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( ,,゚Д゚) と (*゚ー゚) の春に降る雪


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




季節は春。満開の桜が咲き乱れる始まりの季節。
町は暖かな風で包まれていた。

学校へ続く坂道…その坂を装飾する桜並木の美しさといえば未来への躍動感とか期待感とかを膨らませ、
新たな制服に身を包む若者たちは生き生きと学び舎へと歩を進める。

その桜並木の坂の下。
一人の少女が、坂の上を見上げて笑っている。

妙な少女だった。
外見は割とありそうな…薄めの布地で全身を隠すタイプの服を着ており、月並みな表現だが手足は触れれば折れそうなほど細い。
儚げな姿と表情は何かを悟ったような不思議な美しさを醸し出している。

ここまではまあいい。
持ち物は高価そうな黒いケース。細長い二辺が特出して長い長方形で、有名音楽メーカーのロゴが入っている辺りから察するに楽器が入っているらしい。
よく使い込まれているが塗装落ちなどは見受けられず、
長年丁寧に扱われていたのであろうかと容易に想像できる。
これもまあ、ありだ。

妙なのは、彼女がダンボールらしき物に乗っており、
あまつさえダンボールがふわふわと地面から浮遊している事。
少女はダンボールにペタンと乙女座りして、
両手は腿の辺りにおき、その前にケースを横にしておいている。

通りすがる誰もが一度は目を留め、首をかしげては不思議そうに立ち去っていく。
何せこの時期は仕事始めや新学期。あまり暇のある人物といえば早々いない。
だからわざわざ少女にその理由を尋ねる酔狂なものなどいない。


何故春の学校を、そこまで悲しそうな目で見るのかと尋ねるものも、いなかった。



20070726023233.jpg




(*゚ー゚)「今年も、この学校は楽しそう。春だからかしら」


穏やかに笑う。けれどその穏やかさは、まるで全てを諦めきったような力ない表情だった。
穏やかというより、酷く悲しそうに見える表情。

諦念。
誰もが隣を通り過ぎる中、彼女だけはそこに留まり、ただ坂の上を見上げるだけだった。


(*゚ー゚)「いい季節よね。風は暖かいし、気持ちは軽いし、ずっと笑っていられそうな」


錯覚さえ感じさせる、


(*゚ー゚)「花の香り」


凍りついたときの中にいる彼女は、その景色をどういう思いでみていたのだろうか?

そんなこと、本人しか知らなかった。
だから彼女に声をかけるものはいないのかもしれない。
彼らの時計は進んでいるから、同じ場所に留まれず足早に通りすぎていくのだ。

別にそれが憎いとか恨めしいとかそういうのじゃない。
けれど、自分の時計は止まっているから、動いている人たちが羨ましいと、それだけ。


(*゚ー゚)「…帰ろう。あんまり長居すると、怒られちゃうかもしれない」


少女は踵を…というか、ダンボールを反転させて坂道に背を向ける。
如何なる手段で動かしているかは想像もつかないが、少女の足らしきそれはふよふよと不思議な音を立てながら進んでいく。

本当は、怒られるのが怖かったのではない。
そこにいても意味がないことを知っていたから、少女はまた諦めただけだった。

意味をくれるかもしれない誰かの事など、まったく思いつきもしない。
帰るかとは言ったが、少女は正直に家に帰るわけではない。ただそこにいる事に疲れたから場所を変えようとしただけだ。

それで今は公園にいた。

やっぱりダンボールの中に座ったままなのでゲームの家出少女よろしくブランコに座って物思いに耽ることなんて出来ない。
ベンチの横でふよふよ漂っているだけだ。


(*゚ー゚)「…って、結局ブランコに座ってないだけでやってる事は同じか…」


少女は一人苦笑いを浮かべ、短く重いため息を吐いた。

ここにいると、いろんなものが見える。
今はまだ朝というべき時間帯だが、黄昏時に紅く染まる遊具とか。
楽しそうにはしゃぎ回る子どもたちの歓声嬌声とか。
子どもたちを見守って穏やかに談笑する主婦たちの姿とか。

或いは、仲良く遊具で遊ぶ母一人子一人の姿とか。


(*゚ー゚)「…女々しいなぁ。アレからも一年になるのに、まだ忘れてない」


一瞬、その表情が歪む。
けれどそれは眉尻が下がる程度の変化だった。
一瞬だけ困ったような表情になった少女は目元を拭う。
袖が濡れた様子はない。


(*゚ー゚)「そりゃそうかぁ」


快活な声を上げる少女は、


(*゚ー゚)「涙なんて、」


消え入りそうな声で、


(*゚ー゚)「あの時、枯れちゃったからな」


呟くのだ。


(* ー )「私、アレっきり、人間やめちゃったから、泣けなくなっちゃし」


そうだ。
このダンボールも、仕込まれたアレも、全てはそのために使えるようになった。
自分が人間をやめたから、こんな異常な状況をアリにしてしまえた。

つまり、それはここにいてはいけないという、世界からの拒絶ではないだろうか?


