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三丁目の ('A`) ドクオ達のようです 第十話


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




雨粒が、しきりに屋根を叩いている。

(´・ω・`)「雨、か」

目覚めの悪い日は必ず雨だ。
梅雨が明けるのはまだまだ先だから、当分このねっとりとした眠気には頭を悩まされるのだろう。

( うω・`)「……眠」

顔を多少乱暴に擦って眠気を何とか払いのけると、背伸びをしつつ部屋の外へと向かう。
肩の傷が少し痛んだが、気になる程ではなかった。

僕たちに割り当てられた場所は作業場か何からしく、色々な機材が放置されたまま散乱していた。
ドクオならば何の機械か分かるのかもしれないが、僕にはさっぱり分からない。

(-_-)「…………。あ、ショボン。おはよう」
(´・ω・`)「やあ、おはよう」

部屋の隅で丸まっていたヒッキーに軽く尻尾を振って応え、辺りを見回す。
母親たちは小部屋の方で雑談したり、眠って休んでいる。
ハインやうちの二匹を含む子供たちの姿は見当たらない。

(´・ω・`)「ハインたちを知らないかい?」
(-_-)「どこか、その辺で遊んでるんじゃないかな」

そう言うと、ヒッキーはのっぺりとした顔に少しだけ笑みを浮かべる。

(-_-)「秘密基地みたいだからね……ここ」



1_20091229111037.jpg



第十話 六月十三日


( ^ω^)「フヒヒヒヒwwww悪い子はいねーがーwwwwww」

   「きゃああああ!!」
   「うわあああああああああああ」
从 ゚∀从「こっち来んな変質者wwww」

(;^ω^)「ちょwwwwマジ引きっスかwwww」

秘密基地。
なるほど、言い得て妙かもしれない。
散らかった部屋の中で追いかけっこをしている小さい子供たち(と、大きな子供たち)の姿を眺めながら、ぼんやりとそんな事を思った。

(´・ω・`)「おはよう、元気だね」
(;^ω^)「あ、ショボンおはお。ちょうど良かったお、ちょっとこの引かれっぷりは酷いお?」
(´・ω・`)「キモいからじゃない?顔が」
(;^ω^)「僕の魅力全否定かお。し、仕方ない……」

( ´ω`)「こいつでどうだお!!」
(´・ω・`)「ああ、良いんじゃないかな。……どうでも」

( ´ω`)「よし! したらば、ブーンいざ参るお!!」

  「何かもう追いかけっこ秋田」
  「ならかくれんぼとか良くね?」

( ´ω`)「ぬ?」

  「良いねー、鬼どうする?」

从 ゚∀从「私雌だけどブーンが鬼で良いと思う」

  「禿同」
  「禿同」
  「禿同」

( ´ω`)「…………」
( ´ω`)「疲れたお……ショボン、代わって欲しいお」
(´・ω・`)「あいたたたた、これはマズい。肩の傷が痛みだした。
      誰かをかばって受けた肩の傷が痛みだした」
(;´ω`)「い、イジメだお……」

(´・ω・`)「ま、僕はちょっと建物を見て回りたいからさ。すまないけど、一人で頑張って欲しい」

( ^ω^)「そっかお、しゃあないお。いてら」

从 ゚∀从「おいコラショボ! 出るんなら土産に食い物の一つくらい見つけてこいよ!!」
(´・ω・`)「いや、街へは出ないんだけどね……というかその辺りはこの縄張りの猫n」
从 ゚∀从「ゴタゴタうるせぇ! はいかおkで返事しろ!!」

(´・ω・`)「……はい」

何となく肩が本当に痛み出してきたが、気のせいだろう。
多分。


かくれんぼで一斉に各地に散っていく子供たちを後目に、僕は寝泊まりしていた建物から外へと抜け出す。

(´・ω・`)「……ちょっと蒸すな」

跡地はいくつかの棟に別れていて、僕たちに与えられた寝場所は、普段は使われていない物置場のようだった。
それでも安全で、なおかつ雨風もしのげるのだから、十分な待遇と言えるだろう。
地面と壁の間の、わずかな雨に濡れていないスペースを慎重に進み、別棟へと向かう。

