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( ^ω^)ブーンの磁石は壊れてしまったようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




 ※

 空は灰色。積み重なった雲が、太陽を隠している。
 冷たさを残す外気が、開かれた網戸から音を立てて侵入していた。

 『明日の今頃も、こんな天気になるよ』

 水色の壁紙が柔らかい、一つの部屋。
 窓際から聞こえてくるテレビの音声は、どこかくぐもっている。

#「明日の午前中は快晴で、空模様に荒れはないでしょう。
  ですが、夕方から雨が降り出す恐れがあります。
  明後日の夜にかけて、少々蒸し暑くなりそうですね」

 いつもは当たらない天気予報。
 明日に限って当たるなど、誰が予想出来ただろうか。

 外には雨が降り頻る。
 濁音。轟音。東京区外は、冷たい雨に包まれていた。



 いつ明日が訪れる。それは彼にしかわからない。
 いつ昨日を忘れる。それは彼にもわからない。



 そして、四月八日。
 長い一日が幕を開ける。



20070901211946.jpg



 第一話 選択肢

('A`)「今日新クラス発表だな。どうよ、期待出来る?」

 まったく、この水溜まりは何を考えているんだ。
 そう文句を垂れる僕に、ドクオが声を掛ける。

 閉じた傘を握っているドクオ。
 髪は伸ばしっぱだ。紺のブレザーには、皺が見える。

(;^ω^)(汚ねぇおwwwwwww)

 自分も、似たようなものなんだだけど。
 でもドクオには、汚さが似合うような気がしないでもない。

( ^ω^)「あ、新クラス……去年より良くなるとは思えないお」

('A`)「まぁな。でもさ、せめて俺らは集まりたくね?
    いや出来ればデレもしぃさんもだけどさぁ」

( ^ω^)「離ればなれとかww考えらんねーw」

 僕と、ドクオ。
 保育園からの幼なじみで、唯一無二の親友。
 ずっと同じクラスだし、何かの縁でもあるのかな。

('A`)「まーね。なんか、緊張するなwwww」

 期待と不安を胸に、濡れたアスファルトを蹴った。
 靴の裏から、絶え間なく水滴が飛び散る。
 濁り水は空中で珠になり、そして、弾けた。


( ^ω^)「そういやさ、昨日のバルサ戦見た?」

('A`)「見た見た。シャビやばかったな」

 毎日似たような世間話を、意味もなく続ける。
 会話内容は海外サッカーから新作エロゲまで様々。
 だけど、話の中身はあって無いようなものばかり。

 なぁなぁで入部したサッカー部も、一年経った。
 居心地が良いとは言えないし、そろそろ辞めたい。
 先輩の期待を裏切る行為だというのは、わかっている。

( ^ω^)「あー……今日の部活、サボるお。
       悪いけど、ショボ先輩に言っておいてくれお」

('A`)「マジで? えーどうしよ。俺も休もっかなぁ。
    ぶっちゃけサッカーとかどうでもいいし……」

( ^ω^)「ドクオもサボっちゃえおw」

 数秒の間。ばつが悪そうに、ドクオが謝る。
 断られるのは、ある程度想定内だった。
 サボるとか、騙すとか、そういうのをドクオは嫌うからだ。


('A`)「んー。今日はショボ先輩と約束しちゃったしな。
    明後日は休むから、お前ん家でテイルズやろうぜ?
    悪いな、PSP貸すから許してくれよ」

( ^ω^)「別にいいおw つーか、最新作買ったんだお!」

('A`)「マジ!? バッカお前……待ち遠しいじゃねーかwww
    TOBだべ? ネットでも予約でいっぱいだってのに……」

( ^ω^)「予約特典のディスクもあるおwwww」

('A`)「おまwwwあなたが神かwwwww」

 これだ。この時間。
 気の知れた人間となら、中身の無い会話でも楽しい。
 逆に嫌いな人間となら、その時間は無為な時間に他ならないけど。

( ^ω^)「そういえば昨日のテレビで――」

('A`)「あぁ見た見た、あれって――」

 このまま時間が止まればいいのに。
 なんて言っても、止まる訳が無いんだけど。
 出来る事なら、一生今日のままが良かった。


('A`)「それでそいつさ―― ?」

 今のうちに笑っておきたい。
 僕は、とにかく笑える話題を探した。
 笑っていれば、新しいクラスでも同じになれるような気がして。
 そして、またこの時間を繰り返せるような気がして。

