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( ^ω^)はペルソナ能力を与えられたようです 第1話


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




男は渇いていた。

失敗のない人生の中で。


男は戦っていた。

退屈と言う名の敵と。


男は迷っていた。

先の見える直線のレールの上で。


男は探していた。

先が見えない、わからない道を。


男は求めていた。

自分を潤すモノの存在を。


男は嫉妬していた。

自分にない物を持った、人間達を。


男は憎んでいた。

自分以外の、全てを。




( ・∀・)「…退屈だ…」

ぽつりと、男が呟いた。

('、`*川「? どうされました?」

男の少し後ろを歩いていた女が、疑問を投げかける。

( ・∀・)「いいや、ただの独り言だ」

振り返らずに、背で答える。
女はさほど気にした様子もなく、男から視線を外した。

女の視界に映るのは、薄暗い灯りの列。
薄く濡れた岩肌に、いくつもの頼りない電灯がぶら下がっていた。
狭い通路。いや、通路とも呼べないような、鉄の板を置いただけの即席の足場。
鉄の板は何枚も並び、闇の中へと続いていった。

ここは、洞窟。

終わりの見えない暗黒の世界を、高く響く足音だけをBGMに進んでいた。

退屈と戦う男はそれに抗う為に、つい先日のことを思い出すことにした。



( ・∀・)「……謎の遺跡?」

いつもなら聞き流す秘書の報告の中に、奇妙な単語が混じっていた。
思わず聞き返した私が珍しかったのか、秘書は口を半開きにして私を見ていた。

( ・∀・)「…続けたまえ」

呆けていたのか、慌てて報告書に目を戻すと、少し焦ったようにまた読み上げ始めた。

('、`*川「鳴留羅山(なるらさん)のトンネル計画の為の地質調査の際に、山の地下に空洞があることが、
     調査の結果判明致しました。そのまま調査を進めたところ、洞窟を発見。
     その最深部にて、遺跡のようなものが在ったとのことです」
     
交通の利便性向上の為のトンネル工事。私にとっては別にどうでもいいことだ。
調査が終われば、後はサインをするだけ。
その後、山に穴が開いてこの件は終了するはずだった。
しかしそこに、謎の遺跡が在ったという。

昔の私ならば、学者やらその筋の関係者を派遣して、後は任せていたに違いない。
しかし、退屈を紛らわせてくれそうな思わぬ伏兵に、興味が沸いた。

……物事に興味が沸くことすら、とても久しい気がした。



('、`*川「…社長、いかが致しましょう?」

( ・∀・)「む…そうだね」

数瞬と思っていたが、どうやら数十秒は沈黙していたらしい。
こんな気持ちは長い間忘れていた。
この遺跡発見は、私にとって上等な退屈凌ぎになる気がした。

( ・∀・)「遺跡の調査団を結成したまえ 迅速にだ。
      結成でき次第、私も同伴する 以上だ」
      
('、`*川「社長も…ですか?」

( ・∀・)「ああ、私もだ 後、ハイキングブーツは要らない」

('、`*川「ハイキ…で、では、すぐに取り掛からせます」

私の珍しいジョークの不意打ちに一瞬動揺を見せたが、秘書はすぐに踵を返し、社長室を後にした。

両肘を立て、眼前で手を交差させる。そして一つ、深呼吸。
少し目を落とすと、机の隅に置かれた自分の名刺が目に入る。

株式会社VIP 会長兼取締役社長・モララー

VIPはこの字都(アザト)市を中心とし、全国に数百もの子会社をもつ大会社だ。
私は37にして、その会社の頂点にいる。

父が死んだだけの話だが、とても親の七光りでこの地位はあり得ない話だろう。
だがしかし、私が手掛けた大規模なプロジェクトは全て成功した。
他のメディアに手を伸ばせば、それもあっさりとうまくいく。

1を10どころか100以上にしてきたのだ。
父には悪いが、この地位に就任してからというもの、会社はさらに大きく発展した。
一応具体案は考えてはいるが、海外進出もどうせうまくいくのだろう。
それに興味はまったくない。

そんな私が興味をもった、今回の遺跡の件。

なぜこれ程までに心を奪われているのか、わからない。
学生時代、部活や同好会といったいわゆる趣味に夢中になっていた同級生達の姿を思い出す。
今なら、彼等の気持ちが理解できる気がする。

