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わっ、私のお墓の前で泣かないでよねッ!


※小説として紹介しますが、これはブーン系小説ではありません




女「なっ、何でそんな湿っぽい顔してるのよ!普段の能天気なバカ面はどうしたのよ。
  私のお墓の前で勝手にメソメソしないでよッ!
  わ、・・・こ、こら!何本気で泣いてるのよ!
  ここに私は居ないんだからね!もう私はここには居ない・・・のに・・・・、

  泣かないで・・・ってばぁ・・・・、・・・ばか。」



20070805191927.jpg




男「女さん、もう納骨から三日間経つけどさ、
  まだ女さんが僕の側に居るような気がするんだよ。
  実は、ここんとこあまり眠れてなくて・・・。
  あっ、だけど、昨日は4時間くらい寝れたよ?
  今日も真っ先にここへ来たし、・・・睡眠不足とかは別にどうでもいいんだ。
  ・・・僕、あまり寂しいとは思って無いんだよ。
  だって、今だって毎日、女さんとお話出来てるんだから・・・」

女(一人でお墓に向かってブツブツ喋らないでよ。怪しまれるじゃない・・・。)



男「おはよう!女さん。今日もいい天気だね。」
女(うわ、もう一週間もお墓へ通い詰め、皆勤賞・・・)
男「今日は駅前で出てたたこ焼きがとても美味しそうだったから、買ってきたよ。
  はい、女さんの分。熱いから気をつけてね。・・・じゃあ、お先に。
  ・・・・・ッ!あちちちッ!ッちちちちちくぁwせfrftgyふじk」
女(お供え物なら素直にお供えしてよね・・・)



女(今日はどしゃ降りの大雨・・・。さすがに今日ばかりは男も来な)
男「女さ・・・ん、オハヨウ。」
女(・・・ゲェッ!)
男「今日はちょっと雨が強いね。大丈夫?濡れてないかな?」
女(いやいやいや、お墓は普通に濡れてるし、というか先に自分の心配をs)
男「ほら、今日は今川焼きが美味しそうだったから、・・・冷めてないと思うけど。」
女(今にも傘が捲れそうだし。・・・とっとと帰りなさ)
男「じゃあ、お先に頂きます。・・・あーもう、レインコートの裾が邪魔で・・・」
女(一度居座ると夜更けまでここに居るのよね・・・)



女(あち~~~~~ッ。人魂が暑いって言ってるんだから、今日は本当にクソ暑いわけで・・・)
男「おはよう、女さん」
女(あ、来た)
男「暑いね・・・。今日はアイスクリームを買ってきたよ。
  たしか女さんはブドウ味が好きだったよね。
  はい、ここに置いとくね。じゃあ、僕はお先n・・・
  ・・・うわあちちちちちちちちくぁlsd;fくえrjf」
女(ばか、墓石に触っちゃって勝手に火傷してる・・・)
男「ちちちちっ、ちっ。ゆ、油断大敵だったね」
女(男・・・)
男「じゃあ、お先にね。ぁむっ・・・」
女(この時間は学校のはずなのに・・・)



女(・・・、今日は男、遅いな)

長身女(あら、今日は彼、遅いじゃない)
女(うわぁぁぁぁぁっ!・・・ななっ、何ですか急に!)
長身女(嫌だ、ちょっと大袈裟に驚きすぎだってばー。
     ここの墓地ではよく私のこと見かけるでしょ?)
女(でっ、でも、まさか話しかけられるなんて・・・)
長身女(お互いでは話せないと思ってた?同じ穴のムジナよ。
     他にも何人か見かけてるでしょ?昇天しないで残ってる人、けっこう居るのよね)
女(あ・・・)
長身女(いいなー。死んだ後も想ってくれてる人が居るなんて。
     なかなか一途じゃないの、彼。ちょっと羨ましいよ)
女(そっ、そんな!むしろ毎日お墓の前に居座られて、こっちはいい迷惑ですよッ!
  あいつ、学校の時間もいつもあそこに居て・・・)
長身女(何で、昇天する人としない人が居るのか、分かる?)
女(・・・・・)
長身女(・・・あたしもね、まだ未練があるみたいなんだ。現世【ここ】に。)



男「今日は遅れちゃってごめんね。心配しちゃったよね?
  うん、ちょっとね、家から出るときに戸惑っちゃって・・・。
  あっ!今日はさ、変わった奴を買ってきた。えーとね、沖縄フェアをやっててさ、
  ・・・・・・さー、・・・さーた、さぁたあんだ、ぎぃ?・・・かな。
  はい、袋の残りは女さんの分。僕はこれだけでいいや。あとは女さんにあげるね。
  ・・・あ、美味しいね、これ!」
女(ただの・・・)
男「あー、美味しいけど、なんか、あんまり特別な味でもない気がする、ね。へへ。」
女(ただの・・・、クラスメイト、だったんだけどな・・・)