( ^ω^)「……」

 笑えば笑うほど、不安は強まっていく。
 新しく友達が出来るだろうか。ドクオやデレと離れないだろうか。
 結果はもう出ているだろうから、考えるだけ無駄なんだけど。

('A`)「……ブーン?」

( ^ω^)「……はぁ」

 僕は、誰にでも愛想を振り撒けるタイプじゃない。
 それでも昔はマシだったが、今では根暗であると自覚してる。
 それに対してドクオは、裏表を隠せる人間になった。
 そんなドクオが、良い意味でも悪い意味でも羨ましい。
 知らない人間に話しかける事など、とても出来そうにないから。

 昔に比べると、ドクオは変わった。
 それこそ、昔の僕と今の僕ぐらい。

 弱味を見せるのは好きじゃない。
 けど、本当に親しい人間に限っては不安を分かち合いたい。
 そう考えて、ドクオに切り出した。


( ^ω^)「正直、みんなとクラスが離れたら困るお。
       元々人付き合いなんか苦手科目だし……
       何より、学校に来る楽しみがめがっさ減ってしまうお」

('A`)「ん……まぁ、その時はその時だろw
    最悪クラスが違っても、昼飯ぐらいは一緒に食えんぜ?」

( ^ω^)「ドクオはそれでいいのかお?」

('A`)「まぁ、結果は結果だしな……」

(;^ω^)「そう割り切りたいもんだお」

 見た目に反して、ドクオはいやにすっぱりした性格だ。
 だけど、僕の拙い脳は結果を受け入れようとはしないだろう。
 気分は晴れない。だけど、身体は進む事をやめない。

( ^ω^)「着いちゃったお……」

 空気は、澄んでいた。
 くっきりと浮かぶ虹には、昨日の雨も驚いているはずだ。


 新クラスが発表されている学校は、勿論騒がしい。
 紙の貼ってあるボードに、同級生達がまるで飴にたかる蟻のように群がっている。

( ^ω^)「……あ」

 玄関の隅にある柱に、一人の少女が寄りかかっていた。
 彼女は、僕を見るなり満面の笑みを浮かべる。

ζ(^ー^*ζ 「おはよ」

( ^ω^)「……おはようだお」

('A`)「おはよっす!」

 いつもの挨拶を交わす。
 数秒のやり取りだけど、心地よい余韻が残る。

( ^ω^)「……」

 昨日したメールでは、デレも不安がっていた。
 同じクラスがいいね。僕らは、そんな内容を何通も送り合っていた。
 僕にとって、一番近くに居て欲しい人物。
 彼女が笑っているのなら、期待していいのだろうか。


ζ(^ー^*ζ 「えへへ。……またおんなじだね」

 ああ、良かった。
 口の両端が、横へ横へと自然に引っ張られる。
 デレを見て、ようやく自分が笑っているのを理解した。

( *^ω^)「……ホントかお!? やったお!」

ζ(^ー^*ζ 「しぃちゃんも一緒だし、やったねー」

 烏色の長髪が揺れる。
 デレの特徴とも言える髪型は、今日も綺麗に巻かれていた。
 長いスカートを翻し、僕にピースサインを送る。
 可愛いな。声には出さずとも、そう感じざるを得ない。

