はじめてブーン系小説を読む方は
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世の中は至って平和に過ぎていく。
大した事なんて無い。
それは宇宙のどこかにある星の国、ニューソクの県庁所在地、美府市のとある住宅に住む人々においても例外は無い。
筈。
( ´_ゝ`)「暇だ」
リビングのテーブルに置かれたノートパソコンのディスプレイに次々と現れる小さな警告文を眺めつつ、流石兄者は呟いた。
( ´_ゝ`)「もはやブラクラに何の感慨も湧かん」
(´<_` )「とうとうその領域に達したか。
流石だな兄者」
それを後ろから眺める流石弟者が言う。
(´<_` )「ある意味悟りを開いたんじゃないか?」
( ´_ゝ`)「ブラクラとは……ダメだ。
武蔵風に言ってみようと思ったが何も閃かん」
身体をのけ反らせ、天井を仰ぎながら兄者がため息混じりに言った。
(´<_` )「まぁ、そうだろうな」
( ´_ゝ`)「大体、世の中つまらなさ過ぎるんだよ。
何と言うかこう……心を揺さ振られるような刺激が無い」
(´<_` )「確かに、兄者からエロ画像漁りと
ブラクラゲッターの異名を取ったら何も残らんが……。
時に兄者、ノド渇かないか?」
( ´_ゝ`)「ん? ああ」
(´<_` )「麦茶でいいよな」
弟者は一旦兄者の傍らを離れ、リビングと繋がっているキッチンにある冷蔵庫へ向かった。
( ´_ゝ`)「TVでも見るか……」
兄者はおもむろにリモコンを握り、TVを点ける。
「……ここで速報です。
先程、美府動物園において大規模な動物の集団脱走が発生しました。
脱走した動物の中には、園内一の人気を誇るホワイトライオンのしぃちゃんがいるとのことで、
動物園は数名の猟師に麻酔銃による動物の捕獲を依頼しています。
特にしぃちゃんにおいては懸賞金が懸けられ、速やかな保護を画策している模様です。
なお、周辺住民の皆様は外出を控えるか、速やかに最寄りの避難場所へ……
くれぐれも動物の捕獲など危険な行動は避けてください……」
兄者はそのニュースを食い入るように見ていた。
その瞳は段々と輝き、口が釣り上がり、拳を握り締める。
( ´_ゝ`)「これだ……!」
そう言うなり、兄者はリビングを飛び出した。
しばし後。
(´<_` )「おーい兄者、麦茶を持ってきたぞ……って何だ!その格好は!」
弟者が見たのは、サバイバルスーツに身を包み、モデルガンと大きな虫取り網を両手に構えた兄者だった。
(*´_ゝ`)「おお、弟者、猛獣狩りに行こうよ!」
兄者は虫取り網を掲げながら楽しそうに言う。
(´<_`;)「微妙に懐かしい遊びの名前だな……
にしても一体全体何のつもりだ?」
( ´_ゝ`)「実はTVでかくかくしかじかでだな……」
(´<_` )「で、捕まえに行きたいと」
(*´_ゝ`)「YES!しかもホワイトライオンには懸賞金が懸かっている!
こんな楽しそうな事を見逃しては置けるか!!」
(´<_` )「そうは言うがな兄者……、モデルガンと虫取り網では心許なさ過ぎないか?」
( ´_ゝ`)「フッ、抜かりは無いぞ弟者!
万が一の為の最終兵器を持っていくさ!」
(´<_` )「ほう、最終兵器か。
一体何を持って行くんだ」
( ´_ゝ`)「それはいざとなった時のお楽しみだ!
