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( ^ω^)季節を旅する文猫冒険記のようです 最終章 そのさん

   
はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ

諸注意 このお話には房津チックな表現、キャラ設定が使用されております





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                      最終章 風と共に歩むもの
    
                おまけ そのさん 『 始まりを告げる病んだ風 』





2_20091227000404.jpg




【 言葉の意味は、自らを高め、その気にさせる合言葉。そのポーズは、空に我在りを意味する。 】


(参考映像)






びゅうぅぅぅぅうううう。


切りさかれた空気が、僕の体をかすめて大きな音を立てる。

甲高い音、うなるような音。

羽ばたいた時に聞こえるのは、翼に叩かれた空気が弾ける音。

壁に囲まれているせいだろう、いつも以上にスピードを感じていた。
でこぼこの壁が瞬きのまに通り過ぎて、続く洞穴がひとすじの線路になる。

ちなみに崖下には、これまた大きな河があり、轟々と流れていた。

何度目かの、大きなカーブを描くすきまを、身体を傾けながら飛翔する。
風は僕が通りすぎた後を追うように吹き、僕は風のいっぽ前を行く。


更にカーブの連続、左右に身体をふってクリア。

何だか楽しくなってきて、その場で急上昇、続いてぐるりと空中一回転。

遠心力と下降する勢いでさらに加速して、もっともっと早く。


ふと、人の姿が映る。

誰もが僕を指差し、なんだあれは、と驚愕に目を見開いているのだろう。
そんな彼らに、僕が通りすぎた事で起きる風が吹き、白い羽がひらひら舞う。


汗を拭って見上げる人が居た。遊び途中に足を止めて見上げる子供が居た。
突然の風にながい髪を押さえる人も、僕を追いかけようと駆けるがすぐに見えなくなった人も。

それら全てを追い越して、お構いなしに僕は飛ぶ。

たまにある障害物はに横回転。
上昇と下降をくりかえす蛇行飛行。

加速、加速、加速、ksk、もっと早く、まだまだ早く。

心地よい気分、懐かしい空気に包まれたこの空間、間違いない、この先には。

いつしか壁に彫られた溝の線はなくなり、人の気配がなくなってきた頃。
やがて、その終着点へとたどり着いた。


そして、そこに居た。


灰色の身体を砂に埋める、泥だらけの大きな大きな巨体。
今もまた、ゆっくりと爪をふりあげ、岩盤をも砕く力で崖を削る。


大地の竜、アースエイクドラゴンが、雄雄しく鎮座していた。


僕は興奮冷めやらぬままに、その巨体に声をかけた、というか叫んだ。


<_プー゚)フ『……ルォ?』(なんだぁ?)

( ^ω^)『ォ、グォオオオオォォン!!』(やっぱり!! エクスト!!)

<_;プー゚)フ『ルル……? ル!? ラグルルァル!!?』(お前…? な!? 嘘!! ホライゾン!?)

( ^ω^)『オオ、グオオ!!』(そうだお、僕だお!!)

<_プー゚)フ『ルガール! オメガルガール!!』
        (おいおい何で居るんだよ!! つーか久々だなお前! どんだけぶりだよ!!)

( ^ω^)『オンオン! オンゲキドウ!!』(はっはっは、覚えてるわけないだろう)

<_プー゚)フ『ルルイエ、イアイア、ナコトナコト!!』(いやー、こりゃ珍しくあいつも驚きそうだなぁー)

( ^ω^)『がお?』(あいつ?)


と、その時だった。大きな彼のすぐ後ろにある、これまた大きな水溜りに波紋が浮かび、
水面がぶわっと膨れ上がったと思った瞬間、同じく大きな何かが水上に姿を現した。


僕よりもスマートな体躯に、水色のタテガミから水を滴らせ、4枚の翼を大きく振るう。


その名は、水の竜、ウォータラードラゴン。名をシュール。


(;^ω^)『へ?』

が、浮上した勢いそのままに僕を掴み、そのまま水中へと引きずり込んだ。
そして、そのまま僕の体を抱き寄せたまま、沈んでいく。

(li ゚ω゚)『ゴォボボボボ!!!』(あ、アクロスかお!? ていうか、ちょ、死ぬ!! 死ぬって!!)

lw´‐ _‐ノv『キィ、リリ、リィーン……』(案ずるな、我らはこの程度では死なぬ……ああ、久しいなオメガ)

すると水面から、激しく水しぶきと水泡を混じらせ、巨大な腕が飛び込んできて、
僕らをちょんと掴むと、これまた凄い力で一気に引き上げられた。

そしてここからは、ドラゴン語でお送りしようと思う。
決して面倒になったのではないので、悪しからず。


(;゚ω゚)『げほっ、げほっ…!』

<_;プー゚)フ『何やってんだ、お前らは……』

lw´‐ _‐ノv『感動の再会に決まっておろう』

(;゚ω゚)『いいから、とりあえず離し……痛っ、ひれが刺さる!!』

lw´‐ _‐ノv『愛とは、やはり時に誰かを傷つけてしまう、切ないものよ』

(;゚ω゚)『くっ…いいから離せ!!』

lw´‐ _‐ノv『いやしかし、これでジェクトも揃えば、懐かしい四天王ぜんいん集合だな』

僕はどうにか振りほどこうと、翼を前方に畳む。
するとしゅるしゅると白い風が、僕の側で収束をはじめた。

(; ω )『ウイング……っ』

<_;プー゚)フ『げ、ちょっと待てホライゾン!!』


このかけ声と共に放つのは、烈風、あるいは突風。

が、しかし。

集ったと思われる風は、すぐさま四散し、そよ風となった。


(;^ω^)『…あ、あれ……?』

lw´‐ _‐ノv『む? どうしたのだオメガ?』

反撃してくるのを期待でもしていたのか、シュールは拍子抜けしたように僕を解放した。
どうやら、タイムリミットらしい。変身はまだ大丈夫だけど、そろそろ飛ぶのも無理そうだ。