(;^ω^)「いやー、クラス離れたらやだなーとか、ずっと思ってたお」

ζ(^ー^*ζ 「昨日も言ったじゃんか、大丈夫だって。
      私達が離れる訳無いんだからーw なんてw」

( *^ω^)「デレ……」

ζ(^ー^*ζ 「……へへっ」

('A`)「……ふっ」

 今のところ、人生は順調なみたいだ。
 神様も、変な悪戯はしなかったらしい。


('A`)「つーか、俺も一緒じゃね……あ、シカトですか。
    そうですよね、所詮は 男<女 ですものね」

( ^ω^)「2ーBかお。早く行こうおw」

ζ(^ー^*ζ 「うんっ」

('A`)「お前ら死んだ方が世の中のためになると思うよ」

 手を固く握り直す。
 出掛けに買ったお揃いの携帯ストラップは、もう千切れかかっていた。
 二人分の鞄の重みが、気持ち良く感じる。

('A`)「つーか人前でハートマーク撒かないでくれない?」

( ^ω^)「ドクオには一生わからないおw」

('A`)「わかりたくもないわハゲ」

ζ(^ー^*ζ 「あ、ドクオ君おはよ」

('A`)「え? 今までの俺はなんだったの?」

 デレには聞こえていなかったらしい。
 天然というか素直というか……そこも、彼女の良いところではあるけど。

 複雑な表情を見せるドクオには悪い。けど、今日は我慢してくれ。
 そんな眼差しを送ると、ドクオは怨めしそうに僕を睨んだ。



 ※

('A`)「んだよ……さっきは超心配してたじゃねーか……
    なのに結果が出たらこれですよ。だからあれほど杞憂だと(ry」

 雑音。騒音。奇声に罵声。
 たかがクラス替えで、どいつもこいつも煩いものだ。
 教室のある三階は、俺にとって『不必要な音』に満ちていた。

( ^ω^)「それで――」

ζ(^ー^*ζ 「うんうん――」

('A`)(あーやだやだあんなにイチャイチャしちゃって
    風紀が乱れてるどころの騒ぎじゃないわー
    あら! 手なんか繋いで……汚らわしい!)

 軽い殺意を覚える。いや、哀しみまで覚えたか。
 でも、男とは孤高で無ければならない。
 そんな教訓を、熟年離婚して惨めに死んだじっちゃが言ってた。

('A`)「死ぬまで独身って人間も、たくさんいるよな……」

 そりゃ諦めも沸くさ、仕方ない。……仕方ないよな?

