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( ><)はVIP荘に住むようです 第九話


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




人物紹介

( ><) ビロード 主人公、18歳の子供っぽい青年
       田舎から上京してきた。202号室住人。

从 ゚∀从 ハインリッヒ ××歳の女性 管理人代理
      甘いものとお酒が大好きな独身女。少しだけ未来が見える。101号室住人

('A`) ドクオ 22歳男
    うだつのあがらないフリーター。モララーが嫌い。102号室住人

( ・∀・) モララー 28歳男
      全体的に謎の多い男。ドS。103号室住人
 
川 ゚ -゚) クー ××歳
     人と関わるのが苦手。霊に愛される自覚の無い霊媒体質。203号室住人

( ∵) ビコーズ
    VIP荘に住み着く守り神みたいなもの。住人は特に気にしない。

( ´_ゝ`) 兄者 201号室住人、PCを通じて人と話す





(*´_ゝ`)「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ」

( ><)

(*´_ゝ`)「もしゃもしゃもしゃもしゃもしゃもしゃもしゃもしゃ!!」

( ><)

(*´_ゝ`)「もーぐもぐもぐもぐっもぐぐぐぐハムッハムム!」

( ´_ゝ`)ゴクン

( ´_ゝ`)「ふぅ……」

( ><)「…………美味しかったですか?」

( ´_ゝ`)『いや……』

川;゚ -゚)「!」

カタカタ
( ´_ゝ`)⊃『全然足りないな、おかわり』

(;><)「まだ食うんですか!?」



1_20091228103051.jpg


 
風もないのどかな青空の下、僕達アパート住人は皆で兄者さんを囲むようにして
それぞれベンチや椅子を持ってきて座っていた。

和やかな風景とは裏腹に展開されるフードバトルに、皆慣れてしまっているのか
特に目を向けようともしていない。
いや、別に戦ってるわけじゃないんですけど。


从 ゚∀从「ははー、ドクオお前またババ引いてやんの」

( ・∀・)「ざまぁ」

川д川川 ゚ -゚)「私は一回もないぞ、ふふん」

('A`)「くっ……」

(;><)(ババ抜きしてるし……)

その傍らで食事し続ける兄者さん。
なんだこの空間。のどかだけどなんかよくわかんねえ。

カタカタ
(*´._ゝ`)『いや、実に美味しかった……相変わらずクーさんは料理が上手いね』

川*゚ -゚)「そ、そうか?いや、う、あり、がとう」

(;><)「………………」

一通り食べ終わると兄者さんは、満足したように腹を叩いた。
クーさんの料理は確かに美味しいけど、量が半端ないことはもはやこのVIP荘の中で定番になりつつある。

だからたまにクーさんの料理をご馳走になる時は量をちゃんと指定して作ってもらったりとしてるんだけど
兄者さんはクーさんが目一杯作りまくった料理を綺麗に平らげた。

ぶっちゃけありえないんです。

(;><)(痩せの大食い……)

カタカタ
(.。´._ゝ`.)『さて、それじゃあ僕の自己紹介だが……』

(;><)「ちょ、そ、その前に顔汚!子供か! ちゃんと拭いてくださいよもぉ」
 
              グシャグシャ
「ぐふぅう……!」(;´□⊂(><;)

('A`)(割とぞんざいだ……)

飛び散った食いカスを布巾でぬぐうと、兄者さんはくぐもった声をあげた。
声をあげれるってことは、喋れるってことなんだろうけど、どうしてこんなパソコンで喋っているんだろ?

