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( ^ω^)ξ ゚⊿゚)ξブーンとツンは夫婦のようです 第1話


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ




………
……


ξ ゚⊿゚)ξ「……」

 深く、重く閉じられていた瞼を、ゆっくりと開いて行く。

ξ ゚⊿゚)ξ「ここは……」

 目に映るのは、真っ白で染み一つ無い天井。
 部屋の中を見渡すと天井と同様に、真っ白な壁が広がっている。
 窓の外からは、太陽の陽射しが眩しい程に溢れ込んで来る。

……思い出した。私は今、病院にいるんだ。


『目が覚めたかお?』


( ^ω^)「……」

 ベッドの横に位置するパイプ椅子に腰を掛けている、スーツを身に纏った一人の男性。
 そのニコニコとした優しい表情からは何処か、安心感の様なモノを得られる。

確か名前は……。


ξ ゚⊿゚)ξ「……ブーン?」

( ^ω^)「そうだお、ブーンだお。覚えてくれてありがとうだお」

ξ ///)ξ「えへへ」


『ガチャッ』


(´・ω・`)「おはようございます、ツンさん」

 病室のドアを開けて中に入ってくる、白衣を着た男性。

ξ ゚⊿゚)ξ「おはようございます、ショボン先生」

 医者のショボン先生は、腕を後ろに組んだまま、私のベッドへとゆっくり歩み寄って来る。

(´・ω・`)「それで……気分の方は?」

ξ ゚⊿゚)ξ「あ、とっても良いです」

(´・ω・`)「そうですか、それは良かった」

 ニコリと爽やかな笑顔を見せる先生。
 現に今朝は調子が良く、頭痛なども無い。


(;^ω^)「先生、どうですかお?」

 ブーンが立ち上がり、先生の元へと詰め寄って行く。

(´・ω・`)「うーん……」

 ブーンの問掛けに対して、考え込むようにして唸る先生。


……一体、なんの話だろう。


(´・ω・`)「……まぁ大丈夫でしょう」

( *^ω^)「ホントですかお!?」

 先生からの返答に、ブーンの表情が明るくなる。


……でも、何が大丈夫なんだろう。



ξ ゚⊿゚)ξ「ブーン……どうしたの?」

( *^ω^)「ツン!」

 ブーンが、私の方へとに近付いて来る。
 そして元の椅子に再び腰を掛け、私の手を優しく握る。

( *^ω^)「帰れるんだお……家に帰れるんだお!」

ξ ゚⊿゚)ξ「家に……帰れる?」

( *^ω^)「そうだお!」

ξ*゚⊿゚)ξ「やったー!」



※ ※ ※  ※  ※  ※  ※   ※    ※ 

……数日前。

 私は、ベッドの上で長い眠りから目が覚めた。


………
……



ξ ゚⊿゚)ξ「ここは……何処なの?」

ξ ゚⊿゚)ξ「私は……ここは一体、何処なの……?」


……不思議だ。

……目が覚めたのに、何かから目覚めていない感覚。

……何も思い出せない。


ξ ゚⊿゚)ξ「……怖い」

ξ ゚⊿゚)ξ「……何も分からない」

( ^ω^)「……ツン?」

 ベッドの横で椅子に座っている男性が、何か言葉を口にする。


……ツン?


