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( ^ω^)ブーン達はただそのまま、しかしそれでいいようです ビリヤード編


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




夏、七月。

燦々と照りつける太陽と、騒音の如く鳴き続ける数多の蝉。
蒸し暑さは気だるさを招き、しかしその中で活力を見出すような、そんな季節。
夏と聞いて、夏樹リオを思い出す人は声優オタ、夏目ナナを思い出す人はAVの見過ぎであろう。

(;^ω^)「ブーーーーーーン!!!!」

蝉の鳴き声に紛れて、たったかたったかアスファルトの地面を蹴る足音が聞こえてくる。
その口が発していたのは、走ることの形容であり、彼自身の口癖。
シャツの裾をひらひらと流しながら、両腕を真横に伸ばす独特の走り方だった。

内藤ホライゾン、十九歳。
通学先の美府大学へと急ぐ、早生まれの大学二年生だった。

(;^ω^)(あああやばいお……これで単位落としたら洒落にならんお……)

深夜までVIP、ネトゲ、そして寝坊までするのが悪いのである。
一年生の時は慎重だったのが、二年生になって一気に崩壊する典型的な例であった。

街行く人々の奇異な視線を受けながら、内藤は走る速度を上げていく。
特にこれといった運動をしていないに関わらず、彼は何故か足だけは速かった。

しかし、足が速くてモテるのは小学生までである。
大学生の彼にとっては無用の長物といったところか。

ただ、そのおかげで授業には間に合ったので、有効活用はされているようだった。
その日の授業が終わり、内藤は暑さにまどろみながら大学の敷地内を歩いていた。
なるべく木や建物の影になる場所を選びながら、彼の足はどんどん敷地の隅っこの方へと向かっていく。
そうして、彼が辿り着いたのは、いかにも低予算で作られたようなプレハブ小屋の前だった。

(;^ω^)「うぃーっす、WAWAWA忘れもの……おうわっ!?」

木製のドアを開けた途端、彼は室内にこもった熱気に辟易する。
全ての窓が閉められており、中はまるで蒸しサウナのようだった。

(;^ω^)「ちょっ……何してるんだお!?」

内藤は小屋の中に足を踏み入れた直後、その光景に驚きの声を上げる。

部屋の真ん中にある長机の上に、腕を組み、あぐらをかきながら汗まみれになっている一人の男がいた。
  _  
(;゚∀゚)「ようブーン。何って、一人我慢大会だよ」

べたべたの汗まみれになったタンクトップに乳首を浮き上がらせながら、男はあっけらかんとそう言い放った。

彼の名はジョルジュ長岡。内藤と同じく二年生で、歳は二十歳である。
「ブーン」というのは内藤に付けられたあだ名で、由来はもちろん彼の口癖からだ。

(;^ω^)「長岡。できることなら次は人が来ないところでやってくれお」

内藤は長岡の言葉を無視しながら、次々と小屋の窓を開けていく。
そして、最後に備えてある扇風機のスイッチを一番の風力で点けた。
「ぶすん、ぶす、ぶぅぅぅぅん」と、二度ほどクッションを置きながら扇風機の羽が回り始める。

内藤は扇風機の前に仁王立ちし、その恩恵を独り占めしながら宇宙人の声真似をしていた。
しかし、宇宙人の声なんて聞いたこともないのに、“声真似”とはおかしなことである。

(;^ω^)「長岡、他にはまだ誰も来てないのかお?」
(;゚∀゚)「おう、多分俺が一番乗りだと思うな」

「こんにちは」

そんな時、温暖化が進んだ熱砂の中でオアシスを見つけたような、そんな清涼感を持った声が室内を通り抜ける。
内藤と長岡の二人が小屋の入り口に目を向けると、そこには見目麗しき女性の姿があった。

川 ゚ -゚)「ん、まだ二人だけか」

腰近くまで伸びた長い黒髪を揺らめかせながら、女性は男二人の暑苦しい室内へと入る。
方やタンクトップ、方や仁王立ちの中、その美しさは実に場違いであった。

( ^ω^)「こんにちはですお、クー先輩」
( ゚∀゚)「こんにちわちわ」
川 ゚ -゚)「長岡、その挨拶は禁止されているはずだぞ」

彼女の名は素直クール。二十一歳の三年生で、内藤と長岡の一つ先輩である。

「クール先輩」では語呂が悪いので、専ら彼女は「クー先輩、クー」などと呼ばれている。
まるで武士のような口調だが、それは彼女が厳格な家柄で育てられたためである。
そのため、年上の人物でも彼女に対しては敬語になってしまうことがしばしばあった。