なるほど、こんな気持ちを毎日感じることができるのなら、なんと充実した人生だろうか。

恐らくは、同伴する一日でそれは終わってしまうのだろう。

( ・∀・)「革靴じゃ…歩きづらいだろうな…」

だが私は、高揚感を抑えることはできなかった。




様々な専門家で構成された調査団と、現場の工事関係者。
そしてモララーと秘書を含めた十余名は、やがて洞窟の最深部に辿り着いた。

( ・∀・)「おお……」

思わず感嘆の声を上げたモララーの表情は、
例えるならおもちゃをプレゼントされた幼い子供のように、純粋な喜び、興味に満ち溢れていた。

最深部──。

狭かった通路を抜けた先は、この場所が地下だということを忘れさせるほどの、巨大な空洞。
その先には祭壇のような物があり、闇と相まって押し潰す様な威圧感を放っていた。
モララーは誰よりも早く祭壇へと歩み寄った。

('、`*川「社長!お気をつけて!」

慌てた秘書が声を荒げる。すかさず専門家の一人が大きな声は出すなと注意した。
注意されつつも、視線はモララーから放れることはなかった。
モララーは会社そのものなのだ。彼に万が一のことがあれば、それは会社の消滅を意味する。
そしてそれは、秘書自身の破滅でもある。

そんな秘書の人生最大の危機など露知らず、モララーは祭壇の前についた。
事前に何があっても手を付けるなと釘を刺しておいたお陰か……


その祭壇の上には、一つの箱が置かれてあった。


その箱は、金属らしき物でできていた。
大きさは15センチ程。正方形ではなく、不均整な形をしている。
何か装飾が施されているようだったが、暗くてそれは確認できない。

モララーは好奇心を抑えきれず、それを手に取った。

( ・∀・)「これは…素晴らしい…」

恍惚の表情を浮かべ、思わず呟く。
手でくるくると回しながら形状を確かめていた。

( ・∀・)「何か装飾が施されているようだが…よく見えないな…よし」

灯りの近くで見ようと、振り向く。
存在すら忘れていた、調査団の面々が視界に入った。

( ・∀・)「ん…?」

そこで違和感に気付く。
モララーは一時箱のことすら忘れ、彼らを凝視した。

動かない。

不意に思い出される、父の死の瞬間。
まるで死人の様に、立ったまま、時間が止まった様に、動かない。

(;・∀・)「なんだ…?」

嫌な汗が、モララーの背中を伝う。


……ン……

感じた。確かに感じる、感触。


…ドクン……

手に伝わる、感触。

脈打つ、無機物なはずの、箱。

(;・∀・)「なっ…」

モララーは驚いて箱を投げ捨てたつもりだった。
頭にはその光景が浮かんでいたのだ。
だが実際には、しっかりと両手で箱を握っていた。

いや、『握らされていた』

そしてそれは、確かに──


……ドクン……ドクン……

脈打っていた。


( ・∀・)「……」

明らかな、異常。
常人ならばその場から逃げだしたくなるような、恐怖。
しかしモララーは、とり憑かれたかのように箱をじっと見つめていた。

それをさせたのは、限りなく純粋な、興味。

( ・∀・)「お前は…」

『箱』に問いかける。

( ・∀・)「お前は…ダレだ…?」

『箱』の鼓動を感じながら、言った。

やがて鼓動は大きく波打つようになり、見た目にもわかるほどに、動いていた。

訂正する。その『箱』は、『生きて』いた。

『……か…?』

モララーの耳に、遠い、遠い声が聞こえた。
その声は次第に歩み寄る。それは這い寄る。蠢く闇のように。

やがてそれは耳へと、いや、頭の中へ直接、届いた。






                 『退屈か?』
             
             
             
             
             
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                         第1話『ペルソナ様』


    
真っ白な、何もない世界が続く。
大地と空の境界もわからない、白の世界。

その中をたゆたう、一人の少年。

四肢を広げ、仰向けに寝転がる形で、少年はその世界に居た。
どちらが上なのかすらわからない真っ白な世界は、「浮いている」という感覚すらも感じさせず、
ただただ流れに身を任せることしかできなかった。

やがて、少年の目にもう一つの色が映った。

輝く粒子をひらひらと撒きながら、空中ともわからない空間を舞う、一匹の蝶。
それは黄金色に輝き、まるで、自由の利かない少年を嘲笑うかのように。

しかし少年は、とても優しい笑顔で、瞳で、優雅に舞う蝶を見つめていた。

そのうち、蝶が少年に近寄ってきた。
少年は笑顔のまま、ただひたすらに、蝶を見つめていた。

蝶はそのまま真っ直ぐに進む。
そして、少年の胸の中へと、溶け込むように消えていった。

それと同時に、少年の意識も安らかに眠るように、白い世界に溶け込んでいった。




真新しい校舎に、一日の授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。
字都(アザト)市内の東に位置する津阿都(ツアト)区。
その中心部に、およそ学び舎とは思えない佇まいの学校があった。

