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三丁目の('A`)ドクオ達のようです 第二十一話


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




僕は走っていた。

歩道を進む人間達の間を、するすると抜けるように、全力で。

息は上がり、喉は渇いていた。
顔を叩く風が毛並みを梳いて抜けていくけど、ちっとも涼しくなかった。


走っても走っても、道路を進む車には追い付けなかった。
車窓の向こうに、あの子の顔が見えた。ほんの少し瞼を腫らして、悲しそうに僕を見つめていた。


「必ず戻ってくるから」


そう言って、その子は手を離したのだ。

僕はその言葉を信じて、
その言葉をあてにして、
やがて足を止めてしまった。


あの時走り続けていれば本当は追いつけたのかもしれない。
だが、その時の僕は走ることを諦めてしまった。


抜けるような青空の中、悠々と飛び去っていく飛行機を、
地べたからぼんやり眺めていた。



1_20091229115217.jpg


第二十一話 六月十八日・深夜


( ^ω^)「…………」

足下の水溜まりが、びちゃりとやや粘っこい音を立てる。
かすかな音ですら延々と響くように錯覚するほど、辺りは静まり返っていた。
いや、エアコンとかそういった機械がゴウンゴウンとやかましいのだけど、
生き物の気配が全く無いせいで、そんな風に感じられた。


(´<_` )「行けども行けども、何か現れる素振りもないな。
       まだ猫の死体も見つからないのは何故なんだ?」

弟者が訝しげに頬を掻く。
次いで、傍らからドクオのか細い声が聞こえてきた。

('A`)「……保健所が猫の死骸を回収したのかもしれない。
    実際……毒で死んでんなら、そろそろ腐ってる頃だからな」

( ´_ゝ`)「いやー、ぞっとしないね。罠とかあったらどうしよ。なぁ弟者」

(´<_` )「ああ、そうだな」

( ´_ゝ`)「弟者お前それ全然返事になってない」

('A`)「…………」

少し前から、ドクオの様子がおかしい。
普段から無駄に悪い顔色が、更に悪化しているように思える。


( ^ω^)「……。お」

ふと路地の隅に目を向ける。
ゴミや紙屑の中に、自転車に取り付けるようなワイヤー製の鍵が転がっていた。
鍵がかかったままで輪っか状のそれを、ひょいとくわえ上げて首に通す。

('A`)「何やってんだ?」

( ^ω^)「ドクオ、何か具合悪そうだから僕がおぶるお。この鍵に掴まれば片腕無くても落ちにくいお」

('A`)「いや、いいって別に。そんなしんどい訳でもねぇし」

( ^ω^)「無駄に体力を使う必要は無いお、これから何が起こるか分からないし……」

('A`)「だからいいっつってんだろ。ちと嫌な予感がするだけだよ」

ドクオもなかなか強情だ。
遠回しに年寄り扱いされていると思っているのだろうか。

( ´_ゝ`)「何じゃい嫌な予感って。まぁしない方がおかしい状況だが」

('A`)「……」

('A`)「ついさっきまですっかり失念してたんだけど」

('A`)「仮に西区連中が、ゴーグル共によってやられてるとするだろ」

( ^ω^)「うん」

('A`)「西区壊滅とゴーグル連中が東区で暴れだすのとどの程度時期が被ってるのかは分からんが、
    とりあえずある程度時間差があるはずだ。俺らは気付くのに遅れたからなおさら」

(´<_` )「うn……もったい付けるな、さっさと要点を言え」

('A`)「要するにだ」

ドクオは浅く息をつくと、視界を横にスライドさせて背後へと向ける。
闇に澱んだ路地の向こうを、見透かすように。

('A`)「俺らより先に、西区に来てる奴も居るかもしれないって事だよ」

( ^ω^)「……!」

(´<_` )「…………」

( ´_ゝ`)「なーるほど・ザ・ワールド……あれ」

( ´_ゝ`)「だとしたらヤバくね? 俺達堂々と橋通ってここ来たじゃん。っつうか他に行きようがないし」

('A`)「ああ。東区からの侵入者は、余裕でマーク出来る」

ドクオの瞳と、声音が鋭くなっていく。
視線の先にある何かを、その声で切り裂くように、小さく呟いた。

('A`)「……実はもう、取り囲まれてるのかもしれんな」

(;^ω^)「っ!!」

ざわ、と背中が粟立つ。

悪寒に似たそれは、単なる恐怖から来るものだけではなかった。
ほんの微か、何処からとも分からない程の微細なものだが。
地を爪で擦るような、そんな音が確かに聞こえたのだ。

