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('A`) ドクオは王子様でクーはお姫様だったそうです 川 ゚ -゚)


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




夕食を片づけたコタツの上に、コトリと二つのカップが置かれた。
こぽこぽと音を立てて、安っぽいマグカップに緑茶が注がれる。
スーパーで買ってきたセール品だそうだけれども、ふわりと漂う香りは上々だ。

('A`)「あ゛ー……やっぱり、冬はあったけーお茶だよなぁ」

俺はうんうんと頷きながら、差し出されたマグカップを受け取って口を付けた。
渋みのある緑茶の味が、先ほど食べた夕食の後味を気持ちよく流し去っていく。
おお、いいね。今までは食後の一服を点けてたもんだが、こうやって食後を楽しむのも悪くない。
現在進行形で起こり続けている異常事態から逃避しつつ、俺はまったりとお茶を楽しんだ。

('A`)「毎日こうなら、禁煙もはかどるかもな」

腹の底から上ってくる気持ちの良い暖かさ。
ほんわかとしたその気持ちよさに当てられて、俺はポロリと考えを口にする。
……あ゛、しまった。

川 ゚ -゚)「それなら問題ないぞ、王子」

前言を撤回する暇すら与えずに。
俺の横に座っていた女……クーが、こちらに顔を向けて、一言。

川 ゚ -゚)「私はこれから、ずっと王子の傍に居る。この命が尽きるまでな。
     それが、古代バビロニアの時代から続く我らの運命だ」






20070522042102.jpg



川 ゚ -゚)「……どうした、王子。頭痛か?」

クールな顔に若干の心配を浮かべてクーが俺に聞いてくるが、断じてそうじゃねーから安心しろ。
つーか、俺が頭を抱えてる意味わかってんのか? いや、わかってないよな。
わかって聞いてるとしたら、俺はお前をはったおす。

俺の名前はドクオ。22歳童貞。
金なし、職なし、女無し。現在は親の脛を囓り倒して、アパートの六畳一間で生活中。
一月前までは一応専門学校に通ってたんだが、風邪で一週間ほど休んでからは行ってない。
休んでいた分の講義に追いつく自信も無いし、元々あまり向いてない分野だったしな。
人間、怠け癖を覚えてしまうと、中々元には戻れないもんだ。

いやいや、そうじゃない。
いきなり俺のプロフィールを紹介しても、なんらこの状況が変わるわけでなし。
今考えることは、過去のことではなく、今何をすべきかだ。

川 ゚ -゚)「頭痛か……まさか、また風邪でもひいたか?」

年寄りの尿漏れのごとく訥々(とつとつ)と流れ続ける俺の思考に、クーの音声が割り込みをかける。
くそう、この前世マニアのキ○ガイめ。『ムー』に毒されたお前の声なんぞ聞きたくもないし。出来れば一生無視したい。
無視したい……のに。なのに。

(;'A`)「うぉ……」

ハスキーなクーの美声につられて反応してしまう俺(童貞)。
はっきり言ってテレビに出てる芸能人よりも綺麗な顔と見事なプロポーション、
流れる髪が間近にある。
コタツに身を乗り出したクーは、俺の顔を覗き込むように首を傾げた。


川 ゚ -゚)「どれ……見せてみろ、王子」

そう言って、俺のデコに躊躇無く自分のデコを重ねるクー。
俺の汗ばんだデコに、クーのさらさらとした肌が触れる。

(;'A`)「ちょ、おま……」

やめろって、という事は出来ずに、俺の喉が異常に上昇した血圧で圧迫される。
身を乗り出したクーの胸元。
襟の大きく開いたセーターの合間から、スレンダーな体型からは想像も付かない豊かな谷間が覗いていた。

(;'A`)「あ……ぐ……」

ぐらり、と俺の体が傾げる。
まてまてまてまて。それは反則だ。NGだ。イエローカードだ。
話をしてればキチな人で、お近づきになぞなりたくない思考回路をしてやがるくせに。
なのに、顔と体はアイドル並み。おまけに立派な胸まで持ってやがる。

