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( ^ω^)達は地上を目指すようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




――狭苦しく埃臭い個室の中、朧げな光を放ちながら揺れる、小さな灯りがあった。


その灯りを頼りに、何かを一心不乱に磨く男が二人。
一人は中肉中背、もう一人は小柄な体型をしていた。
そのどちらも、衣服は腰に巻いた白い布だけだった。


( ^ω^)「――うー、こうも暗いと指切っちゃいそうで怖いお」

('A`)「はっ、もう何年もやってるくせによく言うぜ」

男2人の声が、完全な密室に小さく響く。
その個室には窓1つ無く、また出入り口も扉が1つあるだけだった。
しかも、その扉は硬質な光を放つ金属で作られており、人が無理矢理開けると言うのは、
到底無理な様子だった。

ξ ゚⊿゚)ξ「はぁ、やだなぁ、これ。手が荒れちゃうってレベルじゃないわよ?」

川 ゚ -゚)「だが、やらなきゃいけない事だ」

部屋の中央付近に腰を下ろしている男達から、数メートル離れた部屋の一角。
そこからは、2人の女の話し声が漏れていた。
その2人もやはり、何かを磨いているらしい。
男達と違う点は、衣服が腰巻ではなく、上半身も隠す事の出来るローブである事くらいだろう。

それから、暫くの沈黙。
2つの部屋には、ザラザラとした4つの摩擦音だけが繰り返される。


「おい、時間だ!」


やがて、その沈黙が破られた。
部屋の外から来る、怒声とも罵声ともとれるその叫びは、分厚い扉を抜けて、中にいる者の耳へと届いた。
四人全員が手を止め、顔を上げる。

( ^ω^)「僕達は、前回のに出たおね?」

('A`)「あぁ。……となると」

男達の目線が、隅の女2人に向けられた。
そして、外からの声は続けて叫ぶ。

「……ツン! 一番手だ、出ろ!」

部屋の隅に座っていた女の片方が、おそらくはツンと言う名の女が、おもむろに立ち上がった。
右手に棒のような物をを携え、ゆっくりと扉へ歩み寄る。
眩い光を部屋の中に呼び込みながら、分厚い扉が、音も無く上へとスライドした。

川 ゚ -゚)「ツン、頑張れよ。……これさえ終われば」

もう片方の女は、下を向き再び手を動かしながら、唇だけを動かしてそう言った。
扉の一歩手前、ツンが立ち止まり、背後を顧みる。

( ^ω^)「ツン……」

('A`)「心配すんな。……それに」

それに気づいたのは、中肉中背の男ただ1人だった。
不安さを隠そうともせず、その顔を見返す。
逆光の中、彼女の口が、声を伴わずに小さく動いた。


川 ゚ -゚)ξ ゚⊿゚)ξ「この生活も、今日で終わりだよ」('A`)


小柄な男も、部屋の隅の女も、そしてツンも、同じ言葉を口にする。
そして、ツンの名を不安げに呼んだ彼も、それをゆっくりと復唱した。



1_20091230235444.jpg



「ツン! 早くしろ!」

逆光の向こう側の声が、さらに怒気を孕んだものになった。
ツンが慌てて扉をくぐった。
それと同時に出口には、再び扉が下ろされる。


( ^ω^)「……今日で、終わり……だお。終わりに、するんだお」

再び闇に包まれた部屋の中でもう一度、男が繰り返した。
さっきよりも、強い意志を込めて。

個室の外は、何もかもが中とは違った。
円形をした外の空間は、とても広い。
それに、下も冷たく固い岩ではなく、柔らかな砂で出来ていた。
そして何より、光と音に満ちていた。

光は頭上、天井から吊るされた幾つもの照明から。
ツンはそれを無言で見上げる。
部屋の中とは違う。
それでも、やはりそこは閉ざされた空間だった。
かつて夢見た場所とは違う。