VIP高校。

存在を知らない者が見れば、とても大きな教会だ、と思うだろう。
透き通るような白い壁。煌びやかなステンドガラス。
そのどれもが、教会を思わせる造りだった。

そんな風貌をしているのだが、ミッション系というわけではない。
授業内容は至って普通。どこにでもあるような高校だった。
ただ単に、設立者の趣味というだけで、この学校はこんな姿をしているのである。

その変わった造形が功を奏したのか、開校3年目にも関わらず生徒数は1800人を超えていた。
もっとも、学校の外見だけでそこまでの入学者を集められるはずはない。
しかし、これだけの生徒が集まったことは事実だ。

設立者の名前は、モララー。

大企業の会長であった。

チャイムの音を目覚まし代わりに、授業中豪快な居眠りをしていた少年が目を覚ます。
寝ぼけた顔で辺りを見渡し、授業がちゃんと終わっていることを確認した後、大きく伸びをした。

とそこへ、後ろから近づく影が一つ。
影はそのまま少年の真後ろで止まり……傾いていた椅子を思い切り引いた。

( ゚ω゚)「ギャース!!」

当然そのまま、少年は尻もちをつく形で床に激突する。
犯人は平然とした顔で、引っ張った椅子にそのまま座り、足を組んで少年を見下ろした。

ξ ゚⊿゚)ξ「あんたまた寝てたでしょ…ブーン」

平然と恐ろしいことをやってのけた者の正体は、金髪縦巻きロールの少女。
整った顔立ちをしていて、間違いなく美少女の部類に入るだろう。

( ´ω`)「ツンかお…ひどいお…」

倒れたまま、訴えかけるブーンと呼ばれた少年。
それを呆れた顔で見下ろす、ツンと呼ばれた少女。

それはこのクラス、3年F組では最早定番のことだった。
だからブーンの悲鳴にも、「またいつものか」と、クラスメイト達も慣れたものだった。

ξ ゚⊿゚)ξ「ひどいお…じゃないわよ! もう3年だってのに、そんなんで進学できるの?」

ブーンを説教するツンの姿は、まるで保護者のようだ。
どうやら彼女は、本気で心配をしているようだった。
ただし、体への気遣いは、皆無。

( ´ω`)「進学……」

呟き、そのまま黙り込んでしまった。

ξ ゚⊿゚)ξ「…? ブーン…?」

いつもと違う様子に戸惑うツン。
するとそこへ……

('A`)「っよ 御二人さん、相変わらず仲いいな」

(´・ω・`)「でもいつかブーンが死んじゃうんじゃないか、いい加減心配だよ」

川 ゚ -゚)「大丈夫だ、ツンはちゃんと加減してる …多分」

3人のクラスメイトが、冷やかしながらやってきた。


ξ ゚⊿゚)ξ「大丈夫 ブーンはこのくらいじゃ死なないわよ」

('A`)「ガキの頃に比べりゃ、かなりマシになったよな」

(´・ω・`)「これでマシになったのか…」

川 ゚ -゚)「まぁドクオ、とりあえず起こしてやれ」

('A`)「あいよー」

ドクオと呼ばれた少年が、ブーンを起こすために近寄る。

('A`)「ほれブーン」

( ^ω^)「お…サンキューだお」

ドクオの手を取り、起き上がる。
ブーンは尻の埃をはらうと、ツン達に視線を向けた。

(´・ω・`)「それじゃ、行こうか」

川 ゚ -゚)「ああ いよいよ追い込みだからな」

( ^ω^)「おっ 珍しくクーが気合入ってるお」

川 ゚ -゚)「馬鹿言うな 私はいつでも気合入ってるぞ」

とてもそうは見えないクールな表情で否定した、クーと呼ばれた少女。
ツンが美少女なら、彼女には美女という言葉がしっくりくる。
美しい長い黒髪が、なんとも印象的だった。

('A`)「まぁ高校最後の文化祭だからな…ショボンですら興奮してんだぜ」

(´・ω・`)「僕ですらってなんだよ 楽しみなのは認めるけど…」

痩せ気味の少年、ドクオに悪態をつかれ、しょぼくれた顔で文句を言うショボン。
そのやり取りを見て、3人が笑う。
楽しみなのは、皆わかっているのだ。

VIP高校文化祭。別名、泰炎祭(タイエンサイ)。

大層な別称がつけられているが、基本的には普通の高校の文化祭と変わらない。
様々な出店やイベント等の為に、全校生徒が慌ただしく準備を進めていた。

泰炎祭のクライマックスでは、巨大なキャンプファイヤーがグラウンドで行われる。
炎の高さは、実に20メートルにまで達するものだ。
炎の赤が校舎に映し出され、参加者達はその鮮やかな赤に魅了される。