反則だろう、それは。
こっちはお前みたいな電波はお断りだっつうのに、俺の分身はコタツ布団の下で自然な反応を返してくる。
ちょっと待てよ、マイ・サン。お前はそれでいいのか? 穴があって綺麗でオッパイが大きければいいのかよ?
  _
( ゚∀゚)『モチロン!!』

黙れ俺の息子。
お前がどんなにいきり立っていようとも、俺は認めない。ぜってぇ認めないぞ。

(;'A`)「――っだぁから!! そーゆーのはやめろって!!」

なんとか理性を総動員して、俺はクーの肩を掴んで無理矢理座らせる。
掴んだ肩が思ったよりも華奢で、それにまたドギマギするが、とりあえず今は無視だ無視。

(;'A`)「あのな、俺も一応男なんだから、そーゆーのはマジで勘弁してくれ」

川 ゚ -゚)「む、何故だ?」

きょとん、とした顔で聞き返してくるクー。
ワタシ ナニイワレテルノカ ワッカリマセーン。
って、そんな顔してもダメなもんは駄目だっての。

('A`)「だから、ほら。アレだ。何かのアヤマチがあったりしたら困るだろうが」

川 ゚ -゚)「ふむ……」

しばし考える素振りを見せて、クーがやっと何かに思い至ったかのように、

川 ゚ -゚)「そうか、セックスをしたくなるということか」

('A`)「ぶっ!!」

ズバリそのものな事をおっしゃいやがった。

川 ゚ -゚)「なんだ、違ったか?」

いや、違わない。違わねーんだけどさ。
なんつーか、もうちょっと恥じらいってもんは無いのかお前は。

('A`)「あー……まあ、ぶっちゃけそういうこった」

川 ゚ -゚)「それなら問題ない。私は王子と結ばれるためにここに居るのだからな」

苦々しげに俺が同意すると、クーはそれをズッパリと斬り捨てた。

川 ゚ -゚)「最初に言っただろう。私は古代で果たすことの出来なかった、
     王子との生活を望んでいると」

('A`)「いや、だからな……」

反論しようとする俺の気力が、クーの顔を見るにつれてどんどんと萎えていく。
クーの顔には、ありありと『私は正しい』と極太マジックで書かれているのがわかった。
つーか、この手の言い合いは最初に散々し尽くしたし……無駄だってことも十分わかってる。
一つ大きくため息をつく。

('A`)「はぁ……わかった。じゃあ、とりあえずそれでいい。
    でも、俺が受け入れるかどうかは別だぞ?」

川 ゚ -゚)「それで構わない。王子が古代での前世の記憶を取り戻せば、全て解決することだ」

うんうん、と腕を組んで頷くクー。
その言葉を聞いて、俺の中の劣情が理性に易々と抑え込まれていく。
ぶっちゃけ引いた。
そうだよ、こいつはこーゆー奴なんだ。

今日の夕方、いきなり俺の部屋に来た専門学校の同級生。
俺が制止するのも聞かずに部屋に上がり込んで、えらくでっかい荷物を床にドスンと置いて。
んで、開口一番にこいつは『前世の約束を果たしに来たぞ』などとのたまいやがったのだ。



クーの言うことは、最初っから支離滅裂だった。

こいつの頭の中では、俺の前世は古代バビロニアの王子様で、クーは隣国のお姫様だったらしい。
幼い頃からお互いを好き合っていた二人。
しかし、俺達は互いの親が起こした戦争によって、遠く立場を違えてしまう。
燃え上がる国土、荒れる治安、そして失われる命。

川 ゚ -゚)『……しかし、私たちは最後に誓い合ったのだ。
     戦争の無くなった来世では、必ず幸せになろう、と……』

拳を握りしめ、頭の中の『前世の記憶』とやらを語る電波女。
思いこみがどうとかの次元を光の速度でぶっちぎりまくった彼女は……しかし、困ったことにそれでも美しかった。