「目は慣れたか?」

厳つい鎧を着た男が話しかける。
ツンは頭を縦に振った。

「ならば、さっさと中央に立て」

言葉の通り、円の中央へと足を向ける。
それと共に、今度は音が激しくなった。

ξ ゚⊿゚)ξ「ったく、見世物じゃ……あぁ、そう言えば、見世物なんだっけ」

音の出所は――360度、全方位から。
歓声、金額と思しい数字、意味も無い威嚇、様々な声が、ツンの頭上を飛び交う。

(・∀ ・)『……此度は私、マタンキがマスターを勤める地下闘技場へ、
     ようこそお越し下さいました!
     今宵先鋒を勤める戦士は、闘技場に咲く一陣の花と名高い、ツンです!
     華奢な体が繰り出す、その華麗な槍さばき、とくとご覧下さい!』

天井に最も近い所に座っている、派手な衣装をした男が、マイクを使って声を張り上げる。
そんな長々しい口上を一切無視して、ツンは目の前にある、既に搬入された、暗幕のかかった檻に目をやった。
中からは、何かの唸り声が聞こえる。


ξ ゚⊿゚)ξ「こういうのって、何て言うんだっけ?」

昔、まだ自分達がこうなる前に読んだ本、その中に出てきた単語を、記憶の中からぼんやりと探す。
眩しい光も、凄まじい喧噪も、全てを忘れて。
ただ、生きる事だけを考える為に。


(・∀ ・)『それでは、今宵の試合を、お楽しみ下さい!』

男の声が途切れ、檻の暗幕が取り除かれる。


ξ ゚⊿゚)ξ「あぁ、思い出した」

中から姿を現したのは、巨大な虎だった。
目は爛々と輝き、その爪牙はおぞましく湾曲し、尖っている。




ξ ゚⊿゚)ξ「……コロッセオ、だったね」



右手に携えていた棒、虎爪に負けないほどに磨がれた槍を両手で構え、ツンは呟いた。
檻の扉が開かれ――それと同時に、虎はツンへと飛び掛った。
威嚇の為の、また鼓舞の為の咆哮と共に。

ξ ゚⊿゚)ξ「……っ!」

その大きさと迫力に怯みながらも、ツンは横っ飛びにそれを避ける。
死闘の火蓋は、切って落とされた。


ξ ゚⊿゚)ξ「……またやっかいな奴持って来てくれたわね」

牽制の為、手に持った槍を前方に突き出し、距離をとる。
だが、それも時間稼ぎにしかならない。
虎は弧を描きながら、確実にツンとの距離を詰めてきている。

そして――唐突な跳躍。

ξ ゚⊿゚)ξ「……えっ!?」

動物としての基本スペックに物を言わせた、予備動作なしの襲撃。
避けきれない。集団が湧き上がる。
虎が荒々しい砂埃と共に着地して、

(・∀ ・)『……おや?』

そこにツンはいなかった。
虎と観客達が辺りを探すも、巻き上がった砂埃はそれを阻んでいる。

ξ ゚⊿゚)ξ「……馬鹿みたいに飛んじゃって、下ががら空きなのよ」

ツンは、虎の左後方にいた。
飛び掛かる虎の腹下に潜り込み、すり抜けて。
彼女の姿は、虎には見えていない。ならばするべき事は1つ。

ξ ゚⊿゚)ξ「このっ!」

遠心力を乗せた大振りの一撃が、虎の横っ腹を裂いた。

だが、


(・∀ ・)『どうしたどうしたー!? 全く効いていないぞー!?』

ツンがつけた裂傷から吹き出る血は、毛皮と砂を僅かに赤く染めるばかりだった。
全力を込めての斬撃が、何故そうも情けない結果しか残せなかったのか。

ξ#゚⊿゚)ξ「あーもう! あの毛皮、やっかいね!」

虎等の猛獣の毛皮は、総じて丈夫だ。
完全な円運動による斬撃では、その表面を斬る事しか叶わない。

ξ ゚⊿゚)ξ「……どうしよ」

ゆっくりと近づいてくる虎に、再び牽制の形をとるツン。
だが、それはあまり効果的な手とは言えない。理由は多々あるが、中でも大きい理由は2つ。
まずツン自身の非力。
彼女の力では、仮に虎の襲撃のカウンターを取れたとしても、絶命に至らせる事はまず不可能だろう。

ξ ゚⊿゚)ξ「せめて、槍がこんなじゃなかったらなぁ……」

そして、もう1つの理由は、武器の形状にある。
彼女の持つ槍、グレイブは、その大きな穂と重量を活かして、敵を断ち切る武器だ。
彼女の非力さも、刃を通し難い虎の皮も、グレイブとの相性は最悪だった。