ξ ゚⊿゚)ξ「ツン……ツンって何?」

(;^ω^)「ツン……一体、どうしちゃったんだお?ツンは君の名前だお……」

ξ ゚⊿゚)ξ「……ツン」


男性が口にした言葉……ツン。
それが私の名前……。

何故、私が私の名前を思い出せないの?
私は私なんだから私が私の名前……。

ワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイ……。


『ズキッ』


 突然、頭の内側を鋭利なモノで刺されたかの様な痛み……。
 それと同時に迫り来る、何もわからないという恐怖。


ξ ゚⊿゚)ξ「……イヤ」

( ^ω^)「……ツン?」


……何も。

……分からない。


ξ ;⊿;)ξ「……イヤ」


……何も。

……思い出せない。


ξ;⊿;)ξ「イヤァーッ!」

(;^ω^)「ツン、大丈夫かお!?ツン!ツン!ツン!」

ξ ;⊿;)ξ「イヤーッ!」



………
……




(´・ω・`)「……アナタの名前は?」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」


……私の名前はツン。
それはさっきの男性が教えてくれた。


ワタシノ、ナマエハ、ツン。


(´・ω・`)「何か……病院で目が覚める前のことを……覚えていますか?」

ξ ゚⊿゚)ξ「……分かりません」

本当に何も分からない。

……分からなと言う言葉に恐怖を感じる。

なんで……。
何がワカラナイんだろう。


(´・ω・`)「……分かりました」


分かりました?
私が分からないのに、この男には何が分かったんだろうか……。

ワカラナイ。

本当に何も分からないんだ、私。

J( 'ー`)し「先生、お待たせしました」

 病室に入って来た、真っ白な服を着た年輩の女性。
 恐らく看護師さんであろうか。

(´・ω・`)「あぁ、ありがとう」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」


 その後、私は看護師の用意した物で、様々な実験の様なことをさせられた。
 御飯の食べ方、歯磨きの仕方、口頭でのトイレの仕方など。
 どれも自分の出来ることばかりだったから、少しだけ安心した。

私にも、分かることがあるんだ……。

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

 先生と看護師が出て行った後、病室内が静寂に包まれる。
 一人ベッドで横になりながら、ボーっとする。


……何も考えたく無い。

 考えると、再び恐怖が襲って来るから。


……ワカラナイという恐怖が。





 どのくらい時間が経ったのだろうか。
 不意に病室のドアが開く。

( ^ω^)「……ツン」

 中へと入って来る一人の男性。

私のことをツンと呼ぶこの人は一体、誰なんだろう……。


『ズキッ』


又だ……。
頭が痛い……。
さっきよりもずっと痛い。
割れそうだ……。

痛い痛い痛い痛い痛い。

ξ ;⊿;)ξ「痛いよぅ……」

(;^ω^)「ツン、大丈夫かお!?今、先生を呼ぶお!」

 その男性が慌てながらナースコールを押す姿が目に映る。


ξ ;⊿;)ξ「痛いよぅ……痛いよぅ……」

(;^ω^)「ツン、大丈夫だお。今、先生を呼んだから大丈夫だお」

 そう言ってその男性は、私の手を優しく握ってくれる。


暖かい……。


ξ ;⊿;)ξ「痛い……」


……もう何も考えたくない、分からない。


何も分からない、私に教えて……。


 頭痛に耐えながらも、喉から声を絞り出す。

ξ ;⊿;)ξ「アナタは……誰?」


……私の名前を知る、アナタは?


(;^ω^)「!?……僕は……」


アナタは……誰なの?


