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( ^ω^)はペルソナ能力を与えられたようです 第11話

 
はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




 最初は、どうでもよかった。
 高校に行けりゃ、どこでもいいって思ってた。
 てことで、楽に入れそうな覇洲(ハス)高校を選んだ。
 
 中学三年になったばかりの頃、進路希望の事前調査だかなんやらの紙に、
 第一志望、覇洲高校と書いた。
 
 本当に、高校に入れりゃ、どこでもよかったんだ。
 
 そんな俺の考えを吹き飛ばしたのが、夏にあったVIP高校の見学会。
 字都(アザト)市内全ての中学校でそれは行われたらしい。
 今思えば、それもVIPの企みの一つだったともとれる。
 
 見学会で見た、大規模な教会を感じさせるVIP高校の風貌。
 その壮大さに、心が震えた。
 ここに通いたいと、心から思えた。
 
 それからは、勉強に没頭した。
 一緒に馬鹿をやってた友達と遊ぶ事も忘れ、
 試験当日までずっと、ずっとずっと、勉強していた。
 
 その甲斐あって、俺は晴れてVIP高校に合格を果たした。
 一つの事に没頭して、初めてやり遂げることができた。
 
 そんな喜びを、味わった。


从 -∀从「津阿都(ツアト)の研究所は……VIP高校だ」

 そんな苦労をしてやっと入ったVIP高校が。
 まさか、研究所の一つだったなんて。
 
(;゚∀゚)「マジ……かよ……」

 驚きは、隠せない。
 通い始めて、早三年目。
 その中で、そんなことを思わせる事も、場所も、何一つなかった。
 
 もっとも、そんな頭でV高を見ているわけなかったのだから、
 目につかないのも、当然のことだと言える。
 
 しかし……
 
从 ゚∀从「……マジだ」

 関係者のハインが言うのだから、そうなのだろう。
 神妙な顔をして俺を見るミセリさん、モナーさん、ハイン。
 
 その顔を見ればわかる。
 今の俺が、どんな顔をしているのかが。

 だけど。 
 だけど、今はそんなこと、思っている時じゃない。
 
从 ゚∀从「……責任者の名は、鈴木ダイオード」

 鈴木……ダイオード。
 確か、ブーン達のクラスの担任だ。
 
 それがまた、拍車をかけた。
 今、するべきこと。
 

(  ∀ )「……モナーさん」

 返事はなかった。
 静かに俺を、見つめていた。
 
 ブーン達は、今もいるのだ。
 敵の、腹の中に。

 
( ゚∀゚)「V高に、いきましょう」

 本能が、告げていた。
 



1_20091227112026.jpg
                              第11話『恐怖』


 ざわり、ざわりと、それは這い寄る様に。
 縋りつくように、ねっとりと、絡みつくように。
 
 見えない影が、迫る様な錯覚。 
 怒り、妬み、恨み。
 どろどろの感情から生まれるは、殺意。
 
 矛先は、鏡。
 貫くは、己と同じ姿の、少女。

 
/ ゚、。 /「…………」

 学校の屋上に佇む、鈴木ダイオード。
 足元から感じるその波に、静かに身を寄せていた。
 
 どこを見ているのか。
 何を思っているのか。
 
 美しい顔立ち。しかし、完璧なまでの、無表情。
 それからは、何事も感じ取ることは不可。
 
/ ゚、。 /(美しい……が……)

 初めて、その顔に感情が浮かんだ。
 ほんの僅か、注視しないと気付かない程の、変化。
 
 両の眉が、少しだけ、その幅を寄せた。
 それすらも、ダイオードを知る者にとっては、珍しい事だった。
 
/ ゚、。 /(少し……やりすぎだな……)

 突如VIP高校を襲った衝撃。
 立つことも、這うことすらも、抗うことができない、激震。
 
 その事を指していた。
 
 デレに預けた、黒きトラペゾヘドロン。
 モララーが持つ物とはまた少し違う。
 
 所持者のダイオードすら、その真価は見出せていなかった。
 
/ ゚、。 /(まぁ、いい……)