川 ゚ -゚)「相変わらず出席率が悪いな」
( ゚∀゚)「まあ、大体クー先輩が来るので最後だよなあ」
( ^ω^)「来ていないのはドクオにショボンにツンかお。たるんどりますNE!」

仁王立ちから首だけ動かし、内藤がクーに賛同する。
まるで時代劇に出てくる悪党の手下のような口調だった。

川 ゚ -゚)「さて、今日は何をする?」

クーが部屋の中の定位置――副部長と張り紙がされたパイプ椅子に腰掛け、二人に向かって問いかける。
それを聞いて、二人はそれらしく考える仕草を取った。

( ^ω^)「天気もいいし、何か体を動かしますかお?」
( ゚∀゚)「すでに俺の体が汗でびしょびしょな件」
( ^ω^)「知るかヴォケ」

彼らの活動は、いつもこのようにその場の会議によって決められる。
会議と言っても、ただその日その日の気分によって意見を言い合うだけだ。

そうして意見がまとまったら、人数が足りなかろうとなんだろうと、その日の内に即実行。
活動的なサークルと言えば聞こえはいいが、実際はただの暇つぶし集団である。

大学と言えばサークル、サークルと言えば大学である。
が、彼らの集まりには明確な目的のようなものは存在していなかった。
小屋の外に立てられた旗には、「楽しむことを、あきらめない」というスローガンが書かれている。
ひどく曖昧だ。

彼らはただ怠惰に過ぎていく毎日を、全力で楽しむことを目的に作られたサークルだった。
そんな集まりがまともでないことは当然なので、与えられた縄張りも隅っこのプレハブ小屋なのだ。
だが、彼らは今の状況を、とにかく全力で楽しむよう努力している。どこまでも、能動的に。

そんな彼らのサークルは、皮肉を込めて“VIP”と呼ばれていた。




20070531020931.jpg



  _  
( ゚∀゚)「と、いうわけで今日はビリヤードをしよう」

会議が始まって五分後。突然、長岡がそうのたまった。

( ^ω^)「いや、どういうわけだお」


内藤が議案まとめノートを手にしながら呆ける。
ノートには分身野球、一人じゃんけん耐久、ブサイク芸能人しりとりなどが書かれていた。

川 ゚ -゚)「撞球か。私はいいぞ」
( ゚∀゚)「ほらブーン、副部長命令だぞ」
( ^ω^)「いや……まあ、別にいいお」

ノートが静かに閉じられ、三人は出かける準備を始める。
べたべたのシャツを取り替えていたため、最後に部室を出たのは長岡だった。

長岡は扉の鍵を閉めると、扉に取り付けられた回転式のプレートに手をかける。
プレートが回され、表示が「決行中」に替えられた。
そうして、三人は場所について確認し合いながら、大学を出たところにある駐車場へと向かった。
  _  
( ゚∀゚)「そんじゃクー先輩、俺はブーンに乗せてもらいますから」
(;^ω^)「えっ? 長岡が乗せてくれるんじゃないのかお?」
(;゚∀゚)「はっ? 俺は今日電車で来たんだが……」

二人はお互いに鳩が豆鉄砲をくらったような顔を見合わせる。
そこへ、当然の如くクーが声をかけた。

川 ゚ -゚)「なら、二人とも私の車に乗ればいい」
  _  
(;゚∀゚)「えっ!? いや、あの、それは……」
(;^ω^)「ぼっ、僕たちは歩いていきますお!」
川 ゚ -゚)「何を言っている。遠慮しなくていいぞ」

そう言って、クーは二人をぐいぐいと引っ張りながら駐車場を進んでいく。
二人はできる限りの言い訳で抵抗するも、今の彼女に聞く耳は存在していなかった。

やがて、三人は主人の帰りを待っていた青のインプレッサの元に辿り着く。
既に内藤と長岡の表情はその車体よりも青ざめており、その心には既に諦めの念が起こっていた。

クーは二人が力なく後部座席に乗り込むのを確認した後、意気揚々と運転席へと滑り込む。
彼女がポケットから車のキーを取り出す間、二人はこの世の終わりのような表情で縮こまっていた。

(;^ω^)「シートベルトOK、ヘッドレストOK、エアバッグ位置確認……」
(;゚∀゚)「小便は済ませたか? 神様にお祈りは? 部屋のスミでガタガタふるえて命ごいをする心の準備はOK?」
川 ゚ -゚)「さあ、行くぞ」

