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三丁目の ('A`) ドクオ達のようです 第五話


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




夢を見ていた。


俺は闇の中に一匹佇み、
目の前に広がっている映画館にあるようなスクリーンを眺めていた。

スクリーンには次々と、何かの情景が映し出されている。
そのいずれにも見覚えがあった。

( ・∀・)「面白い。いやね、話を理解してくれる奴が少なくて退屈してたんだよ」

( ´∀`)「ま、こんなとこで良かったらゆっくりしてくモナ」

それは、もはや遥か昔のように思える子猫時代。
母を亡くし寝る場所も無く、のたれ死にを待つばかりだった俺を救ってくれたのは、
この二匹だった。

(,,゚Д゚)「ふうん、ドクオってのか。俺はギコ。よろしくな」

(*゚ー゚)「……あ、あの、こんにちは……」

(´・ω・`)「やあ。君も、行く場所が無いのかい?」

次々とフラッシュバックする光景。
誰でもそうだろうが、数々の出会いと別れを繰り返した結果、今の自分がある。

('A`)「……悲惨な結果と言えなくもないけどな、俺の場合」


深く息を吐く。
一体どこがどうなれば、こうなってしまうのだろうか。
いや自分が一番知ってんだけど。

俺の述懐とは関係なく、スクリーンはどんどん映像を垂れ流していく。


( ´∀`)「僕はここが好きだモナ。皆のいるここが」
('A`)「……」

あの場所は、もうどこにも無い。
ある者は死に、ある者は離れ、ある者は落ちぶれた。


( ・∀・)「知る事が怖いと、思った事は無いか?」
( ・∀・)「私は最近そう思うよ。怖くて怖くてたまらない」
( ・∀・)「ドクオ。君にも分かるはずだ。君なら……」


('A`)「本気で脈絡ねえな、この映像」

目眩がしてきて、俺はスクリーンから目を背けた。
スクリーンの向こうで、俺にとって先生とも呼べる猫──モララーは言葉を続ける。


( ・∀・)「人間は最強最悪の敵であり、尚且つ最高に役に立つ道具だ。忘れるな」


('A`)「…懐かしいな、この台詞。一番最初に言われた気がする」

敵で道具。
確かに、俺もそれを信じて疑わなかった時期があった。
でも、本当はそれだけじゃない。


('A`)「……そうだと思いたいね」

スクリーンに目を向ける。闇に慣れた瞳には、少しだけ眩しかった。



川 ゚ -゚)『さあ、明日から私をご主人様と呼ぶんだぞ。クロ助』
('A`)「あれ、こんな事言ったっけな」




1_20091229105518.jpg



第五話 六月九日─深夜─


('A`)「……んぁ……いけね。また寝ちまってたのか」
( ^ω^)「おっおっお、寝る子は育つお」

広場は夜の闇に包まれてはいたが、
所々で野営組や雌たちが歓談しているので、結構賑やかだった。

('A`)「もうそんな年じゃねーよ。あー、頭いてぇ」
(´・ω・`)「何かぶつくさ寝言言ってたけど、どんな夢見てたんだい?」
('A`)「へ?えーと……いや、思い出せん」

頭の片隅にうっすら何か残っている気がするが、あいにく思い出せそうもない。

('A`)「多分思い出とかじゃねえかな。多分」
(´・ω・`)「思い出、ね」

俺は肘の辺りでぷっつり途切れた右腕を軽く振り、左腕のみで腰を上げる。
日常動作は、今では何の不自由も無くなっていた。

('A`)「あ゛ー、ちょっくら小便行ってくるわ」
(´・ω・`)「突き合おうか?」
('A`)「ハイーンちょっと来てくn」
(;´・ω・`)「ちょちょちょ、分かった分かったから」
( ^ω^)「ショボンに弱点ができたおwwww」




