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川 ゚ -゚)クーは選択肢を間違えたようです


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ

これは ('A`)は死ねない身体のようです のクーサイドの話になります
読んでいない方は先にそちらを読む事をお勧めします





教室に取り付けてある古ぼけたスピーカーから、チャイムが鳴り響く。
この瞬間は私にとって、堪らなく嬉しい瞬間の一つだ。

そこかしこから聞こえる寝言に耐えながら、聞きたくもない授業を受ける。
大して好きでもない体育では、何かするたびに騒がれる。

そんな無為な時間から逃れ、自分の望む時間を過ごせるのだから。


今は仲の良い友達数人と雑談をしている最中。
全員帰宅部なので、教室を貸し切りで喋っていられる。

この時間は無意味じゃない。
楽しさや嬉しさ、悲しさ等を打ち明けられる仲間が――
そんな仲間がいるのを自覚しているだけでも、満足だから。

ξ ゚⊿゚)ξ「クーってさ、空気読むの上手くない?
       クーが発言して滑るの、ほとんど見たことないし」

くるくるっとしたパーマがかった茶髪を持つツン。
彼氏こそいないが、クラスの女の子の中では群をぬいて可愛いだろう。
二年生になってクラス替えをした時に、始めて話した。今では親友の女の子。
真っ白いワイシャツの袖を折り、チェックのスカートに入れている。
少しだけ透けた水色の下着はアピールなのだろうか。……多分わざとだろう。

川 ゚ -゚)「キャラだよ、キャラ。そういう位置なんだ、私は」

ξ ゚⊿゚)ξ「どんな位置よw」

(* ゚ー゚)「須奈空。才覚に溢れ、容姿淡麗である。
      また学力や知識では他の人間の追随を許さない程。
      ……確かに、キャラ位置は普通じゃないよねーw」

この娘はしぃ、クラス委員長を務める女の子。
二つに結ったポニーテールに、真っ白いベストを着ている。
彼氏はいるが、何よりも特筆すべきはその両胸だ。
おっぱいがいっぱい。じゃなくて、おっぱいがでっかい。
子供っぽい笑顔も手伝って、男子の人気は高かった。

川 ゚ -゚)「誉めても何も出さんぞ。……冗談にも程がある」

(*;゚ー゚)「今のが冗談な訳ないでしょ……天然というか……無自覚というか」

ξ;゚⊿゚)ξ「ホントに人気だってわかってないのかしら……」

私の名前は須奈空。すな くう、と読む。
周りからはクーちゃん、とかクー、とか呼ばれてるごく一般的な女だ。
強いて違うところをあげるとすれば、片想いの男の子がいるって事かナー。

そんな訳で彼女らと別れ、自分の家へ帰ってきた。
ふと部屋で飼ってる小鳥を見ると、かん高い声で鳴いている。
もう2才になるオカメインコで、元気盛りだ。
赤い毛のほっぺたが気に入って飼い始めたこのペット。
最近はめっきり外に出していないので、羽が動かないようだが。

名前はピヨすけ。彼の鳥と、同じ名前にした。

1_20091229190932.jpg



川 ゚ -゚)「お前はいつも可愛いな」

小鳥は人間と違って、毎日見てても嫌になる事はない。
特別仲の良い二人でさえ、時には嫌になることはある。
だが、この小鳥という動物にはそんな感情は抱かない。

川 ゚ -゚)「ピヨすけ、こっちおいで」

籠を開けて、こちらに来るよう促す。
最初は躊躇していたが、意を決して羽ばたいて来た。


――だが。


川;゚ -゚)「うわ!」

上手く飛べずに、落下してしまった。
ピヨすけは羽の力が弱いとかで、飛ぶことが出来ない。
だけど飛ばせる練習をさせれば、飛べるようになるかもしれないらしい。
ピヨすけはめげずに歩き、こちらへやっと到着した。

川*゚ -゚)「はは、お前は本当に可愛らしい奴だな」

飛べなければ鳥ではないのだろうか?
鳥でなければピヨすけではないのだろうか?
違う。きっと、飛べなくとも鳥でなくとも、ピヨすけはピヨすけなんだ。


川 ゚ -゚)「さ、戻るか?」

ピヨすけを籠に戻し、ベッドに腰掛ける。
夕方か。そんな風に外をみつめ、物思いにふける。
窓を開け放ち、夏にしては涼やかな空気を入れ込む。

川 ゚ -゚)「……ドクオ」

我が愛しき男子の……じゃなかった。
私が好きな男の子の名前を呟いたりしてみる。

そんな自分に照れて、笑ったりして。
自分がキモいけど、そんな時間でさえ無為だとは思わなかった。


ドクオ。


無愛想だし、カッコよくはないし、一部の男子からちょっかいも受けてた。
だけど、それでもドクオが好きなんだと、自分でわかってる。

安い言葉だけど、愛している。
心の底から、ドクオの事を。


川´ -゚)「……んぁ」

いつの間にか、寝ていたらしい。
昼寝……いや、夕寝はあまりよくないんだがな。
寝てしまったものは仕方ない。寝起きの挨拶でもするか。

川 ゚ -゚)「おい、ピヨすけ。起きなさい」

いつも私は、眠りから目が覚めた時にはピヨすけに挨拶をする。
そうすれば、何か気分が良くなってくる気がするからだ。

川 ゚ -゚)「ほら、寝てちゃ駄目だろw」

餌箱の上で寝ているピヨすけを起こす。
籠を開けて、掴んでみた。でも、反応がない。

川 ゚ -゚)「ほら、起きなさい」

反応がない。

川 ゚ -゚)「ほら、……ピヨすけ」

反応がない。

川 ゚ -゚)「……え?」


長い沈黙の後に、緊張の糸を切り、叫ぶ。

川;゚ -゚)「うわあぁぁぁぁぁぁああああああ!!」


落ち着くまでには、しばらく時間がかかった。
私は、どのくらいの時間泣いていたのだろうか。
ただただ、ベッドの枕を涙で濡らして。
ご飯だって食べてない。もう夜中の3時だけど、寝れない。

