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(´・ω・`) が猫を拾ったようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ





川 ゚ -゚)「お兄さん、わたしを拾ってくれないか?」


クールな目をしたその猫が、そんな風に唐突に声を掛けてきたのは
冷たい雨がしらしら降る日のことだった。


(´・ω・`)「……」

僕は差していた傘を持ち上げ、声の主の方を見た。

ひどく痩せた猫だった。
雨の中、びしょ濡れで道端にしゃがみ込んでいる。
声も顔つきも中性的だが特に粗野な感じはしない。
なめらかにまっすぐ伸びた美しい毛と、知的で涼やかな青い瞳。


僕はしばらく考えて「いいよ」と手を差し伸べた。




1_20091231125153.jpg



(´・ω・`)「ただいま」

ξ ゚ー゚)ξ「おかえりなさいっ!」

玄関を開けると、首に鈴をつけた小さな猫が飛びついてきた。

飼い猫のツンは二年ほど前に人から譲り受けた猫だ。
いつまで経っても仔猫のように小さい。
やわらかな白肌が自慢で、丁寧に伸ばした巻き毛の手入れは一日だってかかさない。

ツンは僕のおなかに引っ付いて頬をすり寄せ、「おなかすいたわ」とすねてみせた。

(´・ω・`)「ごめんごめん。ちょっと……拾い物をしちゃってね」

ξ ゚⊿゚)ξ「ひろいもの?」

きょとんとしたツンが、僕の背後にいる見知らぬ猫の存在に気付いて目を丸くする。

細い首につけた鈴がちりりん、と鳴った。


ξ ゚⊿゚)ξ「……だぁれ?」

怪訝そうにずぶ濡れの猫を見ながら、言う。
その前にべったりくっついていた身体を素早く離すことも忘れない。
ツンは内弁慶というか見栄っ張りというか、人前では決して僕に甘えてこない。
そういうのを、専門用語でツンデレと言うらしいので、僕は彼女にツンと名前をつけたのだ。

(´・ω・`)「えっと……」

僕が振り向いて、もの問いた気な視線を送ると、猫は「名前はない」と首を振る。

(´・ω・`)「それじゃあ、クーだ」

川 ゚ -゚) 「クー?」

(´・ω・`)「なんかクールだから、クー」

安直ぅ、とツンが呟いたけれど、当人が異議を唱えなかったので、当面そう呼ぶ事にした。

(´・ω・`)「とにかく拾ってきてしまった。しばらく置いておくかも知れない。構わない?」

ξ ゚⊿゚)ξ「……別に、良いけど」

ツンは眉根を寄せて、あんまり良さそうじゃない顔ながらそう答えた。


川 ゚ -゚) 「ありがとう、親切なお兄さん」

びしょびしょだったクーをとにかく風呂に入らせて、
温めたミルクを飲ませてやると彼女は素直に礼を言った。
どうやら冷静なのは言動と顔だけで、心の中までクールという訳ではないようだ。
そう判断した僕は少々質問してみることにした。

(´・ω・`)「クー、君は家出猫さんなのかな?」

川 ゚ -゚) 「違うよ」

(´・ω・`)「じゃあ、野良猫さんか」

川 ゚ -゚) 「さあ。どうなのかな」

(´・ω・`)「あんな雨の中何をしていたんだい?」

川 ゚ -゚) 「別に、なにも」

(´・ω・`)「……」

川 ゚ -゚) 「……」

……積極的にコミュニケーションをとるタイプではないらしい。


ξ ゚⊿゚)ξ「……」

ツンはミルクを舐めながらそんな僕らのやり取りをじっと見ていた。


よくよく見ればクーは痩身ながらしっかり筋肉がついていて、
頼りなげにほっそりしたツンと違い、いかにも大人猫って感じだ。
僕のことを「お兄さん」と呼ぶ割には声もハスキーだし、
もしかしたら僕より年上かもしれない。雰囲気がすごく落ち着いているのだ。
家猫であるツンに欠けている、野性味、みたいなものを、彼女は全身から漂わせている。