ξ ゚⊿゚)ξ「……まぁ、それならそれで」

再び、虎が跳躍する。


ξ ゚⊿゚)ξ「やりようはあるんだけどね」

再度、虎の視界からツンが消える。
先程と全く同じ回避行動。
唯一違うのは――槍は地面と平行ではなく、垂直になっている事だ。

虎の悲鳴が響き渡る。
地面によって支えられた槍は、虎の腹部を大きく裂いていた。
その真っ白な毛皮は、その面影を残す事無く朱に染まっている。


ξ ゚⊿゚)ξ「……私だって、死にたくないの。
       私達は、まだ何1つ見てないから」

一瞬だけ伏せ目がちに呟き、それからすぐに顔を上げ、血を滴らせる槍を構えた。
残すはトドメのみ。
照明とは違う燦爛とした輝きと、こんな殺伐とした砂地ではない緑の大地、まだ見ぬそれらに思いを馳せ、罪悪感を振り払い槍を構える。


ξ ゚⊿゚)ξ「……ゴメンね」

のた打ち回る虎の頭部目掛けて、槍を振り下ろした。
それが命中する直前に零す、謝罪の言葉。
その意味は、自分の絶対的優勢。


ただそれは、ツンの思い込みでしかないのだが。


激痛の余り、振り回される四肢が、ツンの視界に線として映り――金属音に近い高音が響く。
数秒遅れて、ツンの後方で、何かが落ちた音がした。


ξ;゚⊿゚)ξ「う、うそ……」


ツンが見つめる先は自分の両手。
そこにはあるべき物が、無くてはならない物が存在しなかった。
急いで背後を顧みる。案の定、そこには槍が刃先を彼女の方へ向け、横たわっていた。


ξ ゚⊿゚)ξ「……っ!」

再び前方に目をやる。
相手の不利を本能的に悟ったのか、力強く虎が立ち上がっていた。
刹那、ツンは槍目掛けて走り出す。


ξ ゚⊿゚)ξ「お願い……! 間に合って!」

虎が追走を始める。
槍との距離は着実に縮んでいる。
だが、それ以上に虎は、手負いと思えないほどの速さでツンを追っている。


(・∀ ・)『おーっと!? これは間に合うか? 間に合わないかー!?』

煽るようなマタンキの口調。湧き上がる観客。
必死に駆けるツン。
だが、観客もマタンキも、そしてツン自身も、何となくだが、同じことを感じていた。


ξ ゚⊿゚)ξ「間に……合わない!」

ツンが槍へとたどり着いた。それと同時に、虎は跳躍する。
槍までたどり着けたツンだが、もはや時間はない。
槍を持ち上げ、虎を突くだけの時間は。


ξ ゚⊿゚)ξ「……だったら! 持たなきゃいいまでよ!」

そう叫び、ツンは足を止める事無く踏み出し――踏んだ。
槍の石突、穂先と対極に位置する槍の端を。
ツンの全体重をかけて踏みつけられた槍は、支店力点作用点の法則に則り、持ち上げる。


