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三丁目の('A`)ドクオ達のようです 第二十二話


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




例えるなら、私らは山に登っていたんじゃない。
飛び越えられない崖に向かって飛び込んでいたのさ。
空も飛べない私たちには、岩とハグして肉団子になる道しか残されていない訳だよ。


かつて奴がこぼした、皮肉と自嘲に満ちた台詞。
この言葉をブーンが知っているはずもない。

もしこれをこいつが聞いていたら、何と答えたろう。
奴の説いた俺達が抱える虚しさと絶望に、一体何と答えたのだろう。


('A`)「──……あんだって?」

一言、口を開く。
耳がひくりと痙攣する。

( ^ω^)「だから、飛ぶんだお」

('A`)「今あんまし冗談聞きたい気分じゃねーんだよな……」

鼻をこれ見よがしに鳴らし、耳の裏を爪で掻く。
ブーンは俺の苛立たしげな仕草を見ても、髭一つ動かさない。

( ^ω^)「wwww冗談嫌いなドクオなんてドクオじゃないおw」
( ^ω^)「まぁ、ぶっちゃけ言えばアレだお。他の建物に飛び移ろうぜって話だお」

('A`)「…………」



1_20091229115721.jpg


第二十二話 六月十九日


瞼を半ば下ろし、近場の排気口か何かの台に乗り、周囲を睨みつける。
この建物もそれなりに高いが周囲のテナントビルは更に高く、飛び移れそうな場所は無い。

向かいにある車線を挟んだこぢんまりとしたボロアパートのようなビルが、
唯一この建物より低いそれだった。

('A`)「あそこに飛び移るってのか?」

( ^ω^)「だおだお」

('A`)「……馬鹿ぬかせ、出来る訳ないだろうが」

( ^ω^)「この段差と距離なら、出来るお」

至極あっさりと返してくる。本当かよ、マジで遠いんだけど。
猫の跳躍力は確かに相当なものがあるが、
ビルからビルに飛び移ろうとしたようなムササビ野郎は見た事が無い。