さぁ、弟者の分のサバイバルスーツとモデルガンと虫取り網も用意しておいた。
いざ!動物捕獲大作戦の開始だ!行くぞッ!」
(´<_` )「嫌な予感がするが……、ありきたりすぎて逆に困るな……
ってオイ!引っ張るな兄者!」
兄者は弟者の首ねっこを引っつかみ、家を後にした。
動物の集団脱走があった美府動物園は、流石兄弟の住む町の隣町にある。
その隣町。
ある路地に設置されたマンホールが、ほんの少しだけ持ち上がった。
そこから垣間見えるのは人の目だ。
( ´_ゝ`)「……よし、OKだ弟者」
マンホールが完全に持ち上がり、中から兄者、そしてそれに続いて弟者が這い出て来る。
( ´_ゝ`)「やっぱり侵入方法はこうじゃないとな」
(´<_` )「普通なら町の入口で規制が敷かれていた時点で諦めるがな……
常識的に考えて……」
( ´_ゝ`)「馬鹿モン、立ち塞がる弊害は乗り越える為にあるんだ」
(´<_` )「……。で、どうするんだ」
( ´_ゝ`)「決まってるだろう。動物を捕獲するんだ」
( ´_ゝ`)「簡単にそうは言うがな兄者、捕獲ということの難しさを甘く見ていないか?
さっきも言ったが、装備がBB弾しか撃てないモデルガンと、
大きめとは言え市販の虫取り網とは貧弱過ぎるぞ」
( ´_ゝ`)「だから、秘策があると言っただろう。
いざとなったら任せておけ!」
(´<_` )「……分かったよ」
( ´_ゝ`)「さぁ、他の奴らに捕まえられる前に、動物達を捕獲するぞ!」
意気揚々と歩き出す兄者を見、弟者は溜め息をついてそれを追った。
( ´_ゝ`)「にしても……、人の気配が全くないな……」
静まり帰った住宅街を歩きながら、兄者が呟く。
(´<_` )「そりゃそうだろう。
一般人ならとっとと安全な場所へ避難するさ……
……ブッ!」
辺りを見回しつつ至極真っ当な意見を返した弟者は、唐突に立ち止まっていた兄者の背中に衝突した。
(´<_`#)「ッテテ……何で止まるんだ兄者!」
文句を言う弟者の口に、兄者の手が押し付けられた。
( ´_ゝ`)「いたぞ……」
兄者の視線の先にいたのは、ヤギだった。
目先の十字路で足を止めている。
( ´_ゝ`)「まぁ、ウォーミングアップにはちょうど良いな」
兄者は全く格好よくない、本人はクールだと思っている微笑を浮かべ、
背中の虫取り網に手を掛けつつ忍び足でヤギに接近していった。
( ´_ゝ`)「抜き足……差し足……」
が、十数歩接近した所で気付かれ、ヤギはこちらを向いた。
(;´_ゝ`)「!」
ダルマさんがころんだ宜しく、素早く動きを止める兄者。
(;´_ゝ`)「……」
しばしの沈黙。
睨み合う兄者とヤギ。
が、ヤギはすぐにソッポを向き、走り去って行った。
(´<_` )「……ブフッ」
それを見ていた弟者が吹き出す。
(;´_ゝ`)「な、何がおかしい!」
兄者が振り向いて憤慨するが、全く意味が無い。
(´<_`*)「いや、兄者がまるでフフッ、ヤギにブフッ、ナメられてブハハッ!」
(#´_ゝ`)「ええい笑うなっ!」
兄者のモデルガンの銃口が弟者に向けられる。
(´<_`*)「スマンスマン」
しばらく腹を抱えて笑いを堪えていた弟者が兄者の方を向く。
(´<_`;)「……」
表情が一変した。
(´<_`;)「あ、兄者……」
( ´_ゝ`)「何だ?」
弟者が兄者の後ろを指差し、兄者は振り向き、硬直した。
先までヤギがいた十字路に、黄色と黒のストライプが特徴的な猫科の動物、アムールトラがいた。
