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三丁目の ('A`) ドクオ達のようです 第八話


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




( ´_ゝ`)「なぁ弟者」

(´<_` )「何だ兄者」

( ´_ゝ`)「そろそろ雌共の発情期が終わるぞ」

(´<_` )「そうだな」

( ´_ゝ`)「今回も俺たちは子種を仕込めないのか?」

(´<_` )「そうだろうな」

( ´_ゝ`)「不公平だと思わないか?
       世の馬鹿な雄猫どもが雌の尻を追っかけ回している最中も、
       我々はこうして見張りを務めなければならないという、
       憤懣やるかたないこの状況。
       さてどうしてくれようか」

(´<_` )「どうするんだ?」

( ´_ゝ`)「え?」

(´<_` )「だから、どうするんだ?」

( ´_ゝ`)「…………あー、どうしてくれようかってのは言葉のあや的なそういうアレだ、
       気にするな」

(´<_` )「そうか。しかしその話題、今日何回目だと思ってるんだ」

( ´_ゝ`)「……!?何回目なんだ、教えてくれ!」

(´<_` )「死ね。
       毎回回りくどいんだよ。要するにヤりたいんだろ?
       『あーヤりてぇ』の一言で済む話をなんでそんなに長ったらしく
       できるんだと小一時かn」

( ´_ゝ`)「うわ、何お前DQNみたい。素で引くわ」

(´<_` )「…………」


(#)´_ゝ`)「しかし何も、毎晩毎晩遅くまで門番させることも無いだろうに。
       ギコも性格悪いよな」

(´<_` )「お前ほどじゃないが……ん?」

( ´_ゝ`)「お?」

(´<_` )「おい兄者、何か来るぞ」

( ´_ゝ`)「見たとこ雌や子どもが多いようだな」

(´<_` )「まさか……」

( ´_ゝ`)「ああ、そのまさかだな。ついに俺たちにも春が来たようだ」

(´<_` )「現実を見ろ。雄が筆頭だぞ」

(#´_ゝ`)「ブッコロマジブッコロ!! イケメンパラダイス死ね!!」

(´<_` )「落ち着け色々と。来るぞ」


(´・ω・`)「あー、こんばんは。君たち見張りか何かかな?」

( ´_ゝ`)「見張りか何か、だと……?ハッ、随分なご挨拶だな。おい弟者、言ってやれ」
(´<_` )「ああ、その通りだが。おたくらは何の用だ?」

(´・ω・`)「ちょっとね。君たちの大将と、話がしたいんだ」

(´<_` )「……お前、ここの主が誰か分かって言ってるのか?」

(´・ω・`)「うん。で、こんな大所帯で上がり込むのもあれだから、彼呼んでくれないかな。
       ショボンとドクオって名前を出せば来てもらえると思うよ」

( ´_ゝ`)「おいおい、図々しいにも程があるな。流石の俺たちもこれは勘弁ならんぜ?なぁ弟者」

(´<_` )「全くだな。じゃあ俺はちょっと呼んでくるから、お前はこいつら見張ってろ」

( ´_ゝ`)「あっ、はい」



1_20091229110445.jpg



第八話 六月十二日─深夜・その一─


('A`)「…………」

今沖田工業跡地。
バブル最盛期に建てられ、その崩壊と共にあっけなく倒産、
放置されそのまま今に至るというテンプレートな道を辿った廃墟を見上げる。

夜闇に包まれてなお俺たちを威圧するその姿は、どこかその縄張りの主を彷彿とさせるものがあった。

('A`)(何てしみじみしてる場合じゃないな。早く行かねーと)

歩みを早め、廃墟の入り口へと向かう。
入り口の周りでは、俺たち広場の連中と門番らしきそっくりな兄弟猫、その奥からちらほら見える取り巻き、
そしてこの縄張りと東区の大半を牛耳る猫──ギコとが睨み合うように向かい合っていた。

('A`)「すまん、待たせた」
(´・ω・`)「うん。大体の話はしておいたよ」
('A`)「そか、すまん」

ショボンと軽く言葉を交わし、入れ替わるように俺が先頭に出る。

(,,゚Д゚)「よう。こないだ振りだな」

目の前には、鈍く輝く毛並みを蓄えた巨大な猫。


('A`)「ああ、まさかこんな形で会うことになるとは思わなかった」
(,,゚Д゚)「今日はいつにも増して顔色が最悪だな。どうしたよ、ん?」
('A`)「いや……ちょっと、腹壊してウンコしに行ってて……」
(,,゚Д゚)「へえ、食い物には気をつけろよ」
('A`)「そうなんだよな、本当」

