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/ ,' 3 ある作家とある編集のある日の話   のようです act.6


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ





   act.6『ある作家とある編集者のある朝の話 ふたたび』


姓は荒巻、名はスカルチノフ。
ふさげた名前だ。勿論本名ではない。文名である。

作家として細々と飯を食う生活が続いてはや八年――長くもなく、だからと言って短くもない月日である。
然したる賞も戴かず、しかし局地的な知名度がない訳ではなく、
一般的に『中堅処』と呼ばれる立場にいる私がふと目が覚めると、玄関先に誰かの気配を感じた。
布団を剥ぎ、上体を起こしてそちらを見やれば


/ ,' 3「……そんなところで突っ立って、何をしているんだい?」


お察しの通り、私の担当編集者が茫然自失といった風に玄関口で固まっていたのだった。
呆れるほど毎度のことであるから、目覚めの時を誰かと同席するのに最早驚きはない。

むしろ今回は、彼女の方が驚いている節があった。
なぜに彼女は玄関口で間抜け面をさらしているのだろうか?
うむ、皆目検討がつかないな。


('、`*川「……なんですか、これ」

/ ,' 3「ん?」


その響きは、思わずぽろりと心の端から漏れてきた真意のようであった。


私は欠伸をかみ殺し、彼女は相変わらず地に足を溶接されたままである。
抑揚のなさが表しているのは差し詰め『理解不能』と言ったところだろうか。

さらに付け加えるのであれば、伊藤はその発言と同時に
肩にかけていたリクルートバックを取り落とすという何やらどこまでもお約束な失態を犯していた。
うむ、物書きとしてすべからく倦厭(けんえん)すべき『ベタ』な展開だ。


そして私は、辺りを見渡す。



/ ,' 3「…………おお、散々たる」



その響きは、思わずぽろりと心の端から漏れてきた真意のようであった。
今いる布団と、執筆場所である机を爆心地にして物が散乱している。



紙くず、折れた鉛筆、飲み干した紅茶の空き缶、果ては煙草の吸殻までだ。
…………うむぅ、煙草の葉が畳に飛散すると、
それこそ悲惨なことになるのだが。掃除やら。
 

('、`*川「……ゴミ屋敷ですか、先生」


対して巧くもないことを思っていれば、伊藤が再度問うてきた。
答えをゆっくりと考え、答えが出ないことを悟り、それから伝える。


/ ,' 3「……なんだろうね?」


うむ、自分で言って置いて、ではあるが。
これは酷くトートロジー的な質疑応答であるな。


('、`*川「答えになってません」

/ ,' 3「然り」


くしゃりと伊藤の顔が歪む。苦笑よりも、失笑に近いそれだ。
ああ、笑い事ではないな。

そもそも、

 

/ ,' 3「時に編集君」

('、`*川「なんですか」


私はもったえぶらずに言う。







/ ,' 3「文章が、書けないのだが」







――――そもそも、
物を書けない物書きなど笑い話にもならないのだ。





20080408205651.jpg




故に私は、そろそろ死ぬべきなのかもしれないと本気で思う。
物書きは書けなくば死ね、と、いつだか誰かに言われた言葉が、
この胸に深く刻み込まれ、それが今も疼き続ける限り。


……さて、肝心の伊藤はといえば


('、`*川「…………」


私から送られてきた破滅級の爆弾を、どう処理していいかわからない様子であった。
むしろ意味がよく理解できていない、というべきか。

――玄関口に幼い石造が一体、言葉を押し殺して佇んでいる。


起き上がり、布団の上へ正座してから私はその石造に向け付言した。
うむ、備えあれば憂いなし。念のためという奴か。


/ ,' 3「これは断じて君をからかっている訳ではないんだ。
    すまない、本当に、私は、」

('、`*川「やめて」


私は『書けないのだ』と続けるつもりだった。
だがそれは伊藤の言葉でかき消された。
 

('、`*川「やめてください」


それは、静かな声であった。


誰かの言葉を止めるための声としては、穏やか過ぎるだろう。
――ならば果たして伊藤の言葉には、何かしらの力が付与されていたのだろうか。
力があったのだ。私の言葉を、かき消すほどの何かが。