( ^ω^)「僕の名前は……ブーン」

ξ ;⊿;)ξ「……ブーン?」


( ^ω^)「そう、ブーン。そして僕らは……」



( ^ω^)「……夫婦だお」



※   ※   ※  ※  ※  ※ ※ ※ ※





1_20091227100342.jpg






……私は記憶喪失になってしまった。


医者のショボン先生は、難しい言葉を並べて、私の記憶喪失についての内容を伝えてくれた。
正直、難しい話で理解出来なかった。


……でも大丈夫。

私にはブーンがいるんだから。

 そして、記憶喪失を知ってから数日後の昼……。


………
……



ξ ゚⊿゚)ξ「先生、お世話になりました」

 わざわざ病院の外まで見送りに来てくれた先生に向けて、頭を下げる。


(´・ω・`)「うん……」

 癖なのだろうか、先生は相変わらず腕を後ろに組んでいる。
 そして心配だと言わんばかりの目を私に向ける。

(´・ω・`)「……お大事にね」

 そう言って、先程とは違って、今度は私に笑顔を向ける。
 それがなんだか……嬉しい気持ちにさせる。

(´・ω・`)「それじゃあ……何かあったらスグに連絡を」

( ^ω^)「……分かりましたお」

ξ ゚⊿゚)ξ「先生ーさよーならー!」

(´・ω・`)「……さよなら」

 先生は、笑顔を崩さないまま右手をヒラリと振る。


 先生に別れを告げ、私達二人は駐車場へと向かう。

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

( ^ω^)「さぁツン、乗るお」

私の目の前にある……一台の車。

……クルマ。


『ズキッ』


……何故だろう。

あの時と同じ様に、再び頭に痛みが走る。

( ^ω^)「……ツン?」

 ブーンが心配そうな表情で、私の顔を覗き込む。

(;^ω^)「……まさか頭が痛いのかお!?」

ξ ゚⊿゚)ξ「んっ……大丈夫」


……大丈夫。

頭が痛いなんて言ってられない。
これから……ブーンと私の家に帰るんだもの。


ξ ゚⊿゚)ξ「立ちくらみよ。そんなに心配しないで」

(;^ω^)「……でも」

ξ ゚⊿゚)ξ「大丈夫って言ってるしょ。私はほら!この通り元気!」

 そう言って軽く、おどけて見せる。

( ^ω^)「……良かったお」

 ブーンのホッとしたような表情をしながら、胸を撫で下ろす。

……良かった。


ξ ゚⊿゚)ξ「さぁ、行きましょ!」

 目の前に用意された車のドアを勢い良く開けて、助手席へと乗り込む。

ξ ゚⊿゚)ξ「早くー!」

( *^ω^)「おっ!分かったお!」

 ブーンが反対側のドアから運転席へと乗り込む。
 ポケットから取り出した鍵を車に差し込んで、右に回すとエンジンのかかる音が聞こえる。


( ^ω^)「よーし、帰るお!」

ξ ゚⊿゚)ξ「イエーイ!」

 ブーンがアクセルを踏むと同時に、小さな音を出しながら車がゆっくりと動き出す。





 国道を走る車の窓は、家を、木々を、沢山の人を映し出す。

『~♪』

 不意に耳から脳へと流れ込んで来る音楽。
 綺麗なメロディーに乗せた、女性の声。

ξ ゚⊿゚)ξ「この歌……」

( ^ω^)「どーしたんだお?」


この歌……何処かで聞いたことある気がする。


ξ ゚⊿゚)ξ「うん、なんか聞いたことのある歌だなーって」

 私とブーンは、その歌に耳を傾ける。

( ^ω^)「……良い歌だけど……悲しい歌だお」

ξ ゚⊿゚)ξ「……そうね」


……悲しい歌。

確かにそんな感じがする。


 元気良く走っていた車が、国道から外れる。
 立ち並ぶ民家に囲まれた道を、何度か曲がるとある一軒のマンションが目に入る。
 そして、車はそのマンションの前に停車する。