野良猫ではないにしても、今まで野良猫と同じように生活していたのなら
色々と苦労もしてきただろうし、そのせいかもしれなかった。

(´・ω・`)「……ま、いいか。とにかく、今日はもう寝よう」

あまり深く考え込むたちではない僕はそう結論付けて、その日は三人で一緒に眠った。




それからクーは僕の家で僕らと一緒に住んでいる。

先住猫であるツンとは微妙な関係が続いているが、
彼女のプライドが邪魔をしてか、それともクーの飄々とした性格が幸いしてか
大きな争いが勃発するまでには至っておらず、
お互いそうそう険悪にもなれないようで、家主としては一安心だ。

(´・ω・`)「ねえ、クー、このまま僕の家の猫になるかい?」

しかし僕がそう言っても、クーは目だけで笑って曖昧に首をかしげるだけなのだけれど。




ちょっとした事件が起こったのは、そんな日常が続いていたある休日のことだった。


僕が寝そべってテレビを観ていた時の事だ。
昼食を食べすぎたと言ってごろごろしていたクーが来て、僕の傍らにころりと横になった。
そのままテレビに背を向け、まどろむように目を細める。

僕はしばらく何とも思わずにいたのだが、やがてふと「あ、まずい」と思った。
クーを起こさないようにそぅっと身体をひねり、そこらにいる筈のツンの様子をうかがってみる。


ツンはどこにもいなかった。


まずったな、と、どうすべきか思案していると
寝ているとばかり思っていたクーが「外に出て行ったようだ」と小さな声で呟いた。

(´・ω・`)「クー」

川 ゚ -゚) 「わたしのせいだな。どうやら無神経な事をしてしまったらしい」

僕はとっさに否定できない。
寝ている僕の横、それはツンだけの特等席だった。
テレビを観ている僕の脇にちいさな身体をすべり込ませて昼寝をするのが
あの仔猫は大好きなのだ。

川 ゚ -゚) 「ごめん」

クーは絨毯を見つめ、ぽつりと消えそうな声で言った。


僕は黙って立ち上がって上着を羽織る。
それから念のため、くるりと向き直るとクーの目を見てゆっくり言った。

(´・ω・`)「探してくる。それまで留守番を頼むよ」

川 ゚ -゚) 「……彼女が帰ってきて、わたしを見たら、また嫌な思いをするだろう?」

(´・ω・`)「そんな事はツンに訊いてみなけりゃ判らないじゃないか。
       謝りたいなら、本人に向かって直接謝らなきゃ駄目だよ、クー」

クールなのもいいけれど、行動で示さないと伝わらない気持ちもあるんだよ、と言うとクーは神妙な顔をする。

(´・ω・`)「ツンは僕が必ず連れ戻してくるから、だから君はどこにも行かずに、
       ここで待っているんだよ。……いいね?」

川 ゚ -゚) 「……判った」

クーがしっかりうなずいたのを見届けてから僕は家を飛び出した。

家の隣にある空き地。ゴミ箱の脇。大家さんの家。どこにもいない。
ツンの名前を呼びながら走る。
まったく、あの意地っ張り、一人で外に出た事なんかほとんどないくせに。

ツン。
僕の小さな大切な馬鹿な猫。
事故にでも遭ってしまったらどうする気だ。


(´・ω・`;)「ツン!」


手当たり次第に探し回り、太陽が傾きかけてきて、一人で探すのも限界かと思い始めた頃、
町外れの誰もいない公園で僕はようやくツンを見つけた。

ξ ゚⊿゚)ξ「あ……」

ぽつんと遊具の影にうずくまっていたツンは、僕の姿を確認するや否や一目散に駆け寄ってきて、

ξ ;⊿;)ξ「し…し…ショボンのばかーっ! なんでもっと早く迎えに来てくれないのっ!
       野良猫にはさんざん追い立てられるし変なオスにはナンパされるし、
       どんどん暗くなってきて死ぬほど怖かったんだからーっ!」

