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( ^ω^)達は月に願い事をするようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




( ^ω^)「ドクオの好きな子って誰なんだお?」

(*'A`)「禁則事項です」

(;^ω^)「みくる……。似てないし、きめぇお」

ブーンとドクオは学校を出て、家への帰路についている。
高校生に有りがちな話をしながら、彼等は歩く。
学業を疎かにしている彼等は、当然の如く追試を喰らい、
下校時間が遅くなってしまっていた。
辺りはすっかり暗くなり、街は夜のソレへと変化している。
ドクオが携帯電話で時刻を確かめると、20時23分と表示されている。

空には満天の星空と、お月様。
まぁるい、まぁるい、お月様。

( ^ω^)「…………」

('A`)「ん?どうした?ブーン」

全く人気の無い路地に差し掛かった時、ブーンの足は止まった。
ブーンは沈黙し、空を見上げた。
星空を、いや、月をブーンは、じっと見つめている。
ドクオもブーンと同じ様に空を見上げて、感嘆の声を漏らす。

('A`)「満月か。綺麗だな」

( ^ω^)「そうだお。だから狂ってしまうんだお」

('A`)「ブーン、何を」

言っているんだ?と言い終える前に、近くからかすかに声が聞こえた。
何と言ったのかは聞き取れ無かったが、
その声はドクオにとって、心地の良い物であった。

ドクオは、月から声のした方向へと振り向き、視線を移す。
そこにはドクオの想い人の姿が在った。
ブーンはまだ月を見つめている。

(*'A`)「クー!」

ドクオは大きな声を張り上げたが、緊張の余り変な声色になった。
緊張に照れが加算され、ドクオの顔は真赤になる。

街灯の光によって映える、腰まである長い黒髪。
端整な顔立ちに、気品の良い珈琲の様な黒い双眸。
ドクオは彼女の目が特に好きだった。
夜の闇のせいで、よく見えないのが、酷く残念に思えた。

(*'A`)(でも、いつ見ても可愛いな……)

しかし、ドクオが好きなその目は、今はブーンに向けられている。
クーは、ドクオの隣で未だ月を見つめているブーンへと問い掛けた。

川 ゚ -゚)「ブーン、良い塩梅に狂っているんだろう?」

淡々とはしているが、何処か優しい印象を覚えるクーの声。
声の調子は、学校での彼女の物と差異は無かった。
しかし、決定的に違う部分があった。

川 ゚ -゚)「私の声が聞こえなくなるまでに狂ったか?」

もう一度、クーはブーンに問い掛ける。
ブーンはやっと月から視線を外して、クーへと振り向く。
そして、ブーンはゆっくりと返答する。

( ^ω^)「流石にそこまでは狂っていないお」

(;'A`)「おい!一体、何の話をしてんだよ!!」

ドクオは、いつもとは感じが違う二人に不快感を覚え、声を荒げた。
先程から繰返されている『狂う』という言葉。
ドクオ達の普段の日常では、冗談で言う時にしか使わない。

だが、今、ブーンとクーは大まじめに真剣に使っている。
決定的に違う部分に、ドクオは一種の気持ち悪さを覚えた。

ドクオの叫び声を無視し、ブーンとクーは沈黙しながら、じっと見つめ合っている。
ドクオの目には、二人が恋人同士の様に映り、少し腹が立った。

('A`)(え?何で、俺、こんな時に……)

夏の夜独特の温い風が吹き、三人の髪を撫でる。
次の瞬間、ブーンとクーは同時に口を開いた。


「―――さぁ、殺し合おう」


今度こそ、ドクオは本当に気持ちが悪くなった。
どうやら、二人が言うには殺し合いが始まるらしい。
ドクオは唯、笑う事ぐらいしか出来なかった。

('∀`)「ははっ!何だこいつら!」

玉響の静寂の後、ブーンとクーは再度、同時に口を開いた。
ブーンは力強く。
クーは静かに。


( ^ω^)「僕に力を貸せお!『文月』!!」

川 ゚ -゚)「私の願いに応えてくれ。『霜月』」


突如、激しい風が巻き起こった。
街灯の鉄柱を反り返り、地面の砂が飛散し、景色が歪む。
堪えきれなくなったドクオは、後方へと石ころの様に転がった。
俯せの状態になったドクオは、少し目を開き、ブーンの背中を見る。

ブーンの右肩に、幅広の大剣が携えられているのが視認出来た。
長い柄に、ブーンの身長よりも長い、銀色の刀身。

('A`)(何だ、あれ?ツヴァイハンダー?格好良いな)

( ^ω^)「クーは『霜月』だったのかお。久し振りに見たお」

川 ゚ -゚)「ブーンは『文月』か。それの使い手は何人殺したかな……」

クーはだらりと左腕を下ろしている。
その先、彼女の小さな左手には黒く、細い小太刀が軽く握られている。

('A`)(文月って何だっけ?霜月は同人アーティストだったか?)