('A`)「いや、万一お前が出来ても。俺無理だし」

( ^ω^)「ん。ん」

ブーンは身振りで自分の背中を示す。
……本気で馬鹿だろうコイツ。

('A`)「つまりアレか。お前は俺を背中に抱えて向こうのビルに飛び移ると」

( ^ω^)「うん」

('A`)「うんじゃねーよハゲ無理に決まってるだろうがうんこ」

( ^ω^)「じゃあ、ドクオ」

('A`)「あ?」

( ^ω^)「もしドクオが僕だったらどうしてたお?」

('A`)「いや、とりあえず向かいのビルに飛び移ろうとはしないぞ」

( ^ω^)「……そこはポーズでも良いから同意して欲しかったお」

('A`)「だって絶対やんねーもん」

( ^ω^)「……。僕だって危ない真似だって事くらいは分かるお、だけど僕にはこれしか無いんだお」

('A`)「…………」

( ^ω^)「体だけは、ずっと鍛えてきたんだお。……悔しかったから」

( ^ω^)「ひょっとしたら、今。僕が今までやってきた事が役立つかもしれないんだお」

何が悔しかったんだと、聞くのははばかられた。

ふと疑問に思う。
こいつは本当の所、頑張ればいつか空を飛べるなんて心から信じているのだろうか。
空を飛びたいという願望は、こいつにとっての何なのだろうか。

( ^ω^)「僕は、僕を信じたいお」

( ^ω^)「ドクオは僕を──信じてくれるかお?」


それはいつぞやの俺がリーダーとして吐いた、精一杯の似合わない台詞を思わせるものだった。
あるいはわざと被らせたか。
まぁ、どうでもいい。

('A`)「正直半信半疑だ。が」
('A`)「そうまで言われちゃ、信じてやらない訳にはいかないわな」

( ^ω^)「おkなのかお?」

('A`)「いいぜ、その賭け乗ってやる」

ショボンはこいつに何かを見出していた。
俺にも、こいつの認識を改める機会が回ってきたという事だろう。


('A`)「頼むぞ。ブーン」

( ^ω^)「任せとけお」


※    ※    ※

(;゚_ゝ゚)「ぎゃああああああ嫌ァアアアアアアア死ぬぅあああ!」

<ヽメ ∀ >「グォオオオオオ!!」

(´<_`;)「ちょ、兄者あんまり揺らすな落とすぞ!!」

(メ,,メ Дナ)「──」

西区の最奥部、猫の死骸に囲われた異様な空間。
俺達は重たいギコさんの首ねっこや背中をくわえ、
強引に引きずりながら化け物の猛追から逃げ回っていた。

(´<_`;)「よしこっちだ!!」

相手の視界から外れるようにガラクタの合間を抜け、
塀の隙間に逃げ込む。

(´<_`;)「な、何とか隠れられたか……?」

運良く化け物は俺達を見失ってくれたのか、ゆっくりと周囲に視線を這わせている。
息を整えていると、傍らの兄者が小声で此方に語り掛けてきた。

(;´_ゝ`)「つーか、何アレ!? アレがモナー!? 猫ってレベルじゃねーぞ!!
      何かギャザとかに出そうなデザインなんだけど?!」

(´<_`;)「尋常じゃない体躯だな、一体どんな生活を送ればああなるんだ」

単に脂肪が肥大しているのではない、鍛えられた者の体格だった。
道中で遭遇した奴らと同じ状態と化しているようだが、
動きの機敏さも力も他とは一線を画している。

(´<_`;)(西区潜入から今の今まで、サシでこれとやり合っていたのか……?)

ギコさんに視線を落とす。
見るも無惨な姿で意識を失ってはいたものの、命に別状は無いように見える。
こちらの戦闘力も驚異的と言わざるを得なかった。

( ´_ゝ`)「おい……あいつ丸くなっちまったぞ」

兄者の声に促され、塀の隙間からモナーの様子をうかがう。
モナーはガラクタを枕にして、俺達のちょうど正面にどっかりと寝転んでいた。

( ´_ゝ`)「今なら行けるんじゃね?」

(´<_`;)「馬鹿を言うな、この位置じゃ出て来た所を狙い撃ちだぞ」

( ´_ゝ`)「む、むう……ギコ担ぎながらじゃ無理か……」

(´<_` )「だが、こちらも身動き出来ないな」

隙間から出なければ、この一部を除いて閉鎖されているらしい屑鉄広場からは逃げられない。
このままでは時間を無駄に浪費するだけだ。

( ´_ゝ`)「ん、待てよ」

(´<_` )「どうした兄者」

( ´_ゝ`)「しばらくお待ちしてみようぜ」

(´<_` )「何か良い手があるのか?」

( ´_ゝ`)「まぁ見てなって」

胡散臭い兄者の横顔を眺めつつも、じっと隙間の向こうを観察する。
こういう時のこいつはそれなりに頭が回るのだ。

( ´_ゝ`)「…………」
(´<_` )「…………」
( ´_ゝ`)「…………」
(´<_` )「…………」

(メ,,メ Дナ)

二、三分ほど経っただろうか。
事態は特に変わっていない。

(´<_`;)(……ホントに何か考えてるのか……?)