( ^ω^)「……着いたお」

ξ ゚⊿゚)ξ「……ここが」


……私の家。

 車から降りて、マンションの前に立ち、改めて眺めてみる。


ξ ゚⊿゚)ξ「……やっぱり思い出せないなぁ」

 口に出してみる。

やっぱり思い出せないんだなぁ。


( ^ω^)「……思い出せなくたって良いお」

ξ ゚⊿゚)ξ「えっ?」


ブーンが何気無く口にした言葉……。

 その言葉に少しの疑問を持つ。


( ^ω^)「思い出す必要なんて無いお」

ξ ゚⊿゚)ξ「でも、それじゃあ……」

( ^ω^)「思い出は、思い出すだけの物じゃ無いお……作って行く物だお」

 ブーンの、その表情は優しいモノだった。

 私の目をジッと見つめ、心に語りかけてくれる。

( ^ω^)「ツンが辛い思いをするよりも、これから楽しい思い出を作ってくれることの方が……」

( ^ω^)「……ブーンは幸せだお」

ξ ゚⊿゚)ξ「ブーン……」

 私もブーンの目を見つめる。

いつもニコニコとした、その目を……。


( ^ω^)「愛してるお」

 そう言ったブーンは私の体を強く……そして、優しく抱き締めてくれる。

ξ*゚⊿゚)ξ「ちょっと……ブーン」

こんな所で……恥ずかしいよ。

( ^ω^)「……なんだお?」

ξ ///)ξ「……私も、愛してるよ」

( *^ω^)「おっおっ!」

ξ*゚⊿゚)ξ「さっ、早く中に入りましょう」

 恥ずかしくなった私は、ブーンの手を取り、マンションの方へと歩き出す。


( ^ω^)「ツン、そっちじゃないお」

ξ*゚⊿゚)ξ「あらっ?」

 私が向かったのは、違う方の入り口だった。

2_20091227100342.jpg



( ^ω^)「こっちだお」

 今度は、ブーンが私の腕を引いてくれる。
 大きくて、暖かい手。

 ブーンが開けてくれたドアから、部屋の中へと入る。

ξ ゚⊿゚)ξ「へぇー……」

 中は割りと綺麗で、物が少なく、サッパリとした印象を持つ。
 部屋の数は二部屋で、キッチン、風呂場、洗面所、トイレが別々に付いていて、中々広い構造になっている。

 居間の隣に位置する、恐らく寝室であろうその部屋には、布団が二つたたんで置いてある。

ξ ゚⊿゚)ξ「ここで寝るの?」

( ^ω^)「そうだお。右が僕で、左がツンの布団だお」

 居間へと戻り、二人でソファーに腰掛ける。

( ^ω^)「ふぅー」

ξ ゚⊿゚)ξ「ふぅー」


『……』


 突然、私達を襲う静寂。
 病院にいた時とは少し違う、二人だけの空間に緊張を覚える。

ξ ゚⊿゚)ξ「なんか……変な感じね」

( ^ω^)「……」

 ブーンの暖かい手の平が、私の肩をソッと包み込む。

( ^ω^)「これからは……ずっと一緒だお」

ξ*゚⊿゚)ξ「……うん」


……これからは、ブーンとずっと一緒。

……ドラマに出て来る様な、そんな甘い言葉。


ξ*゚⊿゚)ξ「これから……もっとブーンの事を知りたいから……」

ξ*゚⊿゚)ξ「だから……これから宜しくね!」

( ^ω^)「……こちらこそだお」




『ピーンポーン』




 玄関の方からインターホンの鳴る音が聞こえる。

( ^ω^)「おっ?誰だお?」

 ブーンはソファーから立ち上がり、小走り気味に玄関へと向かう。


『おーっす』

『今着いたばかりか?』


 ドアの開く音がしてから、男性と女性の声が聞こえてくる。

ξ ゚⊿゚)ξ「……誰だろう?」

 私もブーンの後を追う様にして、玄関へと向かう。



('A`)「おー、ツン!久し振りだなー!」

川 ゚ -゚)「遊びに来たぞ」


 そこにはボサボサ頭と、それに不釣り合いなスーツを身に纏う男性と
 Tシャツにジーパンと、かなりラフな格好をした綺麗な女性が立っていた。

( ^ω^)「二人はドクオとクー。ブーン達とは高校からの友達だお」

ξ ゚⊿゚)ξ「はっ……こんにちわ」

 うっかり出て来そうになった"初めまして"と言う言葉を、慌てて飲み込んで、こんにちわに変える。
 ドクオさんとクーさんとは、高校からの友達なんだ。

……初めましてなんて言葉は、変だ。


('A`)「なんだー、思ってたよりも元気そうだなー」

 ドクオさんは、自分の顎にうっすらと生えている髭を、左手でジョリジョリといじりながら、私のことを強い眼差しで見つめる。

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

 その目に少しだけ、恐怖を覚える。

この人の目……なんだか恐い。

全てを見透かすような……。

……そんな目。


川 ゚ -゚)「そんな目でツンを見るんじゃない」

 雰囲気を察したクーさんが、ドクオさんを制する。

('A`)「おースマンスマン、職業柄でな」

 クーさんの言葉で、ドクオさんの目が一変して優しいモノに変わる。

しかし、職業柄という言葉……。

ξ ゚⊿゚)ξ「ドクオさんの職業って、なんなんですか?」

('A`)「あぁ、俺は……」

('A`)「刑事なんだ」

ξ ゚⊿゚)ξ「刑事……さん」

刑事さんか……。

成程、だからあんな目……でもなんで私をあんな目で見るの?