 風にそよぐ柳のように。
 緩やかに流れる川のように。
 
 黒幕は、事の始終を見守ることにした。





 悪寒。
 
 それだけでは表せられない。
  心臓を鷲掴みにされたような、圧迫感。
 にじり寄る、不安。
 
 形の見えない、闇の影。

 
(;´∀`)(これは……)

ミセ;゚-゚)リ(大きな力……いえ、違う……これは……)

 仏道を歩む二人は、すでに感じ取っていた。

 異変。
 そして、言い知れぬ巨大な何かを。
 
 それは、津阿都神社から離れた場所。
 文字通り恐怖に揺れる、VIP高校からであった。
 
モ;゚-゚シ『……こわい……』

 モショもそれを感じ取っていたようだ。
 不安を和らげるように、ミセリがモショを抱き締める。
 
 それはモショの為なのか、はたまた自身の為も含めてなのか。
 
( ´∀`)(……まず、するべきこと……)

 心を落ち着かせ、冷静に思考を巡らせる。
 現地にいるブーン達は、この異変をすでに感じ取っていることだろう。
 とするならば。
 
( ´∀`)「アサピーに連絡をしてみます ジョルジュさんはショボンさんへ」
 
 最も冷静でいるであろうショボンを、モナーは選んだ。
 袴の袖から携帯を取り出し、アサピーへ電話をかける。
 
 ジョルジュもすぐさま、ショボンの携帯へ電話をかけた。
 
 ………………。
 
 ………………。


 二人が聞いたのは、淡々と語る女性の声だった。
 
 『おかけになった電話番号は……』
 
(;゚∀゚)「……繋がんねぇ……」

( ´∀`)「……こちらもです」

 ジョルジュは急いで、ブーン達の携帯へも電話をかける。
 しかし結果は、同じ。

 再度圧し掛かる、重苦しい空気。 
 しかし、すぐにそれを退けたのは。
 
( ゚∀゚)「……行きましょう V高に」

 ジョルジュだった。

 現地のブーン達と連絡がとれない今。
 できることは、それ一つ。
 
( ´∀`)「……はい すぐに車へ」

 モナーの返事を聞くと同時に、ジョルジュは駆けだした。
 
 けたたましい足音を残し、ジョルジュは道場を出て行く。
 しかしモナーは、すぐに後を追いかける事はしなかった。
 
( ´∀`)「ミセリ」

ミセ*゚-゚)リ「はい」

( ´∀`)「ミセリも、ついてきなさい」

ミセ*゚-゚)リ「わかりました」

 凛とした、はっきりとした返事。
 その姿からは、先程の不安の色は見えていない。
 
 しかしなぜ、危険な地へミセリを伴うのか。
 それは今も尚抱き締めているモショが示している。
 
 モショに触れる事が出来る。
 それは即ち、ペルソナ能力を所持している事の証。
 モショを離して一度頭を撫でた後に、ミセリは急いで食器を片付け出した。
 
从 ゚∀从「あたしも」

( ´∀`)「いえ、ハインさんはここに居て下さい」

 ハインの申し出を読んでいたのか、モナーはすぐに却下した。
 
从;゚∀从「なんでだよ」

( ´∀`)「……危険な予感がします 守り切れる保障が、できないくらいに」

 玖都留(クトル)研究所の流石兄弟を歯牙にもかけなかったモナーが、はっきりと告げた。
 それほどまでに、感じた力は強大な物だったのか。
 
( ´∀`)「大丈夫、すぐに戻ってきます」

 一転して、安心させるように言う。
 しかし当のハインは、納得できないと言った様子だ。
 
( ´∀`)「それに……」

 モナーが視線を移す。
 その先には、未だ恐れ、震え続けるモショの姿。
 
( ´∀`)「モショさんを、一人にはできないでしょう」

从 ゚∀从「……」

 確かに、こんな状態のモショを一人にしておくのも心配だった。
 かと言って、連れて行くのもまた残酷とも思える。
 
 ハインの目に映る、モショの姿。
 映っているのはモショだけなのか、はたして。
 
从 ゚∀从(…………)
 
( ´∀`)「ここなら、安全です 優秀なボディガードが居ますから」

 そんな人物は見当たらない。
 ハインは気休めかと思ったが、モナーがそんな無責任な事を言うだろうかと、
 考えを改める。

 ハインにとって、安全かどうかは関係なかった。
 確かに、戦えない自分がついていけば、足手まといになることは必至。
 だがやはり、それよりも大きな。
 
从 ゚∀从(モショを一人にはできない、か……)