(´・ω・`)「おや?」
( ^Д^)「重心が浮いてきたぞ! もっと足に力入れろ!!」
(;><)「押忍! なんです!」

別棟へと続くスペースで、プギャーとビロードが何やら騒いでいた。
ビロードが次々と拳を繰り出し、それをプギャーが受け止めている。

(´・ω・`)「やあ。……何してんの?」
( ^Д^)「あ?見て分かんねえのかよ、特訓だよ特訓!」
( ><)「なんです!」
(#^Д^)「手ぇ休めんな! あと二百回追加!!」
(;><)「お、押忍! なんです!!」

2_20091229111036.jpg


本人たちは気合十分だが、
この光景、人間が見たら多分和むだろう。

(´・ω・`)「ふふ。まぁ、無理しない程度にね」

「もっと打ってこい!」とか「まだまだお前は上に行ける!」とか勝手に盛り上がっている二匹の脇を通過し、別棟の中へと足を踏み入れる。
僕たちの棟とは違い、良く言えば片付いた、悪く言えば閑散とした空間が目の前に広がった。

(´・ω・`)「……何だか寂しいねえ」

何の意味も無い呟きをこぼしながら、部屋の奥へと進み、二階に繋がる階段へと進む。
その階段の中腹で丸まっている巨大な猫に向かって、口を開いた。

(´・ω・`)「そうは思わないか?ギコ」
(,, Д )「…………」
(,, Д゚)「何の用だ」
(´・ω・`)「そんなに警戒するなよ。めったに無い機会だ、久しぶりに話がしたいと思ってさ」

ギコは僕の目をじっと見つめ、尻尾を大きく左右に揺らす。
十数秒ほどだろうか。しばらく経った後、ギコはその大きな身体をゆっくりと持ち上げた。
気だるそうに階段を一歩ずつ下りてくる。

(,,゚Д゚)「……いいだろう。場所を変えるぞ」
(´・ω・`)「おk、把握」

僕は階段の向こうにある暗い部屋を一瞥して、ギコの後についていった。


※    ※    ※

ξ ⊿ )ξ「ッッぶぇっくし!!!!」

ξ;゚⊿゚)ξ「だぁーー……あーもう……、寒」

身体をブルブル震わせて水気を飛ばしながら、真っ白な空を恨めしげに睨みつける。
そんなことをした所で雨が止むはずもないが、やり場の無い怒りがほんの少し和らいだような気がした。

(*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ♪ ちんぽっぽ♪」
ξ ゚⊿゚)ξ「コラ! 水たまりで遊ばないの!」

私は今、どこかの軒先で雨宿りしている。
今自分がどこにいるのか、皆目見当もつかない。
体が濡れるのも無視して周囲を歩き回ってみたが、自分の家らしき垣根は一向に見つからなかった。


完全に迷子だ。


ξ; ⊿ )ξ「どうしよう……」

もっと範囲を広げてみるべきか。
しかしあまり動きすぎると、余計に家から遠ざかってしまうかもしれない。
ここは行き当たりばったりに進むよりも、雨風をしのげる隠れ場を見つけるのが先決のような気もする。
何より、もうすぐ日が暮れる。もう一度奴らに出会ってしまったら……

ξ ゚⊿゚)ξ「うん、どこか安全な場所を探しましょう」

背中に走った悪寒を振り払うように、ちんぽっぽの首筋をくわえこんだ。

足を動かしながら、頭の奥から記憶を引っ張り出す。
ドクオは確かこう言っていた。

  「野良は普通、路地裏や塀の上なんかは縄張りに含めない。
   移動する時は必ず通らざるをえない場所だからな。境界線であり、公道なんだ」
  「逆に言えば、それ以外は誰かの縄張りである可能性がある。絡まれないようにするには、
   なるべく塀の上を移動すべきだな」

