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('A`)が生と死を彷徨うようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




教室には黒板から響く小気味のよい音と少数のひっそりとした話し声のみが聞こえていた。

というのも今は英語の授業中だからだ。

教師が次から次へと板書をしていき、ほとんどの生徒は黙々と写している。

中には寝ている奴や話してる奴もいるが概ねこのクラスは真面目らしい。

そしてオレはというと何をするでもなくただ教室を見渡していた。

眠くはなかったし、かといって板書を写す必要はないからだ。

なぜかって?




それは今日オレは自殺するからさ。




1_20091231131020.jpg



('A`) (今日でこのクラスとも見納めか…。)

別にイジメを受けてるわけでもないし、家庭に問題があるわけでもない。

生きていることに別段何の苦痛もなかった。

いや、苦痛すらなかったんだ。

友達と話したり遊んだり、TVや本を読んだり、

日々に楽しいと感じることもたくさんあった。

ただ、少し時間がたつと全て虚しく感じてしまう。

そしてさらに時間がたつ頃には本当にそれがあったのかもわからなくなる。

きっと人間は過去と未来に支えられないと生きていけないんだと思う。

そしてオレにはそれがないんだ。感じられないんだ。

足場も目的地もないオレの行き場所はひとつしかない、そう思った。

('A`)(遺書は机においてきたし、親は働いてるから見つかるのは全て終わったあとだろうな。
   後は予定どおり放課後屋上から飛び降りるだけか…)               

その後も淡々と授業は過ぎていった。挙動からはばれない自信があったし、

実際誰にも疑われることなく放課後はやってきた。

クラスメイトに一方的な最後の別れを心の中で告げ、屋上への一歩を踏み出す。

何もかもが順調だった。

後は階段を上り、屋上の扉を開け、フェンスを乗り越え足を踏み出す。

それで全てが終わる。





終わるはずだった。 突然女子が飛び出して来さえしなければなければ……

その子は屋上の扉を勢いよく開けると、ハンカチか何かで顔を覆いながら前も見ずに階段を下りようし、

そのままオレにぶつかった。

オレはその突然の出来事になすすべもなく勢いよく吹き飛ばされた。

そして吹き飛ばされながらも

('A`)(泣いてるみたいだな、屋上で告白して駄目だったのか、それとも彼氏に振られたのか
   はたまた恋愛以外の事情だろうか)

などと妙に冷静に考え、そしてこれが死の瞬間スローになるというやつだろうかと思った直後、
気を失った。




次に目を覚ましたとき目に入ったのは白い天井だった。
いろんな状況から察するにきっと病院だろう。

そんな大怪我だったのかと思いながら身を起こそうとすると、後頭部に軽い痛みが走った。

('A`)(いてっ、でもそんな大事にも思えないな。
    つーかいっそ死んでりゃ…いやそれじゃあの子がかわいそうか)

などと考えていると

J( 'ー`)し「おや、ドクオ目覚めたのかい。心配したんだよ。」

隣から母親の声がした。わざわざ仕事を休んで看病に来てくれたらしい。

('A`)「あぁ、カーチャン。心配かけてごめん。」

('A`)(それにしてもどうするかな。遺書が見つかったら…)

J( 'ー`)し「ホント大事じゃなくてよかったわ。……それよりあんた、これは?」

そういうと母親は一枚の封を差し出した。
それには紛れもなくオレのつたない字で『遺書』と書かれていた。

(;'A`)(あっちゃー。すでに見つかってたか)

(;'A`)「えーっと、それは……」

と、オレがなんと言おうか自分のスペックを呪いつつ頭をフル回転させていると
部屋の扉が開き一人の男が入ってきた。               

(´・ω・`)「やあ、調子はどうだい。」

その男は白衣を身にまとい、一見やる気のなさそうな、
しかし数多の危機を乗り越えてきたような冷静さを備えた表情をしていた。

('A`)「えっと、まぁなんとか」

(´・ω・`)「そうかい、それはよかった。」

そうして、またしばらく無言でオレをじっと見つめた後、
母親の方に目を向け、何かのアイコンタクトをとったようだった。

すると母親は立ち上がり、
その医者に一礼をしたあとオレに向かって悲しそうに微笑み、そして静かに出て行った。

この医者も事情を知っているのだろうか。

またしばらく沈黙が続いた。

オレがこの気まずさをどう打開するか思考していると医者が再び口を開いた。                       

(´・ω・`)「さて早速だが、あぁそうそう僕は君の主治医でショボンというんだ、よろしく。
     それで本題なんだが、まず君の事情は知っている。
     が、しかし僕は精神科医ではない。つまりそれに関しては僕の仕事じゃないんだ。」