 彼女の存在。

 少しの間を置いて、ハインはせっせと片付けているミセリに近寄ると、

从 ゚∀从「あたしがやっておくよ」

ミセ;゚ー゚)リ「いえ、お客様にそのようなことは……」

从 ゚∀从「いいって 泊めてもらってる礼だ それよりも、な?」

 早く、行ってやってくれ。
 ハインは敢えて言葉にせず、目で語る。
 
 その視線にミセリは大きく頷くと、巫女衣装を優雅に翻しながら、外へと駆けて行った。 
 残ったのは、モナーとハイン。
 

( ´∀`)「……お願いします」

从 ゚∀从「ああ、早く帰ってこいよ」

 一言交わし、駆けはしないものの、モナーも早足で道場を後にする。
 
 
从 -∀从「……はぁ……」

  モショと二人だけになったハインは、大きな溜め息を、一つ。

モ;゚-゚シ『おねーちゃん……こわい……』

 モショは未だ感じられる負の波動に、身を震わせていた。
 
从 ゚∀从「大丈夫、大丈夫だ」

 できることなら、抱き締めてやりたいと、ハインは強く思った。
 しかしそれは叶わない。
 
 自虐的な笑みを浮かべながら、食器を片づけ始める。
 
从 ゚∀从(……色々……考えてみるか……)

 モショに触れられるように。もっと温もりを、伝えられるように。
 服やモショの帽子を応用すれば、可能なはずだ。 
 モララーに見定められた知能は、全て彼女に向けられていた。
 
从 ゚∀从「よーし、モショ、手伝う……フリを頼む!」

モ*゚-゚シ『……てつだうー』

 返事をしたモショは、いつもの様子までとはいかないものの、幾分か落ち着いた様子だ。
 二人は並んで、台所へと向かっていった。

2_20091227112025.jpg



( ゚∀゚)「……なんだ……こりゃ」

 真っ先に飛び出し、靴を突っ掛けながら外に出たジョルジュ。
 その目に一番に飛び込んできたのは。
 
( ゚∀゚)「扉……?」

 淡い、藍色の光をぼんやりと放つ、木製の古めかしい扉だった。
 
 ベルベットルーム。
 
 ブーンとツンが、昨晩開いた扉。
 意識と無意識の挟間にある、青き部屋。

 
( ゚∀゚)(…………)

 ジョルジュは不思議と、なんの戸惑いもなく扉のノブに手をかけた。 
 呼ばれている。開けなくてはならない。
 ブーン達の時と同じく、ジョルジュもまた、扉に呼ばれていた。
 
 ゆっくりとノブを捻り、扉を開けた。
 
 入って扉を閉めると、そこはやはり青だけの空間。
 そして次々と、気がつけばそこにあったモノ達。
 
 一つ一つ、ジョルジュがそれを認識する度に、増えて行く。
 木製の椅子、グランドピアノ、旋律、歌声。
 
 そして現れる、ナナシ、ベラドンナ。
 イゴール。

 
イゴール『ようこそ、ベルベットルームへ』

( ゚∀゚)「……」

イゴール『我々はフィレモン様の従者 我が名はイゴールと申します』

 昨晩と同じ様に、順々に自己紹介を述べる住民達。
 ジョルジュをそれを聞いた後に、促された椅子へ腰掛けた。
 
イゴール『ここは、人の心の様々なる形を呼び覚ます部屋……
      我ら三人、貴方がたの手助けをするようにと、仰せつかっております
      以後、お見知り置きを…』
 