それが、泰炎祭たる由縁だった。


ブーン達は準備の為に空き教室へと移動した。
クラス別にもあるが、希望者はグループを作り各々の出し物を行って良いことになっている。
但し、1グループ6名以上とする。

最後の6人目は、すでに空き教室で暇を持て余していた。

( ゚∀゚)「おせーぞお前ら」

( ^ω^)「ジョルジュが早いんだお…」

( ゚∀゚)「またどうせブーンとツンが乳繰り合ってたんだろ? うらやm」

ξ#゚⊿゚)ξ「ぶち殺すぞ」

(;゚∀゚)「すいません」

ツンの一言で委縮したジョルジュ。この6人は1年生の頃から特に仲が良かった。
運悪くジョルジュだけ別クラスになってしまっていたが…。
当然のように、高校最後の文化祭もこの6人で過ごそうと言うことになり、グループを組んだのである。
ちなみに、クラスの半数が自グループで参加することになった場合、クラスでの出し物は免除になる。

さて、この6人が一体どんなことをするのかと言うと…

('A`)「クー、服はできたのか?」

川 ゚ -゚)「ああ、持ってきてあるぞ」

そうするとクーは、手に持った紙袋から何かを取り出した。
丁寧に畳んであったそれの正体は…

川 ゚ -゚)「ほら 可愛いだろう」

そう言って、取り出したものを胸元の辺りにあてがった。

(*'A`)「ウホッ」

(*^ω^)「おっおっおっ めちゃんこ可愛いお!」

(*゚∀゚)「これはいい! おっぱいも強調されてるぜ!」

(*´・ω・`)「うん、とっても可愛いよ」

ξ ゚⊿゚)ξ「ほんっとクーったら器用よねー」

大絶賛を受けた物の正体は、その筋の人間に人気なファミレス店を彷彿とさせるような、
可愛らしいウェイトレス衣装だった。
控え目と大胆の間の、絶妙なバランスを保たれて開かれた胸元に、お決まりの短めのスカート。

川 ゚ -゚)「もちろん、ニーソも履きます」

クーの戦略は完璧であった。

2_20091227105016.jpg


ξ;゚⊿゚)ξ「ちょ、ちょっと恥ずかしいわね…」

川 ゚ -゚)「何を言う 絶対にツンに似合うぞ」

(*^ω^)「おっおっ そうだお きっと似合うお」

ξ*゚⊿゚)ξ「そ、そうかな…って、別に嬉しくなんかないんだからねっ」

(´・ω・`)「ふふっ 楽しみが増えたところで、男の方もできたのかな?」

川 ゚ -゚)「ああ 簡単なタキシードに仕上げておいた」

そう言ってまた紙袋から取り出す。畳んであるままのそれをジョルジュに放り投げた。
それを広げ、制服の上から羽織ってみる。

( ゚∀゚)「おー! いいじゃねえか!」

ξ ゚⊿゚)ξ「あら、ちょっとは男らしくなったじゃない」

川 ゚ -゚)「ん、イメージ通りだ 当日は頼んだぞ、ドクオにジョルジュ」

('A`)「おう 任せとけ」

( ゚∀゚)「おっぱい達をヒィヒィ言わせてやるよ!」

川 ゚ -゚)「ショボンの方はどうなんだ?」

(´・ω・`)「ああ、厨房は大体完成したし、あとは材料を運ぶだけかな
      当日は腕を振るうよ」
      
ξ ゚⊿゚)ξ「期待してるね、ショボンのケーキおいしいもん」

彼等の出し物は、ケーキ屋。
実家が洋菓子屋のショボンがケーキを焼き、4人がウェイトレス、ウェイターとなる計画だ。
ツンとクーは学校きっての美少女、ジョルジュは性格はおっぱいだが、なかなかのイケメン。
ドクオも痩せている以外は特に短所がなかった。

ちなみにブーンは、ショボンの手伝いと皿洗い担当だ。

( ^ω^)「皆頑張ってくれお」

ξ ゚⊿゚)ξ「何言ってんのよ ブーンもしっかりショボンを手伝ってあげてね」

(´・ω・`)「ああ、よろしく頼むよ」

( ^ω^)「おっおっ がんばるお!」

全員の力で、このケーキ屋を成功させる。
全員がそう思っていた。

(´・ω・`)「さぁ、そろそろ準備に取り掛かろうか」

泰炎祭まではまだ10日あるのだが、準備はすでに最後の仕上げに入っていた。
厨房も、内装もほぼ完璧にできている。
なるべく早く終わらせて、宣伝に力を注ごうという戦略だった。

