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从'ー'从 渡辺さんのワンダーウォール


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ


   

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从'ー'从「その1!」

2_20091230234621.jpg



街中の喧騒から離れた喫茶店の片隅で、ツンはコーヒーを飲み干していった。

ξ ゚⊿゚)ξ「仕事、どう?」

从'ー'从「まぁ普通かな。忙しいけど」

ξ ゚⊿゚)ξ「ふーん。あたしは専業主婦結構大変だよ」

从'ー'从「内藤くんとはどう?」

ξ ゚⊿゚)ξ「ん。普通かな。まぁ、あいつに限って浮気なんてしないだろうしね。心配はしてないよ」

从'ー'从「そっかぁ……」

ξ ゚⊿゚)ξ「あんた、彼氏とか、今居ないの?」

从'ー'从「全然」

ξ ゚⊿゚)ξ「大学時代から男っ気なかったもんねぇ……こんなに可愛いのに。
     見る目の無い男が多すぎるのよ」

从'ー'从「どうだろうねぇ……」

ツンはウエイターを呼び出してコーヒーのお代わりを頼んだ。あたしは残っていたケーキの最後の一口を口に運んだ。


ξ ゚⊿゚)ξ「でも」

从'ー'从「ん?」

ξ ゚⊿゚)ξ「あんまり変な男についていっても駄目よ。あんた、ぼーっとしてるからね」

从'ー'从「ん、わかってる」

ξ ゚⊿゚)ξ「気になる人が出来たら教えなさい。あたしがどんな人か判断してあげるから」

从'ー'从「りょーかい。気になる人ができたら、だけどね」

冷め切ったコーヒーを流し込んで、あたしは席を立つ。

ξ ゚⊿゚)ξ「ん?もう行くの?」

从'ー'从「うん。ちょっとこの後用事があるんだ。あ、ここはあたしが払っておくから」

ξ ゚⊿゚)ξ「ありがと。助かるわ。ブーンもまだ給料安いから」

从'ー'从「じゃあね。内藤くんによろしく」


てこてこ歩いて会計へ。

(´・ω・`)「おや、もう帰るのかい?」

从'ー'从「うん。コーヒー、なかなか美味しかったよ」

(´・ω・`)「それはよかった。また今度きてね」

从'ー'从「うん」

あたしは店をあとにした。



私の名前は渡辺。
下の名前もあるけど、苗字で呼ばれることがほとんどなのでここは省略させてもらうよ。

今年、大学を卒業した。
大学時代に仲がよかった友達はそれぞれ別の進路を取った。

ツンと内藤くんは結婚して家庭を持った。ツンは今妊娠三ヶ月だという。
ショボンくんは喫茶店、『バーボンハウス』を開いた。お兄さんといっしょにやっているみたいだけど、あたしはまだ一度も会ったことがない。
そして、これからもう一人、友達に会いにいく。

早足で五分ほどで到着した。
ライブハウス『クソミソ』。表のボードには、バンド名が一つだけ。


『the very important persons』。

ま、名前が長すぎるからあたしは『VIP』って呼んでるけど。


从'ー'从「おいすー」

('A`) 「お、渡辺。きてくれたのか」

ドクオくん。

アルバイトをしながらバンドをやっている。ワンマンでライブが出来るくらい、人気が出てきたVIPのフロントマンだ。
ゲストリストに載せてもらったので、あたしはただで入る事が出来る。すばらしい。


从'ー'从「クーとはどう?」

('A`) 「ぼちぼちかな。まぁ、今はバンドも忙しいし」

从'ー'从「前にあったとき、寂しいって言ってたよ」

(;'A`) 「マジか?やばいなー……」

从'ー'从「ごめん。冗談。で、今日はクーはいないの?」

('A`) 「なんだよ脅かすなよ……。クーは院の勉強が結構大変なんだって」

从'ー'从「そっか」

('A`) 「おし、じゃあぼちぼち俺行くわ。渡辺も中に入りれよ。ゲストはドリンク無料だから」

从'ー'从「うん」

ライブハウスにくるのは初めてじゃなかったけど、やはりわくわくする。
受付でドリンクを貰い、ホールへ。
結構人で埋まっている。まぁ、ワンマンで出来るくらいのバンドだもんね。人が集まって当然だ。

そういえば、ドクオくんのバンド、新しくメンバーを追加したって言ってたな……いったいどんな人なんだろ。
そんなことを考えているうちに、ステージにドクオくんたちがでてきた。

歓声が上がる。その声は結構、野太い。

('A`) 『ちっす。毎度毎度男の姿しか見えないのは気のせいだよな。じゃあ、早速はじめるぜ』


曲名『Southern cross』。

爆音が流れ始める。うん、やっぱりこの曲はかっこいい。大学時代に書いた曲だと、ドクオくんは言っていた。

ベース、ドラムのグルーヴの上に載るギターリフ。……あれ、なんか普段とアレンジが違う。

(#´∀`)「■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!」

ステージの上に初めて見る人がいる。ああ、あの人が新メンバーか。

ギターは白のレスポールカスタム。この音は、アンプ直結かな。
それにしても、ずいぶんとへヴィなリフを弾くなぁ……。なんだか今まで聞いた『Southern cross』とは全然違うように聞こえる。

(#'A`) 『はあぁぁぁあああああああああああああんずっ!!!!』

ドクオくんのシャウトで曲は終わった。知らないうちに、体は汗ばんでいた。

('A`) 『おっす。じゃあ、ここで新メンバーの紹介するぜ』

スポットライトがさっきのギターの人に当たった。やっぱりあの人が新メンバーなんだ。

('A`) 『ギター、モナー!!!』

(#´∀`)「いええああああああああああああ!!」

叫ぶその声に、歓声が応える。



('A`) 『わかる人にはわかったと思うけど、
    今の『Southern cross』はこいつがアレンジし直したんだぜ』

(#´∀`)『俺がいつでもモナモナ言ってるっと思ってるなら大間違いモナ!
       やるときはやるモナ!』

('A`) 『おk。残りのメンバーはまた後で紹介するぜ。じゃあ、次の曲いくぜ』

今度の曲は『Northen rights』。あたしが一番好きな曲だ。
全体的に暗めなアレンジだけど、勢いがある。曲の終わり際のボーカルのシャウトが、あたしはたまらなく好きだった。