(*゚ー゚)「私、は、いつもそう。中途半端に死に損なう。馬鹿よね…知ってるよ?」


ドクン、ドクン。

一人呟き続ける少女は、そんな音を聞いたように思う。
けれど瑣末な事だった。
そんな音が聞こえようが聞こえまいと、所詮自分ひとり。何が変わるわけではない。

ここなら、何をしようが人目に付かない。
地理的にも時間的にも最適だ。
都合五回目の挑戦。


(*゚ー゚)「そうよ。私みたいな人外が人の死に方で死のうとしたから失敗したんだ」


周辺の気配が変わる。朝のすがすがしさなど霧散して、ひたすらに不快な外れた気配。


(*゚ー゚)「せっかく私にしか出来ない、私にしかできる事があるんだ」


少女は不気味に笑って目を閉じる。

同時に、何かがダンボールの蓋のあたりから飛び出して浮かぶ。
光の球だ。
こぶし大より一回り大きい、正体不明の発光体。妖精のようだったが、それにしては無機質というか、剣呑な雰囲気。

まるで人魂。
敵意しか感じられない白い闇が五つ、少女の周囲を浮かんでいる。


(*゚ー゚)「誰も私を縛れない。私が考え、私が決める」


五つのそれは少女を捉え、閉じられた少女の目は暗闇を視る。
暗い結末が訪れる事を知った、物語の主人公のように。


(*゚ー゚)「私が今、何をすべきなのか、を」


白いそれは頭を捉えて強く光る。
審判を告げる鐘の音のように。
暗い視界を白が染める。結末の見えない闇を白で塗りつぶすように。

これで五回目だが、と小さく呟く少女は、


(*゚ー゚)「今度こそ、サヨウナラ。世界」


その視界を眩い閃光に塗りつぶされる瞬間、確かに笑った。



なのに、誰かが少女を背後から押した。



驚きのあまり声も出せない。
一瞬遅れて、自分の背後を何かが通過するような轟音。
ああ、また死に損ねた、と早々と納得した少女は、後ろを振り返って誰かに声をかける。


(*゚ー゚)「…なにゆえ、邪魔をしたんですか?」

( ,,゚Д゚)「決まっているだろ。
     俺の目の前で可愛い女の子の頭が吹き飛んだら寝覚めが悪いからだ」


少女は予想の斜め上を行くような青年の言葉に思わず一瞬赤くなり、そんな考えを吹き飛ばすべく頭を振って青年を睨みつける。
が。


( ,,゚Д゚)「大体、そろそろ諦めたらどうだ?
     五回死に掛けて五回失敗したっていうのは
     もう諦めろっつー誰かの啓示じゃねーの?」

(;゚ー゚)「…あの、何故それを?」

( ,,゚Д゚)「一回目はトラックにはねられて、
     二回目と四回目はビルから落ちたし、
     三回目は首をつったな。
     そのたびに通報したのは俺なんだが」

Σ(;゚ー゚)「そんな都合よく居合わせたって…まさかストーカー!?」

( ,,゚Д゚)「大筋において間違えてはいないので否定しない。
     ただし下心があったわけではない。そこだけきっちり釈明しておく」

Σ(;゚ー゚)「ストーカーって部分を否定してください!怖いんですが」

( ,,゚Д゚)「そんなの瑣末だろ。重要なのはアンタは俺のおかげで死ななかった。
     俺は命の恩人ってわけ。おっけー?」


そんなこと言われましても。
言葉もなかった。
ストーカーに命を救われるなど言語道断だし、何より自分は死にたかったのに邪魔された。
嬉しいわけがないと、ジト目で青年に抗議する。


( ,,゚Д゚)「っつっても、それにはちゃんとした理由があるんだ。
     ちぃっと聞いて欲しい」


青年は面倒くさげに頭をかきつつ、少女にそう呼びかけた。


( ,,゚Д゚)「それから、俺はギコだ。覇丹谷ギコ」

(*゚ー゚)「…椎名詩歌。二つ続けてしいが続くからしぃってことで」




で、このギコとか名乗った青年が説明するからと言ってまず一言目を切り出す。
が。


( ,,゚Д゚)「俺はお前が必要だ。お前しか出来ないから是非断らないで欲しい」


問題発言である。
ストーカー疑惑はより深まる。
実は思い込みや妄想の類ではないだろうかと疑ってしまう。

っつーかしょっぱなからフルアクセルでいいんですかね? 
私正直変態を相手にしたことないのでまったく何も出来ませんよ
と、しぃは苦笑する。


( ,,゚Д゚)「ちゃんとした理由がある。最後まで聞けっつーの」


はい? と首を傾げるしぃ。


( ,,゚Д゚)「いいか、かいつまんで話すが、
     お前は最初の事故で母親を失い、両手を不随にした。
     足は無傷だったが、それにしては大きすぎる代償だった。
     確認するが最後まで聞けよ? 
     相槌は俺が聞くまで打つな。面倒なだけだからな。
     …で、続けるが、
     その頃からお前は世を儚んで自殺を試みるようになった。
     もちろん加減なんかしないで
     デパートの屋上=建築物の階層になおして十一階から飛び降りた。
     普通死ぬよな?
     もちろん俺だってそんなことはお前だって承知の上だ。
     ある意味喜々として飛び降りたわけだが、
     ここでありえないことに
     お 前 は 死 に 損 ね た 。
     代償として今度は両足を持っていかれたが、
     それを除いてほぼ無傷という凄まじい戦績だ。
     実に凄いなぁ
     さて問題です何故生き残ったでしょうか?
     お前、心当たりは?」


