はじめてブーン系小説を読む方は
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その日もニートのギコは家でごろごろしていた
J( 'ー`)し「ギコ、もうお昼だよ?」
(,,゚Д゚)「うっせーな、メシは部屋の前に置いておけば勝手に喰うよ」
J( 'ー`)し「そうかい?冷めないうちに食べなさいよ。
あ、あとね、この間、母さんの前の職場のスーパーでね
物出しのバイトを募集してたみたいだけど、店長さんがどうだって……」
(,,゚Д゚)「いらねーよ。それより早く部屋から出てけって」
J( 'ー`)し「そうかい?気が向いたら話しておくれ。
それじゃあ母さん、パートの仕事行ってくるから」
バタン、と静かに部屋のドアがしまった。
(,,゚Д゚)「ったく、うっせー親だぜ。あ~金ねーかな、金」
ギコはPCをいじりながらポテチを食う。
(,,゚Д゚)「あ~わらしべ長者ってすげぇよな。ワラ一本で億万長者だぜ?
ほんとすげえぜワラww」
毎日毎日、家で2chとエロゲの日々。
わらしべ長者のようなことが現実にあるなら誰も苦労はしねーぜと思いつつ、ギコは起き上がった。
(,,゚Д゚)「ま、ものはためしだ。俺もちょいと試してみるかな」
そう言ってギコは家にあったエロゲを持ち、外へ出た。
※
(,,゚Д゚)「あ~誰かエロゲいらねーかな……お?」
('A`)「……ウツダシノウ」
(,,゚Д゚)「おーい、ドクオ、エロゲいらね?かわりになんかくれよ」
('A`)「……ティッシュしかない」
(,,゚Д゚)「あ?マジ?まあいいや。どうせコピーとってあるし、タダみたいなもんだしな。
んじゃ交換な」
('A`)「……ハイ」
(,,゚Д゚)「ま、大事なのは過程より結果だよな。次いってみっか……
ん?なんだこのティッシュ、妙にガビガビだが……まぁいいか」
※
<ヽ`∀´>「うぅ」
(,,゚Д゚)「ん、どうしたニダー。キムチで食中毒でもおこしたか」
<ヽ`∀´>「その通りニダー。今、腹が痛くて……ニダー」
(,,゚Д゚)「んなら便所にでも行けよ。ほれ、そこの公園にあるじゃん」
<ヽ`∀´>「でも紙がなかったニダー」
(,,゚Д゚)「んならこれやるよ。ほら」
<ヽ`∀´>「ありがたいニダー。あなたが神か?否。紙か?」
(,,゚Д゚)「くだらんシャレはどうでもいいから何かよこせ。ぶつぶつ交換だぞ」
<ヽ`∀´>「それならこのキムチあげるニダー。ミーはトイレに行くニダー」
(,,゚Д゚)「……キムチって……これで腹痛くなったんだろうが」
※
(,,゚Д゚)「どうすんだよ、このキムチ……お、ようオワタ。元気か?なんだ、お出掛けか?」
\(^o^)/「これからジュカイ」
(,,゚Д゚)「そうか、そりゃ大変だな。晩飯までには帰ってこいよ」
\(^o^)/「でもジュカイまで遠いからレンタンを探してたけど、金がないオワタ」
(,,゚Д゚)「そうか。まぁ人生オワタするにも金がいるんだな。
お、そうだ、もしよかったらこれやろうか」
\(^o^)/「キムチ?」
(,,゚Д゚)「ああ、毒キムチだ。喰えば即死だぜ。でも交換条件がある。お前の全財産だ」
\(^o^)/「…………この世にミレンなし」
(,,゚Д゚)「え、ってまじ財布くれんの?ちょっと悪い気もしてきたが、まぁいいか。
あ、あとそのキムチは便所の前で喰うといいぞ」
(,,゚Д゚)「ってあいつの財布、200円しか入ってねぇ。あとは……メンバーズカード?