 ジョルジュはそれを、静かに聞いていた。

イゴール『さて、ジョルジュ長岡様。
      まずはあなたのペルソナを、拝見させて頂きましょう』
 
 言って手をかざす。
 ジョルジュの胸から現れるのは、一枚のタロットカード。
 
(;゚∀゚)「これは?」

イゴール『ペルソナの一つの形 彼等はその寓意をタロットカードとして表すのです』

( ゚∀゚)「寓意……?」

イゴール『自らの姿を抽象化し、具現化することでございます』

 言いながら、ジョルジュのタロットカードをしばし見つめた。
 丸い、大きな瞳が少し、欠けた。
 
イゴール『長岡様』

( ゚∀゚)「ん?」

イゴール『ペルソナと言う物は、もう一つの己。
      内に秘めたる様々な自分を神や悪魔の姿に変え、現れます』
     
 それはいつか、フィレモンが言っていた言葉。

イゴール『全ての心は、普遍的無意識に繋がっております。
       深く、広い心の海に漂う、幾万幾億のペルソナ達』

イゴール『人と人とにあるように、ペルソナにも相性と言う物が存在します』

( ゚∀゚)「相……性……」

イゴール『長岡様 貴方とこのペルソナはあまりにかけ離れております。
       普通なら、降魔のできない程に』
     
 ジョルジュには、わかっていた。
 ただ漠然としたものだったが、J・Fと自分はどうしても、何かが違うと。
 
 初めてペルソナを、J・Fを呼んだ時、心の海に手を伸ばした。
 がむしゃらに伸ばされた手に、触れた存在。
 それがJ・Fだった。
 
イゴール『貴方とペルソナは心が離れ、不安定な形でこの地に存在しています
       ペルソナとして機能はできているようですが、恐らく力の全てを出し切ることは……』
     
( ゚∀゚)「……どうすればいい……?」

イゴール『……』

(;゚∀゚)「本当の自分のペルソナを見つけるには、どうすればいい!?」

イゴール『全ての事象に、無意味なことはないのです
      貴方がこのペルソナを呼んだことにも、必ず何か、意味があるのです』
     
( ゚∀゚)「……」

イゴール『もう一つ、ペルソナにも意思は存在します。
      決して、使い捨てるような存在ではないのです』
     
 ジョルジュの胸に、少し突き刺さるモノがあった。
 ペルソナを戦いの手段、使えるか使えないかで考えていた節があったのだ。
 
 J・Fは特に、ブーン達のそれとは違う、はっきりとした「個」を現している。
 それはイゴールの言うように、心が離れているせいなのだろうが。
 
 だとしたら。

 
( ゚∀゚)(だとしたら……)

 考えを、改めなければならない。
 「個」であると、見つめ直さなければならない。
 
 ジョルジュは純粋にそう思っていた。
 それが、大きな切欠であることなど、勿論知らずに。

 思考し、響くのはピアノの旋律と、
 全ての人の魂の詩。
 
 やがて。


(;゚∀゚)「あ、やべぇ」

 急いでVIP高校に行かなければならないことを思い出す。
 
イゴール『心配なさるな ここは現実とは時の流れが違います』

( ゚∀゚)「へぇ……よくわかんねぇな」

イゴール『しかし、思い立ったのなら、お行きなさい。
      貴方が望んだ時、立ち止まった時にまた、我らは再び現れることでしょう』
     
( ゚∀゚)「……ああ、ありがとな、イゴール」

イゴール『従者としての務めを果たしたまで……くれぐれも、お気をつけて』

 タロットカードがくるくると回りながら、ジョルジュの胸の中へと戻って行く。
 その後に、ジョルジュは立ち上がり、部屋のドアノブに手をかける。
 
 振り返らずに片手を上げた後に、部屋を出た。


ミセ;゚ー゚)リ「わっ」

 ベルベットルームから出たジョルジュの目の前にミセリがいた。
 ミセリは驚きのあまり、声を上げてしまった。
 _
(*゚∀゚)「あ、その、すいません!」

 顔を赤らめながら慌てて謝る。
 ジョルジュも同じく驚いたのだが、ミセリの反応に心を奪われたようだ。
 
ミセ*゚ー゚)リ「いえ……急に出てきたので……」

 何もない空間から突然人が現れれば、普通は驚くはずだ。
 
ミセ*゚ー゚)リ「ベルベットルームですか?」

( ゚∀゚)「あ……はい なんでそれを?」

ミセ*゚ー゚)リ「私も少しは、ペルソナを扱えるので」

(;゚∀゚)「そ、そうなんすか そういえばモショに触ってたような……」

ミセ*゚ー゚)リ「ふふ はい」

 妙にかしこまるジョルジュが可笑しいのか、ミセリが笑いながら返事をする。


( ´∀`)「お待たせしました 行きましょう」

 するとそこへ、モナーもやってきた。
 それにより、抜けていた緊張が再度、高まる。
 
 ジョルジュとミセリが静かに頷いたのを合図に、三人は駐車場へと向かう。 
 その間も、VIP高校の方角から感じる波動は、衰えてはいなかった。
 
( ´∀`)(……まさか……もうすでにここまでとは……)

