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三丁目の('A`)ドクオ達のようです 第十二話


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




正直なところ、モララーが何に苦悩し、絶望していたのかは僕には理解出来なかった。
元々頭は良い方じゃなかったし、解ったところで僕にはどうすることも出来なかった。

(´・ω・`)「ここだよ。ここに連れて来たかったんだ」

('A`)「へー……良いとこだな。お前の新しい縄張り?」

(´・ω・`)「まぁ、そんなところかな。前の持ち主と兼用みたいなものだけど。
       プギャーって猫。面白い奴だよ」

('A`)「……で、ここがどうかしたのか?俺に自慢とか?」

(´・ω・`)「ははは、それも良いけどね」

(´・ω・`)「作りたいと思ってさ。僕達の、新しい居場所。
       で、リーダーは君が適任かなぁと」

('A`)「……」

('A`)「なーに言ってんだか。さっき話したろうが、俺はもう野良じゃないの。
    そんで、あんまり先も無いの。既に秒読みなの」

(´・ω・`)「それでも良いじゃないか。君まだ生きてるし」

('A`)「おま……無茶言うなって。右手だってねーのに」

彼が抱えていた思想、怨念、そういった諸々を全て受け止め、背負い込んだのは他ならぬこの黒猫だ。
恐らくそれは彼をもってしても持て余すような代物で、
彼もまたモララーと同じ道を辿ったとしても不思議ではなかった。

(´・ω・`)「ああ、その右手だけど。無くした理由、僕は知ってるよ」

('A`)「!」

(´・ω・`)「だから君を待ってたんだよ。生きてれば、きっと帰ってくるだろうと思ってた」

しかし、彼はそうならなかった。
何故かなんて、心を読めない僕には分からない。

('A`)「……」
(´・ω・`)「僕はね」
(´・ω・`)「モララーの言ったこと、信じてないんだ」
('A`)「……」
(´・ω・`)「君は?」
('A`)「……」

ただ、腕を失い病に侵され、自らの死を目前にしても、彼はどこまでも彼だった。
ぶつくさ愚痴をこぼして世間を呪いながらも、歩みを止めようとはしなかった。

('A`)「この広場、名前とかあんの?」

(´・ω・`)「うん」



(´・ω・`)「日だまり広場。今決めた」



1_20091229111727.jpg



第十二話 六月十七日・その一


(´・ω・`)「……」

何となく、空を見ていた。
今日の天気もあまり良いとは言えない。
白と灰とが複雑に混じり合った空から小雨が霧のように降り注ぎ、
僕の白と黒とが混じり合った身体を濡らし続けている。

普段ならどこか建物の中にでも避難して一日中寝こけていたいところだけど、
今日はちょっとそういう訳にも行かなかった。


从 ゚∀从「いやーはっは、雨が冷たくてかなわんなー」

女性陣の方でも分担してあった餌探しの担当が、ハインに回ってきたからだ。
僕は子供達の世話をすると言ったのに、てめーも来いやと半ば強引に拉致されてしまい、
こうして彼女と二匹して東区をふらふらしている。


从 ゚∀从「うおおでっけー水たまり!! おいショボ、何かウネウネしてんのが浮いてんぞ!」

でも、かえって良かったのかもしれない。

ドクオが姿を見せなくなって、既に五日経っている。
以前もこうしたことは時々あったが、今回は状況が状況だけにこれまでとは訳が違う。
彼に何かあったと見て、恐らくは間違いないだろう。


从 ゚∀从「あ、カタツムリみっけ! これはいけんじゃね?普通に餌なんじゃね?」

餌探しを兼ねて、彼の消息をできる限り掴んでおくべきか。
……だがしかし、自分に出来る事などたかが知れている。
結局、以前のように彼がひょっこり帰ってくるのを信じて待つしか──


从#゚∀从「いぇーーーーーーい!!!!」
(#)゚ω゚`);;.「いぶぷろふぇんッ!?」


いきなりハイン渾身のストレートを横っ面に喰らい、勢い良く小汚い塀に打ち付けられる。
痛い。というかそれは殴る掛け声じゃない。

(#)・ω・`;)「い、痛いじゃないか! ってか何でそんなテンション高いの!?」

从#゚∀从「ハインちゃん今ちーっとばかし怒ってまーす。何ででしょー?」

(#)・ω・`)「……聞き流してすまない。ええと……さっきの水たまりのウネウネはボウフラだよ。蚊の幼虫。
        あとカタツムリは何か危ない寄生虫いるかもしれないから止めとけって前ドクオが言ってたよ」

