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( ^ω^)季節を旅する文猫冒険記のようです 第一章 其の二


はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ

諸注意 このお話には房津チックな表現、キャラ設定が使用されております




「外の世界に…?」


きっとさ、知らない場所じゃ何もかもが違うと思うんだ


「…意味わかんねーよ」


うんと…ほら、例えば風の匂いとか、空とかも
そういう見るもの全てがここで見える物とはきっと違くて…


「そんなもんかねぇ」


でも、なんかグッと来ない?
俺なんか考えただけで胸が熱くなるんだけども


「まあ、わからんでもない」


だよね! そうだ、なんなら…


「?」


……その、一緒に、どう?


「……なんでオレが」


あ、いや…あはは、冗談だから!


「別に…かまわねーけど」


ほ、ほんと…?


「そりゃ、な…オレだってあいつ等みたいに外の世界に興味はあるし」


じゃあ、じゃあ約束だよ




 (一緒に行こう、つーちゃん)




(*-∀-)「……」



(*。。)「ウソツキ野郎め」





「何処へでも、行っちまえ」






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                  第一章  遠い地を目指したハジマリ


            其のニ 「いいわけないお、素直にならなきゃ、だめだめお」


 《  白季 75節  》


(;^ω^)「…」

(;´・ω・`)「…」


つい今朝方、旅立ちを決心した僕等だったけれど。
早くも修羅場が訪れてしまった。

  …> (*゚∀゚)     (゚∀゚*) <…



        ミ;  彡 <…ア、アノ

両親にその事、つまり村を出ることを伝えるも、二人は返事のないただの屍のように黙りこみ。
フサが懸命に反応を請うも動きはないまま。
既にかれこれ一時間近く膠着状態は続いていた。