(;^ω^)「ドッ……」

叫びそうになった所を、とっさに抑え込む。
ここで慌てては相手の思う壺だ。

(;^ω^)「……ドクオ、何か聞こえたお、多分その通りだお……!」

(;´_ゝ`)「おいおいお、マジかよ」

既に辺りを包む空気は一変していた。
排水や空調の音の一枚向こうで、絶えず何かの気配が蠢いている。

僕達の包囲網を徐々に狭めているであろう事は、容易に想像できた。


(´<_` )「ッチ、少しばかり気付くのが遅かったようだな!! 走るぞ兄者!!」

(;´_ゝ`)「あーん待ってよー! っていうかもちつけ道分かんねーだろお前!!」

('A`)「ブーン、行くぞ!」

( ^ω^)「おk!」

鍵を首に提げたまま、僕は一行のしんがりに陣取る。
ドクオの体調が心配だったが、今のところ何か異常がある訳ではなさそうだ。
辺りをどんどん囲っていく不気味な気配に尻尾を逆立てながらも、その事に少しだけほっとしていた。

辺りを流動する気配をかき分けるように、僕達は西区の最奥部へと進んでいく。

兄者が先導している道はかなり入り組んでいた。
どうやら取り囲んでいる連中に道を塞がれないルートを選んでいるらしい。

( ´_ゝ`)「あーっとえーっと、確かあっちはニャン美ちゃん達がタムロってた見通しの良い広間だからアウト!
       でこっちはみみりんがこっそり出入りしてた通路だからおkだ!!」

(´<_`;)「とりあえず流石だな兄者!」

('A`)「……っぜ、っ……は、み、みみりんは猫じゃねぇだろお前……うぉぇっぷ」

(;^ω^)「ドクオォオ! 変なとこ突っ込んでる場合じゃねーお!!」

ドクオの体力は早々と底をついたらしい。
前を走る彼の身体は、ヤジロベエのように右に左にふらついている。
もともとバランスが悪いのだから、流石兄弟の走るスピードについていくだけでも精一杯のはずだ。

(;^ω^)「こうなったら、無理やり担いで──」


ドクオの隣に寄ろうとした瞬間、一気に視界が開ける。

( ´_ゝ`)「!!」

そこは四つの路地が交わる場所なのか、ちょっとした広場のようなスペースになっていた。
人間達によって捨てられたであろう様々なゴミや、
何らかの器材だったらしきものが転がっている。

そして、その広場を囲う塀の上には──
僕達を待ち受けていたかのように(というか、実際待ち伏せていたのだろうが)、
見覚えの無い野良猫達がずらりと立ちふさがっていた。

(;^ω^)「っちょ、これ……」

(´<_` )「……おい、兄者」

('A`)「っ……ぜぇ……ッ、は……」

( ´_ゝ`)「…………」




( ´_ゝ`)「すまん、フラグ間違えた。こっちニャン美ルートだ」

(´<_` )「おk。ひとまず死のうか」


( ゚∀゚ )「うふ……うふふへへへ。あはははは、ヒャ、ははは」

不意に、正面の塀から汚らしい猫が飛び下りてくる。
目の焦点どころか色んな所がぐちゃぐちゃになっているそいつの風貌を見て、僕は顔をしかめた。
よく見ると周囲の連中も似たり寄ったりな風体だ。

('A`)「……コイツら……、っ……まんまと悪いモン食わされやがったな……」

( ゚∀゚ )「知ってるぜぇ……知ってるぜえ。なぁ……お前ら」

汚い猫はだらりと舌を垂らしたまま、けたけたと顔を震わせる。

( ゚∀゚ )「モナーはもう終わりだァ……キヒッ、ギコと相打ち、皆殺し……フヒヒヒ、これでここ、
      俺たちのモンだぁなぁ、へへ、あひひ……っひ。
      なぁ……」