 ブーン達が覚醒した日から、VIPの動きは日を重ねる毎に大胆に、
 そして「力」を誇示するかのように、その挙動を露わにしている。
 
 自分達だけで、立ち向かえるだろうか。
 鍵を握るのはやはり、ブーン達の成長だ。
 その為には、自分が折れるわけにはいかないと、モナーは自分に言い聞かせる。
 
( ´∀`)(頼むぞ……アサピー……)

 学校に居るであろう友の存在を信じ、彼等を託す。
 自分も、すぐに追いつくからと。
 
 思いははたして、届くのかはわからない。




ξ;-⊿-)ξ「ん……」

 激震が治まり、いつの間にか気を失っていたツンが目を覚ました。
 上体を起こし、周りを見渡す。
 
 
 いつもの、教室だった。
  
 壁と天井、以外は。
 
 
ξ;゚⊿゚)ξ(これは……)

 机が、椅子が、用具入れが。
 ありとあらゆる固定されていない物が、倒れ、無造作に転がっていた。
 あの激震なら、それは当然のことだろう。
 
 だがもう一つ、明らかに異質な存在。



 石。
 
 
 石像。
 
 
 人を模した、石像。
 
 
ξ;゚⊿゚)ξ(そん……な……)


 そのどれもが、ツンが見た事のある顔をしていた。 
 ……クラスメイト全員が、石と化していた。
 

ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン!!」

 すぐに立ち上がり、重い足を無理矢理に動かしながら、ブーンの席へ向かう。
 
 そこには、やはり。
 倒れ、石になった、ブーンの姿。
 
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン! ちょっと! ブーン!!」

 必死に名を呼ぶも、返事はない。
 もしかすると、本当にただの石ではないかと思うほどに。
 
 感触も、硬く、冷たい。
 
ξ;゚⊿゚)ξ「冗談……でしょ……」

 ショボンも、クーも、ドクオも、石と化していた。
 あの激震の後、一体何が。
 
 ツンは窓の外を見て、今度こそ言葉を失った。
 
 割れ、床に飛び散ったガラス。
 枠だけの窓に見える景色は、例えるなら、黒。
 黒い、雲。
 
 数十センチ先も見ることができない、厚く、黒い雲が、一面を覆っていた。
 それはツンが見た窓だけではない。
 暗雲は、学校全体を包み込んでいたのだ。

 へたりと、力なく床に座り込むツン。

 呆然と、ブーンを、石となったブーンを見つめていた。
 声も、音も、何も聞こえない、真の静寂。
 そのことから、他の教室も同じ様な事態になっていることがわかる。
 
 ツンの混乱した頭の中で、徐々に整理されていく気持ち、思考。
 ただの一般人がこの状況に陥ったのなら、気が動転するどころか、
 発狂してしまってもおかしくはない。
 
 しかし連日の現実離れしていた現象が、ツンを落ち着かせていた。
 不安はある。恐怖も。
 
 携帯を取り出し、画面を見た。
 表示される圏外の二文字。
 ツンは予想していたが、やはりかと項垂れた後に、携帯を閉じた。
 
ξ ゚⊿゚)ξ(動けるのは私だけ……今、できること……)

 ここまで大規模なことを行える敵は、ツンでは敵わないだろう。
 そう考えた彼女は。

ξ ゚⊿゚)ξ(脱出……そして、助けを呼ぶ……)

 答えは、すぐに出る。
 が、しかし。
 
ξ;゚⊿゚)ξ(……ッ!)