川 ゚ -゚)「ツン」

ξ ゚⊿゚)ξ「は、はい!」

 考え事をしている最中、不意に名前を呼ばれて、慌てて返事をする。

川 ゚ -゚)「……敬語は止めてくれないか?」

ξ ゚⊿゚)ξ「えっ……」

川 ゚ -゚)「私達は……昔からの親友じゃないか」

川 ゚ -゚)「だから……敬語なんて使わないでほしい」

……そうだ。

例え、私の記憶が無くなって、私自身が一からのスタートになってしまったとしても……。

クーさんの……いやクーさんだけじゃなく、他の人達の中での私は……。

……立ち止まること無く歩き続けているんだ。


ξ ゚ ー゚)ξ「……わかったわ」

川 ゚ ー゚)「良かった」

 クーがニコリと、私に笑顔を見せてくれる。

ξ ゚⊿゚)ξ「改めて宜しくね」

川 ゚ -゚)「あぁ、宜しくな」

 私とクーは握手をする。
 クーの顔は、近くで見れば見る程美しく感じる。
 白く透き通る肌に、通った鼻筋。

そして……綺麗な目をしている。

('A`)「俺にも敬語なんていらないからなー」

ξ ゚ ー゚)ξ「わかったわ」

 改めて痛感させられた、私の記憶喪失。
 初めてじゃ無いのに、初めまして。


二人との出会いは……。

……今の私では無く、昔の私を遠くに感じてしまう瞬間だった。




('A`)「じゃあー……飯でも行きますか」

 始めからこれが目的だったと言わんばかりに、ニヤリと笑うドクオ。

(;^ω^)「ドクオ!」

('A`)「あん?」

 ブーンが少しだけ強い口調で声を挙げる。

(;^ω^)「ツンは今日、退院したばかりだお!それに……」

 言葉に詰まってしまうブーン。
 恐らく、私の身体を気遣ってくれているのだろう。

でも……。


ξ ゚⊿゚)ξ「あら、私は大丈夫よ」

(;^ω^)「ツン……」


でも私は、ご飯に行きたかった。
皆とご飯に行って、お喋りして、色々な事を知りたい。
クーの事やドクオの事。それにブーンの事も。

……私だけスタート地点で立ち止まってるなんてイヤ。

川 ゚ -゚)「久し振りに揃ったんだし、良いじゃないか」

('A`)「ツンも乗り気だしよー」

(;^ω^)「ぅぅ……わかったお」

 ブーンが観念したかのように答える。


 私とブーンは一旦、部屋に戻って外出の準備をする。

( ^ω^)「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「……ねぇブーン?」

( ^ω^)「おっ?」

 ブーンは、手に持っているポロシャツに腕を通しながら、返事をする。

ξ ゚⊿゚)ξ「私の身体のこと……そんなに気遣わなくても良いんだよ?」

( ^ω^)「ツン……」

 私は、ブーンの胸元に右頬を寄せる。
 始めはゆっくりと刻まれていた鼓動が、早くなって行くのがわかる。


ξ*゚⊿゚)ξ「私は……大丈夫だから」

( ^ω^)「……わかったお」

 ブーンは手を添えるように優しく、私の体を抱き締めてくれる。
 ブーンの鼓動も……私の鼓動も早くなる。


('A`)「ひゅーお熱いですこと」

