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はじめてブーン系小説を読む方は
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J( 'ー`)し「ゴホッ!ゴホッ……! タケシ、悪いんだけど薬を買ってきてくれないかね?」
('A`)「うるさい黙れ。お前の声が耳障りだから出掛けてくるわ」
俺はタケシ。
皆からはドクオと呼ばれているがカーチャンから貰った名前はタケシだ。
だが、やはりタケシと呼ばれると気恥ずかしさからか心にもなく暴言を吐いてしまう。
('A`)「さて、行くか」
適当な服に着替えて出掛ける準備をする。
もちろん薬を買いにだ。
心の中で暴言を悔やみながら俺は家から出た。
カーチャンは俺が生まれてから今まで一時たりとも愛情を注がない時はなかった。
学校でいじめられた時も、カーチャンだけは俺の味方だった。
本人には言えないけど……俺はカーチャンが大好きだ。
と、そんな事を考えているうちに薬屋に着いたらしい。
やけににやけた店員がこっちを見てる。
こっち見んな。
( ^ω^)「おっおっおっwww久々のお客さんだお」
え、薬屋のくせに客が久々なんてどういうことだ?
これは店を間違えたかもな。
( ^ω^)つ□「とにかくあなたが求めてる薬はこれですお。お代は要らないお」
なんかよくわからないけど薬をもらえた。
ラッキーっちゃラッキーか。
家に着くとカーチャンがまだ咳き込んでいた。
さっき貰った薬を渡すことにする。
('A`)つ□「ほれ、お前の咳がウザいからこれでも飲んでろ」
J( 'ー`)し「タケシ……ありがと…ありがとね……」
おいおい、何で薬渡しただけで泣きそうになってるんだよ。
なんか俺の視界まで滲んできたじゃねぇか。
俺は情けない顔を見られるのが嫌で、一旦カーチャンから離れた。
数分経ち、落ち着いた頃にカーチャンの元へ戻る。
どうやら薬を飲んだようだ。
J( 'ー`)し「薬ありがとね。やっぱりタケシは良い子だよ」
良かった。効いてる。
('A`)「うるさい。黙ってろよ」
J( 'ー`)し「ごめんね。カーチャン嬉しくてね」
J( 'ー`)し「そうだ、買い物に行こう」
え? 唐突過ぎるだろ。
何があったんだ。
J( 'ー`)し「タケシとずっと昔から買い物行きたくてね。ダメかな」
なんでそんなに切実な目で見つめるかな。
そんなの反則だろ。
('A`)「お前が代金全額払えよ」
カーチャン、頼むからそんな嬉しそうな顔するなよ。
ただ一緒に買い物行くだけなんだぜ?
でも、一緒に買い物なんて何年ぶりだろ。
J( 'ー`)し「カーチャン準備済んだよ。行こうかね」
準備早いなオイ。
薬の効き目は絶大か。
そこから俺らは話をしながらカーチャンの行きたい店に向かった。
カーチャンは嬉しそうに語り掛けてくるが、案の定俺は暴言で返してしまうのであった。
そんなこんなでしばらく歩くと、俺らの前に現れた店は
('A`)「薬屋……?」
さっきの薬屋だった。
あのにやけ顔の店員がまたこっちを見てる。
( ^ω^)「いらっしゃいませだお」
なんでまたここなんだ?