モララーさんがニヤニヤしながら僕を見てきた。
その視線はバカにしてるような、微笑ましいものを見るような視線だったので、僕は眉を顰めて振り返る

(;><)「…………なんですか」

( ・∀・)「いやいや、微笑ましいと思ってね」

从 ゚∀从「子供が子供を叱ってるみたいで、なんかほんわかするよ」

(;><)「いや僕18ですってば!ざけんな!」

('A`)「お前ちょっと口悪くなったよな」

カタカタ
( ´_ゝ`)『というか、僕も一応ドクオくんより年上だよ』

(;><)「えぇ!?こんなに生活能力ないのに!?」

(;´_ゝ`)そ ガーン

カタカタ
(;´_ゝ`)『…………ハインさん、今度の新人は、結構言うね』

从 ゚∀从「当たり前のこと言っただけだっつの、お前マジ生活能力ないもん」

カタカタ
( ´_ゝ`)『ああ……悲しいかな……ここには酷い人間ばかりだ』

虚ろな表情でタイピングする兄者さんがちょっとかわいそうに見えたけど、
このアパートではそれが普通なのだと、僕もそろそろ学んできた。
無視しよう。

('A`)「これってどうやって作るんですか?」

川 ゚ -゚)「ああ、これはだな……」

隣ではドクオさんがクーさんの持ってきたお菓子をほお張っているのが見える
それは色とりどりの見た目にも可愛らしいマカロンだ。
美味しそうだなあ、と思っていると兄者さんもそう思ったのか、もの欲しそうに眺めている。

……アンタさっきあんだけ食べておいて!
優しいクーさんはそれを兄者さんに与えていた。あまつさえ新しく作ってくると嬉しそうに部屋へと走っていった。
ああもう、そうやって甘やかすのはよくないんです

( ´,_ゝ`) モゴモゴ

(;><)「…………」

クーさんが部屋へ戻ると同時に、兄者さんがキーボードを叩く

カタカタ
( ´_ゝ`)『では、改めてよろしくと言おうか、僕は流石兄者、君の隣の201号室の住人だ、よろしくね』

( ><)「……あ、よろしくお願いしますなんです!僕は202号室のビロードって言います!」

握手しようと手を差し出したが

握り返されることはなかった。


( ><)「………………」

カタカタ
( ´_ゝ`)『いや、ほら、パソコンから手放したらタイピングできないし』

( ><)

差し出した手を何処に戻せばいいんですか僕は

('A`)「可哀相だから俺が握手してやろう」

( ・∀・)「じゃあ僕も」

从 ゚∀从「アタシもアタシも!」

( ><)「わぁーありがとうございますーいたたたたたたった」

無駄に3人に手を握られた。
やたら強い力で握られたせいか手が真っ赤になった。超痛い。マジ痛い。主にハインさんの力が強すぎる

カタカタ
( ´_ゝ`)『ははは、君達は仲良しだな、よきかなよきかな』

僕はそろそろ兄者さんを引っぱたいてもいいんじゃないだろうか。
そんなちょっと特殊(?)な彼に混乱している僕を見かねてか、横からドクオさんが割って入ってきた。

('A`)「ビロードに一つ言っておこう」

( ><)「なんですか?」

('A`)「この人はな、変人で変態なんだ」

( ><)「はいなんとなくわかります」

(;´_ゝ`)「!?」

カタカタ
( ´_ゝ`)『その通りだ、だがドクオくん。一つ訂正しておく、変態とは言いすぎじゃないだろうか
      僕は別に変態ではない、誤解しないでくれ』

( ><)「どういうことですか? ドクオさん」

カタカタ
(;´_ゝ`)『む、無視だと!?』

ドクオさんは少し逡巡した後、口を開いた。

('A`)「つまり、この人はな」

( ・∀・)「ドクオ」

しかしそれはモララーさんによって遮られた。

('A`)「なんスか」

( ・∀・)「だから君はアパート内でKY野朗と呼ばれるんだよ」

(;'A`)(え、そうなの?)

( ・∀・)「こういうのは本人の口からじゃないと話しちゃいけないんだ」

( ><)「?」


その言葉に、うっとつまったようにドクオさんがアパート住人の顔をぐるりと見回す。

誰も何も言わなかったけど、皆モララーさんが言わんとしてることはなんとなくわかったみたいで
僕は奇妙な疎外感を覚えた。

そういえば、ここに来てから僕はずっと何かを知らされていない気がする。
このアパートにある何かを僕はずっと隠されているような、そんな感覚を受けることがたまにあるのだ。

それは話している時だったり、アパートを見ていると湧き上がってきたり、様々だ。
もしかしたら、それについて兄者さんは何か知ってるのだろうか?