('A`)「ふぃースッキリスッキリ。理不尽なサプリの比じゃねーわ」
('A`)「さて、広場戻ろっかね……ん」

何か聞こえる。
反射的に耳が動く。
普段なら聞き流してしまうような、猫の鳴き声。
しかしこれは……


('A`)「!!」


俺は反射的に駆け出した。
塀を飛び越え、柵の隙間をすり抜け、プレハブの屋根を駆け抜ける。

('A`)「ビロード!?」
(メ><)「ど、ドクオさん……良かった」

鳴いていたのは、ビロードだった。身体の所々に擦り傷が見られる。

('A`)「お前、これは……!!」
(メ><)「人間です、人数は二人。どっちも武器を持ってます……早く、広場の皆を……」

何てこった。
最悪の事態が起こっちまったのか。

('A`)「分かった、すぐ行く。ミルナは?」
(メ><)「…………」


(メ><)「僕をかばって……撃たれたんです……」
('A`)「!……そう…か」

既に先ほどから、人間の足音が聞こえてきていた。確かに数は二人。
まっすぐ近づいている事から考えても、ここらの地理に詳しい事は間違いない。

('A`)「すぐに戻ってくる。どこかに隠れてるんだぞ!」

俺はビロードをその場に残し、もと来た道を全速力で引き返す。
運動不足の体はもうすでに疲れを感じ始めていたが、努めて無視した。


('A`)「着いた!」

勢い良く広場に突入した俺に、いっぺんに視線が集まる。


( ^Д^)「あ?どうしたよ」

('A`)「人間が来る! 雌と子供達を!!」

野営組や利用者たちの表情が一瞬で真剣なそれに切り替わり、広場のあちこちで動き始める。


( ^Д^)「話は後だ。お前らガキ連れて避難しろ」
(-_-)「やっぱり……。みんな逃げるんだ。危ないから……」


(;^ω^)「え、何何、何だお?人間があんだって?」

(´・ω・`)「馬鹿が来るってことだよ。ブーン、君は先に逃げるんだ。ハイン」

从 ゚∀从「分かった。避難手伝うぜ」

(;´・ω・`)「いや、君も先に逃げて欲しいんだけど……」

('A`)「避難場所はラウンジ文化公園だ!」

よし、流石に皆動きが早い。これなら何とか人間が来るより先に──

  「げうっ!!」

('A`)「……え?」

耳元で風切り音がしたと同時、
目の前で子供をくわえようとしていた雌が吹っ飛んだ。
それきりぴくりとも動かなくなる。


(;^ω^)「お──」


「「「きゃああああああああああああ!!」」」



広場が悲鳴に包まれる。統率が乱れ、並んでいた雌や子ども達がバラバラになる。


(#^Д^)「糞ったれ!! どこからだ!?」
(´・ω・`)「あそこだ! アパートの上!!」


ショボンが見上げた先、ちょうど俺の背後に建つアパートの屋上。
そこで、何者かがエアガンを構えていた。


川⊆⊇)『…………』


おそらく、暗視スコープのようなものだろう。
仰々しいゴーグルを着け、長い髪を靡かせていた。どうやら女らしい。


川⊆⊇)『……』
('A`)「!!」

2_20091229105518.jpg



その時、女は俺を「見た」。
ほとんど直感に任せて横に身体を投げ出すと、
直前まで俺がいた場所の地面が鋭くえぐり取られる。

('A`)(マジ狙撃なんて……冗談じゃねえよ!!)

恐らく女はまだ俺を照準している。
身体を左右に振りながら草場に突っ込み、そのまま死角となるコンクリートの陰に隠れた。

チュイン、とコンクリートが甲高い音をたてた。
俺はあらん限りの大声で叫ぶ。


(#'A`)「姿勢を低くしろ! 死角に隠れろ! あの女の正面に出るな!!」

理解できた猫は少ないだろう。
だが、少しでも混乱を抑えなければ。
俺にはまだ行く所がある。


('A`)「ビロード……ミルナ……!」


(;^ω^)「っな……、何だお、今のは」
(´・ω・`)「馬鹿、伏せろ!!」
(;^ω^)「おぶッ!!」


  「ぐあッ!」
  「うわぁあああ!!」


(´・ω・`)「早く隠れるんだ!」

(;^ω^)「撃つって、な、何で人間が猫を撃ったりするんだお……」
(´・ω・`)「後で考えろ。
       いいかい、僕は何とか注意を引きつけて皆を逃がす時間を稼ぐから、
       君も一緒に逃げるんだ。
       ここからなら南口が一番安全だ、草の陰に隠れていけ」