( ゚∀゚ )「ここは俺たちのモンだぁなああああああああああああああああああああああああああああ
      あああああああああ!!??」

汚い猫の絶叫に呼応して、周囲の猫たちも各々勝手な叫び声を上げる。
半ば乱闘のように絡み合いながら、猫たちは僕らへと突進してきた。

( ゚∀゚ )「ぎゃぁっはっはっはっはあああああああああああああああああああ!!!!!」


僕たちは円陣を組むように、連中の攻撃を迎え撃つ。

('A`)「っ、来るぞ!」

( ^ω^)「!!」

(´<_`;)「ええい糞、馬鹿な兄者に任せた俺が馬鹿だった!!」

( ´_ゝ`)「悲しいかな兄弟って似ちゃうものなのよね」

(´<_`;)「馬鹿な事言ってないでこの馬鹿共何とかしろ!!」

滅茶苦茶に振り回される爪の嵐をかいくぐりながら、
流石兄弟は一匹一匹着実に敵を張り倒していく。

その身のこなしは意外な程軽い。
伊達にギコ達を守る門番をやっている訳ではないようだ。

(#^ω^)「っく……らぁ!!」

飛びかかってくる猫をかわし、背中を蹴り飛ばす。
腕を真横に薙ぎ払い、近場の敵を強引に弾き飛ばす。

強くはない。ギコに比べれば何ということはない。
冷静に対処すれば、何とかなる──が。

(´<_` )「く、数が多いな……!」

( ´_ゝ`)「黒いおっさん! 生きてっか!?」

('A`)「ぜぇ……うるせぇチンカス……!」

('A`)「こんなトコで無駄に時間くってるバヤイじゃねぇ……
    おい流石兄!! お前屑鉄広場の場所分かってんだよな!?」

( ´_ゝ`)「まぁ一応はな! 実際行ったこたねぇけど!!」

('A`)「そんならっ──」

( ゚∀゚ )「ンあ!?」

ドクオは前身をぐっと屈め、汚らしい猫に向けて突進する。
猫はかわす事も無く、ドクオの攻撃を脇腹に受けて派手に転倒した。
倒れたついでに周りの猫も弾かれ、一瞬路地の一つへの道筋が切り開かれる。