何が言いたいのか、いまいち把握できなかった。
だからそっちの医者を紹介すると言うこととかだろうか。

(´・ω・`)「それで僕の仕事なんだが、うちの病院はインフォームド・コンセントがしっかりしていてね。
      親御さんの許可も取っている。幸か不幸か君には覚悟もできてるようだしね。」

('A`)「…どういうことですか。」

(´・ω・`)「君は不治の病に冒されているんだ。」

(;'A`)「!?」

('A`)「……。」

正直、最初は我が耳を疑ったが、すぐにだからどうしたというんだと思った。

元々死ぬ気のオレにそんなものが見つかったからといってどうということはない。

むしろ自殺を止められない口実にすらなる、そう思った。

('A`)「そうですか。他の誰かじゃなくてオレに出てよかったですね。」

我ながらすごく冷めた声だと思った。

(´・ω・`)「そうかもしれないね。」

医者の声もまた冷めていた。きっとこういうのに慣れてるんだろう。                   

(´・ω・`)「まぁ一応規則だからね、病の症状を伝えておくよ。     
     主な症状は筋肉弛緩だ。だんだん力が入らなくなっていき、
     最終的には体の全機能が停止して死に至る。 
     幸いと言っていいのかはわからないが、痛みもないし、
     効く薬もないから副作用に苦しむこともない。
     まぁ主な症状はこんなところだね。」

('A`)「わかりました。それで、オレにはあとどれくらいの期間が残ってるんですか。」

(´・ω・`)「おや?興味ないと思ってたけど、やっぱ気になるのかい。」

('A`)「……。」

(´・ω・`)「まぁこれも規則だしね。君の寿命はあと残り約一ヶ月といったところだ。
     それで、どうするんだい。僕は別に君が死にたいというの止めはしない。   
     退院してくれさえすれば好きにしてくれればいい。」

なんて言う医者だ。患者の命がどうでもいいだって?

しかし正直この状況を全く想定していなかったので
どうすればいいのかわからなかった。

ただ、後のことを考えたら病気で死んだ方が迷惑はかけないんじゃないか、そう思った。

本当にただ、それだけが思い浮かんだ。

('A`)「…とりあえずは、ここで暮らしてみます。」

(´・ω・`)「そうかい。じゃぁとりあえず今日は疲れてるだろうし、この辺にしとこう。じゃぁまた明日。」 

そういうとショボンは後ろを向きゆっくりと扉の方へ歩き出した。

そこでふとくだらないことが浮かんで、
言おうかどうしようか迷ったが、結局言うことにした。

('A`)「先生、学校に、あとクラスメイトにもこのことを伝えておいてください。」

(´・ω・`)「どうしてだい。」

('A`)「突然死なれるより、いつ頃に死ぬかわかってた方がいろいろと楽でしょうから。」

(´・ω・`)「……わかった、伝えておこう。」

そういうと、ゆっくりと出て行った。

オレの言葉を聞いたときの顔が心なしか悲しそうに見えたのは気のせいだろうか。

そしてオレは窓越しにどんよりとした鉛色の空を見上げながら、

自分の寿命は果たして延びたんだろうか、縮んだんだろうかと考えながらその日は眠りについた。




次の日からオレの最初で最後になるであろう入院生活が始まった。

部屋にいても暇だったので、病棟内を散策してみたが

当然面白いものがあるはずもなかった。

オレのいる病棟はよく漫画や小説などであるいわゆる末期の患者のためのものであるらしく

全体的にひっそりとしていて、なんとなく空気が暗く重たく感じられた。

('A`)(死を待つばかりの人たちが同じ場所に集められているわけか)

オレは昔老人のそういう施設に祖父のお見舞いに行ったときのことを思い出していた。

そこでオレが感じたのは閉塞感と哀れみと虚しさだけで絶対こんな風に死にたくはないと思った。

今思えばそれも自殺しようと思ったきっかけの一つかもしれないが

皮肉にも今自分が同じような境遇にあると気づき、思わず自虐的な笑みが漏れた。   

そんなとき、視界に一人の女子の姿が入った。

見たところオレと同じくらいの年ようだった。

('A`)(ここにいるということはあの子もか……)