( ´_ゝ`)「……………………」

从 ゚∀从

( ・∀・)

('A`)「…………まぁ、そうかも、ですね」

( ><)「ドクオさん?」

('A`)「悪い、俺の言葉は忘れてくれ」


そういって、ドクオさんはまた何事もなかったように持参した椅子の背もたれに大きくもたれかかった。
僕が頭上にクエスチョンマークを浮かべている間にも、兄者さんが再びタイピングを始める。


从 ゚∀从

( ・∀・)

('A`)

( ><)「……………………」

何故か妙な沈黙が流れた。
天気は快晴、心地よい風がアパートの木々を揺らしているというのに、
僕らの間には生暖かい空気が過ぎっている
クーさん遅いなあ、まだ戻ってこないんだろうか?

( ><)「あの……」

カタカタ
( ´_ゝ`)『何かな?』

誰も何も言わないので、僕は耐え切れなくて声をあげた。
声をあげた瞬間、草の匂いが鼻腔を擽り、太陽の匂いを感じた。ああ、本当にいい天気。

( ><)「なんか一気に空気が変な感じになってぶっちゃけ居辛いんです」

从 ゚∀从「いきなりぶっちゃけるなお前」

( ・∀・)「君も都会に染まっちまったのかい?」

(;><)「いきなり何言ってるんですか?」

( ・∀・)「幼い少年の衣を脱ぎ捨てて都会の闇に飲み込まれてしまったのかと聞いているんだよ」

(;><)「ひょ、表現がなんか気持ち悪っ!」

( ・∀・)「いやぁ、そういう話を兄者くんがしたがってるんじゃないかと思って、ね?」

カタカタ
( ´_ゝ`)『え?別に……』

( ・∀・)

( ´_ゝ`)


兄者さんが空高く舞った。
厳密に言うとモララーさんに蹴り飛ばされた。
優男に見えるモララーさんも力は結構あるので、思ったよりも高く飛んだ。

というか、あの人が常人より極端に貧弱なのかもしれない。

(メ´_ゝメ)「う……うぐ……」

( ・∀・)「まったく変な空気だって言うから変えようとしてやった僕に対してなんて言い草だい」

('A`)「明らかに余計なことでしたねKY野朗」

( ・∀・)

('A`)

ドクオさんも空高く舞った。
兄者さんよりは綺麗に飛ばなかったけど、それでもアパートの端の方までは飛んでいったと思う。
なんだか最近の僕は人がぶっ飛ばされるシーンを見慣れてきている気がする。

( ><)「わぁー高ーい」

( ・∀・)「まったくもう!どいつもこいつも!」

从 ゚∀从「お前ら元気だな」

( ><)「…………あ」

未だに蹲っている兄者さんへ声をかけると、ガタガタと震える手でタイピングしていた。
なんかもう色々限界なんじゃないだろうかこの人。
耳に障る機械音声だけが僕の問いに答えてくれる。

(;><)「だ、大丈夫ですか?」

カタカタ
(メ´_ゝ`)『くそっ……現代に蘇る鬼がっ……!』

( ・∀・)

カタカタ
(メ´_ゝ`)『ああ……いやまぁ、モララーくんが言ったことも100%間違いではないからね、平気さ、うん』

( ><)「? どういうことですか?」

カタカタ
( ´_ゝ`)『……一つ聞くが、ビロードくん、と言ったかな』

( ><)「はい、なんですか」

カタカタ
( ´_ゝ`)『君は……一体なんなのかな』

(;><)「エェ!? し、質問の意味がわかんないんです!」

なんか犬に「君はどうして犬なの?」って聞く質問みたい!
なんなんだって……なんなんだってなんなんですか?
わかんないんです!