と、息継ぎもなしに一気にまくしたて、ぶわー、と擬音つきで泣きながら僕にダイビングしてきた。
不意打ちだったので支えきれずに倒れて尻を打った。痛い。

(´・ω・`;)「……ま、まあ、とにかく、無事でいてくれて何よりだよ……」

やはり衝動的に飛び出したはいいものの土地勘がないせいで迷子になってしまったらしい。
探しに出たのは正解だったみたいだ。


ξ ;⊿;)ξ「も……二度とおうちに帰れないかと思った……」


ツンは僕の胸に顔をうずめて、ごめんなさい、とぽろぽろ涙をこぼした。

(´・ω・`)「クーも、君にごめんって言っていたよ」

僕はツンの頭をなでながら言った。

(´・ω・`)「わざと君の居場所を横取りするような真似をしたんじゃない事ぐらい、
       君も判っているだろう?」

ツンは大人しくうなずいた。はなをすすり、涙をぬぐって顔を上げる。

ξ ゚⊿゚)ξ「……クーのこと、キライな訳じゃないの。
      でもあのとき、まるでショボンを取られちゃったような気がして、
      クーがショボンの一番なんじゃないかと思って、そしたらすごく哀しくなっちゃったの」

僕はくすりと笑ってうなずく。

(´・ω・`)「そうか……。ツンは少し妬いちゃったんだね」

ξ ゚⊿゚)ξ「やい……?」

(´・ω・`)「もう少し大人になれば判るよ」

ツンはよく判らないという風に小首をかしげる。鈴が小さく自己主張した。

(´・ω・`)「あのね、ツン。もちろん僕はツンのことが大好きだよ。
       クーは大切な家族の一員だし、僕にとって特別な猫だけれど、
       いつまでもずっとずっと一等好きなのは君だけだ。そんなの当たり前だろう?」

ξ// //)ξ「……ほんとに?」

(´・ω・`)「本当にさ」

ぱちん、とウィンクのまねをして見せると、ツンはようやくはにかんだような笑顔を見せた。

ξ ゚⊿゚)ξ「ショボン、クー、まだうちにいる?」

勿論、と僕は優しくうなずく。

(´・ω・`)「クーと仲直りできるかい?」

ξ ゚⊿゚)ξ「……うん」

(´・ω・`)「よし。それじゃあ帰ろう。クーが心配しているよ」

僕はすっかり暗くなってしまった帰り道を
ツンの手を引いて歩き出した。


クーは家の前まで出てきて僕らの帰りを待っていた。
僕が手を振るとはっとして、手を引かれた気まずそうなツンに気付くと
すごくほっとした顔になった。傍目に表情は変わらなかったけど。

(´・ω・`)「さ、ツン。クーに何か言う事があるんだろ? それからクーも」

と、僕がツンの背中を押してクーの前に立たせてやると、
クーは小さなツンと目線を合わせるために屈み込み、


川 ゚ -゚) 「……許してもらえるだろうか?」

と小さく言った。


ξ //-//)ξ「……」

けれどツンはクーの視線を避けるように顔をそむけて、もじもじとなかなか口を開かない。

(´・ω・`)(本当は反省してるくせに素直じゃないなー)

と、ツンの性格上時間がかかることは承知だった僕はのんびりと構えていたのだが、

次の瞬間――


∑ξ;゚⊿゚)ξ「ふぇっ!?」

ツンが素っ頓狂な声を上げ、僕は予想外の光景に口をぽかんと開けてしまった。

突然、クーががばりと両手を広げ、それはもうとても勢いよく全力でツンを抱きしめたのだ。
しかもそのまま無表情に頬ずりまでし始める。力いっぱいぐりぐりと。


ξ;//⊿//)ξ「なななななっ!?」

川 ゚ -゚) 「ツン、すまない。君のご主人様を独占する気など毛頭なかったのだが
      新参者のわたしの配慮が足りなかったばっかりに君を深く傷つけてしまった。
      どうお詫びしていいやら判らない」


ξ;//⊿//)ξ「だだだからってなんでこうなるのっ!??」

川 ゚ -゚) 「判らないので行動で示す事にした。こんな事で誠意が伝わるかどうか不安だが
      もしも反省が足りないようであれば善処する、許してくれ、この通りだ、ぐりぐり」