オレがじっと見ているとどうやらあちらもこっちに気づいたらしく

こちらに向かって満面の笑みを浮かべながら駆け寄ってきた。

正直なところ、その反応に驚いた。

その笑みには暗さのかけらもなくまさに輝いてるといっていいに等しいものだったからだ。

('A`)(なんでそんなに笑ってられるんだ?まさか知らないというわけでも…)

そう俺が思っているとその女子が話しかけてきた。

(*゚∀゚)「やー。君名前はなんて言うの?いつからいるの?
    いやー同じくらいの人と話すの久しぶりだよー。」

(;'A`)「いや、えっとー……。」

口から出た不意のマシンガントークにオレは反応できなかった。

意思の疎通を図るのにそのあと10分もの時間を必要としたのだからたいしたものだと思う。

ともかくその日からオレと彼女、つーはほぼ毎日のように話すようになった。

彼女、つーはやはりオレと同じ年齢だった。

なんでも高校一年の夏休みあたりから入院してるらしく、
ここでは私の方が先輩だからねと笑いながら言った。

彼女は本当によく喋った。

オレはそのペースについていけるようにするのに精一杯だった。

もしかしたら今まで生きてきたのと同じくらいの量を喋ったのではないかと思ったほどだ。

そんか感じで一週間ほどたったころ、
いつものように俺たちは屋上でのんびりと過ごしていた。

空は綺麗に澄んでいて、雲一つなく見渡す限り青々としていた。

オレが少しくらい雲があった方がむしろ好きだな
などと思っていると

つーが話しかけてきた。

(*゚∀゚)「ねぇ鶴折れる?」

いつもより抑えめの声がそう聞いてきた。

('A`)「まぁ折れないこともないな。」

そういいながら、

('A`)(大方千羽鶴ってところだろうな。
   やっぱりつーも死ぬのが怖いのだろうか)

と浅はかにも考えていたがすぐにそれを後悔することになった。

(*゚∀゚)「あのね、私の学校の友達が事故に会ったみたいで入院するんだってさ。
    たいしたケガじゃないらしいんだけどその子に千羽鶴を送りたいのさ。」

(*゚∀゚)「それでドクオにも協力してもらいたいんだけど…ダメ?」

(;'A`)「え、ああ、いいけど」

とオレは驚きのあまり曖昧な返事しかできなかった。

('A`)(友達に送る?自分の方が重病だっていうのに?)

正直、信じられないほどだった。

と同時につーが死についてどう思っているかが気になった。       
('A`)「なぁつー、おまえは死ぬのが怖くないのか?」

(*゚∀゚)「どうしたんだい、いきなり。
    まぁそうだねぇ、そりゃ怖いかって聞かれたら怖いさ。」

('A`)「じゃあなんで自分じゃなく他人のために鶴を折るんだ。」
   怖いなら神頼みでもなんでもしようとは思わないのか?」

(*゚∀゚)「……私の寿命はね、もうどうしようもないくらい残り少ないのさ。
    いくら鶴が千羽いても死神は追い払えないでしょ?
    だったら友達のために折った方がよっぽど有意義だと私は思うのさ。」

('A`)「そうか、なんかおまえらしいかもな。」

でも、それは同時にとても悲しい事に思えた。
どうにかしたくてたまらないのに
もうどうしようもないことが分かりきっているっていうのは一体どれほど辛いことなんだろうか。

(*゚∀゚)「ド゙クオは…ドクオは死ぬのが怖くないの?」

('A`)「……。」

オレはその問いにどう答えようか迷った。
正直に話せば軽蔑されるかもしれない。オレがいるのはいってみりゃ対極の位置だ。

かといって嘘をつくのもしてはいけないことのように思えた。

オレはしばらくどうしようか悩んだが、
つーには嘘をつきたくない
そう思ったので今までのことを話すことにした。 



(*゚∀゚)「そっか、そうだったんだ…」

('A`)「あぁ、それに今もその気持ちは変わってない。」

(*゚∀゚)「…どうしてそう思うんだい。」

('A`)「オレには何もない、そう思えるからさ。
   実際にあるかどうかは問題じゃない。
   たとえ存在していても知覚できなきゃ存在してないに等しいからな。」