 足が震えて、動けずにいた。
 大丈夫だと、覚悟を決めたと思っていたのだが───
 やはりまだ、高校生の少女なのだ。
 
ξ  ⊿ )ξ(ブーン……)

 頬を触っても、伝わるのは冷たい、石の感触だけ。
 
 動ける自分が、やらなければならないのに。
 状況を整理して、するべきことを見出した後。
 

ξ ;⊿;)ξ「……ぅ……」


 残ったのは、恐怖だけだった。

 今まで異形な存在達に立ち向かうことができたのは、
 仲間が居たからだ。一人じゃない。
 
 クーが、ショボンが、ジョルジュが、ドクオが。
 ブーンが、いたからだ。
 
 一人になった途端に、この有り様なのが、その証拠だった。
 覚悟を、決めたはずなのに。
 あの夜、ブーンに言ったはずなのに。
 
 結局は、口だけだったのか。
 
ξ ;⊿;)ξ「ぅ……ブーン……」

 子犬のように、震え、ただただ怯えるだけのツン。
 
 
 ────その時だった。
 
 
 『あらあら、そんなに震えちゃって』


ξ;゚⊿゚)ξ「!?」

 突如聞こえた声に、ツンは慌てて周囲を見渡す。
 教室内に、変化はない。
 
 絶望しか与えない風景のままだ。
 だが確かに、声は耳に届いていた。 
 聞き覚えのある声が。
 

ξ;゚⊿゚)ξ「……デレ……?」


 『あら 案外落ち着いてるんじゃない』

 
 そう。
 
 デレの声を聞いた途端、ツンの恐怖は少し和らいでいた。
 自分が、自分を知る者の声。
 たったそれだけのことが、悪夢から目覚めた時の優しい朝日のように。
 
 今のツンには、希望に思えていた。
 
 
 しかし。




 『糞女』
 

 
 友達だと、思っていた。
 話すことが少なくなった、今も。
 そんな存在から唐突に吐き出された、あまりに短い、暴言。
 
ξ ゚⊿゚)ξ「え……?」

 ツンは耳を疑った。
 デレはもっと、優しく、透き通るような声だったはず。
 
 それがあまりに、あまりにも冷たい、突き放すような声色。
 

 『ツン もう一度さっきの空き教室まで来なさい』

 
 冷たいままに。

 
 『あんたには、他に選択肢はない』

 
 殺意を、感じさせながら。
 








 

 
 『コナイナラ、ソノバデ殺ス』













 言葉は、そこで途切れた。
 
 氷の様な冷たさと、突き刺すような殺意を残して。
 その二つは、ツンの理性を再び揺るがすに、十分値する物だった。
 
ξ ゚⊿゚)ξ「ころ……す……?」

 そんな言葉は、冗談で何度も聞いた事はあった。
 だがしかし、この異質な状況が、追いこまれた精神状態が。
  その言葉を、冗談に感じさせなかった。
 
 こなければ、その場で殺す。
 
 ツンの耳に、頭に、心に刻まれた呪いの言葉は、
 その文字を解き、一匹の蛇となる。
 
 蛇はゆっくりとツンの体中を舐め回す様に這いずり、
 じわじわと、蹂躙していく。
 
 全ての感情を、その色で染める為に。
 その蛇の名は、恐怖。


ξ  ⊿ )ξ「……!」

 糸が切れたように、またその場にへたり込むツン。
 右手で左腕を掴み、左手で右腕を掴む。
 自分自身を、抱き締めるように。
 
ξ  ⊿ )ξ(怖い……ブーン……怖い……怖いよ……みんな……)

 最早ツンの体は、恐怖と言う名の蛇に飲み込まれていた。
 
 先程感じた恐怖よりも、更に深く、身近に感じる。
 はっきりと向けられた殺意。
 
 行かなければ、殺される。
 だが、本当に足が動かない。
 ブーン達のように、石になってしまったのかと錯覚するほどに。
 冷たく、重かった。
 
ξ ;⊿;)ξ「ぅ……っぅ……くっ……」

 静寂の中、ツンの嗚咽だけが教室に響く。
 




 ………タ───
 
 
 
 
 ───────いや。
 
 嗚咽だけでは、ない。
 

 
 ぺたり、ぺたり。


 一歩。また一歩。
 
 
 
   ぺたり、ぺたり。
 
 
 それは規則的に。
 
 
 
      ぺたり、ぺたり。


 
 
ξ ;⊿;)ξ(…………?)