('A`)「最初に強く反論すればよかったのかもしんねーけど……なぁ」

回想を終えた俺は、はぁ、とため息をついて、敷きっぱなしの万年床に転がる。
もう俺の頭はカオスでオーバーフローだ。
これ以上クーのことを考えてたら、俺は戻れない領域まで行ってしまう。

('A`)「こーゆー時は、とっとと寝るに限る……ぜっと」

天井からぶら下がった電気を消しつつ。
俺は、当然のように布団に潜り込もうとしたクーを布団の外に押し出した。


深夜。
草木も眠る丑三つ時。

('A`)「……眠れねぇ」

当然と言えば当然ながら、俺の目はギンギンに冴えていた。
ただでさえ誰かが一緒の部屋に居るというこの状況。
しかも、それがハイレベルな美人ともなれば、こうなるのは至極当然と言える。

('A`)「くそ……何で俺だけこんなに緊張してんだよ」

ごろりと体を反転させると、目にはいるのはコタツでぐっすりと眠っているクーの姿。
月の光に照らされた美しい顔には、緊張のきの字も見ることは出来ない。

('A`)「俺はこんなに意識してるってのに、クールに堂々としやがって……」

ぼやいても仕方がないとは知りつつも、俺はぼやかずにはいられない。
大体、なんだってこいつは俺の事を前世の王子様だなんて思ってやがるんだ。
顔はまずいし金もない、情けない生活してるし童貞だし。

('A`)「お前に言い寄る男にゃ、もちっとマシな奴がいただろうによ……」

これだけ綺麗なんだから、俺なんかに構わなくても、男なんざ選り取り見取りな筈だ。
そうさ、こんな俺なんかでなくてもな。


川 - )「……ドクオ……」


その時、クーが小さな声で俺の名を呼んだ。
やべ、起こしちまったか?
そう思ってクーの顔を見る。

川 - )「……むにゃ……危ない、そっちには……敵が……」

……なんだ。寝言かよ。
ご丁寧に電波な寝言を繰り返すクーを見て、俺は安堵のため息をつく。
つーか、寝てる時ですらこいつは電波を受信してやがるんですかい。
あれか。こいつの頭のアンテナは、常時三本状態なのか。

('A`)「ったく。寝てても起きてても、お前は俺を困らせることしか考えてないのかっつーの」

そう言って俺は苦笑する。

川 - )「んん……ドクオ……」

('A`)「へいへい、なんですか前世のお姫様?」

少し調子に乗って、クーの寝言に付き合う俺。
クーは口元をむにむにと動かして、小さな小さな声で呟いた。

川 - )「ドクオ……好きだ……」

('A`)「っ!?」


川 - )「すー……すー……」

それきり、クーは深い眠りに入ったのか何も言わない。
規則正しい寝息を立てて、彼女は胸を上下させていた。

('A`)「……」

俺は月明かりに照らされたクーの顔を眺めた。
後ろで無造作に括られた長髪が、クーの顔を殊更に白く浮かび上がらせている。
長い睫毛が月の光を反射して、化粧気のない顔は青白く透き通るような色をしていた。
わかってたことだ。
電波な設定に熱弁を振うことを覗けば、クーは綺麗で。
そして、俺は――

('A`)「……」

俺は考える。
クーが何故俺の所に来たか、ではない。
そんなことは、こいつがずっと電波な調子で語ってくれている。
それを信じるにしろ信じないにしろ、俺に出来ることはそう多くない。

('A`)「……ま、いいか。なるようになるさ」

最後に一つ、大きくため息をついて。
俺は一つの言葉を心の中で組み立てると、体の力を抜いて眠りについた。


朝。
我が物顔でキッチンに立ち、朝食の用意をするクー。
エプロンをつけたその後ろ姿を見るとも無しに見ながら、俺はのそのそとコタツに潜り込んだ。
大きなあくびを遠慮無くかます。