(*゚ー゚)「…あなた、私がダンボール弄れる様になったのと関係があるとでもいうつもり?」

( ,,゚Д゚)「はい正解。っつーかそのダンボール俺が送ったものだし」

Σ(;゚ー゚)「あのキモイ説明書はアンタが書いたんすか!?」

( ,,゚Д゚)「面倒だから無視をする。
     で、二度も死に損ねたお前の『力』は再び強化され、
     いよいよ持ってダンボール(車椅子)なしじゃ何も出来ない。
     そのタイミングで親切設計車椅子型ダンボールを送った俺様。
     …はいそこ、そんな目で俺を見るな。
     で、トドメが三回目の首吊り。
     あの時は驚いたなぁ。
     お前の家ボロ屋だから、お前が椅子を蹴ろうとする一瞬手前に床が抜けて…なぁ?
     咄嗟にもがくお前はもう一回力を発動させて紐をねじ切り病院へ。
     紐が切れるのとお前が気絶するのは同時だったからな。
     まったく、首から下が完全に不随になって、
     代わりに力はどえらい強化をされた、ってわけ」


( ,,゚Д゚)「ここでは自殺の道徳云々は言及しない。
     何故か? お前の本能は生きたいと叫んでいたからだ。
     その結果が未開発脳70パーセントの覚醒。
     お前は晴れて超能力者になったわけだ。

     証拠1。お前はダンボールをPKで操作して、今まさにふよふよ浮いている。

     証拠2。四回目の自殺未遂の際は同じ場所から飛び降りて
           ミンチになる直前PKで空中に留まって今まさに生きている。

     証拠3。五回目の自殺未遂…つまりついさっきだが、
          お前は自力で遠隔操作ビットを同時に五つ作り出して
           自分に向けてレーザーをぶっ放した。

     発射後の照準補正は出来ないらしいが、
     それにしちゃかなり高度な事をやったよな?
     点の認識速度然り、同時遠隔操作然り、な?
     アレだけやれれば白い悪魔も真っ青だぜ。
     そんなわけで、お前は今死にたいと思っても死ねない。
     力がそれを阻むし、或いは俺が阻止する。
     わかるな? そんな強力な力を持っているお前に用があると、
     そういうわけだ」


(*゚ー゚)「親切に一から話してくれてどうも。
     で? 用の理由はわかったけど肝心な用件の内容はどうなってるんです?」

( ,,゚Д゚)「俺もな? 似たような能力は持ってはいるんだ。
     だがお前が力を得るのに両腕を、強化に首から下の完全麻痺という
     トンでもない代償が必要だった事からも推察できるように、
     俺の力もおっそろしく面倒な代償が必要だったわけよ」

(*゚ー゚)「…代償?」

( ,,゚Д゚)「そう、俺の力は知識だった。
     人が失った技術…魔術によく似たモノを再現するための式を理解できる力。
     …ただなー、俺さ、この魔術っつーの?
     使えないんだわ。自分じゃ」

(*゚ー゚)「…はい?」

( ,,゚Д゚)「例えば魔方陣書くだろ? 
     強力な奴で、一発で九州くらい消し飛ばせる陣を組み立てました。
     ところがその陣は無力化されて、どれだけ発動条件満たしても俺じゃだめなわけ。
     っつーか、俺が書くっつーのがダメ。俺が書くとまったくダメ。
     それを正確に模写してもらって、初めてやっと準備おっけー?
     いや、俺の魔術は別に超能力者は回路が違うとか
     そういうのはないんだけど、如何せん少々レトロなもので、
     制御系が効率悪くて一発使うだけで使う奴が死んだりとか結構ザラなわけよ」


(*゚ー゚)「…ちょっと待ってください。その話の流れだと、
    あなた自分の代わりにその『魔術』を再現できる人間を探してるんでしょ?
    私とまったく繋がらないんですけど…」

( ,,゚Д゚)「お前フルート持ってるよな? それ手が動かなくとも弾けるだろ」

つまりこの場で弾いて見せろ、と。
まあ不可能ではないし、その程度で事の是非が変わるほど重要ではなさそうなので素直に頷いておく。

ダンボールの中におかれたままの楽器ケースがひとりでに開いた。中からは銀色に輝くフルートが一つ。
長い年月が経過しているのか表面は多少くすんではいるが、楽器本体に傷は少ない。おそらくそのまま弾いても問題はないはずだ。

