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( ^ω^)季節を旅する文猫冒険記のようです 終結章 其の三





  < 紅季   節 >


「おい、ブーン」


寝ているのか、よくわからない感覚に沈む僕を、聞きなれた声が呼ぶ。
ふと目を開けると、一面の空が視界いっぱいに広がっていた。

こんな綺麗な空なのに、僕の心は曇ったままの……。

ていうか、さっき聞こえた声は何だったんだろう。
そう思って凝り固まった体を無理に引き起こすと、僕は我が目をうたがった。


ミ#゚Д゚彡「…探したぞ、このやろぉ」


フサが、両腕を前に組んで、僕を睨みつけていた。


(; ω )(でっ…)


ミ#゚Д゚彡「つーか、こんなとこで何してんだよお前は…」


(; ω )(出たあああああああああああああああああああああ!!!!)

ミ;゚Д-彡「うわっ、ぷ……こ、こら! 砂が飛ぶって!!」

慌てて逃げ出そうと羽ばたくが、何故だろう、妙に力が入らなくて、
僕は道端にころがる蝉のように翼で激しく地面を叩く、ものすごい砂埃が巻き上がる。


(; ω )(なんだこれ……どうなって)

ミ,,゚Д゚彡「ああ……クーが言ってたよ、そろそろ飛べなくなってる頃だ、ってさ」

(; ω )(と、飛べなくなるって……それ、どういう意味だお……)

(; ω )(いやいやいや、そんな事よりも!)

なぜフサがここに居るんだ、だってフサはあの時僕が、見間違えなんかじゃなかったはずだ。
あんな大きな機材の下敷きになって、片腕を失くし、あれだけの出血量だ、生きている筈がない。

だと言うのに、今こうして当然のようにここに居て、僕をブーンと呼ぶのは何故だ。

これは、もしかして夢なのか?


ミ,,゚Д゚彡「……ほんとに、言ってる事がわかんねぇや」

ミ,,゚Д゚彡「ブーン…おい、何とか言えよ……」

(  ω )(そんなこと言われても……)

ミ,,゚Д゚彡「おおおー、じゃなくてさ、喋れよ、ちゃんと」

(; ω )(僕だって、言葉を話したいお……)

ミ,,゚Д゚彡「……まあ、いいや、じゃあ聞け」

ミ,,゚Д゚彡「お前はどうせ、あれだろ? 俺が恨んでるだろうから、もう一緒に居られないとか、そう思ってんだろ?」

(  ω )(……)


ミ,,゚Д゚彡「……そりゃあさ、確かに、全部思い出した時は、お前のこと恨んだよ…
      俺があんな目にあったのは、全部こいつのせいだっ、ってさ」

ミ,,゚Д゚彡「でも、なんでかなー……お前のあのにやけ顔見てたらさ、なんかもう、いいかな、っていうか……」

ミ;゚Д゚彡「いや、そうじゃないな……あー、だからさ、そうやって昔のこと思い出した時にさ、
      一緒に色んなことも思い出しちまったんだよ、んでやっぱりさ、
      ずっと、俺の横に居てくれたのって、お前じゃん」

ミ,,゚Д゚彡「確かに色々、お前が俺から奪ったかもしれないけどさ、
      それでも、それに値するだけの物、俺はお前からもらってんだよ」


ミ,,゚Д;彡「つか、当だり前だろ、ぞんなの、だっで俺と一番付き合い゛長いのっ、お前だんだぜ?
       お前と過ごした時間が、俺の人生で一番多いんだぜ?」


ミ,,;Д;彡「なんで、そんな事もわかんないかな、
       お前……冗談じゃねえよ、なんで、俺をまったく信じないんだよ、
       俺はむしろそれが嫌なんだよ、気にいらねえんだよ、お前言ったじゃねえか、
       俺と、ずっと旅を続けたいと思ってるってさ」


