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ξ ゚⊿゚)ξツンはお預けなようです 第六話


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




ξ ゚⊿゚)ξ「もう年末ね~大掃除しなきゃ」


ツンはナントカクリーナーを使い、本棚の汚れを落としていく。
特に汚れは見つからないのだが、ツンは掃除したい気分なのだ。
ようやく掃除に腰が入ってきたところで、ツンのお客さんが現れた。


ノリ-_-リ「……?」

ξ ゚⊿゚)ξ「やぁ!! ようこそスピリチュアルカウンセラーへ!!
      来てくれて嬉しいよ!!
      まぁまずは落ち着いてこの椅子に腰掛けて欲しい!!」


1_20091229093635.jpg




ツンは現れた女にいきなり抱きつき、力強く決まり文句を言ってやった。
女の方は状況が良く分からず、目を白黒させた。


ノリ-_-リ「ここは……?」

ξ ゚⊿゚)ξ「ここは夢でも現実でもない。
      アナタの心の中、って言えば分かってもらえるかしら」

ノリ-_-リ「私の心……?」

ξ ゚⊿゚)ξ「そう、ここではアナタの心を縛り付けてるものを忘れる事が出来る」

ノリ-_-リ「縛り付けてるもの……」


彼女はうつむいて、その言葉の意味を考えているようだった。
ツンは彼女の準備が出来るまで待とうと思い、飲み物の準備をした。
果汁100%の手作りオレンジジュース。
みかんの皮は干してお風呂に入れようとツンは考えていた。


ノリ-_-リ「私、自縛霊なんです」

ξ ゚⊿゚)ξ「自縛霊?」

ノリ-_-リ「そうです……だからその原因を忘れたら成仏できるかな、と思いました」

ξ ゚⊿゚)ξ「なるほどね、成仏したいんだ?」

ノリ-_-リ「そう、私は成仏したい」

ξ ゚⊿゚)ξ「なら話してくれる? アナタの事を教えて」

ノリ-_-リ「私……私、夕日を見てるんです」

ξ ゚⊿゚)ξ「夕日?」

ノリ-_-リ「はい、毎日毎日夕日を見るのを日課にしてます」

ξ ゚⊿゚)ξ「どうして?」

ノリ-_-リ「あの日の夕日をもう一度見たかったから……」


彼女の話は、ツンがその行く先を促さないとなかなか進まなかった。


ノリ-_-リ「あの日の夕日は本当に綺麗でした。
     空が一面オレンジに彩られていて、浮かんだ雲までも染まっていました。
     そしてキラキラと輝いていたのが何より美しかったんです」

ξ ゚⊿゚)ξ「へぇ、それは私も見てみたいかも。
      でもあの日って?」

ノリ-_-リ「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」


再びの沈黙。
二人の間には、彼女が少しのオレンジジュースを飲む音だけが響いた。


ノリ-_-リ「……あの日。
     私にはとても耐えられないような出来事が私を襲ったんです」

ξ ゚⊿゚)ξ「うんうん」


ツンは彼女が話しにくくならないように相槌を打った。


ノリ-_-リ「私には彼がいました。
     彼は私にとても優しかったんです。

     いつも私は彼の帰りを待ってました。
     私は彼に彼の帰りを待つように言われていたので、いつも彼の帰りを待ってました。

     いつも私は彼の不満を解消してました。
     私は彼に彼の不満を解消するように言われていたので、
     いつも私は彼の不満を解消してました」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」