回りくどいが、要するに塀の上なら割と安全だと言っているのだろう。

ξ ゚⊿゚)ξ「んっとに理屈っぽいんだから……」

思い出した記憶に愚痴りながら、言われた通りに塀の上を進む。
雨に濡れたセメントは少しだけおっかないが、慣れればどうという事もない。

庭から伸びる木の枝をくぐり、古びて歪んだトタンの屋根を慎重に進む。
辺りを見回しつつ進んではいるが、ねぐらに出来そうな場所はなかなか見つからない。

やがて塀が途切れ、視界が一気に開ける。「表側」だ。
恐らく車と呼ばれるものであろう巨大な物体が、目の前の道路を絶えず行き来している。

ξ ゚⊿゚)ξ「ふう、ちょっと休憩」
(*‘ω‘ *)「ぽっぽー」

塀の手前にちんぽっぽを下ろし、二匹揃って体を震わせる。

ξ ゚⊿゚)ξ「さすがにあっちは違うか」

あちら側に目を向ける。
どうやら今、自分は区画の端にいるようだ。思っていた以上に家から離れているかもしれない。

ξ ゚⊿゚)ξ「……参ったなあ……」

無意識に空を見上げる。
一面濁った灰色に塗りたくられた空は、ただひたすらに雨粒をぶつけ続けてくる。

よく考えたら、ここはもう、「庭以外の空」だ。
私が憧れ続けてきた、外の世界の空。

ξ ゚⊿゚)ξ「……何も変わんないわね」

軽くため息を漏らし、髭を揺らす。
恋焦がれてきたはずの景色だったが、とても感動できるような状況でも、気分でもなかった。

ξ ゚⊿゚)ξ「ナベちゃん……ブーン……」
ξ ゚⊿゚)ξ「……って、あれ?」

少し目を離した隙に、ちんぽっぽが忽然と姿を消していた。
濡れるのが嫌だったのか、塀から降りて民家の床下へと向かっている。

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょ、待ちなさいってばぁ!!」


ちんぽっぽを追い、塀から飛び降りる。
べしゃりと水音を立てて庭に着地し、真っ暗な床下へと潜り込んだ。

ξ ゚⊿゚)ξ「ちんぽっぽちゃーん?」
(*‘ω‘ *)「ちんぽっぽちんぽっぽ!」

幸い、ちんぽっぽはすぐ目の前にいる。
しかし、その向こう。
ちんぽっぽの背後にひっそりと、何か巨大な物体が佇んでいた。

そしてちんぽっぽは、その物体の尻尾を踏んづけていた。思いっきり。

ξ;゚⊿゚)ξ「ッ──」
(*‘ω‘ *)「ぽ?」

喉の奥が引きつるのを感じた。
巨大な物体は耳をピクリと動かし、伏せていた目を開き、鋭くこちらを睨み付けてきた。


▼・ェ・▼「……何だ?お前ら」



※    ※    ※

(^ω^ )

( ^ω^)

( ^ω^ )

( ^ω^)「…………」

(;^ω^)「全然見つかんねーお。どげんしたもんかお」

でっかい工場のど真ん中で、僕は一匹途方に暮れていた。
かくれんぼの鬼にされて、渋々みんなを探し回っていた訳だが、いくら探しても見つからない。

ヒッキーや奥さん達はニヤニヤして教えてくれないし、プギャー達は世界チャンプがどうのと言って全然話を聞いてくれない。
これはあれか、ひょっとしてイジメか。
泣いてもいいよね?答えは聞きたくない。

( ^ω^)「みんなー、お願いだから出て来ておー。僕泣いちゃうおー?」

のろのろ部屋を歩き周り、切実な叫びを上げる。返事はない。
雨の音だけが辺りに虚しく響いている。

(;^ω^)「地味に凹むお……まるで、みんな他の場所に行ってるみたいだお」
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)「そういや別棟があったおね、ここ」

すっかり忘れていた。

別棟に続く通路を忍び足で通り抜け、壁にべたりと張り付き様子を伺う。
耳をすませてみると、微かに話し声が聞こえてくる。

( ^ω^)「見てろお。全員ひっ捕らえてケードロに変更させてやるお」

気配を極力消して、そろそろと声のする場所に近づいていく。

( ^ω^)(……あれ、子ども達の声じゃないお。この声は……)

(,,゚Д゚)「──そうだな。お前があそこにいると知った時は驚いたよ」
(´・ω・`)「そうかい?賑やかな方が好きだからね、僕は」

( ^ω^)(ショボンもあの猫と知り合いだったのかお)