ミ,,;Д;彡「何だよお前……あれは嘘かよ、嘘だったのかよ!! おい!! 何とか言え!!」


(  ω )「ち、が」


乾ききっていた筈の目頭に、ふいに熱いものがこみ上げてきた。
喉が鳴る、鼻も垂れて、いつの間にか目からは洪水のように涙が溢れていた。

( ;ω;)「違うお……僕は、心から、そう思ってるお……」

ミ,,;Д;彡「だったら、どこにも行くんじゃねえよ! 俺を置いて、どっかに行こうとすんなよ!!」

嬉しさもあった、だけどそれ以上に、この時ほど自分を情けなく思った事はない。
今まで我慢をしていた分、一気に溢れ出ていく。

気付けば、フサが僕を見下ろしていた。

もう、どうしようもなく涙が止まらない、僕は一体、本当に何をしていたんだろう。
信じることさえせずに、何をしていたんだ、何で、僕はこんなに馬鹿なんだ。

そして、どうにか一つだけ、言葉をひねりだした。




「……ごめん、なさい…ですお」






             ∧∧ 
            ミ*゚∀゚彡 ソレカラドッタノ?
             ミ,,,,,,,,,,ミ

           紅季 85節






早朝、フサは行きたい所がある、と言って珍しく早起きをした、
その行きたい場所と言うのは、あのハインリッヒの研究所だった。

ちなみに、ハインリッヒの死亡については、あまり騒ぎにはなっていないらしい。
付近の話によれば、どうやら元々、彼女は住民からも危ない人だと見なされていたようで、
死亡が伝えられた所で、出てくる感想は精々「とうとうやらかしたか」程度の物だったとか。

死んで当然、なんて言うつもりはないが、同情する気になれないのも事実だった。

それはさておき。いったい何故、と問うとフサは静かにこう言った。



『お墓を、つくってあげたい』



と。

そうして、どうにか研究所内にまでやってきた僕らだったが、やはりどうにも居心地が悪い。
まあ雰囲気も暗いし、あいかわらず不気味きわまりないとくれば、好き好むはずがそもそもないのだが。

そうして暗がりの中、かろうじて生きていた明かりを探し、やがて天井から光がふりそそぐと、
荒れた研究所ないの様子がこんどは鮮明にうつしだされ、陰鬱な空気がすこしだけ和らいだような気がした。

辺りはボロボロで、無傷な柱のほうが少ないくらいだが、幸いなことに彼女の柱は無事だった。

ミ,,゚Д゚彡「……おかー  ん」

フサは早速もくてきの場所にむかうと、赤い水が満たされた水槽を前に立ち。
しばし呆然と眺めてから、ぼそりと何かをつぶやいた。

捨てられたのだと思っていた、本当の母親。
だけど違った。

でも再び出会えたその姿は、もはや人の姿すらしていない、
それを識別する手段さえ、小さな板切れに書かれた文字だけだった。

嘘だと言われたら、容易く信じられそうなほど、空虚な存在。
だけど、フサは今にも泣き出しそうな声色で、静かに鼻をすすっていた。
残されたのは、今も握り締めているあの日記だけ。

僕らは言葉も無く、ただそんな姿を見ていることしかできなかった。
やがてその吐息に嗚咽が混じると、更に場の静寂がつよまるのを感じた。

と、その時。フサの手からこぼれ落ちたノートの数ページがはらりと僕らの真下におちた。
ぎっしりと書かれた文字列、その節にあった出来事や、自分の近況、などが書かれている。