(´<_` )「おい兄──」


   「ミャアアアアアアアアアア゙ア゙ア゙ア゙!!」
   「シャアアアアアアアアア」


(´<_` )「!」
( ´_ゝ`)「お?」

俺達が入ってきた入口から、追ってきたらしい野良達が数匹雪崩れ込んでくる。
そいつらの気配を察したモナーは、当然腰を上げた。

<ヽメ ∀ >「ヴォオオ……」

<ヽメ ∀ >「オオオオオオオ゛オ゛オ゛!!」

烏合の集に等しい野良達は、向かってきたモナーに為す術も無く吹き飛ばされていく。

( ´_ゝ`)「予測通りだ、行くぜ弟者!」

(´<_` )「わりかし運任せだがな!」

ギコさんの身体を抱え、二匹して広場へと身を繰り出す。
モナーのいる方とは別のもう一方の出入り口へと、全速力で駆け出した。


<ヽメ ∀ >「ミ゛ァ……?」

背後の物音を聞き取ったのか、モナーがこちらに振り返る。
既に野良達は片付けられていた。

(;´_ゝ`)「やっべもう気付かれた」
(´<_` )「急ぐぞ!!」

<ヽメ ∀ >「ァアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」

同じ猫とは思えない絶叫を広場に轟かせ、
床に散らばるゴミを跳ね飛ばして一直線にこちらに疾走する。
さながら肉の壁が押し潰さんと迫ってくるようだった。

(´<_`;)「くっ……!」

(#)_ゝ)゚「あいだっ!?」

モナーの繰り出した拳が、兄者の背後のガラクタを跳ね飛ばす。
それはぐわんと金属音を鳴らして、兄者の後頭部にクリーンヒットした。

(#´_ゝ`)「いってーなこの野郎顔に当たったらどうしてくれんねんけつかんねん!」

(´<_` )「それより兄者この道の先はどうなってるんだ!?」

(#´_ゝ`)「あ!? 知らねーよ!!」

広場の別の出入口を通り抜け、路地の角を曲がる。
その先は──


(゚<_゚  )「行き止まりじゃねーか!!」

思わず叫ぶ。
角の先には、不燃ゴミなどがバリケードのようにみっしりと積み上げられていたのだ。

( ´_ゝ`)「いや待て! あれ程度なら十分突破出来るはずだ!!」

(´<_`;)「突破って、ちょっと待てよギコさん抱えてんだぞ!!」

(#´_ゝ`)「貫け、俺達の武装練金!!!!」

(゚<_゚ ;)「おい兄者お前いやちょっとぉおおお!?」

(メ,,メ Дナ)

兄者(と不本意ながら俺)はギコさんを盾にして、ゴミの山へと正面から突っ込んでいく。

(#´_ゝ`)「うおおおおおおお!!」
(゚<_゚ ;)「うわああああああああああ!」

((メ,,メ Дナ)) ドムッバスッバキッ

( ´_ゝ`)「よっしゃあ抜けたぁ!!」
(´<_`;)「あわわわわ……」
(メ,,メ Дナ)

若干嫌な感触を数回感じつつも、何とかバリケードを抜ける事に成功した。
今はギコさんに意識が無い事を感謝しなければならないだろう。

<ヽメ ∀ >「グォラアアア!!」

数秒後、まるで蜘蛛の巣でも払うかのごとくモナーも難なくバリケードを突破する。
ギコさんを抱え直し、俺達は先を急いだ。


※    ※    ※

( ^ω^)「じゃあ、捕まるおドクオ」

('A`)「ああ。……」

ブーンの背中に乗り、首に引っ掛けていた鍵に腕と頭を通す。
鍵に噛み付けば、ちょっとやそっとの衝撃では振り落とされないはずだ。

( ^ω^)「ん、どうかしたかお?」

('A`)「あ、辞世の句とか考えとこうかなって思ったんだけど、良いの浮かばねーなと思って」

( ^ω^)「www我が生涯に一片の悔い無しとかはどうだお、かっけぇお」

('A`)「むしろほぼ悔いしか無い」

扉の向こうからはまだガリガリと金属を引っ掻く音が聞こえてくる。
つくづく暇な奴らだ。

ブーンは俺を抱えてゆっくりと歩き出し、ビルの端から頭を乗り出す。
この高さから見る地面というのは、なかなかどうして肝が冷えた。
往来を人間が行き来する様子を上から見るのは新鮮だったが。

('A`)「うわー、何かビビってきたんだけど。トイレ行ってきていい?」

( ^ω^)「大丈夫大丈夫。目標はあの、鳩避けっぽいネットだお。
       あれに飛び付けば勢いも殺せると思うお」

ブーンが指し示した建物には、確かに鳥の糞防止用のネットが張られている。

('A`)「言うのは簡単だがよ……」

ネットが張られているのは上から三階層程までのようだ。
それより下に行けばもれなくアウトである。
確か劇場版バーローでこんな感じのシーンあったな。
クーがチーズおかき食いながらねーよって呟いてた気がする。