<_;プー゚)フ『おいおい、本当にどうしたんだよお前?』

( ^ω^)『いや……』

僕はこれまでの経緯やら、ここに来るまでの過程を二人に説明した。
最初は黙って聞いていた二人だったけど、話の一部においてはシュールは本気で怒りはじめ。
おのれ人の子がぁああああ!!!! とか言い出したのをどうどうと鎮めて、ようやく全ての話が終わった。


lw´‐ _‐ノv『それにしても大変だったのだな……ああ、なんてことだ』

(;^ω^)『刺さるから、ひれが刺さるから、飛びつくのはやめれ』

( ^ω^)『んで、二人こそ何やってるんだお? こんな所で』

<_プー゚)フ『見りゃわかんだろ? 穴を掘ってるのさ』

lw´‐ _‐ノv『そして私は水脈を掘る』

何故かというと、この崖に住んでる人々の為らしい。彼らが移動した分、人の居住スペースが増え、
また、掘った河に流れる水が生物を呼び、その命と生活を育んでいる。

何故そんな事を? と問えば。

もう忘れた、とエクストが返した。

どうやら、本当に相当な昔からこんな事をやっているらしい。

だがシュールが言うには、本当は別の理由があって掘っていたんだけど、
気付いたらその跡に人が住み着いていて、
折角だからとちょっと世話をしてあげた所、もの凄く感謝されてしまい、引くに引けなくなったそうな。


( ^ω^)『別の理由って…?』

<_プー゚)フ『そりゃお前、あれだよ』

lw´‐ _‐ノv『オメガ、お前なら分かるはずだ、この地に起きている異変……この、悲しき風の正体が』

( ^ω^)『………』

(^ω^ )『……………やっぱり、そうなのかお?』

lw´‐ _‐ノv『うむ』

そう、本当はずっと感じていた、この地に足を踏み入れるよりも前から。
ズメイ号の上で、声が聞こえたあの時から、そんな予感があった。


この風は、規模こそ違えど、かつての僕が起こしてしまった物とよく似ている。


そうだ、この風は誰かの悲しむ声……精霊が、その壮絶なる嘆きにつられて暴れ続ける姿なのだ。


……。


( ^ω^)「シュー、ありがとうだお」

lw´‐ _‐ノv『リィ……リンリンリン』

その後、とうとう猫に戻ってしまった僕。こうなっては話もできないので、一旦戻ることにした。
結構なこと飛んできたけど、シューが運んでくれたので、すぐに帰ってこれた。

シューは僕を川岸に下ろすと、長いしっぽとひれを翻し、大きな水しぶきに虹をきらめかせながら去っていった。


( ^ω^)「さて、と……」

ここは崖の一番下。どうやって上に戻ろうか、そう思いながら辺りを見回したところで、ふと気付く。
いつの間にか僕の周囲、いや遠巻きではあるけど、人だかりができていて、こそこそ何かを話している。

まあ、こんな登場をすれば当然か、と僕は苦笑いをこぼした。

しかし、それにしたって変な感じがする、奇異の目で見られているというより、何かこう、
気のせいだろうか、頬染めてる人も居るし、嬉しそうというか、惚けているというか……。

まあ、とにかく、まずは上を目指そう。僕はその辺の人に道をたずねる事にしたのだが。


「物知り兄弟のとこですか!? はい!! もちろんご案内します!!」


そしたら、何かもの凄い反応をされて、僕は相当な挙動不審におちいった。


更に、それはようやく戻ってからも変わらなかった。
まず帰り着いた僕にかけられた第一声は、こうだったから。


ξ*゚⊿゚)ξ「あ、風神さま!! 帰ってきましたよ!!」

(;^ω^)「はあ?」

( ´_ゝ`)「おお、よくお戻りになられましたのう!! ささ、どうぞこちらへ!!」

(;^ω^)「え? いや、え?」

どうにも、出かけ前に会った時とはあからさまに様子が違う。
何がどうして、こんなもてなしの姿勢になっているのだ?

(´<_` )「既に宴会の準備はすすんでおりますので、もうしばらくは、ごゆるりお休みください、
       さあおつん、風神さまを奥へと案内してさしあげなさい」

ξ*゚ー゚)ξ「うん! ささ、こっちですよ!!」

そうして通された部屋の先では、フサ達も困った様子と言うか、ぽかーんとしたまま僕を迎えた。
話を聞けば、どうやら先ほど僕が変身したのを見た兄者さんが言い出した事らしい。

( ´_ゝ`)「この地には、古来よりこんな言い伝えがあるのじゃ」


『疾風の翼折れた女神の嘆きに、病みし風の節あらば、大いなる鳥あらわれ、
 その白き羽根を用いて救いたもう』


つまり、翼の折れた女神さまがあの上の世界の風を起こしていて、
それを白い羽根を持つ鳥がなんとかしてくれる。

よくわからない点は多いけど、要約するとこんな感じになる、らしい。
そして、その白い羽の鳥っていうのが、どうも僕の事だと言うのだ。まあそれは分かったけど……。

(;^ω^)「なんで風神さま?」

ξ*゚⊿゚)ξ「あの風をもし鎮められるとしたら……それは神様だもん! だから!」

川 ゚ -゚)「という訳らしいぞ」

(*゚∀-)「という訳で、救世主であるお前を歓迎するべく、これから宴会をするんだとよ」

(;^ω^)「なるほど…?」

話は分かった、しかも、何ていうか、確かに運命的なものを感じるタイミングだった。
何せ、ついさっき僕はそれとよく似た話を聞かされ、調べたいと思っていた所なのだから。

その旨を、さっそく僕はみんなに話す事にした。


ミ;゚Д゚彡「ドラゴンが!?」

(;*゚∀゚)「それって……お前が前に言ってた、四天王とかいうあれか?」

( ^ω^)「そうだお」

川 ゚ -゚)「となると、無限のアクロスと、撃砕のタルタルーガ…かな?」

(;´_ゝ`)「なんと……あの聖なる獣の方々と旧知であると言うのか…!」


(;^ω^)「まあ、いや、でもそんな、大した連中じゃないお…?」マジデ

(;*゚∀゚)(……頭はちょっと弱そうだよなぁ)

ミ;゚Д゚彡(ドラゴン四天王か……)


ξ*゚⊿゚)ξ「……やっぱり、やっぱり神様だったのね!!」

ξ*゚∀゚)ξ「私、私ね! 最初からそうじゃないかって思ってたわ!あの崖から飛んだの見た時から!
       やっぱり思ったとおりだったんだ!! 私が風神さまを導いたのね! 私すごい!」