男「今日も暑っついねー。」
女(ん・・・)
男「もう立ってられないや。・・・日陰なら墓石で火傷はしない、っと。・・・どっこいしょ。」
女(お、お墓に背中付けるなよ・・・)
男「・・・母さんがさ、おかしな事言うんだよ」
女(ひ、人の話を聞けよ!)
男「お墓に行ったところでもう仕方が無いよって。もう女さんはこの世に居ないんだよって。
  ・・・女さんは今もここに居るのにね。ヘンなこと言う母さんですよ・・・」
女(人の話・・・、聞けってば・・・・)



~駅前にて
男「えーっと、女さんとこへは210円、っと」

眼鏡「あっ!あのぉ・・・、・・・男、くん・・・!」
男「・・・!あ、眼鏡さん。どうしたの?こんな所で。奇遇だね。告別式以来かな?」
眼鏡「いや、アノ・・・/////。男くん、ここんとこ学校来ないし・・・、みんな、心配してる、です、よ?」
男「あ、気にしてくれてたの?大丈夫だよ。僕全然元気だし。そのうち学校へも顔出すよ」
眼鏡「ぁ・・・、だったら・・・、えっと、いいのです、けど・・・」
男「うん、じゃあ、僕、電車の時間もそろそろだから。
  眼鏡さんはどっち行き?」
眼鏡「ぇ、あ、その、・・・・いいんです!」タタタタタタタタタタタ
男「あれ?電車乗らないの、か。なんだったんだろ・・・」



男「それじゃ、そろそろ晩御飯に帰らなきゃ。・・・もうこんな時間なんだね。
  じゃあね。また明日も来るからね。今日もありがとー」
スタスタスタスタ・・・
女(行っちゃった・・・。さて、私もそろそろ)
長身女(もう一ヶ月くらい経つじゃない?)
女(う、うわわわわぁっ!長身さん!おっ、驚かせないでクダサイよ・・・。)
長身女(ふふっ、悪い悪い。しっかし彼、本当に毎日通ってくるわね~。
     こーんな時代に、今時あんな子が居るなんてねー。)
女(わぁったしは本気で心配してるンですよ!あいつ、学校行ってないし
  お墓の前で延々と独り言だし。はたから見れば変人じゃん!
  もう、将来普通に生きてけるのかとか、そんなことを毎日・・・)
長身女(あなたたち、・・・こっちへ移る前までは付き合ってたの?)
女(!!!つぅっ、付き合ってなんかないです!本当です!ホンットにただの顔見知りで・・・)
長身女(そう、応えてあげられなかったんだ、生きてる内は。)
女(・・・・・!)
長身女(応えてあげられないまま、こっちへ来ちゃったんだ。・・・寂しいね、男くん)
女(・・・・・・)



女(来ないな、今日は・・・)
女(どうしたのかな・・・)
女(あー、太陽が真上だなー・・・)
女(今さら、暑いとか何とか、どーしょーも無いけど)
女(・・・)
女(ん・・・)
女(来ないなー)
女(家から出して貰えないのかな・・・)
女(それとも、事故か何か・・・)
女(・・・)
女(ッ・・・)
女(いや・・・だ・・・。本当に、来ない、じゃない・・・)
女(電車、止まってる、の、かなぁ・・・)



男「ごーっめん!女さん、昨日は本当にごめんね。
  僕は来たかったんだよ?来たかったんだけど、・・・ゴメン!心配させちゃったよね?
  お詫びじゃないけど、ほら、・・・コスモス!駅前の花屋で買ってきたんだ。
  ここに活けとくね。うん。昨日はごめん、本当・・・。
  でも、また今日から来るからね。寂しくさせないからね。ごめん・・・」
女(・・・)
男「昨日さ、親に無理矢理・・・、いや、僕は抵抗したよ?精一杯逃げようとはしたけど、
  でも無理矢理・・・、うん。そのままさ、何とかクリニックって、ところ。
  なんか、精神科みたいなとこへ連れてかれたんだ。」
女(・・・!)
男「あっ、でも僕、変って言われたわけじゃないよ?それにね、先生もとても優しかったんだ。
  すごくいい人だったよ、先生。で、その先生にね、いくつか質問されたんだ、色々・・・」
女(・・・ばか、ばか、ばかばか・・・)
男「それだけだよ?うん、それだけ。別に僕が病気だとか言われたわけじゃなかった。
  ただ、今日は休みなさいって。一日くらい休んでも女さんを裏切ることにはならないよ、って。
  その時、僕はやけに冷静でさ。『はい』って言っちゃったんだ。
  あとはそのまま家で、ずっと寝てた。・・・本当にゴメン!寝ちゃったんだよ。ぐっすりと!
  ・・・あの時からずーっと、ろくに寝れてなかったのに、さ・・・」
女(男の顔色・・・、普段より良い気がする・・・)