('A`)「みんな死ねばいいのに」

 独り言のはずだったけど、返事が返ってきた。
 片想いの彼女。しぃさんは、俺の肩を叩いた。


(*゚ー゚)「物騒な事考えないでよーw」

(;'A`)「焦った……しぃさんか……」

(*゚ー゚)「ドクオ君、なんか暗いね。クラス同じだし、明るくいこうよw」

 肩までの茶髪。
 二つに縛ってあるツインテールが、男子の視線を集めていた。
 つい二週間前まで、ポニーテールだったのだが。

('A`)「髪型変えたんだ」

(*゚ー゚)「……ふふ、まぁねー。
     "恋する乙女"は身だしなみに気をつけるんだよ」

('A`)「え」

 彼女は立ち止まる事もなく、廊下を駆けていく。
 香水だろうか? はたまた、シャンプーだろうか?
 何らかの良い匂いが、俺の花粉に弱い鼻を愛撫する。

('A`)「……」

(*'A`)「……デスティニー……」

 クールを装って呟く俺。
 周囲の哀れみの視線は、今では心地いいぐらいだった。



 ※

 教室の音を、雑談と寝息が占拠している。
 例に違わず、僕とデレも昨日のテレビについて話していた。

( ´∀`)「……よし、質問が無ければ解散モナ。
       あー、じゃあデレさん。号令を頼むモナ」

ζ(^ー^*ζ 「あ、はい。……きりーつ。れい」

 鈴を転がすような、ころころとした甘い声。
 黒目が大きく、可愛らしい容姿も持ち合わせている。
 号令をかける際の凛とした表情に、僕は見入っていた。

ζ(^ー^*ζ 「うん?」

 ぼんやりと見上げる僕に、首を傾げるデレ。
 上目遣いをされていたら、間違いなく悩殺されていた。

( *^ω^)「デレ、一緒に帰るかお?」

ζ(^ー^*ζ 「うん。行こー」

 茶色の革靴。つま先で音を鳴らし、手を差し出される。
 僕は当たり前のように、それを握った。

 柔らかくて、あったかい。
 握り慣れた手は、いつ握ってもその感触を変える事はない。
 いや、変わって欲しくない。いつまでも、このままでいて欲しかった。


( ^ω^)「デレ、やっぱり可愛いお」

ζ(^ー^*ζ 「でしょー?」

 ノリも良いし、よくいる只の"優等生"じゃない。
 デレと話している時間は、永遠をも感じられる。

( ^ω^)「おっおww」

ζ(^ー^*ζ 「ふひひww」

('A`)「誰か頑丈なロープ知らない?
    人一人の体重に耐えられるぐらいのぶっといやつ」

 今が楽しい。そう感じられる事が、嬉しい。
 太陽は、ようやく僕らの頭上に辿り着いたみたいだ。
 笑顔を振り撒き、ついでに熱をも与えてくれる。

 生徒が散らばる。桜が美しい、VIP高校の校門。
 去年、ここを初めて見た時には圧巻されたものだ。
 だけど、今となっては何処にでもあるような桜にしか見えない。

 『時間が経つって事は、怖いのかもしれない』。
 鼻歌を歌うデレを見ながら、そう思った。


(;^ω^)(ん……?)

 後ろから、濁った声が聞こえてくる。
 聞いちゃ悪い気がしたから、無視する事にした。
 ごめんドクオ。今は他人の振りをさせてくれないか?

('A`)「くそっ、くそっ」

(*゚ー゚)「あ、ドクオく……」

('A`)「お、俺にだって、彼女くらい……いないけど」

(*゚ー゚)「……?」

('A`)「……お俺には、さっ、サッカーがあるもん……!」

(*;゚ー゚)「キショ……」

 ……あぁ。つい数時間前の不安が嘘みたいだ。
 朝に歩いた道を逆戻りして、そう思う。

 あのお姉さんの天気予報、また外れそうだなぁ。
 空に揺らぐ真っ白い雲を見つめて、そう呟く。
 それからまた前を向いて、ずっと続く道を歩き続けた。



――



ζ(^ー^*ζ 「私買い物に行かなくちゃいけないから、今日はごめんね。
      次の土曜日、約束したからねー」

( ^ω^)「ばいおー。帰り道、気をつけるお?」

ζ(^∀^*ζ 「はーい。……ありがと」

 デレの呟きは、春の陽気に溶け込んでいく。
 いつも通りだ。安堵の気持ちが、溢れてくる。

( ^ω^)「ふー。……暑いお」

 そういえば、今日は夏日とか言ってた。
 去年聞いた蝉の鳴き声は、まだ鮮明に覚えている。
 見掛けによらず、デレは虫が好きだったっけ。

( ^ω^)「カブトムシは嫌いとか言ってたかおwww」

 少しずつ、思い出していく。
 数ヶ月前の出来事が、妙に懐かしめた。
 ――これも、時の造る感情だろうか。



( ^ω^)「おかえり」

J('ー`)し「ただいま」

 海に行って、街に出かけて、そして学校に行く。
 行動は違えど、また楽しい日々を送れるのだろう。
 今も、これからも。一年のスケジュールは、変わりそうにない。

( ^ω^)「眠ぃwww早く寝よーっと」

J('ー`)し「ちゃんと勉強しなきゃ駄目よー?」

 カーチャンは、過保護ではないかと思う程の心配症だ。
 この前なんか、家に連れてきたデレを見て卒倒していた。
 『こんな息子に目を向けてくれるなんて……』だったか。
 よく考えたら、結構失礼なんじゃないだろうか。