昔と変わらないように見える、他愛ない世間話。
しかし、その場に居合わせた者は誰一匹、そうは思わないだろう。

お互いの立場が変わったからだろうか。
俺が遅れて来たからだろうか。
ギコの目が、異様な程に鋭いからだろうか。

(,,゚Д゚)「で、だ。お前らの相談なんだが」

('A`)「ああ」

(,,゚Д゚)「駄目だな。そいつらの事は俺らだって知ってるし、お前ら引き取れるほど余裕も無い。
     悪いが帰ってくれ」

('A`)「……」


('A`)「分かってる、そんな事は」

(,,゚Д゚)「ほお」

やはり、陳情とか昔のよしみとか、そんな事ではこいつは動かない。
それならば……

('A`)「勝負だ。俺が勝てば、皆を匿ってくれ。
    俺が負けたら、あの広場をくれてやる」

(;^ω^)「!?」

正々堂々、縄張り争いを挑む。これならばこいつが断る事は無い。


(,,゚Д゚)「……正気か?」

ギコの瞳は冷ややかだ。
そりゃあそうだろう、自分より一回りは小さい五体不満足な老猫が、自ら縄張り争いを吹っかけてきたのだから。


('A`)「ああ、狂っちゃいないぜ」

どうせいつかはくれてやるつもりだったんだ、手札にしたって構わないだろう。

(;^ω^)「ドクオ!! 何言ってんだお、広場が無くなったら!」

(´・ω・`)「困るね。だから、負けられない」
(´・ω・`)「猫が闘う時、それは何かを賭ける時だよ。
       縄張り、食料、水、異性、子供、命。リスクの無い闘いは無い」

(,,゚Д゚)「そういうこった。分かったか小僧」
(;^ω^)「…………」


('A`)「さて、と……そんじゃま」

軽く首を振り全身を震わせる。
縄張り争いなんて、いつぶりだろうか。

(,,゚Д゚)「おいおいおいおい。まぁ、待てよ。お前一匹相手じゃ流石にフェアじゃないだろ」

ギコは鼻で笑いながら、余裕たっぷりに尻尾を揺らす。

(,,゚Д゚)「そうだな……よし、ドクオの後ろで徒党組んでるお前ら。
     お前ら全員と相手するくらいなら、ちょうど良いハンデじゃね?」


(#^Д^)「んだとてめェ!?馬鹿にしてんのか!!」
( ><)「野営組全員……?!」
(-_-)「…………」


(,,゚Д゚)「馬鹿にしてるかどうかは、やってみりゃあ分かるさ。んで、どうするよ?」

('A`)「お前がそれで良いんなら、別にいんじゃね。負けても吠え面かくなよ」

(,,゚Д゚)「……ハッ、お前がな」

(;^ω^)「は、初めてだお……緊張するお」
(´・ω・`)「尻の力抜けよ」


よし、舞台は整った。
後は俺たちが勝てば良いだけだ。

……それが一番難しいんだけど。



子供や雌たちを一旦引き払った後、
俺たちは工場敷地内にある開けた駐車場跡へと移動した。

( ´_ゝ`)「んじゃ、立ち会いとかは俺らがしますんで。
       何か途中で止めたいとかトイレ休憩とかあったら気軽n
       ふぅうああぁああああぁああぁ~~あーあ、畜生」
(´<_` )「あくび自重しろ。失礼しました、気にせずどうぞ」
(,,゚Д゚)「お前ら後で鼻で爪研ぎの刑な」