そういえば、そんな感じの口振りだったような気もする。
あのおっかないボス猫も、昨晩よりずっと自然体で接しているように見えた。

(,,゚Д゚)「んで、お前。怪我は平気なのか」
(´・ω・`)「君の噛み傷かい?お陰様で今でも痛むよ」
(,,゚Д゚)「む、ああ、いや……えーと」
(´・ω・`)「冗談だよ。気にしてないし、支障も無い」
(,,゚Д゚)「……そうか」

( ^ω^)(……立ち聞きするのは良くないおね)

踵を返し、棟の奥へ足を進めようとする。

(´・ω・`)「むしろ心配なのは、ドクオの方かな」

無意識に耳がピクリと跳ねた。

(,,゚Д゚)「……」
(,,゚Д゚)「まあ、もうまともに戦える身体じゃねえしな。あいつは」
(´・ω・`)「…………。ギコ。良い機会だから、君には話しておこうと思う」
(,,゚Д゚)「?」


(´・ω・`)「彼はね、もう長くないんだよ。身体なんか、とうに末期状態なんだ」


(,,゚Д゚)「な──」
(;^ω^)(!?)

背筋が凍りつく。
末期状態、それは、つまり──
ドクオはもうすぐ死ぬと言うのか。

(´・ω・`)「骨髄っていう、血を作る器官がやられてる……だそうだ。
       食欲はわかず常時貧血気味、もちろん運動なんか出来たモンじゃない」
(´・ω・`)「治る見込みはもうほとんど無い。いきなり悪化すれば、
       すぐさまあの世に直行するかもしれない……本人が言うには、そういう病状らしい」

ショボンは淡々と言葉を続ける。
流石のボス猫も驚きを隠せないのか、頬や耳が微かに引きつっていた。

(,,゚Д゚)「……そう……か。俺らの年代の連中も、本当に少なくなるな」
(,,゚Д゚)「だが、何故俺に話す。昔のよしみか?」

(´・ω・`)「……何かあったら頼むと言われてるからね。そして、彼は以前こうも言ってたよ」
(´・ω・`)「自分が死んだ後の広場と仲間たちは、ギコに託したいってね」

(,,゚Д゚)「あ?」

(´・ω・`)「昨晩はボロクソ言ってたけど、彼は今も昔も、君を買ってるのさ。
       君がかつて話した夢を、彼は今でも忘れてなかったろう?」

(,, Д )「…………」
(,,゚Д゚)「忘れちまったよ。そんな昔の話は」

ボス猫は髭をひくひく揺らすと、おもむろに腰を上げる。

(;^ω^)(……やべっ、こっち来るお!!)

しばらく呆然としていたせいで、ボス猫が接近しつつあることに気づかなかった。
早くどこかに逃げなければ。盗み聞きしていたことがバレたら、あのアホみたいな威力のタックルをかまされてしまう。
忍び足かつ迅速に、二匹がいた場から離れる。
棟の中を走りつつ、目につきにくそうな場所を探した。

(;^ω^)(……あっ、あそこなら!)

二階に続く階段の向こうに、真っ暗な部屋があるのが見える。
あれはもう、なんか身を隠すには最適な感じがする。


(;^ω^)(そうと決まれば一直線だお!!)

階段をなるべく音を立てずに駆け上がり、そのまま滑り込むように暗い部屋へと突進する。
一階から見えない位置に屈みこんで、ようやく僕は口を開いた。

(;^ω^)「ふう、危なかったお」

昨晩はあの猫に怒りに任せてジダンばりの頭突きを披露したりもしたが、やっぱり怖いものは怖かった。
汗を拭い、一息つく。

( ^ω^)「…………ドクオが……まさか」

信じたくはなかった。
しかし、最大の理解者であるショボンが言うからには、恐らくは真実なのだろう。
自分はまだ、ミルナや母親猫たちが死んだことすら、うまく受け止めきれていないと言うのに。


(  ω )「……どうしたら良いんだお」


    「──誰?」

背後で何かが動いた気配と共に、透き通った声が響く。

(;^ω^)「ッ!」

(*゚ー゚)「……そこにいるの?」


この暗い部屋には不釣り合いな、綺麗な白い猫だった。
毛並みは薄く体は痩せていたせいか、ツンよりも儚げな印象を受ける。

彼女はさまざまな機材がバリケードのように配置された一角から、ゆっくりこちらへと歩み寄ってきた。

(*゚ー゚)「あなたは、誰?ギコ君の知り合い……かな。それともドクオ君の?」
(;^ω^)「あ、は、初めましてだお。ブーンと申すモンですお。
       一応、ドクオ野営組の一匹ですお」
(*゚ー゚)「あはっ、そっか。ドクオ君とこの……よく来れたね?」