先ほどとは打って変わって彼女はせきを切ったように喋りだす。
自分の過去を自分で確認するかのように、同じ事を何回も繰り返して言った。


ノリ-_-リ「彼は私の美容を考えて食事制限をしてくれました。
     私は彼にもっと好きになってもらえると喜んで食事制限をしました。

     彼は外に出ない私の為に外での出来事を話してくれました。
     女友達とどこに行って何をしたのか、私に楽しそうに話してくれました。

     彼は私の誕生日にプレゼントとして印をつけてくれました。
     私が彼のものだという証拠として体に印をつけてくれたんです。
     見てくれますか?」

ξ ゚⊿゚)ξ「……いいえ、大丈夫」


彼女の首に紫色の筋を見つけたツンは、彼女の提案を断っておいた。
あの服の下にはどんな痣があるのだろうか。


ノリ-_-リ「そんな大好きな彼と私は離れなくてはいけなくなりました。
     私の中から力が消えていったんです。
     その頃の私には彼の不満を解消する事も、食事をする事も、
     話を聞く事もできなくなっていました。

     私には彼を待つ事しか出来なくなっていました。
     けれど彼は帰って来ませんでした。
     いつまで待っても帰って来ませんでした」

ξ ゚⊿゚)ξ「そ」


彼女の言う力とは、きっと生きる力だったのだろう。
彼女はもう死んでしまったのだから。


ノリ-_-リ「私は部屋に一つだけある窓から外の景色を見たんです。
     凄く綺麗な夕日が見えました。
     綺麗なオレンジ色の光が窓から差し込んで私を照らしてくれました。
     キラキラと輝く光が私を包み込みました。
     それがあの日の夕日です」

ξ ゚⊿゚)ξ「その夕日をまた見たくて自縛霊になっちゃったんだ」

ノリ-_-リ「そう……ですね。
     でもその日以降、あの日の夕日が現れる事はありませんでした。
     何故でしょうね。
     待ち続けたのに、あの日の夕日は来てくれませんでした」

ξ ゚⊿゚)ξ「ならあの日の夕日を忘れたら、成仏できるかもしれないわね」

ノリ-_-リ「そうですね。もう一度見たかったけど……」

ξ ゚⊿゚)ξ「そ。キラキラ光る夕日、かぁ」


ツンは彼女がオレンジジュースにまた少しだけ口をつけるのを眺めた。


ξ ゚⊿゚)ξ「アナタがあの日の夕日を見る事の出来なかったのは」

ノリ-_-リ「……はい?」


ξ ゚⊿゚)ξ「アナタが泣いてたからよ。
      きっとあの日の夕日に見たキラキラはアナタの涙」

ノリ-_-リ「私が……泣いてた……?」

ξ ゚⊿゚)ξ「悲しかったのよ。アナタは悲しかった。だから泣いた。
      泣いたから夕日はキラキラと輝いて見えた」

ノリ-_-リ「キラキラ……」


彼女はあの日の自分の姿をようやく思い出した。
勘違いの優しさ、外出の禁止、欲望のはけ口としての道具、
面白半分の嘘、暴力による支配、そしてそれらを信じた愚かな自分。


ノリ-_-リ「そう……そっか……
     あの日、私泣いてた……」

2_20091229093635.jpg



静かに涙を流しながら、窓の外を眺める。
涙が頬を伝うのも気付かぬままに、その風景に心を奪われている。
そんな自分の姿をようやく彼女は思い出した。
夕日を綺麗にしていたのは自分の涙だった事にようやく気付いたのだ。


ノリ-_-リ「見える……あの日の夕日……綺麗……」


そして彼女は泣き出した。
涙が目に溜まり、溢れてこぼれた。
彼女らしい、とても静かな泣き方だった。
それは自分の気持ちに整理をつけられた、満足の涙だった。
それは願いがようやく叶った事による嬉し涙だった。
だから彼女はツンの前から姿を消した。


ξ ゚⊿゚)ξ「……」


ツンの目の前には、彼女が飲み残したオレンジジュースだけが残った。
彼女はその色の中に、あの日の夕日を見たのだろうか。


ξ ゚⊿゚)ξ「しまった……何か忘れさせる前に成仏させてしまった……」


その日、ツンの仕事はまったく進まなかった。



 六話終わり




この小説は2007年12月28日から2007年12月29日にかけてニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者は暇潰し ◆ODmtHj3GLQ 氏
第七話はこちらからどうぞ



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2009/12/29 09:38 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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