ギコは思い切り爪を伸ばしながら兄弟猫を睨みつけ、こちらに向き直る。

(,,゚Д゚)「……おし、じゃあやりますか。……しかし、驚いたよ」

('A`)「何がだ」

(,,゚Д゚)「俺はてっきり、お前はもっと賢いと思ってたんだけどな」

('A`)「あらまぁ照れるな」

(,,゚Д゚)「でも、今はボケちまったのか?」
(,,゚Д゚)「俺を誰だと思ってやがる。昔馴染みのギコくんだってか?」

('A`)「かもな」


(,,゚Д゚)「──ふざけんじゃねェぞ、ゴルァ」
('A`)「……」


ギコは全身の毛を逆立てて、前傾姿勢をとる。
それだけで体長が倍以上に膨れ上がったように感じるほど、凄まじい威圧感が全身から放たれていた。

(,,#゚Д゚)「いつまでテメェは同等だと思ってやがる……!」

ギコの腕が急激に強張る。
尻尾を針金のごとく立て、アスファルトを掻き切る。
四半秒もしない内に、ギコが目前に迫ってきた。

(,,#゚Д゚)「うぉらあ!!」

俺の倍はありそうな凶悪な太さの左腕が迫ってくる。
右か、左か。
一瞬だけ考え、敢えて右へと身体を投げ出す。鋭利な爪が耳を掠めていった。

('A`)「散れ!!」

俺の声と共に野営組が散開し、ギコを取り囲むように陣取る。
即座に体勢を立て直しつつ、振り向きざまに飛んできた一撃も辛うじて回避した。

('A`)(よし……何とか、大丈夫……!)

見える、かわせる。
身体がついてきてくれている。

相手を視界に収めつつ、一旦間合いを取る。
既にギコは完全に取り囲まれていた。


( ^Д^)「ドクオばっか狙ってんじゃねーぞ!!」
(,,゚Д゚)「ッ!」

背後から飛びかかってきたプギャーに組みつかれ、ギコは一瞬体勢を崩す。

(#><)「うああああああッ!!」

そこに生まれた隙に乗じ、ビロードがギコの横っ腹に頭から突っ込み、腕を振り抜く。
奴の肌が浅く切り裂かれ、いくらかの体毛が宙を舞う。

(,,゚Д゚)「ふっ……!」

ギコはビロードの突進の勢いを利用し、そのまま床の上で身体を二転三転させる。
ビロードから離れ、プギャーを身体から引き剥がし、立ち上がる。
しかしそこには──

(´・ω・`)「やあ」
(-_-)「……!」
(,,゚Д゚)「!!」


眼前に迫る、二匹の腕。
反射的に身を退いたがかわしきれず、鋭い爪が奴の腕と頬をえぐっていく。

(メ,,゚Д゚)「ちっ……!」

ギコは四肢を広げて辺りを睨みつけるが、俺たちは既に再び円形に広がっている。
頬からわずかに血を流しながら、ギコは忌々しそうに吐き捨てる。

(メ,,゚Д゚)「一気に来りゃあ良いものを。ドクオ、お前の入れ知恵か?」

('A`)「ヒット&アウェイってやつだ」

俺は体勢をなるたけ低くしながら、尻尾を左右に揺らす。
デカい図体と強靭な腕力を持つギコ相手では、乱戦だとこの人数でも、勝てたとしても甚大な被害を被ってしまう。

的を絞らせず、攻撃を受けず、確実に相手の体力を削っていくこの戦い方しか無い。
いずれにせよ、厳しいやり方には違いないが……

(メ,,゚Д゚)「この小物っぷり、いかにもお前らしいな」
('A`)「そらどうも。こっちも怪我したくないんでね」
(メ,,゚Д゚)「……だがな、お前、一つ忘れてる事があるぜ」
('A`)「あ?」