その後も曲が続き、気がついたらライブは終わっていた。


……



从'ー'从「乙カレー。今日もすごかったね~~」

('A`) 「おお、渡辺。楽屋にまで来てくれたのか。最後まで見てくれてサンキューな」

从'ー'从「当然でしょ~。最後まで見るよ」

('A`) 「あ、打ち上げ、参加するか?クーは打ち上げには合流できるって言ってたし」

从'ー'从「ほんと?いくいく!あ、そうだ。新しく入った、モナー……くん、だっけ?」

('A`) 「ああ、モナーな。会ってみるか?おーい、モナー」

( ´∀`)「……モナ?」

('A`) 「モナー。こいつ渡辺。俺の大学時代の友達。クーとも交流あるんだぜ」

从'ー'从「よろしくー。モナーくん」

(;´∀`)「よ、よろしく、モナ……」

从'ー'从「あれ?ステージの時随分雰囲気が違うんだね~~?」

('A`) 「ステージだと雰囲気が変わるんだ。昔の俺もそうだったけど」

(;´∀`)「モナ……新しい自分を発見できたモナ」

从'ー'从「ふふふ。君面白いね」

('A`) 「うっし、じゃあ、駅前の藁藁に集まることになってるから。
    渡辺、先に行っとけよ。俺たちあとで行くから」

从'ー'从「りょーかい」

( ´∀`)「渡辺さんも行くんですかモナ?」

从'ー'从「うん」

( ´∀`)「じゃあ、また後で会いましょうモナ」

そう言うとモナーくんは楽屋の奥に消えていった。
なんか不思議な人。普段の状態だと時間が進む速度が他の人と違うみたい。どことなく、あたしに似てるかも。

从'ー'从「(じゃ、行こうかな)」

藁藁ってどこにあるかわからないけど、まぁすぐわかるよね、きっと。


で、あたしは迷った。

从;'ー'从「……どこ?ここ」

あたしは駅前に向かっていたはず……だけど駅はおろか線路すら見えてこない。

从;'ー'从「ナンテコッタイ……」

携帯を開く。……電池切れてやがる。まじ空気嫁。

从;'ー'从「どうしよっかなぁ……」

と、あたしが途方にくれていたその時。

(;´∀`)「……あれ、渡辺さん、モナ?」

从;'ー'从「え?あ、モナーくん?」

(;´∀`)「どうしてこんなところに?」

从;'ー'从「道に迷って……。もしかして、モナーくんも?」

(;´∀`)「モナ……」

从;'ー'从「……意外と、おっちょこちょいだね。……あたしが言える立場じゃないか。
      うーん、じゃあとりあえずどっか入らない?あたしお腹すいちゃった」



その頃。



川 ゚ -゚)「おい、ドクオ。渡辺はどこだ」

(;'A`) 「さきに行っとけって言ったんだけどなぁ……」

川 ゚ -゚)「あいつが方向音痴だということを知らないのか」

(’e’) 「おいおいドクオ飲みがたりねーよ」

(;'A`) 「わかったわかった。……でも、ちゃんとライブハウスには来れてたし」

川 ゚ -゚)「それは奇跡というものだ。……そこまで考えろ」

(;'A`) 「無茶いうな」

川 ゚ -゚)「しかたがない。今日、あいつがここ現れることはないだろうな。まぁいい。飲むぞ、ドクオ」

(;'A`) 「放って置くのかよ」

川 ゚ -゚)「死にはしないだろう。きっとなんとかなる」

(;'A`) 「(……渡辺、すまねぇ。しかし、モナーのやつもどこにいったんだ?)」

(’e’) 「ひゃっほーい」

(;'A`) 「セントジョーンズ!少し黙れ!」


あたしとモナーくんが入ったのは近くの喫茶店だった。
喫茶店といってもちゃんとした料理が食べられるらしい……。店名は『ラウンジ』だった。
それにしても、店員さんから見たらあたしたちはカップルに見えるのかな。

( ´∀`)「大丈夫なんですか?ドクオたちの所にいかないでも」

从'ー'从「ん?敬語は使わないでいいよ。今から戻っても多分間に合わないよ。
     ……というか、戻れないでしょ。あたしたちじゃあ」

(;´∀`)「たしかに。僕も帰れる自信は無いモナ……」

从'ー'从「でしょ。それに、お腹も減ってたし」

( ´∀`)「モナ」

二人でメニューを覗き込んで料理を決めた。あたしはクラブハウスサンド、モナーくんは生ハムとバジルのピザ。
顔を寄せて、メニューを覗き込んでるところなんて、他からすればやっぱりカップルに見えるのかも。……なんだか恥ずかしくなってきた。

( ´∀`)「あれ、ここ、BGMのリクエストが出来るみたいだモナ」

从'ー'从「そうなの?」

( ´∀`)「この紙にリクを書いて……店員さんに出せばいいみたいモナ」

从'ー'从「ふーん。ねぇねぇ、モナーくん、何かリクエストしてよ」

( ´∀`)「僕が?」

从'ー'从「うん。あたしのために」

(;´∀`)「……うーん、迷うモナ……」

しばらく悩んだ後、さらさらと紙に曲名を書く。結構、字、綺麗だ。あたしの字とは大違い。

店員さんに紙を渡してしばらくして、曲が流れ始めた。ピアノのコードから始まるイントロ。

( ´∀`)「さて、なんの曲だかわかるかモナ?」

从'ー'从「……待って、考えるから!」

ピアノのバッキングに乗るのは男性の声。かなり高い声だ。
ギターは、すごく上手いんだけど弾きすぎない、ボーカルを邪魔しない弾き方。

从'ー'从「わかった」

( ´∀`)「うん」


从'ー'从「Don`t stop believin` だ」

journey の、Don`t stop believin`。日産の車のCMで流れていた曲だ。

( ´∀`)「正解だモナ。なかなか、知ってるんだね」

从'ー'从「まぁね。じゃあ、今度はこっちが出してあげる」

( ´∀`)「モナ」


さって、何にしようか。
journey ってことは、モナーくんはUS好みなのかな。まぁ、一曲だけじゃそんな判断できないか。


从'ー'从「(よし、決めた)」

紙に曲名を書く。汚い字をモナーくんに見せたくないのですぐに店員に渡した。

从'ー'从「はい、この曲はなんでしょう?」

( ´∀`)「モナ」

流れてくるイントロはアコースティックギターのストローク。
それに乗るボーカルはかなり個性的な声をしている。

( ´∀`)「これは簡単すぎるモナ。わかったモナ」

从;'ー'从「む」

( ´∀`)「oasis の、wonderwall モナ」

从'ー'从「正解。やっぱり簡単だったか」

そうしているうちに料理が運ばれてきた。
二人で交換したりしながら、話しながら料理を消費する。

从'ー'从「あたしはどっちかっていえばUKが好き。あのナヨナヨした感じが」

( ´∀`)「僕はUSモナ。ハードロックもパンクも、結構色々と聴いてるモナ」

从'ー'从「へぇ。詳しいね」

( ´∀`)「僕も渡辺さんがこんなに詳しいとは驚きだったモナ」

从'ー'从「へへへ」

( ´∀`)「でも、お話が合うから楽しいモナ」

从'ー'从「そうだね。えへへ。……あれ、なんか携帯鳴ってない?」

( ´∀`)「ん?あ、僕の携帯モナ」

( ´∀`)『……あ、ドクオ?連絡取れてよかったモナ。あ、渡辺さんもいっしょモナ』


(;'A`) 『それはよかった。……おい、こっちには来なくていいぞ』

( ´∀`)『……どうかしたモナ?』

(;'A`) 『クーがやばい。飲みまくって、なんだかすごい状態だ。
     お前らが来ると大変かもしれないから、もうそのまま二人で居ていいよ』

(;´∀`)『クーさん……やっぱり。酒弱いのにがぶがぶ飲む人だモナ』

(;'A`) 『ま、まぁそういう訳だ。渡辺によろしくってうあくーなにをするやめろ プー 』

(;´∀`)「……」


从'ー'从「どうしたの?」

(;´∀`)「いや、クーさんの状態がやばいから、無理して来ないで良いって」

从;'ー'从「クー……大学の時もそうだった」

(;´∀`)「その姿が目に浮かぶモナ」

从'ー'从「ははは。……さて。じゃあ、あたしたちもそろそろ帰ろうか?電車やばくなっちゃうし」

( ´∀`)「モナ」

从'ー'从「結構楽しかった。また二人で話そうね」

携帯の電池が切れていたので、紙にアドレスと電話番号を書いてモナーくんにあげた。
汚い字が見られてしまった……。
あ、モナーくんにアドレス書いてもらえばよかったのか。……失敗。




ξ ゚⊿゚)ξ「……で、そのモナーくんとは駅で別れて帰ったと」

从'ー'从「うん」

ξ ゚⊿゚)ξ「あんた馬鹿?普通ならそのまま、ほにゃららに直行……」

从;'ー'从「そんな馬鹿な」

ξ ゚⊿゚)ξ「でも、奥手のあんたにしては頑張ったわね。見直したわ」

从'ー'从「でしょでしょ!自分でも驚いちゃった」

ξ ゚⊿゚)ξ「で、気になってるの?そのモナーくんのこと」

从'ー'从「恋愛対象……って感じじゃないけど。まぁ友達として」

ξ ゚⊿゚)ξ「あんたが恋愛対象とか区別できるとは思えないけどね」

从;'ー'从「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「まぁ、いいんじゃない?アドレスも交換したんでしょ?」