恐ろしく長く感じるであろう無言の60分間は、もはや見ているこっちがダウン寸前。
フサは喉をならし、意を決した様子で何度目かの発言をした。

ミ,;゚Д゚彡「そ…それで、ですね」

(*゚∀゚)「うん、なあに?」

するとようやく言葉が帰ってきた。
少しだけ安心した面持ちでフサが言葉を続ける。

ミ,;゚Д゚彡「えと、外についてとか、旅に必要な事とか
      そういうのはショボが教えてくれるって言うし…」

ミ,;゚Д゚彡「だからその、なんだ、後は俺の体一つというか…」

(*-∀-)「出て、どうするんだ?」

しどろもどろながら、とにかく伝えようと必死に話すフサ。
対して、左側のつーさんはわざと聞かないふりをするように言葉を遮った。

ミ,;゚Д゚彡「…そりゃ、世界を見て回って、俺の足でどこまでも歩いて…それで」

(*゚∀゚)「つまり、ちゃんとした目的はないのね?」

そこへすかさず右側のつーさんが突っ込みを入れる。
…そろそろつーさんつーさん分けるのが辛くなってきたので以下、会話抜粋。


ミli゚Д゚彡「う…」

(*゚∀゚)「まあ…それはいいわ、それで、ここに帰るつもりはあるの?」

ミ,;゚Д゚彡「わかんない、です」

(*゚∀゚)「なんだ? お前はすぐ帰るつもりで旅に出たいなんて言ってるのか?」

ミ,;゚Д゚彡「ちがうよ、ぜんぜんちがうよ」

(*゚∀゚)「じゃあ何? 嫌になったら帰ってこようとか、そういう考え?」

ミ,;゚Д゚彡「いや、俺は、その……」

(*゚∀゚)「どうなの? はっきり言いなさい」

ミ,;。。彡「……」

ミ,;゚Д゚彡「もう…ここには帰らない…かな、と」

(*-∀-)「…」


(;´・ω・`)「…え?」

その言葉にはショボだけが驚いた様を示し。
それからしばしの沈黙という間を置いてから、
フサは困ったような、申し訳無さそうな面持ちで下を向き、言葉を続けた。

ミ,;。。彡「その、立ち寄る事は、もしかしたらあるかもしれないけど…
       帰ってくるって事は…無い、と思う、たぶん」

(*゚∀゚)「…そうか」

ミ,;。。彡「…」


(;´・ω・`)「え? え? どういう事? なんでなんで?」

(;^ω^)「落ち着けお」

二人がフサに対して聞いた事は、一見すれば旅に出ることの覚悟を聞いているように思える。
けど実際は違う、問いているのはむしろ逆の覚悟だった。

実を言えば、この村から旅立って行った人は、今までにも何人か居た。
そして彼等は大抵そとの世界に自分の居場所を見つけて、二度と帰って来なくなる。

もう何度も繰り返されてきた事だ。

だから、それは「帰って来てくれるのか?」という願いにも似た、そういう問いだった。


だから、返事は言う方も言われる方も心苦しい物になる。
きっと帰ってくるよ、なんて嘘をつくのはあまりにも簡単で、気安い。

けどそれじゃただの裏切りになってしまう、言うべき事は言わねばならない。
僕は内心でよく言ったと褒めつつも、やはり哀しい気持ちで一杯だった。

(*゚∀゚)「まあ、そうなるだろうな」

(*゚∀゚)「…ありがとう、正直に話してくれて」

ミ,;゚Д゚彡「あ…と」

(*-∀-)「いずれ…こういう日が来るとは思っていたわ」

(*゚∀゚)「寂しいものだが、やはり子には縛られず自由にしてほしいと思うのが親心だ」

ミ,,゚Д゚彡「…」

(*゚∀゚)「とはいえ、流石にこうまで突然だとは思わなかったがな」

ミ,, д 彡「ごめんなさい…でも、俺にとっては…違うから…」

ミ,,゚Д゚彡「ずっと待ってたんだ、突然じゃない…ようやく、なんだ
      これを逃したら次はあるのかさえ分からない…だから」

(*゚∀゚)「ああ、わかってるよ」

(*-∀-)「明確な何かを探すんじゃなくて、探し求めてやまない何かを見つける事
      それが…あなたがずっと願っていた夢なんだもんね」

ミ,,。。彡「…うん」


ミ,,゚Д゚彡「行っても、いい?」

(*゚∀゚)「駄目だと言ったら、お前はやめるのか?」

ミ,,゚Д゚彡「…それは」

(*゚∀-)「ふふ、そう言ったらあなたやめちゃうでしょ?」

ミ,;゚Д゚彡「そそ、そんなことはっ」

(*゚∀゚)「でも、迷っちゃうでしょ? もう気になって気になってしょうがないでしょう?」

ミ,;-Д-彡「…………」


(*゚∀゚)「お前はそういう子だ、今まで育てて貰ったから、とか…恩があるから、とか
     そう言って、私達を裏切ってしまう行為が怖い、そう思っているのだろう?」

(*-∀-)「だから、そうやってわざわざ聞いてるのよね?
     どうしても行きたいなら、言うだけ言って勝手に出て行けばいいんだもの」


ミ,,。。彡「…」

(*゚∀゚)「だからね…私達から言えるのはこれだけ」

ミ,;゚Д゚彡「…うん」

(*-∀-)「行きなさい、フッサール…ショボって子と一緒に、この村を出なさい」

Σミ,,゚д゚彡「…!」

(*-∀-)「ふっ…いつまでも私達の傘に入っていてもしょうがないだろう?
      お前もそろそろ自分で雨をしのいで、その先の晴れた空を見つけだせ」

二人の話をずっと落ち着かない様子で聞いていたフサだったが。
ここに来てとうとう黙り込んでしまった、見れば口元は震えている、
きっと言葉を捜しているのだろう。

けど、それすらも察したのか、二人は尚も言葉を続けた。


(*゚∀゚)「いい?夢を追うってのはね、ただ想像するだけとは全然ちがう、
     ”したいこと”より”すること”の方がずっと難しいから……。
     それを恐れる時もある、不安とかも色々あるでしょうね。

     …でもね、あなたは今チャンスを見つけた、そして願った。
     なら目をこらしなさい、慎重になるのは今じゃないでしょ?」


ミ,,。。彡「……」


(*゚∀゚)「こういうのは何より本人の意思が大事だ、周りがどうあれ、最後に決めるのは自分だけ
     どんな事を成すにしろそれは変わらない、それに……もう、決めたんだろ?
     なら、後悔をあやふやにする為の逃げ道なんかいらない、そうだろ」


ミ,,-д-彡「…」

ミ,,゚Д゚彡「ありがとう、俺…行くよ」

前に進みたいという意思は後押しされ、背中を押され。
今度は疑問符も、そして何の迷いも持たない強い言葉になった。

二人はそんな言葉に今度は表情を和らげ、それぞれ肯定を示していた。



( ;ω;)「なんという家族愛だお、涙ちょちょぎれちゃうお」

(;´・ω・`)「…ねえ、ブーン?」

( ;ω;)「なんだおショボ」

(;´・ω・`)「えと、なんか水差すようで言い辛いんだけど…」

(;´・ω・`)「…ふたりともおなじ顔で…その…区別できなくて
       僕にはなんだかカオス空間にしか…」

( ^ω^)「それなら大丈夫だお、たぶんフサもどっちがどっちだかわかってないお」

(;´・ω・`)「…え」

( ^ω^)「その証拠にさっきから一度も「お父さん」とか「お母さん」って呼んでないお」

(;´・ω・`)(…台無しだ…)