けれど両手が動かないしぃは弾く事など不可能…な、はずだった。
ところが楽器ケースの止め具が開いたように、フルートも触れてもいないのに浮かんでしぃの口元へと運ばれる。
歌口に優しく口付けるしぃ。彼女は、頭に浮かんだ楽譜どおりにフルートを動かす事を考える。

音が出て、音色が変わり、フルートは優しく音楽を奏でていく。


( ,,゚Д゚)「…指もないのにフルートを動かせる微妙なPK制御、か。
     上手いもんだ」


フルートの音は高く低く、それが独奏であることを感じさせない音の広さを周囲に響かせている。
手を使わず、けれど手で奏でるよりはるかに美しいフルートの歌が世界を回る。

しぃは楽しげに、けれど悲しげにフルートで歌う。
仮面をつけたまま泣くピエロのようだった。
揺れるしぃの表情は計りかねる。それさえも仮面のような錯覚。本物の在処さえ見失う虚無の表情。


( ,,゚Д゚)「はいはいおっけー。それだけやれば十分だ」


手を叩いてしぃを止めるギコ。

夢から覚めたようにフルートが静止し、ケースへと戻る。
少しの間だけ、しぃもギコも無言のままで停止する。
お互いがなにを考えていたのかは、表情からはまったく読めない。


(*゚ー゚)「…これと、あなたの用事。どんな関係が?」


話を切り出したのはしぃのほうだった。
なんて事ない、ほんの少しの疑念と不審をいり混ぜただけの、ありふれた表情。


( ,,゚Д゚)「だからさ、それだけ制御できればビットで空中に陣を描けるよな? 
     それを使って、  」


特に感想を交えずに語るギコの背後…つまりこの公園の入り口から、


「見つけたモナー!! 悪者めー!!」


心なし能天気なそんな声が鳴り響く。

この状況をぶち壊してくれたらしい闖入者にしぃの顔は隠しようもないほど完璧な笑顔になる。
何せ第三者が乱入したのだ。なんか変な言葉が聞こえた気がするがアレは関係者などではなく何も知らない一般人。
そんな奴の前でPKだのESPだのといった与太話を炸裂させられるほどコイツも馬鹿ではないはずだ。

思わずギコを見るしぃ。
どうだ、貴様の企みはこれで潰えたぞ。そんな感想を乗せて睨みつけたのだが、当の本人は実に困ったような顔で頭をかきながら振り返る。
で、親指をその第三者に向けてため息をつくのだ。


(;,,゚Д゚)「アイツを倒して欲しいんだ」

(; ー )「早い話が要するにつまりアイツはバリバリ関係者っつーことなんですか」

(;,,゚Д゚)「すまない。出来ればこういう荒事は避けたかったと天の声が囁くんだけど」

(;゚ー゚)「何を言っているのかわからないですけど…」


止むを得ずその標的らしい三人目を見る。
大柄でがっしりした体格。
如何にも癒し系ですといわんばかりな笑顔を浮かべるその顔。
そして全身から発散されるやわすぎる気配。

…突っ込みに困る。あんなのを倒せって言われても。


(;゚ー゚)「…いや、あの、あんなミスターマスコットを始末しなきゃいけないんすか?
     良心に訴えるモノをひしひしと感じるのですが」

( ,,゚Д゚)「いやーアイツ根っからの善人なんだけど一応敵っつーかさ…まあ、いろいろあるわけよ」

(#´∀`)「喧しいモナ!! お前、モナの記憶返せモナッ!! お前が取ったモナ!?」

(*゚ー゚)「…はぁ? あなた、そんなことしたんすか?
     ダメじゃないっすか人の記憶なんてとっちゃー」

( ,,゚Д゚)「…本性出てきたな。案外お前非常識万歳な人だろ」

(*゚ー゚)「だってあなたまほーつかいなんでしょ? なんでもありじゃないっすか」

( ,,゚Д゚)「俺じゃ何も出来ないっつってんだろう話聞いてなかったのか」

(#´∀`)「ごちゃごちゃ煩いモナ!! 返せ返せ返せ!!」


モナモナうっさいマスコットはその外見に似合わず俊敏な動作で大地を蹴り、一瞬でギコに肉薄する。
そして気がつけばギコはしゃがみ、マスコットは腕を空振りするモーションのまま「よっと」とか暢気に声を上げながらよろめく。


( ,,゚Д゚)「コイツも能力者だ。名前は御前モナー」


ギコのモーションも早い。マスコット=モナーが3歩よろめく頃には懐から拳銃を抜いて問答無用で三発発砲。
あまりに豪胆すぎる決断力と早すぎる動作に唖然とするしぃ。
っつーか街中で普通に44マグナムリボルバーをぶっ放しましたよこの人!

轟音。直撃。反射音。

反射音?