メイド喫茶のじゃねーか。ま、暇だし、話のネタに行ってみるか」
※
(*゚ー゚) 「いらっしゃませご主人様~。って、ギコ君?」
(,,゚Д゚)「え、しぃってここでバイトしてたの?」
(*゚ー゚) 「あ、うん。時給良いし……。ギコ君ってこういうお店良く来るの?」
(,,゚Д゚)「い、いや初めて。話のネタにって思ってたけど……」
(*゚ー゚)「そうなんだ……あ、じゃあとりあえず席に案内するね」
そう言って連れてこられた部屋は――個室だった。
テーブルと一対の椅子、冷蔵庫、そして――ベットがある。
(*゚ー゚)「はい、そこに座ってね」
(,,゚Д゚)「え、あ、ああ……(テーブルじゃなくてベットなのか?)」
(*゚ー゚)「はい、それじゃあ始めますねご主人様」
(,,゚Д゚)「え。あれ、ちょい待ち、なんで俺の服を脱がそうと……って、おいおいおい!
待て待て待て!」
ギコは慌ててメンバーズカードを確認する。
メイド喫茶――兼、サービス店。
(,,゚Д゚)「ま、ちょい待ち、ここってもしかしてそういう店なん!?」
(*゚ー゚)「え、知らずに入ったの?」
(,,゚Д゚)「知らんっちゅーねん!てかなんでしぃこんなとこでバイトしてんだよ!
お前、そんな奴じゃなかったろ!?」
(*゚ー゚)「…………」
(,,゚Д゚)「親御さんが知ったら哀しむぞ!自分の体大切にしろよ、な?」
(*゚ー゚)「…………もん」
(,,゚Д゚)「え?」
(*゚ー゚)「これしかなかったんだもん!」
しぃは激昂した。突然の感情に、ギコは更に驚く。
(,,゚Д゚)「こ、これしかなかったって……」
(*゚ー゚)「言ったでしょ?時給が良いって!」
(,,゚Д゚)「だ、だからって――」
(*゚ー゚)「今、お母さんが病気なの!」
しぃの突然の告白に、ギコは凍り付く。
(,,゚Д゚)「び、病気?」
(*゚ー゚)「そうよ。過労でこの間倒れたの。うちがお父さん離婚していないの知ってるでしょ?
ずっと女手ひとつで私を育ててくれて、疲労が溜まってたのよ!
それで病気になって――わたし、大学も辞めたわ
続けていくお金がなくて。今はそれより――なにより、お金が必要なの!」
(,,゚Д゚)「…………」
(*゚ー゚)「ギコ君、あなたにわかる?お金のない苦しみが。
わかるはずないわよね。家で毎日毎日2chとエロゲばかり。
ご飯もお風呂も洗濯も気付けば全てやってくれている家族。
それが当たり前と思って過ごして……今の私にはそんなのない、何にもないのよ!」
(,,゚Д゚)「…………」
ギコは、何も言い返せなかった。
そして、そのまま時は過ぎた。
帰り際、しぃは言った。
(*゚ー゚)「また来てくださいね、ご主人様」
ギコは、何も言えず、ただ帰路についた。
※
J( 'ー`)し「お帰り、ギコ。ご飯できてるわよ」
(,,゚Д゚)「あ、うん……」
J( 'ー`)し「先にお風呂入りな。もう湧いてるから。あとで部屋にいつもみたく食事届けるから」
(,,゚Д゚)「あ……う、うん。あの、お袋……」
J( 'ー`)し「ん?どうしたんだい?」
(,,゚Д゚)「いいよ、今日下で食べるから」
J( 'ー`)し「そうかい?どうしたんだい、急に」
(,,゚Д゚)「べ、別になんでもねーよ。あ、あと朝言ってたバイト、あれやるわ。
てか毎日暇だし金もねーしな。さて、風呂風呂」
ギコは早足で風呂場へと向かった。
熱い湯につかりながら、ギコは思う。
(,,゚Д゚)「わらしべ長者……か」
ギコは思う。
この風呂も、この家も、きっとわら一本で手にはいるようなものではないのだろう。
そして、家族も――。
(,,゚Д゚)「いい湯だぜ。ったく……」
鼻歌が、室内に響く。
湯気が立ちこめ、そして真っ白く染まっていった。
完
この小説は2007年7月15日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:UXTAGdl00 氏
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