ギコは口の端を微かに歪めながら、
取り囲んだ野営組を順繰りに睨みつけていく。

(メ,,゚Д゚)「てめーらはドクオの広場でぬくぬくと生きてやがるが、
     もともとは縄張り争いの負け組、要するに落ちこぼれだ」

( ^Д^)「……今更何言ってやがる」


(メ,,゚Д゚)「今少しやり合っただけでも分かる。
      甘いんだよ、お前らは。こんな傷が何十何百増えたとこで、俺は倒れない」

(-_-)「……」

(メ,,゚Д゚)「あ、あと一つあったわ。この戦い方はな……」

ギコが地を蹴り、勢い良く跳ね上がる。
ブーンへと、一直線に。


(メ,,゚Д゚)「『穴』があったら通用しないんだよ!!」
(;^ω^)「ひッ!?」


戦闘体勢もまともに取れていないブーンは、
向かってくるギコの迫力に腰が砕けてしまったのか、回避する素振りも見せない。
やばい、このままじゃ──


(;'A`)「逃げろブーンッ!!」

(メ,,゚Д゚)「らァ!!」
(;^ω^)「あ、ああああ……!」



(#´・ω・`)「ふんッ!!!!」

ブーンに拳が到達する寸前、ギコの巨躯をショボンが全身で受け止める。
かなり体格差のある二匹ががっぷり四つに組んだ形で、完全に硬直する。


2_20091229110445.jpg



(#´・ω・`)「は……はは…小物なのは、どっちかな?」
(メ,,゚Д゚)「……」
(#´・ω・`)「穴だって?こい……つ、はね。とんでもない大物かもしれないよ。それこそ……君や、モナーよりも、ね」
(メ,,゚Д゚)「お前……何を言ってやがる?」


(;^ω^)「し、ショボン……」

(#´・ω・`)「……ブーン……怖いかい?僕はそれ、でも……良いと思うよ」
(#´・ω・`)「でも、今、は。皆の為に、ちょっとだけ踏ん張っ……て欲しい。少しで……良いかr」
(メ,,゚Д゚)「お前も、本当に……どうしようも無ぇな!!」

ギコが牙を剥き、ショボンの肩に噛みつく。
巨大な犬歯が深々と食い込み、ショボンが苦悶の声を漏らす。

(;´・ω・`)「うぐッ……うわあああああああああッ!!!」

ショボンは噛みつかれた肩を支点に投げ飛ばされ、背中から思い切りアスファルトに叩きつけられる。


(;'A`);^ω^)「ショボン!」


(#^Д^)「てめええええええ!!」

(;><)「プギャー待つんです! まだ皆が」

真正面からプギャーとギコがかち合い、取っ組み合いになる。
プギャーはギコに向かってがむしゃらに腕を振り回すが、そのいずれも浅く有効打になっていない。

(メ,,゚Д゚)「おらよ!!」
(;^Д^)「ぐぅっ!?」

絡まりあった状態から後ろ足で思い切り腹を蹴り上げられ、
プギャーもアスファルトの上を転げ回る。

(-_-)「プギャー!」
(;'A`)「くっ……!」

(メ,,゚Д゚)「本当に……うんざりだ。口ばっかの連中はよ」
(メ,,゚Д゚)「あんまり俺をがっかりさせんな、ドクオ」

ギコから放たれる覇気は衰えるどころか、傷を受けたことにより更に増しているように思えた。

(;'A`)「……糞ったれ」

俺は苦々しく吐き捨てながら、どう動くべきか考えていた。
切り札はある。が、使いたくは無い。

どうにかしなければ……!


※    ※    ※

ξ ゚⊿゚)ξ「っ……うーん、何か寝つけないな」

顔をくしくしと擦りながら、小さくあくびを漏らす。
結構な時間粘ってみたけど、どうにも眠れそうにない。体はだるいが、頭は完全に冴えきっていた。

ξ ゚⊿゚)ξ「ごめんね、ちょっと涼んでくる」
从 ー 从『……ん~、カステラは一番だよぅ……』

何だかよく分からない寝言を呟くナベちゃんに囁きかけ、私は布団から這い出る。
少々おぼつかない足取りで襖を開け、縁側のいつもの位置に腰を下ろす。
いつもの癖で空を見上げると、雲の隙間から月がわずかに顔を覗かせていた。


ξ ゚⊿゚)ξ「……」


月明かりに照らされた庭を眺めながら、数時間前の出来事を頭の中で反芻する。

今思い出しても顔が火照るほどの醜態を晒してしまった。
しかし、まあ……ブーンの本音らしい言葉も聞けたし、かえって良かったのかもしれない。


ξ ゚⊿゚)ξ「……後であいつにお礼言わなきゃね」

どうやら今回も彼の世話になってしまったらしい。
よく考えたら、まだ一度もまともに礼を言っていない。
いや、それ以前に礼なんか言わないわよとか言っちゃった気も……まあ、良いか。