(;^ω^)「ちょ、ショボn」
(´・ω・`)「ハイン! 君もだ。その子たちを思うんなら、手伝うなんて真似はしてくれるなよ」

从 ゚∀从「……わーってるよ」


(´・ω・`)「聞いてたな、プギャー!」
(#^Д^)「おうよ!」


女の狙撃はいまだ続いている。
大して連射はしてこないが、確実に照準を合わせてくる。

('A`)「くっそ、迂闊に動けねぇ……」

俺はブロックの背後で歯噛みした。
目の前で皆が撃たれていく。
片手の俺など囮にすらならないが、それでもこうして見ているだけよりは……


(´・ω・`)「人間! こっちだ!!」
(#^Д^)「撃てるモンなら撃ってみやがれコラァアアア!!」

広場奥の草場から、プギャーとショボンが飛び出した。
逃げ惑う猫たちを上手く先導しつつ、ちょこまか動いて照準を誘っている。


('A`)(ショボン、プギャー……頼んだぞ!)

俺は身体をかがめてブロックから離れ、広場を突っ切るように走る。
入口は女の正面に位置するから無理だ、皆と同じ南口から回り込んで行こう。




(-_-)「皆……早くこっちの路地裏から逃げるんだ、避難場所に近いから……」

(;^ω^)「ヒッキー!」

(-_-)「ブーン。……無事で良かった」

(;^ω^)「は、早く逃げるお!」

(-_-)「僕は……一応、皆を見届けなきゃいけないから……」

从 ゚∀从「行こうぜブーン、こいつらなら大丈夫だろ。見かけによらず」

( ^ω^)「…………」



( ⊆⊇)『グレイトォ! 数だけは何ちゃら~ってか?』

从 ゚∀从;^ω^)-_-)「「「!?」」」


( ⊆⊇)「オラオラオラオラオラオラ(ry」

从;゚∀从「危ねェ!!」
(;^ω^)「!!」
(-_-)「くっ……皆! 引き返すんだ!」




('A`)「……何だ!?」

南口から猫たちが逆走してきている。中にはブーンやハイン、ヒッキーも混ざっている。
やがて、塀を乗り越えて男が広場に乗り込んできた。


( ⊆⊇)「うわお。大漁だな」
('A`)「もう一人……!!」
( ⊆⊇)『ほい、ほいほい』


同じくゴーグルをかけ、腰に大きな麻袋をつけた男は拳銃型のエアガンを引き抜くと、軽い調子で乱射し始める。
再び右往左往する子どもや雌たちに当たり、血しぶきと共に凄惨な叫びが辺りに響いた。

