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('A`)はまるで屍のようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




男の名は、ドクオ。
人相は最悪だが、これでも公僕である刑事として生計を立てている。

('A`)「ったく、何で俺がこんなくだらねぇ事件を……」

現場で活躍すること十三年。
三十路もとっくに過ぎ、掻き毟った頭には若干白髪が混じっている。


('A`)「しかもこれから張り込みときたもんだ、お偉いさんの作戦は流石ですねぇ」

たっぷりと皮肉を込めて独り言を呟く。


しこたま悪態をついた後は、菓子パンとペットボトルを片手に木陰で見張りを開始。
星一つ見えない汚れきった夜空を見上げ、ドクオはにやりと笑う。

まるで、この世の中みたいじゃねぇか。



20070807211057.jpg



('A`)「ふぁ~……ねみぃ……」

張り込み続けて二時間弱。
何の変化もないままに時間だけが無情に過ぎていった。

('A`)「帰りてぇ……あふぅ……」

もう一つ、小さな欠伸を漏らす。


最近は、ちっとも心を焦がすような事件なんて起きやしない。

若い頃は連続殺人犯の立て篭もる小屋に突撃したこともあった。
それなりの手柄も得てきた。
それが今じゃどうだ、こんな末端の誰もやりたがらない事件に回されている。


('A`)「……まっ、別にいいけどよ」

自分を嘲笑うかのように、月に話しかける。
月は決して男に言葉を返すことはなく、ただ平等に世界を照らすだけだった。
そんな月明かりの下で、ドクオは数年前を振り返る。



――――――――――


( ・∀・)『ドクオ君、ちょっといいかい』

('A`)『何すか』

自分の名を呼ぶ声
声の主はモララー。ドクオの上司だ。
早々と出世街道を歩んでいったエリート中のエリート。

彼が最も忌み嫌うタイプの人種である。

( ・∀・)『言いにくい事なんだけどね、君には今回の事件から外れてもらうことにしたよ』

('A`)『……はぁ!? 何言ってんすか!? 納得できません!』

( ・∀・)『納得云々じゃなく、私の判断だ。従ってもらうよ』

('A`)『従ってもらうも何も、俺はこの事件に一番熱意を注いでいる人間だと自負しています!』

ドクオの熱のこもった叫び声が刑事課の一室を支配する。

(#'A`)『俺は昔からずっと、刑事として活躍することを夢見ていました!
    そして今、実際にこうして最前線でやっています!
    この事件を解決に全力を尽くすことが、今の俺の生きがいなんだよ!』

思わず語尾を荒げる。
平然とした様子でモララーはその様子を見ていた。

( ・∀・)『熱意じゃなくて、結果が全てなんだ。理解してくれ』

('A`)『理解なんてできねぇっすよ! 俺は……』

そこで言葉は遮られ、モララーが口を挟む。

( ・∀・)『あこがれは理解ともっともかけ離れている感情だよ』

何の感情も込めず、冷たく言い放った。

('A`)『……分かったよ、これだから一度も現場に出たことのない人間は嫌いだぜ!』


そう言い残して、ドクオは席を外した。
辺りから聴こえてくるのは、嘲笑と憐みの声だけだった。


――――――――――



今思えば、あれが人生の転機だった。

それからというものの、与えられる事件はカスみたいな物ばかり。
刺激の連続だった日々は退屈で堪らない毎日へと変わっていった。


子供の頃の憧れを叶え、こうして刑事をやっているというのに、
現実は自分を否定するかのように厳しく、儚かった。


('A`)「何のために、俺はこうしてるのかねぇ」

ドクオはそこでもう一度、今度は深く溜息をついた。

('A`)「……ん?」

現実に帰ると、墓場に怪しげな影が見える。
置かれた墓石に二度三度触れると、それを蹴り倒した。
これまでの被害において、墓石が全て倒れていたのを記録している。

間違いない。犯人だ。

('A`)「やっと現れやがったな……!」

このカスが。
墓荒らしなどという腐れ外道。
ただ迷惑を与えるだけの、生きている価値のない人間。
八つ当たりの感情を交えつつ、銃口を影に向ける。

('A`)「動くんじゃねぇぞ、そこのお前」

ドクオがドスを利かせた声で凄む。
だが返ってきた反応は意外で、死体を漁っていた男は振り返ると睨みつけてきた。


( ゚д゚ )「こんな時間に墓場に来るとは、もしやお前も死ねない身体か?」

睨みつける男の目。
どこか寒気すら感じられる眼差しに、ドクオは少し困惑する。

('A`)「何訳分んねぇこと言ってんだてめぇ、こっち見てんじゃねぇよ」

ドクオは先制攻撃と言わんばかりに、男の足元に一発威嚇射撃をお見舞いする。

('A`)「死にたくなかったら大人しく言う事を聞くんだな
   まずは署に行く前に名前と動機を……」

( ゚д゚ )「そうか……お前は俺を殺す気なのか……」

('A`)「はぁ?」

何言ってんだコイツ。

( ゚д゚ )「お前なら、俺を殺してくれるかもな……」

男はまるで夢遊病患者のように意味の分からない言葉を呟く。
それがドクオの神経を逆撫でし、怒りに任せてもう一発威嚇射撃を行う。

(#'A`)「ふざけてんじゃねーぞ! さっさと答えやがれ、この下衆が!」

跳ね上がる漆黒の土。
しかし、男は怯むことなくドクオを睨み続ける。

( ゚д゚ )「……殺せ。もし出来なければ、お前を殺すしかないな」

全くもって意味不明だ。答えるのも面倒くさい。
ドクオは一旦考えることを放棄し、話を先に進める。

('A`)「何のために墓荒らしなんかしてやがんだ?」


( ゚д゚ )「食うため」


('A`)「……何だと」

( ゚д゚ )「俺は死んだ物しか食えないんでな。それ以外のものは毒みたいなもんだ。
    死んでいると言っても、命がではない。
    この世に存在価値が無くなった物という意味だ。
    死体は最もそれに適しているからな」