最後のほうの一文は、やけにはっきりと目に映った。


『………起き上がるのも辛くなってきた、フーちゃん達が帰ってくるまで持たせたかった』

 
に続き。


『あなた達を愛している』


に終わる。

そして、何度見直しても、僕に対しての恨みを書くような言葉は見当たらなかった。
けど、よく見れば何箇所か、明らかに僕のことを語っているのだと分かる言葉もあった。

その最たるものは。頻繁に使われている『達』という単語。

(  ω )「……………」

自然と涙があふれて、それ以上文字をみることができなくなってしまった。
にじんでいく視界、わきあがる熱を、僕はうつむき身を縮めて必死にこらえた。

(´;ω;`)「うっ……!!」

ふと、隣から漏れる嗚咽に目をむければ、ショボが必死に声をおさえていて、
そのまま見上げた先でも、みな一様に目をまっかに泣き腫らしていた。

ハインリッヒ、あの人が言っていた心の持続。
あれは、本当は悪いことだったんだろうか。
だってもしあれが本当なら、こんな悲しい光景を見なくて済んだはず。

なら、僕一人が犠牲になるだけでいいのなら。それなら。

ああいっそあの日記に、ぼくへの怨み辛みを書いていてくれればよかったんだ。
そうすれば僕もそれを受けて、背負って生きていく事だってできたのに。

これじゃ、いくら何でも辛すぎる。

その時、うつむき体を震わせる僕をしぃが抱き寄せた。
正確には上から覆いかぶさってきたのだが、どちらでもよかった。

どちらでもいいから、背中で泣くのはやめてほしい。
つられてしまうじゃないか。

(*; -;)「いいんですよ……がまんしないで、いいんだよぉ……」

その言葉を皮切りに、ぽつぽつと涙が床に落ちた。

こうして、わんわんと泣き喚く僕らだったけど、
フサだけはそんな素振りも見せず、ただ変わらずに立ちすくんでいた。


そんな背中に、やがてつーちゃんが声をかけた。


(*゚∀゚)「……代わってやろうか?」

ミ,,゚Д゚彡「……ありがとう、つーちゃん」

その問いに、ふるふると首をふってから、フサはふりむいた。
やけに落ち着いたその表情が、よけいに物悲しかった。

ミ,,-Д-彡「でも、これは…」

ミ,,゚Д;彡「俺が、やらないと……だって、俺の…」

フサは一歩踏み出して、ゆっくりと手を柱へと向けていく。
その先にあるのは、一つの赤いボタンと、その上に書かれる排水の二文字。

どれほどの間があっただろう。

やがて、小気味よい音をたてて、赤いスイッチが。






カチ



押された。



街から少し離れた山の高台に、彼女のお墓は立てられた。

あたりの景色を一望できる、見晴らしのいい場所だった。

時季は透季、肌寒いを通り越して本当にさむいこの季節、ほんらいなら木々も花も眠りについているが、
この先にあるあの不思議な森の影響だろうか、山をさがせばいくつかの花はすぐに見つかり、
皆であつめた色とりどりの花束が、その小さなお墓に添えられた。