カタカタ
( ´_ゝ`)『んん……では質問を変えよう。君はどうしてこのアパートに来たのかな?』

さっきまで食い散らかした挙句ぶっ飛ばされた男とは思えない眼差しが僕を射抜いたので、
その目に少し嫌な感じを受けながら、お父さんに紹介されたときのことを話した。
「都会に出るなら、いいアパートがある」、と言われたあの時のことを

( ><)「それは、お父さんの紹介で……」

カタカタ
( ´_ゝ`)『お父さん?』

( ><)「はい、お父さん、ここの管理人さんとお友達みたいで、僕も進められたんです」

(;´_ゝ`)「……何だと!?」

(;><)「え?」

兄者さんが驚いたように、タイピングする手を止めた。
聞こえたのは肉声だった、初めて聞いたはっきりとした肉声。
一体どうしたって言うんだろう。

(;´_ゝ`)

(;><)「ど、どうかしたんです?」

カタカタ
( ´_ゝ`)『いや……それはネタで言ってるのかい?』

( ><)「どうして僕がこの場でネタを言わなくちゃいけないんですか」

カタカタ
( ´_ゝ`)『モララーくん』

( ・∀・)「おいおい、僕にふらないでくれよ」

カタカタ
( ´_ゝ`)『ハインさん』

从 ゚∀从「……しらねーよ」

カタカタ
( ´_ゝ`)『ドk……あ、やっぱりいい』

( A )

( ´_ゝ`)「むぅ…………」

(;><)「あの、どうかしたんですか?」

何故か真剣な表情になった兄者さんに、僕はまた変なことでも言ってしまったのかと
不安になってきた。

僕にはいつも、何か言ってはいけないことを言ってしまう癖があるみたいだから
そういう癖が出ないよう気をつけるようにって、言われたことがあるから。
言われたことがあるって、誰にだっけ?……よく覚えてないんです。

兄者さんの銀色のFMVが僕の不安を煽るように鈍く光っていた。

カタカタ
( ´_ゝ`)『いや……ここの管理人って言うのは、見たことがないから、ちょっと驚いただけさ
       あまり気にしないでくれ』

( ><)「見たことがない?」

そういえば、前にそんな話を聞いたような気もする。
その時は大して気にも留めなかったけど、よくよく考えたらおかしな話だ。
管理人の姿がないアパートだなんて

( ><)「誰も気にしないんですか?」

カタカタ
( ´_ゝ`)『まぁハインさんがいるから、困らないしね
      なにせここは特殊なアパートだろう? そう簡単に姿を見せるとも思わないさ』

特殊な、アパート

反芻するように心の中で繰り返した。
果たしてそうなんだろうか?

確かにちょっと変わった人が集まっているとは思うけれど、別にそこまで変なアパートとは思わない。
だってここに住んでいる人たちは皆優しくていい人だ。一緒にいて楽しい人たちだから
田舎から出てきた僕を優しく出迎えてくれたし

都会での生活がわからない僕に対してアドバイスをくれたり、ご飯をご馳走してくれたり
きっとこの人たちがいなかったら僕はきっとここで暮らしてはいけなかっただろう。

だから僕はここがそんな変なアパートとは思わない。

だけど、僕が首をかしげているのを不思議に思ったのか、はたまた僕が変な顔でもしていたのか
言い直すように兄者さんが再び問いかけてきた。

カタカタ
( ´_ゝ`)『勘違いしないでくれ、僕は別にここが嫌いなわけじゃない、むしろここは大好きだよ』

( ><)「はぁ」

カタカタ
( ´_ゝ`)『ただね、ビロード君は皆のこと、どのくらい知っている?』

( ><)「え?」

カタカタ
( ´_ゝ`)『大げさな言い方をするならば、皆がどうしてこのアパートにいるのかを
      どうしてこのアパートに来なくてはいけなかったのかを、かな』

( ><)「……い、言ってる意味がよくわかんないんです」

来なくちゃいけなかった、なんて。まるでここに来ることがダメみたいに言う
僕は、僕はこのアパートが好きなのに
悪く言わないで欲しいのに

黙り込んでいると、再びタイピングの音が聞こえてきた。
ハインさん達は何も言わず、ただ見守っている。

カタカタ
( ´_ゝ`)『わからないならシンプルに聞こう、君は超能力を信じるかい?』

唐突なその質問に、僕はちょっとだけ動きを止めた。



( ><)「超能力、ですか?」


カタカタ
( ´_ゝ`)『そうだ、常人には有りえない能力、不思議な力

       ……まあそれが必ずしも良いものとは限らないけれど』

超能力
そう聞くとテレビドラマで心を読む人とか、アニメで念動力を使ったり、小説でテレポートしたり
するような人たちが頭の中で思い浮かんだ。
まるでヒーローのような、彼らの存在