(*゚∀゚)「それで? 出発はいつ?」

ミ,,゚Д゚彡「えと、明日には行こうかな、と…だよな、ショボ?」

(;´・ω・`)「え、う、うん……あまり長居してる訳にもいかないし…」

ミ,,゚Д゚彡「…と、いうわけでして」

(;*-∀-)「ほんとに…何から何まで急ねぇ」

ミ,;-Д-彡「ご、ごめん…」

(*゚∀゚)「まあいいわ、準備はしてあるの?」

ミ,,゚Д゚彡「まだ、これからしようかと思ってるよ」

(*゚∀゚)「そう、じゃあ手伝ってあげるから早いとこ済ませましょう」

ミ,,゚Д゚彡「うん!」

(*゚∀゚)「したら今日は送別会だな…うし、ちょっと気合入れて狩りに逝って来るか」


そうして各自、行動を開始した…ところで、
狩りに行くと立ち上がったつーがフサへと向き直し、
なにか思い出したように呼びかけた。

ミ,,゚Д゚彡「なに?」


(*゚∀゚)「そういえばお前、あいつにはもう話したのか?」


そんな言葉に、ギクリとした様子でフサが硬直する。
「あいつ」とはとどの詰まり、二人の子供の方のつーちゃんの事だ。

ミ,;゚Д゚彡「ま…まだ、だけど…」

(*゚∀゚)「まさかとは思うが…何も言わずに行く気なんじゃあるまいな?」

ミli゚Д゚彡「やや、イヤデスネ! そんなわけないじゃないデスカ!!」


物凄くカタコトの敬語だった。
いくら何でも、あからさま過ぎやしないかと疑いの目を向けるも間もなく。


(*-∀-)「フサ…たしかにお前の好きな様にしろとは言ったがな…
      あれを悲しませるような事だけはしないでくれよ」

ミ,,。。彡「…でも…」


(*゚∀゚)「これは…私の親としての願いだ……それが、どんな事を意味するとしてもな」

ミ,;゚д゚彡「え…それって」

(*゚∀゚)「じゃーちょいといってくるよ」


それだけ言うと、壁に立てかけられている物体。
包丁というにはあまりにも大きすぎて、大きく、ぶ厚く、重く、
そして大雑把すぎた、それはまさに鉄塊だった物体を手に、つーは家を出て行った。


ネタを仕込もうとするのはいいが、非常に見づらくて適わないので訂正しておく。
要するにどでかい包丁を持って出てったのだ。

結局わかりづらい?

気のせい。





             ∧∧ 
            ミ*゚∀゚彡 <ソレカラソレカラ
             ミ,,,,,,,,,,ミ

         
           白季 75節 






旅立つまえの準備といっても、そう何かをアレコレ用意するわけでもない。
ただ、二人は何かを名残惜しむように談笑しながら、ゆっくりと作業を進めていた。

そしてお昼時、既に手を休めて思い出話に華を咲かせていたが、
不意につーさんが立ち上がり、昼食を用意すると言ってその場を去った。

僕は入れ違いにフサへと近づく。


ミ,,-д-彡 =3「…ふぅ」

( ^ω^)「乙だお」

ミ,,゚Д゚彡「おうよ」

「……」

なんとなく、僕等はあいさつだけ交わして沈黙。
長い時間を過ごした家の内装を、感慨深い思いで見つめていた。

( ^ω^)「…」

そういえば、さっきから気になっていた事があった。


ミ,;゚Д゚彡「え?」


(;^ω^)「だから、つーちゃんだお」

ミ,;゚Д゚彡「いや、わかってるよ、ちゃんと言うよ、そんなみんなして言わんでも」

(;^ω^)「違うお、そうじゃなくて」

ミ,,゚Д゚彡「?」

( ^ω^)「なんか今日は朝からつーちゃん見ないお、変じゃないかお?」

ミ,,゚Д゚彡「…そういえば…どこ行ったんだろなぁ」

居ないのでは仕方ない。
さもそう言いたげにフサはあさっての方向を向く。

……このままじゃ、いけない。
僕は漠然とそう感じて。

( ^ω^)「…それで、いいのかお?」

ミ,,゚Д゚彡「…なにがさ」

( ^ω^)「つーちゃんに…つーちゃんも、一緒に行こうって言わなくて…」

ミ,;゚Д゚彡「あらまあイヤデスワ! なに言い出すのカシラネこの子は!」

( ^ω^)「だって…本当は来て欲しいって思ってるんだお?」

ミ,,゚Д゚彡「んなわけないだろ常識的に考えて…
      つーちゃんなんか連れてってみろ、俺の毛が持たないっての」

(;^ω^)「お…」

ミ,,,-Д-彡「それにすぐ怒るし、アヒャってるし、包丁で脅すし…ていうかすぐ毛を刈るし
       口も悪いし、ひねくれてるし、やたら人を束縛するし、
       やーっとそんなのから離れられるっていうのに、絶対ごめんだね」

(;^ω^)「ちょ」

ミ,,゚Д゚彡「そりゃーね? 狩りの技術って点で言えば凄いと思うよ?
      確かにハンターの素質云々では、つー族の中でもずば抜けてるみたいだし?
      一緒に行けばご飯にも困らないかもしれないよ?」

(;^ω^)「そ、そうだお、僕等は狩りはけっこう苦手だk」

ミ,*゚∀゚彡「だがしかぁし! これから目指そうって世界はそうじゃない!
       食べる為には狩りにハツラツしなくてオフコース、これからは通貨の時代、
       つーの時代じゃないんだよ!! あーはははは!!」

(;^ω^)「…」ナンノコッチャ

そう言って高笑いするフサの笑顔は、僕には違和感のかたまりにしか見えなかった。
それに…自分で言ってて気付いてないのだろうか。
さっきから、口にする事の前提がおかしいという事に…。