川 ゚ -゚)「む……寝不足か、王子?」

めざとくそれを見つけて、クーが聞いてくる。
手にはトーストと目玉焼き、それにベーコンと簡単なサラダを乗せた盆を持っていた。

('A`)「あー……まあな」

ったく。誰のせいだと思ってるんだか。
淡々とした動作でコタツの上に朝食を並べるクーをジト目で見ながら、俺は鼻をひくつかせる。
コンビニとジャンクフードとカップ麺にばかりお世話になってばかりだった一人暮らし。
今まででは考えられなかった『朝食』の匂いに触発されて、俺の胃は猛烈な空腹を訴えていた。

('A`)「しかし、見事なもんだな」

川 ゚ -゚)「なにがだ?」

('A`)「これだよ、これ」

ちょいちょい、と朝食を指す。
クーは、大したことはないと言いながら、昨日と同じように俺の横に腰を下ろした。

('A`)「ところで、飯の前に言っておくことがあんだけどよ」

クーに牛乳を注いで貰いながら、俺は口を開いた。

川 ゚ -゚)「なんだ、王子?」

('A`)「あー……まあ、なんつーか、な」

こりこりと伸びすぎた頭をかく。

('A`)「俺、正直言って前世とかそーゆーのはわかんねーし、ぶっちゃけ信じちゃいねーんだよ」

川 ゚ -゚)「……そうか」

そう呟いたクーの顔が心なし寂しそうに見えたのは、俺の錯覚だろうか。

('A`)「それに、古代の絆とかで昨日の今日で結ばれるとか、それこそ考えられねーし」

俺は昨日考えていた事を伝える。
それはまごうことなき俺の本音だ。

('A`)「だから、前世とか考えてお前とどうこうってのは、無理だ」

川 ゚ -゚)「……」

クーは何も言わない。
まっすぐにこちらを見て、無表情に視線を俺に固定している。


('A`)「……でも、な」

俺は言葉を続ける。
一瞬だけ、迷う。迷ってみる。
俺はとんでもないことをしようとしてるんじゃないのか?
これを言ってしまえば、もう戻れないんだぞ?
頭の片隅から浮かび上がる制止の声。
だけれども、

('A`)「前世とか、そーゆーのをとりあえず抜きにして……それでなら、なんつーかまぁ……
    いいんじゃねーかな」

だけれども、俺は言った。
古代の話がどうとかは知らない。知る必要があるとも思わない。
でも、俺は今目の前にいるクーが、少なくとも……少なくとも、キライじゃない。

('A`)「前世とかそーゆーの抜きにして、ただの男女っつーか……そんな感じで。
    それでもいいなら、俺は……」

そこまで言って、俺はそれ以上言葉を続けることは出来なかった。
なぜなら、隣に座るクーがいきなり抱きついてきたからだ。


川 ゚ -゚)「いい。それでもいい。私は全然構わないぞ、王子」

(;'A`)「あ、ああ、そうか……そりゃよかった」

こくこくと馬鹿みたいに頷くクーを見て、俺は無理矢理押しつけられる柔らかな感触から意識をそらす。
ぎゅうぎゅうと力強く抱きしめてくるクー。
香水をつけているはずもないのに、その体からは柔らかな香りが漂ってくる。

(;'A`)「ん……あー、で、でも……それはちっと勘弁な」

変な方向に進みそうな雰囲気を逃れるため、俺はしどろもどろに口を開く。

川 ゚ -゚)「それ、とは?」

(;'A`)「王子、って呼び名だよ。前世が云々ってのは抜きにするっつったし、
    そう呼ばれるのは痒くてかなわねぇ」

べりべりとクーから体を離して、

('A`)「だから、俺の事はドクオって呼んでくれ。頼むからよ」

苦笑して言った。

川 ゚ー゚)「……わかった。では、そうしよう。ドクオ」

('A`)「頼むぜ、クー」

笑い合いながら、視線を合わせる。
にこりと微笑んで首を傾げる彼女は、朝の光に照らされて。
その姿は……困ったことに、とても綺麗だった。



   ~おわり~






この小説は2006月11月7日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:u6k2hIqr0 氏



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[ 2009/12/30 19:52 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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