だけど兄者さんが言わんとしていることは、どこか違ったように僕は感じていた。

( ><)「……信じますよ」

カタカタ
( ´_ゝ`)『やあ、はっきり言うね』

( ><)「はい、だって……」

だって

僕は今この場にはいないクーさんを頭の中に思い浮かべた。



川д川川 ゚ -゚)

クーさんは、きっとある意味超能力者ともいえる人だろうから。

彼女の後ろで笑う貞子さんや周りにいる幽霊達。彼女を愛する人ではないもの
僕は彼女に会うまで幽霊なんて今まで一度たりとも見たことがなかった。
それが当たり前だったのに。

川д川 クフフ

見たことがないのに見えるようになった。
それは多分、常人にはない不思議な力。
他人に幽霊を見させるという、超能力なのかもしれない。

从 ゚∀从

( ><)「…………」

そして、ハインさんも
あの日、夕暮れの中起きた事故を、僕はまだ覚えている。
日の沈みかけた逢魔ヶ刻、人々の悲鳴、カウントダウンの声。

逃げていくひったくり犯と、迫るトラック、轢かれた瞬間飛んだバッグの色まで、覚えている。

夕日の赤と血液の赤、ハインさんの赤茶けた髪が視界に入り、まるで世界の終わりのように見えた。
影で良く見えなかったけど、ハインさんは一体どんな思いで、あの事故を見てたんだろう?

( ・∀・)

モララーさんは、言っていた。
彼女はちょっとだけ先の未来が見えるって。
ただし、その未来は絶対に変えられない、それが悲しいって。
それも多分、一つの超能力なんだろう。

( ><)「だって、見たこと、ありますから……」

('A`)「…………」


カタカタ
( ´_ゝ`)『ふむ、ならば、わかるかな。というか、どうやら君はわかっているように見えるよ』

( ><)「何がですか?」

兄者さんは僕の問いかけには答えず続ける

カタカタ
( ´_ゝ`)『僕も例に漏れず、ちょっとした超能力のような物を持っていてね』

( ><)「え……?」

カタカタ
( ´_ゝ`)『それが、僕がこのノートパソコンでしか話さない理由だ』

(;><)「そ れは、どんな」

カタカタ
( ´_ゝ`)『どんなものかは、ここでは言わない

       誰だって、汚いものは閉じ込めたいだろう?』

( ><)

(;><)「汚い もの?」

その言葉に、兄者さんは喋らない。
ただ機械的な電子音声だけが言葉を紡いでいく。
決して自分の言葉は漏らさないように、漏らしてはいけないかのように、かたくなに口は閉ざしたまま。

カタカタ
( ´_ゝ`)『そりゃあ汚いさ、誰も欲しいなんて望んでいなかったんだから
       おまけにこんな能力ときたもんだ、汚いものにきまってる』

( ><)「……何の話ですか?」

カタカタ
( ´_ゝ`)『僕は最初からこのアパートに住む人の話しかしていないよ、君も、本当はわかっているんだろ?』

わかっているんだろう?って


何をですか


そういいたいけど声は出なかった。
前に話したことと同じことを、僕はいま兄者さんと話しているから。
あまり思い出したくないことだったから、信じたくないことだったから。