ミ,, Д 彡「まあ……それにさ…」

( ^ω^)「……お?」

ミ,,。。彡「つーちゃんは……この村の」


「そうかい」


(;^ω^)「あ」

ミ,;゚Д゚彡「!?」

と、フサが表情を少し曇らせ、ボソボソ呟くように何かを言いかけた所で、
その言葉を遮るように、どこからともなく声が響く。

見れば、いつの間にか声の主は部屋の入り口に立っていた。

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(;^ω^)「つーちゃん…」

(*゚∀゚)「安心しろ、俺もな、これからの時期どんどん暑くなる事だし…
     てめえのそのむさっ苦しいモップ姿を見ないで済むと思うと清々するよ」

ミ,;゚д゚彡「…そ」

(*゚∀゚)「だいたい、そうでなくてもてめえは普段から見苦しいんだよ
     ナヨナヨしてっし、すーぐどもるし、単純バカな癖して優柔不断だしな」

ミ,;゚ -゚彡「…そう…そりゃよかったね、でも…それは俺もだから
       毎回いろいろ小言うるさいし、刈られるし、これからはそんな不安なく過ごせそうだから」

(*゚∀゚)「アヒャヒャそうだな、お互い大助かりじゃねーか」

ミ,,゚Д゚彡「全くだね」

(*゚∀゚)「まーでもあれだ! 今まではてめえが歩くと床の埃が取れて便利だったよ!
     ダスキン要らずだったし、それについてだけは勿体無いかもなぁ」

ミ♯゚Д゚彡「ちょ、そこまで言うか!?」


( ^ω^)「……埃がとれるどころか、抜け毛の処理で大変だってよく言ってたお」

(;* 。。)「…ぅ」

ミ,;゚д゚彡「……」


(*゚∀゚)「ちっ…まあいいさ、それより出るのは明日だったか」

ミ,,゚Д゚彡「…まあね」

(*゚∀゚)「ブーンも行くんだろ?」

(;^ω^)「お…だお」

(*゚∀゚)「そか…」

(*-∀-)「…」

( ^ω^)「お?」

つーちゃんは、何処か迷うような素振りを見せると、軽く溜息を一つ吐いた。
その後、二人は互いに顔を見合わせようとせず、なんとも気まずい時間が流れるも、
やがてつーちゃんが僕の頭にいちど手を置いてその場を去った。

なんとなく、取り残される形になった僕等はそのまま黙り込んでしまう。


( ^ω^)「…フサ」

ミ,,゚Д゚彡「…なんだよ」

( ^ω^)「さっき、散々つーちゃんも来たら困るみたいな事言ってたお?」

ミ,,゚Д゚彡「…」

( ^ω^)「……それって、誘ったら絶対に来てくれると思ってる…そういう事だお?
      それにつーちゃんだってああは言っても、行かないとは一言も…」

ミ,,。。彡「…しょうがないだろ」

ミ,,゚Д゚彡「つーちゃんは仮にもここの村長の跡継ぎで、あの二人のたった一人の子供なんだから…
      帰ることの無い旅になんか…一緒に行くわけにはいかないよ…」

( ^ω^)「その二人が言ってたじゃないかお、悲しませないでやってくれって…
      それに、フサだって実際来て欲しいんだお?
      だから会い辛くて、さっきもまともに別れを言えなかったんじゃないかお」

ミ,,。。彡「そんなんじゃ、ねえよ…」

( ^ω^)「思うこと…言えばいいお、言わなきゃ駄目だお
       こんな時に二人してツンデレしてる場合じゃないお」

ミ,,゚Д゚彡「……言えねえよ」

吐き捨てるようにフサは言う。
意外な事に、後者へと突っ込む言葉は無かった。
どうやらわりと重症らしい、ああポイズン、なんてポイズン。

(;^ω^)「……僕には、わかんないお」



……。


……。


…。



そして、夜の帳がくだり始めた頃。
恐らくお父さんの方であろうつーが大量に食材を持ってきて。
残った二人のつーがさっそく調理を始めた。

(;^ω^)「つーつーつーと…もう何がなにやら…」

ミ,,゚Д゚彡「?」

その間、僕等は4人で会話に華を咲かせていた。
話の種はやはり気になる事はいっしょなのか、外の世界の話。
そして質問攻めにあったショボがそろそろ涙目になりはじめると…。

(*゚∀゚)「できましたよー」

そんな声と共に、ぐつぐつ湯気をたてる大きな鍋を手にしたつーさんが現れ、
更に奥からは荒っぽい声があがった。


<おらー運ぶの手伝えー!

ミ,,゚Д゚彡「あ、今行くよー!」


<うわ、すごいから!

<アヒャヒャ、落とすなよ

<まかせてちょ

<…あ

<なにやってんだてめえ!!

<ごごごめん! わざとじゃ

<うるせえ問答無用!!

<ひぃ!?

<こらこら、二人ともやめなさい

<だってよぉ…

奥からわいわい楽しそうな声が聞こえてくる。
昼間はあんな事があったし、どうなる事かと少し不安だったけれど、
不思議なことに、気付けば何でもない、いつも通りの二人になっていた。