从'ー'从「うん」

ξ ゚⊿゚)ξ「まあメールなり電話なりしてみて、ふたりで遊びに行ったりして、
     そんなことしてるうちにどんな人か分かってくるよ」

从'ー'从「把握」

ξ ゚⊿゚)ξ「そのうち、あたしにも会わせてね。そのモナーくんと。
     ……さて、あたしそろそろ行かないと」

从'ー'从「ん?今日はなにかあるの?」

ξ ゚⊿゚)ξ「産婦人科。定期健診よ。じゃあ、今回はあたしが出しておくから」

ツンは伝票をぴらぴらと見せながらいった。

从'ー'从「ん。ありがと」

ξ ゚⊿゚)ξ「じゃあね」

ツンが去ると、あたしは残っていたコーヒーを一気に飲み干した。
テーブルにコンと音を立てて置いたとき、目の前にショボンくんがやってきていた。

(´・ω・`)「やあ。豪快な飲みっぷりだね」

从;'ー'从「……普通、そういうこと口に出して言うかなぁ」

(´・ω・`)「デリカシーがなくてすまないね」

从'ー'从「いいの?あたしなんかに構ってて。お店大丈夫なの?」

(´・ω・`)「この時間帯にはほとんど人が来ないんだよ」

見回して見ると確かに人は居ない。

从'ー'从「ねぇ」

(´・ω・`)「なんだい?」

从'ー'从「ショボンくんは恋愛とか、結婚とか、そういうの考えてないの?」

(´・ω・`)「……どうだろうね。いずれ結婚するだろうけど。どんな形であれ、ね。
      でもまぁ今は店のことでいっぱいいっぱいさ。
      結婚するのは、兄貴の方が早いんじゃないかな」

从'ー'从「ふーん……」

どんな形であれ、という言葉が気になったが、まぁ気にしないことにしておこう。

(´・ω・`)「ブーンも結構大変みたいだよ。
      この前、ここに会社帰りにやってきたけど、すごい愚痴を言われたよ」

从'ー'从「へぇ」

(´・ω・`)「君も仕事は大丈夫かい?」

从'ー'从「大丈夫……だよ」

(´・ω・`)「含みのある言い方をするじゃないか」

从'ー'从「特に意味は無いよ」

(´・ω・`)「そうかい」


コーヒーを更に一杯、お代わりを頼んだ。うん、おいしい。今度モナーくんをここにつれてきてみよう。

帰り際、あたしは行きつけのインテリアショップに行った。


从'ー'从「こんにちはぁ~」

/ ,' 3「おお、渡辺ちゃん。いらっしゃい」

从'ー'从「何か珍しいの、入った?」

/ ,' 3「ほほほ、イームズのロッキングベースが手に入ったよ」

从'ー'从「うそっ。見して見して」

/ ,' 3「ほれ。こいつだよ」

从'ー'从「うわっ、いいなぁ、これ……」

/ ,' 3「気に入ったかい?」

从'ー'从「だいぶね。本物はあたしには買えないけど」

/ ,' 3「あっちのシェルチェアも、渡辺ちゃんが買うかどうかはっきりしてないから、
    他の客にも売るに売れないんだよ」

从;'ー'从「ごめんね~。いずれは絶対買うから。余裕が出るまで待ってて」

/ ,' 3「それ、何度目だろうね」

从'ー'从「えへへへへ」

自分のもの(になる予定)のシェルチェアを嘗め回すように眺めた後、いくつか小物を買った。

/ ,' 3「インフレイトを選ぶとは、渋いね」

从'ー'从「イギリスってとこがね。気に入ったよ」

/ ,' 3「ほほほ。じゃあ、全部でしめて三千円だよ」

从'ー'从「二千八百!」

/ ,' 3「二千九百五十なら……」

从'ー'从「じゃあ、二千九百で」

/ ,' 3「……仕方ない。じゃあ、それで」

从'ー'从「やった!ありがと~」

/ ,' 3「敵わんね、やっぱり」

从'ー'从「まぁね」

/ ,' 3「でも、まぁ上手く世の中を生きてるって感じがするよ。毎回毎回なんだか安心する」

从'ー'从「店長のはいらない心配なんだよ」

/ ,' 3「だといいね」

小物を紙につつんでもらい、手持ちのバッグの中へ。

从'ー'从「じゃ、また来ますね」

/ ,' 3「ほっほ。毎度」


外に出ると夕方だった。空にかかったオレンジ色をバックに、鳥が飛んでいく。
あたしはそれをぼんやりと眺めていた。
消防車の音がする。最近、火事が多いらしい。

ぼーっとするあたしの脇を小学生くらいの子供たちが走っていった。走り去っていく後姿を見つめていると、今度は携帯電話が鳴った。

モナーくんからのメールだ。
内容はいたって月並みなもの。同じく月並みに返信をしておく。

从'ー'从「さって、帰ってご飯作らないと」



あたしは自分のアパートに向かっててこてこと歩き出す。








( ´∀`)「その2」

3_20091230234621.jpg



煙草の煙と、牌が混ぜられる音。

('A`) 「ブーン、最近どうなんだ?……っと、通るかな」

( ^ω^)「まぁ、仕事は大変だけどツンと居られるから辛くないお。……あ、それポン」

(;'A`) 「マジか?!」

川 ゚ -゚)「白發だと?……捨て牌に中の姿が見えない……まさか」

( ^ω^)「フヒヒ、じゃあ、こいつを捨てて……」

从'ー'从「ロン。タンヤオのみ」

(;^ω^)「マジかお?!」

川 ゚ -゚)「ナイスだ渡辺」

从'ー'从「えへへ~」

(;^ω^)「まいったお……」


久しぶりに大学時代の仲間全員で集まった。場所はブーンとツンの家。
結婚と同時に借りたという一戸建ては、結構な建築年数が経っているのにもかかわらずきれいだった。ツンの手入れが行き届いているのだろう。

雀卓を囲むあたしたちのところに、飲み物を盆にツンとショボンがやってきた。

ξ ゚⊿゚)ξ「ったく、あんたたちは卒業してもやることは大学の時と変わらないのね」

(´・ω・`)「少しは他のことをしたらどうだい」

('∀`) 「まぁ、楽しいんだからいいじゃねぇか」

( ^ω^)「そうだお。楽しければいいお」

ξ ゚⊿゚)ξ「じゃ、ブーン。あんた振り込んだんだからあたしと交代しなさい」

(;^ω^)「た、タンヤオのみだお……」

ξ ゚⊿゚)ξ「つべこべ言わない!」

(;^ω^)「……把握だお」

川 ゚ -゚)「相変わらず尻に敷かれているな」

从'ー'从「それは変わらないんだね~」

(;^ω^)「……」

(´・ω・`)「じゃ、ブーン。君は僕といっしょにご飯でも作ろうか」

(;^ω^)「僕がかお?!」

ξ ゚⊿゚)ξ「そうね。ブーンはまったく家事できないし。なんか教えてやってよ」

(´・ω・`)「決まりだね」

(;^ω^)「……僕の意見は無視かお」

嫌がる内藤くんをつれて、ショボンくんはキッチンに消えていった。

('A`) 「おし、じゃあ南1局目な。親は……」

川 ゚ -゚)「私だ」

('A`) 「じゃ、始めるか」

从'ー'从「おー」

('A`) 「そういえば渡辺、最近モナーと仲良いんだってな」

川 ゚ -゚)「む、そうなのか?」

从'ー'从「ん~、まぁそこそこ」

あの後、何回か二人で会って食事したり飲んだりした。
モナーくんとの話といえば、もっぱら音楽の話が多かった。

从'ー'从「話が合うからね。モナーくんとは」

('A`) 「渡辺は結構音楽聴いてるしな」

从'ー'从「うん、音楽の話題ばっかりだよ」

川 ゚ -゚)「音楽の話とは、どんな感じだ?」

从'ー'从「ん?なんだろう……ネバーマインドとモーニンググローリーよりも
     アーバンヒムスのほうがいい、とか」

('A`) 「ニルバナなめんな」

川 ゚ -゚)「私がノエル萌えだということを知っていての発言か」

从'ー'从「モナーくんはリアム好きみたいだよ」

川 ゚ -゚)「ドクオ、今度モナーを殴っておけ」

('A`) 「ラジャ」

ξ ゚⊿゚)ξ「ほら、話はいいから早く牌切ってよ」

川 ゚ -゚)「む、すまんな」

ξ ゚⊿゚)ξ「もう」

('A`) 「しかし渡辺とモナーって、かなりマイペース同士の組み合わせだな」

川 ゚ -゚)「確かに」

('∀`) 「あ、ごめん渡辺さん。遅れちゃったモナ~~」

川 ゚ -゚)「ん、いいよ~~。あたしも一時間前にきたばっかだよ~」

('∀`) 「実際こんな感じなんだろ?」

从'ー'从「お前ら死ね」

一時間は無いだろう……常識的に考えて……。
むしろ約束を忘れるときは約束の存在自体忘れる。それがあたしのクオリ……って、自慢にならないか。

('A`) 「ドラだが……通るはずだ!」

ξ ゚⊿゚)ξ「カン」

(;'A`) 「な!?」

川;゚ -゚)「ドラをカンさせるだと?!何を考えている、ドクオ!」

(;'A`) 「正直スマンカッタ」

川;゚ -゚)「く……これは厳しい」

ξ ゚⊿゚)ξ「さぁ、どうする?」


从'ー'从「……」

ツンの捨て牌を見る。……まぁ、あたしに捨て牌から役を予想ほどの腕はないんだけど。
ツンの捨て牌はセオリーどおり。一度鳴いたくらいで、待っている牌を判断するとか、あたしには到底出来ない。

