A`)「この推理小説は間違い無く売れる!」


ドクオの自称自信作を読んだ者達は引きつった笑顔で口々に溢した。

川 ゚ -゚)「これは凄い小説だな」

(;^ω^)「何度見てもこれは……」

ξ ゚⊿゚)ξ「……ごめんドクオ、売れると思うわ」

(*'A`)「な?そうだろ?そうだろ??」

从;゚∀从「何だ、この中二病小説は!全身が痒くなって来やがったぜ!!」

(;^ω^)ξ;゚⊿゚)ξ「ちょ、おま!!!」

('A`)「そういうケースもあるな」

(;^ω^)「流石ドクオ!都合の良いように捉……いやいや、前向きだお!」

(*'A`)「あんまり褒めんなよ。俺調子に乗ってしまうじゃねえか」

(;^ω^)ξ;゚⊿゚)ξ川 ゚ -゚)「…………」

从 ゚∀从「推理小説なのに『闇より授かりし能力』って何だよ」

ξ;゚⊿゚)ξ「ハイン、自重しなさい」


この様な馬鹿騒ぎを絶望荘の住民は、毎晩の様に行っている。
なので近隣からの苦情はしょっちゅうで、警察が呼ばれる事もある。

それでも、彼女達は辞めようとしない。
社会から爪弾かれた負け犬達は、精一杯に吠えるのだ。
夜の間だけ――腹の底から吠え続け、朝には、倒れる。
その繰り返しの毎日。
彼女達はそんな毎日を気に入っていた。

从 ゚∀从「……もう、朝かよ」

ハインは部屋を見回す。
酔い潰れて寝ている、ニート、駄目小説家、、精神薄弱者、謎多き魔女。

从 ゚∀从「……さってと、仕事始めっか」

ハインはそう呟くと、服を着て外に出た。
外には夏の朝特有の、冷たく澄んだ空気で満ちていた。
ハインは箒を手に鼻唄を奏でながら、表の掃除を始める。
入口の表札を見ると『絶望荘』といたずら書きがされていた。

从#゚∀从「またかよ、毎日毎日掃除する身にもなれっての」


ハインは愚痴を溢しながら、エプロンのポケットから雑巾を取り出し表札を拭いた。
朝日に照らされ、輝く、本当の名前。



从 ゚∀从「希望荘……っと。これで良し!」






この小説は2007年7月21日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:fTxSLB/HO 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです


お題
・絶望
・夏


ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2009/12/31 22:11 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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