完全に目が合う兄者とアムールトラ。
(´<_`;)「……」
それを後ろから眺める弟者。
兄者が、ゆっくりと右腕を後ろに回し始めた。
右腕はモデルガンの入ったホルスターを通りすぎ、腰に着けられたポーチに掛かる。
トラから目線を逸らさずに、兄者はポーチを開け、手を突っ込んだ。
(´<_`;)「最終兵器か……!」
弟者が極めて小声で呟く。
兄者の自信の源。
ゆっくりとポーチから取り出されたそれの正体は……
(´<_`;)「……リコーダー?」
どこからどう見てもリコーダーだった。
兄者は持ったリコーダーを口元へ持っていく。
吹いた。
「バボブーーーーーーー」という酷いの一言に尽きる音が、奇妙な緊張の場に響いた。
トラの顔が見るまに不快感を増していく。
兄者は吹くのを止めない。
トラの表情が決定的に歪んだ。
「ガアァァアァアァァ!!」
(;´_ゝ`)「逃げろぉぉぉぉ!!」
トラの咆哮でようやく兄者が諦めて走り出した。
脇を猛スピードで駆け抜けた兄者を追って弟者も走る。
(;´_ゝ`)「うおぉぉぉ!!」
背後を見ている暇も無い。
弟者はモデルガンを後ろに向けて狙いも付けずに乱射しつつ叫んだ。
(´<_`;)「兄者!!一応聞いておくが、最終兵器ってのはリコーダーか!!」
(;´_ゝ`)「そうだ!!」
(´<_`#)「馬鹿か!馬鹿じゃないのか!!またはアホか!!」
十字路を右に曲がりながら、二人は叫ぶ。
(#´_ゝ`)「何でだよ!どっかの国のナントカ人は笛でコブラ手なずけてたぞ!?」
(´<_`#)「そんな適当な記憶で判断すんな!!
しかもコブラ限定じゃないか!
大体そういうのは長い練習の果てに身に付けるモンだろうが!!」
(#´_ゝ`)「出来ると思ったんだよ!!」
(´<_`#)「だからお前はアホなのだ!!
それにアルトでもないリコーダーでバ行の音出す奴を初めて見たわ!!
そんな音聞かされたらそりゃトラだって不快だろうよ!!」
(#´_ゝ`)「分かったから黙って走れ!!」
(´<_`#)「逆ギレかよ!逆ギレかよ!」
散々走った揚句、二人は公園へと逃げ込んだ。
どうやらトラは振り切ったらしい。
(;´_ゝ`)「ハァッ、ハァッ……オエ……吐きそうだ」
兄者は公園の真ん中で立ち止まり、膝に手を置きながら、荒い呼吸に合わせて肩を揺らす。
(´<_`;)「兄者……数百メートルを全力疾走しただけで……
吐き気を催すのは……どうかと思うが……」
一方の弟者は、呼吸は荒いものの、膝に手を付いたりはしなかった。
(;´_ゝ`)「…………ダメだ、ちょっとトイレ」
兄者はノロノロと公園のトイレに歩き出そうとする。
が、唐突に肩を叩かれた。
阿部さんとは、美府動物園で飼われている有名なゴリラのニックネームである。
何故有名なのか。
理由は二つ。
一つ、彼は非常を通り越して異常なほどに性欲旺盛なのだ。
しかもその矛先たるや同種の同性は勿論、異種の同性すら食い物にしてしまうほどであり、
ある夜にチンパンジー舎に忍び込み、ノンケのチンパンジー三頭に「ひぎぃ!!」と言わせ、
全治三ヶ月の裂傷を負わせた事件はまだ目に新しい。
そんな彼のキャッチコピーは「良いのか?俺はどんな霊長類でも喰っちまうゴリラなんだぜ?」である。
もう一つ、彼はたった一つではあるが、人語を解する事が出来る。
「やらないか?」
兄者の背後でそう呟いた阿部さんは、いきり立つ自らの一物を見せるような恰好で二本の足で立ち上がった。
(;´_ゝ`)「いやいやいや!!
