スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

( ФωФ)ロマネスクが影の支配者を目指すようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




 影の支配者。――それが、私たちの国を支配している。


 道を歩く人々の表情さえ、彼が来てから一変してしまった。


 国民たちは知らない。いったい誰が、この国の全てを手にしているのかを。


 彼は今、私の眼前のテラスで、ワイングラスを弄んでいる。


 ふと生暖かい風が吹き、肌を撫でていく。私はぶるりと身を震わせた。


 血のように赤いワインに映るのは、暗い紫色の黄昏だ。


 彼は道を歩く、無知なる国民たちを眺め――にやりと、口の端を歪めた。





1_20091230194906.jpg





 宝くじで、30億が当たった。



( ФωФ) 「フハハハ! これはまさに天佑!!」

 普通の者ならば、この金を使ってどうするだろうか。
 仕事をやめて遊び暮らす、堅実に貯金、事業などに投資、慈善団体に寄付――
 まあ、大方そんなところだろう。

( ФωФ) 「だが! だが! 我輩は違う!!」

 生粋の悪人たる自分が、そんな小市民的なことで満足を得られるはずが無い。
 だから――

( ФωФ) 「そう! 目指すのは、国一つを丸ごと手にする影の支配者!!」

 だが、現在自分が住んでいるニューソク国は、先進国。
 それを支配するのに30億では、流石に資金が足りないだろう。
 だが、しかし。
 ニューソク国の貨幣にして30億ゴールド。
 これは発展途上国で用いれば、物価の差から十分な資金となる。


( ФωФ) 「ということでこのダーツで支配する国を決めるのである!!」


 杉浦ロマネスクはそう叫ぶと、壁に貼った世界地図へとダーツを投げた。
 ダーツは放物線を描いて宙を走り、地図へと突き刺さる。


( ФωФ) 「VIP国! まるで知らない名前だがVIP国だな!!」


 意味もなくハイテンションに、決定だ、と叫び狂うロマネスクの部屋の壁が、
向こう側から勢い良く叩かれる。


( ФωФ) 「フヒヒwwwwwサーセンwwwwww」



 ――ボロアパートの、四畳半の午後だった。







 翌朝から飛行機を乗り継ぐこと、ほぼ半日。

( ФωФ) 「ふむ、これはまた荒れた国であるな」

 ロマネスクはVIP国の街路を歩いていた。
 通りを歩く人々は、皆一様に俯きがちで暗鬱な表情である。
 道の端にはストリートチルドレン、物乞い、街頭娼婦に酔っ払い――

( ФωФ) (目障りだ。……これは、消さねばなるまい)

 そう思った矢先の曲がり角で、ロマネスクの大柄な身体に、小柄な人影が激突した。

( ФωФ) 「ぬっ!」
川;゚ -゚) 「ぁ、っ……」

 10歳ほどの、みすぼらしい格好をした少女だった。
 怯えた目をして、ロマネスクにすがり付いてくる。
 続いて現れたのは、いかにも柄の悪そうな男が数人。
  _, 、_
( ゚∀゚) 「兄ちゃん、観光客か? ……そいつ、渡してもらえねーかな?」

 その中の一人が、声をかけてくる。

( ФωФ) 「どういう事情であるか。娘、説明せよ」

川 ; -;) 「あ、あいつらは人買いだ……私は……っ、私は――」

 ロマネスクの横柄な口調に驚いたのも束の間。
 しゃくりあげながらも、少女はどうにか事態を説明しようとする。

  _, 、_
( ゚∀゚) 「親の借金を子が払う――よくある話だよな?」

( ФωФ) 「確かに赤の他人が払うのは、珍しい話であるな」

 ロマネスクはぽんと、VIP国の流通貨幣を一束取り出し、男の足元に投げ捨てた。
 少女一人を買っても大量のお釣りが出る、そんな額だ。

( ФωФ) 「だが私が払う。――ということで、その娘は我輩のものである」

川 ゚ -゚) 「……!?」
  _,
( ゚∀゚) 「あー、気に入ったのかい? こんな洗濯板みたいなのが好みとは、
      理解できねえなあ……」

 どうやら巨乳派らしい男が、左腕を一振りして札束を拾い上げる。
 そして金を得られたためか、それ以上は関わろうとする様子も見せずに踵を返した。
 毎度あり、という言葉だけを残して。