( ^ω^)「……よし、行くお。合図はwe can fryだお」

('A`)「揚げモンか俺ら。いやその前になんでそれなの? 死ぬの?」

( ^ω^)「げん担ぎだお、だって窪塚現役バリバリだお?」

('A`)「あ、それもそうか。いや……どうだろう納得して良いんかなこれ」

( ^ω^)「……。よし、行くお」

('A`)「おう」

ブーンは一旦引き返し、助走距離を取る。

静かに息を整え、上体を屈めた。
手から爪を張り出し、コンクリートに食い込ませる。
みるみるうちに毛皮の下の筋肉が盛り上がり、全身の毛が逆立ち始める。

息を長く、長く吐く。

ブーンの挙動と呼吸が、一つに繋がっていくのを感じた。

やがて、一歩足を踏み出す。


跳ねるように、
地面を思い切り引っ掻くように、
一歩進むごとにブーンの身体は加速度的に勢いを増していく。


( ^ω^)「ウィイイイ──」


鋭い風が、毛並みをかき乱していく。
ビルの端が眼前に迫ってくる。


('A`)「キャアアアアアアン!」


ブーンは十分にスピードに乗った身体に、ビルの端で一瞬だけブレーキをかける。
瞬き一度にも満たない瞬間に、全身のバネを限界まで引き絞る。


(#'A`)(#`ω´)「「フラァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアイ!!!!」」


ネオンの光も色鮮やかな、西区の夜景を背に受けて。
俺たちは空へと飛び立っていった。


2_20091229115721.jpg


※    ※    ※

路地の雰囲気が若干変わってきた。
正確には、周囲の騒音が徐々に大きくなってきていた。

(´<_` )「このルート……まさか表側へ通じているのか!?」

( ´_ゝ`)「分からん! が、この際逃げ切る為にはそっちの方が良いかも分からんね!」

更に幾度かの角を曲がった先で、俺の予想が的中していた事を悟る。
一も二もなく、俺達は人間の雑踏渦巻く繁華街の中へと飛び出した。

眩い光が、俺達の視界を覆い尽くす。

(#´_ゝ`)「はいはいごめんよごめんよー!!」

(´<_` )「相変わらずこっちは無駄に眩しいな!」

ネオンに照らされたアスファルトの上を、行き交う人間共の足を避けつつ走る。
俺達と背後に迫るモナーの姿を見た人間達は、小さく叫び声をあげながら逃げ惑っている。


<ヽメ ∀ >「グォアアアアアアア!」

(´<_`;)「マズい、逆に奴の方がここは有利だぞ!!」

雑踏をかいくぐらなければならないこちらと違い、
俺達が作った道を追いかければ良いだけのモナーはむしろ先ほどより距離を詰めてきていた。
人間の目に付きやすい図体のデカさもあちらの利となっている。