ξ ゚⊿゚)ξ「そのうち来るわよね」

今度彼らが来るのはいつ頃だろうか。
色々と落ち着くまでは来れないみたいだから、梅雨が明けるまで会えないかもしれない。

でも。今ならきっと、信じて待てる。
どっちにしろ私に出来る事は、それしか無いのだから。

ξ ー⊿ー)ξ「…………」

瞳を閉じ、傍らに置いた爪研ぎ器を撫でる。耳を澄ませば、昼とはまた違う夜の住民達の音が聞こえてくる。


名も知らぬ虫の鳴き声。
遠くから微かに響く、大型車の音。
近所の住宅にある、空調の駆動音。
布団を叩く乾いた音。
猫の悲鳴。


ξ ゚⊿゚)ξ「……え?」


こんな時間に布団を叩くような人間がいるというのもおかしいが、今はそれよりも……

ξ;゚⊿゚)ξ「何、何なの?」

今のは確かに悲鳴だった。
そして、助けを求めていた。
背中が粟立つのを感じながら、耳に神経を集中させる。


  「──誰か! 誰か、助けてくれ!!」
  「嫌ああああああああああああああああッ!!!」


正真正銘、猫の悲鳴だ。
何だろう、野良犬にでも襲われているのだろうか。

私は無意識に縁側から降り、垣根の穴へと向かう。
穴から数十センチ離れたところで、ぴたりと足を止めた。

ξ;゚⊿゚)ξ(……何やってんのよ、私は)

ここから出て、助けようとでも言うのか。
ここから一歩も出た事が無いのに?
ブーンを追いかけるのすらままならなかったのに?
当然、戦いの経験も無いのに?

いや、それ以前に。


ξ ゚⊿゚)ξ(殺されるかもしれないってのに……!)


足も微かに震えていた。こんな状態で出て行こうなどと、馬鹿げている。

ξ ゚⊿゚)ξ(……戻ろう。……ごめんなさい)

行ったところで、何かしてやれる訳でもない。そう自分に言い聞かせながら、ゆっくり踵を返す。


──子ども達やそのお母さん、僕の仲間……沢山死んじゃったお
──それをただ見ている事しか出来なくて、本当に……悔しかったお


ξ ⊿ )ξ「……ッ!」

二匹だった悲鳴は、今は一匹しか聞こえてこない。
私には何も出来ない。
……本当に?