無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!」
「やらないか?」
聞く耳持たずである。
(;´_ゝ`)「畜生!無理なモノは無理なんだ!」
兄者は後退りしつつ、腰のホルスターからモデルガンを抜いた。
(;´_ゝ`)「許せ!!」
兄者は謝りつつ、モデルガンを阿部さんの一物に向け発砲した。
発射されたBB弾は阿部さんの一物に命中し……
「ウホッ」
何か金属にでも当たったかのような音を立てて弾かれた。
(;´_ゝ`)「うそだろぉぉぉぉ!?」
素っ頓狂な声をあげる兄者。
「やらないか?」
半端ない強度を誇る、そそり立つ一物を握りながら兄者に迫る阿部さん。
(´<_`#)「うおぉぉぉ!!」
突然、弟者の叫び声がして、阿部さんの背後から阿部さんの股間に弟者の蹴りが炸裂した。
「ウホッ……」
流石にこれは効いたらしい。
呻くように呟いた阿部さん、思わず身をかがめた。
(´<_` )「逃げるぞ!!」
(;´_ゝ`)「あ、ああ」
二人はまた走り出した。
(´<_` )「もう満足しただろう?町を出よう!」
( ´_ゝ`)「でも……」
走りながら撤退を提案する弟者に、兄者はまだ諦め切れない様子だった。
(´<_`#)「ヤギも捕まえられないくせに、トラを不機嫌にさせた揚句、
ゴリラに掘られそうになってもまだ懲りないのかよ!!
十分スリルは楽しんだろう!?」
(;´_ゝ`)「う……分かったよ」
(´<_` )「とりあえず侵入してきたマンホールまで戻ろう。
他の奴らに見つかって保護されると後が面倒になる気がするし、
バレずに町を出るにはあそこからじゃないとルートが分からん」
( ´_ゝ`)「把握」
阿部さんが追い掛けてこないことを確認し、走るスピードを落としつつ、二人はマンホールを目指した。
(´<_` )「ここを曲がればマンホールだな……」
( ´_ゝ`)「あー……疲れたな」
(´<_`;)「誰のせいだ、誰の」
二人は曲がり角を曲がり、目的のマンホールと……
(;´_ゝ`)「! おい、アレは……!」
そのマンホールの脇に寝そべる、真っ白な毛並みが眩しい雌のライオンを見た。
(´<_`;)「しぃちゃんか……!」
二人は歩みを止め、しばしその美しい毛並みを眺める。
( ´_ゝ`)「……どうするよ」
(´<_` )「どうするって……」
目の前にいるのは正真正銘、賞金の掛かった人気者のホワイトライオンである。
( ´_ゝ`)「とりあえずさ、近付こうぜ」
(´<_` )「何で!?今までの経験を活かせよ!
しかも相手は雌とは言えライオンだぞ!」
( ´_ゝ`)「そういう無根拠な警戒心とか敵対心とか猜疑心とかが
相手も警戒させるんだ。
ムツゴロウさんを見習えよ」
(´<_` )「あの人ライオンに小指噛まれたぞ」
(#´_ゝ`)「……とにかく!ピュアな心で接すれば大丈夫だ」
(´<_`;)「俺はもう知らんぞ……」
弟者の制止を振り切り、兄者はしぃに近付いていく。
しぃはこちらを見るものの、特に警戒する様子は無い。
(*´_ゝ`)「よーしよし……怖くないよー」
兄者は次第に距離を詰めていく。
あと数メートル。
その瞬間、弟者は塀から兄者に飛び掛かる何かを視界の端で捉えた。
(´<_`;)「あ、兄者下がれ!」
叫ぶのと同時に、モデルガンを影に向け発砲する。
「ギャッ!」「ウオッ!」
二つの叫び声が、聞こえた。
兄者は弟者の言葉に反応し、身を屈め、自らに飛び掛かる影を見た。
影はまっすぐ兄者に向かって飛んで来ていて、このまま行けば確実に兄者を捕らえただろう。
しかし、そうはならなかった。
弟者が咄嗟に発砲したBB弾が、影に命中したのだ。
影は空中で体制を崩す。
が、上手く身体を捻り着地した。
兄者に飛び掛かった、その影の正体は……。
ミ#゚Д゚彡「ゴルァ!」
至って普通の、雄ライオンだった。
雄ライオンは、兄者としぃの間に立ちはだかる。
ミ#゚Д゚彡「グルルルル……!」
全身の毛を逆立てて、兄者を威嚇した。
(;´_ゝ`)「ビビった……」
兄者は雄ライオンから目を離さないようにしながら立ち上がる。
すると、兄者がある事実に気付いた。
( ´_ゝ`)「なぁ、弟者……。
しぃちゃん、足をケガしてないか?」
そう言われた弟者が見てみれば、確かに右前足の一部の毛並みが赤く染まっていて、
しぃはその部分を丹念に舐めていた。
恐らくは他の誰かに撃たれたのだろう。
(´<_` )「本当だ……。
それで近付いても何もしてこなかったのか……」
呟く二人から、雄ライオンが警戒は継続しつつ視線を外す。
ミ,,゚Д゚彡「ゴルァ……」
寄り添うようにしながら、雄ライオンはしぃの傷口を舐め始めた。
( ´_ゝ`)「……成る程。
仲睦まじいカップルか、お前ら」
兄者の質問に、しぃがライオンらしくない猫撫で声で鳴いた。
(´<_` )「そういえば、最近のしぃちゃんは他のライオンとは別の舎に入れられてるんだったな……」
( ´_ゝ`)「ライオンのくせに脱走して駆け落ちかよ。
……羨ましくなんかないぞ!」
(´<_` )「ヒガミ乙」
(#´_ゝ`)「うるさい!