川 ;-;)「うぁ、うぐ、ひっ、っぐ……」

ピヨすけが死んでいるのを見てから、亡骸を庭に埋めるまで。
自分でも恐ろしいと思う程早かった気がする。

亡骸を、ティッシュを詰めたお茶の缶にいれて、それを庭に埋める。
土を被せて、二度と会えないのを理解してから、やっと泣いた。

川 ;-;)「ぴ、ピヨす、けぇ……」

母が昔飼っていた鳥も、急に死んでしまったという。
その時死んでしまった死因は、恐らくショック死。
猫が鳥を威嚇してすると、鳥はそれにびっくりして死んでしまうらしい。

多分、ピヨすけもそうだろうと言っていた。
私が窓を開けていたから、ピヨすけは死んでしまった。
そう考えると、渇いたはずの涙がまた溢れてきた。


川 ゚ -゚)「……」

幾分か、落ち着いてきた。
鳥籠や餌箱に水箱も、全部洗ってある。
掃除は、母がやってくれた。役立たずな、私に変わって。

川 ゚ -゚)「……」

明日は仮病を使おう。

そして、ドクオに会いに行こう。

どうすればいいのか、聞きに行こう。



それだけ決めて、今日は寝る事にする。
寝れないけど、寝るしかないと思って。




川 ゚ -゚)クーは選択肢を間違えたようです


2_20091229190932.jpg




……その日私は、夢を見た。

真っ暗な場所で、誰かが囁くような。

誰かが私に話しかけてくる、不思議で変な夢だった。


『ピヨすけは、死んでしまったモナ』

『君は、あまりに自分を責めすぎているモナ』

『それでも自分が悪い、と締め付けるのであれば――』

『――後悔しているのなら……戻ればいい』

『ドクオがいた時に。ピヨすけがいた時に』

『その為の力は、君にあげるモナ』

『いらなくなれば、返してくれればいいモナ』

『でも、"たられば"の世界はいいもんだモナ』

『甘く、夢のような一時を――モナ』


川 ゚ -゚)「ん……」

目が覚めた。腫れぼったくて、重たい。
内容はよく覚えていないが、変な夢を見た気がする。

川 ゚ -゚)「……挨拶、出来ないな」

恒例となった寝起きの挨拶。する相手は、いない。

川 ゚ -゚)「大事だったんだな」

当たり前の事を、つい口に出してみる。
しかし、このまま悲観してぼうっとしてる訳にもいかない。
彼のところへ行かなければ。彼は、いつもあそこにいる。

ドクオの元へ、急ぐ。

今更頼られて、彼もさぞ迷惑だろうな。


川;゚ -゚)「……はっ、はっ」


家から彼が待っている場所へは近い。
だけど、早く会いたい気持ちが先行して、走ってしまう。
会いたい。会って、私の気持ちを聞いて欲しい。

話して、これからどうすればいいのか聞きたい。
他力本願というのは自覚している。だけど、頼りたかった。


川;゚ -゚)「もう、最後にあったのは二ヶ月前かな」


忘れるはずもない、一年前の7月。彼はその場所に行った。
……もうすぐ、丁度一年の記念日だな。


川 ゚ -゚)「……ふぅ」

風が木を揺らし、葉を揺らす。
その音だけが辺りに響き、心の奥底まで反響する。

川 ゚ -゚)「ドクオ……再来週には綺麗にしてやるからな」

ぼうぼうに雑草が生え散らかっている、霊園の周辺。
その端っこに、ドクオはいる。私の好きな、ドクオが。

隣にちょこんとある小さい墓には、『ピヨすけ』と書いてある。
それは私のピヨすけとは違う、ドクオのピヨすけ。
そのピヨすけを彼は、不器用ながらも大事に育てていた。


3_20091229190932.jpg



川 ゚ -゚)「押し付けてしまって……悪かった」


さぁっ、と葉擦れの音がする。
天気は良好。日差しのやわらかい匂いがする。
確か去年は、もっともっと暑かったと思う。

脳裏には、あの日の映像が音も無く流れている。
私は自然と、嫌なはずの過去を思い出していた。


あれは去年、私が高校生一年生だった頃の夏。
私はしぃと二人で、いつも通りの登校をしていた。


―――
――



川 ゚ -゚)「……今日、体育大会の班決めだってな。適当でいいのに」

(* ゚ー゚)「えー、私はギコ君と話せるから大歓迎だけどなぁ。
      クーは絶対にリレー出ないと駄目だからね?」

川 ゚ -゚)「いやだ。 というかだな、ギコとお前は喋り過ぎだ
     周りは一歩引き気味だぞ。私も含めてな」

(* ゚ー゚)「えー、らぶらぶしてた方がいいじゃんかー。
     ……そういえばさ。クーも高校生になったし、彼氏ぐらい作っちゃえば?
     毎日が笑いの渦だよっ! 冗談ぬきで!」