ξ#゚⊿゚)ξ「ああああ、もうっ!!」

私は縁側に飛び乗り爪研ぎ器に思いっきり爪を突き立てると、一気に庭を突っ走り、垣根の穴から顔を突き出す。
垣根の外は、住宅の塀に囲まれた、狭く汚い路地裏だった。

ξ ゚⊿゚)ξ「声は……あっちね」

震える足を叱咤しながら、悲鳴が聞こえる方向へと迅速かつ慎重に進んでいく。

あまり慣れないコンクリート床の感触と排水溝の臭いに顔をしかめながら、いくつかの角を曲がっていく。
と、不意に、悲鳴が途絶えた。

ξ;゚⊿゚)ξ「…………」

悪寒を感じつつも、私は半ば走るように声の聞こえた場所へと向かう。
そして、辿り着いた。


  「あ、ぅ……」

そこに居たのは血塗れになって倒れている母親らしき猫と、
母の状態を理解していないのか、傍らで不思議そうに母親の頬を舐めている子猫。

ξ;゚⊿゚)ξ「なっ……あんた、これどうしたの!?」

既に目が霞んでいるらしい母親は、私の声に反応してわずかに顔を上げる。


  「ああ……良かっ……、助けが……」
ξ;゚⊿゚)ξ「大丈夫?立てる?私の庭まで行けばt」
  「いえ……私は、もう……それより、娘を……」

(*‘ω‘ *)「ぽ?」

ξ;゚⊿゚)ξ「分かった、子どもは助けるから! だからあんたも──」



( ⊆⊇)『何度でも、何度でも~♪とくらぁ』


ξ ゚⊿゚)ξ「!?」
( ⊆⊇)『おーっと、新たなる刺客発見』

曲がり角の先から、妙な眼鏡をかけた男が現れた。
火バサミで掴んでいた何かをこちらに放り投げてくる。


ξ;゚⊿゚)ξ「うっ……!」

それは、酷く痛めつけられた猫の亡骸だった。
無残な有り様と鼻をつく強い血の臭いとで、軽い吐き気とめまいを感じる。

( ⊆⊇)『ほい』

男は火バサミを地に放ると、自由になった手で腰から何か黒い物を取り出す。
カチリと音を立てて、それをこちらの方に向けt


  「危ない!!!」
ξ゚⊿゚)ξ「えっ……!?」


母猫が不意に私に覆い被さると、またあの布団を叩いたような音が響いた。
彼女の身体が、不気味な痙攣を繰り返す。


  「……早く逃げて」
  「娘を……おね…が……」


生暖かい血が、私の身体にとめどなく伝わってくる。
急速に、彼女の身体が冷たくなっていく。

(*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ?ちんぽっぽ!」


私の脳裏に、ドクオの声がフラッシュバックする。


「お前、エアガンって知ってるか?っつうか銃って分かる?」

「……何よそれ」

「えーと、何つったら良いかな。こんくらいのL字型の……黒いやつ」

「だから、何よそれ」

「人間の武器だよ。こう……手で狙って、撃つとだな、
 目に見えないようなスピードで小さな弾が飛んで、すげー威力出んの」

「へえ」

「これを回避するには、まず、頑丈な障害物に隠れること。
 移動する時は、相手に対して斜めの動きを心がけること。
 横だと的が一番広がっちまうし、縦だと照準しやすいからだ」

「……何で、私にそんな話を?」

「だから言っただろ。嫌な予感がすんだってば」



ξ ゚⊿゚)ξ「……あ──」
ξ ゚⊿゚)ξ「ああ、あ…………!」

(*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ!! ちんぽっぽ!?」


( ⊆⊇)『うるせーなぁ。やっぱ子猫は踏み潰すが正義か』


傍らの子猫に向かって、男が足を振り上げる。

ξ ゚⊿゚)ξ「ぅ……」
ξ ⊿ )ξ「ああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」


私は無我夢中で飛び出し、噛みつくように子猫の首筋をくわえると、そのまま全速力で駆け出した。


3_20091229110445.jpg



( ⊆⊇)『おわっ……んだよ、当たってなかったのかよ!』

男の声が聞こえると同時に、排水管の影に飛び込む。
瞬間、金属同士が思い切りぶつかったような甲高い音が何度も響き渡る。

( ⊆⊇)『ちっ……あれ?あーもー、何かこれ調子悪いな最近』

何か不具合でもあったのか、男が不意に銃撃を止めた。
私はその隙に排水管から飛び出し、塀を飛び越える。

( ⊆⊇)『あっ!テメ、逃げんなコラ!!』

男の罵声を浴びながら、私は夢中で路地裏を走る。
どれだけ走っても、男の声は後から後からついてくるような錯覚を覚えた。

ξ ;⊿;)ξ「ひっ……く、うぅ……っ!」

子猫をくわえた顎を小刻みに震わせながら、私は無意識に走ったまま泣いていた。


怖くて、そしてそれ以上に、悲しかった。



※    ※    ※

川 ゚ -゚)『やれやれ。ただいまー』

川 ゚ -゚)『全く……課長絶対私のこと嫌ってるな。押し付けられても困る』

川 ゚ -゚)『クロ助ー、いるか?』

川 ゚ -゚)『…………』

川 ゚ -゚)『クロ助ー』


川 ゚ -゚)『…………。あ、留守電』

《メッセージは、一件、です》

《あ、私だけど。母さんが私の所に姉さんの分の部屋干しトップも
 送ってきてるんだけど、これいる?》

川 ゚ -゚)『………』
川 ゚ -゚)『別にいらんな……』



第八話 終




おまけ:本編の流れ上挿入できなかったシーン

('A`)「たでーまー」

( ^ω^)「おけーりだお」
(´・ω・`)「あ、お、お帰り」

('A`)「何、その露骨過ぎて逆に触れたくなくなる動揺っぷり」

(´・ω・`)「いや、別になn」
从 ゚∀从「なードックン、お前砂緒神社行ってたのか?」

('A`)「ドックン言うな。……まぁそうだけど。誰から聞いた、またショボンか」

从 ゚∀从「まーなー。でさァ、お前、つーって女と知り合いなん?」
('A`)「……うん」
从 ゚∀从「俺、そいつの娘なんだよ。いやー不思議な縁だNE!!」


('A`)「…………」
(ΠA⊂)「ああ…………」


(;^ω^)「ど、どしたんだお」

(ΠA⊂)「触れるな。俺は今、時の流れの残酷さに絶望している」


从 ゚∀从「どーゆー意味だ」




この小説は2007年8月2日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:GFabhCNgO 氏

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[ 2009/12/29 11:06 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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