从'ー'从「(とりあえず、安牌を切っておこう)」

川;゚ -゚)「これは怖い……」

恐る恐る牌を切るクー。その牌は、通った。

('A`) 「……まだドラカンされただけで、テンパイしてるとは限らない。ここは勝負に出るぜ」

ドクオくんが切ったのは、出切っていない、ど真ん中の牌。

('A`) 「どうだ?!」

川;゚ -゚)「……」

从'ー'从「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

('∀`) 「通ったか?!」

いや、普通に考えてこれは……


ξ ゚⊿゚)ξ「ロン」


だよねー。


(゚A゚)「……」


跳満直撃。ドクオくん、箱。この対局はドクオくんの箱で終わった。

川 ゚ -゚)「ドクオ、麻雀弱いな」

ξ ゚⊿゚)ξ「ほんと。雑魚過ぎてお話にならないわ」

(;'A`) 「……」

从'ー'从「まぁ、本人はこれで頑張ってるんだし」

(;'A`) 「渡辺、それ、フォローになってないぜ……」


(´・ω・`)「きみたち、出来たよ、ご飯」

(;^ω^)「一応僕も手伝ったお」

('∀`) 「おお」

ショボンくんと内藤くんが盆に料理をのせて運んできた。
まずサラダに、オムライスに、フレンチトースト。あと……やった、あたしの大好きなスパゲティだ!


ξ ゚⊿゚)ξ「うちの食材だけでよくもまぁこんなに作れるわよね。つくづく感心するわ」

(´・ω・`)「ん。大事なのは愛情さ。食材の量じゃない」

( ^ω^)「そうだお」

ξ♯゚ー゚)ξ「ブーン、それはあたしの料理に愛情がないってこと?」

(;^ω^)「そ、そういうわけじゃないお」

('∀`) 「まぁまぁ。喧嘩はやめて、食べようぜ」

川 ゚ ,-゚)「もう頂いてるぞ。このオムライスうめぇ」

(´・ω・`)「それはよかった。どんどん食べて」

从'ー'从「いただきまーす」

やったースパゲティだー。
小皿はどこだろう?早く自分の取り分を……

('∀`) 「やっば、このスパゲティうま」

( ^ω^)「ほんとだお」

川 ゚ -゚)「どれどれ」

ξ ゚⊿゚)ξ「ほんとだ、これおいしい」

(´・ω・`)「じゃ、最後の一人分は僕が」


从;'ー'从「あ」

あたしが小皿を探しているうちに、食欲の権化たちは大皿から直接食べるという荒業でスパゲティのすべてかっさらっていった。
小皿を手にしたあたしの目の前で、愛すべきスパゲティはすべて消えていき、あたしに別れを告げた。

从;ー;从「ふぇぇえええ……あたしの分のスパゲティがないよ~」

泣いた所で、スパゲティは帰ってこない。そして、食欲の権化たちは次なる獲物を探している。あたしのことなんか見てもいない。

ちきしょー。負けるもんか。

('∀`) 「このフレンチトーストうまそうだな」


そいつか!思い知れ!


ドクオくんの魔の手が迫るフレンチトーストに上からフォークを突き刺した。手ごたえあり。殺った!
一心不乱にかぶりついた。味なんかみてもいない。今こそスパゲティの恨みを晴らすとき!

でも、あたしには大食いなんて到底出来やしないのだ。
口がパンでいっぱいになったとき、食道の奥で、胃がいやいやをした。


从;’н ’从「う」


胃液が逆流し、口の中のパンを浸した。気持ち悪さが一気にこみ上げる。

ああ、入れるのは難しくても、出すのは簡単なのだ。


(;^ω^)「ちょwwwwツン、布巾とティッシュ!」

あたしはそこですべてを戻してしまった。

川 ゚ -゚)「食い意地を張りすぎだ。渡辺」

( ^ω^)「そうだお」


黙れ。全部はお前らのせいだ。
全く、なんでこう上手くいかないんだろう。





その帰り道。

(´・ω・`)「そんなにあのスパゲティが食べたかったのかい」

从'ー'从「……うん」

ドクオとクーとは先に別れた。ショボンくんとは家の方向が同じなのでいっしょに帰る。

(´・ω・`)「店に来たらもっと美味しいの作ってあげるよ」

从'ー'从「やった」

楽しみにしておくよ、とあたしは付け加える。


从'ー'从「それにしても、ツンのお腹も結構大きくなってたね」

(´・ω・`)「そうだね。どっちに似るのかね」

从'ー'从「うーん……ツンみたいな性格だと、内藤くんも大変になるよね」

(´・ω・`)「そうだね」

話しているうちに『バーボンハウス』につく。
今日はショボンくんのお兄さんだけで店をやっていたらしい。

(´・ω・`)「じゃ、僕はここで」

从'ー'从「うん」

(´・ω・`)「と言いたいところだけど、ちょっと暗くなってきたね……家まで送ろうか?」

从'ー'从「いいよ。ショボンくんに悪いもん。それに、あたしを襲う物好きなんていないよ」

(´・ω・`)「そうかい。でもまぁ、君はもう少し自分の魅力に気づいてもいいと思うよ。
      ……僕が言っても説得力が無いかもしれないけどね」

从'ー'从「ふふ。ありがと」

(´・ω・`)「気をつけて」

じゃあね、と、あたしは手を振った。ショボンくんも振り返してくれた。

さて。このまま帰るのも、もったいないなぁ。
荒巻さんのインテリアショップにでも行こう。

夕方の涼しい風を感じながら、歩いて数分で到着した。
家具を見るのは楽しい。服を選ぶのと同じようなわくわく感がある。
そしてあたしはいつものようにわくわくしながらドアを開けた。

从'ー'从「こんにちは~」

/ ,' 3「おお、渡辺ちゃん」

( ´∀`)「あれ、渡辺さん」

从'ー'从「モナーくん?」

モナーくんだ。レジの前で、荒巻さんといっしょにこちらを向いて立っている。
ここから家近いのかな。でもこの店じゃ会ったこと、一度もないよね。

从'ー'从「どうしたの?」

( ´∀`)「スタンドが壊れたんで買いに来たモナ」

从'ー'从「家、近いの?」

( ´∀`)「いいや。近くのホームセンターに行ったけど気に入ったものが無くて。少し遠出してみたんだモナ」

/ ,' 3「なんだ?二人は知り合いなのかい?」

从'ー'从「まぁ、ちょっと」

( ´∀`)「渡辺さんはここによく来るモナ?」

从'ー'从「うん。ここから家近いんだ。もう常連だよ。ね?」

/ ,' 3「ああ。よくしてもらってるよ」

( ´∀`)「へぇ。インテリア、好きなのかモナ?」

从'ー'从「うん」

( ´∀`)「じゃあ、いっしょにスタンドを選んでくれモナ」

从'ー'从「どれどれ」

無印良品で売っているようなシンプルライトに、センプレっぽい雰囲気の足つきのライト。
そして、クリップのついたライト……etc

从'ー'从「結構、しゃきっとしたデザインが好みなんだね」

( ´∀`)「そうモナ」

从'ー'从「モナーくんの雰囲気だと、もうちょっと丸っこいのが好みだと思った」

(;´∀`)「それは偏見モナ」

从'ー'从「ははっ。ごめんごめん。あたしなら、この中だと……」

と言ってあたしは置かれたライトの中から一つ持ち上げて見せた。

( ´∀`)「それは」

从'ー'从「うん。部屋の中の木の裏とかに置くやつ。
     だけどこれ単体で置いてみても、結構いい感じなんだよ」

( ´∀`)「へぇ」

/ ,' 3「で、どうするんだい?」

( ´∀`)「じゃあ、渡辺さんが選んだ、これで」

/ ,' 3「ほっほ。毎度」

从'ー'从「いいの?そんな簡単に決めちゃって」

( ´∀`)「渡辺さんが選んでくれたモナ。間違いなはず無いモナ」

/ ,' 3「ほい。包装したよ」

( ´∀`)「ありがとうございます」

/ ,' 3「渡辺ちゃんは、何か買うのかい?」

从'ー'从「いや、今日は見にきただけ。モナーくんも居るし、いっしょに帰ります」

/ ,' 3「そうかい。なら、気をつけて帰るんだよ。……最近、どうも物騒だからね。火事も多いし」

从'ー'从「はい」

モナーくんと並んで店を出る。目的の物を買ったモナーくんはどこか満足気だ。
遠くで消防車の音が聞こえる。
最近はよく消防車が走っている。荒巻さんも言ってたけど、やはり火事が多い。