川 ゚ -゚)「む、彼氏……」


しぃはいつもギコ君、ギコ君、とかなんとか。
あまり人前でべたべたしないで欲しいものだ。
毎日のように日記のような事をつらつらつらつら……
私にはそんな事に興味がないから、チラシの裏にでも書いていて欲しい。

(* ゚ー゚)「そうだよ! 彼氏! この際、誰でもいいから……」

川 ゚ -゚)「それはない」

(*;゚ー゚)「……むっ、強情っぱりだなぁ、クーちゃんは……
      中学の時から、彼氏出来たらダブルデートしようって決めてたじゃんかー」

川 ゚ -゚)「出来たら、な。作る気はさらさらない」

(* ゚ー゚)「やっぱりクーちゃんは、男の子に興味が無いよねぇ。
      ま、自分より強い男がいないから興味が沸かないのも仕方ないけど」

川;゚ -゚)「それなんてプリフェ?」

別に、男という存在に興味が無い訳じゃない。
彼氏という存在があっても、いいのかもしれない。
だが、無理に作って彼氏と言えるのかどうか……
そういえば、しぃは作ったのか? それとも、出来たのか?

川 ゚ -゚)「なぁ、しぃは――」

(* ゚ー゚)「あぁーっ!」

川;゚ -゚)「ちょw……えっ?」

急に叫び声をあげ、校庭の隅にある木に走り寄るしぃ。
何事かと思い、走ってついていった。

(* ゚ー゚)「……」

川 ゚ -゚)「どうしたん……」

声を掛けかけて、気付いた。
目の前に、親鳥と思わしき鳥が倒れている。
いや、すでに死んでいたといった方が正しかった。

川;゚ -゚)「! 鳥か……死んでしまっているな……」

(*;゚ー゚)「可哀想……」

見た目では死因はわからないが、死んでから少し経っているらしい。
何かの虫が少しだけ沸いて、鳥を蝕んでいるのが見える。

(*;゚ー゚)「……っう」

しぃはあまり、そっち方面は得意じゃない。
小学校の時には、校庭にいたバッタを背中に入れられ、泣いた事があった。
中学生になってからも、虫の死骸を見て、もどしていた事さえあった。

(* ゚ー゚)「……っ」

親鳥は冷たくなり、目が飛び出てしまっている。
しぃはハンカチで鳥を抑え、茂みまで運んでいった。
見るに堪えなかったが、しぃは「自分でやる」といって聞かなかったから仕方ない。
私はその間に職員室までスコップを取りに行き、二人で鳥を埋葬し終える。

川;゚ -゚)「……大変だったんじゃないか?」

(* ゚ー゚)「……うん……」

さぁ、行こう? そう声を掛けて、校門へ向かう。
しぃも遅れながらついてきて、やがて並んで歩いた。
……だが、途中でまた何かに気付く。今度は、私が。

川 ゚ -゚)「……」

(* ゚ー゚)「どうしたの? 早く行こう?」

川;゚ -゚)「い……いや、あれを見てくれるか」

そう言って、木の枝の密集地帯を指差す。

(* ゚ー゚)「んー……あれ?」

川 ゚ -゚)「あれだ」

(*;゚ー゚)「……」
川;゚ -゚)「……」


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指差す先には、小さい巣に小さい小鳥。
さっきの鳥が親なのかはわからないが、恐らくそうだ。
だとすれば、自分達は何をするべきか、を考えた。

川 ゚ -゚)。o O(と、言うわけで何とか持ち込めたが……これからどうする)

(* ゚ー゚)。o O(ど、どうするっていったって……飼う?)

川 ゚ -゚)。o O(私が飼う)

(* ゚ー゚)。o O(私が飼う!)

川 ゚ -゚)。o O(どうぞどうぞ)

(*;゚ー゚)「えぇっっ!? む、むりだよ!」

せっかくひそひそ声で喋っていたのに、しぃが大声をあげてしまった。
担任のデカ鼻は、体育大会の種目決めをしている最中。
そんな時に目立ってしまうなんて、どうみても自殺行為だった。

(;`_∪´)「うわ!」

( `_∪´)「……クーとしぃ、さっきからお前らうるさかったな
そんなにやりたいなら団体リレーは任せるけど、大丈夫だよな?」

担任が黒板の『団体リレー』の箇所に私達の名前を書いていく。
これは痛い失敗……もうわかった。間違いなくこの体育大会はつまらなくなる

川 ゚ -゚)。o O(……もういいや、この鳥の話に戻ろう)

(* ゚ー゚)。o O(ウチは無理だよ!? ペット家族だから……)

川 ゚ -゚)。o O(だったらなおさらいいじゃないか。
         この際一、二羽増えたってそう変わるもんじゃないだろう)

(* ゚ー゚)。o O(飼ってるペットが普通ならそうかもね。
         ……コホン。お母さんはトカゲにイグアナ、お姉ちゃんはモルモットにハムスター、
         お父さんはシェパードにパピヨン、弟はカブトムシにクワガタに、妹は……)

川;゚ -゚)。o O(十分わかりましたお嬢様! もうおやめ下さい!)

(*;゚ー゚)。o O(ちょwww……じゃあさ、クーが飼えばいいんじゃないの?)