1_20091226235601.jpg


僕らはしばし目を閉じて、その場で風に身を任せていた。
するとショボがくしゃみをして、僕はすこし睨むようにショボを見た。

まあ寒いもんなぁ、フサはそう言って。
じゃあ、そろそろ行くか、つーちゃんが続けた。

行くあては、今のところ何もない。
だけど目の前に道があって、その道は見果てぬ先まで続いている。
ならばあては無くても、進むだけ。

歩く理由なんて、そこに道があるから。くらいで充分だろう。

ああ、でも歩ける理由なら見つけられた気がする。
それはそう、帰る場所を見つけたから。

どこから来て、どこへ向かうのか、旅に必要なのはこの二つ。

前者を見つけたら、今度は後者を探して歩くんだ、それでいいんだ。


(*゚∀゚)「しかし、結局その背中だけは戻らなかったみたいだな」

(;^ω^)「お……」

道がてらにつーちゃんが、僕の背中をすこしだけ困った風に見ながら言った。

そう、猫の姿には戻れたものの、背中に生えた腕、もとい竜の翼(小)が生えたままで、
僕が歩くのにあわせて、今もパタパタとはためいていた。

(;^ω^)「やっぱり、なんかで隠した方がいいのかお……?」

(;´・ω・`)「ちょっと目立つよね…」

(*゚ー゚)「ええぇ!? そんなもったいないですって、かっこいいのに!!」

ミ,,゚Д゚彡「それよりさ、空は飛べないの?」

(;^ω^)「うーん……ちょっと飛べそうにないお」

ちょいと必死こいて羽ばたいてみるが、浮き上がるどころかそよ風しかおくれない。
いやまあ、そんなの分かりきった事ではあるんだけどね。

大体、おっきくなって飛んでた時だって翼は姿勢制御に必要なくらいで、
実際はほぼ、精霊たちの力をつかって、風を操っているようなものなのだ。

ミ;゚Д゚彡「え、じゃあ、あれか! ブーンっていわゆる精霊使いなのか!」

(;´・ω・`)「魔法を使って飛んでるって事?」

( ^ω^)「おっお、そうだお、でなきゃあんな重い体浮かせられないお」

まあそうは言っても、普通の精霊使いとは桁も規模も違う。
だからこそ、あのような災害を起してしまった訳だが、それはもう置いておく。

( ^ω^)「そして何をかくそう、ドラゴン四天王の一人、忘却のオメガとは僕のことだお」

ミ*゚Д゚彡「おお…! 言っている意味はさっぱり分からんがなんか凄そうだ!!」

(*゚∀゚)「ほんとかよ」

(*゚ー゚)「素敵なうさんくささですねぇ」

ちなみに、これは僕らが勝手に名乗っているだけなので、だからどうしたと聞かれると困ったりする。
何故そんな名前を名乗ったりしているかについては、追々、語ることになると思う。


(*゚ー゚)「じゃあ最初に言っておいた方がいいですね、背中の羽はかざりだぁ!! って」

( ^ω^)「誰に言えと」

(*゚∀゚)「一人しかいねえだろ」

(;^ω^)「お?」

と、つーちゃんが不意にそんな事を言った。
反射的に見れば、つーちゃんはどこか一点を見つめている。

視線の先にあるのは山、けど、それ以上に、霧が浮かぶ広大な森が広がっていた。



……。



羅針盤を頼りに木々の合間をぬけて、その場所は、すぐに見つける事ができた。
せせらぐ小川と、さしこむ光、そこにこじんまりと建てられた小屋。

僕はそれら全てに見覚えがあって、懐かしさに心を打たれてしまう。
けれど、ここに置き去りにした彼女を思うと、チクリと胸が痛んだ。

あの中に、おそらく彼女が居る。

そう考えた途端、鼓動がやかましく響いて、僕は喉をならして息を飲む。
思えば、ずいぶんと長い間、本当に長い間、遠回りをしてしまった。


『君の側にいると落ち着くよ』

『うん? どうしたんだ?』

『―――どこにも、行かないでほしい』


思い出せるのはどれも、幸せだった頃の風景。


だけど、それ以上に歯痒かった頃の風景でもある。

そもそも、僕がこの居場所を捨てて、ハインリッヒの下に行ったのは今このときの為だった。

心を通わせることができても、言葉を交わすことができない彼女と、同じ言葉で話をしたかった。
ありとあらゆる事柄を、共に生きる全ての喜びを、本当の意味で分かち合いたかった。

だから僕は言葉を欲した、なんとなく、でしか伝えられない想いを伝えたくて。
そして、本当に伝わっているのか分からない不安を消し去りたかった。


从 ∀从『やあ、はじめまして』


だから僕は。


从 ∀从『君にプレゼントをしたいんだ、私と来て欲しい』


あの人間に。


从 ゚∀从『言葉を話せるようになるよ』


全てを委ねた。


結局はそれで裏切りに次ぐ裏切りという、最悪の結果を招くことになったのだから、
もうどうしようもない、はげしい自己嫌悪がむねを焦がして欝になる。
僕の馬鹿さかげんも、ここまでくると筋金入りだ。


