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三丁目の ('A`) ドクオ達のようです 第七話


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




ξ ゚⊿゚)ξ「……はぁ」

その日も私は、気だるさを隠そうともせずに縁側の隅で丸くなっていた。
まだらに雲が漂う空は、今日も私を悠々と見下ろしている。あれから三日経つ。ドクオやブーンが現れる気配は、まだ無い。

ξ ゚⊿゚)ξ「何よ、たかが三日じゃない」

瞳を伏せ、言い聞かせるように呟く。
三日なんて、あっという間に過ぎてしまうではないか。

そもそも、ブーンと会えなくなってからもまだ一週間弱しか経過していない。
親離れできない子猫じゃあるまいし、私は一体、何をそんなに……

ξ ゚⊿゚)ξ「馬鹿。…早く来なさいよ」

心中とは裏腹に、私の口から零れる言葉は逢瀬を待ち焦がれる恋人のようなそればかり。
いや、別に恋人なんかじゃない訳じゃな……あ、あれ。

ξ ゚⊿゚)ξ「……相当参ってるわね」

連日の蒸し暑さのせいか、体も妙に重たく感じた。
こんな時は眠るに限る、そう思って顎を腕に乗せた時だった。



( ^ω^)「……ツン」
ξ ゚⊿゚)ξ「!!」


垣根に留まっていた雀が、数匹空へと飛び立っていった。




1_20091229110207.jpg



第七話 六月十二日─午後─


('A`)「じ~ん、せ~い、ら、く、無きゃ、苦~しかー無ーいー」

俺は心底アホらしい替え歌を絞り出すように口ずさみながら、石造りの階段をひょこひょこ登っていた。
若さ溢れる時期は何てこと無かったこの階段も、今ではなかなかに重労働になってしまっていた。
時の流れというのは実に残酷なものである。

('A`)「なーんてスカした感傷に浸るのもアレだな?だな?」

わざと明るく声を出して疲れをごまかしながら、最後の一段を登り切る。

('A`)「あ~、やーっと着いたよ……」

首をぐりぐり回し、地に敷き詰められた砂利を踏みしめる。

目の前には、こぢんまりとした神社が静かに佇んでいた。


('A`)「全然変わってねーな、ここは」

街は時が経つにつれ、少しずつ姿を変えていく。
しかしこの神社だけは、昔と何ら変わっていないように思えた。

('A`)「もう二度と来ることも無いと思ってたんだけど」

何だかんだで足が向いてしまうとは、やはり自分も猫の端くれか。
頭の中で境内の地図を広げながら、丁寧に掃除された庭を横切り、裏手に回る。
砂利を踏みしめるたびに小気味良い音が響く。

垣根の隙間を抜けると、そこには昔と寸分違わぬ光景が広がっていた。

庭の半分以上を占める水田と、ちょっとした家庭菜園。
田んぼには青々とした苗が植えられていた。


('A`)「よう、久しぶり」

縁側にいる人物に向けて、俺は軽く手を上げる。彼女も全く変わっていなかった。


lw´‐ _‐ノv『お前誰だ』
('A`)「…………」


彼女の名はシュー。
俺がまだ西区から流れてきたばかりの頃、この神社の軒下と彼女にはよく世話になった。
驚いたことに彼女はある程度俺達の言葉が感覚的に分かるらしく、
当時の俺は彼女によく馬鹿なことを言っていたような気がする。


lw´‐ _‐ノv『聞き方が悪かった。改めて聞こう、お前はいつのお前だ』
('A`)「え?」
lw´‐ _‐ノv『米で言うなら刈り入れ時か?』
('A`)「あ……ああ、うん。そうだけど」
lw´‐ _‐ノv『ならもっと元気よく!!』
('A`)「その通りです!!」
lw´‐ _‐ノv『ならば上がるが良い、米をやろう』
('A`)「はい。いや米はいらん」

しかし言動が相当に奇天烈なので、実際のところ本当に通じているのかどうかは自信が無い。
とにもかくにも俺はシューに促されるまま、縁側に上がり込む。
ツンの屋敷とは違い床はずいぶんと古びていたが、俺にとっては酷く懐かしい感触だった。

狭いが、手入れの行き届いた裏庭を一望する。

('A`)「この眺めも久しぶりだな」
lw´‐ _‐ノv『ふ、老いとは虚しいものだ』
('A`)「……」

俺の冷えた視線などまるで意に介さず、シューはのんびりと茶をすすっている。
しかしこいつ、あまりに変わっていなさすぎじゃないか。
以前もこうして、何故か巫女服を着たまま縁側で座布団に正座して茶をすすっていた。