男「もう、あと少しで夏休みですよ!女さん、夏休みはどっか行く予定、あるの?」
女(・・・って、どこへも行けるか!)
男「僕は特に予定無いなー。女さんと話せてれば別にいいや」
女(・・・・・。)
男「あっ!・・・こないだのコスモス、枯れてきちゃったね。明日また買ってくるよ」
女(男・・・)
男「暑いね。少々水汲んでくるよ!女さんも暑いでしょ?じゃ、ちょっと行ってくるね」
トコトコトコトコ
女(いつまで・・・、こうしてくれるのかな・・・・・)



男「女さん、・・・ちょっと、その、あらかじめ謝らなきゃいけないこと、が・・・」
女(って、下向くな、下!萎れて見えるよ・・・)
男「明日ね、またクリニックへ行く事になったんだ。様子をチェックするんだって。
  あの先生も、ぜひ見たいって。
  ・・・ほっ、ほら!ずーっとここんとこ親にワガママ言いっぱなしだし、
  その人も只のオジサンみたいな先生なんだけど、
  わざわざまた僕の事見たいって仰ってるって言うし、
  こっ、断れないだろ?だから・・・明日だけ。ごめん。あさっては絶対に来るね」
女(クリニック、か・・・)


女(私のせい、なのかな・・・)



ジーーーージーーーージーーーー
女(・・・・・・、ふああああぁっ・・・)
女(夏だな・・・)
ジーーーージーーーージーーーー
女(今頃、男はクリニックか・・・)
女(暇だな・・・)
ジーーーージーーーージーーーー
ジーーーージーーーージーーーー
女(・・・・、ッああっ、もう・・・)
女(わすれろ!アイツのことは一度忘れろ!)
女(・・・ったく・・・)
ジーーーージーーーージーーーー
ジーーーージーーーージーーーー
女(今日だけだって分かってても、心細い・・・んだなぁ、案外・・・)

長身女(あら、今日は彼、来て無いじゃない)
女(あ、長身さん。アイツはちょっと用事があるらしい、です)
長身女(あらかじめ断ってったんだ、ふふっ、くそ律儀だなー)
女(馬鹿にしてます?)
長身女(・・・へー、怒るんだ?ちゃんと)
女(とっ・・・、当然、です・・・)
長身女(・・・そっか)
女(・・・何ですか?)
長身女(私の、はね。いつも仕事仕事、仕事ばっかりで、私のことは二の次だった。
     納骨以来、一度もお墓参りなんて来てないのよ?
     私が居なくなった今だって、きっと仕事に夢中なのね。・・・ほんっと、駄目だよね。
     何で彼は私を愛したのか、・・・なん、っで、私はアイツを好きだったのか・・・
     今でもなんだか、・・・分からないままになっちゃった。
     ここで待ってるのも、もう意味無いって分かってるけど、でも・・・
     もしかしたら、もう一度だけ・・・って、つい、いつも考えちゃうのよね)
女(・・・・)
長身女(今の女ちゃんが幸せかどうかは分からないけど、
     でも私は、ちょっと、いいな、って思うよ、あなたのこと)



男(昨日は色んなこと言われたな・・・、先生に)
男(訳わかんないことも沢山喋ってた・・・)
男(でも別にっ、行くなって言われたわけじゃないし・・・)
男(それにむしろ、行くべきだって仰ってたし・・・)
男(だからいいんだ、今日も女さんに会いに行っていいんだ・・・)
男(うん、大丈夫、大丈夫・・・)
男(・・・・・えっと、210円、っと)
眼鏡「男さんっ!」
男「う、わぁぁぁっ!」
眼鏡「あッ・・・、驚かせてしまいましたか?ごっ、ごめんなさい・・・」
男「あ、眼鏡さん・・・、ど、どうした、の?」
眼鏡「こっ、これぇっ!」ビシッ!
男「え?この小包、・・・何?」
眼鏡「ここここっこれれは、お、お、おおお女ちゃんにとととと届けて欲しいんでででですっ・・・」
男「・・・あ、これ、女ちゃんへ?」
眼鏡「おおおおおおおお願いしますぅっ!」
男「・・・うん、それくらいなら、分かっt」ガサッ、パシッタタタタタタタタッ
男「って、行っちゃった・・・」



男「おはよ、女さんっ。昨日はごめんね。おととい忘れてたコスモス、買ってきたよ」ガサッ
女(くそ律儀、ね・・・)
男「あと、・・・これ、眼鏡さんから。今日駅で会ったんだよ」
女(・・・え、眼鏡ちゃんが?)
男「女さんに渡してって。・・・女さんと眼鏡さん、けっこう仲良かったしね。
  中身はまだ見て無いけど・・・あっ、開けて見よっか。うん、ちょっと待ってて」
ビリビリビリ
男「おー、なんか美味しそうな饅頭だ。・・・カードが入ってるよ、
  『二人で食べて下さい』だってさ。じゃあ、お言葉に甘えまして・・・」
女(眼鏡ちゃん、・・・どして?)
男「そうそう、クリニックの先生にさ、なんか言われたよ。いろいろ」
女(・・・・)
男「でもね。お墓へ行くなとは一度も言わなかったの。むしろ無理矢理止めちゃいけませんって、母さんに言ってた」
女(ふーん・・・)
男「なんかね、今は男くんにとっての整理期間というか、空白を埋めるための時期なんだ、って。
  一種の退行現象が起きても、今を乗り越えるために必要なステップだから、
  そっとしてあげて下さい、って」
女(あ・・・)
男「何かよく分からないけど、でも、お墓へ来ていいって分かったからホッとしたですよ」