( ´∀`)「助かったモナ。お陰でいい買い物が出来たモナ」

从'ー'从「大げさだよ」

( ´∀`)「いや、僕が選んでたらあのままあと一時間はかかってたモナ」

从'ー'从「すいぶん、こだわりがあるんだね」

( ´∀`)「うん。どうもありがとうモナ。さて、駅に行かないと。じゃあ、僕はこれで」

从'ー'从「ああ、待って」

( ´∀`)「?」

从'ー'从「せっかくここまで来たんだから、あたしの家に来てよ。夕飯、ご馳走するよ」


歩いて五分ほど。たどり着いたのはあたしの借りているアパート、シベリアハイツ。

从'ー'从「いらっしゃい」

(;´∀`)「……すげぇ」

あたしの部屋に入ったモナーくんの第一声はそれだった。

(;´∀`)「これ、パントンのチェアだよね?それにこれはイームズのロッキングベース……」

从'ー'从「レプリカだけどね」

(;´∀`)「それでもうらやましいモナ」

从'ー'从「まぁ座って」

あたしのアパートは小高い丘の上にあるので、窓からは夕日が赤く照らす家の屋根が見える。
窓の側においてあった扇風機のスイッチを入れ、スタンドの明かりをつけた。
モナーくんは床においてあった座椅子に座った。向かい合って、あたしも座る。

从'ー'从「さて、何が食べたい?」

( ´∀`)「うーん……なんでもいいモナ」

从'ー'从「それが一番困るんだよな~」

(;´∀`)「えっと……」


从'ー'从「あ、じゃあスパゲティにしよう。カルボナーラね」

( ´∀`)「カルボナーラは好きモナ」

从'ー'从「決まりね。じゃあ、ちょっと待ってて」

あたしは椅子を立ち、キッチンへ。
スパ麺、カルボソース、卵、ベーコン、ブラックペッパー、シュレッドチーズ、パセリ。よし、材料はある。

フライパンに水を入れてお湯を沸かし、麺を入れた。

从'ー'从「あ、モナーくん。なにか音楽でも聴いててよ。CDラックからなんでも選んでいいから」

( ´∀`)「おk。……って、あれ?アコースティックギターがあるモナ」

从'ー'从「あ、うん。あたしもちょっとギターは弾けるからね。最近はあんまり弾いてないけど」

( ´∀`)「ちょっと弾いていいモナ?」

从'ー'从「うん」

モナーくんはドクオくんのバンドのギタリストだ。どんな風に弾くんだろうか。

チューニングを終えたモナーくんは、一息つくとギターを爪弾き始めた。
弾き語りではない。アコギのソロ。


从'ー'从「(この曲……)」

Mr.bigの、To be with youのソロだ。

何度か挑戦したことはあるが、普段コードくらいしか弾けないあたしには到底無理だった。
実際、それほど難しくは無いみたいなんだけど。

( ´∀`)「~♪」


ソロを弾き終わったモナーくんは鼻歌を歌いながら別の曲を弾き始める。
今度はコードプレイだ。誰もが知っている、あの曲だ。

( ´∀`)「When I find myself in times of trouble Mother Mary comes to me~♪」

从'ー'从「Let it be だね」

歌いながら、モナーくんはコクリと頷く。
その声にあわせて、あたしも歌い始めた。


从'ー'从「れりびー」

( ´∀`)「れりびぃー」

从'ー'从「れりびいー」
    
( ´∀`)「おうれりーびぃ」

从'ー'从( ´∀`)「「うぃすぱわーずおぶうぃずだむ」」

从'ー'从( ´∀`)「「れりびー」」


歌い終わって、二人で顔をあわせて笑いあった。
なんだかおかしいね、酔ってるわけでもないのにね。

从'ー'从「やっぱり上手だね~。モナーくん」

( ´∀`)「まだまだモナ。それよりも渡辺さん、歌上手だモナ」

从'ー'从「ふふ、ありがと」

(;´∀`)「あ、渡辺さん。フライパン!」

从;'ー'从「あ」

急いで火を止める。

从;'ー'从「(茹ですぎた……)」


うーん、まぁ仕方ない。
茹ですぎた麺をいったんざるに移し、湯を切った。
お湯を捨てたフライパンでベーコンを炒めると、そこに麺を入れてカルボソース、シュレッドチーズ、ブラックペッパーを絡める。
ほどよく混ざったあと、麺の上に卵を落としふたをして、卵が半熟で固まるのを待つ。一分ほどで固まった。

从'ー'从「ちょっと茹ですぎたけど、出来たよ」

お皿に盛り付け、パセリを振って完成。

( ´∀`)「おお、美味しそうだモナ。いただきます」

从'ー'从「どうぞ」

一口、食べる。うーん、やはり茹ですぎた……でもまぁ他はいい感じかな。

从'ー'从「どう?」

( ´∀`)「やばい、これ、美味しいモナ」

从'ー'从「よかった」

モナーくんの麺を手繰る速度が上がり、一分ほどで全部食べてしまった。あたしはまだ半分も食べていない。

( ´∀`)「すごく……美味しかったです……」

从'ー'从「もっとゆっくり食べてもいいのに」

( ´∀`)「あんまり美味しいもんだから」

从'ー'从「もう」

美味しい、と言ってくれるのは素直に嬉しい。また作ってあげようって気になる。

一通り時間をかけて、あたしも食べ終えた。

从'ー'从「さて」

ギターを手にとって、構える。弾くのは久しぶりだけど、多分まだ弾ける。

从'ー'从「なにかリクエストしてよ。簡単な奴ね」

( ´∀`)「ヴァンヘイレン」

从'ー'从「無理。却下」

( ´∀`)「じゃあ、ワンダーウォールで」

从'ー'从「オアシスの?」

( ´∀`)「モナ」

从'ー'从「おk。頑張る」

最初のコードはなんだっけ?いいや、もう。駄目なところは誤魔化そう。

あたしは歌い始めた。
久しぶりに歌った。

歌うのって、こんなに気持ち良かったっけ。
モナーくんは静かに黙って聴いてくれていた。その視線は、ちょっと恥ずかしかったけど頑張った。

歌が終わり、演奏が終わり、それでもモナーくんは黙っていた。


从'ー'从「ちょっと、なんか言ってよ。恥ずかしいじゃん」

(;´∀`)「……いや」

从;'ー'从「あ、下手、だったかな……」

(;´∀`)「とんでもない!」


―むしろ、歌手みたいだったモナ。ほんとに、聞き入ってた。


そんなことを言うもんだから、あたしも何も言えなくなってしまった。
しばらく沈黙が続いた。嫌な沈黙。

从'ー'从「じゃあ、今度はモナーくん、歌ってよ」

空気を壊すためあたしは言った。

(;´∀`)「え、あ、うん。じゃあ、verveの」


ギターを構えたところで、急にモナーくんは顔を上げた。


(;´∀`)「渡辺さん!今日は何曜日だモナ?!」

从;'ー'从「え?」

携帯の窓は、日曜日を示している。

从;'ー'从「日曜日?」

(;´∀`)「やべ!今日、バイト入ってたモナ!」

从;'ー'从「え?大変!何時から?」

(;´∀`)「えっと……7時から」

時計を見る。なんと、もう六時半!あと三十分しかない!