( ,,゚Д゚)「能力はA.M.A.D. 要するに」


無力化された弾丸は軽々しく地面に落下。
モナーに直撃したにも関わらずマグナム弾に対して傷一つつかない。


( ,,゚Д゚)「『対物理絶対防御』。
     物理的攻撃に対して干渉されない…最強に限りなく近い防衛能力」


えー。それってつまり?


( ,,゚Д゚)「しかも無力化ではなく『非干渉』。
     例えば殴っても反動なんてないし、
     ぶつかられても一方的に相手だけがよろめく・怪我をする」

(*゚ー゚)「…それって、強くね?」

( ,,゚Д゚)「弱点はあるんだ。物理攻撃じゃなければいい。例えば炎とかレーザーとか」

言いながらギコは右足を半歩下げて上体を横にそらす。
恐ろしい勢いで飛んで来たモナーの拳を回避して、続けざまに繰り出される足払いには軽くジャンプしてかわす。
ギコの身のこなしは実に軽やかである。


(*゚ー゚)「じゃあ火炎放射器なり何なり持ってくればよくないですか?」

( ,,゚Д゚)「だからさぁ、拳銃ぐらいなら構わないんだけど、
     そういう化学反応とかを起こす装置は俺が使うと無力化されちゃうの」

(*゚ー゚)「え…、さっき自分が書いた魔方陣が無力なだけっていいましたよね?」

( ,,゚Д゚)「それ以外にも一定以上のエネルギーを発生させる装置は
     問答無用でキャンセルしちゃうってわけ」

(*゚ー゚)「なにそれ、そんなミステリーな能力だったんすか?」

( ,,゚Д゚)「そうだよだから困ってんじゃないか。しかも奴の能力は体力まで向上させる。
     生半可なエネルギーは再生されて話にならないんだ」

(;゚ー゚)「…え? それってつまりHPの高いボスが
     物理攻撃を反射するとわかっているのに
     突撃した剣士・格闘家のパーティがあなたって事?」

(;,,゚Д゚)「…内容は偏っているが、大筋においてその通りだ」

Σ(;゚ー゚)「否定してくださいっっっ!!」


ギコは軽業のような足運びで攻撃を回避する。
モナーは岩をも砕く豪速ナックルを繰り出して攻撃する。
その繰り返し。
作業的なようで実に鬼気迫る応酬。


(*゚ー゚)「じゃあ能力のデメリットを点く、とかは?」

( ,,゚Д゚)「お前意外と腹黒いな。
     …それが、俺のこの状況はそのデメリットのせいで引き起こされてるんだよ」


一人呆然とその攻防を観察するしぃは首を傾げる。


( ,,゚Д゚)「奴は攻撃を防ぐたびに記憶をなくす。それが代償だ」


――――!!

それは、
それは、あんまりなのではないだろうか。
流石のしぃもそう思う。

だって、彼は自分の身を守っているだけだ。自分を損なわないように守ろうとしているだけだ。

なのに、そのために彼はいろんなものをなくす。
家も、かつて通った学校も、思い出の品も、景色も、家族さえも。
自分でさえ、たった一人の家族を亡くして、自分なんて要らないと思ったほどなのに。

彼は、それを悲しいとさえ、思えないのだ。


( ,,゚Д゚)「コイツは俺の昔馴染みだ。お前が事故にあう直前あたりまでずっと旅をしていた。
     …だが、運悪くお前の事故に遭遇して、
     トラックが突っ込む直前にお前をかばおうと
     前に出てトラックの衝撃を殺そうとした。
     何せ物理攻撃に対して絶対の耐性を持ち、なおかつマキシマム善人。
     記憶を失うからやめろなんて口を出す暇なんてなかった。
     ところがな、お前たち親子の仲がいいのが災いした。
     位置的にお前が後ろで、母親が先行しているという状況だ。     もちろん走って最初に庇えるのは少女だけ。
     で、少女の前に立ち塞がったのはよかったが…
     モナーに直撃して真っ二つに裂けたトラックが母親を巻き込み、
     手をつなぎっぱなしだった母親に引っ張られて、
     お前は引きずり込まれて、両手が不随」

(* ー )「…あ…」


相も変わらず回避に徹するギコの姿と、泣きそうな表情でラッシュを仕掛けるモナー。
二人の姿が、悲しく重なる。


( ,,゚Д゚)「…現場を目撃した俺にはわかるんだが、
     もしお前をアイツが庇わなかったら、
     トラックはお前に直撃して死んでいた。
     おふくろさんもだ。
     お前たち親子の手は、おふくろさんが死んだ後も繋がれたままだったんだからな。
      仲が良すぎるのも困りものだ。
     だがそのせいで、モナーは俺が仲間だったという記憶をなくした。
     …俺は、お前に責任を取らせようとしたんだよ。
     俺からモナーを奪ったお前に、な。
     そうしてお前を観察した。
     たびたび死のうとしたお前を病院に搬送するのはお前の命が惜しいからじゃなかった。
     俺の中のモナーを殺したお前にしなれたら困るからだ。
     責任が取れなくなるからな。
     …でもお前…いや、もしかしたら、
     あの時からつながれっぱなしの母親の手が、お前を引き止めたんだろうな」