ξ*゚∀゚)ξ「一目でもう分かってたんだから!!」

( ^ω^)「……」


( ^ω^)つ「がおー、食ーべちゃうぞー」

Σξ;゚⊿゚)ξ「ひやあ!? あわ、うわ、うわーーーーーーーーーー!!!!」


壁|;⊿;)ξ「ごめんなさいごめんなさい…!! たたた、食べないでくださいぃぃ…!!」

( ^ω^)(…面白い)

川 ゚ -゚)「で、美味いのかな?」

(;^ω^)「クー、顔がちょっとマジ過ぎるお」


こうして、崖から覗き見える空に影がおちて、月は見えないが夜がやってきた。
聞いていた通り、人がわんさかやってきて宴会がじきに始まった。

神さま~なんて言うから、最初はどうなる事かと思ったけど、始まってみればなんて事ない。
それぞれ好き勝手に食べて騒いでばかりで、何があると言う訳でもなく一安心。

出された料理はおもに山菜類、魚、あとはよく分からない固形物など。
とりあえず、ここでは肉は食さないのだろうか、と思ったけど、そもそも居ないのかもしれない。

部屋の外に出ると、崖の通路のいたる所に火がともされ、その下をたくさんの人が行き交っている。


川 ゚ -゚)「中々、壮観なものだな」

( ^ω^)「ほんとだお」

川 ゚ -゚)「……」

( ^ω^)「……」

何となく、僕らは黙ったまま。広がる光景に目を奪われていた。
と、その時、クーは少しうつむいて、零すように言った。

川 ゚ -゚)「不思議なものだな」

( ^ω^)「……お?」

川 ゚ -゚)「今、私はすごく楽しいんだ、そして、凄く幸せだ」

そう言われると、何だかこっちまで嬉しくなってしまう。
だけど、クーはそこで声のトーンを落としてから話を続けた。


川 ゚ -゚)「君が出て行った時、それからしばらくは何も手につかなかった、寂しくてしょうがなかった、
     そして、ついには君が死んだ事がわかった、別の存在になったと、だから忘れろと、そう聞かされた」


誰に、とは聞けなかった。


川 ゚ -゚)「工房士としての仕事も、廃業するつもりだった、もう何をする気にもならなかった」

川 ゚ -゚)「あの頃は……本当に、もう何もかも終わりだと、そう自棄になっていた」

それが、工房士という仕事をする上で、もっとも誇りにするべき存在、
名詞刻印を残さなくなった理由だと、彼女は言った。
明るく騒がしい景色の中で、僕らの時間だけが止まってしまったような、そんな空気だった。

川 ゚ -゚)「だが、今では、むしろそのおかげでこうして自由で居られる、
     あまつさえ、君と言葉を交わし、こうして幸せな時間を生きていられる……
     思い返すと今でも信じられないよ、今の状況が」


( ^ω^)「……クー」

川  - )「だからかな」


川  - )「たまに、私は怖くて仕方が無いよ、この時間も、いつか無くなってしまうのかと思うと」


そう言うと、クーは身を屈めて僕へとすがりつくように覆い被さった。
僕には何も言えなかった、分かっている、言いたいことは、その気持ちは僕にもわかるから。

人の寿命と、僕らの寿命。
言葉にするまでも無い、明確なまでに確約された永遠の別れ。

長い時間を生きる事と、過ぎた時間をあっというまに思えてしまう事は比例する。
生きれば生きるほど、時間が早く感じてしまう、ふりかえる事が怖くなる。


永遠に生きられたら。

そうまで考えた時、あの研究所での一件を思い出した。

言える事は、一つだけだった。


( ^ω^)「だから僕は、日記を書いているんだお」

そこに、記憶だけでは絶対に埋められない何かを、残すことができると、僕は知っているから。
何ならこれからは、一緒にふりかえろう、一つ一つの節を心から大事にすれば、時は応えてくれる。

( ^ω^)「その為にもクー、こんな所に居ないで、そろそろ戻ろう」

しばし沈黙。

川 ゚ -゚)「……ああ、でも、もう少しだけ、こうさせてくれ」






返事のかわりに、僕は黙って遠くを見据えた。



3_20091227000404.jpg




  壁|




ミ,,゚Д゚彡「………」

(*゚∀゚)「………」


ミ,,-д-彡「……」

(*゚∀゚)「……………」




こうして、風の谷の夜は更けていった。




夜おそくまで続いた宴会は、あれから乱入してきたシューとエクストによって更に盛り上がった。
とくに、シューが持ってきた謎の、変なにおいがする飲み物を飲んだ人たちは、もう、やばいくらいに。

匂いがきつい上に、ちょっと飲んだらクラクラしてきたので僕は飲まなかったが、
まともに飲んだフサやクー等は、顔をまっかにして、やがて倒れるように眠りについた。


そして朝が来て、何だか異様な静けさの中おもてに出ると、上から響くは轟々とした風の音。

僕はしばらく見上げたまま、物思いにふけっていた。すると、背後から物音。


(*゚∀゚)「ずいぶん早いな、風神さまは」

ふりむくと、つーちゃんが居た。

(;^ω^)「やめてくれお…」

(*゚∀゚)「……行くのか」

( ^ω^)「……うん」

別に、こうして宴会があったからとか、神とか呼ばれたからじゃない。
ただ僕自身が、この吹き続ける風のことが気になるから、行くと決めた。

それも、行くのは僕ひとりであるべきだと。


(*゚∀゚)「俺は足手まといにゃならないつもりだがねぇ……」

つーちゃんは、そんな僕の考えを見透かしたように言う。
そう、上に広がるあの風の世界、はっきり言って、僕以外があそこへ行くのは危険だ。

行くなら、僕ひとりでなければならない、そう考えていた。

でも、皆はそれを止める、もしくは一緒に行くと言うだろう。
だから僕はこうして、誰も目覚める前に、その場所を目指すべくこうしてここに居る。


(;^ω^)「……」

(*-∀-)「あー、分かってるよ、冗談さ」

返事に迷っていると、つーちゃんは茶化すように手をひらひらさせた。

(*゚∀゚)「てか、あいつらも、そんなに理解ない訳じゃないと思うがねぇ」

(*-∀-)「だからこそ、今もああして酔いつぶれて、ぐーぐー寝てるんじゃないのかい」

( ^ω^)「……そうじゃないお」

( ^ω^)「こんなの、すぐに片付く問題だからだお、みんなが起きる頃には事はもう済んでいる」

( ^ω^)「そうだお、つーちゃんも、もうひと眠りするといいお、そんで次に目覚めたときには……」

(;*゚∀゚)「おっ……?」

崖側を背景に、僕はつーちゃんに語りかける、そしてそんな僕のうしろでは、
これまた巨大な竜が、その巨体をこちらに寄せて、小さく、ルル、と吼えた。

(;*゚∀゚)「お迎え…って訳かい」


( ^ω^)「この、病んだ風はきっと、止んでいるお」

変身はしないまま、僕はロープを乗り越えながら跳躍し、エクストの背に飛び乗った。
つーちゃんは、流石にその圧倒的な大きさに少し面食らったようで、苦笑いをこぼしている。