(*゚∀゚)「ほら、行ってこい」

と、そんな胸中を察したかはわからないけど、つーちゃんがぽん、と僕の背中を押す。
そのまま見まわすと、みんなそれぞれの面持ちで、尻込みする僕を後押ししてくれた。

ここまで来ると、もう後戻りはできなくなって、半ばやけくそ気味に歩き出す。
ようやく小屋の入り口を前にすると、更に緊張は高まっていく。

まず、何て言えばいんだろう、何を口にすればいいんだろう。
考えようとすればするほど、頭の中が真っ白になって何も浮かんでくれない。

(;^ω^)(……ていうか)

考えてみたら、僕は自分の想いばかりを一方的に押し付けようとしている。
けど、肝心の彼女はどうなんだ、これだけの時を経て、変わらずにいられる物なのか。
いやそもそも、理由はどうあれ僕は彼女を裏切って、この家を出て行ったのではなかったか。

途端に不安がおそいくる。何だか血の気がひいていくような悪寒が走る。

これじゃ駄目だ、いったん出直そうかな、そう弱気になった僕がその場でふりむくと同時。
背にした扉がすごく勢いよく開け放たれ、ものすごい勢いで僕の尻に衝突した。

(;゚ω゚)「みぎゃあ!!」

ものっそい恥ずかしい声が出た、でも仕方ない、いきなり尾てい骨を強打すれば、そりゃ変な声も出る。
ふと見上げれば、開かれた扉から長い髪をなびかせて、彼女が頭だけを出してこっちを覗き込んでいた。

川 ゚ -゚)「なんだ、誰か居るの……っと、ごめんなさいね」

( ゚ω゚)「…!!」

川 ゚ -゚)「って、君は……」

瞬間、僕は見惚れていた。前にこの森で会った時のような漠然とした感情じゃない、
はっきりと、明確なまでに理解できる、今の自分の想い、そしてこの胸にやどる熱。

本物だ、見間違えようが無い、この姿、この声、全てがあの頃のまま。

(; ω )「クー……僕は」

川 ゚ -゚)「……ブーン、いや…」

戸惑いながら、どうにか捻り出せた彼女の名前。
だけどそこからが続かない、喜びと悲しみに不安が入り混じって、頭の中はぐちゃぐちゃだ。

気付けば僕は、すがるように彼女を見上げていた。
そんな僕に、クーはしばし見定めるように僕を見据えると。
やがて目を閉じ、静かに一呼吸置いてから、


川 ゚ -゚)「……ホライゾン、君か?」


あの頃と同じ名で、僕を呼んだ。

僕は、この時のために欲していたはずの言葉さえ忘れて、彼女に飛びついていた。
クーは突然のことにも関わらず、そんな僕を優しく抱きしめてくれた。

懐かしい匂い。涙がでそうになったけど、その嗚咽を容易く堪えられる心地よい幸福感。
いつだって感じていた筈の風はどこかへ消えて、意識はどこか遠くなり、彼女の感触だけが在る。

僕は馬鹿みたいに彼女の名前をくりかえし呼んだ、そして次に浮かんだのは申し訳なさ。

( ;ω;)「クー、ごめん……ごめんお…僕は……」

川 ゚ -゚)「謝るより先に、まず言う事があるんじゃないのかな? かな?」

( ;ω;)「お……?」

叱るでもなく、あくまで穏やかに諭すような声色でクーが言う。
少しだけ考えたけど、すぐに気がついた。

( ;ω;)「ただいま」

川 ゚ー゚)「おかえりなさい」

それでようやく、にっこりと笑ってくれた。
心が満たされていくような、そんな気にさせる笑顔だった。

おかげで、ようやく僕は言うべき事を思い出せた。

そう、僕はただ、君にこの気持ちを伝えたいが為だけに、あの苦しみに身を投じたのだ。
本当に遅くなってしまったけど、今度は言える、今度こそ言える、
君がそうしてくれたように、僕も心を言葉にこめて伝えることができるんだ。