けれど、そんな普通が僕にはひどく悲しい物だと思えた。

確かにフサが言っていた事もわかる。
だけど…それでも、やっぱり気になって仕方がない。
自分を誤魔化していたってしょうがない、そんなの無意味じゃないか。

(;^ω^)「…はあ」

(´・ω・`)「あれ……どうしたの?」

( ^ω^)「あの二人だお」

(´・ω・`)「二人…?」

不思議そうに首をかしげるショボ。
僕はそれとなく視線をフサとつーちゃんへと向けた。

(´・ω・`)「ああ、うん、何かあったの?」

( ^ω^)「まあ…あれだお」

僕は、そんな悶々とした思いに耐え切れず、
ショボをこっそり部屋の端っこに連れ、簡単ないきさつを話しつつ、
同時に自分の思っている事を吐露した。

…少しヒートアップし過ぎた感もあるが、それはご愛嬌


(;´・ω・`)「なんか…大変なんだね…」

( ^ω^)「お…どうしたものやら、だお」

(´・ω・`)「ふーん……」

( ^ω^)「あ! そうだお、ショボから何かさりげなく言ってみてくれないかお?」

(;´・ω・`)「え…? な、何を?」

( ^ω^)「二人に、なんかこう上手い事すなおになったほうがいいお~みたいな
      僕が言ったところでどうせ聞かないだろうし…」

(;´・ω・`)「えええ!? むりむり! そんなのぼくにはとても…」

(;^ω^)「あー…冗談だお」

(´・ω・`)「…で、でも」

(*゚∀゚)「おーい、何すみっこで縮こまってんだ? 準備できたぞー」

( ^ω^)「お、はいだおー」

(;´・ω・`)「ぁ……」

…まあ、自分で頼んでみておいてなんだけど。
ショボは明らかにそういうの苦手そうだし、聞いてはみたが冗談半分、期待半分で。
その返答にこれ以上何かを求めるつもりはなかった。これが間違いであり、正解だった。


むしろ言いたい事言ってすっきりした、というのも少なからずあるけども。
というか、それどころじゃない、なんだあれは。

(;^ω^)「って、これはちょっと、多いっていうか…なに?」

テーブルを見れば、そこには凄まじい量の食べ物が。
いや、そもそもこれは本当に食べ物なのか?
そんな疑問が浮かぶような盛り付けをされた物がおしくらまんじゅうしていた。

その詳細はあえて割愛しておく、一つ一つ書いていたらキリがない。

…けれど一つだけ例を挙げるならば。
細長い大きな魚が積み上げられ、巨大な三角形を作っているのは如何な物か。

(*゚∀゚)「がんばったからな」

ミ,;゚Д゚彡「ねえ、このグロテ、いや人みたいなの…何?」

(´・ω・`)「あ…なんかこれいい匂い…」

( ^ω^)「それは穴鼠だお」

(´゚ω゚`)「ねずっちょ!!」

そうして、宴はてんやわんやと盛り上がり。
みんなでテンションを壊しつつ、楽しい最後の夜は更けていった。





             ∧∧ 
            ミ*゚∀゚彡') <アサー アサダヨー アサゴハンタベテー ガッコウイクヨー
             ミ,,,,,,,,,,ミ

         
           白季 76節 






そして…いよいよ旅立ちの時がやってきた。
嬉しい事に天気もよく、澄み渡るような青空と、差し込む朝の日差しの中。
家の前に3人のつーが佇み、思い思いの言葉をかけてくれた。

(*゚∀゚)「次に…もし会う時は、もっとでっかい男になってろよ」

ミ,,゚Д゚彡「タイプワイルドだね!」

(*゚∀゚)「そうだ、元気ハツラツ?」

ミ,,゚Д゚彡b「オフコース!!」

ちなみに、本当は村の入り口までは一緒に。みたいに言われていたけど。
フサがここがいいと言うので、見送りは家の前までとなった。

なんでも「俺が旅立つ場所はこの家だから」とかなんとか。

(*゚∀゚)「でも…これだけはぜったいに忘れちゃ嫌よ?
     あなたは今までも、そしてこれからも…どこにいても…
     ここの子、私達は家族なんだからね」

ミ,,゚Д゚彡「…うん、今までありがとう…お父さん、お母さん」

(*゚∀゚)「あら珍しい…ちゃんとそう言ってくれたのはどれくらいぶりかしら?」

(*゚∀゚)「どうやら今日は雨が降りそうだな、早いところ行ったほうがいい」

ミ,;゚Д゚彡「ちょ、ひど!」

(*゚∀゚)「アヒャヒャ、てめえは濡れると困るだろうが」

ミ,;゚д゚彡「そうだけど、そうじゃなくてね?」

(*゚∀゚)「なんだよ?」

ミ,,。。彡「……その」

ミ,,゚Д゚彡「元気でね、つーちゃん」

(*゚∀゚)「あー? オレは別に今まで通りだ、なんもねーよバカ」

(*。。)「けど……まあ、ガンバレよ」

ミ,,゚Д゚彡「うん…ありがとう」

結局、この二人はこれくらいしかまともに挨拶を交わす事はなかった。
言いたい事も、言うべき事もたくさんあるだろうに。

……でも、あれからずっと考えて、今は少し、これでいいんだと思い始めていた。
二人がそうするべきだと思った上での事だろうし、
ここでとやかく言っても、逆に辛くなるだけなんだろう。

