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( ^ω^)がリプレイするようです Scene 2

はじめてブーン系小説を読む方はこちらへどうぞ






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Scene 2 :幕間


(´・ω・`)「さあ、注文を聞こうか」

/ ,' 3「……くそっ! 勝手にせい!!」

ショボンの胸倉をつかむ手を離した内藤。
開放されたショボンはズレた首もとの蝶ネクタイを正す。

一方で内藤は、バツの悪そうな表情を浮かべてカウンターのグラスの前へと戻っていく。

/ ,' 3「ちくしょうが!!」

彼が口にした罵倒は、目の前の男に投げかけられたものか、
それとも、『やり直し』という誘惑に打ち勝てなかった己に対して投げかけたものか、定かではない。

部屋中に響く内藤の罵倒を気にする素振りすらなく、
バーテンはいつの間にか、カウンターの奥へと姿を消していた。

薄暗い照明だけが照らす店内で一人、残ったテキーラをあおる内藤。

先ほどの余裕はどこへいったのであろうか?
額からは大粒の汗が流れている。


/ ,' 3「わしは、本当にやり直せるのじゃろうか……」

彼の心中に渦巻くは不安。


自分は、未来を知っている。


しかし、ただそれだけでかつての自分の行いを改めることが……
……失った人々の未来を変えることが、自分にできるのだろうか?

ドクオ、そらさん、デレ……麗羅はまだいい。
ツンを……最愛の妻であった麗子を、自分は救うことができるのであろうか?

襲い掛かってくる恐怖にも似た不安を振り払うように、
内藤はグラスのテキーラを一気に飲み干した。



(´・ω・`)「お待たせしました」

落ち着いた声とともに再び現れたバーテン。
彼は両手で抱えた荷物をバーボンハウスの真ん中に置く。

それは、一基の小さな灯篭。

内外に備え付けられた二重の枠を持つそれは、外側の枠に紙が張られていた。

/ ,' 3「なんじゃこれは?」

(´・ω・`)「走馬灯……いえ、走馬燈です。
      人が死の間際に見る光景の代名詞として用いられているもの。
      これを使い、あなたを別の時へと送ります」

/ ,' 3「悪趣味なことじゃ」

(´・ω・`)「褒め言葉として受け取っておきます」

老人の皮肉を軽くいなすと、
バーテンは走馬燈の前にかがみこみ、その外枠に張ってあった紙をはがしていく。
その代わりにどこからか取り出した別の紙をペタペタと張っていくバーテン。

/ ,' 3「何をやっとるんじゃ?」

(´・ω・`)「走馬燈の外枠に紙を張っているんです。あなたの人生という名の紙をね」

作業する手を休めることなく、淡々とバーテンは続ける。

(´・ω・`)「外枠に張った紙が内側からの光をさえぎり、この部屋の壁面に影絵として映ります。
      それはクルクルと幻想的に回り、あなたの歩んできた人生の一幕を
      次々と映し出します。
      あなたはそれを眺めるだけでいい。
      その光景とあなたの情動が同調したとき、あなたは時を越えます」

作業を終えたらしいバーテン。
立ち上がり両手を軽くパンパンとはらうと、静かに老人の姿を見据えた。


(´・ω・`)「それでは、始めましょう」

/ ,' 3「ま、待て! 早速か!?」

もはや余裕の欠片すら見せずにうろたえる内藤。
彼を一瞥してため息をつくと、バーテンは続ける。

(´・ω・`)「こちらも『輪廻の番人』に無理を言ってあなたをここへ招待しているのです。
      輪廻の番人はせっかちなんですよ。正直、あなたにはあまり時間がありません」

内藤の動揺に対し無慈悲な返答を返すショボン。
彼がパチンと指を鳴らすと、店内の照明が一気に消えた。

(´・ω・`)「さあ、準備はいいですか?」

/ ,' 3「よくない。と言っても、お前さんは待ってくれんのじゃろ?」

(´・ω・`)「ふふ、話が早くて助かります」

わずかな笑みが含まれた言葉とともに、
暗がりのバーボンハウスは柔らかなオレンジの明かりに包まれた。


2_20091226201013.jpg



同時に壁面に投影される影絵。

それはゆっくりと、だが着実に、
流れゆく季節のごとく移り変わってゆく。

老人は眼前に広がる懐かしい光景に目を奪われた。

始めに投影されたのは、子を抱き上げる母と、それを取り囲む人々の影絵。

皆が笑顔を浮かべている。
ああ、くだらない人生を歩んできた自分でもこんなに多くの祝福の中で生を受けたのか。

次に映ったのは学生帽のようなものを被り敬礼をしている幼い自分の影絵。

きっと、尋常小学校に入学した際の姿だろう。大きな帽子が頭上からこぼれ落ちそうに斜めに傾いている。
かつて写真で見たことがあった。その写真は今、故郷を焼いた灼熱の太陽に照らされて影も形もない。


ゆらめく炎の幻影とともに、走馬燈は次々と老人の歩んできた人生の一ページを映し出していく。


長い髪を結った少女と歩く自分の影絵。

麗子……幼馴染であり最愛の妻だった彼女と、国民学校時代の自分が仲良く歩いていた時のものだろう。
懐かしさに涙が零れ落ちそうになる。
もう半世紀も前に死に別れた彼女の姿が、今もまざまざと眼に浮かんでくる。

一枚の紙を囲う母と自分の影絵。

国民学校を卒業し、工場で働いていた自分のもとに送られてきた赤紙を手にしたときのものだろう。
本人の意思とは無関係に、人々を故郷から引き離す血の色をした紙。
その赤は、日本の行く末を皮肉った神のいたずらだったのであろうか?



そして、走馬燈は映し出す。


うつむく少女と、彼女に対し敬礼をする自分の影絵。
徴兵され、故郷を離れる前夜に彼女と交わしたやり取り。


3_20091226201013.jpg



ここだ。
自分の後悔の始まりはここだ。

ここで彼女に、どうしても言っておかなければならない一言があった。


内藤の想いと同時に、黒の影絵が確かな質感を帯び始める。
それは鮮やかな色彩とともに目の前に広がり、視界のすべてを覆っていく。

ああ、これが時を越えるということか。

過ぎ去った時間。失われた過去。もどらない時計の針。
それらが今、老人の前に姿を現す。



わしは……僕は、これから人生をやり直すんだお。



一九四四年十二月。
真冬を迎える故郷の町に、僕は、彼女の未来を変える一言を残しに行くんだお。





この小説は1944年12月某日から2007年3月某日にかけて時の狭間で記録されたものです
作者は78 ◆pSbwFYBhoY 氏
Scene 3 はこちらへどうぞ

記事元はオムライスさんになります



ご意見等あれば米欄にお願いします


[ 2009/12/26 20:11 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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