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('A`) と (´・ω・`) は超能力者でないようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




凡人では決して辿り着かない領域。
天才ですら努力無しには見ることの出来ない世界。

芸術スポーツ発明交渉遊戯哲学果ては宗教まで。
どんな分野にも「辿り着いた果て」と言うものがある。
徹底的に一つだけの事柄を、究極的に追い求めた者だけが得る力。
その力だけが"果て"に辿り着くことを可能にする。

分野を極めたと言ってもいい、気持ちが悪くなるほどに上達した技術。
そんな、人を超えた能力を生まれつき持つ人間がいる。


天才すら超えるほどの能力を、人は『超能力』と呼んだ。




20070608014432.jpg



('A`)「ふざけんな! 何で、何でこれじゃ駄目なんだよ!」

「そう言われましても……こちらとしては極めて公正に審査をしたわけでして……」

('A`)「……くそっ、もう聞き飽きたんだよその台詞は!!」

俺は怒りに任せて、受話器を公衆電話に叩きつける。
行き場を無くした怒りとそれに隠された無力感。

そうだ。結果を認めるんだドクオ。

俺はまた絵の賞を取れなかったんだ。
三ヶ月かけて、毎日一心不乱に書き込んだ絵でも駄目だったのだ。

('A`)「……ッ!!」

意味も無く目の前のガラスを殴りつける。

('A`)「ちっくしょう……ッ!」

悔しい。
いつも落選しているのに、いつもこうやって泣いてしまう。
目の奥から勝手に溢れ出てしまうのだ。
泣いたりしたって絵が上手くなるわけでもないのに。




****************************************************




('A`)「……ただいまー」

玄関の前で念入りに涙を拭い、俺は自分の城へ帰ってくる。
帰りを告げても答えが帰ってくることは無い。
もう半年ほど前からこの状態だ。

洗濯物の散らばった小汚い、四畳半の部屋。
カップ麺しか入ってない戸棚やゴミ箱。

そして真ん中に位置する書きかけのキャンバス。

('A`)「…………」

このキャンバスはコンクール用じゃない。
むしろ、これが描きたいためにコンクールに応募してたようなものだ。



  『出て行け! 俺に指図するなッ!』

  『違う、私はただ……』

  『出て行けッ!!』



('A`)「今更だな……」

ちょうど半年前から吸い始めた煙草をくゆらせる。
何故、あんな些細なことで口論をしてしまったのか。
俺にはもったいないくらいの、良く出来た女だったというのに。

四年前に、俺が絵を描きたいと言っても、笑って応援してくれた。
初めて小さなコンクールで賞を取った時も、自分のことのように喜んでくれた。

デートはあまりしたがらなかったくせに、いつも俺と一緒にいたがった。

('A`)「……クー……」

何故、自分でも思い出せないような些細なことで追い出してしまったのか。
連絡を取ろうにも、直接会いに行こうにも、どんなことを話せばいいのか見当もつかない。

後悔の念だけがぐるぐると渦巻いている。

('A`)「何で、どうして……」

うじうじと悩み続ける俺の耳に、思考を遮るけたたましいベルの音が響いた。

('A`)「……はい、もしもし」

「もしもし? ドクオ様のお宅でしょうか?」

意気消沈したまま受話器を取った俺の耳に届いた声は――。


('A`)「あ、自分がドクオですが……もしかして、貴方は」

(´・ω・`)「君がドクオ君かい? いやぁ、今日発表だったコンクール作品を見てね。
      つい連絡したくなったんだ」

('A`)「ひょっとして、『絵の超能力者』の、ショボンさんですか!?」

(´・ω・`)「あ、知っててくれたんだ。ありがとう」

俺が憧れ続けた絵の作者。
「聖女の微笑み」を描いたショボンさんその人だった。




****************************************************




(´・ω・`)「まだ絵を描き始めて四年だってね。それであの絵は凄いよ」

('A`)「いえ、まだまだ未熟ですから」

電話がかかってきて5分ほど経ったが、俺にはそれが何時間にも感じられた。
俺が絵を描き始める直接の理由を作り出した人が電話の向こうにいるのだ。
ガッチガチに緊張してしまうのはむしろ普通の反応だろう。

(´・ω・`)「それでも、ここまで来れたのは才能かな」

('A`)「俺に才能なんかありませんよ」

(´・ω・`)「あはは、何言ってるんだい。"あんなに立派な才能があるくせに"」

('A`)「……何のことですか?」

無意識に拳を握り締める。

(´・ω・`)「名前変わってたけど、案外簡単に調べられたよ。
      『小説の超能力者』どくおとこ。六年前の作品を最後にスランプへ陥る。
      そして四年前に失踪して行方不明となる……、と」

('A`)「…………」

(´・ω・`)「まさか君が絵を描いてるとは思わなかったよ。
      これも一種のスランプ脱出法かい? それにしては本格的にやってるね。
      どっちにしろ興味深いことだ。文章で満足しきれなくなったのか、
      絵と一緒に書いて相乗効果を……」