ひょっとしてこいつ、人間じゃなi
lw´‐ _‐ノv『早く人間になりたい』
(;'A`)「ッ!?」


lw´‐ _‐ノv『……』
(;'A`)「……」
lw´‐ _‐ノv『おーれたーちゃよーかーいにー(ry』
(;'A`)(きが くるっとる)


久しぶりの会話(なのか?)だと、どうにも合わせにくい。
いや、その前にこいつ今心の中読んだよな?
会った時から妙な奴だとは思っていたが、ひょっとして──

(*゚∀゚)「…………ドクオ?」
('A`)「!!」
(*゚∀゚)「ドクオじゃん!! 無事だったんだ!?」


('A`)「……つー」

やっぱり、今でもここに居たのか。
心のどこかで会える事を期待してここに来たはずなのに、俺の心中は複雑だった。

(*゚∀゚)「いやー、生きてたんならもっと早く顔出してくれれば良かったのに」
('A`)「色々とあってさ。あんたは相変わらず元気そうだな」

つーは得意げに尻尾を揺らし、頬を手で軽く撫でつける。

(*゚∀゚)「そりゃね、それだけが取り柄だし。あんただって……んー?」
('A`)「……何だよ」
(*゚∀゚)「いや別に。ねー、どっか歩きながら話そーよ。良い?シュー」

lw´‐ _‐ノv『これが若さか……』

(*゚∀゚)「ほら、シューもああ言ってるしさ」
('A`)(どう言ってるんだよ……)

俺は半ば強引に、来たばかりの裏庭から退場させられる。
神社の周りに広がるちょっとした森の中を歩きながら、
つーと他愛もない世間話を交わす。


(*゚∀゚)「最近は蒸し暑くなってかなわないよねー。森の中なら、場所によっては結構涼しいんだけど」
('A`)「もう梅雨まっただ中だもんな」
(*゚∀゚)「ねー。シューも服が乾かないってぼやいてたよ」
('A`)「……あまり想像できない」

何故だか会話に身が入らない。
別に会話に支障をきたすほど疲れてる訳でも、眠気に襲われてる訳でも無いはずなんだけど。

(*゚∀゚)「んー、ここらでちょっと座ろっか」

森を抜けた先には、なだらかな草原が広がっていた。
つーに促されるまま、大きめの石に乗っかり腰を下ろす。

眼下には、人間たちと俺たちが住む街が広がっていた。


(*゚∀゚)「さて、で、どーしたのよ」
('A`)「へ?……何が」
(*゚∀゚)「何がじゃないよ、突然現れたからには、何か話したいことがあるんでしょーが。話してみんさい」

あっさり見抜かれてしまった。
まぁ、バレバレか。

('A`)「ああ……そうだな。最近、東区の猫たちを殺して回ってるらしい人間がいるんだ」
(*゚∀゚)「何だって?物騒だねえ……こんな子どもが多い時に」
('A`)「改造エアガンの殺傷力が半端じゃない。俺の仲間も沢山やられた、注意しておいてくれ」
(*゚∀゚)「うん、分かったよ。……それで、他には?」

つーは母親のように優しく微笑みながら、首を傾げてくる。

('A`)「他?別に何もn」


と。
突然、つーが俺の頬を舐めてきた。ざらりとした感触に身体が跳ねる。

(;'A`)「おわっ、な、何をするだァーッ!!」
(*゚∀゚)「この味は! 嘘をついている味だぜ……ドクオ」

自分でもよく分からんがお約束のセリフと共に、つーが顔を擦り寄せてくる。
白い毛並みは昔よりだいぶ艶が失われていたが、それでも美しいことには変わりなかった。
微かに漂う雌特有の香りが鼻腔をくすぐる。

(*゚∀゚)「久しぶりだからってなめんじゃないよー、おねーちゃんには全て分かっちまうんだぜ!」

('A`)「わ、分かったからちょっと離れてくれ。鼻がかゆい」
(*゚∀゚)「……相変わらず、デリカシーの無い奴だね君は」

ちょっぴり冷めた視線が胸に痛かったが、気合いで無視した。

('A`)「……確かにあんたの言う通りだよ」

俺はため息を吐き、視線を眼下に広がる街──東区三丁目に移す。
わずかに聞こえる人々の喧騒をBGMに、俺はこれまでの顛末をあらかた話した。


惨めに死ぬ様は見せたくないと、逃げるように神社から姿を消したこと。
クーという人間に拾われ、飼い猫として生きていること。
彼女との生活の中で、自分の価値観が変わっていったこと。
しかしひょっとしたら、そのクーが今回の虐殺に荷担しているかもしれないこと。