ξ ゚⊿゚)ξ「……ゴメンね」

虎に向けられた、刃の先端を。
背中に生暖かい液体が掛かるのを感じながら、ツンは小さく呟いた。


(・∀ ・)『……いかがでしたか皆さん! お楽しみいただけましたでしょうか?
      素晴らしいショーを見せてくれた彼女に、どうか拍手を!』


大喝采の中、ツンは元の部屋へと帰っていく。
最後に一度だけ、泣きそうな表情で、虎の骸を一瞥して。

2_20091230235444.jpg



ξ  ⊿ )ξ「……」

(;^ω^)「ツン……、大丈夫かお?」

俯いたまま言葉1つ発さず、ただ血の滴る槍を力なく携えるツン。
その様を見かねた、またその空気に耐えかねた男の片割れが、恐る恐るながら尋ねた。

ξ  ⊿ )ξ「皆……」

('A`)「……どうした?」

おもむろに口を開き、皆を呼ぶツン。
その呼びかけに、もう一人の男が応える。


ξ ゚⊿゚)ξ「……絶対に、ここから出てやろうね」


凛とした目つきで、ツンは言い放った。
暫くの沈黙。だが、決して重くはない沈黙。
そして、


( ^ω^)('A`)川 ゚ -゚)「……もちろん!」


全員が同じ言葉を返した。


「――次、クー! 出て来い!」

一息つく間もなく、再び外からの声が聞こえる。
その声に、クーと呼ばれたもう一人の女が立ち上がる。


('A`)「……頼むぞ」

川 ゚ -゚)「任せろ。……獣ごときに、手傷は貰わんよ」

背を向けたまま短く返し、クーは部屋を出た。
ツンと同じく天井を見つめ、光量差に目を慣らす。
早急にそれを終えると、男に声を掛けられる前に歩き出した。
だが、今度は先程と違い、闘技場に檻は存在しない。


川 ゚ -゚)「……何が来る?」

疑問を口に出し、考え込むクー。
そんな彼女の思考を断ち切るかのように、マタンキの声が響き渡る。


(・∀ ・)『さてさて! 次鋒を勤めますは、黒髪を振り舞う孤高の剣士、クーです!
     彼女の得物、ジャパニーズサムライソード、妖刀の噂は誰もが聞いた事があるでしょう!
     今宵は妖刀とまではいきませんが、それでも十二分に美しい刀身と太刀筋、
      とくとご覧下さい!』

嬉しくもなんとも無い褒め言葉を一蹴するかのように、クーは腰に差した抜き身の刀を手に取る。
彼女の、すらりと伸びた長身と四肢には、細身の刀がよく似合っていた。
抜き身のまま腰に差すのは危ないと部屋の皆は言うが、彼女が知る限り、
この刀の正しい構え方はこうだった筈だ。

川 ゚ -゚)「……?」

何かの駆動音が、クーの耳へと届いた。その音がする方向、彼女は頭上に目をやる。
それとほぼ同時に、彼女の頭から全身にかけて、天井から生ぬるい液体が降り注いだ。
周囲に甘い香りが広がった。

川;゚ -゚)「ペロ……これは砂糖水! ……で、何のつもりなんだ?」

手の甲を軽く舌で舐める。
舌が感じ取ったのは、紛う事なき甘味だった。
だが、液体の正体はわかっても、その意図は汲み取れない。


(・∀ ・)『……それでは係の皆さん、搬入お願いしまーす』

マタンキの言葉と共に、檻の搬入に使う通路が開かれる。
しかし、搬入された物は檻ではなく、透明なケージ。
その中に蠢いているのは、虎と同じく黒と黄のストライプを体に持つ、獰猛な狩人達。

川 ゚ -゚)「ハチ……だと?」

(・∀ ・)『今宵の彼女の相手は、世界最大のスズメバチ、オオスズメバチ50匹です!
     さて、果たして彼女は生き延びる事が出来るでしょうか!』

マタンキが嬉々とした声で解説をする。


川 ゚ -゚)「これは……どうするべきなんだ?」

近づいてくるハチに向けて、戸惑いながらもクーが刀を振る。
風1つ生み出す事無く振るわれた刃は、数匹のハチを両断した。

川 ゚ -゚)「……長期戦になるな」



それからクーが取った戦法は、ひたすらなワンパターンな物だった。
迫り来るハチの群れに2、3度斬撃を加え、

川 ゚ -゚)「ふっ!」

息を止め、姿勢を低く保ち、疾走しての離脱。
ハチの視界は、低空を捉える事を得意としていない。そこから生まれる一瞬の隙を突いて距離を取る。
ワンパターン故に、モチベーションを保つのが難しくなってくるが、