女(乗り越え・・・ちゃう、んだ。私のこと・・・)



女(今日もクリニックだから来ないのか、男・・・。夏休み入ってから回数多くなったよな・・・)
眼鏡「男、くん・・・?」
女(・・・眼鏡ちゃん!何でここに・・・ってか男を捜してるの?)
眼鏡「居ないのかな・・・、ん・・・」
女(しゃがみこんじゃったし・・・)
眼鏡「・・・・・・」
女(け、けっこう、可愛いんだな。この私服の眼鏡ちゃん・・・)
眼鏡「・・・女ちゃん、そっちはどうですか?」
女(ぁ、私に、だ)
眼鏡「・・・毎日、男くんが来てくれてるんだよね?じゃあ、寂しくはないよね。
   女ちゃん、幸せものだよ。
   こんなのきっと、女ちゃんだけだよ。
   ・・・いいな、ずうっと男くんに、そうやって、恋をされてるって」
女(眼鏡ちゃん・・・)

女(日が暮れたな・・・)
眼鏡「・・・・・・」
女(眼鏡ちゃん、ずっと動かないし・・・)
眼鏡「・・・・」クンッ
女(あ、立ち上がった)
タタタタタタタタッ
女(見えなくなっちゃった。
  ・・・・また、男に会いに来るのかな・・・)
カーーナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナ・・・・・
女(・・・私、は・・・)
カーーナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナ・・・・・
女(どうしたい、ん、だろ・・・)



ジーーーージーーーージーーーー
男「そういえばさ、憶えてる?女さん。女さんが転校して来てすぐの時の、遠足」
女(あー、そんなこともあったな・・・)
男「あまり周りと馴染めなくて、女さんが最後尾で先生とふたりで歩いてて。
  で、僕は最初頑張りすぎちゃってダウンしてさ。休憩所で最後尾に合流したんだよね」
女(・・・・そうだ)
男「僕も女さんも黙々と歩いてたらさ、女さんがずっこけちゃって、膝小僧を擦りむいて。
  僕はその時保健係だったから、救急箱を列の中段にいる先生んとこまで走って取りに行って、
  そしたらさぁ、・・・僕も馬鹿だよ、女ちゃんの目の前で、・・・慌ててたんだよね、
  あと一歩のところで足元を木の根っこに掬われて、ズッこけちゃって。けが人が二人!」
女(あの時・・・)
男「そしたらさ、初めて女さんが笑ったんだよね。今でも思い出せるよ、僕。あの時の女さん。
  先生と、僕と、女さんで列抜けて、水飲み場で傷口を洗って、そうそう!その周りが花畑で・・・」
女(あの時のこと・・・)
男「それから、少し話せるようになったんだよね。女さん。
  なんか明るくなったし、クラスの人とも混じれるようになって・・・」
女(あの時のことを、まだ私、男にお礼を言えてないな・・・)



女(私はどうしたいのかな・・・)
女(男、一向に私の元を離れないし・・・)
女(私は男に、どうしてほしいんだろう?もしかしたら、一生このままd)
女(って、ばかばかばか!そんなのダメだ。男の人生だって、メチャメチャにする権利も私には・・・)
女(じゃあいつかは離れるのかな?私が突き放さないといけないのかな・・・)
女(って、ここからじゃそんな事、出来やしないし・・・)
女(そんな事しなくても、男は自然に離れるよね、私から)
女(男のクリニックの先生もそう言ってたし、いつかは忘れてくれるよね、私のこと)
女(ま、忘れてもらったって別に、いいけど)
女(男ぐらいになら、忘れてもらったって・・・)

女(・・・・)
女(・・・・・・グスッ)
女(嫌だよ、私、ひとりぼっちになっちゃうの?孤独に、なっちゃうの?
  そのまま永遠に、誰とも会えない、誰も気にかけてくれない、・・・やがては消えていってしまうの?
  死ぬって、そういうことなの?・・・寂しいよ・・・、怖いよ・・・)


長身女(・・・・・・・)