川 ゚ -゚)。o O(ん、それでもいいんだが……マンションだからな。
         隣が大家だし。再来月には一戸建てに引っ越すから、
         それまででもしぃが飼っていてくれれば……)

それでも、もしもの時は飼うつもりだった。
だけど、しぃに押しつけるのもやはり違う気がするし……

('A`)「クーさん、さっきから何の話してんの?」

(* ゚ー゚)「あっ、ドクオ君」

うーむ……やはり、飼う度胸が無ければ拾うなということなのか?
だが、見捨てるのも何か違う気がするし……

(* ゚ー゚)「あれ? みんな何してんの?」

('A`)「ああ、種目決め。俺は勝手にムカデ競走になったし、
    二人はさっきリレー代表に決まったから大丈夫だよ」

(* ゚ー゚)「そっか。……あ、そういえばドクオ君に頼んでみようかな?」

('A`)「え? 何かあるの?」

もし万が一、二人とも飼えなかったら?
その時はどうすればいい。どーすんのよ、私!

(*#゚ー゚)「 ク ー ! 」

川;゚ -゚)「いっひゃあ!!!」


川;゚ -゚)「な、な、何をする! そこに直れ!」

(*#゚ー゚)「違うし! ……ドクオ君に、話してみない?」

(;'A`)「なんか出来る事あったら、言ってよ。
    雑用とかでもおkだしさwww何でもどうぞー」

川 ゚ -゚)「あ、ああ……」

他の人を巻き込んでしまって、大丈夫なのか?
それこそ、迷惑を振り撒いているだけじゃ?

('A`)「やっぱり、話せないか。……ごめんね」

くっ! 女は度胸。何でも言ってみるもんさ。
どうせ駄目元だ、これで駄目なら腹を割ろう。



<10分後>



川 ゚ -゚)「……と、いう訳なんだ」

(* ゚ー゚)「……それでね、この子がその小鳥だよ」

(*'A`)「可愛いなぁ。全然いいよ、俺が飼う。それでおkなんでしょ?
     一応カブトムシは育ててるから、飼育経験はありだぜ」

(* ゚ー゚)「カブトムシ……」

川 ゚ -゚)「……引き受けてくれるのか、ドクオ君!
     本っ当にありがとう! 感謝するよ!」


反射で、彼の手を握る。心なしか、あったかい。
それに、まさかこんな簡単に引き受けてくれるとは思わなかった。
案外、結構気さくな人だったみたいだし。
いつもはクラスの男子に溶け込んでいなかったけど、
私達が話す分には暗いどころかむしろ、明るかった。


(*'∀`)「い、いや、別に普通だよ。困ってたんでしょ?
     あ、あとさ、俺の事はドクオって呼び捨てでいいよ?」

川 ゚ -゚)「あ、ああ、ド、ドドど、ドクオ」

(* ゚ー゚)「……w」



川 ゚ -゚)「ドクオ。ピヨすけの調子はどうだ?」

('∀`)「聞いてくれよ、昨日の夜にさぁ……リボン付けたんだ。
    赤くて柔らかいやつ。足首のとこにちょこーんってw」

川*゚ -゚)「そうかwwwそれは可愛いなwwww」

毎日のようにピヨすけの話題で話す。
飽きるどころか、毎日がどんどん楽しくなっていた。


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川 ゚ -゚)「それにしても、あんまり鳴かない良い子だったんだな。
     さては今も、鞄の中にいるんだろう?」

('∀`)「うんww真っ暗闇だけどねwww」

川 ゚ -゚)「だが、ピヨすけもお前と一緒で嬉しいみたいだな。
     うらやましいなぁ。チュン、って鳴くんだろう?」


ドクオは、いわゆるいじめられっ子だった。
理不尽に殴られたり、蹴られたりしている。
私がそのDQNに言ってやるといっても、彼は男のプライドを捨てはしなかった。
安くて、それでいて頑丈な彼のプライドに、私は負けて。


私は、そんなドクオに恋愛感情を抱いていた。
毎日の楽しさや充実感は、そこから来ていたのかもしれない。


でも、ある事件をきっかけに彼は学校に来なくなった。

それは、私が原因。しぃもだろうけど、私が一番の原因。



気付けなかった。よく考えれば、わかる事だったのに。

毎日のようにピヨすけの日記を書いていたドクオ。

ちゃんと育てるために、飼育本まで買っていたドクオ。

彼がそんなことをするはずがないって、わかってたはずなのに。



私が彼を突き放した日。

その日から、彼は学校に姿を見せなくなった。

川 ゚ -゚)「ドクオ、昨日は休んでたよな。
     メールだと、風邪だったらしいけど……ピヨすけも預かってたし」

(* ゚ー゚)「えーっ、お見舞い行ってあげた!?」

川 ゚ -゚)「いや……?」

(* ゚ー゚)「あー、やっぱしね。だから彼氏出来ないんだよ」

川 ゚ -゚)「?」

(* ゚ー゚)「そんなんじゃ駄目ってことですよ姐さん。
     好きなら好きで、もっとアピールしないと!
     ドクオ君って、「話してみたら案外気さくでいい人だわ」
     ってな感じでギャップが魅力な人だから、
     他の人にチャンスが回る前にげっとしとかないと! ね?」