腹の中に溜まった何かを吐き出すように、俺はひたすらに滔々と語った。
ショボンにすら話したことの無かった、自身の胸の内を。


俺が話している間、つーは時折相づちをうちながら、目を閉じて話を聞いてくれていた。

('A`)「……とまぁ、こういう訳だ。だらだら話してすまん」
(*゚∀゚)「いや、良いよ。……ふーん……なるほどねぇ」
('A`)「な、何だよ」

(*゚∀゚)「何かふいんき変わったと思ったら、色々あったんだね」
('A`)「げっそりやつれたって意味か?」
(*゚∀゚)「あはは、無くも無いね。
     でもさ。昔のあんたなら、腕が無くなってもこうして
生きようとはしてなかったんじゃないかな」
('A`)「何事も尻に火がつかなきゃ、頑張れないタイプらしくてさ」
(*゚∀゚)「うん?」
('A`)「……いや、別に」

(*゚∀゚)「そか。しかしまぁ、人間嫌いのあんたが飼い猫ねぇ……変われば変わるもんだね」
('A`)「そうだな。自分でもそう思う」

つーは瞳を少しだけ細め、こちらを見据えてくる。


(*゚∀゚)「だから怖いの?飼い主に裏切られる事が」
('A`)「…………」
('A`)「ああ、怖いね。怖くてたまらんよ」


無表情でちょっと無精だが、俺の面倒見だけは良かったクー。
会社で嫌な事があると、下戸のくせにビールをあおって俺にくだをまくクー。
いつまで経っても彼氏どころか女友達すらまともに出来ないクー。
最近体脂肪率が気になるらしいクー。
2ちゃんねるとかいうサイトの毒女板が好きらしいクー。


いつでも俺にだけは本心を語ってくれているのだと思っていた。
それが根底から覆ってしまう事が、今は何より怖かった。
死んでしまう事よりも。



(*゚∀゚)「でも、さ」
(*゚∀゚)「仮にそうだったとして、本当に何か変わるのかな」

('A`)「……?」


(*゚∀゚)「仮にあんたの飼い主が野良を殺して回ってるとしてもさ。
     その人が今まであんたにしてきてくれた事は何も変わらないじゃん」

('A`)「……」

(*゚∀゚)「私もさ、色々あったし今は野良になって正解だったと思ってるけど、
     それでも私はあの人を心底嫌う事はできそうに無いな」


あの人……つーの昔の飼い主か。


('A`)「あれは、俺が悪かったんだよ。俺がでしゃばらなきゃ……」
(*゚∀゚)「だからっていくら何でも酷いっしょ、トラバサミは。君、腕無いじゃん」
('A`)「まぁそうかも知れんが」

敷地内を我が物顔で闊歩する野良に業を煮やしたつーの飼い主は、
何とも前時代的な罠を仕掛けた。
それにまんまと引っかかった俺は、こうして片手の無い猫となってしまった訳だが。

(*゚∀゚)「君を殺しかけたし、娘も多分あのままなら何かしらで死んでた。
     ドクオが気に病む必要は無いよ、むしろ感謝したいくらい」


(*゚∀゚)「……っと、話が逸れたね。とにかくさ。
     その人が好きなら、最後まで信じてやる事。私が言えるのはそれだけかな」

('A`)「……そうだな。ありがとう」

大分、楽になった気がする。
根本的な解決にはなっていないかもしれないが、
色々吐き出したおかげですっきりしたというのもあるだろう。

(*゚∀゚)「ごめんね、一番しんどいアドバイスしちゃったと思うんだけど」
('A`)「確かにな。えげつねぇ」
(*゚∀゚)「あははは、その口振り、やっぱり根っこは変わらないんだね」
('A`)「そういうあんたは随分丸くなっちまった気がするが」
(*゚∀゚)「荒っぽい娘を持てば、誰だってそうなるさ」

('A`)「娘……そういやあの子はどこに行ったんだ?」
(*゚∀゚)「とっくに親離れしちゃったよ。今頃は街のどっかで暴れてるんじゃないかねえ」
('A`)「街でか。連中に狙われないと良いんだが」