(;´∀`)「ごめん!もう帰らないと!歌ってやれなくてごめんだモナ!」

从;'ー'从「え、あ、いいよ別にそんな。それより早く行かないと!」

(;´∀`)「うん!スパゲティ、ほんとに美味しかったモナ!また、食べさせてモナ!」

从;'ー'从「うん。また来てね。気をつけて」

手を振って、モナーくんは走って出て行った。あたしはその姿が見えなくなるまで手を振った。
同時に、なんとも言えない寂しさがこみ上げてきた。

なんだろう、この気持ち。

ぼんやりとその場に立っていると、携帯電話が鳴った。

从'ー'从「あ、メールだ」


モナーくんからのメール。


本文:ほんとにごめんモナ!僕の歌は今度聞かせるモナ。ちなみにさっきは、the verveのsonnetを歌うつもりだったモナ。


从'ー'从「ソネット?」

なんでわざわざこんなのメールで教えるんだろう。
ソネット……the verveのsonnet……。


从'ー'从「あ」

この曲の、サビの歌詞。


―――君が望めば、これは愛。ソネットみたいには聞こえないだろう、ねぇきみ。


从'ー'从「もう」


なんでこういう、恥ずかしくなることを平気で言ってくるかな。








('A`) 「その3」
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―喫茶店『バーボンハウス』


川 ゚ -゚)「なんと。メジャーレーベルが」

('A`) 「ああ」

短くなった煙草を灰皿に押し付け、ドクオくんは頷いた。

('A`) 「駄目元でデモをいくつか送ってみたんだ。そしたらその中の一つが気に入ってくれて」

从'ー'从「すごいじゃん」

('∀`) 「ああ、ありがと」

笑って言いながら、ドクオくんはもう煙草はやめなきゃな、とつぶやいた。
そうしているうちにショボンくんが料理を運んできた。あたしが頼んだのは、もちろんスパゲティ。

(´・ω・`)「でも、気に入ってくれたからといってすぐにデビューできるわけじゃないんだろ?」

('A`) 「ああ。次のライブにそのレーベルの関係者がくるんだ。
    それで、デビューできるかどうか、判断されるらしい」

从'ー'从「それは……緊張するね~」

(´・ω・`)「ほい、フォークだよ。熱いから気をつけて食べてね」

('A`) 「ああ。もう心臓ドックンドックンだぜ。……っと、さんくす、ショボン」

ハンバーグにフォークを突き刺しながら、ドクオくんは言う。

('A`) 「まぁ、全力を尽くして頑張るよ」

川 ゚ -゚)「次のライブはいつだ?」

('A`) 「一週間後」

一週間後。えっと、大丈夫、予定は入ってない。あたしも見に行くことが出来そうだ。
モナーくんも来るのかな。

('A`) 「そういや渡辺。モナーとはどうなんだ?」

从'ー'从「まぁ、普通だよ」

といっても、モナーくんを家に呼んで以来、二人で会ったことは無かった。なんとなく恥ずかしかったし。
交わすメールも、大して続かない。
ソネットを歌ってあげるよ、って、ほとんど告白みたいなものだったから。

('A`) 「ならいいんだ」

川 ゚ -゚)「モナーがどうかしたのか」

('A`) 「いや、最近なんか、そわそわしてるというか。
    心ここにあらずというか。そんなんだったから」

川 ゚ -゚)「大事なときだというのに。不安だな」

心ここにあらず、か。
だとすれば、あたしも多分そうなんじゃないかな。


('A`) 「まぁ、ライブさえ上手くいけば、それでいいんだけどな」

ナイフとフォークを使うのがわずらわしくなったらしい。ドクオくんは箸を使ってハンバーグを切り崩しにかかった。
あたしも黙って麺を手繰った。うん、やっぱりショボンくんの作るカルボナーラはおいしい。三人とも黙々と料理を消化した。

('A`) 「さて、俺は先に出るぜ」

川 ゚ -゚)「バイトか?」

('A`) 「ああ。店長の野郎がやたらと俺をこき使いやがる。今日は非番だったんだけどな」

川 ゚ -゚)「そうか」

从'ー'从「ライブ、頑張ってね」

('∀`) 「ああ」

代金を置いて、ドクオくんは店を出て行った。テーブルにはあたしとクーだけが残される。

川 ゚ -゚)「今度のライブの後の打ち上げは、全員揃うといいな」

从;'ー'从「そうだね~。前は行けなくてごめんね」

川 ゚ -゚)「あれは仕方ない。渡辺の方向音痴の度合いを把握しきれていなかったドクオが悪い。
     まぁ、そのお陰で君はモナーとも親しくなったんだろうしな」

从'ー'从「うん」

クーはコップの中の水を一気に飲むと、天を仰いだ。

川 ゚ -゚)「私はもう、勉強するのが嫌になってきたよ」

クーは吐き捨てるように言った。クーは普段泣き言を言ったりしないのに。

川 ゚ -゚)「君やブーンはもう仕事をしている。
     ブーンは家庭も持っている。ドクオは自分の夢に向かって頑張ってる」

从'ー'从「クーも頑張ってるよ」

川 ゚ -゚)「頑張ってる、か。
     確かに頑張ってはいるが、自分がまだ学生だというのがな。
     なんだか取り残されている気がして」

从'ー'从「クーにとっての勉強が、あたしにとっての仕事みたいなもんだと思うよ」

川 ゚ -゚)「そうなんだろうけど……。
     勉強を頑張ることが、それほど意味のあることだとも思えないんだ。
     経済学、商学を知ったところで、いったい何になるんだろうかってね」

从'ー'从「……」

川 ゚ -゚)「ツンのために働くブーンを見ていると、本当にそう思う。
     働くことのほうが、学業なんかよりももっと意味のあることのような気がする」

クーは天井を見続けている。長い髪が、椅子の背からあふれて床に付きそうになっていた。

从'ー'从「……ねぇ、クー」

椅子に背中をべったり付けているクーに向かって、あたしは言う。

从'ー'从「今やっていることが意味のあることになるのか
      意味の無いことになるのかは、本人次第だよ。
      何をしていたって、それが正解か不正解なのかは決めるのは結局自分。
      正解だと思いたいなら、今すべきことを精一杯やるべきだと思う」

川 ゚ -゚)「……」

从'ー'从「だからクーは、大学院の勉強を頑張るべき。
      確かに焦るかもしれないけど、それが自分のペースだと思えばいいじゃない。
      最終的にはクーも働くんでしょ?」

川 ゚ -゚)「……ああ、そうだな」

肯定しながら、クーは体を起こす。その目は、わずかに微笑んでいた。

川 ゚ー゚)「渡辺、確かに君の言うとおりだ」

頑張ってみる、と、クーは付け加えた。

从'ー'从「よかった」

川 ゚ -゚)「じゃあ、あたしもそろそろ出る。
     このことを考えている間、大学のレポートを全くやっていなかったんだ。
     早くやらないといけない」

从'ー'从「ありゃりゃ……それは大変。頑張って!」

川 ゚ー゚)「ああ」

笑って、クーは店を出て行き、テーブルにはあたし一人になった。うーん、もうやることもないし。じゃあ、あたしもそろそろ出ようかな。

ところで、あたしに今一番するべきことってなんなんだろうね。クーには偉そうにに言っておきながら、実際自分のことは把握できていない。

……。

……。

あたしが今一番すべきこと。
やっぱり、モナーくんのことなのかなぁ?