何となく覚束ない足取りでこちらのすぐそばまでたどり着くと、手をこちらの方に伸ばしてくる。

( ^ω^)「……!」

その違和感により、不意に気づいた。
彼女の瞳はその体毛と同じく、真っ白に染まっている。
多分僕の姿は全く見えていない。

彼女の手が僕の頬に触れ、肉球で輪郭をなぞるように撫でていく。

(*゚ー゚)「……良い笑顔だね。
     初めまして、私はしぃ」

(;^ω^)「あ、はい。どうもですお」

何だか不思議な猫だ。
弱々しいようでいて、全てを受け入れてしまえそうな、
そんな懐の深さを感じさせる微笑み。

(*゚ー゚)「あ。ごめんね、私ちょっと目が見えないから、こうしないと顔が分からなくて……
     びっくりさせちゃったかな?」
( ^ω^)「いやいや、そんなことは無いですお。こんなんで良ければどんどん触ってくれですお」

何だかツンがいたら誤解を招いてしまいそうなセリフだ。
そういうつもりはちっとも無いけども。
いや本当に。

(*゚ー゚)「ふふ、ありがと。それで……
     どうして、ここに来たのかな」
( ^ω^)「お?」
(*゚ー゚)「何か困ってたみたいだったけど」
( ^ω^)「おー……」

今になって気づいたが、この女性、ドクオが「切り札」にした猫ではないか。
ということは、ドクオとも浅からぬ付き合いがありそうな感じだ。

彼女に話を聞いてみるべきだろうか。


( ^ω^)「さっき、ショボンとギコ……さんが話をしてるのを、偶然聞いちゃったんですお」

しぃの視線に(見えてないけど)促されるまま、口を開く。

( ^ω^)「それで、何かドクオが病気っぽいだの何だのと……いや、変な意味じゃないですお?」
(*゚ー゚)「うん、分かってる」
( ^ω^)「全然知らなかったから、どうしようかな……なんて思ったり」

流石に死ぬという言葉を口にするのはためらってしまった。
そのせいでかなり曖昧というかいい加減な内容になってしまったが。

(*゚ー゚)「…………」
(*゚ー゚)「ねぇ、ブーン君。うちのギコ君とドクオ君が昔仲間だったこと、知ってる?」

(;^ω^)「へ?いや、初耳ですお」

いきなり話題を変えられ素っ頓狂な声を上げてしまう。
あのボス猫、やたらとドクオに突っかかってくるなとは思っていたが。

(*゚ー゚)「私とギコ君とドクオ君、そしてショボン君はね。もともと同じグループの猫だったの」

( ^ω^)「皆一緒だったんですかお」
(*゚ー゚)「うん。皆親を亡くして……餌を取ることもままならなかったなあ、あの頃は」

しぃが懐かしそうに瞳を細める。
彼女の瞼には、当時の光景が映し出されているのだろうか。

(*゚ー゚)「結構猫には辛い時代でね。色々な理由で死んじゃう猫が多くて、孤児になる猫も多かった。
     私たちもすぐに親の後を追うんじゃないかと思ってたんだけど、あるグループに拾われたの」
( ^ω^)「あるグループ?」
(*゚ー゚)「モナーと……モララーって猫。
     私たちの育ての親みたいなものかな」

( ^ω^)(モナーとモララー?)