『ルォ―――――ォ』

静寂に響く、辺りを気遣うようなエクストの雄叫び。変身してない僕に聞き取る術はないけれど、
行くぞ、とそう言っている気がした。その証拠としてドラゴンは、しっかりと大地を踏みしめ歩き出す。

すぐに、その場所は遠ざかって見えなくなった。


遠くを見る。

しっかりと休んだとは言え、僕の変身には、空を飛んでいるには時間制限がある。
だから、ある程度の距離までは、エクストに乗せていってもらう事にした。

というより、この掘り進んだ崖自体が、その場所を目指して掘られていた物だ。

何故そんな回りくどい事をするのか、と言うと。

どうやら、あの上の世界に吹いている風は、少し普通じゃないらしい。
特に、問題となる場所に近づけば近づくほどに、それは強さを増す。

その風は、水と大地を風化させる。

だから、二人は僕を頼った。


同じ風を使役する者として、少なくとも、無事に行くことができるのは僕だけ。

……しかし、本当にそうなのだろうか?

あの伝承のお話、白い羽の、大いなる鳥、それは果たして僕なのだろうか?
特に気になるのはその最後の部分、白い羽で、救い出す?

どういう事だ? 思い当たる節がまったく無い。

だけど何か一つ、頭の中で何かが引っかかった気がした。


と、同時に。足場がぐらっと傾いて、僕はエクストの固い背中の上を転がった。
いてて、とこぼしながら身を起こすと、エクストが何かを見上げている。

それは続く崖の終わり。彼らと再会したあの場所であった。


( ^ω^)「……ここから、って事かお」

『リィーーー』

ふと気付くと、シューも僕を見送りにきていた。
その目は、僕を心配げに見据えていた。


( ^ω^)「大丈夫だお、シュー、確かにこの先に何があるのかは分からないけど……」

( ^ω^)「僕にはこのほんの上の世界に響いている物が、
       悲しい辛いと、泣き叫んでいる声だって知っているから、
       そしてもう一つ、ここは良い人たちが住んでる、その人たちにも、そしてその悲しんでる誰かにも、
       優しい人たちを、僕は愛してる、だから僕は教えてあげたい、この広い大空の下を歩く素晴らしさを」

( ^ω^)「新しい世界に飛び出すときの、ドキドキするくらいの不安と希望を」

( ^ω^)「そして、その度に新しい自分に出会える瞬間を、教えてあげたい」

( ^ω^)「だから、見てろお」


( -ω-)「僕の」


しっぽで上手くバランスを取って、二本足で立ち上がり、翼を広げる。
続けて右手をへその上で真横に、左手は肉球をまえに突き出す。

その腕を、それぞれ身体の外側にスライド。そして。


(#゚ω゚)「変身!!」




萌える草原の匂いさえも寄せながら、白い風が、大きく巻き上がった。




畳まれた翼を広げ、羽が舞う。
僕はそのまま跳躍、いちど羽ばたき身体を浮き上がらせる。
そして上から二人を見下ろし、それじゃ行ってくると叫ぼうとして、


<_;プー゚)フ『いや、見てろったってお前、背中にいるもんをどうやって見ろと……』

lw´‐ _‐ノv『話が長くてよく分からなかったのう、結局なにが言いたかったのやら…』


悲しい現実を知ることになる。


( ;ω;)『うわああーーーーーーーーーーん!!』

僕は二人に背を向けて、逃げるように羽ばたき、崖沿いの空を翔けて行った。
そんな僕へと、人が聞けば大気を震わせる咆哮、僕にしたら気楽な応援の声がひびく。

<_プー゚)フ『お、頑張ってくれよ~い』

lw´‐ _‐ノv『風の竜大空を翔るか、ああ、オメガ、ひとつ言っておく』


lw´‐ _‐ノv『やはりお前には、空が似合う』


呟き、見上げるその姿は、すぐに崖をも飛び越えて、荒れる風などものともせず。
上昇を続け、じきに青空に溶け込むように上空にて翼を広げた。



……。



雲すら吹き飛ばす風に、映えるは青天。そして唯一飛んでいるのが、ええ、僕です。

目指すは、ここに最初にたどり着いた時に見えた、あの山だ。
エクストがそう言っていたのもあるし、僕自身、何となくそれを感じていた。

それにしても風が強い。

地上も凄かったが、上は更に酷いことになっている。
まるで規則性のない、全方向から殴りつけるような風。
少しでも気を抜くとバランスが崩れ、落ちるどころか吹き飛ばされる。


やがて、あの山にたどり着いた。


(;^ω^)『なんじゃこりゃ……』

遠目にも変てこな山だとは思っていたが、いざ目の前にすると異様な光景だった。
見渡すかぎりの山肌にあるのは、あの草原からは考えられない、灰色の石ころが転がる荒野、
それ以外にあるとしたら、枯れ朽ちた木々と、乾いてしまった川の痕跡。

更に進めば進むほど、山の上に行けば行くほどに、それは酷さを増していく。

こんな所に、生物が居るはずがない、生きられる訳がない。
あまりの状況に、僕は呼吸をも忘れた。死の大地とはまさにこの事か。

と同時に、こんな所に居たら、と思うと。この風にも納得できる気がした。


( ^ω^)『……とにかく、何か探してみよう』

こうして原因を求めてあたりを飛びまわっている内に、ふと、体に奇妙な重さを感じた。
というよりも、具体的には翼が、背中の腕がなにやら重い。そして、この感じには身に覚えがある。

(;^ω^)『む……?』


同時に、はげしい横風が僕を襲う。咄嗟のことにバランスが崩れ、あわや地表すれすれまで落ちた。
明らかに飛ぶ力が弱まっている、でもそれはおかしい、まだそんなに時間は経っていないのに。