川;゚ -゚)「いや、好きとかじゃないんだが」

(*#゚ー゚)「あぁあー! うじうじしやがって!
      わかってない! 自分の気持ちを全くわかってない!」

というか、好きと言うのが何故かためらわれた。
恥ずかしいような、認めていられなかったような。

日々が楽しいのは、ピヨすけのおかげだって決め込んでいた。
自分ではわかってたけど、どうにか押さえていた。
意味があるかないかではなく、本能が、とでも言おうか。


夏の日差しが、灰色のアスファルトを照らす。
まだ7月だが、立派な夏日だと天気予報で言っていた。

川 ゚ -゚)「あ、もうドクオ来てるみたいだな」

ゴミで汚いドクオの下駄箱を見て、そう呟く。
二日に一回は掃除してあげてるのだが、DQNは汚くするのが好きらしい。

無論、掃除をしてるところを見せて同情を買う事はしていない。
ドクオは、それさえもしてくれるな、と言っていたから。

少し前までの私なら、確実に断り、直談判をしに行っていた。
だが、今では彼の言うことを自然と、そして素直に聞いてしまう。
何故だろうか。答えは薄々出してはいた。

私は真っ白い上履きを履いて、クラスに向かう。
しぃは軽いステップで階段を駆け上がっている。

(* ゚ー゚)「そういえばクー、ピヨすけ持ってきた?」

川 ゚ -゚)「あぁ、なんか昨日の六時間目の体育中にいなくなってたんだ。
     で、クラスの男子どもに聞いたら、ツンが持ってったらしい」

(*;゚ー゚)「え!? 大変じゃん!」

川 ゚ -゚)「いや、ツンはドクオの幼なじみらしいから……
     ちゃんと届けたんだと思うぞ。実際に聞いてはいないが」

しぃはそっかぁー、と答える。
確かに、違うクラスであまり面識がない娘が持っていく。
それは疑心せざるを得ないのだろう。
しぃだってピヨすけを可愛がっていた。その親心から来る心配は、私も嬉しい。


毎度の事ではあるが、クラスが騒がしいのが聞こえた。


……恐らく、ドクオがまたやられているのだろう。
でも私が入って行けば、一時的にでも騒ぎは収まる。

私達は、見たくもない映像を見に教室へと駆けて行った。

「うっわ……キモいんだけどぉ……」
「誰か捨ててこいよ、マジ汚ぇって」

ドクオは騒ぎの当事者では無かったのだろうか。
呆然と、黒板前の教卓を見つめている。
その視線の先を確認すると、しぃは泣き出してしまった。

川;゚ -゚)「えっ?」

(;'A`)「!」

ドクオが私に気付き、じっと見つめる。
私は視線を反らさずに、教卓を見つめている。

(*;ー;)「ピヨすけぇ!」

体の左半分が殆ど無いピヨすけが、そこにはいた。
認めたくない気持ちと、視界のおぞましさが戦う。
だが、右足に巻いてある赤いリボンという存在が、私の頭にある理性を殴りつけた。

川 ゚ -゚)「なぁっ……」

しぃはいつかのハンカチを使って、ピヨすけだったモノを持つ。
号泣しているしぃに、クラスは戸惑いを隠せないでいた。

私は視線の対象ををドクオに移す。
まだ涙は出てこない。ドクオが流していないから。

川 ゚ -゚)「あれ、なんだ?」

ドクオに問いかけると、間髪入れずにDQNが口を出す。
信じがたいけれど、あり得る内容だった。

DQN1「お前、俺らにいじめられたからってさ……
     やつあたりとかって、していいもんじゃねぇだろ!?」

DQN2「そうなんです! 確かに、いじめてた僕らも悪いんです。
     だけど、生き物の命をもて遊ぶなんてしちゃいけないんです!」

そんな事をドクオがする訳がないって言い聞かせる。
でも、脳裏には忘れがたい映像が未だに流れている。
ドクオを信じきれない、自分が信じられなかった。

(;'A`)「……なっ」

DQN1「なぁー!?」

(;'A`)「……っぐ」


顔を伏せて、黙っているドクオ。
何か言いたそうな素振りを見せるが、それを飲み込んでいる。
その内容が謝罪なのか弁明なのかは、まだわからない。


……嘘なのだろう? 早く、嘘だと言ってくれ。
でなければ、私はお前を嫌いになってしまうから。
本当の事を、包み隠さずに教えてくれないか……?


問いかけの声には、全く反応がない。
躊躇いや戸惑いではなく、諦めの表情が、ドクオには浮かんでいた。

('A`)「……」



……彼は、何を聞いても何を責めても黙っている。
そうか。それは、肯定のサインなんだろうな。
わかったから、少しだけ喋る時間をくれ。

パァン、と高い音が、静まりかえった教室内に響く。
当たり前だ。何しろ、渾身の力でビンタをしてやったから。

(メ'A`)「……」

川 ;-;)「お前などの顔、もう二度と見たくはない!」

しぃはまだ泣いている。両手で、ピヨすけを持っている。
しぃだって、ピヨすけを可愛がっていた。
そう考えれば、今の私にも涙が出てくるのは当然と言える。

川 ;-;)「殺してやりたいくらいだ!
      さっさと消えろ! 二度と学校に来るな!」


6_20091229190931.jpg



事情を知らないクラスメートには、痴話喧嘩に見えたのだろう。
知ってか知らずか、堪えるような笑いも聞こえる。
もう一度反対の頬をビンタしてから、私としぃは教室を出た。