キーが差し込まれ、豪快なエンジン音がその場に響き渡る。
一人涼しい顔のクーは荷物から一枚のMDを取り出し、車内のプレイヤーにセットした。
途端、スピーカーからノリノリのBGMが流れてくる。
  _  
(;゚∀゚)「う~家にカモン!」
(;^ω^)「荒井君でしょう!」
(;゚∀゚)「で、ツンデレメニュー?」
(;^ω^)「ベッキー厚着!」
川 ゚ -゚)「Are you ready?」
(;゚ω゚)(;゚∀゚)「ⅡDX GOOOOOOOOOOOOLD!!!!」

その瞬間、全てのメーターが振り切れた。

本来なら十分かかる道を二分に短縮された後、三人は停められた車から降りる。
クーがいつも通りの表情でいる中、内藤は減量中のボクサーのようであり、長岡は緊張のせいか仁王のような顔になっていた。

(¬'ω`)「い、生きてる、お……」
(¬゚皿゚)「ここ……バイストン・○ェルじゃないよな……?」

二人は千鳥足で、クーは清廉潔白という四文字が背景に浮かび上がるような歩き方で建物の入り口へと向かう。

建物の中は広々としており、複数の係員が小気味良い「いらっしゃいませ」という掛け声で三人を迎える。
周りを見渡すと、平日ながら家族連れや内藤達と同年代ぐらいの若者が多く来店していた。
その規模と多種多様な遊戯施設からここは地元の人気店であり、わざわざ遠くから来る人も少なくない。

三人は早々に受付を済ませ、それぞれの料金を支払う。
運良くビリヤード場は空いており、すぐに台を使うことができた。

川 ゚ -゚)「そういえば、内藤は撞球の経験はあるのか?」

クーは立て掛けられたキューを品定めしながら、ふいにそう質問をした。
内藤はラックで台の上にボールを設置しながら答える。

( ^ω^)「一応ありますお。でも、上手いと言えるほどじゃないですお」
川 ゚ -゚)「そうか。長岡もあるのか?」
( ゚∀゚)「いや、初めてですよ」

その答えを聞いた途端、内藤は「え゙っ」と蛙のような声を上げた。

(;^ω^)「ちょwwwおまwwwwwwじゃあなんでやろうって言い出したんだお」
( ゚∀゚)「いや、なんかビリヤードのボールって、丸くておっぱいみたいじゃね?」

内藤が呆れの溜め息を漏らす中、台上に九色の球が置かれた。
公正なじゃんけんの元、打つ順番はクー、内藤、長岡に決まる。
ルールはオーソドックスなナインボール。一番から九番までのボールを順番に落としていき、九番を落とした者が勝利するものだ。

クーは手球を適当な場所に置くと、前傾姿勢をとった。

( ^ω^)(相変わらず……クー先輩は絵になるお)
(*゚∀゚)(今ちょっと谷間が見えた……!)

内藤は脳内でハスラー姿のクーを想像しながら、長岡は邪な考えを抱きながら、その姿に見とれる。
次の瞬間、「カン」という透き通った音と共にボールが台上を転げ回った。

川 ゚ -゚)「む、外したか」

真っ直ぐに打たれた手球は九色のボールを捉えたが、穴に落とす――ポケットするまでには至らなかった。

( ^ω^)「じゃ、いきますお」

内藤は手球と落とすべき一番のボールの位置を見定める。
そして、おもむろに持っていたキューを台の上に伸ばした。
これによって、球の軌道を予測するわけである。

( ^ω^)「……!」

距離を考え、内藤は少し力を抜きながらキューで手球を打つ。
軽いインパクト音の後、ゆっくりとした軌道で一番のボールは穴に吸い込まれていった。

川 ゚ -゚)「なんだ内藤、十分上手いじゃないか」
( ^ω^)「いや、運が良かっただけですお」
( ゚∀゚)「お前のウッシッシーな態度が~♪」
( ^ω^)「うるさい。気が散るお」

内藤は続けて二番、三番と順調にボールをポケットしていく。
しかし、次のボールは比較的難しい場所にあった。
手球と四番の間に、邪魔をするように別のボールが存在していたのだ。

( ^ω^)「あ~……」

枠にバウンドさせて四番を狙った内藤だったが、ぶつけることが精一杯だった。
しかし、偶然にもそれによって穴と四番と手球が一直線に並ぶ形になる。
次番の長岡にとっては大チャンスだった。
  _  
( ゚∀゚)「よし! 俺、参上!」