考えられるのは一つだけだった。シューたちが普通じゃないと言っていた、この風。

思った以上に消耗が激しい、そう急いだりしなければまだ保つとは言え、状況はよろしくない。
どこかで一度、休んだ方がいいのかもしれない。そう思い、たまたま見つけた洞穴に僕は身を隠した。


( ^ω^)「ふう……やれやれだお」

洞穴は、大きな岩同士が重なり合ってできた小さい物だった。
僕は猫にもどり、中で座り込み、外を眺めながら小さな翼をはためかせる。

びゅ、ぅ。

ひっきりなしに聞こえてくる風の音。そして、それに混じる声もだんだんと大きくなってきた。
多分だけど、その場所はもう近いと思う。いっその事、このまま歩いて行ってみようか。


……それがいいかもしれない。
思い立ったが吉、おそるおそる入り口へと向かうと、
激しい風圧が顔にぶつかってきて、思わず息が止まりそうになる。

でも、歩けない程ではなさそうだ。砂利の多い斜面をしっかりと踏みしめ、僕は歩き出した。

色の無い景色のなか、砂埃ひとつない不気味なまでに清潔な地面、何もない世界。

これは中々精神的にくるものがある。こういうのを、虚無感、とでも言うのだろうか。

終わってしまった世界をひとり歩く、寂しくてたまらない世界。
この風は、悲鳴ではなくて、もしかしたら誰かを求めているのかもしれない。

ふと見上げた空はあまりにも快晴で、この大地とのギャップが余計に物悲しくさせる。

でもだからこそ、僕は前に進む力が湧きあがるのを感じた。
こんなの駄目だ、こんなの放ってはおけない。

今は変身時と違って、目を開けているのも大変だけど、それでも僕は少しずつ、
それでも確かに前へと進み、その場所へと着実に近づいていた。


どれほど歩いただろう。
生身でずっと風を浴び続けたせいか、少し身体が麻痺している。
振り向けば、地表はずっと小さく。あの崖でさえ、ミミズか何かのように見える。

これまた、ずいぶん登ってきたものだ。

でもやっぱり、先はまだまだ続いているので、僕はえんやこら登山を続ける。


そんな時だった。


『――――ひっく』

誰かの声が、とうとうはっきりと聞こえたのは。


(;^ω^)「ど、どこだお!?」

『……ぇ』

(;^ω^)「お、おーい! 誰か!! 誰か居るのかおーー!?」

僕は辺りを見回し、やがて視界の隅に動く姿を見つけた。
ちょうどすぐ上の方だ、大きな石の塊、そこにある大きな穴の中に。


イ从;゚ -゚ノi、「え、ク……だ、だれ?」

(;^ω^)「!! お前………」

戸惑いながらも僕を見るのは、大きな檻のような物の中で、鉄の鎖にからめとられた姿。
しかし、その姿はおよそ人には似つかない、手は翼、足は鳥、そして頭は人間の物。

いつだったか見た、本に載っていたその、なる獣の名は。


(;^ω^)「…ハーピー、ってやつかお……」

イ从;゚ -゚ノi、「……???」

地面の上で上半身だけを起こし、困惑した様子のままに僕を見る、たぶん彼女。
それにしても、まあ僕が言うのも何だけど、この異形の姿、驚きだ。


僕はしばらく見惚れるように立ちすくみ。
彼女もまた、呆然と僕を眺めている。


吹き荒ぶ風が、ほんの少し、和らいだ気がした。


イ从 ゚ -゚ノi、「……はね」

(;^ω^)「お?」

イ从゚ ヮ゚ノi、「……わたしと、おなじ」

やがてその沈黙を、彼女の囁くような声がやぶった。
どうやら、僕の背中に生えてる翼が気になるらしい。

まあ猫に羽生えてれば、気にするのが普通ではあるけど、この場合はいかに。

その足にかせられた鎖をかしゃりと震わせ、彼女が僕の方へとにじみ寄る、
見れば鎖の先には、いかにも重そうな丸い鉄の塊が転がっていて、その動きを阻害していた。

そして、鉄製の柵にまで寄りかかると、何かを言いかけては口をつぐむのを繰り返す。
何となく、その動作や身振りに妖艶なうつくしさが見えて、少しどきっとした。


イ从゚ ー゚ノi、「……」

(;^ω^)「あっ……と、君は?」

イ从゚ ー゚ノi、「……はるぴゅいあ」

イ从゚ ー゚ノi、「はるぴゅいあの、ぎん」

( ^ω^)「ギン? それが、名前かお?」

こくりと頷く。そして僕も、もつれそうになる舌で名を答えた。
何とも言いがたい間が流れて、気のせいか、風の音すらどこか遠い。

しかし、こうしていても始まらない。

(;^ω^)「と、とりあえず、そこから出してあげるお!」

イ从゚ -゚ノi、「ここから……?」

イ从゚ -゚ノi、「できないよ」

今度は首を左右に。

( ^ω^)「やってみなきゃわからないお」

そうとも、こんな狭いところで、鎖に縛られる姿を見せられて、放っておけるものか。
と、意気込んではみたものの、この鉄柵はかなり頑丈で、しかも入り口らしき物も無く。
ガシャガシャと引っ掴んでみても、微妙に揺れるばかりで軋みもしない。

たしかに今の僕の非力さでは、どうにか出来そうも無い。ならば。


(;^ω^)「……ギン、ちょっとびっくりするかもだけど、許してくれお」

イ从゚ -゚ノi、「?」

(#^ω^)「変身!!」

風吹き、すぐさま僕は姿を変えた。
そうとも、この姿でなら、たかが檻の一つや二つ。

でも、きっとギンはいきなりこんなの見たら、きっと怯えて……。

イ从゚ ヮ゚ノi、「……おっきな、はねだぁ」

(;^ω^)『ぜんぜんないや……』


どちらかと言うと、喜んでいるように見えるのは気のせいか。
何にせよ、話しはここから出してからすればいい、それとも出したら風がやんだりして。

なんて気楽な事を考えながら、僕はすこし離れるように手で離れるよう指示して、
この爪をもって引き裂いてくれるわ、とか言いながら腕を振り上げた、のだが。


『待て』


今度ははっきりと、暴れる風をものともしない、迫力のある声が響き、僕は固まった。
この声、僕にたいして言ってるんだよね、多分だけど、とにかく誰だろう。


(;^ω^)『……?』

そう思い見回してみるが、付近に人影は見当たらない、なにこれ幻聴?
しいて言うならギンくらいだけど、不思議そうに僕を見上げるだけでおかしな点はない。


風の音がそう聞こえたのかな、と思ったけど、主の居ない声は、尚もどこからともなく聞こえてくる。


『その者を解き放つことは許されない、早々に立ち去るがいい』


(;^ω^)『グオオ!? グルル、ウオオオ!!』

ついついそのまま返事してしまった、だが残念ながらこのまま喋っても訳が分からない。
現に返事もない。しょうがないので、僕は再び変身をといてから、もういちど言い直した。