从 ゚∀从「お前話聞いてんならちゃんとさぁ……つーか……ああ、いや、いいわ」

ハインはどこか呆れたように似合わない溜め息をつくと、
肩を落として首を振り、さっさと行ってしまう。
勝手に自己完結されても困る。

(#)・ω・`;)「え、何何?どうしたの?」

从 ゚∀从「いーよもうテメー帰れ! ついでに死ね! ゆっくり死ね!」

(#)・ω・`;)「何故!?僕は今どうしてそんな口汚く罵られてるの!?」

从 ゚∀从「ホントに分かってねーのかよ! だからお前はショボなんだよバーカ!」

(#)・ω・`;)「止めてよ! 何か僕の存在自体を否定する方向の罵倒は!」

その後も全く中身の無い言い争いをしばらく続け、
ついでに更に数発殴られた後、僕が全面的に平謝りするという形で(最初からそうであり、毎回そうだが)このいざこざは終結した。


※    ※    ※

ξ ⊿ )ξ「ああああ」
(*‘ω‘ *)「ちんぽっぽー……?」
▼ーェー▼

ξ ⊿ )ξ「うううううう」

(*‘ω‘ *)「ちんぽっぽちんぽっぽ! ちんぽっぽー!!」

▼ーェー▼

ξ ⊿ )ξ「おおおおお」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽぽぽっぽー!!ちんぽっp」
▼#・ェ・▼「うるッせえェェェェェェェェェェ!!!! 噛み砕くぞコラァ!!」

(*‘ω‘ *)「…………」

(*;ω; *)

▼;・ェ・▼「う」

(*;ω; *)「ぽ……」
(*;ω; *)「ちんぽっぽぉおおおお!!」

▼;・ェ・▼「……ったく、糞が……おい雌猫、泣いてんぞ」
ξ ⊿ )ξ「いや、泣かしたのあんたでしょ」
▼・ェ・▼「テメ、いい加減しっかりしろ。自覚した途端ヘバるとかアホか屑駄目居候」
ξ ⊿ )ξ「ここぞとばかりにボロクソ言うわねあんた……うえっぷ」

▼・ェ・▼「……ちっ」
▼ーェー▼「俺としたことがヘマしちまったぜ。面倒くせェ」

▼ーェー▼ノシ「ほれクソガキ、尻尾だ尻尾」

(*;ω; *)「ぽっぽおおおおぉぉ……。ぽ」

▼ーェー▼ノシ(*‘ω‘ *)キャッキャ

ξ ⊿ )ξ「……ごめんなさい」

▼ーェ・▼「あァ?」

ξ ⊿ )ξ「迷惑かけてごめんなさい」

▼ーェ・▼「……お前大分参ってんな。
      そんなに怖いか」

ξ ⊿ )ξ「…………」

▼ーェー▼「自分でまいた……いや、まかれた種なんだ、しっかり落とし前はつけとけ。
       俺の見積もりじゃ月末か、来月の頭くらいには生まれると思うがな。多分」

ξ ⊿ )ξ「……」

ξ ⊿ )ξ「痛いのかな?」

▼ーェー▼「知るか」

ξ ⊿ )ξ「…………」

(*‘ω‘ *)キャッキャ

▼ーェー▼「……。ああ、そういや人間よりはずっと楽だって聞いたわ。
       そんなに不安がらなくて良いかも分からんぜ」

ξ ⊿ )ξ「そうなんだ」

▼ーェー▼「ああ」

(*‘ω‘ *)キャッキャ

ξ ⊿ )ξ「……」
ξ ⊿ )ξ「うおええええええ」

▼ーェー▼(うぜえ……)