('A`)「そしてオレには何も見えないし聞こえないし触れないんだ。
   後ろを振り返っても前を見てもあるのは虚無感だけなんだ。」

('A`)「人間は昨日の自分がわからないと立てないし、
   明日の自分がわからないと歩けないんだ。
   
   だから…だからオレは生きられないんだ。
   落ちるしか…ないんだ。」

オレは自分の思ってることを初めて他人に吐露した。

精神的に弱ってただけかもしれない。

ただ、つーには話しておきたい、そう思ったんだ。         

しばらく無言が続いた。

オレがやがてその沈黙に耐えきれなくなり立とうとしたとき
つーが口を開いた。


(*゚∀゚)「だったらさ、私があげるよ。」

('A`)「え?」


(*゚∀゚)「わたしがさ、ドクオにこれから生きるべき道を示してあげるよ。」

('A`)「それってどういう…」


(*゚∀゚)「そのいちっ!、私の病気の治療法を見つけなさい。 
    そして同じ病気の人を一人でも多く救いなさい。」

オレが言葉を言い終わらないうちにつーが言い始めた。


(*゚∀゚)「そのにっ!、弱きを助け強きを挫きなさい。」


(*゚∀゚)「そのさんっ!、世界が抱える深刻な諸問題を解決に導きなさい。」

(;'A`)(おいおい、いきなりスケールでかくなったな)



(*゚∀゚)「そのよんっ!…私を幸せにしなさい。」

('A`)「っ!!…つー。」     


(*゚∀゚)「以上全てを叶えること。
    ドクオは今日からそのために生きればいいさ。」


('A`)「…確かにつーの言いたいことはわかる。
   でもさ、現実も考えてくれよ。オレにはあと三週間程度しかないんだ。
   今さらあと3週間足らずの人生に目的を持つことに何の意味が
(*゚∀゚)「あるさっ」


(*゚∀゚)「私たちと他の人たちに何の違いがあるのさ。」

('A`)「…残り寿命だろ。」

(*゚∀゚)「なんでそういえるのさ。
    誰がいつ死ぬかなんてわからないじゃないか。
    私たちはたまたま残り時間を知っているだけのことさ。」

(*゚∀゚)「ほとんどの人はいつ死ぬのかはわからない。
    でも人生に目的を持ってる人はたくさんいるじゃないかい。」


('A`)「でもその人たちには達成できる可能性もあるだろ。
   やっぱり俺たちとは違うさ。」

(*゚∀゚)「目的っていうのは達成できないと意味はないのかな。
    私はそうは思わないよ。
    山を登りきるのを鼻から無理だと諦めている人よりは
    途中まででも頂上目指して登った人の方が上にいるじゃないかい」

つーの言いたいことは本当によくわかる。
でも…

(;'A`)「でも、結局何も変わらないだろっ。
    見えない絶望から見える絶望に変わるだけだ。
    絶対登れないとわかってるのに一歩を踏み出せるほど
    オレは強くない。」

(*゚∀゚)「違うよ。ドクオは弱くない。
    だって自分をちゃんとわかってるじゃないか。
    だからドクオなら必ず…」

('A`)「…今日はもう戻るよ。じゃぁ、また明日な。」

そういってオレは部屋に向かって歩いていった。

(*゚∀゚)「大丈夫さ。ドクオなら絶対できる。
    だってあなたは、あなたには……。」  




その次の日からつーの姿は消えた。

部屋にも行ってみたが、面会謝絶のようで入ることはできなかった。

('A`)(どうやら、先にいっちまうようだな…)

最近徐々に力が入らなくなってきてることもあったので

オレは仕方なしにさっさと自室へ戻り、ぼんやりと物思いにふけることにした。

('A`)(昨日つーはああ言ったけどやっぱりこれが現実なんだ。
   何にも残らないのさ。過去にも、未来にも。
   必死に生きたって時が全てを消し去り、残るのは虚しさだけ。
   でも……)

と、理性の自分が感情の自分を必死に納得させようとしていることに気づき、
思わず苦笑いする。

('A`)(オレも変わったのかもしれないな。
   もし残りの人生がまだたくさんあったとしたらオレはどう行動するんだろうか…
   いや、やめようこんなの無意味だ。)

混沌としてきた脳内議論に嫌気がさしたので思考停止してしばらく寝ようと思ったところで
来訪者が現れた。                          

(´・ω・`)「やぁ、調子の方はどうだい?」

('A`)(そういや定期検診だったっけ)