聞き覚えがあるような、無いような。

(*゚ー゚)「まぁそれから色々あって皆バラバラになっちゃったんだけどね。
     その頃のギコ君とドクオ君はライバルみたいな関係で、色々と張り合ってたんだ」

( ^ω^)「へー……」

皆の大体の関係は分かった。
でも、それが僕の疑問とどう繋がるのだろう?
しぃは僕のそんな心境を声色で読み取ったのか、いたずらっぽく微笑む。

(*゚ー゚)「慌てないの。グループ解体後、ギコ君はここを拠点に縄張りを拡大して、
     東区の大部分を取り仕切るようになったんだけど……」

(*゚ー゚)「ドクオ君は一向に縄張りも持たないで、東区の中をふらふらしてた時期があって。
     ギコ君から色々アプローチもしたんだけど取り合わなかったみたい」

そこで一旦間を開ける。
いくらか言葉を選んでいるような素振りを見せて、しぃは口を開いた。

(*゚ー゚)「そしてある日突然、ぱったり姿を消した。
     帰ってきた時彼は片手を失っていて、急にあの広場を縄張りにして、
     辺りの縄張りを失った野良や子供を受け入れはじめたの」

( ^ω^)「……」
(*゚ー゚)「どうしてだと思う?」

昔、似たような質問を本人にしたことがある。
その時彼は笑ってこう答えたような気がする。

( ^ω^)「楽したいから。年取ったら一匹は寂しくなったから。って言ってましたお」
(*゚ー゚)「あー確かにそういうのもあるかもね。彼、楽してる?」
( ^ω^)「むしろ苦労してる気がしますお」
(*゚ー゚)「だよねー」
( ^ω^)「ねー」

二匹でしばらくニヤニヤしあった後、
彼女はコホンと咳払いして話を続ける。

(*゚ー゚)「昨晩会って確信したよ。彼、覚悟したんだろうね」

( ^ω^)「覚悟?」

しぃは優しい微笑みを絶やさないまま、僕の頬に手を伸ばしてきた。

(*゚ー゚)「託す覚悟。舞台を下りることを受け入れなきゃ、後継者は育てられない」
( ^ω^)「…………!」

彼女の言わんとしている事の意味を理解した瞬間、無意識に身体が震えた。
例えるなら大嫌いな蛇をいきなり目の前に差し出されたような、そういう感覚。

(*゚ー゚)「怖がらないで。……だから、あなたに出来る事は一つ。
     彼が安心できるような、強い猫になる事」
(;^ω^)「強い猫……」

僕が、ドクオの後を?
考えたことも無かった。僕みたいなヘタレた猫に、そんな真似が出来るんだろうか。

(*゚ー゚)「大丈夫、これは強制じゃないから。あなたが決めれば良いことよ」

(*゚ー゚)「あと、これは私からのお願い。
     彼を……ううん、みんなを忘れないであげて」

彼女が頬から手を離す。
同時に、屋根を叩く雨の音が一層強くなった気がした。本降りになってきたのだろうか。

(,,( ^ω^)「……僕h」
(*゚ー゚)「あっ」

3_20091229111036.jpg



(,,( ^ω^)「?」


(,,゚Д)(^ω^ )


(,,゚Д)( ^ω^ )WOW!


(( ゚゚ω゚゚))「ッッギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
(,,#゚Д゚)「逃げんなゴルァァアアア!! 殺す!!
      擦り潰して喰ってやるァアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

(*゚ー゚)「ちょっとギコ君!?止めなさi」

(( ゚゚ω゚゚))「ィィヤアアアアァァァァァァァァ」
(,,#゚Д゚)「待てやゴルァ! 待てば一回殺す!! 待たなきゃ十回殺s」
(#゚ー゚)「ギ  コ  君  !  ?」

(,,;゚Д゚)「ッ……何だよ。邪魔すんな」
(*゚ー゚)「大人気ない真似しないでよ、恥ずかしい……そんなだからあの子にやられるんじゃないの」
(,,;゚Д゚)「やっ、ややややられてねーよ! 引っ付いて鬱陶しかっただけだし!!」

(*゚ー゚)「あっそう。それにしてもあの子、何だか昔のギコ君に似てたなぁ」
(,,゚Д゚)「ハァ?笑えない冗談はよしてくれ」
(*゚ー゚)「そう?昔のあなたはもっと生き生きしてて、可愛くて……」