(*゚∀゚)「大丈夫じゃない?ハインリッヒなら」



('A`)「あー、確かにあいつなら大じょ……
    は?」
(*゚∀゚)「ハインリッヒ。あれ、言ってなかったっけ?」


('A`)「…………」



俺の記憶が確かなら、俺が助けたつーの娘は、初々しくて可愛い清楚な女の子だった……はず。
まさかな。まさかな赤坂マッカーサー。

('A`)「いや、何でもね。うん、何が何でも何でも無い」
(*゚∀゚)「??」



※    ※    ※


(;^ω^)「…………」
ξ ゚⊿゚)ξ「…………」

針を刺せば破裂してしまいそうなほどに緊迫した空気の中、
私は縁側でブーンと向かい合って座っていた。傍らには、毛羽立った爪研ぎ器。

ξ ゚⊿゚)ξ「……で?」
(;^ω^)「はい、そういう訳で、まぁ色々と遅れてしまった訳でして、はいまぁ何ちゅうか本中華」

ブーンによれば、広場が人間に襲われたり、皆を元気づける為に劇の打ち合わせなどをやっていて遅くなってしまったらしい。
本当かどうかはこの際関係ない。実際に来てくれているのだから、その辺りはあまり問い詰めないでおこう。

ξ ゚⊿゚)ξ「まぁそれは良いわ。で、これからはどうなるの?」
(;^ω^)「は、はいですお。僕らはとりあえず避難場所を変えようと思ってるんだお。
       そこは結構遠いから、これからもしょっちゅう会ったりとかはなかなか出来ない……と、思います……お」


ξ  ⊿ )ξ「…………」

私は瞳を閉じ、じっくりと思案する。
至極もっともな話だ。彼にだって都合がある、いやそれ以前に非常事態ならそんな事は言っていられないだろう。

疑問は無い。
でも、なら何で、私の気持ちは晴れないのだろう。
あんなに会いたかったはずなのに。

ξ  ⊿ )ξ「謝りなさい」
(;^ω^)「お?」
ξ  ⊿ )ξ「私がどんな気持ちでずっと待ってたと思ってんの?謝りなさい」
(;^ω^)「す……すいませんでしたお!! 寂しがらせてごめんなさいですお!!」


ブーンは土下座の体勢になり、へこへことひたすら頭を下げる。
謝罪するにはどうにも不向きな面構えだけど、必死な事だけは伝わってきた。


それでもやっぱり、私の心は晴れない。


私は体をかがめてブーンに顔を近づけると、その人懐っこい顔を睨みつける。

ξ ゚⊿゚)ξ「嫌いになったんでしょ?」
(;^ω^)「……?」
ξ ゚⊿゚)ξ「外の世界に憧れるとか何とか言って、いざ誘われたら身勝手な言い分で断る私が」

私はどうやら心底性根が腐っているらしい。
どこまでブーンの気持ちを踏みにじれば気が済むのだろう。

ξ ゚⊿゚)ξ「ねえ、そうなんでしょ?ねぇ」
(;^ω^)「そんな事は無いお! 確かにちょっぴりショックだったけど
       そんなアレは無いお!!」
ξ ゚⊿゚)ξ「嘘。本当はもう来たくなんか無いんでしょ?最初からそう言いなさいよ」

私はじりじりと少しずつ距離を詰める。
既にブーンの顔とは鼻先が触れ合うほどに肉薄していた。

しかしブーンは、退こうとはしなかった。真正面から私の視線を受け止めている。

( ^ω^)「……確かに。最初、来るつもりは無かったお」
ξ ゚⊿゚)ξ「!」
( ^ω^)「いつか、ツンが憎くなるんじゃないかって。
       それが怖くて逃げるつもりだったお」
ξ ゚⊿゚)ξ「…………」

( ^ω^)「でも、言われたお。『てめえの都合で寂しがらせんな』って。
       ……その通りだお。僕は、あの人と同じ間違いを犯そうとしてたんだお」

あの人。
定かではないが、何となく、見当はつく気がした。


( ^ω^)「だから僕は逃げないお。退かないお。媚びないお。顧みなi」

ブーンが言い終えるのを待たず、私は思い切りブーンに抱き付く。

(;^ω^)「っちょwww良い所でwwww」

ξ  ⊿ )ξ「あんたって……本当に……」

肩の辺りに顔を埋めながら、腕に力を込める。

ξ  ⊿ )ξ「私は……あんたを追って、庭から出ることすら出来なかったのよ?ただの、一歩も。
      ただ、ひたすら待ってただけ。だけどあんたが来るのも怖くて、
      探しに行くのも怖くて、待つのも怖くて……」

