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ξ ゚⊿゚)ξツンはお預けなようです 第五話


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




ξ ゚⊿゚)ξ「サンタさん来なかったな~」


ツンは椅子に座り、意味もなく足をブラブラとさせていた。
クリスマスも終わったので、飾り付けは全て片付けてしまった。
ツンの目には飾りのついていない本棚が心なしか寂しそうに見えた。


( ・∀・)「ん、ここは……?」

ξ ゚⊿゚)ξ「やぁ、ようこそスピリチュアルカウンセラーへ。
      まずは落ち着いて椅子に腰掛けて欲しい」

( ・∀・)「ほう、では座らせてもらうよ」


1_20091229093052.jpg




歳は30代くらいだろうか、あまり健康そうには見えない体つきだが、
態度はあまり小さくなかった。
取り乱したりせずに、むしろツンの事を興味深そうに眺めている。


ξ ゚⊿゚)ξ「はじめまして、私はお預けのツンです」

( ・∀・)「私はモララーだ。お預けとは?」

ξ ゚⊿゚)ξ「預かる係り、という意味ですね。
      主にお客様が忘れた記憶を本にして預かっています」


ツンはモララーにコーヒーを出した。
ミルクと砂糖も忘れずに出した。


( ・∀・)「何とも拙い説明だな」

ξ ゚⊿゚)ξ「すみません」

( ・∀・)「しかし何かを忘れる、とは?」

ξ ゚⊿゚)ξ「何でも良いです。アナタの望むものを忘れる事が出来ます。
      何かその後の為になるように忘れた方が良いかもしれません」

( ・∀・)「ははは」


モララーは可笑しいというよりは、つまらないという笑い方をした。


( ・∀・)「これが物語だったら最低な話だね」

ξ ゚⊿゚)ξ「どうしてですか?」

( ・∀・)「忘れる事で話を進めるだなんて展開的に物足りないじゃないか。
      忘れたい程の何かを乗り越えてこそ物語足ると思うし、
      ましてやそれをカウンセリングと言うなんて馬鹿らしい」

ξ ゚⊿゚)ξ「それは私に言われても仕方のない事です。
      私が創設者という訳ではないですからね」

( ・∀・)「まぁ私がその設定を使う事はないな」

ξ ゚⊿゚)ξ「使う……?」

( ・∀・)「そう。私は小説家だ」

ξ ゚⊿゚)ξ「へぇ」

( ・∀・)「私は凄い小説家だ」

ξ ゚⊿゚)ξ「へぇ」

( ・∀・)「……私はたくさんの人が本を買うくらいに面白い話を書ける凄い小説家だ」

ξ ゚⊿゚)ξ「分かったから話を進めてよ」

( ・∀・)「……私の話の展開が気に入らなかったのか?」

ξ ゚⊿゚)ξ「まだ何も話してないじゃない」

( ・∀・)「そう言えばそうだったな」


少し、というかかなり変な人だとツンは思う。


( ・∀・)「とにかく私は文章を書く事を仕事にしている。
      けれど私は私の物語を作り出した事は一回もない」

ξ ゚⊿゚)ξ「どうして? 面白い話を書く凄い小説家なんでしょ?」

( ・∀・)「せっかちな人だ。それをこれから説明する事くらい分かって欲しい」

ξ ゚⊿゚)ξ「それは読者想定ミスだと思うけど」

( ・∀・)「なるほど、なら分かりやすく話そう。
      つまり面白い話を書く事と、私の物語を書く事は違うという事さ。
      私はこの世界に存在するたくさんの話の中からネタを探し出して、
      自分の言葉に変換して話にしているに過ぎない。
      その話は面白いかもしれないけど、私の物語ではない。
      元ネタがあるからね。

      もちろんパクりは良くないから、私の物語に近くなるように改変する。
      けれどそれは私の物語ではない。
      私の物語とは、私だけのオリジナルの物語だ。
      私だけが考え付く事の出来るオリジナルの、面白い話を私は書きたい」

ξ ゚⊿゚)ξ「長い。それに分かりやすくない」

( ・∀・)「すまないね。誤解を恐れるが故にどうしても長くなってしまうんだ」

ξ ゚⊿゚)ξ「アナタと会話するのは大変ね」

( ・∀・)「良く言われる。やはり書くのと喋るのは違うね」


モララーは微かに笑い、コーヒーを口にした。


( ・∀・)「オリジナルの物語を考えるのは大変だ。
      私は誰かの物語を改変する事ばかりして、
      自分で物語を作り出す努力をしていないから余計に大変だ。

      だから私は一回だけ挑戦した事がある。
      オリジナルの物語を作る事に挑戦した。
      けれどその作品はボロボロに叩かれたよ。
      失望した、とさえ言われた」


ハハハ、と今度も自嘲するようにモララーは笑った。


ξ ゚⊿゚)ξ「それで、アナタはどうしたの?」

( ・∀・)「私は今まで読んだ誰かの物語を全て忘れたいと思った。
      私は他の誰かさんよりも多く、物語を読んだと自負している。
      だからこそオリジナルとは何なのかを他の誰かさんより考えられる下地がある。
      そう言う事も出来るし、誰かの物語の模倣をしてしまう可能性が高いとも言える」

