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('A`) THE MERCENARY (,,゚Д゚)


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




20070512022546.jpg



もうこの地区も終わりかな。
そう思った矢先に敵方の機関銃が煙を上げた。
後ろの方で、断続的に金属音が鳴り響く。
俺は急いで近くの商店に身を隠して、機銃を敵に向けて撃った。

当然、当たるはずも無く、ただ威嚇のために撃った。
店内に硝煙の匂いが充満した。

 ('A`)「なあ、俺ら見捨てられてね?」

 (,,゚Д゚)「多分。」

俺が言いたくもない言葉を発すると相棒のギコが一言で答えた。
2日前から本部との連絡が一切取れない。
俺らは、地区制圧のために送られた傭兵だ。
ところが、どうも所属している軍から見放されたらしい。
予想以上に敵方が戦力を投入してきたせいで、制圧どころか撤退すらできやしない。
傭兵の辛いところだ。
正規の兵なら、軍のポーズとして助けに来るだろう。
そうしないと、入軍希望者が減っちゃうからな。


店に隠れて数十分経ったときギコが窓を見ながら尋ねてきた。

 (,,゚Д゚)「なんでお前、傭兵なんかやってんの?」

 ('A`)「別に。」

 (,,゚Д゚)「理由が無くちゃこんなことやってられんだろ?」

 ('A`)「理由なんかねぇ。ただ働き口が無かっただけなんだ。
    そんなときに、町歩いてたら誘われただけだ。」

そう特に理由なんかありゃしない。
ただ、働くことが億劫でずっと家でだらだらしていた。
そんな俺を養ってくれていた両親が戦争に巻き込まれて死んだ。
働かない俺はすぐに金が尽きた。
働くということは自分の時間と能力を金に換算することだ。
何の能力もない俺は、自分の命を金に換算することしかできなかった。
まあそれが理由っちゃ理由だ。


 ('A`)「お前は?」

 (,,゚Д゚)「俺は、金が要るんだ。妹が大きな怪我をしてなVIP病院にいるんだが
      手術代や入院費が馬鹿にならんのだ。
      だから手っ取り早く稼げるこの稼業を選んだんだ。」

 ('A`)「そうか、大変だな。」

 (,,゚Д゚)「だけど、もう終わりだな。」

窓から目を離して俺の方を見て話す。
もう諦めてしまっているようだ。俺だって諦めてるがな。


また数十分経つとギコが店内を見渡し、商品であっただろう造花の束を手に取った。
薔薇の造花を一本抜き取り、迷彩服の胸ポケットに差し込む。

 (,,゚Д゚)「あ~あ、俺もこんな服じゃなくて、真っ白なタキシードでこうやって薔薇なんか差して
      でっかいダンスホールで踊ってみたかったな。」

 ('A`)「いいじゃねぇか。最後にあいつらにかっこよく踊ってるとこ見せ付けてやれば。」

冗談でそう言うと、ギコは黙って造花の花束をベルトに差込みはじめた。
正面からは見えないように、背中の辺りで。

 ('A`;)「おい、なにやってんだ狂ったか。」

 (,,゚Д゚)「別に。」

ギコはそのまま、店に面しているストリートに出て機関銃を乱射した。
あっけにとられて窓から見えるギコの姿を観察していたら、奴はダンスしていた。
右手を振り上げて、左足でステップを踏んで、右足でターンして。


ギコの四肢に銃弾が当たる度に勢い良く跳ねる。
体を貫通するたびに背中の造花が少しずつ散っていく。
建物から漏れる赤燈の舞台で、奴は夢をかなえて死んでいった。

相棒がいなくなり孤独に打ちのめされた俺は、一人でじっと隠れていた。
それが功を奏して数日、潜伏していたら援軍が来て俺は保護された。

ギコだっておとなしくしてりゃ助かったのにと思いつつ俺は国へと帰った。
まだ契約期間が残っているから、任務がきたら行かなくちゃならんけど。
とりあえず、1週間の休暇を貰ったので俺はギコの妹に会いに行こうとした。

一応礼儀として花屋で土産を買っていき、バスで目的地まで乗っていった。
そしてVIP病院に入って受付の中の人にどこにいるかを聞く。

 ('A`)「あの、ギコ=ネコと言う男の妹さんがこちらに入院してると聞いたんですけど。」

 ('、`*川「ちょっと、まってね。ネコが苗字でいいかしら。」

 ('A`)「はい、そうです。」


受付の女がなにやらいじっていると、手の動きが止まり俺と目を合わせた。

 ('、`*川「あの、ギコ=ネコさんの妹さんでシィ=ネコさんがいらっしゃいましたが……」

 ('A`)「いらっしゃいました……?」

 ('、`*川「ええ、もうすでに三ヶ月ほど前にお亡くなりになられております。」

すこし視線を下げて話す女にすべてを悟って、俺は病院を出た。
真っ青な空を見上げて俺は考えた。なぜあの時ギコはああ言ったんだろうって。
女から聞いたシィの墓へと足を向けて行きながらずっと考えた。





墓地に着いて、目当ての墓の前で手を合わせた。
墓を見ると、こう彫ってあった。








最愛で唯一の肉親、シィ=ネコここに眠る。








それを見て俺は墓に向かって呟いた。

 ('A`)「お前、なくしたんだな。俺はなくすものなんてないけど
     お前はなくしちまったんだな。最後に墓を立てて満足したのか。」

持っていた花を墓石に添えると、自宅へと戻ろうとした。




少し強い太陽光線を受けながら思った。
俺はなくすものなんて持っていない。
でも、あいつはなくしちまった。
あいつにとっては妹がすべてだったのだろう。
そしてそれが生きる意味になっていた。
そう、なくしたものは生きる意味。

家に帰ってから、俺は生きる意味を探してみたけどみつからなかった。
結局、なくすものを持たない方がいいと思って考えるのをやめた。
1週間後はまたどこかに配属されるんだなと憂鬱な気分のまま。




             ~終わり~





この小説は2007年5月11日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:Jb2cL1/w0 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです
ちなみにタイトルがなかったので、それっぽいタイトルを付けました


お題
・傭兵
・赤橙
・なくしたもの
・硝煙
・造花


ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2009/12/29 22:09 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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