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川   )は風俗店のお客さんのようです

※微閲覧注意

254 :川   )は風俗店のお客さんのようです:2008/08/11(月) 23:41:14.44 ID:hbsSFyQR0

私が深夜の陰鬱な月光を浴びてひた歩くこの通りは、親不孝通りと呼ばれる。
誰が初めにそう呼んだかは知らねど、確かにそうであると思わざるを得ない。

大学にほど近い学生街であるにもかかわらず、この先には学生の集うべき社交場は存在しない。
あるのは己の欲望に忠実たる者のみが足を踏み入れる場所、いわゆる風俗店と言うものだけだ。
ここを歩く男子学生はその姿をけして見られてはならぬと言う不文律が存在する。
それはそうだろう。そんな姿を目撃されては、翌日からのキャンパスライフが暗黒色と化してしまう。

さらに付け加えるならば、親不孝通りを歩いている時点ですでに暗黒色だと言う事実は積極的に無視しなければならない。
そうでなければ、今現在ここを歩いている私があまりに救われないからである。

友達なし。恋人なし。おまけに親に学費を払ってもらっている立場で風俗店に足を踏み入れようとしている。

親不孝が過ぎて、中々に死にたい状況かもしれない、と思ったが、私はその思考を振り切り、むんと気合を入れてずんずん歩いた。


気づくと十数メートル先前方では、呼び込みのイケメンがやたらと活気づいていた。

( ・∀・)「お兄さん、女の子どう? おっぱいおっぱい!」

見るからに無愛想なさえない見た目の男を捕まえ、イケメンはキャラに似合わぬことを言っていて、私はこれは大変な仕事だと思った。
やはりイケメンはさえない男に、見事なまでに無視されていた。ここを通るからにはすでに目的は知れているが、しかし我々利用者にも一抹の自尊心はあるのだ。
店は自分の選んだ店でなければならぬ、利用者は店に選ばれてはならない。私はそう思っている。
そうであればこそ、さえない男の無視を、我々はむしろ称賛してしかるべきなのだ。それが同志と言うものだ。

そしてさらに私はこうも思った。
ずらりと並ぶ風俗店の堂々とした威風に怖じ気づき、思わず目についたコンビニに逃げ込んでしまった私を、同志よどうか責めないでくれ、と。



256 :川   )は風俗店のお客さんのようです:2008/08/11(月) 23:43:08.68 ID:hbsSFyQR0

コンビニのトイレで私は体勢を立て直すことにした。
コンビニの洗面所の鏡は妙にくすんでいたものの、
私のさえない顔立ちや伸ばしっぱなしのぼさぼさとした髪はしっかりと映し出されていた。

川 'A`)

しかしながら一つ言い訳させてもらおう。
この闇夜に負けぬ陰鬱な顔には、少しばかり理由があるのだ。

夏休み前の大学生には大きな難関が二つある。

ひとつはコンパだ。前期が終わったと言う開放感から行われる打ち上げにどのようにして誘われるか、
あるいは如何にして意中の相手を打ち上げに誘い、その席で夏休みの予定に自らを喰いこませるか。

しかしこれはリア充と呼ばれる存在が立ち向かうべき難関である。
ボッチの私には無関係だ。もう一つの難関こそが私の憔悴の理由であり、
この度親不孝通りに足を踏み入れることになった原因でもある。

それこそは夏休み前のレポート地獄。
ボッチ、リア充の括りなく、学生であるからには避けては通れない、恐るべき難関である。

書いても書いても終わらぬレポート。
いくら資料にあたっても字数の埋まらぬレポート。

レポートには様々なものがある。しかし私はそれらを全て終え、提出すら済ませた。
今の私は地獄を潜り抜けた戦士とも言えよう。誰も言ってはくれないが。



257 :川   )は風俗店のお客さんのようです:2008/08/11(月) 23:44:30.53 ID:hbsSFyQR0

しかし、それには少しばかりの弊害が生じた。
レポート地獄の際、私は人より早い夏休みと言う功に焦り、それのみに専心していた。
遊びに行く仲間がいなくても、夏休みと言うのはそれだけで楽しみなものだ。

元々人づきあいに裂く時間は考えずとも良い身分であるが為、専心すること自体は難しいことでは無かった。
しかし終わってから私は自分の異変に気付かざるを得なかったのである。

それというのは、私の心の柔かい場所からふつふつと湧き出る、ただならぬ性欲であった。

思い返せば、私はレポートにかかりきりで自らの欲望を発散させると言う事をしてこなかった。
しかし気付いた時にはすでに遅かった。
私の体は既におっぱいとオパチュニティの違いについてしか考えられなくなってしまっていたのだ。

「オパテュニティでは火星までしか飛べないが、おっぱいならば私はどこまででもとべる」

という結論に達したとき、私は遂に親不孝通りへ足を踏み入れることを決めたのだった。


金ならば暇にあかせて稼いだバイト代がしこたまあった。
金があるにも関わらず、高級店では無く近場を選んだのは小心翼翼たる私の心ゆえである。
私のようなビギナーが易々と都心の高級店に出向いてはいけないと思ったのだ。