と、女の狙撃が男の足元で弾ける。


(;⊆⊇)『って、うおっ! あぶねーな、撃つなよ!!』
川⊆⊇)『……手元が狂った』
( ⊆⊇)『嘘こけ! 狙撃止めて降りてこい!』
川⊆⊇)『……』


女はエアガンを収め、アパートの奥に引っ込んでいく。


(#^Д^)「チャンスだ!! こいつを何とかすれば!」
(´・ω・`)「駄目だプギャー、深追いしちゃ──」


( ⊆⊇)「うおッ! っあー、びびった」
(;^Д(#)「ぐあっ!!」


プギャーは男のブーツに噛み付いたが牙が通らなかったのか、もう片方の足で思い切り蹴飛ばされる。


('A`)(´・ω・`)「プギャー!!」
( ⊆⊇)『うるせぇ!』


男が立て続けに、こちらに向けて乱射してきた。狙いは雑だが、このままでは当たる。


('A`)「!!」

俺は視覚と勘と経験則を総動員させ、左側に飛びのく。
集中したところで弾など見えないが、銃口と軌道くらいなら──

耳元で数回、風切り音が通過していく。


(;´・ω・`)「っ、ぐあっ!」
('A`)「ショボン!!」
(;´・ω・`)「だ、大丈夫……かすっただけだよ」

ショボンは足を負傷していた。
確かに直撃こそしてはいないが、これ以上自由に逃げ回れないだろう。


( ⊆⊇)『やっぱこの時期の雄は血の気多いなー』

男は悠々と弾を込めながらこちらに歩み寄ってくる。
近場に転がっていた雌の亡骸を、乱雑に蹴飛ばして。

辺りを見回す。
少なくはない、猫の死体。子供も数多く倒れていた。
広場で楽しそうに談笑していた彼女たちの顔が、頭に浮かんでくる。


( ⊆⊇)『うい、リロかーんりょ』
('A`)「……止めろ」


( ⊆⊇)『あん?何だコイツ』

俺は男の足元にゆっくり歩み寄り、膨れ上がっているであろう尻尾をそっと地に下ろす。


('A`)「頼む。帰ってくれないか」
( ⊆⊇)『?何これ、踏んでいいの?』
(;´・ω・`)「馬鹿、何やってるんだ!!」

('A`)「この通りだ。言葉は通じないかもしれないが、態度くらいは……」

俺は深く頭を下げる。
同時に腰を屈め、足に力を蓄える。

( ⊆⊇)『何だか分からんけど、一匹クリア──』

男がエアガンを構えた。


(#'A`)「っどおりゃああああああああ!!!」


俺は全力で飛び上がった。
エアガンへ、一直線に。

(´・ω・`)「!!」
( ⊆⊇)『!』

景色がモノクロに切り替わり、一秒一秒が限界まで引き延ばされる。
男はまっすぐ銃口を俺へと向け、引き金を引こうとしていた。
空中で身をひねり、引き絞る。かわせなくて良い、直撃さえしなければ──

銃口が跳ねた。
大気が一直線に貫かれ、右頬が斬り裂かれ、激痛が走る。


──俺の勝ちだ。


(#メ'A`)「だぁらああああああああああああ!!!!」

左手を伸ばし、エアガンの凹凸に爪を引っ掛ける。
そのまま銃身に噛みつき、男から強引にエアガンをひっぺがした。


3_20091229105517.jpg


( ⊆⊇)『いって、指ひねった!!』


俺はエアガンをくわえたまま地面へと着地し、そのまま草場へと走り去る。

エアガンが無くなれば、とりあえずかなり脅威は減るはずだ。
避難もプギャー達の時間かせぎのおかげで、何とか終わろうとしている。

このまま女が合流するまでに逃げ切れれば、何とかn

(#⊆⊇)『っざけんなよ、糞が! オラァ!!』


男は腰の後ろから予備らしきエアガンを引き抜き、草場に向けて連射してくる。


(メ'A`)「っ……!」

弾丸の雨が降り注ぐ中、木の背後に隠れ何とかやり過ごす。

(メ'A`)「ちっ、こっちがふざけんなよ」


今更ながら右頬が痛みだしてきたが、そんなことはどうでも良い。
俺が今いる場所は広場の隅、つまり奴に追い詰められた形になる。
塀を飛び越えることも出来るだろうが、右手の無い俺では致命的な隙を晒してしまう。
それに何より……