( ^ω^)「わかってるお、ちゃんとやってるお」

 生返事を返してから、自分の部屋へ直行する。
 心配事が無くなれば、眠くなるのは必然ではなかろうか。
 そうだ、寝る子は育つとか言うじゃないか。



 呆けた僕の頭は、睡眠欲で満たされていた。
 横になり、夢を見る。考えるだけで涎が出るな。

( ^ω^)「ジュルリ」

( ^ω^)「『ジュルリ』? 流石の僕でもそれは引くわ」

 段差の低い階段を上がり、奥にあるドアノブを握る。
 ポケットから鍵を取り出し、施錠を解き放った。

( ^ω^)「ふわぁーあ。眠いってレベルじゃねーお。
       こういう日はさっさと夢の世界に旅立つに限る」

 派手に欠伸をして、扉を開ける。
 潤んだ目を擦ると、黄ばんだベッドが視線に入った。

( ^ω^)「ん?」



 そこに佇む、見慣れないモノ。

 ――色は、紫。



( ^ω^)「ん……なんだこりゃ」

 数十センチ前にある、異質の物体。
 元々片付けだけはしている部屋だ、紫なんて悪趣味な色は目立つ。
 朝を思い出してみたけど、持ち込んだ覚えも無い。

( ^ω^)「紫……」

 うん、なんだろこれ。ベッドの上には封筒が置かれていた。
 少し膨らんでいる。手に取るが、あまり重みは感じない。
 恐らく、紙のみが入っているのだろう。

( ^ω^)「うーん」

 表にも裏にも、文字は一つも見つからない。
 それどころか、封筒自体に貼り合わせた後がない。
 しかし、僕は何故かそれを封筒だと認識出来た。
 考えれば考えるほど、"ハテナマーク"は増えていく。


 僕は、その深く濃い紫に、しばらくの間心を奪われていた。
 奇怪で、不思議で、謎で。
 とにかく紫の封筒は、興味をそそられる見た目だった。

 眉をしかめて眺めていたけど、動く気配は無い。
 当たり前のような沈黙が返ってくるだけだった。

( ^ω^)「カーチャン宛てでもなさそうだし……」

 得体のしれない封筒。

( ^ω^)「いっか。開けちゃうかお」

 意を決して、封筒の頭を破る。
 紫の中から出てきたのは、やはり紫色。

(;^ω^)「うっ」

 開けてからすぐ、僕の頭に恐怖の二文字が浮かんだ。
 同時に感じる、四方八方からの違和感。
 自分の喉から顔が出てくるような、強い不快感。


 なんで、動けないんだろう。


(;^ω^)「十枚くらい……あるかお」

 封筒と同じ色の便箋。
 三つに折り畳まれたそれは、まさに異妙な雰囲気だ。
 疑いながらも、読もうと手を添える。

(;^ω^)(……これ、読んでいいのかお……?)

 やはり手が止まる。
 果たして読んでいいものだろうか?
 無論、普通の便箋ならばすぐにでも読んでいた。
 だけど、この一見どこにでもありそうな便箋。
 "紫"からは、非科学的な"力"が垣間見える。

(;^ω^)(……)

 読むか。結局読むだろうし、今すぐ読もう。
 無地の紫色。しかし、どこか美しく見える。
 手触りを確かめるようにして、便箋の束を開いた。


(;^ω^)「……」

 ……一枚目は、読めなかった。
 読めなかった、という言い方は正しくないだろう。
 正しくは、文字が無かった。読める訳が無いのだ。

(;^ω^)「これは想定外、だお」

 幾枚にも重なっている便箋を、捲っていく。
 結局最後まで見終えるが、何の文字も見付からなかった。

( ^ω^)「イタズラ……? いや、鍵が掛かっていたはずだし……
       というか、一体どんな意味があるのかお……」

 そこでふと気付いた。
 もしかしたら、部屋に誰かがいるかもしれない。
 先程からの違和感は、それが原因かもしれない。

 考えてから、すぐに寒気を感じた。


(;゚ω゚)「ーーっ!」

 『繋がりはありますか?』

 脳に直接届くような、ねっとりと絡み付く声。
 身体が動かない。もしくは、身体を動かせない。
 どうやら質問に答えなければ、この状況を脱せないらしい。
 思いきりこめかみに力を入れて、何とか声を出す。

(;゚ω゚)「ぼ、ぼくは」

 『繋がりはありますか?』

(;゚ω゚)「ある、あるお……!」

 "繋がり"という単語が、何を差すかはわからない。
 ただ、親友はいる。大事な人もいる。
 "繋がり"が"絆"とイコールならば、間違ってはいないはずだ。

 数秒後。もしかしたら、数時間後だったかもしれない。
 感覚のズレた意識のなか、囁くような声が聞こえた。

 『Welcome to Endlessworld,Boon』

 男にも、女にも聞こえる声。
 中性的という意味じゃなくて、ただ判別出来ないだけ。
 僕の揺れる感情は、次第に薄まっていった。

 "終わり無き世界"。その英文にある、一つ一つの英単語。
 汗が、止まらなかった――








この小説は2007月4月7日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:WwTik6VOO 氏



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[ 2009/12/30 19:43 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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