はじめてブーン系小説を読む方は
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私が三歳の時、母が出ていった
幼かった私には、母が出ていった理由がまったく分からなかった
/ ,' 3「ほらっ、椎
風船だよ」
(*゚ー゚)「ありがとう!!」
/ ,' 3「風船は空気を入れても、すぐ萎んでしまうんだ」
(*゚ー゚)「そうなんだ」
その時は全然意識してなかった
/ ,' 3「……空気を入れて膨らますのは、風船に命を与えると同時に
終わりを与えるということなんだ……」
(*゚ー゚)「うん、それまでちゃんと大切にするから!!」
父が苦笑いした
/ ,' 3「そうだね、まだ椎にはわからないか
まぁ物は大切にしなさいという事だ」
(*゚ー゚)「はぁーい!!!」
私は浮かれてた、父がくれた様々な色の風船
それを見ただけで心が踊った
それから私は毎日、風船を膨らませた
お気に入りの色は最後にとっておいた
結局最後に残ったのは暖かな橙色だった
(*゚ー゚)「よしっ!!最後だしこの風船には顔描いちゃおwww」
キュッ、キュッ、キュー
(*゚ー゚)「……よしっとwww
完璧www」
( ^ω^)「…………」
風船に描いた顔は暖かな橙色にどことなく似た
優しそうな顔だった
その日は妙に楽しい気持ちになって眠ってしまった
次の日、朝目覚めると・・・
( ^ω^)「…………」
(*,,゚ー゚)「おかしいなぁ、全然この風船小さくならないや」
( ^ω^)「…………」
(*゚ー゚)「まっ、それは良い事だもんね!!」
それから数週間が経った
いつもと変わらない1日だった
/ ,' 3「コラッ!!ちゃんとご飯を食べる前は手を洗わなきゃダメだろう!!」
父はお母さんがいなくなってから
家事も全て一人でこなした
普通なら母が注意することも
父が代わりに注意してくれた
父は周りの円満な家族と比べられ
私が卑屈にならぬように色々な事をしてくれた
(* ー )「………」
……まぁ幼かった私にそんな父の気持ちは分かるはずもなく
(*;ー;)「……ふぇーん
ゴメンなさァい!!」
/; ,' 3「いや、すまないな、大きな声を出して
次からはちゃんと洗うんだぞ」
それから部屋に帰った私は、暫らく風船を見つめていた
(*゚ー゚)「……なにか不思議
なぜかこの子を見てると優しい気持ちになれる」
( ^ω^ )「…………」
その次の日、小学校である事件がおきた
(´・ω・`)「おい、お前んとこかーちゃんいないんだってな」
(* ー )「……っべ、別に関係ないでしょ……」
人に指摘されるのは初めてだった
(´・ω・`)「おとーさんが、ほかの女の人といけない事してたんだろ?
いやらしいなー」
それは嘘だと直ぐに分かった
コイツが勝手に言っているだけだと……
母がなぜ出ていったのかは分からない
しかし決してあの父の体から他の女の人の匂いがした事
一度たりとも無かったからだ
恐らくこの男の子は親同士の噂話を聞いていたのだろう
(* ー )「……」
内気だった私には、否定することができない
私はその日、走って家に帰った
妙にあの風船が恋しくなった
(* ー )「……っふぇ」
(*;ー;)「別にお母さんがいなくたって……別に……寂しくなんて……ふえぇーん」
私はベッドの上で泣いた
ふと顔を上げてみると
あの風船がこちらを見ていた
( ^ω^ )「…………」
やっぱり奇妙な安心感に包まれる
(*゚ー゚)「……なんでなんだろう?