だからせめて普段と変わらぬままで。
明るく、前を向いているために。

…しょうじき、あまり納得はしていないけど。


(*゚∀゚)「…ブーンも、元気でね? ショボ君、二人をよろしくね」

( ^ω^)「あいおー」

(;´・ω・`)「は、はいっ」

(´・ω・`;)ソワソワ
(;´・ω・`)ソワソワ

(;^ω^)「お?」

と、見ればショボが落ち着かない様子でキョドっている事に気付いた。

(;^ω^)「どうしたんだお? トイレ?」

(;´・ω・`)「え、あ、あの、いや…えっと…」

(;´・ω・`)「よ、よよよぉし…」

ミ,,-д-彡 =3

ミ,,゚Д゚彡「さて…と、んじゃま、行くとしますか!!」

ショボが謎の意気込みをみせる中、フサが声を張り上げた。
色々と思うところはあれど、そんな言葉には高揚が抑えきれない。
僕もそれに応えようとした……ら。


(;´・ω・`)「ちょ、ちょっとまって!」


ショボが、いつになく必死な様子でそれを止めた。
突然のことに困惑する僕等をよそに、ショボはおどおど言葉を続け、
…驚くべきことを言い出した。

(;´・ω・`)「あ、あの……つーさん、も…一緒にきませんか…?」

(;*゚∀゚)「は…?」

(;´・ω・`)「えと…昨日、ブーンが言ってたんだけど…」


( ^ω^)「……」

(;^ω^)(……!!!)


僕は、そこで昨夜の事を急激に思い返していた。
そしてふと、思い浮かんだ事があった。

…そういえば、昨日ショボから何か言ってくれと軽い気持ちで頼んだ時。
無理だと言いつつ、なにか、最後に、言いかけていた、ような。

何故かはわからない。

けれど、まずい、と得体の知れない悪寒を感じた。


(;´・ω・`)「だ、だって…本当はつーさんも行きたいんですよね…?
       僕はその、ぜんぜん、むしろ…多いほうが嬉しいっていうか」

(;*゚∀゚)「あ…あ?」

(;´・ω・`)「フサさんも、来て欲しいんですよね?
       そう言ってたって聞きましたよ」

ミ,;゚д゚彡「…え、と?」

(;´・ω・`)「そ、それで…ほんとうは…二人とも、一緒に行きたいって思ってるのに…
       だけど誰も見てない体裁を気にしてるんだ、って」


あえて言うならば、ミシと何かが軋む音が。

(* ∀ )「…」

ミ,, д 彡「…」


(;´・ω・`)「そうやって二人して無理してかっこつけてる、すっっっごくバカみたいだ、って」


おお、ちゃんとバカって単語に凄い力いれてくれてる、律儀だNE。

あえて言うならば、ビシと何かが割れる音がががが。



(♯ ∀ )「……」

ミ♯ Д 彡「……」



(;´・ω・`)「あれ…? えっと…そうそう、あと…」


自分が発言すればするほど場が静かになっていく、
ショボは困った様子ながらもどうにかしようと思ったのだろうか。


(;´・ω・`)「の、乗りたい風に乗りおくれた奴を何ていうか知ってるか」

(*´・ω・`)「そういうのはマヌケって言うんだ!! …って…!」

(li^ω^)「ショ…ショボ…ちょ、ちょっと…あの…」

(*´・ω・`)「…ふ、ふぅーー…言ったよ! ブーン!」

血の気が引くのを感じつつ、止めに入ると。
ショボはなんていうか、凄く達成感あふれる表情で言った。
空気嫁、ていうか、こやつ何を考えている、なぜそこまで言うのか。



(゚∀゚*)

ミ゚Д゚,,彡



二人はゆっくりと僕を見た。
こっち見んな、とか言ってる場合じゃ無い。
空気よんでください、ほんとに。

(;^ω^)「あ、いや、ちが…」

(♯゚∀゚)「アヒャー、この猫ちゃんたら…ずいぶん言ってくれるじゃないの?」

(;^ω^)「口調かわってますお?」

(*゚∀゚)「かえてんのよ」


<尻尾の毛、全部刈ってやんよ~♪

<アッー!!


咄嗟に僕は逃げようとするが時はすでに遅く。
銀にかがやく刃がそっと尻尾にあてがわれ、
今まさにジョリジョリと刈られそうになったところで…。


(*゚∀゚)「…つー、今のは本当かい?」


(;*゚∀゚)「…う」


( ;ω;)「ごめんなさいごめんなさいもうしません」

助け舟が舞い降り。その隙を逃さぬよう必死で懇願した。

僕はフサみたいに一日で毛が生えそろう変な体をしていない。
このまま刈られようものなら、僕は尻尾だけ毛の無いという辱めを受けながら旅する事になる。
これはちょっとした恐怖ですよ。