( ^ω^)「誰だお!! 駄目ってどういう事だお!!」

『答える必要はない、去れ』

(#^ω^)「さては……お前がこの子をここに閉じ込めてる悪い奴だな!?」

『何故、そう思う』

(#^ω^)「何故ってそりゃ……! だ、駄目って言うからだお!」

我ながら酷い理由である。
しかし、引っ込みもつかないので続投。


『それが、彼女の為であるとしてもか』


(#^ω^)「そん……!」

( ^ω^)「な、訳………」

(^ω^;)「……そうなの?」

イ从;゚ -゚ノi、「……わかんない」


(#^ω^)「いやいや、こんな縛り付けられておいて、為であるわけないお!!」

『その鎖は一時的なものだ、彼女がもう逃げ出そうとしなければ…』

『いや、山を降りようとしなければ、鎖どころかこの檻も、本来必要がないのだから』

(;^ω^)「ん、んん?」

よく分からなくて、しばし考える。ええと、つまりどういう事だ?
……ギンは、山を降りたがっている、でもこいつが許さない、だから閉じ込めている?


おk、把握。


(#^ω^)「この檻ぶっ壊す!!」ヘンシン!!

『……!!』

色々省略して、どろん、と変身。
もうこんな声は無視しよう、それで万事解決だ。


( ゚ω゚)『ォォオ!!』

『やめろと言っている!!』


その時、すごまじい突風が吹いて、僕をすっ転ばせた。
おかげで斜面をちょっとかなりものすごい勢いで転がり落ちてしまった。

くそ、猫の状態だったら下手すると死んでるぞこれ。


(#゚ω゚)『やったな…!! 誰だか知らんけど、風使いがこの僕に喧嘩を売るとはいい度胸―――』

『済まなかった、だが無礼は承知だ、まず話を聞いて欲しい』

(;^ω^)『―――だ?』

こういう時、下手に出られると弱い、というか困る。
まあ、どうせさっきのも聞こえてないんだけど。

こうして、忙しい事にまたしても変身解除。


(;^ω^)「……なんだお」ンモー

『わかった、そうまで言うならお前の行動を認めよう』

( ^ω^)(……変身解く前にいってくれよ……)

『ただし、条件がある』

( ^ω^)「…まあいいお、んで条件って?」

『この山を更に登った先に、その牢を解く鍵がある、そこへ来て欲しい』

( ^ω^)「んで、助けたければ鍵を使えと?」

『そうだ、そして……私はそこで待つ』

なんだ結局やる気ってことか。いざとなると少し気が引けるが、そうも言っていられない。
……うん、それに、本当にバトろうって訳でもないかもしれないし、いや、別にびびってはないけどね。


え、足? 震え? いや、これはちょっと疲れとか、武者震いとかのあれだ、うん。


( ^ω^)「じゃ、ちょっと待っててくれお」

イ从゚ -゚ノi、「……どこにいく?」

( ^ω^)「ちょっと上まで、そしたら、すぐに出してあげるお」

イ从゚ -゚ノi、「……?」

そう言う僕に、ギンは何故か不思議そうに首をかしげていた。
妙に気になる素振りではあったけど、それより意識は呼ばれた先に向かう。

つまりは、この山の上。どうせ頂上とか言うんだろう。

いいだろう、ふふふ、文字通り頂上けっちぇんといこうじゃにあか。



……いや、ほんと、ぜんぜんびびってないから。



まあ、予想しなかった訳じゃない。思い当たる節はいくつもあった。
声を聞いた限りでもそうだし、銀という存在が思い出させたのもある。

それより前にも、大いなる鳥、白い羽で救うという言葉。

何となく、そんな気はしていた。

頂上にたどりついた先にて、背を向ける姿に、僕は声をかけた。
すると、その大男はゆっくりとこちらへ振り返る。

「来たか、風の竜よ」


そこに居たのは、大きな鳥。

そして、幾度となく人を救ってきた、白い羽の生えた腕を持つ。


( ^ω^)「やっぱり……あんただったのかお、クックル」

( ゚∋゚)「まず言っておこう、あの檻はお前の力をもってしても砕くことはできん、
     出来るのは、あれを施したこの私だけだ」

( ^ω^)「つまり、あんた自身が鍵ってことかお……んで、どうするんだお?」

( ゚∋゚)「話をしたい、私としても、お前はもっとも敵にしたくない相手だ」

( ^ω^)「……僕もだお、あんたには…一度みんなを助けてもらった恩があるお」

( ゚∋゚)「では、何から語ろうか…」

( ^ω^)「何であの子を、ギンを閉じ込めたりしたんだお」

( ゚∋゚)「それは……」

( ゚∋゚)「あの子は、綺麗だろう?」

(;^ω^)「はあ?」

何だ、何を言い出すかと思ったら、のろけ話か? まさかそれが理由じゃあるまいな。
とか思いながら、訝しげな目を向けていると、構わずクックルは続けた。

( ゚∋゚)「そう感じなかったか? 少しでもあの子の側に居たのなら……」

( ^ω^)「まあ………ちょっとだけ、いや、正直に言うなら、見惚れるくらいだお」

なんか言ってて気恥ずかしいが誤魔化しても仕方が無い、
僕は素直に答えることにした。けど、マジでそんなアホな理由なのか?