(メ'A`)「もう、あまり身体が動かねーな……こりゃ」

若干はりきり過ぎてしまった。もう、弾をかわせる自信が無い。


(#⊆⊇)『マジで冗談じゃねっつの、金かかってんだぞ!』

男はわめきながら弾を乱射する。
今飛ばしている弾もタダじゃないはずだが、そんなことは言っても色んな意味で無駄だろう。

(メ'A`)「奴の狙いが俺だけになってるのが救いだが……さて、どうしよ」

いわゆる絶体絶命というやつだった。
どうする、どうすれば死なずに済む。
こうしている間にも、男は着実にここへと近づいてきている。


(メ'A`)「とりあえずリロードしてくれればな……」



  「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」



(メ'A`)「!?」


(メ'A`)「この声は!」


木から身を乗り出し、声のする方を見る。
男の背中に、ビロードが張り付いていた。


(;⊆⊇)『あててていてぇいてぇいてぇ!!!』
(#><)「ミルナをっ……返すんです!!」

男は背中のビロードを引き離そうと腕を振り回しているが、ビロードは必死に食らいついている。
俺はビロードの稼いでくれた時間を使い、木の裏から脱出を果たす。


(#)^Д^)「ビロード!」
(´・ω・`)「ミルナだって!?」
(-_-)「……まさか」

薄々は感づいていた。
男の腰にある、不恰好なまでに巨大な麻袋。何を入れるものかぐらい、少し考えれば分かる。


(#><)「やっぱりミルナを置いては行けないんです! さっさと出てくるんです!!」



※    ※    ※


  「ミルナ! ミルナ!!」


声が聞こえる、どこか遠くで。
いや、すぐ近く、ひょっとしたら耳元かもしれない。

( ナд゚ )「…………」

視界は真っ暗で、ひどく息苦しい。
左右に揺さぶられ、気分が悪くなる。

  「聞こえてるなら返事するんです!!」

声は変わらず、俺を呼び続ける。

( ナд゚ )「……逃げろと言ったはずなんだがな」

広場の皆は無事に避難できただろうか。
死ぬのは自分だけで十分だ。

( ナд゚ )「ビロード。お前ともう話ができないのは残念だが」

身体に力を込める。
指の先から爪を伸ばす。
俺はまだ、動ける。


( ナд゚ )「お前はこっちに来させない」



  『おらあッ!!』
  「ぎゃあっ!?」

  『やっと取れた……んだよ、糞ッ! さっさと死──』


俺は男の腿であろう部分に、布越しに思い切り噛み付いた。
掛け値無しの、全力だ。


  『ぎゃああああああああああッ!!?』


男の悲鳴が響く。
口の中に、微かに血の味が広がった。


  『なっ、生き……ぐ、ああああああああ!!!!』

男は足を振り回すが、俺は爪を立てて、文字通り食らいついて離さない。
牙と爪は深々と食い込んでいた。


  『糞ッ!! 糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞!!!!』


男は袋越しに俺を容赦なく殴りつける。
それでも俺は離さない。

腕が、肋が、砕ける。身体の自由が失われていく。
それでも俺は離さない。

破裂音が響き、脇腹に鋭い痛みが走る。腹に重たい何かが溜まっていく。

それでも俺は離さない。


  『何なんだよ今日は──っざけんなよ!!』


半泣きになった男の悲鳴と共に、俺の身体がふわりと宙に浮く。恐らく袋ごと強引に放り投げられたのだろう。
置き土産とばかりに更に数発撃ち込まれた後、足音はどんどん遠ざかっていく。