( *^ω^)「ド、ドクオ!」

 気が付くとドクオは、壁に寄りかかりながら、私達のことをニヤケ面で眺めていた。

ξ ///)ξ「い、いるならいるって言ってよ!」

('A`)「だってー二人っきりの世界に入ってたみたいだしー」

 へへへと意地悪そうな笑い声を挙げ、左の内ポケットから煙草を取り出す。
 中から一本取りだし、口にくわえて火を付ける。

('A`)「そんなん帰ってきてからで良いからよー早く行こうぜ」

 そう言ってから、火の付いた煙草を再び口元へと運ぶ。
 フィルターから煙を強く吸い込んで、一度肺に入って行った煙を外へと吹き出す。


( *^ω^)「わかってるお!」

ξ ///)ξ「もう!」

 私とブーンは急いで準備を終えて、クーの待つ玄関へと向かう。

川 ゚ -゚)「……随分遅かったじゃないか」

 勿論、それ程待たせた覚えは無い。

ξ ///)ξ「べ、別になんでも無いわよ!」

川 ゚ ー゚)「ふぅーん」

 クーはドクオと同様に、ニヤリと笑ってみせる。
 部屋で行われた会話から、何があったのかは容易に予測出来ているのだろう。

('A`)「へへー実はコイツらよー」

ξ ///)ξ「ストップ!」

 ドクオの言葉を慌てて遮る。

川 ゚ ー゚)「何かあったのか?」

( *^ω^)「な、なんも無いお!」

('A`)「いや、なんか俺達待たせてコイツらよー」

ξ ///)ξ「駄目ー!」


 ドクオとクーの二人が私達をからかう。

……でも決してイヤな気分になどならなかった。

……初めて、こんな大きな声を出した気がする。



 家を出た私達四人は、ドクオの車へと乗り込む。
 案の定、車内には煙草の匂いが充満していた。

('A`)「よーし!んじゃあー、適当に走るから適当に飯屋探せよー」

川 ゚ -゚)「全く……君はいつも適当だな」

 ドクオのいい加減な発言に、クーが鋭く指摘をする。
 生地はしっかりとしているのにシワくちゃなYシャツに、アイロンをかけてパリっとさせる。
 例えるならばそんな感じ。

……二人はお似合いだなって思った。


('A`)「んーまぁ、取り合えず店探しはお前らに任すからな」

 そう言って車にエンジンを掛けて、アクセルを踏む。
 ブーンの時とは違い、力強い走り出し。

(;^ω^)「ドクオ!安全運転で頼むお!」

('A`)「俺はいつだって安全だぜー」

川 ゚ -゚)「この間、電柱にぶつけたのは何処のどいつだ」

ξ*゚⊿゚)ξ「アハハハハ」

 この光景を見て、思わず笑い声を挙げてしまった。

('A`)「へへっ」

川 ゚ ー゚)「ふふっ」

( *^ω^)「おっ!」

 釣られて他の三人も笑い出す。


……記憶が無くなったって、私が幸せなのがわかる。

……ずっと、このままでも良いなって思った。



………
……



 空の一番上にいた太陽も逃げる様に去って行き、当たり前の様に月が姿を現していた。
 テーブルの上にポツリとある、可愛らしいデザインの置き時計。
 それの針は夜の7時00分を少し回った辺りを指している。