▼ーェー▼「……何か話してたら気でも紛れるんでねーの?」

ξ ⊿ )ξ「何かって何よ」

▼ーェー▼「知るかよ」

ξ ⊿ )ξ「話せって言ったのあんたでしょ」

▼ーェー▼「誰も頼んでなんかねーつーの」

ξ ⊿ )ξ「……」

▼ーェー▼「……」

(*‘ω‘ *)「ちんぽっぽー♪」

ξ ⊿ )ξ「ねえ、聞いても良い?」

▼ーェー▼「駄目だ」

ξ ⊿ )ξ「あんたって野良犬なの?」

▼ーェー▼(このクソアマ……)

ξ ⊿ )ξ「この空き家ってさ。犬小屋あるよね、もうボロボロだけど」

▼ーェー▼「……」

ξ ⊿ )ξ「あんたって、ひょっとして」

▼ーェ・▼「ご名答。昔はここの飼い犬だった」

ξ ⊿ )ξ「……やっぱり。家の人たちは……」

▼ーェー▼「さーな、俺捨ててどっか行っちまったよ。詳しく話す気にもならん」

ξ ⊿ )ξ「そう。……ごめん」
▼ーェー▼「勝手に聞いたくせに勝手に謝んじゃねえホント自己中だなテメー」
ξ ⊿ )ξ「……。ごめん」

▼ーェー▼「……」
▼・ェ・▼「餌取ってくら。こいつ見とけ」

(*‘ω‘ *)「ぽ?ぽっぽー……」

ξ ⊿ )ξ「念の為言っとくけど、私は別にいらないよ?」

▼・ェ・▼「何言ってんのお前?自分のに決まってんだろ何言ってんのお前?」

ξ# ⊿ )ξ

▼・ェ・▼「まァ、せいぜい養生しとけや。じゃな」

ξ ⊿ )ξ「…………て」

▼・ェ・▼「んァ?」

ξ ⊿ )ξ「せいぜい気をつけて」

▼ーェー▼「おう」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽー!」

▼ーェー▼「へェへェ、わーったわーった」


※    ※    ※

(V) ∧_∧(V)
 ヽ(^ヮ^)ノ  『お、来たなぬこ。持ってけ持ってけ』

从 ゚∀从「うはwwwいつも何かよく分からん魚肉ありがとオッサンwwww何かよく分からん魚肉だけどwwwwww」

(V) ∧_∧(V)
 ヽ(^ヮ^)ノ 『しっかり喰えよー』

从 ゚∀从ノシ「オッサンもなーwww」



(´・ω・`)「うん、大分集まってきたね」

ギコ傘下の猫が担う縄張りの一画、路地裏の片隅に集められた餌を眺め、髭をひくひく揺らす。
彼の後ろ盾がある今、無用な争いに巻き込まれる事も無く、餌探しも意外と楽だった。

