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( ^ω^)は選ばれたようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




少女は走っていた。
美しい金色の髪を風になびかせ、傷だらけの足を引き摺りながら。
その細く華奢な腕に抱いているのは、彼女には不釣り合いな一振りの剣。
柄には薄汚れた布が巻かれ、鞘に飾られた赤い硝子玉が、時折きらきらと光る。

ξ*゚⊿゚)ξ「──急がなきゃ」

“神々の黄昏”が、近付いている。
この世界の終焉を食い止める為の希望を、託さなければならない。

少女の視線の先には、鮮やかなネオンに彩られたVIP CITYの夜景が広がっている。

ξ*゚⊿゚)ξ「壊させはしないわ」

少女は、剣を抱く腕に力を込め、月さえ見えない漆黒の空を睨んだ。



20070901212541.jpg



( ^ω^)「だーから、ドーバー海峡を泳いで渡るのなんか簡単なんだお」

あまりの猥雑さから、掃き溜めと呼ばれるVIP CITYの中で
比較的落ち着いた一角に店を構えるバーがあった。
“バーボンハウス”という名のその店は、マスターの人柄と酒の味に惚れ込んだ常連達で、
今夜も繁盛している。

('A`)「お前、その体で泳げんのか」

陰気な顔付きの青年が、ビールを片手に皮肉めいた笑みを浮かべた。

( ^ω^)「失礼なこと言うなお!ぼくは今まで、溺れた事がないんだお」

( ゚∀゚)「何故か沈まないんだよなー」

(,,゚Д゚)「脂肪の塊だからじゃねぇか?」

ピザ体型で穏やかな笑顔の内藤と、痩せ過ぎで陰気なドクオ。
軽薄で、どことなくいい加減なジョルジュと、目付きも口も悪いギコ。
四人は、二年前にこのバーボンハウスで出会った。
それぞれタイプは違うが、不思議と馬が合う。
それが心地よくて、毎晩集まっては馬鹿話しに興じているわけだ。

( ゚∀゚)「マスター、おかわりー」

ジョルジュがグラスを差し出した瞬間、異変が起こった。

(,,゚Д゚)「地震か」

がたがたと、椅子が揺れる。
バーのあちこちから、小さな悲鳴が上がった。

(;^ω^)「お、結構強いお…」

内藤は咄嗟に、目の前のグラスを押さえる。
マスターのショボンが、酒瓶の並んだ棚の前で両腕を広げているのが見えた。

(;'A`)「……終わった」

揺れていたのは数十秒だろうか。
幸運にも被害は小さく、テーブル席のグラスが二つ割れた程度らしい。
ショボンがホウキと雑巾を持ってカウンターから出て行くのを見届け、ジョルジュが溜め息を吐いた。

( ゚∀゚)「最近多いな」

(,,゚Д゚)「一昨日もあっただろ」

('A`)「その前もな。しかも段々、揺れが強くなってやがる」

ドクオの顔には、微かな不安が浮かんでいる。

( ^ω^)「何かの前兆、かお?」

(;゚∀゚)「不吉な事言うなよ」


ξ*゚⊿゚)ξ「いいえ、“前兆”よ」


凜とした声。
四人は驚いて振り返る。

(,,゚Д゚)「誰だ」

口火を切ったのはギコ。
血と泥に汚れた、しかし美しい少女を威嚇するように睨む。

(;'A`)「おい、あんた…何持ってんだよ」

ドクオが僅かに腰を浮かした。ツンの持つ剣に反応したのだ。
日常茶飯事に犯罪の起こるこの街では、敏感になるなと言う方が難しい。

ξ*゚⊿゚)ξ「私は、貴方達に危害を加えるつもりはないわ。
       ──助けて、欲しいのよ」

( ^ω^)「…助け?」

(;゚∀゚)「内藤、関わるなよ」

( ^ω^)「でも、困ってるみたいだお」

生来のお人好しだ。
こんなボロボロになって助けを求めている少女を、見捨てる事など出来なかった。


(´・ω・`)「あれ…新しいお客さんだね」

ショボンが少女に声をかける。

(´・ω・`)「随分と疲れているみたいだね。お茶でもいれよう」

未成年にテキーラはサービス出来ないなと、少し寂しそうだ。



ξ*゚⊿゚)ξ「──貴方達は、神の存在を信じるかしら」

柔らかく湯気を上らせるティーカップ。
琥珀色のハーブティを見つめながら、少女が呟く。

( ゚∀゚)「宗教の勧誘か?」

('A`)「悪いが、カミサマなんか信じちゃいねぇよ」

ξ*゚⊿゚)ξ「…そう。
       それでも、この世界があらゆる秩序を持って成り立っているのは、
       神の力があるからなの」

ξ*゚⊿゚)ξ「神々は、命を生み出し大地を潤す。
       またある時は、猛々しい力で地上に災害を与える事もある。
       でもそうやって、バランスが保たれているんだわ」