( ゚∋゚)「鮮やかな赤色の羽、七色に輝く羽毛、そして容姿、それらが人を惹きつける」

( ゚∋゚)「そして、あの子は無知だ、更にその心は澄んだ水のごとく透き通っている」

(;^ω^)「……なんだお、なんかの自慢大会かお?」

( ゚∋゚)「純粋無垢ゆえ、人に何の警戒心も抱かない、その上、人に近づくことを好み、また望んでいる」

( ゚∋゚)「あの牢から解き放てば、彼女はその翼で人里へ向かい、共に生きようとするだろう」

( ^ω^)「……」

( ゚∋゚)「だから閉じ込めた、決して人に近づいたりせぬように、心より理解るまで」

(;^ω^)「……それ、ただの誘拐、もしくは監禁って言うんじゃ」

(#゚∋゚)「風の竜よ、それは本気で言っているのか?」

(;^ω^)「お?」

(#゚∋゚)「我らのような存在が人に近寄れば、そこでいかなる事態が起きるか!
      それは貴様が一番、身をもって知っている事ではないのかと聞いている!!」

(;゚ω゚)「!!」

その叫びで、僕は自分がいかに軽率な考えをするようになっていたかを悟る。

人の世界での暮らしに慣れ過ぎたせいだろうか。
そうだ、現に僕は、人に近づきすぎたせいで酷い目にあった。
いや、酷い目とか、そういう次元じゃない目にあったのだ。

なんせ体が細切れだ、普通なかなか体験できないぞ。レア体験。

しかし、だからと言って、今はこうして元気にしている訳で、失敗を恐れていたら……。


( ゚∋゚)「それはあくまで成功を収めた者、あるいは強者の理屈だ」

( ゚∋゚)「全てがお前のように生きられる訳ではない」

( ゚∋゚)「世の中には、どうあっても覆すことのできない弱者とて居るのだ、
     やればできる? それが力なき者にとって、どれほど残酷な台詞か分かっているのか」

(;^ω^)「……でも、だからって、あんな閉じ込め方をしなくても」

( ゚∋゚)「そうでもせねば、あの子は人里へ降りようとする、そう言ったはずだ」

( ゚∋゚)「それに、知らぬようなら教えてやろう、ハーピーという生物は人の世界において、
     竜の伝説と同じく、掠め取るもの…人の心と魂を奪いさる存在として語られているのだ」


( ゚∋゚)「確かに全ての人々が悪とは言わん、だが、世界には間違いなく悪意が在る」


(#゚∋゚)「其れを知りながら、彼女の好きなようにさせて、後は知らぬ振りをしろと?
      其れとも守れと言うのか? いつ降りかかるやも知れぬ災厄から、
      そして、そのたった一度を見逃した為に、死ぬより辛い目に会わせろと言うのか!?」

(  ω )「……」


確かにそうかもしれない、僕は酷い目にはあったが、まだ運がよかった。
この生命力、というのもあるし、何より周りに居てくれた人々が、皆良い人ばかりだった。

僕の正体を知っても、それは変わらなかった。

それに、ドラゴンと言う存在も、そういう意味では強者にあたる、
現に人から信仰と恐怖はされたとしても、殴りかかってくる者はまず居ない。


だが、彼女はどうだろう。

イ从゚ ー゚ノi、

初めて見るあからさまに怪しい僕へと笑いかけ、警戒心の欠片もなく近寄り、
あまつさえ、目の前で変身しても、驚くばかりか喜んでいた。

それはつまり、他者という存在への恐怖が、全く存在しないという事だ。

( ゚∋゚)「私には……そんな事は我慢できぬ」

( ゚∋゚)「そんな事になるくらいなら、私は恨まれようとも、あの子を守る
     いくらでも汚名を浴びよう、外道と罵られても構わない、全てはあの子の為なのだ」

ああ、いくら何でもそれは危険過ぎる、もし普通の人であったとしても同じ事が言える。
ならば閉じ込めてでも、人に近寄ってはいけないと教えるべき。


( -∋-)「分かっただろう、それでも、お前は彼女をここから解放すべきだと言えるのか?」

それは分かる。

(  ω )「聞くお」

( ゚∋゚)「なんだ」

(  ω )「ギンは、お前にとっての何だお」

( ゚∋゚)「……娘だ」

(  ω )「もう一つ、お前がそこら中で人助けをしたりしてるのは……その免罪符だお?」

(  ω )「そのせいでこの地に、風を起こしてしまったから、というのと」

(  ω )「悲しませている事に耐え切れなくて、外の世界で人助けなんて真似を行っている……違うかお?」

( -∋-)「……そうだ、情けない話だが、私は逃げた」


クックル自身もまた、弱者だから。

それも分かる。


僕に言えた事じゃない、大切な誰かを傷つけてしまった時、逃げたくなるのを否定はしない。


分かる。


(  ω )「わかったお」


が。


(#^ω^)「お前は、何も分かっていないお」

( ゚∋゚)「……何?」

(# ω )「どうしてギンがあんなにも警戒心というものを持てないと思ってるんだお……」

(#^ω^)「それは! あんたのせいじゃないかお!!」

(#^ω^)「外にでれば、そりゃ確かに傷つくかもしれないお、ていうかそうなるお!
       でも傷つかなきゃ、人は、心ってのは成長どころか生まれもしないんだお!!
       ちょっとづつでも、少しづつでもいいから、お前がそれをしなきゃいけなかった!!」

(#^ω^)「だから、よーーーーーく分かったお! あんたは親馬鹿だ、そしてその親馬鹿のせいで、
       あの子が成長することを邪魔した、その機会を奪って、その心まで殺そうとしている!」