( ^ω^)「クー、聞いて欲しいことがあるんだお」

川 ゚ー゚)「なあに?」

(*^ω^)「僕はクーのことが、その、す、」

(; ω )「す、いや、その、えと、す、っすすs……」

と思ったのだけれど、何故か胸がやかましいくらいに高鳴って、言葉の邪魔をする。
おかげで僕は途中でくちごもって、それ以上の続きが言えなかった。

はて、これはどうした事か。なんでこんなに緊張するんだろう。
何でこんなに手が震えて収まらないのだろう。
ずっと言いたかった言葉のはずなのに、何がそんなに不安にさせるんだろう。

ふと見たクーの目はやけに真剣みを帯びていて、僕は無意識に息をのんでいた。
ぐるぐると目が回るような錯覚が、更にこの心をかきまわす。

そういえば、確か似たような状況が、前にも一度あったような気がする。
その時、一つの出来事が思い返された。


( ^ω^)b+「背中の羽は、飾りだお!!」


じゃなくて、ええと。


(; ω )「クー! ぼぼぼ、僕は、君が! す……」

確か、あの時は―――――。


(;゚ω゚)「好きだあああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


突然の雄たけびによる告白に、さすがに面食らった表情で固まるクー。
だが、てんぱっている僕はそんなのお構いなしに続ける。

(;゚ω゚)「そうだお!! ずっと言いたかった!! 僕はクーが好きなんだお!!」

(#゚ω゚)「いやそれどころじゃない!! 愛してる!! お前に夢中だぁ!!
      くぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!!」

段々と、自分でも何を叫んでいるのかよくわからなくなってきた。
しかし、それとは逆にクーは徐々に落ち着いた表情をとりもどし、ふ、と微笑むと。


おおきくふりかぶった右手による、強烈な平手打ちを僕の頬にたたきこんだ。

平手とはいえ、こっちは毛皮なので残念ながら快音がする事はなく。

痺れるような痛みによって、僕は唐突に現実へとひきもどされ、
ただうろたえながら彼女の表情を見上げるばかりなのだった。

(#)ω゚;)「…!? ……?!?!?」

川 ゚ -゚)「伝説のイナズマイレブン……笑わせないでくれたまえ」

そして、何か変なことを言い出した。もはや意味が分からない。

けどおかげで思い出せた、ああ、そういえばそうだったよ。
クー、君は昔からそうだった、変わらないね、そのいきなり変な事言い出すところは。

こうして僕は、とても理不尽な痛みに耐えつつ、
意図の分からない彼女の行動、その理由が説明されるのを待った。

川 ゚ -゚)「冗談じゃないよ、今の今まですっかり私の事なんか忘れてたくせに、
     しかも楽しそうに旅なんかしちゃって、しかも友達もいっぱい作ってさ……」

川 ゚ -゚)「それでちょいと立ち寄って、私の事が好きだって?
     いくら何でも軽すぎるじゃないか、認めないよ」

(メ;^ω^)「じ、じゃあ、どうしたら……」

川 ゚ -゚)「そうだね、条件がある」

(メ;^ω^)「え……なんだお?」

川 ゚ -゚)「まず一つは、私も連れて行ってほしい、君の旅に」

(メ^ω^)「お、それはもう」

というか、最初からそのつもりだった。
だからここに来たんだ。



川 ゚ -゚)「次に、その間違った考えをやめてもらいたい」

(メ;^ω^)「へ…? ていうと?」

川 ゚ -゚)「君が私を好き、なんていうことさ、長いこと放ったらかしにしていた君に、
     それを言う資格はもう無いんだよ、それを理解してほしい」

(メ;´ω`)「そ、そんな……何でだお…」


忘れたくて忘れたわけじゃないのに……。
だって僕、一度細切れにされて、内蔵までばらされてるんだよ。

そりゃ忘れるのも仕方ない……って、自分で言ってなんだけど凄いなこれ。


川 ゚ -゚)「情けない顔をしても駄目だ、だって腹立たしいじゃないか」

川 ゚ -゚)「私はね、君が忘れている間も、片時も君を忘れたことは無かったよ
     君を想わない節はなかった、それがどれほど苦しいものだったか君に分かるのか?」