( ゚∀゚)「おお! なかなかいいデザインじゃねーか!」

('A`)「こいつは昔から絵がうまかったからな」

( ^ω^)「あんま褒めるなお」

ブーンが作った宣伝用のビラとポスターも好評だ。

私語も程々に、皆黙々とするべきことをこなしていた。
これが終われば、本腰を入れて受験勉強をしなければならない時期だ。
進学しなくとも就職活動が待っている。

わかっているのだ。6人全員で遊べられる時間は、もう余りないということが。
そんな野暮なことは誰も言わない。だから今、できることをするのだ。
大切な思い出を作るために。


川 ゚ -゚)「そういえば」

そんな中、クーが珍しく手を止めて口を開いた。

川 ゚ -゚)「今結構噂になってる、『ペルソナ様遊び』を知ってるか?」

ξ ゚⊿゚)ξ「あー知ってる なんかデレとかもやってた」

( ゚∀゚)「ペルソナ様を呼んで、願いを叶えるってヤツか?」

川 ゚ -゚)「ああそうだ まぁ何かが起きたって話は聞いてないが…一種のおまじないだな」

( ^ω^)「クーがそんな話をするなんて珍しいお」

川 ゚ -゚)「失礼だな 女の子はそういうのにビンカンなんだぞ」

(´・ω・`)「それで、やってみたいってことかい?」

川 ゚ -゚)「ああ、息抜きにやってみないか?」

ξ ゚⊿゚)ξ「たしか4人でそれぞれ部屋の四隅に立って、呪文を唱えて、
       それで向かいの人の肩を叩くんだっけ?」

川 ゚ -゚)「そうだ そしてまた呪文を唱えて、進んでいく」

(´・ω・`)「それで最後の人が呪文を唱え終わると、ペルソナ様が来て、願い事をする」

( ^ω^)「ショボンも知ってたのかお」

(´・ω・`)「ああ、小耳にはさんだ程度だけどね」

('A`)「んじゃ、クーとツンとジョルジュとショボンでやってみりゃいいんじゃね」

川 ゚ -゚)「ドクオ、怖いのか?」

(;'A`)「ち、ちげーよ 詳しく知ってそうだったからさ」

( ^ω^)「おっおっ 僕もいいから4人でやればいいお」

ξ ゚⊿゚)ξ「あら ブーンも怖いの?」

(;^ω^)「ち、違うお 僕はただ……」

願い事なんか、ないから。
そう言いかけて、ブーンは言葉を呑んだ。

ξ ゚⊿゚)ξ「? まぁ怖くないってことにしておいてあげるわ」

川 ゚ -゚)「さぁやるぞやれやるぞ ラストは私な」

ものすごく張り切っているクーに苦笑して、他の3人も配置へと向かった。
残されたブーンとドクオは教室の真ん中に立つ。
教室の3分の1が厨房になっている為、仕方なくフロアスペースだけですることになった。

一番手は、ジョルジュ。

( ゚∀゚)「んじゃ、始めるぜ」

( ゚∀゚)「ペルソナ様 ペルソナ様 おいでください」

呪文を唱え、向かいに居るショボンへと歩く。

('A`)「なぁブーン」

( ^ω^)「なんだお?」

('A`)「なんか…怖い話に似たようなのあったよな」

( ^ω^)「お? どんな話だお?」

ジョルジュがポン、と、背を向けていたショボンの肩を叩いた。

(´・ω・`)「ペルソナ様 ペルソナ様 おいでください」

同じ様に呪文を唱え、次のツンの方へと歩く。

('A`)「雪山で遭難した4人組が、寝ないようにこれと同じことをしたんだ」

( ^ω^)「それはナイスアイデアだお でもそれのどこが怖い話なんだお?」

('A`)「ああ、朝になってそのまま救助されたんだけどな…」

ポン

順番は、ツンへと回る。

ξ ゚⊿゚)ξ「ペルソナ様 ペルソナ様 おいでください」

('A`)「死んでたんだよ、一人」

気づけば外は、夕闇。

( ^ω^)「……」

('A`)「硬直時間から、死んだのは夜、遅くとも深夜だったらしい」

雨を降らしそうな、黒い雲が空を覆っていた。

( ^ω^)「でも…3人は死んでないってことは…」

('A`)「ああ…朝までちゃんと、それをしてたんだ」

ぞくり、とブーンの肌が粟立つ。
それはドクオの話のせいなのか、わからない。

それは、違和感。自分の中で、何かが蠢いているような──

ポン

そして最後に。


川 ゚ -゚)「ペルソナ様 ペルソナ様 おいでください…」


瞬間、空が光った。
眩しいと感じる時間さえも与えずに、次に轟音が襲う。

雷鳴。

自然の強大な咆哮は、大地をも揺るがした。
もたつき、倒れこむブーン達。


………ィィィ………


音が、迫る。


……キィィィィィィィ……


( ゚ω゚)「おぉぉぉ……なんだ…お…」

不愉快な、強烈な耳鳴りが襲う。


キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィイ!!!