男「コスモス、コスモス・・・っと、あー、やっぱり真夏はコスモス、あまり無いなー」
眼鏡「男さんっ!」
男「ぬわわわわわ!あ、眼鏡さん。なんか神出鬼没だね、最近。」
眼鏡「こここここっ、これからぁっ!女さんのお墓へ行くんでっ・・・すか?」
男「うん、そうだよ」
眼鏡「わ、っ、・・・私、も・・・」
男「・・・?」
眼鏡「わっ・・・ッ・・・・・・ッ・・・タシモオトコサントゴイッショシテイイデショウカ!?」
男「あ、え、えっと、・・・ゴメン、何て言った?」
眼鏡「私も男さんとご一緒していいでしょうk!いやさせてもら、えないでしょう、か・・・」
男「あ、いいよ。別に気にしないよ?」
眼鏡「////////!うぁぁぁぁっ!本当ですかっ!?ありがとうございますッ!」
男「そんなに慌てなくても大丈夫ですー。・・・えっと、この花、お願いします」
眼鏡「(・・・・わ、わわわ・・・)」

女(あ、来た来た。・・・・っっ!)
男「おはよっ、女さん。今日は眼鏡さんも一緒ですよー」
眼鏡「あ、あの・・・、久しぶりです、女さん」
女(え、え?ふたり?)
男「じゃあさ、眼鏡さん。桶と勺、持ってきてもらえるかな?花に水あげたいし」
眼鏡「はいっ!行きます!」
男「じゃ、その間にこないだの花を・・・」

眼鏡「・・・あのぉ・・・・」
男「?・・・どしたの?」
眼鏡「その、桶と勺って、どこに・・・」
男「あ、あのね、そこ行って左側に五段ぐらいの階段があるから、登って右手の奥に見えると思うよ」
眼鏡「わ、わかりましたッ」タタタタタタタタッ
男「今日ね、眼鏡さんと花屋で一緒になったんだよ。
  ・・・珍しく賑やかになりそう。女さんも幸せモノですよー。」
女(・・・・・・)

男「そういえばさ、去年は女さんがね・・・・」
眼鏡「あ、あの、女さんが私の家に来た時には・・・・」
男「そーだったんだ!僕も・・・・」
眼鏡「ふあ、そんな事も・・・」

女(楽しそうだな・・・)

女(もう会話に・・・、混ざれないのよね・・・)

女(って、ばかっ!もうその事は後悔しても仕方ないって決めたでしょ!)

女(後悔しても、仕方ない・・・どうしようもない・・・
  私はもう死んでるの!コイツなんてもう、どうだって・・・)

男「~~~・・・」
眼鏡「~~~・・・」

女(寂しくなんか・・・ない・・・)

男「あ、もうこんな時間、か。じゃあ女さんっ、また明日。
  ・・・眼鏡さんも、今日はありがとうね」
眼鏡「えっと、あのじゃあ、私も帰りますです!」
男「じゃ、駅までは一緒に・・・」
トコトコトコトコ
眼鏡「あの・・・、またここに、来てもいいですか?」
男「わざわざ確認しなくたっていいさ。たまにクリニック行ってるけど、
  それ以外はいつもここに居るよ。」
眼鏡「あ、じゃっ、じゃあ、また来ます!お願いしますっ!」
男「うん、待ってるね」


女(寂しく・・・なんか・・・)



男「女さん、おはよっ!道端のコスモスが綺麗だったから、少し摘んできてみたよ」
眼鏡「あ、今日もお邪魔します・・・女さん。」
男「じゃ、眼鏡さん、桶と勺っ」
眼鏡「ハイッ!」タタタタタッ・・・
男「・・・さてとッ」
女(とうとう、毎日のように来るようになったな・・・眼鏡ちゃん・・・)

男「コスモスが、綺麗な季節になったね。涼しくなってきたし。もうすぐ秋だね、女さん・・・」
女(・・・・)
女(私が死んでから、季節がまるまるひとつ過ぎちゃうんだな・・・)
眼鏡「持って来ましたっ!」
男「ありがと。じゃあ眼鏡さん、お墓洗うから、いつもみたいに下から・・・」
眼鏡「はい」

女(なんか、仲、良いな、最近・・・)

男「今日はね、駅前でシュークリームが安売りだったから、三人分、買ってきたよ。」
眼鏡「わわ!ありがとうございます。コレ、ゆーめいな奴ですよね・・・」
男「ん?知らないなー。・・・・・・あ、美味し!」
眼鏡「おわー、美味しいですね!何だか、タダで頂くのが勿体無いです!」
男「あぁ、気にしないでいいよ。ジュースもまとめ買いすれば良かったなぁ。喉が渇くや。」
眼鏡「ッッ!私、かかか買います!くぁえぬモノいがいは;ぁskふぁd」
男「いいよいいよ、気にしないで。」
眼鏡「・・・はぃ。」
男「そういえばさ、僕のクリニックの先生がね、なんかすごく僕に興味があるんだって・・・」


女(ハタから見れば、ラブラブよね、この二人)

男「そういえば、眼鏡さんは学校、行かなくていいの?」
眼鏡「あ・・・!」
男「今日から、だよね?」
眼鏡「いやッ、そのぉ・・・わわわわっ、私っ、はっ、


   ・・・・・ここに、居たいです。」


男「・・・そう?なら別に僕がうるさく言うのもヘン、かな」
眼鏡「居て・・・、いいですか?」
男「うん。」
眼鏡「//////」
男「・・・俯いちゃって、どうしたの?大丈夫?」