('、`*川「言わないで下さい。それから先は、どうか、言わないで」

/ ,' 3「……編集君」


('、`*川「先生は、『書かない』ことはあっても、
     『書けない』ことはなかったんです。ただの一度も」


玄関口に立ったまま、彼女は懇願するような視線をこちらに投げてきていた。
逸らすことなく、視線に応える。知らずの内に背筋が伸びていた。


この状態に、嘘偽りなどまったくない。

 
/ ,' 3「……誤解しないで欲しいのは、これは、君のせいではないということだ。
    もしも、君の管理不行き届けを主張する誰かがいれば、ここへ連れてきなさい。
    私の、荒巻スカルチノフの全力を持って排除しよう。安心し給え」

('、`*川「そう言うことじゃないんです」


やはり伊藤の声は、果てしなく凪いでいた。
声に感情が宿っていない訳ではない。
それをいうのであればむしろ、伊藤はここからでも確認できるほどただ今半べそである。


彼女は玄関口で靴を脱ぎ、ゆっくりとこちらへ向かってきた。


圧迫感や脅迫感といった追い立てられるものはない。


('、`*川「…………」


私の目の前で立ち止まり、彼女は両膝を布団へついた。
視線が絡まる。


 
/ ,' 3「…………」

('、`*川「先生」

/ ,' 3「…………」

('、`*川「せんせい、荒巻せ、」

/ ,' 3「やめてくれ。その呼び名は、今の私には相応しくない」

('、`*川「なにがあったんですか」


/ ,' 3「すまない」


ありがとう、と続けるつもりはなかった。
続けることなど出来るはずがない。今の私にその資格はない。


礼を述べるのであれば、その結論へ到ったまでの過程を話さなければならないのだから。
礼を述べるのであれば、彼女は知らなければならないのだから。
あの時のこと。あの頃のこと。そして、私の真意を。


膝へ置いた自分の両の手をきゅっと握り締め、きっと痛切な表情である私は



/ ,' 3「なあ、編集君。いつか話した作家と編集の話を覚えてるかい」



と聞いていた。
一瞬、伊藤ははっとした表情を晒し、
それから取り繕う風でもなく首を縦に振った。



('、`*川「はい」

/ ,' 3「あれには続きがあるんだ。聞くか?」




伊藤は、見せつけるように頷いてくる。





――――――


『ある作家がおりました。彼は新人作家でした。
 ある編集がおりました。彼女は編集者でした。』


『新人作家はその時、恋をしていました。相手は――自分の編集者でした』

『編集者はその時、恋をしていました。相手は――自分の作家でした』


『彼らは当然のように惹かれあい、そして恋人になりました。
 担当作家と担当編集者としての体面を保ったまま……。
 しかし、幸せな日々のつかの間。
 ある事件が起こります。それは、ある夜のことでした。』



『そう、痛ましいあの事件。作家が今も見る瞬間の悪夢。
 作家の担当編集者であり、最愛の人が、事故にあった日のことです。』



――――――


 
( ^ω^)「高岡!!!!」

从 ゚∀从 「っ、遅せぇよブーン!」

息せき駆けて飛び込んだ病院のICU室前、
窓側に置かれた白い革張りのソファーに座っていたハインリッヒ高岡は、
僕の姿を認めるなり立ち上がり罵声を飛ばしてくる。


(;;;^ω^)「クーさんは、クーはどうした!!!??」


それを軽く受け流し、僕は高岡に歩み寄る。
両肩をつかんで揺すれば、クーさんの後輩であり編集者でもある
彼女は伏せ目がちに視線を外す。……くそっ!


从  从 「…………」

(;;;^ω^)「…………」


『血圧、バイタル、下がってます!』

『アンペアそっちで調節して! カルバゾないの!? もっと出せよゴルァ!!!!!!』


沈黙したままの僕らの脇を、轟々とキャスターを鳴らしながら
一つの担架とそれを囲んで走る何人かの医師や看護婦が横切っていった。


担架に乗せられていたのは、三十代くらいの男の人だった。
血塗れの頭を見た瞬間視線を逸らしたから、どんな顔だったのかはよく解らない。


その赤黒い血よりも、だらんと担架から力なく垂れ下がった彼の右手が、
僕の蓑虫(みのむし)の心臓をびくりと飛び上がらせた。


嫌が応にも、悪い方向へ想像が膨らんでしまう。


从 ゚∀从 「…………」

( ^ω^)「…………」


吸い込まれるようにして集中治療室へ消えていった彼らを見送り、
そこでやっと、僕は冷静さを取り戻した。


今ここで高岡に詰めより、僕らが取り乱しても
どうにかなる問題ではないのだと気づいた。


集中治療室のネームプレートと、それを照らすような形で爛々と輝く
『手術中』の赤いランプだけが四角く白い行き止まりのこの空間で、異様に栄えている。

 