(#'A`)「さっさと馬鹿なボス連れて来い! 何かまだ死んでないっぽいし!!」

(#´_ゝ`)b「おう分かった! お前の死は無駄にしないぜ!!」

(´<_`;)「その潔さも流石だな兄者!」

待ってましたとばかりに飛び出していく兄者と、それを追って走り去る弟者。
その二匹を追っていく猫と僕らを更に取り囲む猫と、
いい感じに二分された。

( ゚∀゚ )「ぃイイエッヘァアアアアアアギァアアアッ!!」

(;'A`)「んのわァッ!?」

猫がいきなりバネのように跳ね上がり、ドクオがバランスを崩す。
彼の身体が宙に浮きかけたところに──猫の拳が叩き込まれた。

(; A`);;.「あ゛いでッ!!」

(;^ω^)「ドクオ!?」

ドクオの身体は一度バウンドし、ごろごろとアスファルトの上を転がる。
彼目掛けて周囲の猫が殺到しようとするよりも速く、僕の身体は動き始めていた。

(#`ω´)「うおおおおおおおおお!!!!」

右手から現れた焦げ茶の猫を頭突きで退かし、ドクオの元へと疾駆する。
飛びかかろうとしていた猫達を力ずくで組み伏せ、全身の毛を逆立てて威嚇する。

(#`ω´)「う゛う゛う゛う゛……シャーッ!」

( ゚∀゚ )「ぐぇ、ひぇ……はひひ、フェ、ひふ」

(#`ω´)「あっち行けお! しっしっ!!」

('A`)「っ、げほ……げふ、もうちょっと、凄みのあるセリフ……吐けよ……あでで、腹打った」

咳き込みよろめきながら、起き上がるドクオ。
彼の状態は目に見えて芳しくない。

( ^ω^)「ドクオ! 背中に乗れお! 無駄に時間食ってるバヤイじゃないんだお?」

('A`)「ええい糞、孫に連れられる爺じゃあるめーし畜生め」

ぐちぐちとおっさん臭く零しながらもドクオは僕の背中に掴まり、鍵に首と腕を通す。

( `ω´)「ドクオ! しっかり掴まってるお、舌噛むなお!!」

('A`)「お前それ絶対言いたかっただけ──ぅおッ!?」

(#)∀゚ )「んげふぁ!!」

僕はだん、と地を強く蹴り、目の前の猫の頭を踏んづける。
その勢いを活かして、包囲網を敷いていた猫の一陣をそのまま飛び越えた。

('A`)「……これぞまさに猫踏んじゃっただな!」

( ^ω^)「ドクオ! 屑鉄広場ってのはどっちにあんだお!?」

('A`)「すまん思い出せん、ニャン美ルートは新作で追加されたのかも分からん。
    とりあえず奴らが行った道を追ってくれ」

( ^ω^)「把握だお!」

ドクオを背中に据え、ゾンビのように蠢く猫たちの真っ只中をかき分けるように突き進む。

('A`)「お! 何か思い出したぞ、確かそっちの角を右に曲がれば……」

( ^ω^)「こっちかお!?」

('A`)「裏側から、屑鉄広場の路地に、入…………」
('A`)「おい、猫大杉だろ」

角の向こう側は、まるで人間の通勤ラッシュのように猫でごった返していた。
どうやら流石兄弟が撒いた残りのゾンビ猫達が、こちらに向かってきているらしい。
わりかし元気そうな連中が僕らを見つけ、一斉に走り寄ってきた。


   『ギャオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
   『ンンギァアアアアアアアア』
   『ミィァオオオオオオオオオオオオン』


(;'A`)「どこのゾンビ映画だこの野郎!!」
(;^ω^)「ひぃいいいいいい!」


2_20091229115217.jpg


牙を剥き、爪を振り上げてくるゾンビ猫達の猛攻から何とかかんとか身をかわす。
背中のドクオが背後の猫達を足で牽制し、僕が回転しつつ前方の敵を頭や腕で弾き飛ばす。
いつの間にか、急ごしらえで妙な戦闘スタイルが出来上がっていた。


(#゚∀゚ )「んォラアガアアアアア!!」

(;^ω^)「つっ!?」
('A`)「ぅおわっ!!」

いきなり現れた最初の汚い猫が、横から強烈な体当たりをぶちかます。
脇腹に痺れる痛みが広がり、一瞬というには大きすぎる隙を晒してしまう。

( ゚∀゚ )「ギェアッヒェアッヒァアアアッハッハハハハハハァ!!!!」

(;^ω^メ)「ぐぅっ……!!」

足の止まった僕を、汚い猫が滅多打ちにする。
腕や顔に爪が食い込み、創傷が加速度的に増えていく。

(;'A`)「ブーン! そこの非常階段に逃げろ!!」

ドクオが差し示した路地の角に、螺旋状の階段が見えた。
入口には柵が取り付けられていたが、猫なら通り抜けられる大きさだ。

(;^ω^メ)「わ、分かったお!」

多少よろめく身体を叱咤しつつ、猫の間をすり抜けながら階段へと急ぐ。

( ゚∀゚ )「ぐひァははは!!!!」

汚い猫が奇声を上げ、それに呼応してゾンビ猫達も僕らに群がってくる。

(;^ω^メ)「い……よっと」

何とか柵を通り抜け、錆の目立つ小さな金属製の階段をひたすら駆け上がる。
チラリと下の方に視線を向けると、階段の入り口にはわらわらと猫達がアリのごとく群がっていた。
件の汚い猫を筆頭に、柵を通り抜けた猫達は既に僕を追って階段を上がり始めている。

(;^ω^メ)「ところでドクオ!」

('A`)「何だ!?」

(;^ω^メ)「とりあえずこの階段上がってるけど、出口とか大丈夫なのかお!?」

('A`)「俺が知る訳ねーだろ!」

(;^ω^メ)「そいつはすまんかったお!! って……どわ!?」

突如足を踏み出した階段の底が抜け、顎をしこたまぶつける。
よほど使われていない階段だったのか、古くて危険だから閉鎖されていたのか。
ともかく、足が止まってしまった。