( ^ω^)「おっ、おっ、でも」

ここ数日、立て続けに起こっている地震。
異常気象の類いはどうなのだろう。

(,,゚Д゚)「アンタの言う、バランスなんか崩壊してるじゃねぇか」

ξ*゚⊿゚)ξ「そうよ。だから私が来たの」

少女は、ぶるりと身震いした。

ξ*゚⊿゚)ξ「今、神々の黄昏が訪れようとしている」

(´・ω・`)「神々の黄昏?」

黙ってグラスを磨いていたショボンが、聞き返した。

ξ*゚⊿゚)ξ「強大で、醜く暗い力が、世界に影を落としているの。
       神々は発狂寸前だわ。
       このままじゃ、きっと近い未来に、神はこの世界に影響出来なくなる」

( ^ω^)「どうなるんだお?」

ξ*゚⊿゚)ξ「消えるわ。皆消えてしまう。
       あの地震は、余兆なのよ」

荒唐無稽。
そう切り捨ててしまえる話しだったが、少女の口調はあまりに切羽詰まっていた。
誰もが、口を開く事を躊躇い、押し黙った。
そして。

( ^ω^)「その力って。影って、なんなんだお」

(,,゚Д゚)「内藤…」

( ^ω^)「ぼくは知りたいお。
      消えるなんて、消してしまうなんて嫌だお」

内藤は、真っ直ぐに少女を見つめた。
その視線を受け、少女はかすれた声で言う。

ξ*゚⊿゚)ξ「人間よ。それも、たった三人の」

('A`)「はっ、何だよそれ」

ドクオがビールをあおる。

('A`)「カミサマが、たった三人の人間に圧倒されるのか」

ξ*゚⊿゚)ξ「だけどこれは事実だわ!彼等は神を憎んでる。
       世界を憎んで、自分達を憎んで…
       ──だから私は、ここに来たの」

少女は、大事そうに抱えていた剣を、隣にいるジョルジュに押し付けた。

( ゚∀゚)「な、何だよ」

ξ*゚⊿゚)ξ「この剣を使える?」

ジョルジュは恐る恐る、赤い硝子玉の嵌まった鞘を抜いた。

(;゚∀゚)「…って、空っぽじゃねぇか!」

一瞬、成り行きにwktkしてしまっただけに、ジョルジュは恥ずかしくて叫んだ。
剣には、柄から先のいわゆる「刃」が無かったのだ。

(,,゚Д゚)「おもちゃか?」

ジョルジュから柄を受け取り、薄汚れたそれを弄んだあと
ギコは興味を無くした風に、ドクオに差し出す。

('A`)「いらね」

馬鹿馬鹿しい、面倒臭いと言うオーラの脇から、内藤が手を伸ばした。

( ^ω^)「何か、仕掛けでもあるのかもしれんお──」

笑いながら柄を握った瞬間。
指先から全身へ向かって、一塊の熱が走り抜けた。

( ゚ω゚)「!」

(,,゚Д゚)( ゚∀゚)「!」

('A`)「…空間が」

刀身と呼ぶべき場所。まるで陽炎のように、空気が揺れる。

( ^ω^)「これは…」

分かる。
この空気の層こそが、刃だ。

ξ*゚⊿゚)ξ「──やっと、見つけた」

少女の足から力が抜ける。

( ゚∀゚)「おわっ」

床にへたれ込む所を支えたのは、ジョルジュだった。

ξ*゚⊿゚)ξ「その剣は、圧縮された空気を刃として具現化するの」

( ^ω^)「ぼくにしか、使えないのかお」

ξ*゚⊿゚)ξ「…今まで色々探したけど、使えたのは貴方が初めてだわ」

少女はゆっくりと内藤に歩み寄る。

ξ*゚⊿゚)ξ「お願い。力を貸して」

内藤は、今にも泣き出しそうな少女の顔と、手の中の剣を交互に見た。

ξ*゚⊿゚)ξ「…お願い」

とても綺麗な目だ。
内藤は、剣を下ろして少女と向き合う。

( ^ω^)「ぼくは、君の力になるお」

やっぱり、荒唐無稽な話しだ。
しかし、もしも自分に出来る事があるなら、この少女の手助けをしたいと思った。

ジョルジュが苦い顔をするのが見えた。
ギコは頭を抱えて、ドクオは何故か笑っている。

ξ*゚⊿゚)ξ「っありがとう…!」

この日。小さなバーの片隅で、一人の英雄が産声を上げたのだった。







この小説は2007年3月14日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:itFNAdtyO 氏
作者がお題を募集して、それを元に小説を書くという形式のものです
ちなみにタイトルがなかったので、それっぽいタイトルを付けました


お題
・ドーバー
・圧縮された空気を刃とする剣
・神々の黄昏


ご意見等あれば米欄にお願いします



[ 2009/12/29 21:48 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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