女(・・・季節の変わり目、か・・・)



~夜も更けて
女(・・・・・グスッ)
長身女(あら、陰でしゃがみ込んじゃって、どしたの?)
女(・・・私、死んだ、んですよね)
長身女(・・・・・、何で?)
女(やっぱり私、死んでるんだ。・・・・忘れかけてた、すこしだけ。
  最近、アイツ、私のお墓の前に来ても・・・なんか、違うんです。
  私に声をかけない訳ではないけど、やっぱり、眼鏡ちゃんと話してるのが楽しそうで・・・
  ・・・私、・・・・少しづつ、アイツの世界から切り離され始めてる気がする・・・)
長身女(・・・・)
女(分かってた、けれど・・・。死んだ人間をいつまでも慕ってくれる筈は無いって。
  お墓に向かって一人で話してるより、生身の人間とのほうが楽しいに決まってる。
  それも全部分かってたし、当たり前だし、覚悟もしてた、けれ・・・ど・・・・)
長身女(・・・女ちゃん。)
女(間違ってますよ・・・ね・・・、これで泣けてきちゃう・・・の・・・って・・・、
  私、きっと、自分が死んだんだって、ほんとの意味で、分かってない、の、かな・・・
  永遠なんて無いって知ってたつもりだったけど、そのくせ永遠を望んでた私って、ホント、ばか・・・
  ばか・・・、ばか・・・、ばか・・・、・・・・ばかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!)

長身女(・・・・・・・・・!ちょ、ちょっと女ちゃん!・・・あれを!)
女(・・・!! 男 っ ! ? )
長身女(ほら、こっちへ来るわ・・・。何で、こんな夜遅くに、男君がここへ?)

男「はぁっ・・・はぁっ・・・んっ、はぁっ・・・はぁっ・・・」
女(走ってきた、みたい?)
男「女・・・さん、・・・・・ぼっ、僕・・・。
  はぁっ・・・、もう・・・、
  どうすりゃいいんだよおおおおおおおおおおッ!!!!」

男「さっき、さ。いつも通りに眼鏡さんと帰ってたんだ。
  そしたら、・・・なんか、眼鏡さん、突然僕のほう向いて、
  ・・・そう、向いたんだよ、こっちを。そしたら、
  なんか・・・、っ・・・・、

  こ、告白、された・・・。」

女(・・・!!)

男「もう、・・・分からないよ、僕。眼鏡さんの気持ちに返事すること出来ないまま、
  訳分からずその場を逃げ出してさ。走り出してさ。・・・走りながら、考えたんだよ。
  僕は眼鏡さんの気持ちに、その場で素直にイエスと言えなかった。何でだろう?
  きっと僕には他に心のひっかかりがあったから、だ。それは多分、・・・女さんの事だよ。
  でもじゃあ何で僕は、・・・今も女さんのお墓に通っているんだろう?
  何を求めてここへ来てるんだろう?

  ・・・分かって、た。きっと心の奥底では、僕は分かってたはず、なんだ。
  もう居ないんだ。取り返しなんてつかないんだ。女さんが生きてる間に、僕は何も出来なかった。
  僕のしてることは、あの日から全然変わってない。・・・変えようともしてない。
  そして今ですら、全然変わっちゃいなかったんだ。」
男「眼鏡さんが、僕を・・・残酷な現実に、もういちど引きずり戻したんだね。
  女さんはもう居ない、想いを伝えられないままに終わった惨めな僕がのうのうと生きてるだけの、現実。
  きっと、全部が終わっちゃったあの日から、僕はずっと―――
  冷たい現実に背を向けて、そのまま、だったんだよね。

  女さんがまだ生きてて、僕もただ女さんの側に居て、それだけで幸せだった、
  あのあったかい時間の中で生きていようとしていただけだったとしたら?
  今僕がこうして女さんに語りかけてるのも、全部が現実逃避で、全部が僕の
  弱虫なあがき、妄想へのすがり付きだったとしたら?
  ・・・でもね、女さん。僕だって感じてはいるんだよ。このままじゃ駄目なんだよね。
  いつかは戻らなきゃいけないんだよね。あっちへ。
  ・・・もしかしたら今、そのタイミングが来たのかもしれない。
  けど・・・」
女(・・・・・。)