( ´_ゝ`)「ええい糞、ならまたどっか逃げ込むしかねーやな今畜生!!」

俺達は方向を切り替え、向かいの電化店らしい店の合間へと進む。
路地裏へと逃げ込む直前、背後に視線を飛ばす。

(´<_` )「──! 居ない!?」


つい直前まで背後に肉迫してきていたはずのモナーの姿が、忽然と消えていた。

( ´_ゝ`)「!! バッカお前、上──」


<ヽメ ∀ >「ミ゛ァアア゛ア゛ア゛!!」

(#)_ゝ )゚(´<_`;)「うわあああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」

兄者の言葉につられ、視線を上げるよりも早く。
モナーの全体重が乗った頭突きを受け、俺達の身体は宙を舞っていた。

そのまま路地裏へと叩き込まれ、ごろごろと転がる。
盛大に壁にぶち当たり息が途切れるも、何とか意識だけは繋ぎとめる事が出来た。

(<_`;)「──ッぐ、がはっ、大丈夫か兄者!?」

近場に転がっていた兄者に声を掛ける。
ギコさんも同じく、兄者の付近で意識を失ったまま突っ伏していた。

( ´_ゝ`)「あ゛ー……うん、何とか大丈夫よー」

(´<_`;)「逃げるぞ、立てるか!?」

( ´_ゝ`)「…………」

(´<_`;)「おい兄者!」

( ´_ゝ`)「ごめん嘘ついた、アバラやられてら。大丈夫じゃねーや」

(´<_`;)「な、何ぃ!?」

背後から迫り来る、犬にも似た唸り声。
振り返り、奴と対峙する。

<ヽメ ∀ >「グルルルル……」

獣を思わせる緩慢な動きで、じわりじわりと距離を狭めてくるモナー。
凄まじい威圧感に、膝が砕けそうになる。

自分がこの状況で勝てる見込みは?
──万に一つも無いだろう。

思わず、毒づいていた。

(´<_` )「……クソったれが」

( ´_ゝ`)「弟者弟者ー、いや別に逃げても良いのよ?」

(´<_` )「一匹でギコさん連れてけるか。今軽口に付き合う余裕無い」

( ´_ゝ`)「つれねぇなあ……ったく」

ガタガタと身体を震わせて、兄者が立ち上がる。
よろめきながらも、俺の傍らに陣取った。

( ´_ゝ`)「あーあ、可愛い雌とにゃんにゃんしたかったなァ」

(´<_`;)「……最期に言う事がそれか?」

( ´_ゝ`)「馬鹿言え、死ぬつもりなんか無い無い。何となくよ? 何となく」

(´<_` )「ああ、そうかい」

( ´_ゝ`)「そーよ」

<ヽメ ∀ >「ウウヴ……」

(´<_` )「ギコさんが目を覚ますまでの時間稼ぎ。俺達に出来るか?」

( ´_ゝ`)「知るか。倒すよりは何とかなるんざね」

(´<_` )「そうだな」

( ´_ゝ`)「うん」


(´<_` )「──行くぞ!!」

(;゚_ゝ゚)「おう──ッて、あだだだだ、やっぱ痛い痛いアバラ痛い!!」


※    ※    ※

────。
──────。
────────おお。
──────────おおおおお。



(;゚A゚)「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおうおおおおおおおおおおおおお!!!!」


空中に飛び出したブーンの背中で、
いつの間にか俺は思い切り叫んでいた。

普段とは違う大気の流れが、ごうごうと鼓膜を揺らす。
普段とは違う無重力の感覚が、腹の底を縮こませる。

今、確かに俺達は宙を飛んでいた。

前方に目を向ける。目標にしていたボロアパートまで、もうすぐそこまで迫っていた。


(;`ω´)「……くっ!!」

しかし、既に重力の鎖は俺達の身体を絡め取り始めている。

徐々に高度を下げていく俺達と、ネットとの距離──


目算では、かなりギリギリだ。



(#`ω´)「ぐ……おおおおおおおおおおおおお!!」
(#`ω´)「届けええええええええええええええええええええええ!!!!」

ブーンは思い切り腕を振り上げ、空中でもがく。
ネットの端が、手に届くかと思った瞬間──

('A`)「ッッッ!!!!」

ガチン、と噛み付いていた鍵が顎を打つ。

爪の一本が、網に引っかかったのか。
下へと向かう力に強烈な制動がかかり、辛うじて壁や地面への激突は免れた。


( ^ω^)「やっ──」

(;゚ω゚)「おわぁ!?」

('A`)「っ!?」

安心したのも束の間、ガクンと二匹の身体が再び落下していく。
どうやらネットの繋ぎ方が弱かったらしい。

接続部分をブチブチと引きちぎりながら、
半ばターザンのようにネットの端を掴んだまま落ちていく。
アパートを中心に弧を描いて、俺たちは路地の向こうへと投げ出された。


(;'A`)「うわああああああああああああああああああ!!」
(;゚ω゚)「のわあああああああああああああああああああああ!!?」



※    ※    ※

<ヽメ ∀ >「シャアアアア……」

(メ<_` )「……ぐっ」

(メ<_`#)「クソ……!!」

(  _ゝメ)

モナーの足の下で、吐き捨てる。
まるでかなわない。
力も、スピードも、体格も段違いに優れている相手にどうやって立ち向かえば良いというのか。

時間稼ぎどころではない。ちょっとした障害にすらならない。
踏みつけられた顔が、苦痛とは別の感情に歪む。

これが、俺の──
俺達の終わり方か。
あまりにも、不甲斐ないじゃないか。


(メ<_`#)「ふざ、けるな……!」

顔に被さった足に爪を立て、精一杯の力で肌を裂く。
その程度の痛みなど感じすらしないのか、モナーは緩やかな動きで腕を振り上げた。
あれが振り下ろされた時、俺の全てが終わるのだろう。