ξ;//⊿//)ξ「わあああああ!! ゆ、許す許す許すからぁ!」


2_20091231125153.jpg



まんまとクーの策略に乗せられたツンが真っ赤になってこう叫び、
結局、ぎゃあぎゃあと大騒ぎのうちに猫たちは仲直りしてしまった。


川 ゚ -゚) 「そうか、許してくれるか。ありがたい、という事でこれは感謝の気持ちだぐりぐり」

∑ξ;//⊿//)ξ「ぎゃー! 気持ちだけでいい! 行動で示さなくていいーっ!!」


(´・ω・`)「……ははっ」

その傍で呆気に取られていた僕は一拍遅れてふき出して、気が済むまで大笑いした。
親睦を深めた腹ぺこの猫たちの為に
今日はうんと奮発してごちそうを用意してやろう、と思いながら。



けれどそれから数ヶ月もしないうちに、クーは僕の家を出て行った。


多分、理由らしい理由なんてなかったと思う。
彼女はそういう生き方をしていた。
誰にも縛られず、何者にもとらわれず。


ツンはとても淋しがって、クーが出て行くときには自分の鈴をプレゼントした。

川 ゚ -゚)「ありがとう、ツン。大事にするよ」

ξ ;-;)ξ「……」

クーは相変わらず終始クールにしていたけれど、ツンは我慢できずにやっぱり泣いた。
くちびるを噛み締めて無言でしゃくりあげるツンをクーは優しく抱き止めてやり、
それからツンの頭を抱いたまま僕に向き直って、

川 ゚ー゚)「……ありがとう、親切なお兄さん」

あの雨の日、びしょ濡れの猫を拾った時の台詞をそのまま言って、少しだけ淋しそうに笑った。







それから何年か経って、僕もツンも少しだけ歳を重ねた。

相変わらず僕の小さな猫はいつまで経っても仔猫の様で、それでもだいぶ大人になった。


(´・ω・`)「ツン、一緒にテレビを観ようか」

ξ ゚⊿゚)ξ「そうね、ショボンがどうしてもって言うなら観てあげてもいいわ」

(´・ω・`)「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「何してるの? 早く来なさいよ」

(´・ω・`)「……。はい」


僕は変わらぬ毎日を送っている。

わずかな間だったけれど、共に暮らしたあの猫の事は、今でも時々思い出す。
もっともそれは僕に限った事で、ツンが自分から彼女の話題を出す事は滅多にない。
家出の顛末やたくさん泣いてしまったこと、
僕に面と向かって「大好き」などと言わせたことを思い出すと、いろいろ恥ずかしいらしい。

けれど、今でもテレビを観る僕の懐にもぐり込むとき、ちょっと昔を懐かしむような顔をする。


そんなある日のこと、仕事が早く片付いた僕は陽のあるうちに買い物を済ませて
帰り道をのんびり歩いていた。


しかしその途中でふと足が止まる。
ちりりん、と、聞き覚えのある音が聞こえた気がしたのだ。


(´・ω・`)「……クー?」


思わずそう呟いて、道端をきょろきょろと見回したり
そこらの路地を覗き込んだりしてみたが、鈴をつけた猫の姿なんてどこにも見当たらない。


(´・ω・`)「……気のせいか」


僕は一人で可笑しくなって頭を振った。
そういえばあのとき、クーを拾ったのはちょうどこの辺りだったような気がする。
そう、今は誰の姿もないけれど、あの道のはじにちょこんと座って、



『お兄さん』―――







「やあ、親切なお兄さん!」





唐突に上から声が降ってきて、同時に「ちりりん」と鈴の音がした。


3_20091231125153.jpg



見上げると、ブロック塀のその上に
猫が優雅に腰掛けていた。
なめらかにまっすぐ伸びた美しい毛と、知的で涼やかな青い瞳、首には小さな銀色の鈴。


川 ゚ー゚)「なんだか逢いたくなったから、行動に移してみたんだが」


そう言って、くちびるの端に格好いい笑みを浮べてみせる。



あの日と違って冷たい雨など降っていない、
とびきりいい風の吹く、ある初夏の日の出来事だった。



僕は傘のかわりにちょいと片眉を持ち上げて、クールな瞳の猫に笑いかけた。








この小説は2007年6月17日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:pCmYBWtU0 氏



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[ 2009/12/31 12:53 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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