その音が頂点を迎えたと同時に、ブーン達は意識を失った。



最初に感じたのは、浮遊感。ブーンはゆっくりと目を開く。


そこは暗く、長い長いトンネルのようだった。
そのトンネルを、ブーンは飛んで…いや、流されていた。

時々駆け抜ける、欠片の様なモノ。
そのどれもが、ブーンにはどこか見たことがあるように思えた。

あの夢とは正反対だ。

ふと、そんなことを思い出していた。
夢で見た、白い、白い世界。
それはとても居心地の良いもので…この場所とは全てが正反対だった。

唯一違うことは、これが夢のような気がしないということ。

夢の中でもごく稀に、なんとなく夢だと自覚できることはあるだろう。
意識はしっかりしている自覚はブーンにはあったのだが、とても夢だとは思えない感覚だった。

出口が、近い。

なぜだかわからないが、それを感じ取っていた。
そう思った瞬間、白い光がブーンを包み込み、思わず目を閉じる。
目を閉じてもわかる程にその光は強く、しかしどこか、温かい光だった。

高度が下がり、ブーンは足が固い何かについたのを感じた。

両の足でしっかりと地面を踏みしめると、ブーンは目を開けた。
光は何処かへと消え、代わりに映るのは、光り輝く黄金の柱。
その向こうに見えるのは、真っ黒な布に宝石を散りばめた様な…。