(;'A`)「大丈夫か!? ってか急げ!! 追いつかれる!!」

(;^ω^メ)「ちょ……ま、穴にハマって、抜けっ……」

僕がもたついている間にも、汚い猫はどんどん距離を詰めている。


( ゚∀゚ )「キヒヒヒ、グヒ、ヒャッハァアアアアアアアアア!!」
(;^ω^メ)「ぐっ……よし、抜けた!!」

腕を引き抜き、一歩踏み出す。
だが、遅かった。

( ゚∀゚ )「死ぃねよやぁああアアアあ!!!!」

数段下にまで迫っていた猫が僕らに向かって飛びかかる。
伸ばした爪が、今まさにドクオに襲いかからんとしていた。

(;^ω^メ)「ドクオ!!」

(#'A`)「──ぐうっ!!」

( ゚∀゚ )「ッ!?」

ドクオは鍵を支点に僕の背中で器用に仰向けになると、猫の攻撃を両足で受け止める。

(#'A`)「そ、ろ、そろ……ご退場、願おうか……なぁ?」
(#゚∀゚ )「キヒ、ヒヒ、ヒヒヒヒィ」

(#'A`)「っどぉっご──らぁああああああああああああ!!」

ドクオは両足で猫の首を挟み、全身のバネを利用して猫を抱え上げる。
抱え上げた身体を、そのまま横に──格子を越えた先、要するに空中へと──勢い良く投げ飛ばした。

( ゚∀゚ )「キヒ……ッ」
(  ∀  )「ハハ、アッヒャハハハハハハハハハハハハアアアア──……」

猫はしばし宙に滞在した後、真っ逆様に地面へと落下していった。


('A`)「っぜぇ……、ったく……十二話で登場したことなんか誰も覚えてねぇんだよ」

(;^ω^メ)「すまんこドクオ、危なかったお」

次いで追ってくる猫達にせき立てられ、急いで階段を上っていく。

( ^ω^メ)「あ、扉だお!」

('A`)「階段はここで終わり、つーことは先は屋上か……?
    ともかく急ごう、ドアノブ捻るからお前扉押せ!」

言うが早いか、ドクオは僕の背中から降りて扉の取っ手にしがみつく。
ドアノブにかじりついて、強引にそれを捻った。

(#'A`)「ほひ、ほへ(よし、押せ)!!」
( `ω´メ)「よしきた!!」

扉に全体重を預け、思い切り踏ん張る。
ガリガリと金属が擦れる耳障りな音が響いた。

(#`ω´メ)「ん、ぎ、ぎ、ぎ、ぎ…………!」

扉も錆び付いていたものの、力を込める度に少しずつ、
錆ごとこじ開けるように隙間が開かれていく。


( ^ω^メ)「おk、開いたお!!」

猫が通れる程度のスペースが開くと、すぐさまそこをくぐり抜ける。

('A`)「閉めろ閉めろ急げ!」
(#`ω´メ)「ぬおおおおおおおおお!」

続いて通り抜けたドクオと共に全力で扉を押し返し、
再び扉を閉める事に成功した。

扉の向こうからガリガリと爪で引っ掻く音がする。間一髪だったようだ。

('A`)「はぁ……っ……、ああ、冗談じゃねえ……」
( ^ω^メ)「…………」

ドアにもたれてぐったりするドクオを後目に、僕は辺りを見回す。
先ほどドクオが言っていた通り、そこは確かに屋上だった。
何かのタンクやエアコンのような機械と、周囲の街並み、
そして照明を受けてやたらと薄明るい夜空が見える。

人間達が住まう夜の街を、こんな視点で見るのは初めてだった。
状況が状況でなければもう少しこの景色を楽しめたかもしれない。

( ^ω^メ)「……ドクオ」

('A`)「何」

( ^ω^メ)「これからどうするお?」

('A`)「…………」

('A`)「さあ?」


※    ※    ※

(´<_`;)「兄者ァ!」

( ´_ゝ`)「何だ弟!?」

(´<_`;)「奴らは大丈夫なんだろうか!?」

( ´_ゝ`)「兄ちゃんにだって分からんことはあーる!!」

遥か後方でのろのろと此方を追い掛けてくるデク共を視界の端に収めつつ、隣の弟者に叫ぶ。

( ´_ゝ`)「まぁ平気だろ! つーか無事にせよ無事じゃないにせよ、俺らがやるべき事は決まってんじゃん?」

角を曲がり、塀の穴をくぐる。
そう、自分達はギコを引っ張り戻すという名目で連れ出されたのだ。
まず第一にそれを考えるべきだろう。

( ´_ゝ`)「てーかこんな状況じゃ正直よその連中なんか構ってらんねーよハッハァ!!
       馬鹿を連れ出したらこんな滅茶苦茶くせー所からはさっさとトンズラブラザーズだぜハッハァ!!」