だからこそ私は今ここにいる。
恥じいることは何もない。これは学業に邁進した私への、ささやかな報酬なのだ。



258 :川   )は風俗店のお客さんのようです:2008/08/11(月) 23:45:35.24 ID:hbsSFyQR0

そうと自覚すれば、風俗店の威風などおそるるに足らず。
私はずんずんと親不孝通りを進んだ。
私のその姿に恐れをなしたのか、イケメンたちは私に声をかけてはこなかった。

そして私は一軒の風俗店の前に立つ。
まろやか隠れ家と言う名のそこは一見ただの雑居ビルに見えるが、
しかし私のような人間からすれば恐れ多い場所だ。

かつんかつんと無機質な階段を上るたびに、私の中で何かが剥がれおちていくような感覚に陥る。
自らに忠実であろうとして、私はここにきた。ここを選んだ。
それが正しかったかどうかは私には分からない。しかし来たからにはもう引き返すわけにはいかない。

受付にやって来るともう、なりふり構っていられなくなった。

戸惑う店員を無視して、ホームページで確認したこの店のナンバーワンのハインを指名し、
自分で組み立ててきたプレイ内容をあれこれぶつける。

(,,゚Д゚) 「申し訳ありませんが、うちではアブノーマルなプレイはちょっと……」

と言う店員は、しかし札束で頬をたたくと静かになった。
世の中は金であるのだ、と私は大いにやるせなくなったが、
今現在金を持っているのは私だと言う事実を顧み、無理やり溜飲を下げた。

わがままを言っているのだと言う事実は、積極的に無視した。



259 :川   )は風俗店のお客さんのようです:2008/08/11(月) 23:47:48.64 ID:hbsSFyQR0

やがてドック・オーという私の偽名で呼び出され、私は遂に目的を達する場に赴くこととなった。
連れ添うハインは写真通りの愛らしい顔立ちをしていたが、
私のあまりパッとしない相貌に何か思うところがあるのか、どうもひきつった顔をしていた。

そのため私は再度札束で人の頬をはたく羽目になった。悲しむべきことである。

从;゚∀从 「そ、それじゃ、とりあえずちゅーか?」

プレイルームに入るなりそういった彼女は、しかしどこか引きつっていて、
私は少しばかり不快になったものの、舌を絡ませてくる彼女の技はやはりプロらしく、
私の気分は大いに高揚させられたのだった。


その後は彼女も私に慣れてきたのか、落ち着いた様子で私を責めてくれた。
M属性なのでそういうプレイを頼んだのだが

从*゚∀从 「これ、普段はやってないサービスなんだぜ?」

と、彼女はどこか楽しげであった。


終了時間がせまってきても、私には賢者タイムは訪れなかった。

私はその時になってもハインの持つ手鏡で、感じている自分を観させられて「恥ずかしいよう」などと
呻いていたのだが、ハインはまったくやめようとはしてくれなかった。
手鏡は、私が指定したプレイは全て消化し終え、未だ賢者に至らない私に対するハインの提案であったからだ。



260 :川   )は風俗店のお客さんのようです:2008/08/11(月) 23:48:40.66 ID:hbsSFyQR0

名残惜しくも終了時間が近づき、私は帰り支度を始めた。
やっと私から解放されると言うのに、しかしハインはどこか不満そうだった。

从 ゚∀从 「おい」

ずいとさっきまで使っていた手鏡を押し付けられる。

川 'A`)

どうにも、さえない顔が映った。

从 ゚∀从 「お前、受付にも無理言って来たんだろ? だったらちょっとは楽しそうな顔しろよな」

自分の仕事に不備はなかったと言わんばかりの自信に満ちた姿で、目の前のソープ嬢は言う。

親不孝通りの住人。

从 ゚∀从 「こっちゃ楽しませるのが仕事なんだよ。どんな客でもな」

从 ゚∀从 「お前みたいなのは初めてだったけどさ。色々あるんだろうし、そこは深くは突っ込まねえ。たださ」

从 ゚∀从 「目ェちゃんと開けよ。笑ってみろよ」

私は言われたとおりにしてみた。気付かなかったけれど、私はそうしたいと思ったのだ。

川 ゚ー゚)

少しは、ましな顔が映ったような気がする。



262 :川   )は風俗店のお客さんのようです:2008/08/11(月) 23:49:41.97 ID:hbsSFyQR0

川 ゚ -゚)「ありがとう。楽しかったよ」

从 ゚∀从「まあ、正直次回からはちゃんとした同性専門店に行ってくれって感じだけど」

从 ゚∀从「たまにはこういう客も悪くなかったよ」

その言葉に見送られながら私は部屋を出た。
何故かひどく頭が冷えていた。私には男性のような賢者タイムは訪れようがないが、
もしかしたらこのような感じなのではないかと思った。

外に出ると相変わらずの闇夜。
しかし時間で言えば、じきに朝日が昇るはずだった。

今の時間帯は一日が始まる時間なのか、それとも終わる時間なのか。
今の私には少しばかり判断しかねた。

『素直クールは風俗店のお客さんのようです』

終わり








お題は
親不孝通り
夏休み前のレポート地獄
おっぱいとオパチュニティの相違について考えてみた
賢者タイム
でした


[ 2008/08/12 09:07 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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