この子を見てるとなんだか元気が出てくる…」
その日、私はそのまま寝てしまった
(*ー∀ー)「Zzz……」
橙色の暖かな光に包まれながら……
( ^ω^ )「…………」
朝起きて異変にすぐ気が付いた
(*;゚ー゚)「この子……膨らんでる?」
/ ,' 3「椎!!早くしなさい!!遅刻するだろう!!」
(* ー )「(ビクッ!!)ごっ、ゴメンなさい……」
( ^ω^ )「……ビクッ……」
(*゚ー゚)(……この子今膨らんだわ)
そして私は悟った
(*゚ー゚)(……この風船は私の悲しい気持ちを吸い取ってくれていたんだわ……)
(* ー )「……ということは、このまま膨らみ続ければ……」
それから私は変わった
今まで内気で引っ込み思案だった性格を
自分自身の努力で変えていった
二年の歳月が流れた
まだあの子は割れていない
(´・ω・`)「お前のとこの母さんまだ帰ってこないんだろ?www」
(*゚∀゚)「うっせ!!タレ眉が!!
調子乗ってっとそのモヒャッとした鼻潰すぞ」
(´・ω・`)「しょぼーん」
言いたいことは、ハッキリという
以前の私には出来なかった事だ
学校が終わると一目散に家に帰った
(* ∀ )「……はぁ……はぁっ、良かった、割れてない……」
そしてある日、突然それは起こった……
(* ∀ )「……お父さんが事故?」
……何かが私の中で音を立てて崩れさった……
(*;∀;)「えっぐ、えっぐ、お父さん……」
病院に行かねばならない
父の様子を見に行かねば
しかし行けない
万が一、父が亡くなって……
そう思うと病院に行く気に成れなかった
『パァン!!』
何かが割れる音がした
そして全てが白に染まった……
(*゚ー゚)「ここは?いったいどこだろう?」
( ^ω^)「ここは君の心の世界だお」
(*゚ー゚)「あなたはあの風船なの?」
( ^ω^)「そうだお!!君のことをずっと見てたお!!」
(*゚ー゚)「私もあなたに何度も助けられたわ
……そして今度は私が頑張って貴方を助ける番だと思ってたのに……」
( ^ω^)「そう気にする必要はないお
僕達は空気を、命を吹き込まれたときから死が必ず付きまとうんだお」
ふと父の顔が頭をよぎった
(* ー )「……」
( ^ω^)「君は強くなったお
立派だお!!
お母さんのことを言われても決して卑屈にならず
前に進み続けてきたお」
(* ー )「…………」
( ^ω^)「……でも急に歩みがとまったお」
( ^ω^)「お父さんは今、手術室のなかで必死に闘ってるお」
( ^ω^)「君がお父さんを信じないで誰が信じるんだお!!」
……その通りだ
私が信じないで誰が信じる
あの優しかった父が、あの大きかった父が
死ぬはずが無い
(*゚ー゚)「……ありがとう、風船さん」
決心が付いた
(*゚ー゚)「……じゃあ、私急がないと……」
( ^ω^)「おっwwwその意気だおwww」
(*゚ー゚)「ありがとう。全て貴方のお陰よ」
( ^ω^)「そんなことはないおwww」
その子は照れたように後ろ髪を掻き分けた
(*゚ー゚)「……ねぇ、最後にあなたにはお名前あるの?」
( ^ω^)「あるお!!
ボクの名前は内藤ホライゾン!!
ブーンと呼んで欲しいお!!」
そして私は再び
白の世界に意識を奪われた
目覚めると私はベッドの上で寝ていた
(* ー )「……ありがと……ブーン……」
(*゚ー゚)「さっ、早く病院にいく準備をしなきゃ……」
今日はvipデパートの開店日だ
(*゚ー゚)「お父さん!!
早く!!早く!!」
/ ,' 3「そんなに急がなくても大丈夫だろ」
(*゚ー゚)「なに言ってんのよ、一番狙わなきゃwww」
『ドンッ!!ドンッ!!』
振り替えるとデパートの屋上から花火が打ち上がったようだ
様々な色のボンボリが弾け飛んだ
/ ,' 3「綺麗だな」
(*゚ー゚)「本当だね」
中に入ると店員さんが子供たちに何かを配っていた
店員「お嬢さんも一つどうですか?
ピンクでも水色でも好きな色をお選び下さい」
「じゃあ橙色で」
(*゚ー゚)「お帰り、ブーン」
END
この小説は2007年5月11日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:h9uVKi2hO 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです
お題・風船
ご意見等あれば米欄にお願いします