川 ゚ -゚)「ハッ!……これで、ようやく半分と言ったところか」

そこは着実に減っていくハチの数が補ってくれる。
最初と比べると、大分小さくなったハチの群れ。
だが、数を減らされたハチ達は、全滅を恐れ、


川 ゚ -゚)「……やっかいだな。これは」

隊を崩し、分散する事を選んだ。
左右、前方後方、上空低空と、360°に広がるおよそ50のスズメバチ。

川;゚ -゚)「痛っ! ……っ、ハッ!」

視界の外から、数匹がクーに襲い掛かり、その毒針を首筋へと突きたてた。
振り向きざまに刀を一閃するが、ハチには掠りさえしない。

川;゚ -゚)「……つぁ!?」

と、その隙を突いて、今度は前方から二匹、クーの服越しにそれぞれが一撃を見舞う。
彼女は最早、激痛と死をもたらす脅威に、完全に包囲されていた。

川 ゚ -゚)「これは……やっかいを通り越してマズいんじゃないか?
     次喰らったら、本当に死にかねないぞ。……アナフィラ……何とやらで」

ふと、右手の刀を見る。
虫の体液を浴びたその刀身は、照明の光を、いつもとは違う色合いで反射させていた。
クーは思う。

川 ゚ -゚)(初めて見た時とは違うが……、これはこれで悪くないな)

初めて刀を見たのは、やはり本の中。そこには鉄の芸術品と記されていた。
その時、彼女は思った。

川 ゚ -゚)「……そうとも、私達は死なない。まだ、全然足りないから」


この芸術品と言う物を、もっともっと見てみたい、と。
この世で尤も暖かな光。ここには無い、神秘的な光。
それをこの芸術品に浴びせたら、どれだけ美しいだろうと。

ゆっくりと、クーは刀を腰へと戻す。
足を大きく開いて腰を落とし、目を大きく見開いた。


川 ゚ -゚)「羽音が……鬱陶しいな」

頭上から、足元から、四方から、幾多もの殺意が彼女に襲い掛かる。
そして、


川 ゚ -゚)「少し、黙れ」


抜刀の瞬間が見えないほどの速度で、同じく幾重もの紫電が煌いた。
姿は見えなくても、音は聞こえる。
空を見なくとも、影は見える。


3_20091230235443.jpg



それらを見切り、彼女は全てを両断した。
後に残ったのは静寂。


(・∀ ・)『い……いかがでしたか皆さん!
      稲妻と見紛わんばかりの太刀筋、ご覧頂けましたでしょうか!』


その静寂は、マタンキの下卑た声と、それに釣られて起こる歓声によって破られる。
その様に、ふっと息を吐き、クーは部屋へと戻っていった。

('A`)「……大丈夫か? 表情が優れねーけど」

部屋に入ったクーに、一番先に話しかけたのはドクオだった。
薄暗い中で、彼女の顔を見つめ、問う。

川 ゚ -゚)「いや、問題ない。相手がハチでな、何箇所か刺されたが、それだけだ」

刺された箇所を刃先で小さく切り、毒抜きをしながらクーが返した。
それを聞いてドクオは小さく頷いた。
計画通り、と言った様子の笑みを口元に浮かべて。

('A`)「じゃぁ……予定通りやるぞ。いいな?」

問い掛けと言うよりは、確認の意味合いを込めたドクオの言葉。
全員がそれに頷き、肯定の意を返す。


「――オイ、最後だ! ……全員出て来い!」


その言葉に皆が扉へと目をやり――各々の武器を取り、立ち上がった。
開かれた扉を抜け、闘技場へ立つ。

東にはツン、北にはクーが立ち、それをマタンキが回りくどく実況する。
そして、

(・∀ ・)『西に立ちますは、巨剣クレイモアの使い手、ブーンです!
     決して良い物とは言えない無いその体躯で、
     2メートルを超える巨剣を軽々と振り回すその勇姿、とくとご覧ください!』

( ^ω^)「……やってやるんだお」

そこには、ツンと向かい合う形で、ブーンが立っていた。
両手で、巨剣をしっかりと握り構え、ツンの方へと向けながら。
マタンキの実況はまだやまない。

(・∀ ・)『南に立ちますは、双剣を操る小さき戦士、ドクオです!
      その奇術の如き剣捌きを、どうぞお楽しみください!』

('A`)「小さいは余計だっての……」

ドクオもまた、クーと向かい合う形で佇んでいた。
やはりその手には武器、ククリナイフを両の手に逆手に構えている。

(・∀ ・)『さて……いよいよやってまいりました。
      今まで部屋を、食事を、睡眠を同じくした者同士の……』

幾分音量を下げたマタンキの声。
観客もそれに伴い静まり返るが、闘技場の4人は肌で感じていた。


(・∀ ・)『殺し合いが』



彼らが、これまでに無いほどに熱く、下卑た興奮をしている事を。
マタンキの声と共に、再び歓声は沸きあがる。
それに答えるべく、マタンキは叫ぶ。

(・∀ ・)『さぁ始めるんだ! 勝ち残り……1人ここから出て行くために!』

それは、この闘技場のルールの1つ。
最も戦績の良い者4人に殺し合いをさせ――生き残った者はここを抜け、上へ行く権利が与えられる。
そして今回選ばれたのがブーン達4人だった。



