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/ ,' 3 ある作家とある編集のある日の話   のようです act.4

はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ





   act.4『ある作家とある花屋のある夕の話 ふたたび』


姓は荒巻、名はスカルチノフ。
ふさげた名前だ。勿論本名ではない。文名である。

作家として細々と飯を食う生活が続いてはや八年――長くもなく、だからと言って短くもない月日である。
然したる賞も戴かず、しかし局地的な知名度がない訳ではなく、
一般的に『中堅処』と呼ばれる立場にいる私は、花屋にいた。 あの商店街の花屋である。


(´<_` )「ああ」

/ ,' 3「やあ」


声を掛けようか迷っている間に店員が先に気づいたらしい。
鈴蘭の水を変えていた最中の彼は、私の姿を認めるとすぐに笑った。
微笑みに近いそれだ。


(´<_` )「貴方はいつかの。今日はどうなさいました?」

/ ,' 3「いや、先日の―― 千日紅のことを思い出したものでな」


つい立ち寄った。と、私は手に持ったスーパーのビニール袋を見せ、
自分が夕飯の買い出し帰りであることを暗に仄めかす。
ちなみに内容物は特売の生鮭。

 
(´<_` )「ありがとございます」


察したのか、流石はさらに笑みを濃くした。
ユニフォームらしいエプロンの胸には、丸いフォントででかでかと『鮮度の高い商品の提供を目指します!』とある。

……まるで花屋のキャッチコピーらしさはない。




20080325202740.jpg



/ ,' 3「そう言えば他の店員が見当たらないが、君一人なのか?」

(´<_` )「『プラントハンターなのだよ弟者!』だそうです」

/ ,' 3「は?」

(´<_` )「あの馬鹿兄貴……店長はアフリカに渡っておりまして」

/ ,' 3「ア、アフっ!?」


流石の口から澱みもなく出た台詞に、思わずぶふぅと唾を飛ばしてしまった。
彼がなんでもない世話話のように言ったせいもあるのか、その衝撃も一塩だった。



……なんと、アフリカ。
日常を過ごしている私にはまったく未知の言葉である。



(´<_` )「毎度のことなので慣れました。仕入れは現地にて、が心情らしいのですよ。
      当の本人はラフレシアを持って帰ってくると意気込んでおりましたが……」


その瞬間、私はキャッチコピーの意味を理解する。
『鮮度の高い商品の提供を目指します』

それに繋がるのは商品現地調達の原理。
……なるほど、この世界のすべての事象は、何らかの含みを持っているということなのだろうか。


それにしても、ラフレシア。
世界最大の大きさを誇る花にして、生け花ポケモン……いや、これは違うか。


/ ,' 3「……税関で引っかかるだろうな」

(´<_` )「ええ、十中八九」


基本的に、個人が海外の動植物を持ち込むことはできない。
―― 伝染病や病原菌の危険性があるからだ。

私はまだ見ぬ店長を思い笑い、彼は見知った兄の事を思い笑った。
自由なのはいいことだ。

 
(´<_` )「お待たせ呈しました」


いつのまにか商品の用意をし終わっていた流石が、新聞紙に包んだ千日花を差し出して来た。
少しばかりの身銭から代金を差し出し、受け取る。

ドライフラワーである千日紅が、かさり、と乾いた音を奏でた。
それから、微笑んだままだった流石が気がついたように言ってきた。


(´<_` )「千日紅の花言葉は『終わらない愛情』なのです」


――伝えられた花言葉に、心が疼く。

先刻の思考が、急激な速度でフラッシュバックしてくる。
私は手元の千日紅に視線を落とした。



『この世界のすべての事象は、何らかの含みを持っているということなのだろうか。』



なんでもない言葉だったそれが、今はとんでもない自虐だ。
何故だか泣きそうな心持ちになる。
じんわりと浮かんで来た涙を拭い、私は顔を上げる。
流石はやはり、微笑んでいた。

 

/ ,' 3「……終わらない、か」



果たして終わらないのか、終われないのか。
私は再び繰り返した。流石は眼を伏せ、それでもやはり微笑んでいる。
少し、悲しげなそれで。

――彼に私の心情が理解できるハズはない。

それなのになぜ、流石はこんなにも痛切な表情をしているのだろう?


鏡があれば答えが見つかるかもしれない。
私は淡い紅色の凡々に視線を落とした。それから、繰り返す。



/ ,' 3「終わらないのは、終われないのは――」



どちらなのだ?





           了





この小説は2008年3月22日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者は◆YcgYBZx3So 氏

続きはこちらからどうぞ



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[ 2009/12/28 21:25 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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