川 ゚ -゚)「何千もの夜を一人で想い続けることが、どれほど辛いものだったか…
     君の嘆く声が起こしたあの風でさえ、私には愛しくてたまらない物だった」

変わらぬ表情でクーは、淡々と言葉をつづける。一見すれば冷静に説教をする姿に見えるだろう。
だけど僕には、かんしゃくを起こした子供のように泣きじゃくる姿にすら思えていた。

川 ゚ -゚)「ゆえに、君の言う愛は軽いんだ、軽すぎる、私の想いに比べれば、
     まるでそう、綿毛と鉄塊くらいの差があるだろうな」

川 ゚ -゚)「だから、君が私を好きなんじゃない」

クーの目が、僕をまっすぐに射抜いた。
ゆっくりと近づく潤んだ瞳と、瑞々しい唇。

川 ゚ー゚)「私が、君を愛しているんだ」


近づき、そして。


ミ;゚Д゚彡「!!」

(;*゚∀゚)「!!」

(*゚ヮ゚)「!!」

(;´・ω・`)「!!?」


2_20091226235600.jpg



驚きの声がおこる森の中、いつしか空にはぶあつい雲がかかり、
やがて小さな真っ白い結晶が、こぼれるように舞い落ちる。

息も白くなりはじめの、透季にさしかかろうという節の事だった。


こうして、僕の始めての季節を一巡する旅は終わりを告げる。
あるいは、これこそが本当の旅の始まりだったのかもしれない。


何故ならば、僕らは生きているから。
たった一つの命をかざして、心のあるがままに。

そして、そうやって生きていれば、拒むこともできずに色々なことを見て、知っていく。
出会いと別れをくりかえして、その先に、たとえ悲しい景色があったとしても、
やっぱり時間が経てば、そのうち心のなかで輝いて見えるのかもしれない。

今は心からそう思える。

誰かを傷つけておいて、こんな事を言うのはいけない事だけど、
それでも僕は、この体になれた事に感謝したいと今は思える。

だってそのおかげで、今こうして誰かと同じ道を歩めるのだから。

そしてそのおかげで、今こうして誰かと言葉を交わせるのだから。


心とは、そうやって形成され、感情さえも豊かにしていくものだ。
僕がそうであったように、きっとそれを、人は成長と呼ぶのだろう。

ハインリッヒは、かつてこう言った。
心というものが存在するのは、他人との交わりの為。
もし一人だけだったら、心は必要がなく、性格という概念も消えうせる。

彼女のしてきた事は、やっぱり良いことには到底思えない、
けれどその思考は果たして、どこからどこまでが間違っていたのだろう。

その間引きをするであろう言葉は、今の僕には見つからない、
けれど歩み続ければ、やがてはそれも分かるのだろうか?


くるくる巡り来る季節に、そんな希望さえも新たに乗せて、季節は続いていく。

くるくる繰り替えす中にも、いつだって新たな発見はあるし、まだまだこの旅は飽きそうにない。



ならば僕はまだ道の途中。今はこうして巡る4季を感じ、一つ一つの節を歩く。

色あせたノートは、まさに僕の宝物。

そこには、全て書かれている。

そこには、残されている。

そこには、残っている。

ふりかえれば見えるだろう、そして見れば誰もがわかるだろう。


季節を旅した。


僕の。



はっきりと残された。


ながい。


ながい。





         。。
        ゜●゜           
              。。
             ゜●゜

          。。
         ゜●゜

               。。
              ゜●゜

           。。
          ゜●゜

               。。
               ゜●゜

            。。
           ゜●゜

                 。。
                ゜●゜







                                   足跡が。




  【 季節を旅する文猫冒険記のようです 】  【 終結章 】    おしまい。





この小説は2009年5月31日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:7z3ARQ0I0 氏

最終章 そのいちは、こちらからどうぞ



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[ 2009/12/26 23:57 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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