スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

(,,゚Д゚) ギコと ( ФωФ) ロマネスクは時代を担うようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




 武道館には、割れんばかりの歓声と熱気が渦巻いていた。
 「北進空手 全VIP選手権大会」と記された横断幕。
 中央の試合場では、今まさにその決勝戦が行われようとしていた。

(#゚Д゚) 「おぉおおおおおおおおおおおおっ!!」

 一方は長身の青年。
 見事な捌きで相手の拳足を打ち落とし、的確な返し突きで相手の体力を削っている。
 名を、ギコと言った。

( ФωФ) 「ぬおぁあああああああああああああっ!!」

 対するはがっしりとした中年の男。
 青年とは対照的に、威力を重視した動作の大きな技が多い。
 名を、杉浦ロマネスク。





20070620003359.jpg



 対照的な二人の猛烈な打撃戦は、かれこれ一分に渡って続いていた。
 ロマネスクが突き、ギコが捌き、返しの蹴りをロマネスクが強引に受けつつ前に出る。
 姿勢を崩したギコに、唸りを上げるロマネスクの上段突き。

(;゚Д゚) 「っ……!!」

 ギリギリで、頭を反らして回避。
 だが――

( ФωФ) 「せいっ!」

 更に姿勢の崩れたギコに、鉈を打ち下ろすかのような強烈な下段蹴り。
 ギコの顔が目に見えて歪み、牽制の打撃を放ちながらバックステップ。


( ФωФ) 「ふン、お前の力はこんなものか?」

 ロマネスクが、嘲るような口調でギコに挑発。
 観客席から、無数の野次とブーイング。

(;゚Д゚) 「まだだぞゴラァッ!」

 萎えかけた闘志を奮い起こし、痛みを堪えて再び構えを取るギコ。
 観客席から感嘆と声援。

(;゚Д゚) (クソ、分かってはいたが……流石に、強い)

 眼前の杉浦ロマネスクは、まさしく古豪の名に相応しい使い手だ。
 他流の空手を「踊り」と嘲り「ケンカ空手」を自称し、他を圧する過激なルールで耳目を集めた、
北進空手の草創期からの実力者。
 北進に挑戦する他流の者は、いつも彼によって血の海に沈められた。
 大会でも、道場破りでも、それこそ闇討ちでも、だ。

 三年前に創始されたこの全VIP大会では、三連続優勝。
 まさに、北進空手を背負う人物といえた。

(,,゚Д゚) (だが、もうケンカ空手の時代は終わったんだ)

 北進空手は広まり、多くの者が汗を流し、己を磨く道として稽古に励んでいる。
 しかし道場生を無意味にシゴき、痛めつけるような古い風潮も未だ多くに残っているのだ。
 ギコの友人、モナーは、そんな古臭い稽古を強制されて身体を壊した。
 ――ずっと一緒に練習に励んできた彼は、空手を辞めた。

 もちろんそれは、眼前の男のせいではない。
 だが、眼前の男を自分が倒せば――そんな風潮に、一つの区切りがつくのも確かなのだ。

(,,゚Д゚) 「負けられねぇ!!」

 相手のガードを貫くような前蹴り。
 そのまま相手の内懐に飛び込んで、左右の鉤突きを連打。

( ФωФ) 「ぐ……っ!」

 膝で突き放されて、再び間合いを取り直す。
 高速の攻防に、再び歓声。

( ФωФ) (……流石、であるな)

 ギコ。――新進気鋭の若手選手。
 的確な技で無理なく相手を倒す、北進でも最も綺麗な戦い方をする青年だ。

( ФωФ) (この男ならば、あるいは我輩を――)

 倒してくれるのかも、しれない。
 己が担ってきた北進空手の荒々しいイメージが、今、普及の妨げとなっていることは知っている。
 血を噴出し、骨を軋ませ、力で相手を捻じ伏せ、闘争心に任せて殴り飛ばす。
 そんな自分の空手が、とうに時代遅れとなっていることも知っている。

 次の時代を担うのは、ギコのようなクリーンな戦い方だろう。
 だが――



( ФωФ) (我輩とて、意地がある!)


 己が負けていいのは、時代にではなく衰えにではなく、全てを燃やし尽くしてなお敵わぬ相手にだ。
 そしてそういう負けこそが、時代を変える力となる。
 最後の、最高の戦いを求める――煮え滾る思いが、衰えた身体を動かしているのだ。
 ……まだ負けられない!!