('A`)「……」


「見たー? ふられたよw」
「ドクオだしねー。妥当なところでしょw」

生気を失っていたドクオの目には、気付かなかった。
それから一生、その澄んでいた瞳を見ることは出来くなる。


川 ゚ -゚)「……」

『ドクオ、最近不登校じゃね?wwww』
『流石に来れないだろwwwwwこれで来れたら大したもんっすよww』

(* ゚ー゚)「クーちゃん」

『クーと喋ってたから、変だとは思ってたんだよなぁ』
『結局はクー狙いで話しかけてたって話じゃん?』

川 ゚ -゚)「……」

『てか、鳥をぶち殺すとか酷すぎね?』
『なんか、噂によると振られたかららしいよー……』

(*;゚ー゚)「クーちゃんてば」

川 ゚ -゚)「……」

『クーも災難だったよなー、あんな奴に目ぇつけられて』
『ま、元からイジめられてたからしょうがないんじゃん?』

(*;゚ー゚)「クーちゃんってば」

川 ゚ -゚)「……聞こえてる」

こんな話題も、また一週間程したらすぐに無くなっていた。
仮にもクラスメートだった人間が一人、いなくなったから。

その元の原因を作り出してしまったのは、他でもない私だが。


ピヨすけが死んでから一週間後、ドクオはこの学校の屋上で自殺をした。

みんなは、いじめを苦にして自殺したと言っていた。

川 ゚ -゚)「……」

だけど多分、あいつが死んだのはピヨすけを殺した罪悪感が理由だろう。

確かに私の心は痛んだ。
まがりなりにも、好きだったと思うから。


でも。


あいつはピヨすけを殺したから。そう、割りきった。
割りきったはずなのに、それでも時折、涙は出ていたが。

その事件の真相を知る頃に、また涙は流れる。
二ヶ月程経った頃。確か、放課後だったと思う。


「なぁ、クー」

事件が落ち着き、秋になりかけている季節の変わり目。
体育大会も無事終わり、スキー旅行の話が持ち上がる時期。
あの時のDQNが、久しぶりに私達へ声をかけた。


川 ゚ -゚)「……なんだ?」

DQN1、2「あの、さ」


まず最初に浴びせられたセリフは、「ホントにごめん」。
意図も意味もわからない私は、理由を聞く。


川;゚ -゚)「……!」
(*;゚ー゚)「……えっ」


しばらく、声が出なかったと思う。
DQNはひたすら謝ってきたが、そんな言葉は耳に入らなかった。



ピヨすけを殺した悪者は、ドクオのはずだった。

だから私はあいつを突き放し、話も聞かなかった。

それは、間違いだった? その選択は、間違いだった?


『あの小鳥を殺したのは、俺らだったんだ。
妙にお前ら二人と仲良くて……なんかムカついて……』

ふざけるな。

『だから、共通の接点を無くそうと思って殺してみたんだ。
ドクオも威嚇して、何も言わせなかったのも俺達だよ。
たまたまお前らがドクオから預かってんの見て……
ツンがドクオん家に届けに行ったってのも嘘だったんだよ』

じゃあ彼を自殺においやったのは誰だ?

お前か? それともお前か? 違うならしぃか?


『殺してやりたい』
『二度と顔を見せるな』


――私だ

――私が殺したんだ



――
―――


川 ゚ -゚)「……」

柔らかな空気が、濡れた頬をなでてくれる。
こじんまりとした墓にすがりつく形で、私は泣いていた。

どうも、思い出というものには弱いらしい。
二羽のピヨすけを思い出し、また泣き出す。

本来ならば学校に行っているはずの時間帯だ。
声を出そうと、大して弊害はないだろう。

川 ゚ -゚)「……」

それでも、大声で泣けはしなかった。
今更泣いたところで、何かが得られる訳も無し。
それならば、せめて問いかける形でドクオと話す方が、よっぽど建設的だから。


川 ゚ -゚)「なぁ、ちょっとだけ話を聞いて欲しいんだ」

川 ゚ -゚)「昨日、ピヨすけが死んじゃったんだ。
     ああ、このピヨすけとは違うんだ。あれから新しく、飼い始めたんだよ」

自分でも痛々しいのは承知している。
何か答えが返って来るはずでもないのに、質問をしている。
まるで変人――いや、すでに変人なのだろう。

川 ゚ -゚)「また、私のせいで死んじゃったんだ。
     君のピヨすけも、君も、私のピヨすけも、みんな。
     みんな、私が殺してしまったんだよ」

時間はいくらでもある。
君なら、いつまででも付き合ってくれるだろう?
ホントに優しくて、ホントに強かった君なら。

また思い出してしまった。

ピヨすけの替えのリボンを一緒に買いに行った時。
何時間も色んな種類を探していたけど、結局同じのを買った。
君は、アイツには赤が似合う、とばかり言っていたな。

仲良くなるのが異常に早くて、その期間が異常に楽しくて。
もっと、一緒に過ごしていたかったよ。
そんな願いが叶うのであれば、いくらでも願おう。
いつまででも、思っているから。想っているから。