(*゚ー゚)「もっと、仲間がたくさんいた」
(,,゚Д゚)「…………」

(*゚ー゚)「どう?」

(,,゚Д゚)「……別に」

(*゚ー゚)「あなたもそろそろ、色々考えた方がいいんじゃないかな」

(,,゚Д゚)「まさか。俺の考えは間違ってない、これで良いんだよ」

(*゚ー゚)「……」

(,,゚Д゚)「表で寝る。また夜にな」

(*゚ー゚)「うん。あ、ありがとね」

(,,゚Д゚)「何をだ」

(*゚ー゚)「ブーン君と話、させてくれて。最初から気づいてたでしょ?」

(,,゚Д゚)「…………馬鹿言え。じゃあな」



(*゚ー゚)「はぁ……ホント、意固地なんだから」



※    ※    ※

( ・∀・)「頂点に立てば、希望が見える。そう思っていた時期が私にもありました」

はあ。

( ・∀・)「……うん、あったんだよ、実際。僕にもさ。つうか君らを拾った頃はそう思ってたんだよ」

そうスか。

( ・∀・)「でもさ。違ったんだよ。全然違った、泣けてくるぐらい違う。
      山のてっぺんに手が届きそうになった時にふと周りを見たら、もう本当何も無いんだよ。絶望しかない。死んだ仲間の死骸しかない」

エグいッスね。

( ・∀・)「酷い話だよ、私たちがどんなに頑張った所で、この世の中は私たちが生きる為にあるのではないんだから!」

えーと……はい。

( ・∀・)「私たちが野良である限り、猫である限り!! 人間社会の片隅で、奴らの食いカスを漁って生きていくことしか出来ない。
       私たちの未来に待つのは──あまりに惨めな、猫の死骸さ」

虚しいですね。

( ・∀・)「そう、虚しい! なんかもうダメだ!! 例えるなら、私らは山に登ってたんじゃない。
      飛び越えられない崖に向かって飛び込んでたのさ。空も飛べない私たちには、岩とハグして肉団子になる道しか残されていない訳だよ」

…………。

( ・∀・)「悲しいね、こんな話をしても、理解できるような奴はそうそういない。
      自分が惨めだと自覚しないで死んでいくのはあまりに滑稽じゃないか」

そうスかね。

( ・∀・)「そうさ。君と私はそれを知っている。しかしやはり待っているのは無知な奴らと同じ末路。
      これもまた、滑稽だな」


…………。
……。


('A`)「…………」

何故、よりにもよって話半分に聞いていたあんな演説を思い出すんだ俺。
目を開いてまず最初に考えたことは、そういう内容だった。

('A`)「俺生きてんの?」

目の前は真っ暗。
死にましたよとか天の声が聞こえてきたらアウトだが、返事は無い。ただの暗闇のようだ。ついでに鼻につく据えた匂いが漂っている。

('A`)「この匂い。病院か」

ということは俺は生きてる訳だ。
諸手を上げて万々歳とはいかないが、とりあえずは安心しても良いらしい。

('A`)「しかし……参ったなあ」

だんだん目が闇に慣れてくる。
物凄く近い天井(かごの中だから)を眺めながら、深々と嘆息した。

来る時が来てしまったのだろうか。まだ、皆が確実に安全になったとは言い切れない状態なのに。
脳裏にこびりついたモララーの言葉も相まって、もう何かどうでも良いかな、とか思えてくる。

('A`)「いや、信じないぞ」

自らに言い聞かせる。ここでマンドクセしたら、それこそあの頭でっかちの思う壷だ。
そうは行くかこの野郎。


('A`)(と、意気込んでも当面はやること無いな)

とにもかくにも体調が回復しなければ話にならない。
クーに助けてもらった時は確か……

('A`)「……そういや、あいつ」

こうして俺を病院に連れてきたという事は、徹夜とかしたんだろうか。
あの夜いなかったのはやっぱり俺を探していたからなのだろうか。

('A`)「…………」

疑っている自分が情けなくなってくる。
クーはこうして、俺を何度も救ってくれているというのに。

('A`)「寝よう。ダメだ、夜は余計にネガティブになる」

再び瞼を下ろし、視界を完全に黒く塗りつぶす。
その日、俺は結局朝になるまで眠ることは出来なかった。



俺の意志とは関係なく、日々はただひたすらに過ぎ去っていく。
モララーならこれも世の無情とし、虚しいと嘆き悲しむのだろうか。

何でも虚しいと言えば良いってモンじゃねーぞ。



第十話 終




この小説は2007年10月20日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:BKzTEvCnO 氏

続きはこちら



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2009/12/29 11:13 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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