俺の中で解けない疑問は頭の中をぐるぐる回り続けた。
('A`)「おい、何でこの店なんだよ」
J( 'ー`)し「なんか気付いたらこの店いてね。嫌だったらごめんね」
カーチャンが少し悲しそうな顔をする。
そんな顔はやめてくれよ。
( ^ω^)「ここには色々あるお。何かお望みの物はありますかお?」
色々あるって言っても、店にあるのは怪しげな液体の入ったペットボトルがピアノ線で大量に吊らされてるだけだ。
何を言ってるんだこいつは。
J( 'ー`)し「私は……タケシの心からの言葉が欲しいね」
俺は耳を疑った。
カーチャンは何を言ってるんだ。
( ^ω^)「ご注文承りましたお」
(;'A`)「おい、どういうことだよ!」
俺はたまらず声を上げた。
にやけた店員は俺を見つめている。
( ^ω^)「あなたのお母さんに飲ませた薬は自分の純粋な気持ちに素直になれる薬だお」
( ^ω^)「あなたが先ほどここに来たとき母親への罪悪感にまみれてたから、
薬に念を込めてここに来るように仕向けたんだお」
(;'A`)「ちょ……、そんなこと本気で言ってるのかよ」
精神でも病んでるんじゃないかと心配するような回答をした店員。
にわかには奴の言葉は信用できない。
( ^ω^)「本気と書いてマジと読む、だお。
本当はあなたは母親に素直になりたいんだお」
それなら、この薬を飲むと良いお。
そう言って店員はさっきの薬を俺に渡す。
どうするか悩んでいると、カーチャンが言葉を発した。
J( 'ー`)し「タケシが嫌なら飲まなくても良いからね」
それが気持ちに素直になった言葉かよ。
それが嘘偽りのない言葉なのかよ。
そこまで俺は心から愛されてたのかよ。
('A`)「……飲む」
薬を口に放り込む。
水なんて要らない。
そのまま薬は投げ込んだ勢いに乗って喉を通っていった。
('A`)「カーチャン……」
気付いたら俺はカーチャンを呼んでいた。
カーチャンなんて呼んだのも久しぶりだな。
なんか目が熱くなってきたぞ。
(;A;)「カーチャン……俺……俺……」
涙が込み上げて言葉がうまく出ない。
今までの感謝や謝罪の言葉を告げようとするがうまくいかない。
それでもなんとか出した言葉は……
(;A;)「俺……カーチャンのこと……大好きだ!」
シンプルでも俺の気持ちを凝縮した言葉であった。
よく見るとカーチャンの目にも小粒の涙が光っていた。
J( ;ー;)し「タケシ……カーチャンもタケシのことが何よりも一番だからね。
誰よりも愛してるからね」
思えばいつも苦労ばかりかけていた。
心の中で謝っても言葉で告げないと相手には伝わらないなんて常識だった。
カーチャンはいつも俺に傷つけられていたんだ。
――本心を伝えられて良かった。
俺らはそれから店員の目も気にせずにワンワン泣きあった。
悲しみの涙じゃない、とても温かな涙だった。
そして互いに涙が止まると、俺は店員に向き直り
('A`)「今日は本当にありがとうございました」
と、真っ赤にした目で見据えてお礼を言った。
にやけ顔の店員はより一層にやけて嬉しそうな顔していた。
('A`)「さ、カーチャン帰ろうぜ」
J( 'ー`)し「そうだね、タケシは今日の晩御飯は何が食べたいかい?」
('∀`)「カーチャンの手作り料理」
そして俺らは手を繋いで近所のスーパーへ向かった。
若干気恥ずかしさを覚えたが、何て事はない。
家事でボロボロになったこの手の持ち主を守るのは俺しかいないんだ。
カーチャンは一生俺だけのカーチャンなんだ。
( ^ω^)「あの親子、きっとこれからずっと幸せだお」
客人が去った店で店員が嬉しそうに呟く。
( ^ω^)「おっと、涙の入ったペットボトルはどうなったかお」
急に思い出したのかのように店員は吊されたペットボトルを見る。
先刻に比べてだいぶ満たされているようだ。
( ^ω^)「おっおっおっwww大量に増えたお」
( ^ω^)「僕は心をほぐす純粋屋。お代は『涙』で良いんだお」
( ^ω^)「それでは今日は店仕舞いだお」
最後に店員は先ほどの親子の永遠の幸せを願いながら店を片付けた。
まだ見ぬ明日の客人を迎えるために。
~完~
この小説は2007年5月19日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:Pd+AFnr7O 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです
お題・涙の入ったペットボトル
・そうだ、買い物に行こう
・純粋
・本気と書いてマジと読む
・ピアノ線
ご意見等あれば米欄にお願いします