……しかし、これは追加ミッションのようだな」
(´<_` )「らしいな」
二人はそういって、ニヤリと笑った。
※
翌日。
二人は隣町から無事に戻り、再び退屈な時間を過ごしていた。
( ´_ゝ`)「……なぁ、弟者」
兄者は椅子に大きくもたれ掛かり、ブラクラで埋め尽くされていくデスクトップから、
背屈しているために逆さまに見える、後ろで新聞を読む弟者に視線を移しつつ、声をかけた。
( ´_ゝ`)「そろそろあの脱走駆け落ちライオンカップルを載せた船はアフリカに着くんじゃないかね」
(´<_` )「そうだな」
新聞から目を離すことはなく、弟者は答える。
( ´_ゝ`)「あの脱走駆け落ちカップルは上手くやっていけるかねぇ」
(´<_` )「まぁ、あの二匹なら大丈夫だろう」
弟者は新聞をめくる。
( ´_ゝ`)「捕まったりしてないよな」
(´<_` )「俺達があの二匹を船に忍び込ませる努力が報われたならな」
もう一枚。
( ´_ゝ`)「しかし、あのいきり立った雄ライオンを宥めた揚句港まで誘導するとは、
流石だよな、俺」
(´<_` )「確かになぁ……。
兄者と雄ライオンがあの睨めっこで意志疎通を出来たのは奇跡だな。
つーか兄者の顔の凄まじさに、ライオンちょっと引いてたよな」
( ´_ゝ`)「だからさ、やっぱどんないきり立った動物とだって、
やれば分かり合えるんだって!」
(´<_` )「いきり立った阿部さんに「やらないか」って言われたのに
全力で否定した奴の台詞じゃないな」
(;´_ゝ`)「あれは別だっつの!」
最後の一枚。
次の記事を見た弟者の口が綻んだ。
( ´_ゝ`)「……あー畜生、俺もあんな相思相愛のカップルになりたーい」
(´<_` )「まぁ、どう頑張ってもあの二匹の様に新聞には乗れないだろうな」
( ´_ゝ`)「は?新聞ってどういう……イテッ!」
怪訝そうな兄者の逆さまになった顔に、弟者が投げた新聞製の紙飛行機が当たり、兄者の胸元に着陸した。
兄者はその新聞を広げ、そして見た。
脱走駆け落ちライオンカップルが、港を大騒ぎに巻き込んだ揚句、
怪我人を出す事なく港から逃げおおせ、逃避行の末、草原に姿を消したという、実に愉快な記事を。
その記事の文章の中に、何故その二匹が船に忍び込めたのか疑問だ、というコメントも見つける。
「なあ、弟者……」
「流石だよな俺達、だろ?」
「……だよな」
そういって、二人は笑った。
( ´_ゝ`)流石兄弟の日常(´<_` ) fin
この小説は2007年7月10日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:433ykLNXO 氏
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