 ロマネスクは少女を連れて暫く街路を見て回ったあとに、ホテルの部屋へと戻った。

川 ゚ -゚) 「あなたは……私を、抱くつもりなのか?」

 恐る恐る、といった調子で少女が問いかける。
 ロマネスクはソファに座ると、厳しい口調で、

( ФωФ) 「シャワーを浴びて来るように。それから、ご主人様と呼ぶのである」

 それだけを言うと、何やら辞書を片手に電話帳をめくり始めた。

川 ; -゚) (私は……)

 元より借金の肩に売られた身だ。
 「そういうこと」の相手をさせられるのは覚悟している。
 しかしそれでも、何らの慈悲も感じられない口調に、クーの頬を一筋の涙が伝う。

川 ; -゚) (怖い……)


 サイズの大きすぎるバスローブに身を包み、クーは浴室から出てきた。
 以前のボロでは、洗った身体が再び汚れるからである。

川;゚ -゚) 「ご、ご主人様……準備が整いました」

 恐怖と屈辱に身を焼かれながらも、それでも必死に冷静な口調を保ってクーが言う。
 たとえ身を汚されても、せめて心だけは屈しまいと、そう思いながら。

( ФωФ) 「ふむ、ではこっちに来るのである」

 やはり何らの寛容さも感じられない口調で、ロマネスクが言う。
 クーはバスローブの裾を引きずりながら、恐怖を必死に押し殺してロマネスクの元へと歩み寄った。




( ФωФ) 「では、この電話帳からありったけのNPOとNGOの番号を全て書き写すように」





川;゚ -゚) 「……は?」






 あまりに予想外の言葉に、クーは絶句する。

川;゚ -゚) 「私を抱くのでは……」

( ФωФ) 「抱く? 何のことだ?
         我輩はこの国を支配するための手駒として貴様を買ったに過ぎん」

 支配? 手駒?
 奇怪な言葉に更にあっけに取られ、質問を重ねる。
 それによってどうやら分かったことは、次のようなことだった。

・彼、杉浦ロマネスクは「影の支配者」なるものを目指していること。
・クーは「支配者の傍らに侍る側近の部下」役として買われたらしいこと。
・杉浦ロマネスクは、物凄い資産を持っているということ。

 ――ちなみに、それからのロマネスクの手際は見事の一言に尽きた。
 クーが抜き出した番号に片っ端から匿名で連絡し、資金供与を条件に孤児院や養老院を設立。
 更に不潔な街路を人を雇って清掃させ、海外からは医師を招いて予防接種を徹底させた。

 曰く、「我輩の支配する国の景観を乱す、目障りな者たちは消す」のだそうだ。
 また「支配者が感染症で死ぬわけにはいかない」とも。


 ――そうして、影の支配者ロマネスクによって最下層民が街路から「消され」た。




 そんなこんなで一ヶ月が過ぎた頃、ホテルの部屋でロマネスクがまた叫んだ。


( ФωФ) 「退屈なのである!!」


 繰り返すがVIP国は貧しい。
 違法賭博はあってもゲームセンターは無い。
 テレビやラジオの放送局も少ない。
 道路も未整備部分が多く、治安も悪い。
 気軽にドライブというわけにもいかないだろう。


( ФωФ) 「影の支配者は退屈を嫌う!!」


 流石にこのテンションにも慣れてきたクーは、冷静に電話帳をめくる。
 海外の娯楽産業や、国内の放送局。
 各種関連企業に、政府の道路局。
 あるいは警察機関や政府の閣僚。

 その全てにロマネスクは電話をかけ、まさに「札束で頬を引っ叩くような」強引な匿名交渉で、
次々に国内に各種娯楽を確保していった。

 ゲームセンターが。
 そしてそのためのゲーム類の生産工場が。
 放送局が。
 その放送のための機材の生産工場が。
 綺麗な道路が。
 その整備のための建設会社が。
 治安の良い町並みが。
 そしてそれを維持するためのモラルの高い警察が。
 できた。できてしまった。