从 ゚∀从「そーだなー……んじゃもう帰るかァ?」

帰りたいのか帰りたくないのか、判別しかねる口調で呟くハイン。
結局機嫌も悪いままだし、一体何なんだ。僕は何もしてないぞ。多分。

(´・ω・`)「そうだね、帰ろうか」

僕は身体を震わせて水気を飛ばし、
手近の餌を出来るだけ多めにくわえ上げた。
今からはここと工業跡地の往復作業になる。

从 ゚∀从「あいあい。よっこらセック……」

ハインが遅れて立ち上がろうとしたその時、僕の聴覚が微かな不協和音を捉えた。

足音。正確には水溜まりに足を突っ込む音。
人間ではない。もっと小さい。
猫でもない。それよりは大きい。

となれば──

(´・ω・`)「ハイン」
从 ゚∀从「……ッと、な、何だよ。ちょっとした下ネタくらい多目に見て──」
(´・ω・`)「違う」

僕はひとまずくわえていた餌を下ろし、耳を立てて周囲を睨み付けた。
立地が悪いのか、正確な位置が掴めない。
ただ、足音は確実に近づいている。

ハインも足音に気付いたのか、水に濡れた毛並を逆立てながら後ずさる。

从 ゚∀从「……コイツは」
(´・ω・`)「ああ」

僕とハインは同時に振り向き、袋小路になっている路地裏の奥へと目を向ける。
けして低くない塀を飛び越え、そいつは現れた。


▼・ェ・▼「……うげ、匂い集まってると思ったら……」

2_20091229111727.jpg



(´・ω・`)「犬か」
▼・ェ・▼「また猫かよ」

奇しくも似たような呻きを漏らす。
野良猫と野良犬、僕らは最も似通った存在でありながら──
いや、だからこそ、互いに最も身近な天敵として認識している。

从 ゚∀从「んだテメー、やんのか。これに手ェ出してみろ、俺の幻の右が唸るぜ」

▼・ェ・▼「おい、そこのブチ野郎」

从#゚∀从「お?シカトですか?スルーですか?」

(´・ω・`)「やめろハイン、威嚇すんな。……お願いだから」

注意深く相手を観察する。
野良犬は一般的にビーグル犬と呼ばれる種で、体格は標準より少し上程度。
それでも小柄な自分よりはかなり大きい。

戦えば、まず勝てない。勝ったとしても無傷では済まない。

(´・ω・`)「で、僕に何か」

▼・ェ・▼「まァ……その、何だ。そこにあんの分けてくんね?」

从#゚∀从「おーおー言っちゃったねコイツ。平然と言ってのけちゃったねコイツ」

(´・ω・`)「だからやめれっつーの」

(´・ω・`)「……」

僕は黙り込んで餌と野良犬とを見比べる。
しばらく思案した後、慎重に口を開いた。

(´・ω・`)「分けて欲しい、と言ったね。どの程度だ」

从 ゚∀从「!?」

▼・ェ・▼「悪ィな。いや別にそんな多くはいらねーんだ、少しで良い。
      そこの何かよく分からん魚肉でいーよ」

(´・ω・`)「分かった。持って行け」

从;゚∀从「お、おい!! 何言ってんだショボ!?」

(´・ω・`)「大丈夫だよ、全部奪われる訳じゃないし」

今の返答で確信した。
この犬は態度は横柄だが、好戦的な性格ではないようだ。
下手に刺激する必要は無い、少し渡せばそのまま帰ってくれる。

从 ゚∀从「だからって、はいそーですかって手渡すこたァねーだろ。
      へーこらしてんじゃねーよ」

(´・ω・`)「してないよ。色々考えた結果、出た結論だ。
       ……君。早く持って行ってくれないか」

▼・ェ・▼「いやいや、本当悪ィね。普段ならこんな面倒くせェ事やんねーんだけど、
      今人んちに馬鹿共が上がり込ん……」

いそいそと餌に近寄る犬の行く手を、ハインが遮る。

从 ゚∀从「待ちな」

身体を屈め毛を逆立て、臨戦態勢に入った。
二匹の間の空気が、一気に緊迫する。

从 ゚∀从「魚肉はやれねェ、欲しきゃこっちのゴボウの皮にしろ」

▼・ェ・▼「……あん?」

(´・ω・`)「おい、ハイn」
从 ゚∀从「見損なったぜ、ショボン。ガキ共が腹空かせて待ってんだぞ?
      少しは粘れよ。そんな臆病風吹かせて、これからやって行けんのか?あ?」

(´・ω・`)「……」

僕は深々と溜め息をつき、ハインの傍らに立つ。
助太刀すると思ったのか、ぱっと表情を明るくさせてこちらを向いた彼女の顔面に、

思い切り頭突きをかました。

从メ゚∀从「ッ……てぇ!……!?」

何が起きたのか理解出来ないまま目を瞬かせる彼女に、僕は多少痛みで潤んだ瞳を向けた。
普通にパンチとかにしとけば良かった。

(´・ω・`)「いい加減にしろ。虚勢を張れば良いってものじゃない、
       今の僕らの状況を少し考えてみれば、無茶な真似が禁物な事は分かるだろう?
       確かに餌は大事だけど、餌を食ったって怪我はすぐには治らないんだ。渡したくない気持ちだって分かる。
       でも、今ここには君と僕しかいないんだぞ?
       ドクオも、ブーンも、プギャー達もいないんだぞ、それを忘れてやしないか?
       そして敵は猫じゃない、犬なんだ。
       彼らとの間には暗黙の了解なんて存在しない、下手打てば容易くぶち殺される。
       慎重な対応が求められるんだよ。それに何より──」