だから――


川 ;-;)「あの時に……戻りたいよ……」


戻って、この気持ちを伝えたい。


愛していると、抱き締めたい。


川 ;-;)「また……会いたい」





感情によって引き出される水分が、珠になって弾ける
いつの間にか、視界は黒い世界に飛んでいた。
夢を見ているような……それでいて、温かいような。

しばらく経つと、回りの空気が現実という色を帯びてきた。
そんな空気を脳へと直に受けて、私は目を覚ます。


『モナーの奴、急に呼び出したと思ったらこういう事かよ。
クーだってバカじゃないんだから、一人でも大丈夫だってのに』

後頭部に固い感触。
何か、骨のような物が当たっている。

『それにしても、この墓ちっちゃいなー。
草はぼうぼうだし……どんな無法地帯だよここは』

頭の上から、声がする。
仰向けに眠ってる私の鼻を、そよぐ空気がくすぐる。

『それにしても、クーまだ寝てるよ。
……一年間会ってなかったけど、前より可愛いなぁ』

聞こえてるんだけど、そんな恥ずかしいセリフが嬉しい。
聞き間違いでなければ、心地の良い夢だ。
そうだ、聞けばいいじゃないか。それが一番簡単だ。


7_20091229191001.jpg



川 ゚ -゚)「これは、いつ覚めるんだ」

('A`)「戻りたければ、念じればいいだけだよ」

川 ゚ -゚)「夢から覚めたい、って感じか?」

(;'A`)「うん、そんな感じ。……おかしいな」

何がおかしいのだろうか?
あれから何度も、お前を夢に見てきた。
こんなにも覚めて欲しくない夢は、いつもここらで覚める。

('A`)「やっぱりおかしい。もっと驚くと思ったのに」

川;゚ -゚)「……」

周りは霊園。ついさっき……までいたはずの場所。
日差しや風、それら現実の情報が私に訴えかける。

私は黙り込み、ドクオの反応を待つ。
目を擦ってみたり、太ももをつねってみたりもした。

('A`)「いや、現実だよ」

川 ゚ -゚)「ああ、現実か」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「はっはっは、面白い夢だ、こんなにも現実味があるなんて」

('A`)「クーが俺と会いたい、って念じたでしょ。
    だから、上から降りてきたんだよ」

そう言って、親指を上に突き出す。
その先には青い空に、白い雲が広がっていた。


川;゚ -゚)「ほ、本物なななのなの」


('A`)「だからあんまり驚かなかったのか。
    せっかく来たんだから、もう少し驚いてくれないと」

川;゚ -゚)「な、なんで?」

気の抜けた声で聞き返す。
念じたから、とか言われても意味がわからない。
そんなゲームや漫画は山ほど知っていた。
だけど、実際にその状況に陥っても対処方がわからない。

('A`)「……何で会いたかったの?」

対処方はわからない。わからないけど、どうせ夢なら話していいだろう。

川;゚ -゚)「実はっ、だな」

動転してしゃっくりが出てしまった。
ドクオは、変な音を出した私を見て笑っている。
……この感じ。こんな感じが、とても懐かしい。

(*'A`)「うん」

しゃっくりを抑えてから、ゆっくり話した。
時間はある。長い間喋っていれば、ドクオと長くいられる。

もう、気持ちを出すのにためらいはなかった。


('A`)「……うん」

川 ゚ -゚)「だから、ピヨすけは私が殺しちゃったんだ」

('A`)「……それはクーが殺したとか、そういうんじゃないよ。
   それに、俺のピヨすけの事だってクーは悪くない」

川 ゚ -゚)「……でも」

('A`)「ちょっと説明臭くなるけど、ごめんね。
   上でクーを見てた時から、ずっと言いたかった事があるんだ」


黙っている私は、臆病なのだろう。
今口を開くと、涙が出てきてしまう。
そんな顔を、もう見せたくはなかった。


('A`)「俺は、あの時の事を責めたりはしてない。
    クーに説明出来なかった俺が全部悪かったし。
    クーがそのせいで自分を責めるのは、俺が嫌だ」


何で私を責めてくれない。
どんな罵倒でも、恨みつらみでも、甘んじて聞くつもりだった。
涙腺の強度が限界だから、もうやめてくれないか。


('A`)「クーに殴られた時、嫌われたって思ってた。
    ……でも、それでも好きって言ってくれたのは、嬉しかった。
    けど、君が俺の事をどう思おうと、現実の俺には何も出来ない。
    死んだ人間の事なんか忘れて。墓だって忘れていい。
    ……クーを俺の糸で縛るのは、嫌なんだよ」


私は顔を歪ませて、必死に涙を堪える。
歯を食いしばって、目を瞑り通す。


('A`)「でも、俺さ」

言わないでくれないか。
もう、耐えられる自信がないから。
壊れてしまいそうだから、その先は――





('∀`)「クーの事、好きだったんだ」






風が、私達を見て笑っている。
さやさやと、木を揺らして拍手してくれている。

ドクオの胸に抱かれた私は、堪えきれずに涙を流した。
夢じゃないのが、これでやっとわかった。
あったかい、ドクオの匂いが私の鼻孔を満たすから。

それだけで、私は幸福って単語を実感できる。
簡単だけど、もう今日を最後に感じられないのだと、気付いた。

('A`)「これは――ある神様の話なんだが……
    人間の一生ってのは、始まりと終わりは"宿命"として決まっているらしい。
    だけど、生まれてから死ぬまでの通り道は選べる。
    いくつもある道を選んで、それを信じて進むんだ」

私を抱き締めたまま、ドクオは喋り出す。
最後の言葉を、噛み締めるように味わっていく。

('A`)「だから、俺やピヨすけが死んだのは誰が悪いとかじゃない。
    クーやしぃが、罪悪感なんか感じる必要はない」

川 ;-;)「じゃ、じゃあ、今まで私は、道、を、間違えて、来たの?」

顔を真っ赤にして目を泣き腫らし、彼の胸に顔を埋めたまま問う。
真っ昼間から抱き合う男女は、この上なく不審だろう。


('A`)「選ぶ道には、ちゃんとした間違いなんかないよ。
    ……数ある選択肢が良いか悪いかは、自分にしかわからない」

川 ;-;)「……うん」

('A`)「少なくとも、あの日クーに話しかけた俺の選択はさ。
    それのおかげでピヨすけと出会えた。クーやしぃと友達になれた。
    だからあの日俺がした選択は、間違っていないって言い切れる。
    ……クーには、自信を持って欲しい。自分の選択を、信じてみてよ」