 それこそ各種の問題や妨害があったが、金の力でロマネスクが強引に解決したのだ。
 彼は金の力だけで、一国を完全に作り変えようとしていた。


 ――そして、その影響はまさに甚大だった。
 国内の労働者需要が数倍に跳ね上がり、観光収入は右肩上がり。
 鰻上りの景気を示す経済白書を眺めながら、クーは小さく息を吐いた。

 クーの身体は、少し丸みを帯びてきている。
 いつの間にやら、二年の歳月が経っていた。

 各方面への惜しみない資産の投下により、彼の「善意の匿名寄付」は、国の各所でその名を知られ始めていた。
 政治、経済界とも匿名のままに繋がりが深まっている。
 彼の思い通りに、事は進んでいるように見えた。



川;゚ -゚) 「……ふう」

 工業関係への寄付の、使途追跡調査の資料をまとめ終えて、クーは一息をついた。
 最近ではクーはロマネスクの代理人として、沢山の人を調査に雇っている。
 それらをまとめてロマネスクに報告するのは、なかなか骨の折れる仕事だった。

 と、部屋のドアが開いた。

川 ゚ -゚) 「あ、ご主人様。ちょうど今――」

( ФωФ) 「そろそろ政財界を影から支配するのである!!」

 また始まった、とクーはため息。
 もう、いつものことだった。

 ――政財界を影から支配するといったロマネスクは、まず奨学金を作った。
 政財界へ進出する、優秀な学生に貸しを作るのだそうだ。
 更にベンチャー企業への融資プログラムに、政府の福利厚生政策への援助。

 あの30億を元手にし、寄付だけでなく様々な投資や運用もこなしていたため、
もはやロマネスクの資産はこのVIP国と分かちがたく結びついている。


 ――VIP国は、いつの間にか先進国への分類されていた。





 それから、八年後。
 ロマネスクは暮れかけの夜空を仰ぎながら、ワイングラスを弄んでいた。
 ふと眼下に目を向ければ、何も知らない民衆たちがへらへらと笑いながら、
楽しそうに語り合いつつ家路へと向かっている。
 ――人々の表情は、十年前とはずいぶん変わっていた。
 ロマネスクは、にやりと口の端を歪めた。

( ФωФ) 「ククク、暢気なことだ……この国の真の支配者をも知らずに」

 彼がその気になれば、VIP国の国政も経済も、数日にして破綻させられる。
 匿名のままにして、ロマネスクは既にその立場を得ていた。
 奇異な現行とは裏腹に、彼は一種の天才だったのだろう。


 ――ロマネスクは今、まさに影の支配者だった。


 だが、彼はその支配力を用いて何かをしようとはしなかった。
 支配こそが彼の目的だった。
 今のこの「支配するに足る国」を支配することこそが、彼にとっての達成だった。



( ФωФ) 「クー、貴様も一杯どうだ?」


川 ゚ -゚) 「光栄です、ご主人様」


 何やら書き物をしていたクーが、部屋からテラスに出てくる。
 カラスの濡れ羽色の長い髪。
 吸い込まれるような切れ長の瞳。
 すっと整った鼻梁。
 たわわに実った果実のような唇。
 均整の取れた肢体。
 ――彼女は、美しく成長していた。


 彼女は彼に寄り添うと、そっと、燈りはじめた街の灯りに視線を向けた――





2_20091230194906.jpg


( ФωФ)ロマネスクが影の支配者を目指すようです 完







この小説は2007年5月31日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:1B2bwg4/0 氏



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2009/12/30 19:50 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿


更新は止まっていますがコメントはご自由にどうぞ
修正・削除依頼等、何かしらの連絡はコメントもしくはメルフォよりお願いします
拍手だと高確率で長期間気づきません

スパム対策のため"http"と"@"を禁止ワードに設定しています
URLを書き込む際は"h"を抜いて投稿してください













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://gyokutonoyume.blog116.fc2.com/tb.php/3008-78a9195f


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。