( ^ω^)('A`)「あぁぁぁぁぁ!!」ξ ゚⊿゚)ξ川 ゚ -゚)



グレイブが、刀が、クレイモアが、ククリの双刃が。
各々の思いと共に今、振るわれる。

金属音が鳴り響く。
そしてぶつかり合う槍と巨剣。


ξ ゚⊿゚)ξ「……手加減なんかしたら、許さないんだからね!」

( ^ω^)「お願いされても出来ないおね。ホントの自殺行為だお!」


短い会話を終えると同時に、ツンが柄を使い、ブーンを突き飛ばす。
距離を詰められては、槍使いの彼女は不利になるからだ。
そして、大振りの追撃を仕掛ける。

( ^ω^)「くっ……」

ブーンは剣身の根元で受け止めるが、遠心力を乗せたその一撃は、骨にまで染み入る衝撃をもたらした。

ξ ゚⊿゚)ξ「手加減は、しないんじゃなかったの!?」

叫びと共に気合を込めた、遠心力を最大限活かした斬撃、それはブーンの腕はもちろん、
剣身そのものにもダメージを与える。
槍と剣の強度差を考えると、そう何度も受けて良い攻撃ではない。
だが、多大なダメージを与えると言う事は、

( ^ω^)「……まだだお」

相対的に、打ち込む側にも大きな衝撃があると言う事だ。
そこにブーンが、全力を込めた反発力を加えてやったら、どうなるだろう。

( ^ω^)「今だお!」

ξ ゚⊿゚)ξ「っ!」

本来攻撃に使うべき、穂の先端に剣を打ち付けた。
耳を劈く様な音が響き渡り、槍に引っ張られる形で、ツンの体勢が大きく右に崩れた。
ここぞとばかりにブーンは剣を振り上げ、ツンの懐へと潜り込み、


ξ ゚⊿゚)ξ「ハァ……アンタって、ほんっと単純よね」


気づく。
ツンが体を一回転させ衝撃をいなしている事に。
更に遠心力を加えた槍の柄が、自らの左から迫っている事に。

寸での所で剣を防御に充てる事が出来たが、衝撃までは防ぎきれない。


( ゜ω゜)「モルスァ!」

自らが上乗せした衝撃に、ブーンの肋骨が音を立てて軋む。
そのまま振りぬかれた槍の柄に、ブーンは数メートル吹っ飛ばされた。

( ^ω^)「う……ぐ……、まだまだだお!」

ブーンが極端な前傾姿勢で走りだし、狙いを心の臓へと定め、剣を構えた。

ξ ゚⊿゚)ξ「最後の最後に突撃って、……バッカじゃないの?」

ツンがもまた、呆れ顔で槍を構え直した。
距離は見る見る内に縮んでいき――ブーンの腹部に、深々と槍が突き刺さった。




やはり激しい音と共に、刀と交差されたナイフが交えられる。
暫くの拮抗。
そして、ドクオが刀を弾き、腹部と喉目掛け、斬撃と刺突を繰り出す。

('A`)「……なーんで刀一本でナイフ二本を防げるかなぁ」

そのどちらもが、クーの刀で防がれていた。

川 ゚ -゚)「二本ではどんなに頑張ろうと、所詮線しか作れないだろう? 
     だったら、線を線で防ぐなんて容易い事だ」

('A`)「いや、容易くはないだろ。常識的に考えて……」

重心が剣先に寄っているククリは、殆ど力を込めずに重みのある攻撃が繰り出せる。
気だるそうな口調とは裏腹に、怒涛の連撃を見せるドクオ。

川 ゚ -゚)「無駄だ」

だが、クーもそれを難なく防ぎ続ける。
一瞬のうちに八合もの打ち合いを経て、

川 ゚ -゚)「無駄だと言っている」

再び拮抗が訪れる。

('A`)「なら……これならどうだ?」

そう言って彼が繰り出したのは、先程と同じ、急所狙いの斬撃と突き。

川 ゚ -゚)「だから無駄だと……ぐっ!?」

それに正面蹴りを追加したものだった。
意表を突かれた事に、パターンに慣れてしまっていた事が相まって、
クーはそれを回避する事が出来ず、まともに腹に喰らう羽目になった。