(´<_`;)「相変わらず最低だな兄者」

( ´_ゝ`)「んでもって何この……何!? 凄い臭いんですけど!! 鼻が曲がりそうなんですけど!!」

(´<_` )「ひょっとしなくても死肉の臭いか……その屑鉄広場とやらに近付くにつれ強まっている」

( ´_ゝ`)「凄い悪寒を感じる! 今までにない何か凄まじい嫌な予感を!!
       異臭……なんだろう漂ってきてる確実に、着実に、俺たちの方に!」

(´<_` )「兄者口で息するとあんまり臭くないぞ」

ぺちゃくちゃ喋っている内に追っ手はほとんど姿を消し、
いよいよ俺達は西区の最深部へと到達しようとしていた。

平時では足を踏み入れる事すら許されない厳戒態勢が常の領域のはずだが、今は驚くほど閑散としている。
この辺りに来るのは流石の俺も初めてだ。

( ´_ゝ`)「盛者必衰の理か、諸行無常を感じるね」

(´<_` )「多分適当に言ってるんだろうが合ってる気がする」


近くに家電店でもあるのだろうか、古そうなガラクタがあちこちに散乱している。
慎重にゴミの間を音を立てないように進み、ようやく辿り着いた。

息を潜めて弟者に語りかける。

( ´_ゝ`)「……さあ、この先が屑鉄広場だ」

(´<_`;)「……」

( ´_ゝ`)「覚悟は出来たか? 俺は出来てる」

(´<_` )「……ああ、行こう」

( ´_ゝ`)「よし、レッツカムヒ──」

(#)_ゝ゚);;.「おぐぁっふ!?」


カッコ良く突入しようとした矢先、顔面に何か巨大な物体が衝突してきた。
無駄にスピード感あふれる物体と共に、もみくちゃになりながら地面を転がる。

(´<_`;)「兄者!?」

(#)´_ゝ`)「いてーな何だよこの汚い毛玉は!? どんだけカーペットの上コロコロしたらこんな毛玉が出来──」


(メ,,メ Дナ)


( ´_ゝ`)「…………」


何か見覚えのある汚い毛玉をしばし眺め、そのまま視界を上に上げる。
目の前には、更に数倍くらいはデカくて汚い毛玉がどっしりと構えている。

<ヽメ ∀ >「…………」

濁った瞳の向こうに、俺のイケメンフェイスが映っている気がした。

3_20091229115217.jpg


※    ※    ※

('A`)「駄目だ。入れそうな通気口とか、そういうのも見つからねー。閉じ込められた。外なのに」

( ^ω^メ)「こじ開けられそうな網とかないのかお?」

('A`)「そんなヤワそうな場所、見つからなかったよ。たく、ドアの鍵は壊れてる癖に……」

(;^ω^メ)「むう……」

('A`)「…………万策尽きた、か」

('A`)「ここでgdgdやってても時間の無駄だな」

( ^ω^メ)「何か良い手があるのかお?」

('A`)「いや……何も」

('A`)「もっかいドア開けて特攻とか、策でも何でもねぇ案しか浮かばん」

( ^ω^メ)「扉ガリガリいってるお、あっちは今も大賑わいみたいだお」

('A`)「ああ。俺らに出来るのは、俺が突っ込んでいって囮になるとかそんくらいだな」

( ^ω^メ)「…………」

('A`)「正直、こんな事になってんのは誤算だった。
    ここまで酷いと分かってたら、お前らも連れて来なかったよ」

( ^ω^メ)「……」

('A`)「ギコは流石兄弟が救出してくれる事を祈ろう。
    事態が悪化する前に……何とかお前だけでも脱出してくれないか」

( ^ω^メ)「…………」

沈黙。
僕らの間に漂う静寂を断ち切るかのように、馴染みのある音が鼓膜を揺らす。
それにつられて、僕はゆっくり空へと顔を向けた。

( ^ω^メ)「…………飛行機」

('A`)「……? ああ」

薄明るい夜空の向こうで、飛行機がライトを明滅させながら遠くへと飛び去っていく。

( ^ω^メ)「……忘れてたお」

('A`)「何?」

そうだ、忘れていた。
何を諦める事があったのだろう。
僕らにはまだ手がある。

( ^ω^メ)「そうだお。閉じ込められてなんかないお、ドクオ」


( ^ω^メ)「飛ぼう。空を」

('A`)「…………」

('A`)「ハァ?」



第二十一話 終





この小説は2009年3月30日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:YK6PSXujO 氏

続きはこちら



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[ 2009/12/29 11:54 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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