男「・・・怖いんだ。戻るのが。女さんの居ない世界へ戻るのが、怖いんだぁぁああぁぁあぁ
  うわああぁぁああぁあっ・・・、ぁぁぁああぁあぁぁあああっ・・・・」

女(・・・ふぇっ、ぇっ、えぐ・・・えぐ・・・、ぅわぁぁぁぁぁぁあぁぁぁああぁあああ!)
長身女(女ちゃん・・・!落ち着いて、落ち着いて・・・。)
女(ぇぐっ・・・わたし、何で、応えて、あげられなかったん、だろう・・・。
  ・・・ずっと気づいてたよ。小学三年生の頃から、・・・アイツの気持ちに。
  だけど・・・、知らないフリして、ずっとうやむやにしてて。
  でも、一緒に居たのは楽しかったから・・・そのままでもいいや、って、ずううっと思ってた。
  こんなに・・・男が・・・・、想って、くれてた、のに・・・ッ!)
長身女(・・・女ちゃんは悪くないよ、男君だってそれは分かって・・・)
女(私、だって・・・、ずっとアイツをただのクラスメイトだって!ただの男友達だって!
  そう思ってたんだ。・・・そう信じ込もうと思ってたんだ。
  何度も自分に気張って、嘘ついて・・・・。何で素直になれなかったんだろうな。
  それに、死んでから私、ホントに気が弱くなってた。今思えば自暴自棄みたい、よね。
  でもやっぱり・・・。やっぱり・・・、

        ・・・スキだったんだな、男のこと。)


男「・・・答えを出せなかった。今まで、答えが出せなかった。
  そうやってずっと、道路をがむしゃらに走り続けてたらさ、・・・ふふ、馬鹿みたいな話だけど、
  偶然、僕が通ってる精神科クリニックの前を通ったんだよ
  もう涙で顔もグシャグシャだったけど、クリニックの入り口をくぐったら
  不思議と嗚咽も収まったんだ。先生は偶然空き時間で、僕とすぐに会ってくれた。
  ・・・話した。さっき僕が話した事も含めて、たっくさん話した。
  女さんのこと、お墓の前で過ごした三ヶ月間のこと、その間に想ってた事、眼鏡さんのことも、
  全部・・・話したんだ。そしたらさ、・・・何でだろうね、不思議と少し体が軽くなった気がしたんだよ。
  そこでふと、顔を上げたら・・・、

  泣いてたんだ、先生も。」

男「僕がずっと診てもらってた、心強そうなあの先生がただただ泣くのを見てるのは、
  なんだかヘンな気持ちだった。
  多くは仰らなかったけど、少しだけ話してくれたよ。
  先生自身も、ずっと逃げ続けてたんだって。失ってしまった、
  あまりに大きなものから逃げ続けるために
  今日までずっと、ただただ必死に働いてきたんだって。
  自分を救うような気持ちで、患者さんの気持ちを救おうとしてきたんだって。
  ・・・だけど、僕の話を聞いたらさ、何かに気づかされたって言ったんだ。
  私がやってきたことは、やっぱり逃げだったんだって。
  『自分で患者に言ってきたじゃないか、逃げないで、・・・立ち向かえ』って。」

男「だからね、・・・・きっ、決めたんだ、
  今夜。・・・僕も自分に立ち向かうよ。自分にケリをつけてみせる。
  悩むよ、考えるよ、悩んで悩んで悩み明かして、ココロ、整理して、どうするか、決める。
  決めた内容によっては、僕、・・・ここへ来るのを今日で最後にするかもしれない」
女「・・・!」
男「僕は僕に何を望んでいるのか、僕自身をどっちの世界に置いておきたいのか、
  精一杯悩むんだ。三ヶ月間、ずっと僕は考えることからすら逃げ続けてたんだ。
  ・・・先生も仰ってた。今は今を乗り越えるためのステップなんだって。

  ・・・そうだ。僕、そういえば、ずうっと女さんに言えてなかったことがあったんだ。
  ・・・もう遅いって知ってるけど、聴いて、・・・欲しいな。


      女さん、長い間ずっとずっと、貴方のことが好きでした。」



男「・・・・。」
女(目を閉じちゃった。お墓の前に座り込んで・・・。
  ・・・寒く、ないのかな。)

女(本当に現実から逃げてたのは、きっとアイツ以上に、私だったんだ。
  もう、死んだのに、戻れないのに・・・変わらない何かにずううっとすがり続けてて・・・。
  この三ヶ月間、男が来るのを待ち続けてた自分が居て、
  この三ヶ月間、ずっとこの世界から旅立つのを拒み続けてて、
  この三ヶ月間、ずっと・・・、男に甘え続けて、た。
  でも、・・・もう違う。アイツだって、もう逃げるのを止めたんだ。
  ・・・今、自分に立ち向かってるんだ。戦ってるんだ。

  アイツが頑張ってるんだ、私だって・・・、立ち向かう!)

長身女(・・・昇天はさ、実はいつでも自分の意思で出来るんだよ。)
女(・・・。)
長身女(ただし、そうすれば永遠にこちらの世界は覗けなくなるし、
     こちらの声を聞くことも出来なくなる
     もちろん、戻って来ることも出来ない。
     今、私たちみたいにウツツを彷徨ってる時期ってさ、何て言うんだろう、
     一種のモラトリアム?そんな感じなのね。
     死後の世界へ行くための、心の整理期間、みたいな。
     だから、君の大切なヒトもさ、
     ・・・ある意味ずっと私たちの世界を彷徨ってたのよ。
     彼が決断出来たなら、あなたも・・・、決断、出来るね?)