 ツンも、気付いた。
 
 
 
         ぺたり、ぺたり。
 
 
 音が、大きくなったせいだ。
 
 
 
             ぺたり、ぺたり。
 
 
 それは、近づいてきていることを示す。
 
 
 
                 ぺたり、ぺたり。
 









     ぺたり。
  
  
  
  
  
  
  
 見たくないのに。
 
 怖くて、堪らないのに。
 
 
 
 ツンは顔を上げた。
 
 意思とは、無関係に。
  
 無意識に、上げてしまった。
 
 
 
 ソイツは、口を開けたままの教室の戸の、すぐそばに居た。
 
 

 一目で、全てがツンの目に映された。
 最初に足と思われたそれは、腕。
 
 下半身は、ない。
 腕だけで、『歩いて』いたのだ。
 辿った軌跡は、赤黒い血の道に。
 
 千切れた腰の部分からは臓器がただれ、蠢き。
 ぼさぼさの髪の毛の隙間からは、見開かれた赤い瞳。
 開いた口も、血のように赤い。
 
 ソイツは、口を開いたまま、笑った。

 
 『テ……きれイ……ナ……オンナ……?』

 
 赤い目で、ツンを視界に捉えて。
 
ξ ;⊿;)ξ「あ……や……いや……」

 ツンはただただ、震えるだけ。


 化け物も、震えだした。
 立てられた肘が床を叩き、異音を立てる。
 
 交互に、規則正しく。
 
 テケテケ、テケテケと。
 
 赤い瞳に宿るのは、恨み。 
 美しく、そして足がある少女達への。
 自分と違う者達への、恨み。

 
3_20091227112025.jpg


 
 『ココ、ココこコ! コロス! コロシテヤルゥゥゥゥ!!』
 
 
 
 先程とは違う、『力』に乗せられた、殺意が、放たれた。
  
 震えるツンに抗う気力は、なかった。




                             続く。





キャラクターテンプレ

( ^ω^)
アルカナ・SUN
ペルソナ・スヴァローグ(スラブ神話における太陽神、または炎の精霊の神)
スキル・アギ、火炎撃

ξ ゚⊿゚)ξ
アルカナ・LOVERS
ペルソナ・スアデラ(ローマ神話における愛と誘惑の女神)
スキル・ディア、マリンカリン、ジオ

('A`)
アルカナ・DEATH
ペルソナ・イシュタム(マヤ神話における自殺を司る女神。その姿とは裏腹に楽園への案内人。ツンデレ)
スキル・グライ 、グライバ

川 ゚ -゚)
アルカナ・EMPRESS
ペルソナ・タレイア(ギリシア神話における豊かさと開花を司る女神。ギリシア三美神の一柱とも)
スキル・ガル、ディア 、スクカジャ

(´・ω・`)
アルカナ・HIEROPHANT
ペルソナ・ヤマ(ヒンドゥーにおける、いわゆる閻魔大王様。ヤマの音訳が閻魔らしい)
スキル・ハマ、ムド 、一文字斬り

( ゚∀゚)
アルカナ・MAGICIAN
ペルソナ・ジャックフロスト(プリクラ太郎)
スキル・ブフ、スウィートトラップ

( ´∀`)
アルカナ・HIEROPHANT
ペルソナ・ビシャモンテン(四天王に名を連ねる武神。七福神の一人でもある。)
スキル・テトラカーン

ミセ*゚ー゚)リ←New!
アルカナ・???
ペルソナ・???
スキル・???

メガテンシリーズを知らない方への簡単な魔法属性一覧

アギ系……炎
ブフ系……氷
ガル系……風
ジオ系……雷
グライ系…重力
ディア系…回復
カジャ系…能力向上
ハマ系……神聖系
ムド系……呪殺系





この小説は2008年12月3日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者は◆iAiA/QCRIM 氏

実はペルソナさんのラジオを聴くまで、11話と12話が投下されたことを知りませんでした
今後こういったことがないように、更新を見た方にしたらばへの報告をしていただきたいのですが
如何でしょうか?

第12話は現在まとめ中です



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2009/12/27 11:22 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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