中学校の吹奏楽部。自分はフルート奏者。
その練習が長引いて、母親が心配して迎えに来た。
大げさに心配しすぎと、私はちょっと怒った。

けれど本当は嬉しかった。そこまで心配してくれた事が。
だから、帰りに二人で手をつないで、家まで帰ろうとしていたのだ。
ちょっと怒ってしまった事を反省して、その分だけ手を強くつないだのだ。
母もそれに答えて握り返してくれた。

だから私は、この手が暖かいな、と思ったのだ。


( ,,゚Д゚)「…俺にコイツは殺せない。
     二重の意味で、だ。
     だから、ずっとお前に責任を取らせようとした。
     お前に殺させようとした。
     だが、たった今、あの時の話をして思ったわけだ。
     それなら、お前に頼んではいけない…
     俺自身が引導を渡さなければならないんだと。
     …俺、バカだからさ。
     人に頼る事だけ考えてたけど、気が変わった」

(#´∀`)「何の話モナ…!? モナが知らないモナの話モナか!?
      くそぉぉっ! 返せ!! モナの記憶!! 返すモナ!!」


ひゅっ。
手加減など皆無な拳が、ギコのみぞおちに突き刺さる。
盛大に血を吹き、吹き飛ぶギコ。

それでも、しぃは、


(;,,゚Д゚)「ぐぅぅぅっ…うあああああっ…!! 俺はぁ、俺はなぁモナー!」


ギコは再び立ち上がり、決意の瞳でかつての仲間を睨みつけ、叫ぶ。


(#,,゚Д゚)「…お前を、殺してやるっ!!」


しぃは、


(#´∀`)「上等モナ…その前に、モナの記憶を、殺してでも奪い取るっっっ!!」


距離を詰めるギコの懐から紙切れが落ちる。
茫然自失のしぃは、その紙を無意識に拾い上げる。

六亡星。

上にする方向が描かれている。その方向から六亡星の線の書き順にそって色分けされているらしい。
下に赤が一画目、青が二画目、などと細かく指示されている。
紙切れの下のほう。この魔方陣に必要な詠唱文言が描かれている。


しぃは、思う。
愚かな自分は、拾った命を投げ出そうとして、そのたびに『自分』が邪魔をしたと思い込んだ。
でも違う。
この命は、『母』が守ってくれたのだ。
たった一人の母が。

それがもし本当だとすれば。
それは、ギコが教えてくれた事。
例え動機が自分のためでもいい。
例えそれが私のためじゃなくともいい。

その言葉は、私に死にたくないと思わせるには充分すぎる理由。


やっと見つけた。私がいる意味を。

やっと見つけた。私にしか出来ない、私なら出来る事を。

誰も強要なんかしない。でも、私自身が決める事が出来る事!


私は――――――!!!


(#´∀`)「ああああああああああああっっっっっ!!!」


モナーのラッシュが続く。ギコは決意はしたもの手段が浮かばない。
だが、何度食らっても立ち上がり続けた。
くず折れれば負け。だが勝つ手段がない。
絶体絶命の状況。どうすればいいのか、わからなかった。

チチチチチチッ。

上空で、火花が散るような音がした。
何事か、とギコは視線を上に向ける。
モナーも異常を察して上を見る。

この広い公園を埋め尽くす、巨大な魔方陣が出来上がっていた。


(;,,゚Д゚)「何っ…!? まさか!?」



「それは絶望の証。世界が嘆き咽ぶ慟哭の声。」



六亡星は青白く輝く線で構成されていた。
全ては実態無き線。けれど線そのものが生きているかのように鳴動する。

それをつなぐ星の頂点は、光の球で構成されている。
そして、六亡星の中心である六角形…その直下。



「それは絶凍の牢獄。世界が謡う優しさ無き祝詞。」



ダンボールに鎮座する少女が、高らかに何かを謳いあげる。


(*゚ー゚)「思い出せ。我らが忌避する悪意の縛鎖。それは原初より続く絶対零度。」


(;´∀`)「な、なんだこれ…何が起こっているモナ!?」

( ,,゚Д゚)「お前は忘れたかもしれないが、
     俺の力は、かつて人が魔法と呼んだ術を再現したモノを知ること。
     故に、それは厳密には魔法ではなく、
     また魔術というそれとは似ても似つかない偽物だ。
     わかるな? よく似ているが、違う。
     意思の力で魔術が引き起こせる奇跡を『模倣』した力。
     それを…偽物を本物にする術を誰かに伝える事が出来る力。     それが俺の『イミテーションスペル』だ。
     しかし、お前、何故…?」


