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( ^ω^)がリプレイするようです Scene 0

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Scene 0 :????年 ????


目を開けると、そこにあるのは木目調の扉。
自分の背丈よりわずかに高いくらいのその扉は、
まるで『開けてください』と言わんばかりにそこにポツリと存在していた。

なぜ、自分はこんなところにいるのだろうか?
 
いつも寝床にしていた公園の風景はどこにもなく、ただ扉だけが目の前にあるだけ。
左右を見渡すと、その先には終わりが暗闇に包まれて確認できないほどに細く長い廊下。
その先へと進む気が起きない老人、荒巻スカルチノフは、ただ静かに目の前の扉を開けた。

『キィィィ』と乾いた音があたりに響き渡る。

開けた扉の先には部屋が広がっていた。
遠い昔に行った事がある居酒屋とは異なるが、どことなく雰囲気はそれに似ていた。
行ったことはないが、人づてに聞いたことがある『バー』という店が
このような雰囲気なのだろうかと、ぼんやり考えていた荒巻。

そんな彼に投げかけられる男の声。

「ようこそ、時の狭間の店『バーボンハウス』へ。
 このテキーラはサービスだ。まずは受け取ってほしい」


声のする方を見ると、そこにはコンビニのレジをさらに長くしたようなカウンターの向こう側で
透明な湯飲み……グラスというのだろう、それを磨いている蝶ネクタイ姿の男が立っていた。
彼は自分の目の前にグラスを置くと、トクトクと液体を注いでいく。

どう考えても不審な男なのだが、
『この年になって何を恐れる必要がある? それより久しぶりの酒が飲める』
と、荒巻は静かに男の前の席に腰掛けた。

/ ,' 3「んまい! ひさしぶりの酒はたまらんのぅ!」

注がれた液体……テキーラと呼ばれたそれを一口含んだ荒巻は歓喜の声を上げた。
たまに飲むのはホームレス仲間が拾ってくる、
さまざまな種類の酒が混ぜ合わされたちゃんぽんと呼ばれる酒のみで、
久しぶりの純粋な一種類のみの酒は五臓六腑に染み渡るほどにおいしかった。

度数が高いようなのでちまちまと舌鼓を打ちつつグラスの中身を減らしていく老人。
その中身を半分ほど減らして落ち着いた彼は、目の前のバーテンに向けて話しかけた。


/ ,' 3「若いの、ここはどこじゃ?」

(´・ω・`)「さっきも言ったでしょう? 時の狭間の店『バーボンハウス』ですよ」

/ ,' 3「ケッタイな名じゃのぅ。大体、時の狭間とはなんじゃ?」

酔っ払いの絡みにため息をつきつつ、バーテンは口を開いた。

(´・ω・`)「言葉通りの意味ですよ」

/ ,' 3「ひょひょひょwwww なんじゃ? ということは、ここはこの世ではないのか?」

(´・ω・`)「ええ、その通りです」

バーテンは磨いていたグラスを置くと、老人の姿を見据えて言った。


(´・ω・`)9m「あなたは死んだんですよ、荒巻スカルチノフさん。……いえ、内藤ホライゾンさん」


バーテンの言葉に、一瞬老人は動きを止めた。
途端によみがえってくる終わりの記憶。




深夜、寒さのあまり眠れずに公園を徘徊していた自分を襲った若い男。
ナイフを自分の腹につきたてた彼に向かい、


『お前がわしを葬ってくれる死神か!? 
 さあ、刺せ!! そのナイフでわしの体を滅多刺しにするんじゃ!!』


と言葉を発した自分。
おびえた表情を浮かべた彼は、老人の腹に突き刺したナイフを抜くと一目散に逃げていった。

激痛の走る腹部を押さえながらもまだ歩ける自分の体を認識した老人は、一瞬だけ助けを求めようとした。しかし、つらい事だらけの浮世を自らはなれる勇気のなかった自分、
そして為してきた所業を省みて、ただ黙って公園の植え込みのそばに横たわった。