そう言って死体の腕をかじる。

( ゚д゚ )「かと言って、自ら毒を食って自殺することも出来やしない。
    死者である俺の意思が込められて、この世で最も価値のない物に成り果てるからな」

あまりにも突拍子で、現実離れした言葉と行動の数々。
頭が破裂しそうになり、立ち込める腐敗臭に鼻を曲げる。

混乱するドクオの頭の中で、ただ一つだけ分かっていることがある。


――――こいつは、くだらない俺の一日を楽しませてくれる。


男に興味を抱いたドクオは、更に質問を続ける。

('A`)「……お前、一体何者なんだよ」

( ゚д゚ )「死に場所を求めるリヴィングデッド、とでも言っておこうか」

('A`)「そうか、屍か」

全てがねじ曲がっている。

('A`)「なら、ぶっ殺しちまっても問題ねぇよな」

だが、そんなことはどうでもいい。
こいつが言っていることが、例え真だろうと偽だろうと、
俺の心は久々に熱く燃えたぎっていることは紛れもない事実。

ドクオはそう心の中で囁き、この異形と出会わせてくれた運命に感謝しつつ、
現実から外れた人外に向けて、引き金を引いた。

頭、心臓、股間に一発ずつ。
銃弾は的確に急所を捉え、男はその場に倒れた。


('A`)「おい、死んだか」

男がただの人間だとしたら、懲戒免職は免れない。
たとえ、「殺らなければ殺られる」としてもだ。

だが、それでも構わないとドクオは考えていた。
代り映えのしない日々をずるずると続けるよりは、この緊迫した空気を楽しみたい。

ただ、それだけを考えていた。


('A`)「……答えろよ、死んだのか?」


ドクオは男の元へと近寄っていく。

ぴくりとも動かぬ男の体。
ひとつ奇妙なのは、傷痕から血が全く流れていないこと。


( ゚д゚ )「……ふん!」

(;'A`)「なっ……」

限りなく近づいたところで、男がむくりと立ち上がる。
銃弾が突き抜けたと言うのに、全くと言っていいほどダメージを負っていない。


( ゚д゚ )「言っただろう。俺は一度死んだ身、もう死ぬことはない」

男は無防備なドクオの首を掴む。

( ゚д゚ )「良い銃だな、標準的なリボルバーか。
    即ち残された銃弾はあと一発……お前は何もできないな、残念だ」

握る手の力を強め、首をねじ切ろうとする。
その力は圧倒的で、とても人間業とは思えないほど。
ぎりりと軋む音が響く。

しかしそんな状況下に置いてなお、ドクオは冷ややかな笑みを浮かべていた。

('A`)「成程な、あんたマジだよ。マジで化け物だ」

一分も表情を崩さないままで、再び銃口を男に向ける。
月光を浴びた銃身が美しく輝く。

('A`)「死にたいんだったら、俺が葬ってやるよ」


そう言って、銃弾を接近した男の口の中に撃ち込んだ。


(;゚д゚ )「ぅうぶっ! ぐぼおぉっ!!」

男が身悶えしながら、その場に倒れ込む。
血が微塵も噴き上げていないにも関わらず、苦しげな表情でもがく。


('A`)「お前、この世に存在価値のない物以外は毒って言ってたよな」

ドクオは「してやったり」といった顔をして男を見下す。


('A`)「だったらよ、俺の『お前を殺す』という意思を込めた銃弾は価値のないものか?
   違うだろうよ。俺の熱い想いはそんな安っぽいもんじゃない。
   俺は存在価値のない人間かも知れねぇが、こいつだけはそうじゃねぇんだ」


握りしめた銃を懐にしまう。
その際に心臓に触れ、高らかに鳴り響く鼓動の音を聞いた。


('A`)「……まっ、口の奥まで銃弾を届かせるなんざ近づかなきゃ無理だったけどな。
   油断してくれて助かったぜ」

(;゚д。)「貴様……狙いはそれか……。
     だとしたら……相当な食わせ者だな……。
     仮に失敗していたら、死んでいたぞ……?」

('A`)「違うな……死を畏れていないだけだ。
   俺の人生は生きながらにして死んでいる。
   そんなつまらない長い旅を、守る必要なんかどこにあるんだ?」

地を這いずり回る異形に、ドクオは最後にこう付け加えた。

('A`) 「……なぁ、お前が俺を食ったらどうなっていたと思うよ?」

(;゚д。)「分かりきったことを……間違いなく、俺が死んでいたな」

('A`)「そうか……予想外の答えだぜ」

(;゚д。)「よく言う……流石俺を殺してくれた人間だ……」

('A`)「うるせぇよ、俺は底辺の底辺だ。お前と同じ生ける屍さ」


ドクオは男の死に際を看取りながら、煙草を取り出す。
ジッポの炎は普段よりも明るく夜を照らした。


この人生にも、まだまだ楽しい事があったじゃねぇか。

そう呟きながら、ドクオは薄暗い墓場を後にした。






この小説は2007年8月1日から2007年8月2日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:xQ9m2rmN0 氏(ID:hKTGkk620 氏)
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです
なのですがお題が何か分かりません。ごめんなさい



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2009/12/31 19:17 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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