ξ ゚⊿゚)ξ「そういうものかしら」

( ・∀・)「少なくとも私はそう考える。
      だから他の誰かの人の作品を忘れたいと思う。
      そうする事が私にとってオリジナルへと至る道なのだ」

ξ ゚⊿゚)ξ「相当オリジナルって事に対してご執心みたいね。
      でも何かの模倣だって思うのは良くある事じゃない?」

( ・∀・)「そう、人は自然とそのような目線で物語を見てしまうものさ。
      どこかで見た話だ。
      これってあの展開と同じだね。
      このセリフ、パクりじゃね?
      ○○を読んだね? 影響されてるのが分かるよ。
      君はこういう系統の話が好きなんだね」


モララーは誰かに言われたのだろう、自分の嫌いな台詞をツンに聞かせた。


ξ ゚⊿゚)ξ「……」

( ・∀・)「うんざりする感想ばかり並べられるのはもううんざりなのさ」

ξ ゚⊿゚)ξ「だからそう言われないような物語を書こうと?」

( ・∀・)「その通りさ。分かってもらえて嬉しいよ。
      きっと今まで読んだ物語を忘れたらそれが書けるはずさ」


モララーはここに来る前からそれを望んでいたのだろう。
この様子なら、もし忘れる事が自在に出来たら、と夢見たに違いない。

ξ ゚⊿゚)ξ「そ。私には努力を放棄してるようにしか見えないけどね」

( ・∀・)「放棄?」

ξ ゚⊿゚)ξ「私には物語を作るのがどんなに大変か分からない。
      けどどんな事でも努力しなくちゃ成せないってよく言うし、
      アナタは自分で物語を作り出す努力をしていないって言った。
      なら今からそれに挑戦すればいいじゃない。
      オリジナルの物語を作る事に今から挑戦すればいい」

( ・∀・)「やるさ。そうしようと思ってるから忘れるんじゃないか」

ξ ゚⊿゚)ξ「まぁアナタがそう思うならそれが最善の道なのかもね」

( ・∀・)「不満があるのか?」

ξ ゚⊿゚)ξ「いいえ、私は喜んで凄い小説家さんの望みを叶えます」

( ・∀・)「それが仕事だからか」

ξ ゚⊿゚)ξ「そうです」


ツンは何の迷いもなく、きっぱりと答えた。
モララーには少しまばゆいくらいにきっぱりと答えた。


( ・∀・)「……小説家は嘘を付く事が仕事だ」

ξ ゚⊿゚)ξ「嘘を付く……?」

( ・∀・)「私は凄い小説家なんかじゃない。
      しがなくて売れない、小説家と呼ぶのも恥ずかしいくらいの者さ」


ツンはさすがに絶句した。
物語で嘘をつかれるならまだしも、実際に嘘をつかれてあまり良い気はしない。


ξ ゚⊿゚)ξ「あーあ、嘘つかれちゃった。そういう事か」

( ・∀・)「私の話、楽しんでくれたかな?
      虚栄心からついつい嘘を付いてしまう男の話さ。
      まったくもって古典的だけどね」

ξ ゚⊿゚)ξ「凄く楽しかったわ。
      たとえその男の話が何かの模倣であったとしてもね。
      それに今の話の全部が嘘とは思えないし。
      アナタの思いは必ずこもってたようにも思えた。
      だからそれが模倣か独自のものかは関係なかったよ」

( ・∀・)「……」


ツンの言葉はモララーにとって新鮮だった。
ツンの感想の通りに物語を書いていこうかとも思った。
けれどモララーの心は頑固で、言ってしまった事を素直に訂正する邪魔をした。


ξ ゚⊿゚)ξ「じゃあ忘れるようにするから」

( ・∀・)「あぁ、頼むよ」



【モララーは今まで読んだ全ての物語を忘れた】



( ・∀・)「ところでここにある本を君は全て読んだのかな?」

ξ ゚⊿゚)ξ「暇がある時に読みました」


ツンには暇がありすぎる程にあったので、とっくの昔に読みきってしまったのだ。


( ・∀・)「その中で面白い話はあったかね?」

ξ ゚⊿゚)ξ「いくつもありました。
      けどここの本を読んでもどうせ忘れてしまいますよ。
      私も私の仕事が終わったら忘れなきゃいけません。
      それに他人の忘れ物を勝手にどこかに持っていくなんて
      駄目な事ですしね」

( ・∀・)「そうか、それは残念だったな」

ξ ゚⊿゚)ξ「今物語を忘れたところなのに、もう他の物語を探してる」

( ・∀・)「ははは、癖というものはなかなか抜けないものだね」


その言葉を最後にモララーはこの世界から消えた。




それから一年後。


( ・∀・)「印税印税~♪」


モララーは独り言をつぶやきながら机に向かっていた。
今まで読んだ全ての物語を忘れたモララーはオリジナルの物語を書く事に成功していた。
ただその物語は独自性が強すぎて、誰にも認められる事はなかった。
それでもモララーは書き続ける。
彼だけの物語を書く事の出来るモララーは、幸せだった。
けれど彼の幸せはツンには関係のない話だった。


ξ ゚⊿゚)ξ「コッココッコ、コココーヒ~♪」

2_20091229093052.jpg



ツンはコーヒーを飲む。
変な歌を歌いながらツンはコーヒーを飲む。
ツン自身がコーヒーミルでブレンドしたオリジナルコーヒーだ。
その味が他のコーヒーとどう違うのかツンには分からない。
けれどツンにとっては美味しいコーヒーだった。



 五話終わり




この小説は2007年12月28日から2007年12月29日にかけてニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者は暇潰し ◆ODmtHj3GLQ 氏
第六話はこちらからどうぞ



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2009/12/29 09:33 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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