('A`)「別になにも……。」

(´・ω・`)「そうはいっても確実に症状は進行しているはずだよ。
     さて、じゃぁ早速だが検診を始めようか。」

そういうとてきぱきと準備をし、検診をし始めた。

オレは今にも雨が降りそうなどんよりとした空を眺めながらそれを受けていた。

(´・ω・`)「そういえば、そろそろ鶴がくる季節だね。
     知ってるかもしれないけどこの近くに越冬地があるんだ。
     もし興味があるなら僕に言えば連れてってあげるよ。」

('A`)「鶴……。」

まだどうすべきかの答えは見つかっていない。

けどやれることがとりあえず一つあるような気がした。

('A`)「すいません。折り紙を買ってきてくれませんか。」

(´・ω・`)「……終わったらすぐに持ってこよう。」

('A`)(まだわからない…けど一歩ぐらいなら踏み出してみるのも悪くはないよな…)


その日からオレの寡黙な内職が始まった。

つーがいつまで生きられるのかはわからない。

だからこの仕事が間に合うかどうかに今後の自分を賭けてみようと思った。

('A`)(運命は変えられなくても、生き様は変えられるのかもしれない)

そうしてオレは何日も何日も一人でひたすら鶴を折り続けた。

しかし、オレの病気も直実に進行しているらしい。

段々と鶴を折るのが辛くなっていき、当然ペースも落ちていった。

('A`)(辛い、今すぐ止めたい。こんな事してもきっとどうせ意味はないんだ…。
   でも…でもなぜか手が止まらないんだ。何でだよ。)

そして、入院してからちょうど一ヶ月後の日だった。

千羽鶴もうほぼ完成していた。あとたった、たった一羽を残すのみだった。

しかし、それが本当に遠かった。手が震えて紙を握るのもやっとのことだった。

('A`)「くそっ、動け。動けよこのやろっ!」 

必死に紙と格闘するが、いたずらに時間は過ぎていくだけだった。

そんなとき、ショボンが部屋に入ってきた。
しかしいつものように声を発する事はなくその顔もいつもより少し悲しそうだった。
オレは直感的に嫌な予感がして思わず聞いていた。


('A`)「まさかつーが…。」
 
(´・ω・`)「…悪いけど医者には守秘義務があってね、
      患者のことは他人には話せないんだ。」

('A`)「くっ…。」

(´・ω・`)「…ただ、僕は悪い医者でね。
     既に一回破ってしまってるんだよ。
     君は一回も二回も同じだと思わないかい?」

('∀`)「…さぁ、でももし先生がここで独り言を喋りたいというのなら
    オレは止めませんけど。」

(´・ω・`)「フッ、そうだね。ちょうど鬱憤がたまっていたんだ。
     少し独り言でもしていくとしよう。」

(´・ω・`)「僕の患者に一人少女がいるんだが、その子の病気も難病でね。
     いろいろと症状はあるんだが徐々に体を蝕んでいき最終的に
     二つの選択肢から選ばなくてはいけなくなる。」

(´・ω・`)「一つは尊厳死だ。この場合はまぁ説明するまでもないね。
      もう一つは植物人間状態での延命治療だ。
      こっちの方が一見ましのようにも思えるが、実は難点があってね。
      研究によると意識の一切は残るそうだ。
      つまり何年何十年という時を孤独な自分の意識の中だけで
      治療法を待ち続けて耐える事になる。
      もちろん治療法が見つかる保証もない。」       

(´・ω・`)「今その少女は悩んでいる。
     そして僕もどうアドバイスしていいやらわからない。
     全く八方ふさがりさ。」


オレは黙ってその話を聞いていたが、何もしていない訳じゃなかった。

そう、俺の手には最後の一羽が握られていたんだ。

オレはこの鶴を見ながら決意した。


('A`)(こうなりゃもうお互い登れない山を登るしかないな。
   可能性は無いも同然だけど、やってみる事に意味がある。
   そうだよなつー)

('A`)「先生、オレも独り言言います。
   『オレが必ず見つけてやる。だから信じて待ってろ。
   ちっぽけな、けど偉大な一歩を踏み出そうぜ』
   …これだけです。」

(´・ω・`)「…そうか。じゃぁまたあとで。」

そういうとショボンは静かに出て行った。

心なしか嬉しそうな表情に見えたのはやっぱりオレの気のせいだろうか。

そんな事を思いながら窓の外の燦々と輝く太陽に目を向けた。  




そしてその日の夜、とうとうオレは動く事ができなくなった。

('A`)(くそ、約束したばっかだっていうのに情けねぇ)