从 ゚∀从 「……電話」



ふいに高岡が、口火を切った。


( ^ω^)「……お?」

从 ゚∀从 「事故に遭う瞬間まで、俺、先輩と電話してたんだ」

( ^ω^)「…………」

从 ゚∀从 「普通に話してたのに、急に変な衝撃音が聞こえて、
       あとはブレーキの音。……すぐに電話、切れちまって、それで、」


ふるふると首を振って――震えてるのか?――高岡はそれ以後の言葉を枯らした。
てんで自責の色だけしか伺えない言葉たち。


( ^ω^)「高岡」


それが痛々しくて、僕は高岡の名前を呼ぶ。


从 ゚∀从 「……っ」

( ^ω^)「大丈夫。大丈夫だお」


説得まじりの、自分を納得させるためのセリフ。
僕はどっちを安心させたがってるんだろう。……もうよくわからない。
はねっ気のある高岡の髪を、撫で付けるようにして触れる。


反応し、彼女の肩が跳ねた。


顔をあげ、こちらを見た高岡の表情は、色々な感情が入り混じっていた。
僕が窺い知ることの出来ない感情の渦巻きで
顔をくしゃくしゃにした彼女が、大粒の涙を止め処なく零している。


从 ;∀从 「そんなの、ただの気休めだろ!」


噛み付くような、攻撃的な声色だった。
いつもと違うのは、それを自分自身に向けているという点だろうか。



从 ;∀从 「……だって、俺、俺は……!」

( ^ω^)「どっちにしろお前の所為じゃないお。大丈夫だから。大丈夫だお。
       ……綺麗で聡明でブーンの彼女のクーさんが、死ぬ訳がないお?」


从 ;∀从 「…………殺してもしななさそうだもんな、お前」

( ^ω^)「おっおっおっ。クーさんはそんな僕の彼女だお?」


从 ;∀从 「ああ、そうだよな。死ぬわけ、ないよな……」


僕と高岡が、やっと落ち着いてきた頃だった。
まるでタイミングを見計らったように、あの『手術中』の赤いランプが消え、


从 ゚∀从 「……!」

( ^ω^)「先生!」


淡いブルーの手術着と、同じ色の帽子をした医師らしい人が集中治療室から出てきた。


高岡は彼にかけより、自分が事故の関係者であることを伝えた上で、
無言で、――まるで祈るように医師の解答を待った。
中にいた人間の様態を思い、無事を祈った。もちろん、それは僕とて同じである。







――少しの間を置いて、口篭もりから脱した医師が言う。






( ・∀・) 「…………………………残念ですが」






ああ、なんと、酷薄な。





 
――――――




『作家は、変わらないことを願いました。
 終わってしまったものを取り戻したいと渇望したのです。
 ……それからです。作家は彼女の幻を見るようになりました。

 それはまるで、作家の心臓を抉るような凶夢でした。
 繰り返し繰り返し、繰り返し繰り返し、
 今はもう顔も髪も肌も唇も触れられなくなった、
 声も情も姿も存在でさえも感じられなくなった彼女の幻影を見つづけるのです。


 ――けれどもそれは、まぎれもなく作家が望んだ夢でした。


 『終わるものなら終わらせなければ良い』


 それが作家の想いだったからです。『真意』だったからです。』




――――――



 

/ ,' 3「けれども幾許か過ぎ、作家は浅ましくも思ってしまった。『いつまでだ』と」


私は続ける。
伊藤は終始無言である。

――ああ、これは、実に、話しやすい空気だ。重くクソッタレな。



/ ,' 3「いつまで彼女の時間を止めれば良い?
    いつまで彼女の幻影を追えば良い?

    いつまでこの胸の痛みを抱えれば良い?
    いつまでこの虚無と向き合わねばならない?
    いつまで、どこまでいけば良い?

    これに救いは? 終わりは? 満足は? その方法は? 法則は?
    いつまでこの考えを続ければ良い。――終着はどこなんだ!」



天国だと思ったこともある。
彼女に触れられるのだから。

牢獄だと思ってしまった。
彼女に、触れられるのだから!