(#゚Д゚) 「おおおぉおおおおおおおおおおおッッッ!!」

(# ФωФ) 「ぬぁああああああああああああッッッ!!」


 脚。拳。拳。脚。膝。拳。肘。脚。
 避。捌。受。逸。避。捌。捌。受。


 暴風のようなロマネスクの連撃に、ギコは流水のように柔らかな動きで応酬。
 少しでも攻撃の手を緩めれば、カウンターに打ち抜かれる。
 少しでも防御の手を緩めれば、猛打の嵐に食い破られる。
 観客が興奮し、沸き、叫ぶ。

 剛対柔の、猛烈な打撃戦。
 それが、いつまでも続くかと思われた。

 ――が、偶然の接触がそれを妨げた。

(; ФωФ) 「ぬっ!?」

 ロマネスクの瞼のあたりに、熱い感触。
 脊髄に、氷柱を突っ込まれたような怖気と共に、ロマネスクは距離を取った。


 手を差し伸べたそこからは、赤い、鉄錆の臭いのする液体。
 ――攻防の最中、ギコの肘が掠めたのだ。瞼が、切れていた。

( ФωФ) (……まさか)

 この男となら、自分の限界を出しつくし――燃え尽きることもできると思っていた。
 だが、この出血だ。
 ――空手着の袖で拭うが、気休めだ。
 もう数十秒としないうちに、視界は血に覆われるだろう。

(; ФωФ) (……ここまで、なのか?)

 ルール上、止血のための休止は認められない。
 血は視界を奪い、集中を見出し、動揺を与える。
 ギコはただ、逃げ回っていれば勝ちが得られるだろう。

 卑怯ではない。それが試合のセオリーだ。
 だからギコも当然それを選ぶことだろう。
 年ごとに身体は衰える一方だ。
 最後に、最後に……燃え尽きる機会は――もはや……



(,,゚Д゚) 「どうした? 早く仕掛けて来いよ。――血が溢れる前に」



 予想外の、言葉だった。


 観客席は、もはや静まり返っていた。
 武道館に、二人の言葉が響く。

( ФωФ) 「ギコ、貴様……我輩を愚弄するつもりか!?」

 確かに予想外のアクシデントだった。
 だが、それも試合だ。
 ギコが勝ち、自分が負ける。
 それが当然の流れで、ギコが自分にチャンスを与えるなど――

( ФωФ) 「このまま時間を稼げば勝てるというのに――」

(,,-Д-) 「そして勝った後に言い訳か? 出血がひどかったから、ってな」

 ギコが、構えを取る。
 中段への攻撃を誘う、アップライトスタンス。

(,,゚ー゚) 「俺はアンタに勝って時代を変える。……下らない言い訳なんぞ、させるかよ」

 挑発的な言動とは裏腹に、ギコの口元には笑み。
 かかってこいと、その目が語っていた。
 全てを出し尽くせ、と。
 燃やし尽くせ、と。
 瞋恚の炎が揺らめく瞳で、ギコは語っていた。

 ――ロマネスクの胸に、その炎が伝播する。
 これまでの無念を燃やし尽くすように、それは体中に燃え広がった。
 ぐ、と拳を握る。
 瞼の血をもう一度拭い、構えを取る。
 真正面から、体重を乗せた最高の攻撃を放つための――そんな構えだ。