あのざわつく遊園地の中で少しだけ話したアパートの記憶が、掘り返されていく。
モララーさんの顔が、歪んで見えたパレードの中のこと。

僕は本当は、認めるのが嫌なだけなのかもしれない。
モララーさんのセリフが、頭の中で蘇る。


  ( ・∀・)『あのアパートはね、そんな望まない能力を持つやつの…

                                           吹き溜まり、だ』


皆持ってる、妙な力、望まない力。
詳しくは知らないけれど、皆それを疎んじている。僕はその事実に目を向けたくないんだ
どうしてかって?そんなの……


( ><)「………………」

カタカタ
( ´_ゝ`)『ビロードくん』


いやだ
この空気、すごい嫌なんです

誰も何も話さない、この空間、さっきまで皆でお菓子を食べたりトランプしてたりしたのに
楽しかったのに、なんだかまるで違う場所みたいに


2_20091228103050.jpg


モララーさんを見ると、あの時と同じような表情で、ちょっとだけ笑っていた。
いつものようなニヤニヤとした笑みじゃない、少しだけ悲しそうな表情で

( ><)「ハインさん……?」

从 ゚∀从「なーに泣きそうな顔してんだよっ」

ハインさんの手が、いつものように僕の頭をくしゃくしゃと撫でた。
その手の暖かさに僕はなんだか無性に泣きたくなった。だって
だって皆こんなにいい人なんです

こんなにも優しい、いい人ばっかりなのに

ハインさんは、ちょっと乱暴者だけど、僕に色んなことを教えてくれたお母さんみたいで
ドクオさんは、暗いけどお兄さん気質で僕のもう一人のお兄ちゃんみたいだ
クーさんは、料理が上手くて、優しくて、ハインさんとは違うタイプだけど、
お姉ちゃんがいたらこんな感じだと思う
モララーさんは、かっこよくて、楽しくて、ちょっと謎が多いけどいざって時には頼りになる、お父さんみたいだ

そんな、人たちがまるで、いちゃいけないみたいに、汚いもののように扱われるのが、悲しい。
悲しい?


  それよりも悲しいことがあるんじゃないの?


心の中で、"誰か"がそう言った気がするけど、僕は聞かなかったことにした。


( ><)「……泣きそうなんです?僕」

('A`)「うん、ちょっと、涙目」

( ><)「そうですか……あ、ドクオさん復活したんですね」

('A`)「結構前に」

目を擦ると、ちょっとだけ濡れた指先。
ドクオさんはそれを見て心配そうに話しかけてきた

('A`)「あのさ」

( ><)「はい?」

('A`)「あんまり、……気にするなよ」

( ><)「何をですか?」

('A`)「何をって、その……」

 カタカタ
( ´_ゝ`)『ドクオくんは優しいね』

('A`)「別に、ていうか今唐突にこんな話することねーじゃん」

兄者さんの問いかけに、ふてくされたようにそっぽを向いた。
それを見たモララーさんもくつくつと面白そうに笑う

( ・∀・)「優しさ担当だからね」

从 ゚∀从「じゃあアタシは?」

( ・∀・)「ハインちゃんは暴力担当」

从#゚∀从「よし、望みどおりにしてやろう」

( ・∀・)「おい優しさ担当、出番だぜ。優しさで僕を庇え」

('A`)「じゃあその担当やめます」

( ・∀・)「ドクオのくせに生意気だぞ!」

('A`)「のび太のくせにみたいに言うな!」

从 ゚∀从「そうだ! もう面倒だから全員殴ろう!」

(;'A`)「えぇぇええ……!?」

(;><)「ちょwwwwww」

そんな声とともに、二人は同時にはたかれた。
殴るというよりも軽く平手で頭を叩く感じだった。僕はもっと軽くてデコピン
その瞬間ドクオさんとモララーさんからブーイングの声が上がったけれど、ハインさんが拳を握り直すと
そんな声は掻き消えた

そして勢いで兄者さんも叩かれる。
細く薄い体系の兄者さんには力が弱くても十分の威力だったらしく、吹っ飛ぶように横に倒れた。
さっきよりも大きく舞い上がる。

三(;´_ゝ`)「あべしっ!」

从;゚∀从「おいお前弱いってレベルじゃねーぞ!」

カタカタ
(#)´_ゝ`)『ぅう……久々に外に出たらこの仕打ち……やはり外の世界は怖い……』

从;゚∀从「もっと鍛えろよ……逆に外に出ろ……」

カタカタ
(#)´_ゝ`)『外に出たらお金とか取られるじゃないか……怖……』

(;><)

気がつけば、妙な雰囲気はかき消えていて、さっきまでの和やかなムードが戻ってきていた。

( ・∀・)「ビロード、君ちょっと兄者が怖い人だと思っていた?」

( ><)「え、と……」

少しためらった後、頷く。

正直、僕の知りたくないことを無理やり刻み込まれるような感覚が、嫌でたまらなかった。
このアパートで僕は、できるならずっと平和で暮らしていたいのに、それを引き裂くような言葉に
耳を塞いでしまいたかったんだ。