ξ ゚⊿゚)ξ「ふぅー……疲れた」

 身体にダルさを感じ、倒れる様にしてソファーに座り込む。

( ^ω^)「身体……大丈夫かお?」

ξ ゚⊿゚)ξ「んっ……大丈夫」

 何日間かの入院で体力が落ちたのだろうか……。
 それとも元々、体力の無い方だったのか。
 帰ってきてから、かなりの疲労を感じる。


( ^ω^)「全く……ドクオもデリカシーが無いお」

 私達はドクオの車に乗り込んだ後、たまたま目に付いたラーメン屋さんに入ってちょっと遅めの昼食を取った。
 それからゲームセンター、ボーリングを立て続けに楽しんだ。

 そして……最後はカラオケボックスで、ドクオのジャイアンリサイタルが開催された。

ξ ゚ ー゚)ξ「でも……楽しかったわ」

……この言葉に偽りは無い。

 今でも、思い出しただけで笑いが込み挙げてくる。

( ^ω^)「ドクオは、昔からマイクを持ったら放さない男だったお」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

 ブーンが何気無く言った、"昔"と言う言葉。


その昔を……今の私は、何も知らない。

……昔の私はどんな女だったんだろう?

3_20091227100342.jpg



( ^ω^)「……ツン?」

ξ ゚⊿゚)ξ「んっ?」

 うつ向いていた顔を上げると、ブーンは心配そうな顔をして、私のことを見つめている。

( ^ω^)「顔色が悪いお……大丈夫かお?」

ξ ゚⊿゚)ξ「大丈夫!……少し疲れちゃっただけ」

( ^ω^)「もう今日は寝るかお?」

ξ ゚⊿゚)ξ「そうね……寝るかな」

 ブーンは
 『わかったお』
 と言った後、寝室の方へと向う。
 布団の用意をしているその間に、私は寝やすいラフな格好へと着替える。


( ^ω^)「準備オッケーだお」

ξ ゚⊿゚)ξ「うん、ありがと」

 ブーンに一言、お礼を言ってから寝室の方へと足を進める。

 寝室の床には、先程まで畳んで置いてあった布団が、二つ並んで開かれている。

( ^ω^)「じゃあ、ゆっくり休むお」

ξ ゚⊿゚)ξ「……ブーンはまだ寝ないの?」

 電気のスイッチに手を掛けて、寝室から出て行こうとするブーンを呼び止める形になる。

( ^ω^)「寝る準備してくるお、ツンは先に寝てるお」

ξ ゚⊿゚)ξ「ん……わかった」

( ^ω^)「おやすみだお」

ξ ゚⊿゚)ξ「おやすみ……」


『パチッ』


 私が布団の中に入ったことを確認してから、ブーンが壁に付いているスイッチを押す。
 部屋の隅々まで照らされていた光が消えてしまう。



ξ ゚⊿゚)ξ「……」


 ブーンが寝室から出て行き、今日初めて一人と言う名の孤独を味わう。

……イヤでも言葉が頭に浮かぶ。

 今まで篭っていた病院とは違う、時の経過を感じる。

ここでは……。

無情にも時が進んで行く。

……私の記憶喪失とは無関係に。

ドクオとクー。
二人はとても良い人達だった。
今日だって凄く楽しかった。

しかし……何処か寂しさを覚えたのも事実だ。

記憶が戻れば良いとは思わない。
だけど、この寂しさは……。


………
……



『ギィ……』

 どれ程の時間が経過していたのか……。
 1分か、30分か、それとも1時間か。
 不意にドアの開く音が聞こえて、闇の中に影の姿を見る。
 恐らくブーンが寝る準備を終えて、寝室に入って来たのだろう。

『……』

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

 ブーンは無言で、私の隣に位置する布団の中へと入る。
 布団の擦れる音が聞こえたと思うと……静かになる。


『……』

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

 未だ目の慣れない暗闇。
 布団の中に手を入れて……ブーンの手を握る。
 布団の中にあったブーンの手は暖かく、私の手に触れるとピクッ反応する。


……握り合う手と手。

……二人の距離が近くなっていくのが分かる。

……最早、どちらの布団か分からない。

……暗闇の中、二人は体を寄せ合い。


……見えない唇にキスをした。






この小説は2007年12月25日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者は◆KE5IbiKkzw 氏

第2話はこちら



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2009/12/27 10:06 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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