('A`)「これなら三点、面が出来る。線じゃ止められないだろ?」

足に残る感覚に、ドクオは少なからず罪悪感を覚えた。
だが、そんな事を気にしてもいられない。
彼には、ツンやクーのように見てみたい物は存在しない。

川  - )「はっ……が……」

ただ生き延びたかった。
出来るだけ長く、出来るだけ健全に。
五体不満足よりも、五体満足で。

それは、彼らの境遇ではあまりに滑稽で、無謀な願い。
だが、だからこそ、

('A`)「恨むなよ、クー」

彼は強い。


川;゚ -゚)「……クソッ!」

クーが横薙ぎに刀を振るい、

('A`)「おっと」

極端に偏った重心を活かし、刀の一閃を左手首のスナップのみで弾く。
そして右手は、

('A`)「ほい」

前に倒れこむ形となったクーの首筋めがけて振るわれた。

川;゚ -゚)「……っ、うぁ!」

それをクーは、更に体勢を崩して、完全に倒れ込んで回避する。
慌てて首筋に手をやり、その手は真っ赤に染まっていた。

川;゚ -゚)「ひ……」

ドクオに背を向け、逃げ場などある筈の空間を、恐怖に駆られたようにクーは走り出す。


('A`)「……そろそろだな」

ドクオがククリを順手に持ち替え、腕を後方に大きく振り下げる。
そして戻しざまにククリ2本を、全力で放った。
回転しながら高速で直進するそれは、ドクオの狙い通りの所に、深々と突き刺さった。





――
一連の流れに、観客が大きくざわめく。
だがそれは、決して人死にが見れた興奮からなどでは無い。
むしろ、今目の前で起こっている事が、理解出来ないが故のざわめきだった。


(・∀ ・)『これは……どう言う事だ?』

それはマタンキも同じ事らしい。
一体何が起こったかと言うと、


ξ ゚⊿゚)ξ「行くわよ! それ!」

まずツンの槍、それはブーンに突き刺さりはしたが、突き刺さったのは刃ではなく石突だった。当然、ダメージはあっても怪我は無い。
そしてツンは、槍の穂先を地面に突き刺し、

棒高跳びの要領で、ブーンを宙高くに放り投げた。



そしてドクオのククリの方は、クーではなく闘技場を囲う壁へと突き刺さっていた。
それを足場に、クーが壁を駆け上り、跳躍する。

結果、2人の剣士が観客のいる、何よりここのマスター、マタンキのいる上段へと降り立った。


(・∀ ・)『……っ! 警備兵! 出会え! 出会えー!』


2人の周りを、それぞれ数十の兵士が囲む。
それでも、彼らの強い意思を秘めた表情には、変化1つ現れなかった。



川 ゚ -゚)「獣とお前達、どちらが強いのか、試してみるか?」(^ω^ )

4_20091230235443.jpg





各々の願いを叶えるべく、反乱が始まる。








※  ※  ※





( ^ω^)「これにて体験版【( ^ω^)達は地上を目指すようです】は終了ですお」

('A`)「しっかしまぁ、俺とブーンの影、相当に薄いなオイ」

ξ ゚⊿゚)ξ「特にブーンよ。殆ど出番ないじゃない」

川 ゚ -゚)「まぁ、君の影が薄いのは最早常道になりつつあるからな」

(;^ω^)「ちょwwそれはねーおwww」

('A`)ξ ゚⊿゚)ξ川 ゚ -゚)「……」

( ^ω^)「……」

( ;ω;)ブワッ





この小説は2007年5月30日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:PsYIVur90 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです


お題
・双剣
・ジャパニーズサムライソード
・槍
・大剣


ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2009/12/30 23:56 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(1)

大好き
[ 2009/12/31 02:38 ] [ 編集 ]

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