モララーさんはそんな僕に笑いかけてくる。

( ・∀・)「あれただの引きこもりだから、そんな怖がることはないんだよ?」

(;><)「ひ、引きこもりって……」

( ・∀・)「もっとも、このアパートは引きこもりが多いけどね、兄者くんは格別だ
      そしてドクオを上回る貧弱野朗だ」

('A`)「さり気なく俺を貧弱呼ばわりしないで下さい」

 カタカタ
( ´_ゝ`)『そして僕を馬鹿にするのはやめるんだ』

从 ゚∀从「まぁ事実だけどな!このモヤシ野朗ども!」

(;><)「あは………………」

なんだこの空気
さっきまで泣きそうになっていた僕がなんだかバカみたいじゃないか。

そして、その時タイミングよくクーさんが戻ってきた。
両手一杯にお菓子を抱えて嬉しそうに走ってくる。

川*゚ -゚)「す、すまん、ちょっと新しく作ろうと思ってたら遅れた」

川д川「シュークリームととろふわプリン~~」

カタカタ
( ´_ゝ`)『よし、もう話はやめよう、そして食べよう』

从 ゚∀从「復活早ぇなおい」

('A`)「さっきあんだけ食ってたのに……」

しかし2人の言葉を聞く前に兄者さんはプリンを奪って食べていた。
タインピングもできないから無言で、咀嚼する音だけが聞こえてくる。
その様子に、クーさんは何故かちょっと嬉しそうだった。

僕も受け取りスプーンで一すくいして口に入れると、
プリンの上にのっていた生クリームが口の中でしゅわりと溶けた。

( ><) ンム

それは市販で売っているような偽者っぽい味じゃなくて、卵と牛乳が舌の上で踊る、
正真正銘のカスタードプリン
とろけるプリンが喉を落ちていく

(*><)「お、美味しいんです……」

川*゚ -゚)「そうか」

( ・∀・)「シュークリームもなかなか、お店で売ってるやつみたいだよ、
      いつだったかビロードが買ってきたのより美味しいね」

('A`)「これ売れそうですよね、あ、うま……」

从 ゚∀从「おいクー、もう一個くれ」

川*゚ -゚)「あ、あぁ!」

いそいそとお盆の上にあるプリンを渡して嬉しそうな足取りでまた持ってくると笑うクーさん。
ああ、やっぱりいいなあ。
僕はこのアパートとこの空間が、ここに住んでいる人たちが大好きだ。

(*><)

にこにこしながら、次はシュークリームに手を伸ばした。
そして口に一口含んだ瞬間、僕はある人を思い出す。

 (´<_` )

( ><)(そういえば……)

そういえば、あの日、シュークリーム屋に行く途中であったお兄さん
暑い日差しの中でスーツを着崩していたお兄さんは、なんとなく兄者さんに似ていた気がする。
気になったので聞こうとも思ったけど、兄者さんはシュークリームに夢中のようだった。

( ><)「兄者さん」

( ´_ゝ`)「もしゃもしゃもしゃもしゃもしゃもしゃす!」

( ><)「兄者さん?」

( ´_ゝ`)「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ」

ダメだこりゃ
食欲の化身か何かなのかこの人は。


从 ゚∀从「そいつは無駄に食欲だけはあるからなー」

( ><)「それなのに痩せてるなんて不思議なんです」

从 ゚∀从「確実に胃下垂だぜあいつ、食っても太らないとか死ねよ」

(;><)「!?」

( ・∀・)「もっと食べて体を鍛えろといいたいけど、食べてはいるんだよねえ」

('A`)「俺はあんまり食べられませんけどね……」

( ・∀・)「もっと食べろ!!」

('A`)「なんで泥持ってるんですかよ!」

( ><)「それよりも、外に出てお日様に当たればもっと健康になるんです!」

日の光を浴びて、ご飯を食べて、良く寝て、そうしたら、丈夫になるって昔お兄ちゃんに教わりました。
そう教えてくれたお兄ちゃんは勉強していることが多くて実際あんまり外とか出てませんでしたけど。
おまけに一緒に外に遊びに行くと暑くてバテてたりしてましたけど