ドクオは、この状況にそぐわない思考を張り巡らせている、自分自身に驚く。
何故、絶望的なまでに意味不明なのに、こうでいられるのか?
ブーンとクーの事はひとまずシャットアウトして、理由を考える。
そして、彼は思い出した。


('A`)(あぁ、忘れてたわ。あの時から俺はそうだった)



20070808225100.jpg




風が止んだ。


( ^ω^)「朔」

棒立ちのまま一言呟くと、ブーンの姿が消えた。
いや、『消えた』という表現は正確ではない。
目にも止らぬ素早さで、彼は動いているのだ。

川 ゚ -゚)「遅い。既望」

今度はクーの姿が目視出来なくなった。
絶え間なく響く金属音と、それと同時に咲く火花。
その二つの事象だけがドクオの脳で処理され、言葉を吐かせる。

('∀`)「ずりぃよ。俺も混ざりてえよ」

ドクオは立ち上がり、ふらふらと火花に近寄る。
彼は四方に手を延ばし、ブーンかクーを掴もうとする。

('∀`)「俺も!俺も!俺も殺し合いたい!」

そんな彼の腹に、凄まじい衝撃が走った。
吹き飛ばされ、今度は仰向けに倒れた。

川 ゚ -゚)「邪魔をするな、屑が」

( ^ω^)「級友を蹴り飛ばすとは、ひでえ女だお」

川 ゚ -゚)「屑が一人ぼっちで可哀相だから、仕方無く友人を演じているお前には言われたくない」

( ^ω^)「フヒヒ!さもありなんだおー」

ブーンとクーは10m程距離を取り、ドクオに目もくれず話している。
想い人に屑呼ばわりされ、全てが偽りだった友情。


('∀`)「そうか、そうだったのか!」


ドクオの心は跳ね上がった。
仰向けに倒れたまま月を見る。
綺麗だ。
綺麗過ぎる。

五歳の時、両親を他殺に見せかけて、殺害したあの夜も月が綺麗だった。

ドクオの仮面が剥れ落ちる。
幼き頃の狂った自分が姿を現す。
月から声が聞こえる。


『力を望むか』


('∀`)「勿論だ。こいつら殺したい」


『君で99人目。全ての契約が完了した』



( ^ω^)「さて、お遊びはここまでだお」

川 ゚ -゚)「私の願いの為、お前には死んで貰うよ」

ブーンは上段に文月を構えた。
クーはやはりだらりと腕を下ろしている。
二人が攻撃の所作へと移った時、声が響いた。


「俺も混ぜろっつってんだろうがよ」

( ^ω^)川 ゚ -゚)「!?」


ブーンとクーは振り向く。
そこには全長2mは越えているであろう、和弓を左手に持ったドクオが居た。
月の輪郭の様に優雅に曲がった形状、そして弓である筈なのに弦が無い。


川 ゚ -゚)「『弥生』……」

( ^ω^)「こいつは初めて見たお」

('∀`)「やっと、俺を見てくれたな」

('∀`)「まずはブーン、お前からだ!」

ドクオはそう言い放つと、弓を構え、ブーンに狙いを定めた。
矢も弦も無い弓だが、彼は使い方を知っている。
月から貰った膨大なデータは、脳にインストール済みだ。
息を整え、精神を集中させる。
弦の無い部分を、恰も在るかの様に引っ張る仕草をする。

('∀`)「矢は、心その物だ―――弓張月半月」

ドクオの笑いを堪えた声と共に、矢がブーンに向け一直線に放たれた。
淡い黄色の矢が、光の粒子の尾を引きながらブーンへと迫る。
もう少しという所で、ブーンの姿は掻き消えた。

光の矢はブーンが居た所を通り抜け、コンクリートの壁に刺さる。
瞬間、轟音と共に、コンクリートの壁は粉々に爆破された。

('A`)(ちっ!見失うとは……戦闘経験不足か。ブーンはどこへ)

全神経をフルに集中させ、ブーンの気配を探る。
そしてドクオは、闇夜に怪しく光る双眸を察知した。

('A`)(目の前!?速すぎるッ!!)

  ゚ ゚)「幾望」

小さな声と、文月が風を斬る音がドクオの耳に届く。
縦斬りか、横薙ぎか、または突きか、どんな動作か分からない。
ドクオは勘に頼る他無かった。

('A`)(実力が違う……)

ドクオは賭けに打って出、上へと跳躍した。
直ぐ下では文月が横に薙がれた音。

( ゚ω゚)「運が良かったのかお?それとも実力かお?」

('∀`)「実力に決まっとる―――下つ弓張」

二階建の建物の屋根ぐらいまで跳躍したドクオは、ブーンに向け再び矢を放った。
しかし、ブーンの文月により切り払われる。

('∀`)「つえー!今のままじゃ楽しめねぇ!」

('∀`)「またな!ブーン!そして殺したい程好きなクー!」

ドクオは屋根から屋根へと飛び移りながら、足早に去って行った。

( ^ω^)「…………」

川 ゚ -゚)「今夜はもう殺し合えんな」

先程の轟音を聞いた付近の住民が通報したのだろうか、
遠くからパトカーのサイレンの音が近付いて来る。




ドクオは街を一望出来るVIPタワーの頂上で、足を組みながら座っている。
他の誰よりも月に少しだけ近い場所。
満月を見上げ、ドクオは語り掛ける。


('∀`)「何で俺が親を殺したか知ってる?」

('∀`)「欲しい玩具を買ってくれなかったんだ」

('∀`)「ムカついてグズったけど、殺意は無かったね」


でもさぁ、と聞き取れない程の小さな声で言葉を繋ぐ。

('∀`)「あの日の満月が綺麗だったんだ」

('∀`)「殺意が湧いた、狂った、殺した」

満月は無粋な雲によって隠された。
時間を経て、ゆっくりと雲が流れて行く。
そして、再び満月が姿を現した時には、ドクオの姿は無かった。

月は嘲りながら謂う。


『勿論、知っている』


『私が仕組んだ事だから』


月は人を狂わせる。






この小説は2007年7月31日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:oc4HY+YZO 氏


※作者による作中解説
  朔→新月
  既朔→二日月
  弓張月半月→上弦
  下つ弓張→下弦
  幾望→小望月(月齢で満月一歩手前)

  満月に近い程、威力が強くなるという厨設定。
  満月から晦(つごもり)向うにつれ、テクニカルに。



これの長編となる ('A`)達は月に願い事をするようです がオムライスさんで紹介されています
そちらも併せてご覧ください



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2009/12/31 19:23 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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