うん、と繰り返す私の涙は、渇れる事を知らない。
終わってしまう。この時間が、終わってしまう。
離れたくない。私はドクオを、これでもかと抱き締める。

慰めるように私の頭を撫でてくれる、ドクオ。
一際強い風が、私の長い髪を揺すった。

('A`)「ピヨすけの墓、ここにしてくれてありがとう」



その声――彼の最後の音色は、私の頭にずっと響いていた。
最後に愛していると言われたかった私は、欲張りなんだろう。
終末の涙は、霊園のアスファルトに黒い染みを作る。

染みはすぐに無くなるだろうが、私の記憶は無くならない。
そんな事を、遠のく意識のなか、思った。


8_20091229191001.jpg



『ドクオの気持ち、わかってくれたモナ?』

『わかってくれたなら、神様甲斐があったってものだモナ』

『今から目覚めて、すぐに答えを決める必要はないモナ』

『早い方がいいけれど、ゆっくり考えるのもまた一興だモナ』

『そう考えれば、自然と答えは出るはずだモナ』

『力は、もういらないみたいだモナ?』

『でも大丈夫。また欲しくなったら、呼んでくれモナ』

『それもまた、一つの選択肢だモナ』

『僕は、君を心の底から応援してるモナ』



『ハァ……最近はいいカップル多過ぎだモナ……』


9_20091229191001.jpg




川 ´-゚)「……」

川 ゚ -゚)「……はっ!」

もう、夜になっていた。
突然の場面転換に、頭が混乱する。
慌てて携帯の時計を見ると、短針が3を指している。

川;゚ -゚)「あ、れ? さっきまで、ドクオが……」



そばにいたはずなのに。

すぐそばで、抱き締めてくれたのに。

夢なんかじゃ、ないはずなのに。


川 ゚ -゚)「なんで、公園なんかで寝てたんだ……?」

考えていても全くわからなかった。
仕方ないので、霞む目をこすりながら歩き出す。
進む足の方向は、私の家だ。

川 ゚ -゚)「ただいま」

深夜に帰って来た私に、親はびっくりしてた。
理由を話すのは、明日でもいいだろう。
自分でさえわからないけれど。それに、今はそんな気分じゃない。

川 ゚ -゚)「ごめん、しばらく部屋には来ないでね」

私はこういうキャラなんだ。
クールで、知的で、芯の張った人間。

そんな人間が泣いているのを見られるのは、イメージダウンだ。

だから、少しぐらい強がったっていいと思わないか?

なぁ、ドクオ。そうだろう?


『俺は、あの時の事を責めたりはしてない。
君が俺の事をどう思おうと、現実の俺には何も出来ない。
だから、君を見えない糸で縛るのは、嫌なんだよ』


川 ゚ -゚)「まさか……会えるなんて、思わなかった」


ましてや、ああ思われてたなんて知らなかった。
好きだった事も、忘れられなかった事も、筒抜けだったなんて。


川 ゚ -゚)「今も、見てくれているのか?」


多分、見てくれている。
彼は、優しいから。
ピヨすけがうらやましいな。

こんなにも優しい彼に、想われていたのだから。


川 ゚ -゚)「私は……間違っていたんだ」


彼と話して、ドクオやピヨすけと会える。
そんな事が出来たとしても、本当はするべきじゃなかった。

過去への固執は、時としてただの現実逃避になる。
私の場合は、まさに現実から目を背けてた。

あの夢を見た時から、なんで気付かなかったんだろうか。
普通じゃないあの能力を、やすやすと使うなんて。

ここで立ち止まっちゃいけないって、わかった。
それは多分、君のおかげだ。ドクオ、君の。



私は選択肢を間違えていた。

いくつも、無限大にある選択肢の中で、一番楽な選択肢。

それは一番楽であり、一番選んではいけない選択肢。



でも、やっとわかったんだ。

これから先を決めるための選択肢は、もう決まったから。



川 ゚ -゚)「……明日は学校だ。行かなければならない。
     歩き始めなきゃ、ピヨすけだって許してくれないよな」



これが私の選んだ、選択肢。
例え君がなんと言おうと、曲げはしない。
良いか悪いかは、私が決めるんだものな。


だから、ドクオ。

私はキミを忘れない。


心の引き出しに、キミとの思い出を入れておく。

だから、私を見守っていてくれ。
今までよりも、ずっと強く。

キミがやきもちを焼くぐらい、幸せになるから。

キミが安心出来るように、頑張るから。




……キミの事を、ずっと想っているから。







違うピヨすけを育てあった、"友"として。






川 ゚ -゚)「君が教えてくれた事、忘れはしない」

――だから。

川 ゚ー゚)「上から、私を見護っていて欲しいんだ」








あの日と同じ匂い。あの日と同じ、風が吹く。


ありがとうって、聞こえた気がした。




10_20091229191000.jpg






川 ゚ -゚)クーは選択肢を間違えたようです

        ~Fin~






この小説は2007年2月26日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者は◆b1aVHTsuCs 氏
記事元は面白蛇屋さんになります



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[ 2009/12/29 19:16 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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