でも、きっと太陽を浴びたらもっとまともな人になれるんです

从 ゚∀从「おいビロード、お前は今アパート住人の何人かを敵に回したぞ」

(;><)「な、何で!?」

川 ∩-∩)

(∩A∩)

( ∩_ゝ∩)

( ><)「うわあああああ引きこもり達がこぞって顔隠してる!」

( ・∀・)「君本当言うようになってきたね」

(;><)「そ、そんなつもりじゃ!」

心をえぐる言葉に、クーさんが泣きそうな声で「生きててごめんなさい」と呟いた。
これじゃあまるで僕が酷い悪役みたいだってうわあああ貞子さんがすっごい顔で睨んでくる!
怖!久々に怖い!

(;><)「ち、ちがうんです! 僕は別に悪気があったわけじゃ……!」

('A`)「これからは……ソーラー電池を窓に取り付けます……」

(;><)「それに何か意味があるとでも!?」

カタカタ
( ´_ゝ`)『これからは自分の携帯が鳴らないからって人様の携帯にスパムメールとか送りません……』

(;><)「結構陰湿なことしてますね!」

ていうか携帯持ってたんだ!

ゴゴゴゴゴ川゚д川ゴゴゴゴゴゴ川 う-゚)

(;><)「あ、圧力を感じる!」

从 ゚∀从「まぁこんな社会不適合者でも生きてるんだ、許してやれよ」

(><;)「いやっ、え?えぇぇぇぇええっ……!?」

今ハインさんが何気に一番きついことを言った気がしたけど、突っ込んだら負けな気がした。
僕が弁明しているとそれが面白くなったのか、もしくは最初からネタだったのか
皆笑っていた。
よかった、非難ごうごうあびた青年はいなかったんだ!

それから、各々がまた何か話し出したので、僕は横にいる兄者さんに向かって呟いた。


( ><)「でも、たまにでいいから外には出たほうがいいですよ、下手すると死にますし」

カタカタ
( ´_ゝ`)『ははは大丈夫大丈夫、三途の川はもう僕の別荘みたいなものさ』

( ><)「それ逝きかけてますよね」

別荘ってあんた

口を尖らせてじっと見ると、兄者さんは困ったように笑った。

カタカタ
( ´_ゝ`)『人と話すのが怖いのさ』

( ><)「え……?」

音声だけは変わらないのに、急に声を潜めるように俯いた。

カタカタ
( ´_ゝ`)『アパートの住人だったら、まだいい。けど、外に出ると怖くて怖くてたまらないんだ』

( ><)「兄者さん?」

カタカタ
( ´_ゝ`)『誰にも会いたくないし、場所を知られたくもない』

( ><)「それは、兄者さんの 超能力 のせいですか?」

その言葉に、兄者さんは曖昧に笑って頷いた。
そして、僕の方へ向き直り、しっかと目線を絡めた。

カタカタ
( ´_ゝ`)『だからねビロードくん』

細い腕が僕の肩を掴む、弱弱しくて折れてしまいそうだけど、何故か振り払うことは出来なかった。
僕を見る顔は、なんだか少し笑っているようにも見えた。




( ´_ゝ`)「例えば外で俺を知る人に会ったとしても、決して俺のことは喋らないでくれよ」




一瞬
ごう、と強い風が吹いた。


( ><)「え……」

風の音にまぎれていたけど、はっきりとした肉声でそう聞いた。
周りの人たちに兄者さんの声は風でかき消されたせいか届いていないようだったけど。
僕は確かに聞いた。

( ><)「…………どうしてですか?」

しかし問いかけたその時にはすでに兄者さんはお菓子の虜となっていて、僕の質問には答えてくれなかった。
そして



その言葉は僕の心に強く残った。



第九話 終わり





この小説は2009年5月14日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:nOMyPpHlO 氏

第十話は、こちらからどうぞ



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[ 2009/12/28 10:32 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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