 試合場の床を蹴り、ロマネスクは疾走を開始。
 同時に歓声が、これまで以上に大きく、大きく鳴り響く。

( ФωФ) 「我輩は――!!」

 ロマネスクは猛烈な勢いで間合いを詰めると、連打を開始。

( ФωФ) 「我輩には、これしかないのである!!」

 前蹴り、正拳、鉤突き、追い突き、回し蹴り――

( ФωФ) 「北進の発展のために、悪役になった!!」

 捌かれ、打ち落とされ、避けられ、受け止められ――

( ФωФ) 「全てを捨てて、強さを求めた!!」

 それでも防御を潜り抜けた一撃が、ギコを吹き飛ばす。



( ФωФ) 「その我輩を、乗り越えられると言うのならば乗り越えて見せよギコぉおおおおおおッッッ!!!!」



 だん、と力強く踏み込む。
 追撃の正拳は――威力、タイミングともに、ロマネスクの人生で最高のものだった。
 着弾。
 ギコが、膝をつく。



(;-Д゚) 「ぐ……ぁ……」

 正拳が来るのは、分かっていた。
 両腕を防御に回し、息を吸い、腹筋を締めた。
 考えられる限りの、防御を尽くした。
 それでもなお、衝撃が内臓を揺さぶっていた。

 ――とんでもない突きだ。

 膝が震える。
 力を込めようとしても、応じてくれない。
 体がこれ以上、戦うことを拒否していた。

(;-Д-) (クソ、もう……駄目なのか? 俺は、この程度で――)

 内心で悪態をつき、気力を振り絞り、何もかもを闘志として燃やして――
 それでも、体が応じてくれない。

(;-Д-) (すまん。モナー、しぃ……皆……)

 猛烈な吐き気と共に、体が崩れ始める。
 意識がぼんやりと、薄れてきた。
 ――これは立ち上がれない、と自覚できる倒れ方だ。


( ´Д`) 「諦めちゃ駄目モナ!!」


 歓声の中に――懐かしい声が、聞こえた。

(;-Д゚) 「モナー……?」

 シゴキによって身体を壊して、空手を辞めた友人だった。

( ´Д`) 「まだ勝負はついていないモナ!!」

 声を枯らして、彼が叫んでいた。
 ――いや、彼だけではない。

(*゚ o゚) 「ギコ君、立って! お願い!!」

 想い人の、しぃがいた。

( ^ω^) 「諦めないで下さいお!! まだいけるはずですお!!」

 後輩の、内藤がいた。

(`・ω・´) 「お前は俺に勝ったんだ!! こんな所で負けるな!!」

 準決勝で自分が倒した、シャキンがいた。

( ><) 「まだ勝負はついてないんです!!」

( 'A`) 「立ってくれ!!」
 _,
( ゚∀゚) 「勝つしかねぇだろ!!」

 道場の仲間たちが、いた。


 もう、立てないはずだった。
 気力も体力も、限界だった。
 どんなに絞りつくしても、一滴の余力も無い、はず、なのに――
 仲間たちの応援と共に、何かが……何かが、自分の中にほんの少しだけ流れ込んできた。
 そしてそれが、焼け付くような熱の塊と化して身体を突き動かした。

(#゚Д゚) 「おぉおおおおおおおおおおっ!!」

 震える膝を、意志の力で強引に押さえる。
 
 戦え、と。
 負けるな、と。
 まだいける、と。
 そんな仲間たちの声に背中を押されるようにして、ギコは立ち上がる。



(#゚Д゚) 「いくぞゴラァ!!」



 いつしか会場内の歓声は、ギコへの応援一色へと染まっていた。




( ФωФ) 「ははっ!」


 ロマネスクは笑っていた。
 会場内の全てがギコを応援する状況で、それでも笑っていた。

 自分の最高の一撃を受け止めて、それでもなお立ち上がってくる青年がいる。

 多くの者に慕われて、その声援を糧にすることのできる、強い青年だ。

 それが今、自分を倒そうとしている。

 多くの恨みを買い、それこそ北進の「暴力」のイメージそのままの自分を。

 恨みと負のイメージを背負った悪役として倒されれば――きっと、北進はより良い流派になる。

 だが、自分とて空手家だ――ただで負けてやる気は無い。

 赤く染まりかけた視界の中で、もう一度だけ瞼を拭う。

 最後の力を、振り絞る。



(#゚Д゚) 「いくぞゴラァ!!」


( ФωФ) 「来いギコ!」








         渦巻く歓声の中で――互いの一撃が、交差した。









                (,,゚Д゚)ギコと( ФωФ)ロマネスクは時代を担うようです 完








この小説は2007年6月15日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:0U0ZackA0 氏



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2009/12/31 12:54 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿


更新は止まっていますがコメントはご自由にどうぞ
修正・削除依頼等、何かしらの連絡はコメントもしくはメルフォよりお願いします
拍手だと高確率で長期間気づきません

スパム対策のため"http"と"@"を禁止ワードに設定しています
URLを書き込む際は"h"を抜いて投稿してください













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://gyokutonoyume.blog116.fc2.com/tb.php/3042-07e5ded9


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。