紛れもなく、宇宙だった。

黄金の地面から伸びる、黄金の4つの柱。
そしてその中心には一つの、いや、一人の影。

ブーンはじっくりと、『彼』を見つめた。

やがてその男は、ゆっくりとブーンに近づく。

『男』の顔には、蝶をあしらった様な黄金の仮面がつけられていた。

その蝶は、どこかブーンが夢で見たものに似ていた。

不思議と警戒心はなく、落ち着いた様子でブーンは『男』を見つめる。

少しだけ、『男』の口元が緩んだ。


『ようこそ、御初にお目にかかる』

『私はフィレモン 意識と無意識の挟間に住まう者』

『さて、君は自分が誰であるか名乗ることはできるか?』

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突然の、問いかけ。
しかしブーンは、ごく自然に。


( ^ω^)「内藤、ホライゾン」

応えたブーンに、フィレモンと名乗った男は満足気に頷き、


『結構 ここにきて、自分が誰であるか語れる者は多くない どうやら君は合格のようだ』

『ところで君は、自分の中に複数の自分の存在を自覚したことはないかね?』

『神のように慈愛に満ちた自分 悪魔のように残酷な自分』

『人は様々な仮面をつけて生きるモノ』

『今の君の姿も、無数の仮面の中の一つでしかないかもしれない』


( ^ω^)「……」


ブーンには、時々自分がどうしたいのかがわからないことがあった。
それをそのままフィレモンの言葉に当てはめるのは早計だが、不思議と共感させられる物があった。

尚も声は続く。


『しかし、君は自分が誰であるか名乗りを上げた』

『その強い意志に対して、敬意と力を送ろう』


フィレモンが手を伸ばし、その手がぼんやりと光る。
それはまるで、白い炎のように。
ゆらゆらと揺れる炎は、力強くうねる様に、確かにその存在を示しだしていた。


『ペルソナ』

ドクン、とブーンの鼓動が高鳴る。


『心に潜む、神や悪魔の姿をした、もう一人の君を呼び出す力だ』

『字都の地は、巨大な闇に支配されようとしている』

『そして間も無く、その闇は己が牙を見せるだろう』


炎が集束し、光放つ一つの欠片となって、ブーンの胸へと向かう。

それもまた、夢で見たものと同じ光景。

あの蝶の様に、欠片もまたブーンの体へと溶け込んだ。

体の、心の中で何かが熱く燃え上がる感覚をブーンは感じていた。

それはとても力強く、渦を巻くように。


『この力、きっと君の力になるだろう』


ふわりと、足が地から離れる。

同時に、フィレモンの姿が遠ざかっていく。

輝く星達が一つ、また一つと消えていき、あの黄金の床と柱も一つの星程になった時。


『さぁ、戻りたまえ 君が在るべき時間と、空の下へ』


近くに居た時と変わらない大きさで、フィレモンの声が響いた。

それが終わると同時に、ブーンの意識は再び闇の底へと沈んでいった……。




ξ ;⊿;)ξ「ブーン! よかった…」

ブーンが目を覚ました時、最初に見たのはツンの泣き顔だった。
まだ意識がはっきりとしていないブーンは、数回瞬きをした後辺りをキョロキョロと見回した。

('A`)「おっ、気がついたか」

(´・ω・`)「先生に言ってくるよ」

そう言ってショボンは幕で仕切られた部屋から出て行った。

川 ゚ -゚)「ほら、ツン 顔を拭くんだ」

そう言って手渡されたハンカチをありがとうと受け取り、涙を拭いた。

( ^ω^)「ここは…保健室かお?」

川 ゚ -゚)「ああ、あの雷の後、ブーンと同じ様に気を失ってたんだが…」

( ゚∀゚)「俺が一番に目を覚まして、皆を起こしたんだ」

川 ゚ -゚)「ブーンだけがなかなか起きなくてな 心配してたんだ」

( ^ω^)「そうだったのかお 心配かけてごめんお」

ξ#゚⊿゚)ξ「そうよ! 心配させてこの馬鹿っ!豚!やっぱり死ね!」

落ち着いたツンは振り返るなりブーンに罵声を飛ばした。

(;^ω^)「心配かけてごめんお…でも、ありがとうだお」

ξ*゚⊿゚)ξ「べ、別に感謝なんかされたくないんだから!」

少し赤くなって、またそっぽを向いた。

( ゚∀゚)「ま、乳繰り合いはその辺にしてだな」

('A`)「なぁブーン」

( ^ω^)「なんだお?」

('A`)「変な夢、見なかったか?」

ドクン

心臓が高鳴る。

( ^ω^)「…夢?」

( ゚∀゚)「ああ」

( ゚∀゚)「変な仮面つけた肩幅がやけに広いおっさんがでてくる夢なんだが…」

さらに高鳴る鼓動。
それは、ブーン自身もはっきりと覚えていることだった。

( ^ω^)「……見たお」

川 ゚ -゚)「やっぱりか…」

( ^ω^)「やっぱり?」

( ゚∀゚)「俺達も見たんだ ブーンも見たから…全員同じ夢を見たことになる」

ジョルジュの言葉で、その場を沈黙が支配した。
全員が、同じ時間にまったく同じ夢をみた。
これが偶然に起こり得ることだろうか?

ありえないということは、全員がわかっていることだった。

何を言っていいのかわからない空気。その沈黙を破るように、ショボンが戻ってきた。

(´・ω・`)「先生を連れてきたよ」

(-@∀@)「おお、大丈夫ですか? どこか痛い所はないですか?」

( ^ω^)「おっ どこも痛くはないですお」

(-@∀@)「そうですか…でも先程救急車を呼んでしまいましたので、一応検査に行ってください」

(;^ω^)「きゅ…いいですお どこも悪くはないですお」

(-@∀@)「ダメです! 何かあってからでは遅いので行ってもらいます!」

心配症で有名な保健のアザピーにズイっと迫られ、ブーンは諦めて従うことにした。
その様子をクスクスと見ていたドクオ達だが…。

(-@∀@)「君達も、ですよ」

(;゚∀゚)「え?」

(-@∀@)「当たり前です! 少しの間ですが、意識を失ったんですよ?!
      それに倒れる際にどこか打ちつけたかもしれません! 検査してもらうべきです!」
    
(;'A`)「いやだいじょうb」

(-@∀@)「ダメです! 未来ある君達にもしものことがあったら、この国はどうなるんですか!
      君達は国の宝なのです! 万が一があったら困ります!」
    
川 ゚ -゚)「これはいくしか…」

(´・ω・`)「ないみたいだね…」


やがて救急車がけたたましいサイレンを鳴らしながらやってきて、校庭に止まった。
担架を持って慌ただしくやってきた救急隊員達は、ブーンの呑気な顔をみて一瞬ポカンとした。