(*゚ー゚)「…モナーさん、でしたっけ?」

(;´∀`)「モナ?」

(*゚ー゚)「私は、私を生かしたあなたに礼を言わなければなりません。
     まず、ありがとう」

(;´∀`)「モナ? モナ!?」

(*゚ー゚)「それから、母さんを殺したあなたを、絶対許すことは出来ません。
     その事実を、忘れないで」

(;´∀`)「…かあ、さん? それは、誰のこともな?」

(*゚ー゚)「…かわいそうな人。私は、あなたに心から同情します」


しぃは、穏やかにそういって目を細める。


(*゚ー゚)「…だからこそ、私は、あなたを終わらせない方法を考えました」

(;,,゚Д゚)「終わらせない…!? 
      そんな強力なモノを使いながら、こいつを生かす方法があるとでも!? 
      それに、生かしたところで、こいつの記憶は…!」

(*゚ー゚)「戻らない可能性がないわけじゃない。
     私は、それに賭ける。
     その可能性を探してあげる事が、私に出来る事。
     あなたの自由を奪うのは、あなたに私が科す刑罰。
     あなたの心を再生するのは、私があなたにあげられる唯一のお礼」


まさか、とギコは息を呑み、天に浮かぶ魔法陣を見上げる。


(;,,゚Д゚)「詠唱と六亡星、書き順から判断して…!? これは…!!」


しぃが、呟くように宣告する。



(*゚ー゚)「だからそのときまで…絶凍の煉獄で眠りなさい」


陣が一際輝き、一瞬後に視界をゆっくりと覆っていく。
世界の温度が激減し、突如として訪れたそれは世界を白銀色に染め上げていく。




(*゚ー゚)「アブソリュート、」


ゼロ。




眩さに目を伏せたしぃが再び顔をあげたとき、世界の様子は激減していた。
気温が異常に低下し、遊具から雑草、芝生から砂利に至るまで全てが凍り付いていた。


( ,,゚Д゚)「…ああ、なるほど。これなら、確かに殺さずに、なおかつ動きをかなり長い時間止めていられるな」


ギコが感心したように呟き、ソレの方向を見る。
そこにあったのは、氷付けにされたモナーの姿。

驚いたような表情で、眩い光から目を守るためか腕を顔の前に持ってきた格好であますところなくカチンカチン。
生半可な炎では融けそうにない。


(*゚ー゚)「都合よくあの呪文の紙が落ちてきたから、
     とりあえず氷付けにして棚上げしてみました」

( ,,゚Д゚)「…一度世界をも氷付けにした冷気だからな。
     しかも世界はちゃんと再生したし、しばらくこのままでも何とかなるだろ。
     お前に殺す気がなくて生かしておくつもりだったなら死なないはずだが。
     しっかし、期待通りだな。
     お前、ビットのレーザーで陣を構成できるから構築速度は無茶苦茶速いし」


(*゚ー゚)「…やった…成功し、て、よかった…です」


浮力を失ったダンボールが地面に降下する。
しぃは意識を失ったようで、ダンボールに身を預けてくたっとしている。


( ,,゚Д゚)「そりゃ疲れるわな。アレだけやれば当然だ。ま、しばらく放って置きますか」


ふぅ、とため息をつくギコもまた全身ボロボロだった。
当然だ。アレだけ熾烈なモナーの攻撃をもろにうけ続けたのだ。立っているほうが不思議だったのだ。


( ,,゚Д゚)「困ったな…動けねえや。ははは…見つかったら大事なのにな」


ギコは大の字になって仰向けに寝転がる。
この一面の銀世界、眠ってしまうには少々寒すぎる。

ふと、自分の頬に冷たい感触。


( ,,゚Д゚)「…おやおや、今は四月なのになぁ…雪とはまた珍しい」


面妖な、とギコは笑う。

曇り空からは深々と白いモノが降り続いている。頬に触れればすぐに融けて水になるソレは、今はただ気持ちいい。
それに気付いて、ギコは氷付けのモナーに視線をやって笑う。


( ,,゚Д゚)「…って、お前は俺以上に寒いんだよな」


冗談めかしてそういうや否や、ギコは表情を引き締めて重苦しく呟く。


( ,,゚Д゚)「ちゃんとお前の記憶を何とかする方法を探すから、
     しばらくそのまま待ってろ。動くんじゃねぇぞ」


そして全てを投げ出して目を閉じる。
ただただ寒い春空の下で、自分の盟友を殺さずに済んだ事実に安堵しながら。









…それから、一週間後。



( ,,゚Д゚)「…つーかさぁ、お前結構無防備なんだな」

(*゚ー゚)「何かあればすぐに背後から撃てますからね。
     あなたこそ、以外に良識があった様で安心してます」

(;,,゚Д゚)「し、知らんね。何のことだかさっぱりだ」

(*゚ー゚)「あらあら、気にしてるの? 案外純なんですにゃあ」

Σ(;,,゚Д゚)「じゅ、純ってなんだ。っていうかその語尾はなんだよ?」

(*゚ー゚)「意味なんてありません。もしかしてビビッと来たのかにゃあ?」

Σ(;,,゚Д゚)「そそそそんなわけないだろう」


意外とアレな会話を繰り出しながら、しぃはどういうわけかあの学校に続く坂道を登る。
服装はセーラー。坂を上るほかの女子学生が同じ服を着ている点から見て学校の制服であろうと思われる。