膝に置いたままの両の手を見る。
あの頃よりも皮膚の落ちた自分の手を。


 
/ ,' 3「変わらないことがただ唯一だと思っていた。それが私の指標だと」


それが今はどうだ、と言い、私は一息付いた。
同じく布団の上で正座した伊藤と、視線を合わせる。



('、`*川「…………」


――彼女の顔には、色々な感情が入り混じっていた。


私が窺い知ることの出来ない感情の渦巻き。
顔をくしゃくしゃにした彼女が、大粒の涙を止め処なく零している。


ああ、なぜ、君がそんな顔をする?


奥歯を噛み、私は言う。


/ ,' 3「それは違った。『いつまで』と過った時点で私は私でなくなったのだ。
    『僕』が『私』ではないことは解っていた。
    だけれど、『私』が『私』でないことには気が付かなかった。気がつけなかった。

    ……もしも『変わらない』のであれば、『変われない』のであれば、
    そこに疑問など生まれるはずがないのだ。そこに何も変化はないはずなのだ。
    だが私はどうだ。変わった? 変わらない?
    その二択で言うなら確実に『変わってしまった』だ!」


語気を強くし、私は畳に視線を落とす。
机の脇に横たわる千日紅のドライフラワーが、不幸なことに視界へ飛び込んできた。


千日落ちない紅色を持つ花。それ故にこの名。
それは、きっと愚直なまでに素晴らしく揺らぎないものだ。


私とは絶望的なまでに距離がある。


/ ,' 3「変わらないことを心情にしていたこの人生は、一体なんだったんだ……」


千日紅を見ながら、呟く。
活力のない呟き声は、自身の振動数をゆるやかに終わりへ向かわる。
やがてそれはやはりゼロになり、形容しがたい沈黙が部屋に降りてきた

 

('、`*川「……ごめんなさい」



沈黙を破ったのは、泣き顔の伊藤だった。


/ ,' 3「…………」

('、`*川「私が、変なことを言ったから」


先生はその結論へ行ったんでしょう? と、彼女は目で訴えてきていた。
真一文字に結ばれた伊藤の唇は、
この距離でやっと視覚できる位微かに、震えていた。
ため息が漏れる。伊藤は体全体で震えた。罵倒されるとでも、思っているのだろうか?


――――――なんてわかっていない。

なんて純粋無垢なのだ。この少女は。




/ ,' 3「――それは、排除してくれ、と言う遠まわしなサインかい?」



くつり、と笑ってみせれば、


('、`*川「へっ?」


とまあ素っ頓狂な声を上げる伊藤。
前置きしたはずだろう、と私は言う。彼女は解っていない様子だ。


/ ,' 3「『誤解しないで欲しいのは、これは、君のせいではないということだ。
     もしも、君の管理不行き届けを主張する誰かがいれば、ここへ連れてきなさい。
     私の、荒巻スカルチノフの全力を持って排除しよう。安心し給え』」


そう説明をし、


/ ,' 3「君とて例外ではないよ?」


付言した。
伊藤は暫く考え、暫く無言。


('、`*川「素直じゃありませんね」


そして泣き顔のまま、強がって見せる。

 
/ ,' 3「然り」


うむ、そんなことは重々承知。と、好々爺然と頷いてみる。
伊藤は口元引きつらせながらも「まったく」と吐息を落とした。

その隙を見て、私はそれに、と切り出した。

ああ、これで、やっと言える。


その結論へ到ったまでの過程を話したのだから。
彼女は知ったのだから。

あの時のこと。あの頃のこと。そして、私の真意を。



/ ,' 3「それに、もしかすると、私はこの答えには一生到れなかったかも知れないんだ。
    変わっていることを知らずに変わりつづけ、そして変わらないものとなっていたかも知れない。