ここまで一息に喋り、吐いた息を引き戻すように深呼吸する。

(´・ω・`)「君を危険な目に遭わせたくない。その為になら、いくらでも臆病になるさ」

从メ゚∀从「…………」

ハインは目を伏せてそっぽを向き、ぼそりと一言だけ呟いた。

从メ゚∀从「……ずりぃよ。それ言われたらさァ」
从メ゚∀从「…………。先帰ってるわ」

ハインはふらふらと餌を適当にくわえ込むと、僕の横を通り過ぎて路地裏の角を曲がっていく。
何か声を掛けようとも思ったが、良い言葉が浮かばなかった。

取り残された僕は、とりあえず凄まじく微妙な表情で立ち尽くしていた野良犬に声を掛けた。

(´・ω・`)「すまない、待たせたね。適当に持っていってくれ」

▼ーェー▼「…………えーと。……あれだ。悪かった。マジで」

存外素直に謝る野良犬。
そんなに僕たちの様子は傍から見るに堪えないものだったのだろうか。
犬に謝られたのは生まれて初めてだ。

(´・ω・`)「良いよ、彼女は真っ直ぐ過ぎるきらいがあるから、こんな事もあるさ。
       ……ま、それが良いんだけどね」

あれ、赤の他犬に何言ってんだ僕。
ほら今、犬ちょっと俯いて「クセェ」って呟いちゃったじゃん。恥ずかしいって。
あとさっきのも恥ずかしかったよ。僕なりに頑張ったつもりだったんだよ。

(´・ω・`)「それより、良いからさっさと持ってけってお願いだから」

▼ーェー▼「いや、追い返されたいのはやまやまなんだが……ちぃと聞きたい事が」

犬は心無しか頬を引きつらせている。
何だろう。そんなにさっきのやり取りに気になる部分があったのだろうか。
下手打てば殺されるの下りだろうか。
確かに失礼ではあったかもしれない。つーか失礼だった。

▼ーェー▼「ブーンって猫が、あんたの知り合いにいんのか」

(´・ω・`)「?……ああ、いるけど」

犬が聞いてきたのは、予想外の事柄だった。ブーンがどうしたのだろう。
犬はたっぷり間を置いた後、ゆっくりと伏せていた目を開いた。


▼・ェ・▼「……そいつの彼女は、白くてズボラで無神経で子持ちで恩知らずな、
      どうしようも無い屑同然の糞みてーな飼い猫か?」


(´・ω・`)「…………」


差し当たり当てはまりそうな事柄が白い飼い猫という二つの部分だけなのだが、
果たしてはいと答えるべきなのだろうか。


※    ※    ※

ゴミ、排水溝、汚水、粘つく床、黒ずんだ壁、排気ガス、狭い空。
西区はそういう場所だった。そして今でもそれは変わっていない。

(,,゚Д゚)「だが、悲しいかな。それなりに暮らしやすい場所でもあったわな」

テナントビルの合間に挟まれた薄い塀の上を進みながら、独りごちた。
俺は今、一匹で西区の最奥部へと足を進めている。西区のボスであるモナーと会い、
例のエアガン連中を撃退するために協力を要請する心積もりだ。

(,,゚Д゚)「そう、暮らしやすい場所のはずだ。今でも、それなりには」

独り言というには少し大きすぎる声量で、辺りを見回して目を細める。
頭の中に疑念が渦巻く。

(,,゚Д゚)「どういう事だ?」

ここはとっくに奴らの陣地の中だ。
本来ならモナーの使いっぱの猫の一匹や二匹、俺にコンタクトを取ってきていてもおかしくない。
にもかかわらず、猫が出て来る気配は全く無い。

ビルに備え付けられた空調の耳障りな駆動音だけが、ひたすら自己主張を続けている。

(,,゚Д゚)「……」

それから十数分ほど歩いて、俺はようやく猫らしき奴を発見した。
路傍に捨てられたゴミ袋の中に、上半身を突っ込んだままじっとしている。
微かに動いてはいるので生きているようだ。