そして、ふと顔をあげればフサが僕を見下ろしていた。
直視することが出来ず、表情はみとれなかった。

( ;ω;)「あうぅぅ……」

ただ…きっと怒られるんだ、そう思って。
初日からなんという事だろうと、僕はたまらず下を向いた。

けれどいくら待っても、あるのは沈黙だけだった。
不思議に思って…こっそりと上を盗み見る。
すると、まるでタイミングを合わせたように沈黙が破られた。


ミ,,゚Д゚彡「……俺は、つーちゃんに来て欲しいと思ってるよ」


僕はびっくりして、がばっと顔を上げた。
そんな様を、どこか諦めたようなふいんきで見下ろすフサが視界に入った。

(;^ω^)「え…フサ…?」

ミ,,゚д゚彡「…まぁ、約束破ったうしろめたさみたいなの残して行くのも、な」

( ^ω^)「約束…?」

(;*゚∀゚)「…おま……覚えて」

(*゚∀゚)「…だ、そうだぞ? お前はどうなんだ?」

(;*。。)「お、オレは…」

(*-∀-)「つー」

(;*゚∀゚)「ん…お袋?」

(*゚∀゚)「はい、持ってきなさい」

(;*゚∀゚)「は!? ちょ、これ」

そう言って手渡されたのは、円錐型のさきに紐がついたバッグ。
つーちゃんが反射的に受け取ると、それは何かガチャガチャ音を立てた。

(*-∀-)「あなたに必要な物は全部はいってるはずよ、安心しなさい」

(;*゚∀゚)「いやそうじゃなくてよ、これはどういう」

(*゚∀゚)「行きたいのだろう? 知ってるぞ…
    というか、お前が自分で言ったんじゃないか」

(;*゚∀゚)「え…いや、あれは」

ミ,,。。彡「…ごめんなさい」

(*゚∀゚)「あら、なんで謝るの?」

ミ,,。。彡「だって…」

(*゚∀-)「ふふ…なにか誤解してない? 例えば…つーが私達にとって唯一の…とか」

ミ,;゚Д゚彡「お、ぉぉぅ…」

(*-∀-)「さっきも言ったでしょ…あなたは私達の大事な子供って
      これだけ言っても…まだわかってくれないの?」

ミ,;゚Д゚彡「いや、それは、そうじゃなくて…だからこそ、二人ともなんて…」

(*゚∀゚)「つーも、お前も、どっちかとかじゃない…
     私達にとっては二人とも変わらん、そしてこうも言ったはずだぞ」

(*゚∀゚)「縛られず、自由に生きて欲しいと…な」

ミ,, - 彡「…っ」

(*゚∀゚)「ははは、大体かんがえてみろ、その場合、縛ってるのは私達なんだぞ?
     親にしてみれば、そっちの方がよほど辛いってものさ……」

ミ,,;Д;彡「うん゛…やっぱり、ごめんなさい」

(*゚∀゚)「慌てるな、まだ泣く時間じゃない」

ミ,,つД;彡「仙道乙」

(;^ω^)「ぉ…ぉぉ」

しゃがみ込んだその上で繰り広げられるスペクタクルに、
僕は動けずにいた、というか空気をよんで動いちゃいけないと思った。
けっこう辛いものがあった、しかし静観を続けた。僕も頑張ってます。


とか言ってる間に、フサはちょっぴり涙模様の表情を拭い、
呆然としているつーちゃんへと向き直し、言った。

ミ,,゚Д゚彡「つーちゃん、一緒に行こう」

すると、すぐに我にかえったつーちゃんは、
あきらかに慌てている。

(;*゚∀゚)「いやちょっと待ちやがれ、オレは行くとは…」

ミ,,゚Д゚彡「だから質問してるから」

(;*゚∀゚)「ぐっ…てめえ…」

(*゚∀゚)「つー」

(;*゚∀゚)「な、なんだよ」

(*゚∀゚)「…ゴチャゴチャ言ってないで逝け」

(;*゚∀゚)「……あ?」

(*゚∀゚)「いつまでも引っ張るな、どんどん行数が増えていくだろうが
     早く行くと言え、いいから逝ってよし」

(;*゚∀゚)「おい、誰の願いだそれ」

(;^ω^)「あの…僕も…来て欲しいお、
      つーちゃんは、 この村で弾かれ者だった僕等を、
      いつも周りを気にせず引っ張ってくれたお

      それがいつだって、凄く嬉しかったんだお…
      僕はそんなつーちゃんが大好きだお…
      だから、もしまだ一緒に居られるなら…そのチャンスを逃がしたくないお」


僕は、ここぞとばかりに言ってやった。
けれど紛れもない本心だから。

ここにきて、やっとわかったんだ。
ずっと悶々としていた理由が。
フサがどうとか色々言っても、結局のところ僕自身がそれを願っていたんだ。


(;*-∀-)「っ~~~~…」

(*゚∀゚)「はぁ…わかったよ、オレも――――」





             ∧∧ 
            ミ*゚∀゚彡 <ソウシテ ヨウヤク!
             ミ,,,,,,,,,,ミ

         
           白季 75節 





そうして、つーちゃんも一緒に村を出る事になった。
やはり両親の二人には申し訳ない思いがあったが、
それについては安心できることができた。

(*゚∀゚)「ああ、そういやあ最初に言っておくが…」

どうやらつーちゃんには明確な旅の目的があるようで。
それを果たしたら村に帰るつもりらしい。


…まあ、聞かなかった僕等もアレだったのだが。
何にせよ、もう帰らないつもりでいた僕等にとって、
それは寂しくもあり、ありがたいとも思える事だった。


…かに思えた、のだが。


ミ,,゚Д゚彡「へぇ、それで…なんなの? 目的って」

(*゚∀゚)「ああ、ちぃと外大陸の包丁に興味があってな」

(*-∀-)「それが…あなたの夢だもんね」

(*゚∀゚)「ああ、俺も昔は憧れたもんだ…外世界の包丁」

ミ,,゚Д゚彡「……」

ミ,;゚Д゚彡「…なんと?」

(*゚∀゚)「とりあえず目星はついてっけど、ひとまずオレに馴染む包丁探しつつ
     心ゆくまで世界の包丁ってやつを見て回りたいんだ
     その為にはお前と行くのが一番都合がいいからな」