長岡は見よう見まねで打つ体勢をとるが、左手がキツネになっている時点で間違っていた。
内藤は教えようとするクーを制止し、笑いをこらえながらその様子を見守る。
  _  
( >∀<)「ブラッディー・スクライドッ!!」
(;゚ω゚)「エンッ!」

長岡が差し出したキューは手球を大きく外れ、そのまま向かいで見ていた内藤の腹部に突き刺さった。
内藤は動物の鳴き声のような声を出した後、その場にうずくまる。
  _  
( ゚∀゚)「あ、ごめーん」
(#`ω´)「目をつぶって打つ奴があるかおっ!」

内藤は長岡を怒鳴りつけながら起き上がる。腹部をさする手が痛々しかった。
  _  
( ゚∀゚)「次は大丈夫だって! いくぜ……アナル零式!!」
(;。ω゚)「ホポショイ!」

長岡が打った手球は四番ボールどころか台を大きく外れ、そのまま内藤の顎を直撃した。
  _  
( ゚∀゚)「てへっ☆失敗失敗」
(;゚ω゚)「てめぇわざとなんだお!? わざとやってんだお!?」

白熱するビリヤード場。
今までにないぐらいの熱気が、そこにはあった。

川 ゚ -゚)「四番に当たらなかったから、ファールだな」

そんな中、クーだけがどこまでも冷静であった。

前の相手がファールを犯した場合、次のプレイヤーは手球を好きな場所に置くことが出来る。
それを利用し、クーは楽々と四番をポケットする。
そして、続けて五番、六番と、なんとそのまま七番までのボールをクーはポケットしてしまった。
  _  
(;゚∀゚)「なんかクー先輩めちゃくちゃ上手くね?」
(;^ω^)「一人だけレベルが違うお……」
川 ゚ -゚)「倍プッシュだ」

驚嘆する二人を尻目に、クーは八番ボールをも難なくポケットする。
そうして、あっという間に残すは九番のみとなってしまった。

川 ゚ -゚)「ふむ……」

しかし、そこでクーの手腕が止まる。

何故なら、台上に残った二つの球。
それらは丁度並ぶように存在しており、しかもどの穴へも真っ直ぐは狙えないという、中途半端な位置であった。

川 ゚ -゚)「むぅ……」

クーは手球を柔らかく打ち、そのまま九番を枠に滑らせるようにして落とそうと試みる。
しかし、若干加える力が足りず、ボールは穴に届く前にその勢いを失ってしまった。

( ^ω^)「おっ、すいませんNE!」

内藤はにやにやとキモイ笑いを浮かべた。
手球と九番は枠に沿って並び、しかも穴はすぐ間近である。
いわゆる、「ごっちゃん」というやつであった。

( ^ω^)「おっおっおっ♪」

内藤は鼻歌まじりに打つための前傾姿勢をとる。
状況としては用意されたかのように簡単なものであり、経験者である内藤が外すとは思えなかった。
そうして、内藤が打った手球は真っ直ぐ九番に当たり、そのまま穴に吸い込まれていく。

……が。

(; ゚ω゚)「アッー!」

力の加減を間違えたのか、そのまま九番を追うようにして手球までもがポケットされてしまった。

川 ゚ -゚)「これは……ファールだな」
(;^ω^)「えっ、どうするんですかお?」
川 ゚ -゚)「うーん……長岡が打つんじゃないか?」
( ゚∀゚)「えっ、俺?」

クーは台の下に手を伸ばし、九番と手球を取り出して先ほどと同じ状況を作る。
そうして、長岡は楽々と九番をポケットした。

  _  
( ゚∀゚)「イエーイ! 俺勝利! イエーイ!」
(;^ω^)「はいはい……よかったお」
( ゚∀゚)「勝利ー! 勝利ー! だっせ! ブーンだっせ!」
(;^ω^)「はいは……」
( ゚∀゚)「だっせだっせ! バーカバーカ! 初心者に負けてやんの! バーカ!」
(# ω )「……」
( ゚∀゚)「バーカ! キンタマ! 口がキンタマのアザラシ!」
(#゚ω゚)「てめぇこの野郎!! ぶっ殺してやる!!」

そうして、憤怒の形相で内藤は長岡に飛び掛る。
ビリヤードからリアルファイトへの競技変更の瞬間だった。

川 ゚ -゚)「次は負けんぞ」

乱闘には目もくれず、クーは黙々と台上にボールを設置していく。

三人はそれぞれどこまでもマイペースながら、それでいて全力でこの瞬間を楽しんでいる。




終わり






この小説は2007年5月14日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:lkAyOhqF0 氏



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2009/12/30 19:45 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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