  『どうした。今日は川に投げたりしないのか』
  『今日は調子悪ぃから帰る!! あああいてぇ、冗談じゃねえよホントよー』
  『…………』

( ナд゚ )「猫の恨みは恐ろしいぞ。覚えておくことだな」


届くはずも無い相手へ、言葉を残す。
これで……俺の役目は終わりだ。


( ナд゚ )「ああ……俺は、死ぬのか」
( ナд゚ )「……少し怖いな」


( ナд゚ )「…………」



( ><)「ミルナ!!」

俺たちは放り投げられた麻袋に走り寄り、ビロードが中からミルナを引っ張り出すのを見守る。


(;^Д^)「……!」
(-_-)「酷い……」
(´・ω・`)「……」

ミルナは形容するのもはばかられるほど、酷い状態だった。
ひょっとして、男が広場に来た時にはもう死んでいたのではないかとすら思えるほどに。


( ><)「ミルナ! ……返事を……」
(メ'A`)「もう、止せ。ビロード」
( ><)「…………」

俺はミルナの亡骸に寄り、顔を覗き込む。
片目は潰れて顔面は原型を留めていなかったが、心なしか満足げな表情をしていた。
……俺の欺瞞かもしれないが。


(メ'A`)「お前、結局俺にはずっと敬語だったよな」

何で、俺なんかを慕っていたのだろう。


(メ'A`)「……お前のおかげで助かった……有り難う」


(´・ω・`)「このままにしておくのも忍びない。埋めてあげよう。……他の皆も」


楽園と呼ばれた広場は、今は地獄と化していた。
確かにこのままにはできない。


(-_-)「そう、だね」

( ^Д^)「俺は息のある奴がいないか見て回る」

(´・ω・`)「奴らが戻ってこないとも限らない。警戒は怠らないように」

(メ'A`)「あ、俺も……」

(´・ω・`)「君は、ビロードと一緒に先に避難場所へ行ってくれ。
       他にも雄はいるけど、リーダーがいなくちゃ」


リーダー、か。

(メ'A`)「分かった。……ミルナを見届けてからな。その方が良いだろ?」
( ><)「……ありがとうございます」

俺はエアガンを隠し、ミルナがよく寝泊まりしていた一角に埋められるのを見届け、
ビロードと共に文化公園へと向かった。



文化公園へ向かう間、俺たちは無言だった。
そりゃそうだろう、何を話せっつうんだ。


( ><)「……」
(メ'A`)「……」

ふいんきに任せてこのまま黙りこくっていても、別に構いやしないだろう。
しかし、やはり言っておかねば。藪蛇の気もするが。


(メ'A`)「すまん」
( ><)「……?」

(メ'A`)「ミルナが死んだのは、俺のせいだ。あんな頼み事をしなければ……」

言うまでもなく、危ない役目である事は分かっていた。
個人の縄張りを持たない野営組だったので、自由に動けると安易に頼んでしまったのだが……


( ><)「良いんです。ミルナはこういう事態になることも十分覚悟してたんです」

(メ'A`)「……」

( ><)「もし俺がやられても、構わずに報告を優先しろ。いつもそう言ってました」
( ><)「ミルナは、広場と、広場の皆が好きだったんです。
      縄張り争いの煽りで居場所の無かった僕たちにとって、広場は天国だったんです」


(メ'A`)「……そうか」

俺は返す言葉も思いつかず、そう言ったきり黙りこくる。
出来れば広場の皆は、誰も死なせたくはなかった。


( ><)「ミルナはドクオさんを尊敬してたんです」
(メ'A`)「はい?」

突拍子も無い台詞に、間抜けな声が漏れてしまった。
尊敬とはまた、俺とは縁の無い二文字だなおい。


(メ'A`)「何でまた。一応広場の主だから?」

( ><)「それもありますけど。
      『ドクオさんはずっと先、俺たちの想像もつかないような未来の状況を考えて
       行動しているように思える』って、言ってたんです」


……。はて。
そんな事考えてたのか?俺。


(メ'A`)「いやぁ……買い被り過ぎだよ」

でも、これからは先の事を見越して行動していかなければならないだろう。

ミルナの期待に、応えなければ。



(メ'A`)「──っていう訳だ。皆、恐い思いをさせて済まなかった。
    今夜はもう襲ってこないだろうから、とりあえず休んで欲しい」

文化公園の林の中で、身を寄せあって震えていた雌と子供たちに事情を説明する。
一から十まで全部は教えなかったが、
あの連中がこの近辺を最近荒らしているらしいことは伝えておいた。