だから。と、



/ ,' 3「…………だから私は、君に感謝している。伊藤ぺニサスくん」


/ ,' 3「ありがとう」



言った途端、彼女はほろ、と顔を綻ばせ


('、`*川「初めて名前を呼んでいただけました」


と言ってくる。


/ ,' 3「うむぁ? そうだったかね」


いかにも業とらしくしらばっくれれば、辛うじて聞き取れるほどの小声で
『この朴念仁』と、訳というか心理のわからない不満を述べられた。


伊藤は幼い動作で頬を膨らませ、


('、`*川「で」

/ ,' 3「はい」


場の空気ががらりと変わった。
うむ、何故かはわからぬが、すごく従順に返事を返してしまった。
パブロフの犬も真っ青の脊椎反射である。



('、`*川「答え、出たのに。書けないんですか」



ずばり痛いところをついてきた。
やるなぁお主と感心しきりに思い(孫の成長を見る爺のようだ)。


/ ,' 3「納得と気持ちの整理は違うからね」


と返す。
人間、そう巧く作られていないのだ。
データー処理など夢のまた夢。納得したからといって、それに心がついてくるかどうかは別問題。



('、`*川「締切り、間に合いませんね」



正座したままの伊藤、
薄幸の美少女が消えかかる己が命を憂うように言った。


/ ,' 3「まぁなあ」


私は軽く返し、


/ ,' 3「「…………」」('、`*川


しばし見つめあい、


/ ,' 3「いつものことだ」

('、`*川「いつもどおりですね」


と双方納得。
気持ちの整理がつくかはまた別問題であるが、それすらもいつも通りだ。
ともあれ私も死にたくはないので脳汁絞ってでも書かねばなるまい。

出来るかどうかはまったくの未知であるが、人間変わらぬ奴などいない。
私が変化し続ける限り、書けない状態が一生続くなど言うことはありえないのだろう。


机に向かおうと腰をあげ、
伊藤が介助のため私へ手を伸ばそうとした刹那、



           ピーンポーン



と、軽い機械音が部屋に響いた。

 

/ ,' 3「む、せっかくのいい雰囲気のところに来客か」

('、`*川「語弊招きますからそう言う言い方しないでください先生!
      あ! く! ま! でっ! ええ、そりゃもうあくまで
      ビジネスパートナーとしての打ち解け合いなんですからねこれっ」

/ ,' 3「重々承知の助。ははは、私は解らないのであえて聞くがね編集君。
    君は一体何を想像したんだい編集君。教えてみなさい。やーらしー」


揚げ足一本を取りつつ、それはもう悔しそうにきぃ、と歯噛みする伊藤の声を聞く。
はっはっはっはっ、馬鹿め。とは思うものの、その本能と好奇心に従うと
この戦況が泥沼化しそうであるので理性で抑える。

玄関口に立ち、ステンレス製のドアノブを捻った。



/ ,' 3「もしもし」


これは変か。言って少し後悔し、来客の姿を認めた瞬間その後悔やらすべてが吹っ飛んだ。
辛うじて動く喉に鞭撻を入れ、
 


/ ,' 3「…………どうしたんだい?」



としゃがみこむ。
来客者は、歳幅10にも満たないような少女だった。
日の下で見れば輝いてそれはもう美しいであろう金髪に、
瞳は今だ汚れを知らない無垢な輝きで瞬いている。

驚くべきことにその少女は、幼さの中にも優美さを兼ね備えていた。
鼻筋の通った端正な顔立ちから伺えるのは、彼女が将来美しくなると言う決定事項。


うむ、大きなお友達がいれば大興奮する光景だろう。あいにく私にその気はないが。


私と少女は視線を合わた。
ふるふると長いまつげを振るわせる少女。
彼女に目元に浮かんでいるのは――――涙?



少女は口をあける。「さん、」と発言。初めて聞く声だった。

 






ζ(゚ー゚*ζ「さん、…………おとーさん」







/ ,' 3「とっ……?」


思わず聞き返せば、私の背後で、何時の間にやら一部始終を
静観していたらしい伊藤が補足してきた。


('、`*川「あ、先生、私知ってますよー。
      お昼にやってるやたらドロドロしたドラマで見ました。
      えっと、こう言うのは隠し子っていうんでぇええぇぇぇぇぇええ!!??」


近所迷惑だ、と伊藤を嗜めることも忘れ、玄関口で今度は私が茫然自失となる。


うむ、隠し子か。


玄関口、しゃがみ込み少女と見詰め合いながらその意味を考える。
隠し子。つまりは世間に隠している子。


なるほど、隠し子。





/ ,' 3「か、隠し子!?」




ぶふぅと思わず口泡飛ばす。なんてことだ。いや、なんだこれは。


半端のない波乱の予感、もしくは悪寒を感じてしまわずにはいられなかった。





           了





この小説は2008年4月6日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者は◆YcgYBZx3So 氏

続きはのんびり待ちましょう



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2009/12/28 21:29 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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