ξ ;⊿;)ξ「ほんとに馬鹿みたい……なんで私、こんな……こんなに駄目なんだろ……」

( ^ω^)「…………」


2_20091229110206.jpg



肩を震わせて泣く私に、ブーンは無言で頬を寄せてきた。

( ^ω^)「怖くて良いんだお。やっぱり、外は危険だったお。
       ツンを危ない目にはあわせたくないお」

ξ ;⊿;)ξ「…………」

( ^ω^)「人間が襲ってきた時、ドクオ達は素早い対応で皆を守ってくれたお。
       頼もしかったけど……慣れすぎてて、逆に少し怖くもあったお」

( ^ω^)「野良で生き抜くにはそれくらいにならなきゃいけないって事だお。
       ツンにそんな事はさせたくないお」

ξ ;⊿;)ξ「ブーン…………」
ξ ;⊿;)ξ「死んだら、駄目だからね?死んだら……本気でぶっ飛ばすわよ」

( ^ω^)「分かってるお」


いつもの、屈託の無い笑顔。
とても死にそうな目にあったばかりだとは思えない。

その笑顔が、いつかどこかへ行ってしまいそうで。
やっぱり私は怖かった。



※    ※    ※


(*゚∀゚)「もう行くの?」
('A`)「ん。夕方には戻らにゃ駄目だから」

肩を軽く上下にほぐしながら、空を見上げる。三十分もすれば夕刻にさしかかるだろう。
ふもとに向かって延々と伸びている階段を覗き込む。登るのは辛かったが、下りるのはそこまでキツくないだろう。

(*゚∀゚)「そっか。私は一応ここらが縄張りだからさ、また暇ができたら遊びにきなよ」
('A`)「そーだな、色々一段落したらそうするわ」


lw´‐ _‐ノv『かすていらでござるか……』
(;'A`)「のわっ!?」

いつの間にか、俺の背後にシューが仁王立ちしていた。
歩けば砂利の音がするはずのこの庭で、どうやって音も無くここまで来たのか。

lw´‐ _‐ノv『食え』

シューは俺の目の前にかがみ込み、懐から猫用缶詰を取り出した。
明らかに缶切りが必要な仕様の蓋を、素手で容易くひっぺがす。

('A`)「あ、いや……わざわざ悪いけど食欲無いし……」
lw´‐ _‐ノv『…………』


シューは無言で懐から何かの袋を取り出すと、白い何かを缶詰にパラパラと振り掛ける。
炊く前の白米だった。

lw´‐ _‐ノv『食え』
('A`)「…………」
(*゚∀゚)「食べときなよ、せっかく貰えるんだからさ」

俺は渋々、白米まみれの缶詰に口を近づける。
ちなみに中身は鯖の味噌煮っぽい何かのようだ。

一口、口にふくむ。
猫用に調整された、独特の風味が口内に広がる。
噛みきるまでもなく、喉の奥へと飲み下す。

('A`)「……美味い」

二口目、三口目と、どんどん口に運んでいく。
白米のざらつきも気にならなかった。


lw´‐ _‐ノv『信じる者は救われる。迷わず行けよ行けば分かるさ』

3_20091229110206.jpg



シューの言う事は相変わらずトンチンカンだったが、何故かその言葉だけは、妙な余韻を感じた。


今日の本番は、これからだ。
かつて生死を共にし、そして対極の道を選んだ雄猫──ギコ。

ひょっとしたら、ちょうど良かったのかもしれない。
奴相手では迷っている余裕など無いのだから。




※    ※    ※


从 ゚∀从「なぁなぁ」

(´・ω・`)「ん?何だい」

从 ゚∀从「ドクオってどこ行ってんだ?何かお前知ってたっぽいけど」

(´・ω・`)「ああ……まぁね。砂緒神社にいるんじゃないかな」

从 ゚∀从「そりゃまた面倒くせーとこに行ってんな」

(´・ω・`)「確かにあの階段は……って、あれ。知ってるのかい」

从 ゚∀从「そりゃあな。俺のお袋今あの辺りに住んでるし」

(´・ω・`)「ふうん……じゃあ君のお母さん、ドクオと知り合いかもしれないね」

从 ゚∀从「どーだろーなぁ、あいつ見るからにモテねぇし」

(´・ω・`)「そうでも……いやそうかな、つーさんの時だって結局駄目だったし」

从 ゚∀从「つー?そいつ俺のお袋なんだけど」


(´・ω・`)




(´゚ω゚`)「ぬぁんだとぅ!?」




第七話 終





この小説は2007年7月13日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:Cgd+5DOcO 氏

続きはこちら



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[ 2009/12/29 11:04 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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