女(・・・・・・・、はい。)

女(・・・アイツはずっと、私のお墓のタモトに座り込んで、じっとしていた。
  何時間も何時間も座っていて、時々ふっと星を見上げたけど
  それ以外は地面を静かに見つめてた。
  一度だけ、私の方を振り返った。
  ・・・アイツがあんなに澄んだ目をしてたなんて、今まで気づいた事も無かったよ。
  ちょっと、惚れ直しちゃったかな、アイツに。)

女(そのうちに、東の空が染まり始めて、鳥が鳴いて、
  街の奥のほうからオレンジ色に変わっていった。
  そうすると男は、すっと立ち上がって、その朝焼けをじっと見ていたんだ。
  ゆっくりと、でも少しづつ陽は昇っていって、空全体もほのかに明るくなると・・・
  ・・・アイツは、歩いてった。
  墓地の出口、茂みの開けた方向へ。
  アイツは振り返らなかった。・・・しっかりとした足取りとは言えなかったけど、
  でも、後ろめたさは感じなかった。てくてくと、でも一歩一歩確実に、私のお墓から離れてった。
  そしたら、出口の側で男の足が止まった。奥に誰かが居るのを見つけたんだ。
  ・・・きっと、眼鏡ちゃんだと思う。
  男は顔の表情も変えないで、何も言わないまま、階段を下りてった。
  アイツは見えなくなった。後ろ姿が朝日に照らされて、綺麗だったな。
  ・・・涙は出なかったよ。すうっと息を吸って、ちょっと吐いて、そしたら
  なぜか突然思い出したんだ。私のお墓のタモトのコスモス―――、
  満開の・・・、ああ、そうだ。コスモスだ。そうだった・・・)




  ゚  o   .  。   .  .   ,  . , o 。゚. ,゚ 。 + 。 。,゚.。   ゚  o   .  。  



担任「やーだ、男くんまでケガしちゃって。頑張りすぎちゃったねー。」
男「えぐっ・・・ごめん・・・なさい・・・・」
担任「いいのよ、泣かなくても。男くんも一生懸命、女さんを助けてあげようとしたんだもんね。」
女「/////」
担任「二人ともコケちゃうなんて、なんだか可愛いなー。
   ほーら、膝小僧出して・・・。ん、ちょっと傷口を水洗い出来たらいいね。
   ・・・あら、あそこに蛇口があるじゃない。ちょっと、二人とも、立てるかな?」
男「おんなさん、・・・ぼくのかたにつかまれる?」
女「・・・」
ギュッ
男「・・・////」
担任「よーし、男くん、偉いぞ。あと十数メートルだからね。
   ・・・・・、あら、見て!水飲み場の周りに・・・」


         男女「うわぁ・・・・・・。」






///////////////////////epilogue/////////////////////////


~二日後、誰も居なくなった墓地にて


精神科医「・・・ただいま、カンナ」
長身女(・・・・)
精神科医「15年間も、一度もここへ来なくて、・・・本当にすまなかった。侘びのしようも無い。
      自分の範疇の事だけで精一杯で、来る日も来る日も患者のことばかり考えてて、
      走り続けて、走り続けて、そして突然・・・お前を失って。
      ・・・自分で言うのも何だが、あれほどお前のことを構ってやらなかったというのに、
      俺はまるで自分の一部分を失ったみたいで、・・・茫然自失としてたよ」
長身女(・・・・)
精神科医「失った何かを補おうとして、さらに患者と多く接しようとした。
      お前の墓にずっと来なかったのも、
      ・・・俺があの日に失ったものをいつか必ず取り戻して、
      立派にお前と顔向け出来るようになってからじゃなければ・・・
      恥さらしなだけだと思ったんだ。
      ・・・でも、違ったんだな。患者に教えられたよ。
      失った所をまた塗りつぶすことは出来ないんだ。
      失ったまま生きていくしか無いんだ。・・・それが出来るから、人間って強いんだな。
      誰だって失ったものは取り返せない。それすらも背負って生きていくしかない。
      だが、それが強さなんだ。・・・こんな簡単なことに、今更気が付いたんだよ。」

長身女(・・・・。)
精神科医「・・・本当にごめんな、長い間。 でも、・・・ありがとう。」


長身女(私も、決断、だな。)

精神科医「・・・よし、もうすぐ往診の時間だな。戻るとするか。
      ・・・・・あれ、あのお墓、やけに綺麗だな。
      まるで・・・毎日誰かが丁寧に掃除してってたみたい、だ。
      それに、周りには・・・



       数え切れないほどの、コスモスが咲き乱れている―――。







『わっ、私のお墓の前で泣かないでよねッ!』       ・・・完・・・






この小説は2007年8月4日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:nuSGOjFv0 氏



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[ 2009/12/31 19:11 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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