ミ,;゚Д゚彡「都合…え、ちょ、まさか…」

(*゚∀゚)「それと…まあ、こっちは夢みたいなもんなんだがな
     世界のどこかには伝説の白と黒の包丁があるらしくてよ
     それを―――」

ミ,;゚Д゚彡「ちょっと待ったぁ!!」

(*゚∀゚)「ああ? なんだよ」

ミ,,゚Д゚彡「え? 包丁探しの旅?」

(*゚∀゚)「ああ」

ミ,;゚Д゚彡「…あ、あの…つかぬ事をお聞きしますが…
      もしかして…その、俺と行くのが都合がいいってのは…」

(*゚∀゚)「ああ、もちろん……試し切り、できるだろ?
     お前の毛って刈り応え抜群だし、すぐ生えてくるし」


 試 し 切 り


ミ,, Д 彡「…」

(;^ω^)「…」

(;´・ω・`)「…え?」

それだけ聞くと、フサが動かなくなった。
でも何でだろう、同じ事を考えている気がする。


新たな場所! → 新たな包丁! → 毛を刈られる!! → 新たな場所! →以下ループ


というより、映像がはっきりと浮かんだ気がする。

ミ,, Д 彡「…い」

ふとそこで、ぎぎぎ、と。
異音が聞こえてきそうな動作でフサが振り向き。


(;´・ω・`)「な、なに…? って」

ミli゚Д゚彡「いやだああああああああああああ!!」


・`;)「わぎゃああああああああ!!!?」


とつぜんショボの尻尾を掴んだと思えば、ものすごい速度で駆け出した。
ていうか、ほとんど消えたと表現していいと思う。
ちなみにショボは全力で引きずられている。


<いだいいだいいだいいいいいいいいいいいい!!!

<刈られる旅なんていやああああああああああ!!!


遅れて、二人分の悲鳴が聞こえてきた。
真っ直ぐに伸びた道には、二人が通った道筋に尾をひくように砂埃が舞っている。

それにしてもどんどん姿が小さくなっていく、なんて速さだ、人はああも早く走れるものなのか。
それもショボを片手で引いてあの速度、信じられない。

だいたい先日連れて来たときはあんなに大変そうだったのに、とんでもないパワーだ。
あれが火事場の馬鹿力というのだろうと思う。

(*゚∀゚)「…」

( ^ω^)「…」

(*゚∀゚)(*゚∀゚)「…」


(;^ω^)「って、そんな冷静に考察してる場合じゃないお!?」


Σ(*゚∀゚)「はっ…」

(♯゚∀゚)「ぁあ~んのやろう…!! 待ちやがれええええええええ!!!!」


そうして、つーちゃんが荷物を肩に背負い込み駆け出した。
ガチャガチャ音がするのは、包丁なんだろうなぁ…。

そして叫んで飛び出したつーちゃんも尋常じゃない速度だった。
ちなみにそれが特別驚くことじゃない、素であれだから困る。
まさに電光石火、いやしんそくか。


<逃がさねえぞそこのモップ!!

<こ、来ないでいいからあああああああああ!!!

<いたいたいたい!!もうはなしてよおおおお!!うあああああん!!!

気付けば…僕は一人ぽつんと取り残され。
遠くなっていく3人を眺めていた。

(;^ω^)「あ、あわわ…」

( ;ω;)「お、おいてかないでくれおーーーー!!!!!」

そうして、僕も前を行くみんなを追いかけ、走り出した。
同時に背中を押す風がふいて、声が聞こえた。

「いってらっしゃい」って、そう聞こえた。

少しだけ振り返ると、家の前で二人が笑って手をふっていた。
こんどは前を見ると、道の先で二人がそれぞれ手をふっていた。

白い季節の風、それはきっとスタートを告げる暖かい音。
蹴り出す足に力をこめて、思い切り駆け出した。




それから。



なかなか追いつけなくて、大変だった。


しばらく走ると、フサが倒れていた。


つーちゃんは息もきらしていなかった。


結局、フサが疲れて立ち止まるまで、僕は追いつけなかった
動物としてのプライドはズタズタだった。
でも…それ以上にショボが、尻尾がちぎれるって泣いてたっけ…。








それで、最後には…笑ってた――――。






《 蒼季 1節 》


淡い緑色の灯りが照らすなかで。
僕は緩む頬をこらえながら、開いていたノートを閉じた。

…何故か、その思い出はまだ新しいはずなのに、ずいぶん昔のことに感じた。


隣を見れば、ショボがもう寝息を立てている。

( ^ω^)「…そろそろ、僕も寝るお」

ホタルの樹の下、腕に頭をのせて目を閉じる。
まぶたの裏に柔らかな光を感じて、それがなんとも心地よい。
まるで光に抱かれている……そんな気がして。

瞳を閉じているのに、灯りの中に沈んでいくような。
そんな不思議で暖かいまどろみの奥底に、僕はゆっくりと沈んでいった。

3_20091226221119.jpg




                             其の二 → 其の三 へとつづく。





この小説は2007年12月24日ニュース速報(VIP)板に投稿されたものです
作者はID:81lxEDVB0 氏

第一章、其の三はこちらへどうぞ



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[ 2009/12/26 22:14 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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