('A`)「何が言いたいんですか」


自分でも驚くくらい冷酷な声が出る。


('A`)「何が、言いたいんですか」

(´・ω・`)「……単刀直入に言うよ。君は文章に戻る気は無いのかい?」

('A`)「ありません」

(´・ω・`)「超能力者なんだ。今戻っても出版社が引っ張りだこで」

('A`)「俺はアレを描き上げるまで文を書くつもりはありません!
   そもそも、俺が絵を描き始めたのは貴方の絵を見たからなんだ!
    貴方の絵を見て……!」



……?
貴方の絵を見て……、なんだっけ。
……何か忘れているような……。



(´・ω・`)「……そこまで評価してもらえるのは嬉しいけどね。
      これは君のためでもあるんだよ」

('A`)「俺の……?」

(´・ω・`)「超能力者はね、類稀なる能力を持っているが故に、下手糞になってしまうんだ」




****************************************************




('A`)「……冗談はやめてください。とんでもなく上手いからこそ、超能力者なんでしょう?
   デビューから二十年、名作を生み出し続けてきた貴方がそれを体現しているじゃないですか」

(´・ω・`)「名作を生み出したくらいで上手い? そっちこそ冗談はやめて欲しいね。
      僕だって例外じゃなく下手糞だよ。他の誰がどう思おうと僕は下手糞だ」

('A`)「そんな……!」

(´・ω・`)「大体、下手糞の定義って何だ?
      拙いこと。具合が悪いこと。巧みでは無いこと。
      "それらは一体、誰が判断してくれるっていうんだい?"」

('A`)「っ……」

俺は答えない。
答えられない。

(´・ω・`)「所詮は上手下手なんて、自分で判断するしか無いんだ。
      でも超能力者が自分で判断すると、間違いなく下手糞になるんだよ」

('A`)「……何で、ですか……?」

喉が酷く渇く。
答えなんてわかっているのに、わざわざ聞いてしまう自分が嫌だ。
聞きたくない気持ちと、俺の答えとショボンさんの答えが異なるという可能性への期待が入り混じる。

(´・ω・`)「君も何年か執筆活動をしてたならわかると思うけどね、」

嫌だ。
こいつは俺と同じ答えを言うつもりだ。
早く受話器を置いてしまえ。


取り返しがつかなくなるぞ。


(´・ω・`)「……君は、今までに一度でも、思い通りの作品が書けたことがあるかい?」



絶望が身を包む。




****************************************************




('A`)「…………てくれ」

(´・ω・`)「当たりだろう? 僕ら超能力者が他人より突出しているところは技術じゃない。
      『結果を予想する想像力』なんだ。
      それがあるからこそ、スポーツ選手は効率よく体を動かし、
      研究者は的外れな実験を全て省き、僕たち創作者は魂のこもった作品を作り上げられる」

('A`)「……やめてくれ」

(´・ω・`)「だけど技術はそうもいかない。
      想像力のおかげで信じられないほどの上達を見せるけど、ただそれだけ。
      能力を超えたと呼ばれるほどの『想像力』に追いつくことは出来ない」

('A`)「やめてくれッ!!」

(´・ω・`)「いいや、やめないね。
      自分で判断すると下手糞になるというのは、こういうことなんだ。
      どんなに他人が褒めようと、世間の評価が高かろうと、自分はまったく満足していない。
      皮肉なものだよ。超能力者のくせに、能力が足りなくて満足できないなんて」

頭が揺れる感覚がする。
吐き気がして心臓の辺りが傷む。
視界が揺れ、呼吸が安定しない。

やめてくれ。
俺にアノコトを思い出させないでくれ。


(´・ω・`)「なあ、いい加減に戻ってこいよ。"どくおとこ"」




ああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああ





****************************************************




…………


……



(´・ω・`)「これで、いいんですか?」

「ああ。精神安定剤を打った。
 突きつけられた事実を認識したまま冷静になれるという優れものだよ」

(´・ω・`)「……ドクオは元に戻れますか?」

「正直、難しいね。
 超能力者が『想像力』をフルに使って妄想の中に逃げ込んだんだ。
 私が心理学の超能力者だとしても、あまり望みは無いと思うよ」

(´・ω・`)「やはり……クーのことが……」

「……その、クーさんなんだがね。
 ドクオさんにとってそんなに大事な存在だったのかい?」

(´・ω・`)「大事な存在でした。
      僕とドクオとクーは幼馴染で、そのまま僕もドクオもクーを好きになって……
      ……でも、クーが選んだのはドクオだったんです。
      そこまで強く想い合っていた二人が、大事な存在でないわけがありません」


「そのことなんだけどね」
('A`)「そのことなんだがな」


(´・ω・`)「!? ド、ドクオ! もう目が覚めたのかい?」


「元々眠ってなんかいない」
('A`)「俺はさいしょから起きてたさ」



「目が覚めてないのは」
('A`)「お前の方だよ」


(´・ω・`)「……え?」


「いい加減にしておけ」
('A`)「俺を貶めて、優越感に浸っていたのか?」


「クーなんかいない」
('A`)「超能力なんかない」


「全部全部全部全部全部」
('A`)「この世界でさえお前の『妄想』だ」



(´・ω・`)「ドク、オ……?」






('A`)「『なあ、いい加減に戻ってこいよ。"しょぼん"』」






ああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああ









この小説は2007年5月12日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:sNnrlBG10 氏
作者が共通のお題で各々小説を書くという形式のものです

お題は超能力



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2009/12/30 20:34 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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