これでこの世からおさらばできる、自分にも許される時がきたのだと、
老人は静かに終わりの風景を眺めた。

暗闇でざわざわとうごめく木々の枝の上で、二匹の白猫の親子がこちらをじっと見つめていた。
その視線がなんだかとても懐かしくて、暖かくて、最期に老人は静かに笑った。

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/ ,' 3「……なんじゃ、お前たちか。 
    ……お前たちが……わしの最期を看取ってくれるのか? ……悪くないのぅ」

老人のかすれ声を合図に、二匹の白猫は枝の上からピョンと跳ね降りた。
そして横たわる老人の傍に座ると、ぺろりと彼の頬をひと舐めした。

もう指一本動かせない身体。
老人は、自分の最期を看取ってくれる傍らの二匹を撫でられないことだけが心残りだった。

かすんできた視界。それが暗闇に変わる直前、
老人が最後に聞いた音は、まるで自分の死を誰かに伝えるかのごとく響く野犬の遠吠えだった。





/ ,' 3「ひょひょひょwww そうじゃ、思い出したわい! わしは死んだんじゃったのぅ!!
    して、ここは天国なのか?
    いや、わしが行くのは地獄じゃから、間違いなくここは天国ではないのぅ!!」

戻った記憶をたどり、高笑いを浮かべる老人。
表情を崩さないバーテンは、新たなグラスを磨きながら黙っていた。

/ ,' 3「ということは何か?お前さんは神様なのか?」

(´・ω・`)「いえ、違います。私は『時の番人』です」

顔を上げ、老人を見つめながら器用にグラスを磨き、質問に答えるバーテン。

(´・ω・`)「通常、死者は輪廻の輪のもとへとたどり着き、新たな生を受けます。
      しかし、あなたの場合は特別にここに招待させてもらった。荒巻スカルチノフさん……」

/ ,' 3「死してなぜ偽名を使う必要などあろうか? 内藤ホライゾンでよい。して、お主の名は?」

(´・ω・`)「名などありません。名に意味はありませんから。
      どうしても呼びたかったらショボンとお呼びください」

/ ,' 3「ひょひょひょwwwケッタイな名じゃ」

バーボンハウスに響き渡る荒巻……いや、内藤ホライゾンの笑い声。
彼は空になったグラスをショボンの前に差し出すと、にやついた表情で言った。

/ ,' 3「して、なぜにわしは時の狭間などという場所におるのじゃ?」

(´・ω・`)「当然の疑問です。お答えしましょう」

ショボンは差し出されたグラスにテキーラを注ぐと、話を続けた。

(´・ω・`)「時という存在は一つではありません。
      あなたたちの過ごしている世界の時を一本の川の流れとすると、
      その隣には同じ大きさの、無数の『時』という名の別の川が流れています」

/ ,' 3「要するに、時の流れというのは同じで無数に存在するということじゃのぅ?」

(´・ω・`)「見かけによらず、物分りが良くて助かります」

/ ,' 3「口の悪い男じゃwww」

失礼なショボンの言葉にも、内藤は笑って答えた。
その余裕は本人の性格が故か、老人であるが故か、あるいは死した故か。
理由は定かではない。


(´・ω・`)「時の流れは皆一様であり、それらの大筋はまったく同じです。
      別の時の流れの中には、あなたという人間が確かに存在します」

/ ,' 3「ほう」

(´・ω・`)「私の仕事は、時という川の流れの中に
      石という名のイレギュラーな出来事を放り込むことです。
      どんな石を放り込めば流れが変わるのか、もとに戻るのか。
      それを調査することが、時の番人である私の仕事です」

グラスを磨く手を休め、じっと内藤の姿を見つめるショボン。そのまま彼は内藤の方へと指を差す。

(´・ω・`)9m「そして今回、私は時の流れの中にあなたという石を放り込みたいと考えています。
       未来を知っている内藤ホライゾンという名のイレギュラーな石をね。
       具体的には、ある『時』の内藤ホライゾンの身体にあなたの意識を移します。
       その際、その『時』に存在する本来の内藤ホライゾンの意識はこちらで保護します。
       あなたがことをなした後、彼にその記憶を植えつけてその『時』の流れへと戻します」