そこに再びショボンが現れた。この人とも今日でお別れだろう。

(´・ω・`)「残念ながら、今日で最後の日のようだ。
      医者らしい事は何一つできなかったが許してくれ。」

('A`)「……。許すも…何も…ないです…よ。」

(´・ω・`)「そうでもないさ。
     それより最後に君の心を聞いておきたい。
     やっぱりこれは君にとって自殺の代わりの死なのかい?」

('A`)「…オレは…ずっと、ひ…人の死は…どんな…人生も無に返すと…思って…いま…した。
   でも、つーが…教えて…くれたん…です。
   し…死ぬ場所…に…よって…みんな…違うんだ…と。
   それが…人の…人の『生き様』…なんだと。
   …だから…この…死は…あのときのとは…違い…ます。
   少しは…前に…進め…たと…思うか…ら、
   …だから…こ…この…死は…ずっと…意味の…あるものだと、
   そう…思い…ます。」

(´・ω・`)「そうかい。それが聞けて本当によかったよ。
     …それじゃぁ、おやすみ。」


その声を最後にオレの意識は遠のいた。   










(;'A`)「……あれ?」


目を開けると白い天井が見えた。

どう考えたってここは天国でも地獄でもない。

紛れもなく病院のオレの部屋だ。

試しに体を起こしてみる。

全体的に倦怠感はあるが、どうやら体は動かせるらしい。

混乱する頭で事態を整理し、脳内会議が夢オチで議決しようとした時に
横から聞き覚えのあるあのやる気のない声が聞こえてきた。



(´・ω・`)「やあ、おはよう。
    この牛乳はサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。
    うん、不治の病っていうのは「嘘」なんだ。済まない。
    仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
    でも、この一ヶ月で、君は、きっと言葉では言い表せない
    「生きがい」みたいなものを見つけてくれたと思う。
    殺伐とした世の中で、人生と言うものを思い直して欲しい
    そう思って、今回の嘘をついたんだ。
     じゃあ、感想を聞こうか。」



正直、全く意味がわからなかった。


既にオレの脳みそはオーバーヒートで悲鳴を上げている。

何とか必死に事態を整理しやっとのことで何とか声を絞り出した。

('A`)「じ、じゃぁ、オレは至って健康だったって事ですか。」

(´・ω・`)「後頭部のケガ以外はね。
     そもそも今回の件は全て君のお母さんに頼まれた事だったんだ。
     君のお母さんは遺書を見つけてずいぶんびっくりしたらしくてね。
     どうにかして欲しいと僕に相談してきたんだ
     だから僕は考えに考え、そして今回のようなものになったというわけさ。」

('A`)「そんな、馬鹿な…ってか医者がこんな事して…。」

(´・ω・`)「だから言ったろう?医者らしい事は何一つできなかったって。」

医者がこんな嘘をついていいわけがない。
許せるような事じゃないだろ。

しかし、不思議と怒りは湧いてこなかった。

それよりもっと気になる事があった。


('A`)「じゃぁつーも?」

(´・ω・`)「…残念ながら、つー君のことに関しては本当だよ。
     ただ、僕から君の事は伝えてあったがね。」

つーの態度からあれが嘘ではないだろう事は
何となくわかってはいたがやはりショックだった。

(´・ω・`)「それで、どうする?
     いくら頼まれたとはいえ確かに僕は医者にあるまじき行為をした。
     君が訴えるというなら甘んじて罪を受け入れようと思う。」

オレが訴えない事をわかっている上でこんな発言をしていると思うと


少し、いやかなり腸が煮えくりかえったが、今この医者を相手にしている時間はなかった。



これからは一分一秒が惜しいのだ。

…それになんだかんだ言って感謝の気持ちもないわけではない。



とにかく一刻も早く行動する必要がある。


('A`)「生憎あんたにかまってる暇はねーよ。
   オレはこれからすぐに世界一高い山に登らなきゃならないんだ
   …頂上で待ってる奴がいるからな。」


そう、オレには時間がないんだ。やることは本当に山ほどあるからな。
何よりまず迎えに行ってやらなきゃならん…約束したんだ。


さて、さっさと偉大なる2歩目を踏み出そうじゃないか。


2_20091231131020.jpg





-fin-






この小説は2007年6月25日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:2AC5kMqd0 氏



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2009/12/31 13:11 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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