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川 ゚ -゚)はカレーフェチなようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




ここはとある町の、閑静な住宅街。
時刻は深夜三時を過ぎた頃だ。

星一つ無い夜空に、真ん丸い月だけが爛々と輝いており
辺りは冷たい空気と、静寂で満たされていた。
住民達はこの緩やかな時間を布団の中で、心地よい眠りと共に過ごしているのであろう。

静かな、夜だった。

そんな中、他とは違い明かりが灯る、古びた一軒家があった。

その家の台所では、住人がなにやら奇妙なものを作っている。


川;゚ -゚)「ふう」

彼女はこの家の主のクーである。


川;゚ -゚)「……ついに出来た」


呟いた彼女の目の前には火に掛けられ、蓋の閉じられた鍋があった。
見たところ、どこにでも有る極々普通の鍋である。

だが、その中身が普通では無いのであろうことは、
汗だくに成りながらも鍋をじっと見つめる、彼女の異様な雰囲気から察せられた。


川;゚ -゚)「これが、伝説の――」


……ごくり、と生唾を飲み込む。


彼女は、鍋の上に鎮座する蓋へと手を伸ばし、そして――


川*゚ -゚)「カレー」



――辺りはスパイシーな香りに包まれた。




1_20091231181347.jpg



鍋からほんわか立ち込める香りを
湯気と共にめいいっぱい、鼻から吸い込む。

食欲をそそる芳醇な香りが鼻腔に広がった。

川*゚ -゚)「ん~良い香りだ」

普段、感情が顔に出ない彼女にしては、珍しく満足げな表情である。

それもそのはず、彼女はこの伝説のカレーを作るために、遙々インドまで赴き作り方の書かれた古文書を探し当て、それを忠実に再現したのだった。


 川 ゚ -゚)「インドの寺の地下からレシピを盗み出すまではよかったんだがな」


 ぐつぐつと煮込まれたカレーを、お玉でゆっくり混ぜながらそれまでの苦労をしみじみと思い返す。


 川 ゚ -゚)「武装した僧共に殺されそうになったからな、あれは死ぬかと思った」

その苦労は、彼女のカレーに対する情熱の表れであった。
「カレーは育てるもの」を信条とする彼女にとって、この程度の苦労はもはやカレーを美味しくするスパイスの一つでしかなかった。


川 ゚ -゚)「やはり発掘前に一人ずつ暗殺しておくべきだったか」


鍋をお玉で混ぜ返す。人参、じゃがいも、玉ねぎ、お肉。
カレー定番の食材たちがひょっこり顔を出した。


川 ゚ -゚)「寺を仏像ごと爆破したのがそんなにいけなかったのか?」


煌く茶色の中、人参の赤や、じゃがいもの黄色が目に鮮やかに写る。


川 ゚ -゚)「まったく、発掘の邪魔だからちょっと壊しただけなのに。世界遺産だか
     なんだか知らんがカレーの方が大事だろう。お前らそれでもインド人か」


しっかり味が染み込み、飴色に染まった玉ねぎと、柔らかに煮込まれたお肉がとても旨そうだ。


川 ゚ -゚)「まぁ、流石にあれはやりすぎたか。
     私もあんなのはもうこれっきりにしたいしな……っと、そろそろか」



そう言って彼女は鍋の反対へと向きを変える。
そこには可愛らしい花柄のランチョンマットと、炊飯器の乗ったテーブルがあった。


川 ゚ -゚)「……参、弐、壱」


零。と同時に炊飯器から甲高い電子音が鳴り響いた。


川 ゚ -゚)「うむ、完璧だな」


ご飯が炊きあがる時間を、前もって計算しておいたのだ。
これもカレーを美味しくする為、美味しく頂く為の物。
彼女はカレーをこよなく愛していた。


川 ゚ -゚)「しゃもじ、用意」


右手にしゃもじを持った。
縦に構え、炊飯器と対峙する。


川 ゚ -゚)「皿、用意」


左手に皿を持った。
手を下から添え、皿全体を固定する。


川 ゚ -゚)「―――――Go.」


炊飯器の蓋を開く。
瞬間、視界を覆い尽くす蒸気。

しかし彼女は怯むことなく切り込んでいく。



川 ゚ -゚)「そぉい!」


炊飯器の淵にしゃもじを突っ込む。
そこから、えぐるように回転させ、ご飯を掘り起こし皿へと移す。


川 ゚ -゚)「そぉい! そぉい! そぉい! そぉい! そぉおい!」


奇声をあげ、しゃもじを振るう事数回。
すると皿に、こんもりと盛られたご飯が出現した。


 川 ゚ -゚)「よし、お次はカレーを……」


再び、鍋へと向き直る。もちろん右手にお玉を持ってだ。
カレーをご飯にかけた。とろり、ご飯の山の上にカレーが滑るように広がり、
米の一粒一粒に絡みつき、沁み込んでいく。純白のご飯にカレーが映える。


 川*゚ -゚)「完成だ」



カレーライス。



それは例えるなら、印度からの贈り物、皿の上の芸術、至高の料理、
人類が生み出した最高傑作、食の頂点。つまりはキングオブカレー。


 川 ゚ -゚)「では早速」


椅子に腰掛け、スプーンを持つ。


 川 ゚ -゚)「いただきます」


そして、ほんわか湯気が立ち上るそれを、一口食べた。



川  - )「…………ッ!!」



痺れる様な辛さが、舌先から脳天まで駆け抜ける。
まるで高圧電流が流れたかのような衝撃。

だがそれも束の間、今度は食材から滲み出た旨味が
スパイスによって生まれた風味と混ざり合い、絶妙で強烈な
ハーモニーを醸し出し、徐々に味覚へと伝わる。


川*゚ -゚)「美味い」


香り、味、共に絶品。
正に伝説に相応しいカレーであった。


川*゚ -゚)「ハムッハフハフ、ハフッ!」


こうなったらもう止まらない。
夢中でカレーを貪り食う。







――彼女が満足し、全てを食べ終える頃には、すっかり夜は明けてしまっていた。



川 *゚ - ゚*)「ふー」


念のため確認するが、これはクーである。


川 *゚ - ゚*)「満腹。満腹」


2_20091231181347.jpg



ぽっちゃり系クーは、幸せそうな顔で腹をさする。
その姿は、まるでお腹の子をいたわる妊婦のよう。


川 ゚ - ゚ )「……にしても、ついつい食べ過ぎてしまったな」


体形が変わるまで食べるのは、食べ過ぎの範疇内なのか。
そんな疑問も、今の彼女を見てると、まったく、どうでもいいことだった。


川 ゚ - ゚ )「今度はブーン達にもおすそ分けするか」


川 *゚ - ゚*)「いや、いっその事カレーパーティなんかもいいかもな」



――皆で食べれば、もっと、美味しくなるかもしれん。そう、呟いて微笑む彼女。



クーのカレーへの飽くなき探求は、まだまだ、続くようだ。




川 ゚ -゚)はカレーフェチなようです 完






この小説は2007年5月15日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:nuan/C5F0 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです


お題
・カレーフェチ
・寺
・暗殺


ご意見等あれば米欄にお願いします



[ 2009/12/31 18:14 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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