ギコもありがちなブレザー装備でいかにも男子学生。
制服の真新しさも手伝って、どこからどうみても今年入学したばかりの学生二人にしか見えなかった。
ダンボール少女はやっぱり制服を着ていても不思議ではあったが。


( ,,゚Д゚)「しかしまぁ、何で俺が今更学校なんかに通わなきゃいけなくなったわけ?」

(*゚ー゚)「つー伯母さんに私が頼んだんです。
     せっかくやる気になったんだから、諦めてた学校生活、やってみたいかなって」

( ,,゚Д゚)「だからさ、それになんで俺まで付き合うことになってるわけ?」

(*゚ー゚)「一蓮托生、との事です。
     実家にあんなもの(=モナーの氷像)運び込んだ上に
     自分もアイツを何とかする方法を見つけるまで置いてくれって。
     そこまでやっといて無償はあんまりだと私も思うんで
     私がいろいろ危ない目にあいそうになったときの
     ボディーガードに雇ったんでしょう」


かなりわかりやすい会話である。


( ,,゚Д゚)「んー、そりゃそうだけどさぁ…」

(*゚ー゚)「一応私は全身不随で、学校にまともに通うなら
     超能力とかは可能な限りばれないようにしないといけないわけです。
     ダンボールは最新技術でごまかせるし、
     ビットも最新技術のお手伝いロボットでわかるけど、
     間違って何かしたらフォローしてくれる人がいないと。
     万が一のときはあなたから魔法陣借りていろいろ証拠隠滅?」

(;,,゚Д゚)「…それは、まずくね?」

(*゚ー゚)「でも、よかったです」

( ,,゚Д゚)「ん? 何がだ?」


しぃはダンボールに入れた学生カバンを見つめながら語る。
その表情は一週間前とは比べ物にならないほど、そして地の美しさがこれでもかとにじみ出る完璧な微笑みだった。

思わずギコが息を呑むほど、輝いて見えるような美しさだった。


(*゚ー゚)「事故で全身ダメになってから、
     私は普通に暮らす事を諦めていました。
     どうせこんな事しても無駄だから、って。
     お母さんも帰ってこないし、どうせなら早く死のうって。
     そりゃ超能力っていう反則技はあるけど、
     それって人間の出来ることじゃないでしょ?
     普通に混じる事なんて出来ないと思い込んだわけです」


ほんのり寂しそうな表情を浮かべて、しぃは訥々と語る。


(*゚ー゚)「でも、私はギコさんのおかげで前向きになれたんです。
     何故私だけ生き残ったのか、わかったような気がするから。
     モナーさんとお母さんに助けられた私の命の意味、わかった気がするから。
     だから、ギコさん」


ダンボールごとギコのほうに振り返るしぃは、何故か言葉をなくしているギコに満面の笑みで告げるのだ。




(*゚ー゚)「ありがとうございました」





そんなしぃに、ギコは微妙に呼吸困難を起こしたような声でぼそりと呟いた。


( ,, Д )「…俺は、お前のその満面の笑みのほうが
      超能力よりも反則だと思うんだが」


はい? としぃは首を傾げる。

桜並木は全開。舞い散る桜吹雪は文字通り春色で、再び歩き出すのには最適な日和である。










今はまだ誰も知らないが、後にこの町でとある事件が発生する。

その事件は公式には隠匿されたが、当事者である町の住人たちの噂話として広く知られる事となる。


いわく、その事件は超能力者が跋扈する大捕り物だったとか。

いわく、魔法とかいう非常識が飛び交う嘘くさい物語だったとか。

いわく、その真の当事者は二人の男女だったとか。


いろんな噂話が行き交うけれど、無数に散らばる事実の破片は、確固たる真実の影さえ掴ませない。

けれど、そんなことは今のしぃにとってどうでもいい。
桜吹雪が優しく舞うこの春。

今日、たったいま、自分は二度目の生を受けたのだ。
だから今日から歩いていこうと思った。

この世界は、確かに彼女にとって優しくはなかった。
けれど、掌に舞い降りる桜の花びらが思わせるのだ。
世界は、悲しいだけの場所でもないと。

春は始まりの季節。
誰かと歩いてゆけるのなら、雪原だって踏破できるのだと思わせる、素敵な季節。






( ,,゚Д゚)と(*゚ー゚)の春に降る雪 Fin






この小説は2007年5月13日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:gGP4yJwH0 氏
作者が共通のお題で各々小説を書くという形式のものです

お題は超能力


+お題
意思の力
イミテーション
フルート
デパートの屋上
春に降る雪
親子連れで遊具で遊ぶ子供



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2009/12/30 20:27 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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