(,,゚Д゚)「……」

気配を殺して近寄り、尻と後ろ足を無造作に投げ出しているそいつに近付く。
こんなに無防備な姿は無い、一体何を考えているのだろう。

(,,゚Д゚)「おい。何してんだお前」

俺の言葉にびくりと反応し、猫はぶるぶる身体を震わせてゴミ袋から半身を引き出す。
苛つくほど緩慢な動きで、そいつは俺の方に顔を向けた。

( ゚∀゚ )「……」

そいつの眼は虚ろに焦点が定まっておらず、口は半開きで乾ききった舌をだらしなく端から垂らし、
そして真夏の犬のように浅く細かい呼吸を不気味に繰り返していた。
つまるところ──どう見ても正気ではなかった。

( ゚∀゚ )「はは」

( ゚∀゚ )「あははははははははははははははははははは」

猫は粘着質な笑い声を上げ、どこかへと走り去っていった。

(,,゚Д゚)「……」

舌打ちして再び歩き出す。踏み出した足が水溜まりに突っ込み、べしゃりと音を立てる。

渦巻いていた疑念が、徐々に確信に変わり始めていた。


更に幾らかの時間を経て、やっと西区の最深部に到達した。
時刻は既に深夜帯に差し掛かっている。

表側から漏れ聞こえてくる人間共の喧騒をバックに、
俺は閉ざされた門のように重ねられたガラクタを強引に弾き飛ばした。

足下に散らばったゴミを蹴飛ばしつつ、先に進む。
何かの骨を踏み越えて、そして俺は、辿り着いた。

(,,゚Д゚)「……ふう」

かつての寝床、俺達の故郷。
西区の屑鉄広場に。

粗大ゴミが集められているが故の屑鉄広場なのだが、今は他の物も積み重なっていた。

大量の、猫の亡骸だ。

そして中央には、まるで山のように馬鹿デカい猫が横たわっている。
その膨れっぷりは、同じ猫とは思えないほどだ。
だが、今はそんな事はどうでも良い。

(,,゚Д゚)「そうだったか。西区はとうに……やられてたのか」

呆けたように呟く。
妙な気分だった。
今までずっと目の敵にして、そして恐らくかなう相手ではないだろうと考えてきた宿敵が、

こうもあっさり消えてしまうものなのか。

悲しい訳ではない、むしろ笑いたくなる気分だった。
こういう気分は、何と呼ぶのだろう。これは──

(,,゚Д゚)「ああ」

毛嫌いしていた奴の顔を思い出して、苦々しく呻く。

これが、虚しいというやつか。
結局、お前の言う通りなのか。

(,,゚Д゚)「……ちっ、糞が」

3_20091229111727.jpg



唾を吐き捨て、踵を返す。
盛大な無駄足だった。早く戻って東区の結束を固める必要がある。
西区を潰した奴らが相手となれば、恐らく他の有力者も──

(,,゚Д゚)「ん?」

急に視界に影が差し、俺は無意識に顔を上げる。
そこにあったのは、巨大な腕。

全てを引き裂く凶悪な、血にまみれて黒ずんだ爪。



(,,゚Д゚)「モナ──」



※    ※    ※

川 ゚ -゚)『今回も……色々と有難うございました、先生』

(゚、゚トソン『いえ、良いのよ。クロ助が頑張っただけだから』

('A`)「……」

クーが携えた狭苦しいカゴの中で、俺は二人の会話に耳を傾けていた。
息苦しいのは、単純にこのカゴのせいだと思いたい。

川 ゚ -゚)『でも、私がもう少し早く気づいてやれば』
(゚、゚トソン『……過ぎた事を悔いても仕方ないわ。それに、この子もあなたに感謝してるはず。
     正直びっくりしてるのよ、この子の生命力には』

川 ゚ -゚)『……』
(゚、゚トソン『──だから、大事にしてあげてね。
     あなたにも思うところがあるのだろうけど……』

(゚、゚トソン『もう、外に出すのはやめなさい。これ以上は、この子の寿命を縮めるだけよ』

川 ゚ -゚)『……。分かりました』


('A`)「……」


すまん先生。
そのお願いは聞けないわ。



第十二話 終





この小説は2008年3月21日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:Lgz4T4/sO 氏

続きはこちら



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[ 2009/12/29 11:19 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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