ほんの少しだが、皆の緊張が緩んだように思える。
休める時にはきっちり休んでおく癖を、今の内に覚えてもらわなくてはならない。


(メ'A`)「さて……」

(メ'A`)「よう、無事だったか」
( ^ω^)「ドクオ」

群れの隅で小さくなっていた、ブーンのもとへと向かう。
相変わらずの笑顔だが……
顔色が悪いような気がするのは、恐らく気のせいじゃないだろう。


(メ'A`)「なあにかすり傷さHAHAHA。死にゃしねえよ」

( ^ω^)「野営組は無事なのかお」
(メ'A`)「……ミルナ以外は」

ブーンの髭がピクリと引きつる。
親しい者の死を体験するのは、ひょっとして初めてなのだろうか。


( ^ω^)「み、ミルナが……」
(メ'A`)「あいつだけじゃない、子供も雌たちも沢山、死なせちまった。
    全て俺の責任だ……」

雌たちに最初から奴らの事を話しておけば、あるいは無事に助かる者が増えていたかもしれない。
今更ではあるが、少なからず後悔していた。


从 ゚∀从「気負うんじゃねーよ、手前ェじゃどうにもなんない事だってある。お前は良くやったよ」

(メ'A`)「……ハイン」


ハインは近くで横になり、震える子猫達を懐でなだめていた。

从 ゚∀从「ここにいる誰一匹、お前を責められやしねえ。こいつらは生きてるんだからな」

そうかもしれない。
俺が真に責められるべき相手は、死んでしまった者達なのだろう。


(メ'A`)「んじゃ、死んだ時に土下座しに行くか」
从 ゚∀从「あァ、そうしろ。あの世で殺されてこい」

ハインは喉の奥で笑う。
こんな状況だと言うのに、肝っ玉の据わった猫だ。将来大物になるかも分からんね。


( ^ω^)「……僕は」
( ^ω^)「何も出来なかったお」


不意に、ブーンが呟く。
尻尾が少しだけ、震えていた。


( ^ω^)「情けないお。皆は向かって行ったり、避難を促したりしてたのに。
       僕だけが……」


(メ'A`)「俺たちはちょっとばかり場慣れしてるからな。気にすんな、最初は誰だってそうだ」

野良は荒事が絶えない世界だ。
こういう事も、実際はさして珍しくはない。


( ^ω^)「何で、あの人達はあんなことを?」

(メ'A`)「何でって……楽しいからだろ。そりゃ」

( ^ω^)「…………」

お前の義憤は分かる。
でも、俺たちにどうにか出来るもんじゃないんだよ。
……そんな台詞が浮かんでくる俺は、厭世家なのだろうか。


(メ'A`)「……さて。ちょっくら帰るかね」
从 ゚∀从「家、帰んのか」

(メ'A`)「ああ。エアガン、広場に隠しとくのも不安だしな。家なら大丈夫だろ」
从 ゚∀从「とか何とか言ってー、実は寂しいだけなんじゃね?」

(メ'A`)「うっせーよ馬鹿、ちったぁ場を考えろ場を」


(メ'A`)「一休みしたら戻ってくる。……あ、お前ら。ビロード頼むな」

林の奥で、ビロードが一匹ぽつんと佇んでいた。
あいつとミルナは広場に来る前からの付き合いだ。平静を装ってはいたが、辛くない訳がない。


从 ゚∀从「わーったよ、世話焼きだなホント。気にせず行ってこい」
( ^ω^)「また、明日だお」

(メ'A`)「ああ、またな」

ハインのテンションに若干救われた気がしながら、俺は文化公園を後にした。
途中で広場に戻り、エアガンを回収する。
皆に明日の予定を伝えた後、俺は一路家へと歩を進めた。



広場には所々、土の山が出来ていた。
俺は死ぬまで、その光景を忘れはしない。



※    ※    ※


(メ'A`)「帰ってきたは良いが、絶対寝てるよなぁ……やっぱベランダで休むかね」

ぶつくさ呟きながら、ベランダへと上がる。
遮光カーテンの隙間から光が漏れていた。

(メ'A`)「あれ?電気が点いてr」
川 ゚ -゚)『クロ助、やっと戻ーー!』

勢い良く窓が開かれ、いつもの縞パジャマ姿のクーが現れる。
俺の姿を見て、珍しく露骨に動揺した。

川 ゚ -゚)『クロ助、怪我してるじゃないか! それに、これは……』
川 ゚ -゚)『……すまない。クロ助……』

クーは膝立ちになるとエアガンを俺の口から取り、そのまま強く抱き締めてきた。

(メ'A`)「……なんで、お前が謝るんだよ」

クーの髪からは、いつものシャンプーの香りがした。

また、一日が終わる。いや、本当はもう始まっているのか……
いずれにせよ、変化は徐々に俺たちを覆い、塗りつぶしていく。
見極めなければ。生きる為に、生かす為に。


……ミルナ、すまない。



六月九日─深夜─ 終





この小説は2007年6月25日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:IyYUz3aoO 氏

続きはこちら



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[ 2009/12/29 10:57 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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