/ ,' 3「……しかし、なぜわしなんじゃ? 他の人物でも良かろうて」

(´・ω・`)「当然の疑問です。お答えしましょう」

そう言うと、ショボンは一冊の分厚いファイルを取り出した。
それをペラペラとめくると、その中から一枚の紙を取り出す。


(´・ω・`)「内藤ホライゾン。一九二八年生まれ。没年は二○○六年。大往生です」

/ ,' 3「ふん。こんなくだらない人間が生き残るから、世の中ダメになるんじゃ」

自嘲した内藤。彼の顔に謙遜という二文字は見当たらない。

(´・ω・`)「あなたが深くかかわった人物は、親を抜かすと全部で四人。素晴らしく少ない」

/ ,' 3「褒めとるのか、それは?」

(´・ω・`)「いえ、まったく。あまりにも価値のない人間だといって差し支えない。
      通常、多くの人々と関わりのある人間を石として川へ放り込んで
      時の流れを観察することのほうがはるかに有意義です。
      しかし、今回は私の趣味であなたのような価値のない小石、
      いえ、砂粒を放り込ませていただく」

/ ,' 3「ここまでコケにされると逆にすがすがしいわいwwwww」

内藤の笑い声にもなんら表情を変えず、ショボンは続ける。

(´・ω・`)「私の趣味は、激しい後悔を持つ小石を時の流れへと放り込み、
      あがく姿を眺めることです」

/ ,' 3「本当にケッタイな男じゃのぅ、お前さんは」



(´・ω・`)「毒田 勇男。毒田 そら。津出 麗子。そして、内藤 麗羅」



ショボンの口から発せられた四つの名前。
それを聞くや否や、内藤ホライゾンの表情が一瞬にして凍りつく。


(´・ω・`)「あなたの四つ後悔は、これら四人の人物とそれぞれ深く関わっている」

/ ,' 3「……」

(´・ω・`)「そして深く関わった人物全員に激しい後悔の念を抱いている。
      あなたの人生は本当に不幸だ」


投げかけられた言葉の返答として、内藤はショボンの胸倉をつかんだ。
至近距離で相手の顔をにらみつける老人。それになんらひるむことなく、ショボンは続ける。


(´・ω・`)「とりあえず落ち着いて聞いてほしい。
      いいですか? 私はひとつの可能性をあなたに提示します。
      これから私はあなたを後悔と同じ数だけ、
      つまり四度、あなたの過ごした時とは別の時の流れの中にあなたを放り込みます。
      その中であなたは自分の、そして、彼らの未来を変えるのです」

/ ,' 3「……」

(´・ω・`)「私の提案を受けるのであればその右手を離しなさい。
      受けないのであればこのまま私を左手で殴り飛ばしなさい。
      その瞬間、あなたは輪廻の輪へと飛ばされ、新たな生を受けることになる」


/ ,' 3「……」

バーテンの胸倉を掴む内藤の右手がブルブルと震える。その力は徐々に、だが確実に弱くなっていく。
顔をうつむけて考え込んでいる老人。そんな彼を、表情を変えずに見下ろすバーテン。

時の狭間で相対する二人。

時が流れているのか定かではないこの場所での時間の経過をどう表現すべきかわからない。
しかし、もしもこのバーボンハウスに時という概念が存在するのであれば、ほんの数分の間。

しばしの沈黙を破り、時の番人は静かに問いを投げかけた。


(´・ω・`)「……さあ、注文を聞こうか」

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この小説は1944年12月某日から2007年3月某日にかけて時の狭間で記録されたものです
作者は78 ◆pSbwFYBhoY 氏
Scene 1 はこちらへどうぞ

記事元はオムライスさんになります



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[ 2009/12/26 20:04 ] ナギ戦記 | TB(0) | CM(0)

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