(;^ω^)「アザピー先生は一体なんていったんだお…」

丁重に担架は断り、自分の足で救急車に乗り込みベットに腰掛けた。
サイレンもいいです、と付け加えて。
付き添いにはショボンが同行することになった。

(´・ω・`)「ツンには少し、悪かったね」

走り出して少しして、ショボンが言った。

( ^ω^)「ああ…まぁよくあることだお…」


少し前───。

ξ ゚⊿゚)ξ「な、なんで私が付き添わなきゃいけないのよ!で、でもどうしてもtt
(-@∀@)「それでは、ショボン君お願いします 君達は私が車で連れていきます」

ξ ゚⊿゚)ξ「」

───というやり取りがあった。


( ^ω^)「ところで、すごい雷だったけど、近くに落ちたのかお?」

(´・ω・`)「キャンプファイヤーの柱に落ちたんだ」

( ^ω^)「ああ…どおりですごい音がしたと思ったお…」

泰炎祭のトリをつとめる巨大キャンプファイヤー。
倒れたら危険を伴うので四方に一本ずつ、そして中央に一本の鉄柱を立てるのだ。

( ^ω^)「燃えてない時でよかったお…」

(´・ω・`)「ああ、そうだったら大惨事だったね」

外はもう暗く、流れる外の景色は夜の顔を見せていた。
津阿都区は字都市の中ではいわゆる居住区に当たる。
VIP高校ができたのもそんな理由からだった。

( ^ω^)「そういえば…ショボンも夢をみたのかお?」

(´・ω・`)「ああ、ブーンも見たのかい?」

( ^ω^)「見たお 不思議な夢だったお…」

(´・ω・`)「僕も、あんなに意識がはっきりとした夢は初めてだったよ」

( ^ω^)「やっぱり、仮面の人が?」

(´・ω・`)「ああ、一人でしゃべってて、その後に…」

( ^ω^)「ペルソナ…」

(´・ω・`)「もう一人の、自分…」

ペルソナという言霊を紡ぐ。
じわりと、薄い汗が滲むのをブーンは感じた。


『神や悪魔の姿をした、もう一人の君』


思い出される、フィレモンの言葉。
声色すらはっきりと覚えて、いや、耳に残っていた。

それっきり二人は黙りこみ、お互いの顔を一瞥した後、窓の景色を眺めていた。
自分達はおかしくなってしまったのだろうか?
体に異常は感じられないが、不安ばかりが募っていく。

ちゃんと検査してもらえば、結果はどうあれ少しは楽になるかもしれない。
アザピー先生に感謝しなくては。

そう考えて、アザピーの必死な顔を思い出したブーンは、少し気が楽になった。



(´・_ゝ・`)「どこも異常はありませんね」

あっさりと、医者はそう言った。

(;^ω^)「おっ ありがとうですお」

予想はしていたが、あまりにあっさりとそう言われて、ブーンは拍子抜けした。

(´・_ゝ・`)「外傷もありませんし、脳にも異常は見られません 至って健康ですよ」

(-@∀@)「そうですか、ありがとうございました」

(´・_ゝ・`)「それでは、お大事に」

( ^ω^)「失礼しましたお」

一礼し、ブーンとアザピーは病室を後にした。

(-@∀@)「どこも悪くなくてよかったですね ご両親には連絡してあるので、迎えが来ると思います」

( ^ω^)「ありがとうですお」

…大袈裟に説明してないだろうか…?
ブーンはその事だけを心配した。


しばらくして、ツン達も検査を終えて待合所に現れた。
外来の受付時間をとうに過ぎている院内は、不気味な静けさを保っていた。

ξ ゚⊿゚)ξ「お待たせ、ブーンも大丈夫だった?」

( ^ω^)「大丈夫だったお ツン達も平気だったかお?」

ξ ゚⊿゚)ξ「うん 健康そのものだって」

(´・ω・`)「どうやら全員何もなかったみたいだよ」

( ゚∀゚)「病院なんてガキの頃風邪で連れてこられた以来だぜ」

(´・ω・`)「ははっ ジョルジュは頑丈だからね」

('A`)「頭は悪いけどな」

(#゚∀゚)「なんだと」

( ^ω^)「おっおっ とにかく皆どこも悪くなくてよかったお」

(-@∀@)「それでは、私は一足先に学校へ戻りますね 皆さんも気をつけて下さい」

川 ゚ -゚)「先生、ありがとうござ……」


ドクン──


(;^ω^)「!?」

(;゚∀゚)「な…?!」

(;´・ω・`)「なんだ…?」

空気が、変わった。
同時にブーン達の中で、何かが騒ぎ出した。

川;゚ -゚)「こ、これは…?」

(;'A`)「なんだこの感じ…」

ξ;゚⊿゚)ξ「どうしたって言うの…?」


体の奥が、熱い。燃え盛るように。

それは告げていたのだ。ブーン達に。


(-@∀@)「? 一体どうし……」


もう一人の、自分へと。



『きゃあぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!』



気をつけろ、と。



                                   続く。





この小説は2008年9月27日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者は◆iAiA/QCRIM 氏

第2話は、こちらからどうぞ



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[ 2009/12/27 10:52 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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