また火事があったらしい。

それも、今度は二件続けて。
自転車置き場の自転車がすべて燃やされ、さらにそこから少し離れたペットショップの外に出されていた鳥のケージが燃やされた。
幸い、中に鳥は入っていなかったので鳥が焼死することは無かった。

警察は、これは完全に同一犯による連続放火事件だと断定した。
町には不審者に気をつけろ、という警察のアナウンスが流れ続けていた。

/ ,' 3「おっかないねぇ」

从'ー'从「そうですねぇ」

あたしはいつもどおり荒巻さんのインテリアショップに入り浸っていた。話題はその放火事件。
あたしと荒巻さんでシリアスな話をしていても、全然深刻に聞こえないから不思議だ。

/ ,' 3「民家はまだ狙われていないみたいだけど、渡辺ちゃんも気をつけるんだよ」

从'ー'从「荒巻さんもですよ」

/ ,' 3「ほっほ。確かにそうだね」

ひとしきり話をすると、店を出て、家路ににつく。
荒巻さんの店から出て行くときは、たいてい夕方。空は夕日で赤く染まっていた。

家に着くまでの道程に、小さな公園がある。普段は素通りしていく公園だけど、今日はなんだか寄ってみたくなった。
ブランコが二つ、ジャングルジムが一つ。あとはベンチと砂場しかない、ほんとうに小さな公園だ。

それにしても、ジャングルジムって子供の遊具にしては危険すぎだと思う。
小さい頃これで怪我して以来、ジャングルジムはあたしのトラウマだった。

誰も居ない公園のベンチに座ってぼーっとしていると、後ろから誰かに呼ばれた気がした。

訝しげにも振り返る。

逆光の中に誰かがいた。最初はよくわからなかったけど、シルエットで誰なのかわかった。

从'ー'从「モナーくん」

(;´∀`)「ど、どうも」

モナーくんだった。

从'ー'从「どうしたの?わざわざこんなところまで」

あたしは埃を払いながらベンチから立ち上がる。

(;´∀`)「あ、あの、渡辺さん」

从'ー'从「?」

なんかそわそわしてる。どうしたんだろう?緊張してるのかな。

从'ー'从「あ、そうか。明日、大事なライブがあるんだもんね。緊張して当然だよね」

(;´∀`)「そ、それもあるんだけど。用件はそうじゃないモナ!」

そうじゃない?じゃあ、なんだろう。
なんだかモナーくんの雰囲気がいつもと違う……なんかこっちも緊張してきた。

(;´∀`)「渡辺さん!」

从;'ー'从「はい!」

思わず敬語でで返しちゃった……恥ずかしい。
そんなあたしに構わずモナーくんは言った。


(;´∀`)「大事な話があるモナ」

大事な話……。

(;´∀`)「明日、ライブが終わったら渡辺さんに言うことがあるんだモナ。だから、明日は、絶対に見に来てほしいモナ」

あ、そうか。これって……。

あたしの返事なんて決まっていた。あたしも、同じようなこと考えてたんだよ。

从'ー'从「うん!絶対、見にいくよ!楽しみにしてる!」

(;´∀`)「ほ、本当!?」

从'ー'从「うん、絶対」

( ´∀`)「やったモナ!渡辺さん、僕、明日は頑張るモナ!」

从'ー'从「頑張ってね。レコード会社の人、気に入ってくれるといいね」

( ´∀`)「うん!じゃあ、僕は今日は帰るモナ。渡辺さん、また明日!」

从'ー'从「うん!」

モナーくんは走って去っていった。……確かこの前も走って帰ってたよね。

从'ー'从「……ライブ、上手くいくといいな」

頑張ってね、と、心の中でエールを送る。

从'ー'从「……あたしも頑張らなきゃ」

つぶやいて、公園を後にした。家に帰ったら夕飯作らないと。
で、明日に備えて早く寝よう。

从'ー'从「~♪」

あたしはワンダーウォールを口ずさみながら家に帰った。




そして、その日の夜も、消防車の音は鳴っていた。





( ・∀・)「渡辺~、今日残業できる~?」

从'ー'从「無理です!」

( ・∀・)「そこをなんとかさ~頼むよ」

从'ー'从「む・り・で・す」

残業なんてしてられるか。今日は大事な日なんだ、黙っとけ。
急いで制服を着替える。一度帰ってシャワー浴びて、着替えて……やることいっぱいだ。

( ・∀・)「ねーわたな」

从♯'ー'从「無理です!しつこい!」

上司を黙らせて家路を急ぐ。今、五時半。
ライブが始まるのは八時だから、かえって準備して、ちょっと余裕があるかな。

いつもなら寄っていく荒巻さんのインテリアショップの前を素通りする。
……あれ、休業の札が付いてる。
今日、休みの日じゃないはずなのに。まあいいか。

家に帰って即効でシャワーを浴びた。よし、臭わないね、あたし。
適当な服に着替えて、一応ご飯を食べた。
ここまでで六時半。うん、全然時間ある。

从'ー'从「(すこしくらいなら残業してもよかったかな
      ……まぁいいか、何があるかわからないんだし)」

それにしても時間が余ったので、目に付いたギターを爪弾いてみる。
とりあえずワンダーウォール。もう基本。
let it be 、Don`t look back in anger と弾いて、七時前。
うーん、そろそろ出ようかな。早めのほうが、安全だよね。


戸締りをしようとした、その時だった。





焦げ臭い。




どこから臭ってくるのかはわからないが、確かに何かが燃えている臭いがする。

从;'ー'从「(な、なに?)」

外の様子を見ようと窓に近づいた。
そして、異変に気づいた。

窓の鍵が、ワイヤーで固定されている。何重にもぐるぐる巻きになっていて、開きそうにない。

从;'ー'从「(え?な、なんなの?いったい)」

玄関のドアに走り、開けようとした。……開かない。何故?
ドアノブは回る。鍵もかかっていない。外から、扉が固定されている?

从;'ー'从「な、なんで――」

思わず声が出た。なんで?いったい誰が?

从;'ー'从「あつっ……」

背中に熱を感じて振り返った。
そして、戦慄した。

窓の向こうのベランダが燃えている。そして、カーテンにも火が移っていた。


火事だ。それも、あたしの家が。


从;'ー'从「だ、誰か――」


あたしはドアを叩く。何度も、何度も。
お願い、だれか、気づいて!

手の皮がすりむけ、血が滲んだ。それでも、あたしはドアを叩き続けた。

从;-;从「お願い……誰か、助けてよ」

助けてよ、ねぇ。

モナーくん……。

火はどんどん増していく。部屋のカーテンから、他の家具へと火が移っていく。

お気に入りのインテリア雑誌、イームズのレプリカ。インフレイトの小物。
全部、燃えていく。

あたしはギターを抱えた。弦が熱をもっていて熱かったけど、耐えられた。

从;-;从「……」

これがないと、モナーくんがソネットを歌えない。あたしに、歌ってくれない。

大丈夫、モナーくん。これだけは守るから、絶対、聞かせてよね……。

煙が濃くなった。その瞬間、あたしの視界は暗転し、意識は無くなった。





――ライブハウス『クソミソ』


(;'A`) 「おいおいすげぇ客の入りだぞ……なぁ」

(’e’;) 「ああ。俺も驚いてる」

(;'A`) 「緊張してきたな……失敗できねぇ」

川 ゚ -゚)「私が付いている。落ち着くんだ」

(;'A`) 「ああ……」

( ^ω^)「ブーンもいるお」

ξ ゚⊿゚)ξ「ふん、一応、あたしも」

('∀`) 「……お前ら」

川 ゚ -゚)「ところで、渡辺はどうしたんだ?」

('A`) 「いないのか?」

川 ゚ -゚)「ゲストリストにチェックが入ってない。ただの付け忘れかもしれないが」

(;'A`) 「マジか?おっかしいなぁ。あいつ一番楽しみにしてたはずなのに」

(’e’;) 「おい、ドクオ!モナーがいねぇぞ!」

(;'A`) 「なんだって?!」

楽屋に戻ると、モナーとモナーのギターの姿は無かった。

代わりに、「少し、出てくる」という書置きだけがあった。



(;'A`) 「おいおい……洒落にならねーぞ。
     今日のライブよりも優先するものなんてあんのかぁ!?」


書置きを握り締め、ドクオは叫んだ。





意識がなくなって、また戻っての繰り返し。
意識が戻るたびに、火が近くなってるのがわかる。

ああ、もう駄目なのかな……。

あたしはもう、ここで死ぬのかな。

从;-;从「モナーくん……」

何度その名前呼んだだろう。でも、返事は無いんだ。

そんなに都合よく、現れてくれるはずないよね。

今、ライブ中のはずだもんね。

ライブ、上手くいってればいいなぁ……デビューできればいいね。
いいや、きっと出来るよね。モナーくんがいるんだもん。
あんなにギターが上手なんだ。きっと、うまくいってる。

あたしは、もうモナーくんのギターは聞けないみたいだけど。

ああ、また意識がはっきりしなくなってきた。
火の距離からしても、もう意識が戻ることなんてないんだろうな。

気をつけろって言われたのに。気をつけなかった自分が悪いのかな。

そんなこともうどうでもいいか。どうせ死ぬんだ。後悔しても仕方が無い。

はぁ……未練が残るなぁ。

せっかくあたしが好きになって、あたしを好きになってくれてるかもしれない男の人が現れたのに。

从;-;从「……」

じゃあね、モナーくん。

何かが壊れる音を聞いたあと、段々とあたしの意識は遠のいていった。



……。

……。

……。




――その時だ。





――耳元で、トクン、と音がした。


暖かい。


火の暖かさじゃなくて、もっと何か違う暖かさを感じる。


从'-'从「……あ」

誰かがあたしを抱きしめてる?