(#゚ω゚)「いいか、この鳥頭、これから言う事は死んでも忘れるなお!?」

(#゚ω゚)「心って言うのは、自分の為にあるんじゃない!! むしろその逆!!
      いわば、誰かと心を通わすために必要だから存在するものなんだお!!」

(#゚ω゚)「つまり、それを奪おうとする、あんたが全部悪いんじゃ!! このぼけぇーーーーーーーーーー!!!」


( ゚∋゚)「……言いたいことは、それだけか」

(#゚ω゚)「いいや、まだだお、あんたにはやっぱり、ギンを開放してもらう」

( ゚∋゚)「…して、どうしようと言うのだ」

(#゚ω゚)「僕が連れて行く、そしてあの子に世界を見せてやる」

(#゚∋゚)「……取り返しのつかない事になったらどうする」

(#゚ω゚)「そんな事にはならない!! 僕が守るからだ!!」

(#゚∋゚)「何故言い切れる、片時も離れず見守るとでも言うのか!?
      たった一度の失敗もないと、本気で思っているのか!?」

(#゚ω゚)「思ってるに決まってるだろ!! 」

(# ω )「なぜなら……」

( ^ω^)「僕は、強者だからだお、さっきあんたが言った事だお、強者にはそれができると」

( ゚∋゚)「馬鹿な……そんなのは妄言に過ぎん」

( ^ω^)「だったら、試してみるかお」

( ゚∋゚)「試す?」

( ^ω^)「そうだお、もし――――――」



………。



イ从゚ -゚ノi、「……え?」

( ^ω^)「だからギン、僕と一緒に、来るかお?」

僕はさっそく、ギンの下へとやってきた。
しかしこれで嫌とか言われたら、非情に困るな。

イ从゚ -゚ノi、「………そと」

( -∋-)「…………」

とまあ、そんな心配もどこ吹く風。


イ从゚ -゚ノi、「………はね」

( ^ω^)「お?」

イ从゚ -゚ノi、「……………わたしと、おなじ」

( ^ω^)「……うん」

イ从゚ -゚ノi、「だから……」


イ从^ ヮ^ノi、「……いく」



………。



場所は変わって、ナギ渓谷。

崖の隙間をゆきかう人々は、やがて空にある物を見つける。

白くて、もこもこした煙のような、それでいて大きな塊だった。

何だあれはと、それはすぐに騒ぎになった。


壁|;⊿;)ξ「せ、せかいの終わりだっーーーー!!」


(;*゚∀゚)「おい落ち着け、あれは変なもんじゃねえから」


壁|;⊿;)ξ「じ、じゃあ、あれは何なんですかおつうさん…」


(*゚∀゚)「あれはな……雲ってんだ」


壁|;⊿゚)ξ「くも?」


(*゚∀゚)(……しっかし、ブーンのやつ、マジでやってのけたのか…)

(*゚∀゚)「大したもんだよ、ほんと」


ミ;゚Д゚彡「んー? みんなどうかしたのか?」

(*゚∀゚)「見ればわかんだろ、雲が浮いてんだよ」

ミ,,゚Д゚彡「そりゃ浮くでしょうに」

(;*-∀-)「はあ……駄目だこの馬鹿は」

ミ;゚Д゚彡「えっ、えええっ!!?」


(´<_`;)「兄者……風が止んだらしいぞ」

(;´_ゝ`)「ば、ばかもの! 知っておるわ!! ワシは物知り――」

(´<_` )「流石にリアルタイム事件くらい普通に驚けよ……」

(*´_ゝ`)「と、とにかく、これぜったい風神さまのおかげじゃん!! 間違いないって!!」

(*´_ゝ`)「もっかい宴だ!! 宴するしかねえぞこれ!!」ヤッホウ

(´<_`;)「おい、口調が素に戻ってるぞ」



lw´‐ _‐ノv『感じたか、タルタルーガ』

<_プー゚)フ『もち、止んだな、風』


川 ゚ -゚)「ふ、当然だ」

<_;プー゚)フ『うおおお!? いつの間に人の背中に!!??』

川 ゚ -゚)「相変わらず鈍い奴だ」

lw´‐ _‐ノv『そもそも私が連れてきたのにのう』

<_プー゚)フ『……ていうか、前から思ってたんだけど、なんで言ってる事わかるんだ?』

川 ゚ -゚)「全部わかるわけじゃない、何となくわかるだけだ」


lw´‐ _‐ノv『……と、帰ってきたぞ』

<_プー゚)フ『なぬ!? お、おお! マジだ!!!』

川;゚ -゚)「ん……? ちょっと待て、なんかもう一人居ないか?」

lw´‐ _‐ノv『あれは……』





『鳥?』




どこまでも広がる草原の上に落とされた、翼を広げた二つの影が、たなびく風よりも疾く駆け抜けていく。

そのシルエットを、谷に暮らす人々は初めて見上げた。

見るたび、人はこう口にした。 あれが鳥か、と。


柔らかな風が包む大地の上を、長らく飛び回っていた二つの影は、やがて、そろって谷へと降りていく。

大きな影と、小さな影だった。



誰もが、その姿を歓迎していた。

同時に、歓喜の声をあげていた。



―――もし、僕がこの子を連れて行って、あそこに居る人たちが奇異の目で見なければ、僕を信じろ。


( ゚∋゚)「………」


―――なんせそこには、お前が強者だと言った僕なんかより、ずっと強い人たちが居るんだから。



ミ;゚Д゚彡

(;^ω^)


イ从゚ -゚ノi、

壁|;⊿;)ξ

イ从゚ ー゚ノi、

壁|゚⊿゚)ξ


ξ*゚ー゚)ξ

イ从゚ ヮ゚ノi、


ミ,,゚∀゚彡

(*-∀-)

川 ゚ー゚)



人知れず、もう一つの大きな影も、どこかへ飛び去った。



4_20091227000403.jpg




そして今ではない時間。

蒸気をあげる船が、幾度となくこの地を訪れた後の、同じ場所で。

草原が広がっていたその場所で。

色とりどりの花が咲き誇る、元、何も無い草原を、子供たちが空の鳥を追いかけて、どこまでも駆けて行く。


きっとそれも、冒険の一つ。


そんな冒険という旅の中で、僕らが学んできたのは何だろう。

悲しみばかりを学んでいたような気さえする。

でもその果てに、今の笑顔があるのなら、きっと全ては無駄じゃなかったんだろう。

僕の日記、次のページは白くても、きっとすぐに薄汚れていく。

どう汚れるだろう。黒いのか、青いのか、赤いのか、それとも濡れてしまうのか。

見えずとも歩けば、その答えも見えてくる。

この先だって、どこまでも道は続いている。

きっと終わりはなくて、僕らはどこまでもどこまでも歩いていく。

会えずとも、見えずとも、僕らはどこかを歩いている。


空と大地、川と海、町をつなぐ人々と、更にそれを繋ぐ人の心。

あるいはそれを絆と呼ぶ。

そう、心あれば果てもなく続く。

終わりなど、一つも無く、季節は続く。

振り返るは、ハジマリのミチノリに、オモイデをサガシながら、蘇る季節を、風とともに歩いた記録。


そして、これからも、どこまでも続く、永遠の記録。



それが。






                  【 季節を旅する文猫冒険記のようです 】






1_20091227000404.jpg


                    最終章 風と共に歩むもの

              おまけ そのさん 『 始まりを告げる病んだ風× 』
                          『 始まりを告げる止んだ風○ 』


                                                     ○○○。






この小説は2009年6月2日から2009年6月4日にかけてニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者は◆6Ugj38o7Xg 氏



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2009/12/27 00:09 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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