(メ<_`#)「…………ッ!!」

こんな時、兄者なら気の利いた台詞でも吐くのだろうが──
俺はただ、歯を食いしばる事しか出来なかった。


<ヽメ ∀ >「グォアアア……」


モナーが今まさに腕を振り下ろさんとした、
その瞬間。


(;'A`)「うわああああああああああああああああああ!!」
(;゚ω゚)「のわあああああああああああああああああああああ!!?」




.;;(д#( ゚ω゚((#)`∀ >;;.「「「ングへァ!!??」」」」


3_20091229115721.jpg


(メ<_` )「なッ……!?」


何故か、遥か空中から。
ドクオとその部下がどこからともなく飛来し、凄まじい勢いでモナーに衝突した。

モナーはその大きな身体を数回跳ねさせ──路地の向こうの壁に激突して、停止する。


( ゚ω゚(#)「あ、あだだ……だ……あ、これ首の骨イッてないかお?
        何か色々歪んでる気がするお、これガチでやべっちゃけど」

:('A`):「歯……歯が、欠けた……痛い、顎が…………あがが」


(メ<_`;)「………………」

( ゚ω゚(#)「……お?」

('A`)「あ、流石弟」


('A`)「……」

(メ<_`;)

(  _ゝメ)

(メ,,メ Дナ)

<ヽメ ∀ >「グ、ォオ゛……」


年老いた、隻腕の黒猫──
ドクオは周囲をゆっくりと見渡し、呟く。

('A`)「わーお、たまげたな。こんなに賭けに大勝ちしたのは初めてだぜ」

(;゚ω゚(#)「え? 僕はむしろ物凄い危険な所に迷い込んでしまった気がしてるお」

('A`)「ダブルチャンスって奴だ。ヘマしたら全部おじゃんだがな」

(;゚ω゚(#)「それは危険とは言わないのかお?」

(メ<_`;)「お……お前ら頼む、ギコさんを……安全な場所に……」

('A`)「そうしたいのはやまやまだが……お前等でもどうやら逃げ切れなかったみたいだしな、
    道案内だってそこでくたばってるし、なかなか厳しいだろ」

('A`)「おいコラギコ。さっさと起きろ、寝てんなよ」

(メ,,メ Дナ)「──」

('A`)「ち、もうしばらくかかるか。厄介だな」

ドクオは体勢を整えつつあるモナーの方へと向き直り、僅かに瞳を細める。

<ヽメ ∀ >「グォオオオオ……」

('A`)「お前……モナーなのか。どこの魑魅魍魎かと思ったぜ。
    ……同窓会はもうちょい早めにやっとくべきだったな」

(メ<_` )「おい、ちょっと待て。お前まさか」

('A`)「ブーン! 具合は大丈夫か?
    怖いなら逃げても良いけど出来たら助けて欲しいな!」

(;^ω^)「よ、ようし……ここで逃げ帰ったら本末転倒だおね、そうだおね」

(メ<_` )「おい聞け!」

('A`)「あんだよ」

(メ<_` )「本気で奴と戦うつもりなのか!?」

('A`)「そうだよ」

(メ<_`;)「無茶に決まってるだろう! お前らが全員がかりで袋にしたギコさんでも
      かなわなかったんだぞ!?」

('A`)「あー、そうね……」

猫の平均よりも小さく、年老いて尚且つ五体満足ですらない。
明らかに今いるどの者よりも不利であるはずのその猫は、不自然な程に落ち着き払っていた。

('A`)「ま、ギコが起きるまで時間稼げればちっとは勝機もあるんじゃね」

俺達がつい先程挑んで出来なかった事を、さらりと口にする。
それが出来れば苦労はしない。

('A`)「いや、厳しいだろうってのは分かるんだけどさ」

ドクオは首をこきりと鳴らし、途切れた右腕を軽く振る。


('A`)「──だ」

(メ<_` )「何?」

('A`)「飛んだんだよ、空を」

(メ<_` )「……?」



('A`)「猫が空を飛べるんだ。今なら何でも出来そうな気がしてんだよ」



第二十二話 終





この小説は2009年4月29日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:kbCJbbDzO 氏

続きはこちら



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[ 2009/12/29 12:00 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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