段々と意識が戻っていく。


誰?なんて聞かなくてもわかる。

この感じは、多分あたしにしかわからない。でも、あたしにはわかるんだ。

モナーくん。

火の中で、あたしを抱きしめてくれてる。


……。

また、そんなかっこいいことするから、好きになっちゃうんだよ。



ばか。




誰かが呼んでる。

渡辺さんっ!って、あたしの名前を呼んでる。

声のするほうに走る。

走る走る。
どこに行けばいいかなんてわかってる。声が呼んでくれてるんだから。

そこに行けば、会えるんだ。

誰に?

そんなの決まってる。








从'ー'从( ´∀`)「その4」

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( ´∀`)「渡辺さんっ!!」

その声で目が覚めた。気が付いていきなり目に入ったのは、モナーくん。
あたしの手を握り締めていた。


从'-'从「……あれ」


どこだろうここ。……空が見える。


あつくない。


そと?


あ、そうだ。火の中で、意識を失いそうになって、そして……。

誰かが助けにきてくれたんだ。

从'ー'从「モナーくん?」

( ´∀`)「……」

あたしの目の前で、モナーくんが固まっている。やっぱりどこかぼーっとしてる。

从'ー'从「モナーくん」

( ´∀`)「……」

もう、なにか返事してよ。あたしが馬鹿みたいじゃない。

从'ー'从「モナーくん、あたし、わかってるよ」

( ´∀`)「……」

从'ー'从「助けてくれたの、モナーくんだったんだね」

( ´∀`)「……」

从'ー'从「……もう、駄目だと思った。死ぬかとおもった」

( ´∀`)「……」

从'ー'从「でも、助けてくれたね」

( ´∀`)「……」

从'ー'从「ありがとう」

( ´∀`)「……」


( ;∀;)「渡辺さん!」


急にモナーくんが抱きついてきた。

从;'ー'从「うわっ、苦しいよ」

( ;∀;)「渡辺さん!よかった……。もう戻ってきてくれないかと思った……」

从'ー'从「戻ってくるに決まってるよ」

だって、遣り残したことがあるもん。

約束したじゃん。

今度、来るときは歌ってあげるモナ。


从'ー'从「ソネット、聞かせてもらってないもん」


あたしは、モナーくんに向かって微笑んだ。

从'ー'从「でも、どうしてわかったの?」

ライブがあったはずなのに。

( ´∀`)「あ、ああ、それは」








       「SOS、聞こえた。助けてって、渡辺さんが言うのが」









………
……




川 ゚ -゚)「じゃあ、渡辺の退院を祝って」

('∀`) ( ^ω^)ξ ゚⊿゚)ξ(´・ω・`)「かんぱーい」

かちん、とグラスが合わさった。

从'ー'从「ありがとー。みんな。」

みんなが、あたしの退院のためにお祝いをしてくれた。まぁ入院っていっても一週間くらいだったけど。
場所はショボンくんの喫茶店だ。

あのあと、近所の人が呼んでくれた救急車であたしは運ばれ、病院にいった。
その間、モナーくんはずっと付き添っててくれた。でも、そのせいでライブに戻ることが出来なくなってしまった。

从'ー'从「……でも、ドクオくん、ごめんね……ライブ」

('∀`) 「いいよ、別に。渡辺が助かったんだから。それに、まだチャンスはあるし」

川 ゚ -゚)「そうだぞ、渡辺。気にする必要は無い」

从'ー'从「……うん」

モナーくんが抜けた『VIP』は当然本来の力を発揮することが出来ず、デビューの話は結局白紙に戻ってしまった。
あたしのせいだった。

从'ー'从「……うん。ごめんね」

('∀`) 「だから気にするなって。な」

(´・ω・`)「よーし、みんな、出来たよ。特製のスパゲティだ」

( ^ω^)「ウホッ、いいスパゲティ」

川 ゚ ,-゚)「うめぇ」

从'ー'从「……」

一口、食べた。うん、やっぱり、おいしいよ、本当に。

(´・ω・`)「……で、やっぱりあれは放火だったみたいだね」

从'ー'从「……うん」

(´・ω・`)「で、その犯人が」

从'ー'从「……わかってる」

駐輪場の自転車に火をつけ、鳥のケージを燃やし、最終的にあたしのアパートに火をつけた犯人は、信じたくは無いけど、あの荒巻さんだった。

(´・ω・`)「……つまらない日々に刺激がほしくてやった。
      狙った女性は店の常連客で、その住所も知っていたから。
      って、新聞には載ってたよ」

信じたくは無かったけど、本当だった。

荒巻さんが、一連の放火事件の犯人だったのだ。
確かにあの日、定休日じゃないのに荒巻さんの店は閉まっていたし、今思えば、窓を固定していたあの針金もお店の商品だった。

(´・ω・`)「ショックだろうけど……」

从'ー'从「うん。……でも、もう大丈夫」

(´・ω・`)「?」

从'ー'从「みんながいるからね」

あたしがそう言うと、ショボンくんはかすかに笑ったような気がした。

(´・ω・`)「そうだね」

ξ ゚⊿゚)ξ「渡辺、ちょっときなさい」

从'ー'从「ツン?どうしたの?」

( ^ω^)「おっおっおっ。二人で何ひそひそ話してるんだお」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

デュクシ

( メ)ω()「な、何するんだお!」

ξ♯゚⊿゚)ξ「あんたは黙ってなさい」

从;'ー'从「うわっ、ツン、引っ張らないでよ」

ξ ゚⊿゚)ξ「あんた、こんなことしてる場合じゃないでしょ」

ツンがあたしに鋭い視線を向けながら言った。

ξ ゚⊿゚)ξ「あんたは他に行くべきところがある……違う?」


あたしの、今行くべきところ。

从'ー'从「……」


確かに、ある。

从'ー'从「……うん」


ξ ゚ー゚)ξ「……ほら、みんなにはあたしから言っておくから、
     あんたは今一番行きたい場所に行きなさい」


川 ゚ -゚)「そうだぞ、渡辺」

从;'ー'从「うわっ、クー、いきなり」

川 ゚ -゚)「今やるべきことを全力でやれと言ったのは君だぞ、渡辺。
     ほら、今君がすべきことはなんだ?」

从'ー'从「……うん」

あたしが今一番すべきこと。そんなの、一つしかない。

从'ー'从「わかった。二人とも、あとはよろしくね」


あたしは店を飛び出した。

走る、走る。今、どこにいるかなんてわからないけど。行くべきところは、一つだけなんだ!








          「モナーくん」 
          
          「渡辺さん?どうしたモナ?」

          「あの、あたし、モナーくんに言うことがあるんだけど……」

          「それは奇遇だモナ。 僕も、渡辺さんに言うことがあるモナ」

          「ん?じゃあいっしょに言おうか?」 
 
          「それがいいモナ」

          「いくよ、じゃあせ~のっ!」







          「好きだよ!!」 






从'ー'从 渡辺さんのワンダーウォール   ~Fin     







この小説は2007年6月14日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:HYAmnwl00 氏


作中に出てきた楽曲はこちら

wonderwall/oasis


sonnet/the verve


Don`t stop believin`/journey


let it be/beatles




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[ 2009/12/30 23:48 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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